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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139828
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02N 10/00 20060101AFI20220915BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20220915BHJP
   F03G 7/06 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02N10/00
B06B1/02 Z
F03G7/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040376
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 恭生
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107CC10
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】振動デバイスの低背化を実現する。
【解決手段】振動デバイス1Aは、2つの固定子10と、2つの固定子10の互いに対向する端面11,11の間に、一列に配置される複数の可動リング20と、2つの固定子10及び複数の可動子20を一連に貫く金属線30と、を有する。金属線30は、形状記憶合金によって形成され、抵抗加熱によって長手方向に収縮する。それぞれの固定子10は、金属線30に固定されている。それぞれの可動子20は、互いに固定されておらず、かつ、金属線30にも固定されておらず、2つの固定子10の互いに対向する端面同士の間隔変化に伴って変位する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの固定子と、
2つの前記固定子の互いに対向する端面の間に、一列に配置される複数の可動子と、
2つの前記固定子及び複数の前記可動子を一連に貫く金属線と、を有し、
前記金属線は、形状記憶合金によって形成され、抵抗加熱によって長手方向に収縮し、
それぞれの前記固定子は、前記金属線に固定されており、
それぞれの前記可動子は、互いに固定されておらず、かつ、前記金属線にも固定されておらず、
2つの前記固定子の互いに対向する端面同士の間隔変化に伴って、複数の前記可動子が変位する、振動デバイス。
【請求項2】
前記固定子は導電性を有し、かつ、前記金属線に圧着されて前記金属線と電気的に導通しており、
前記固定子を介して前記金属線に通電が可能である、請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記金属線に張力を付与する付勢体を有し、
前記付勢体は、抵抗加熱によって生じる収縮力よりも小さな張力を前記金属線に常に付与する、請求項1又は2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
2つの前記固定子の一方及び前記付勢体の一端側が接続された支持部材を有し、
前記支持部材に接続されていない前記付勢体の他端側が2つの前記固定子の他方に接続されている、請求項3に記載の振動デバイス。
【請求項5】
2つの前記固定子の一方が固定されている前記金属線の一端側が接続された第1の支持部材と、2つの前記固定子の他方が固定されている前記金属線の他端側が接続された第2の支持部材と、を有し、
前記付勢体の一端側が前記第1の支持部材に接続され、前記付勢体の他端側が前記第2の支持部材に接続されている、請求項3に記載の振動デバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の振動デバイスを有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、振動を発生させるデバイスが様々な機器に搭載されている。例えば、携帯電話には、着信を知らせるための振動を発生させる振動デバイスが搭載されている。また、ゲーム機器には、遊戯性を高めるための振動を発生させる振動デバイスが搭載されている。このような振動デバイスの1つである振動モータが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-157925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動デバイスが搭載される機器の小型化や薄型化を実現するために、振動デバイスの小型化が求められている。特に、振動デバイスの高さを低くしたり、厚みを薄くしたりすることが求められている。つまり、振動デバイスの低背化が求められている。
【0005】
本発明の目的は、振動デバイスの低背化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る振動デバイスは、2つの固定子と、2つの前記固定子の互いに対向する端面の間に、一列に配置される複数の可動子と、2つの前記固定子及び複数の前記可動子を一連に貫く金属線と、を有する。そして、前記金属線は、形状記憶合金によって形成され、抵抗加熱によって長手方向に収縮する。それぞれの前記固定子は、前記金属線に固定される。それぞれの前記可動子は、互いに固定されず、かつ、前記金属線にも固定されず、2つの前記固定子の互いに対向する端面同士の間隔変化に伴って変位する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振動デバイスの低背化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る振動デバイスの平面図である。
図2図1に示されている固定子と金属線との固定方法を示す説明図である。
図3】実施形態2に係る振動デバイスの斜視図である。
図4図3に示されている振動デバイスの変形例を示す斜視図である。
図5】実施形態3に係る振動デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の幾つかについて図面を参照しながら詳細に説明する。尚、実施形態を説明するための全ての図面において、同一の構成や要素には同一の符号を用い、原則として再度の説明は行わない。
【0010】
(実施形態1)
<全体構成>
図1(a),(b)は、本実施形態に係る振動デバイス1Aの平面図である。振動デバイス1Aは、対向する2つの固定子10と、2つの固定子10の間に配置された複数の可動子20と、2つの固定子10及び複数の可動子20を貫く金属線30と、を有する。以下の説明では、2つの固定子10の一方を“固定子10a”と呼び、2つの固定子10の他方を“固定子10b”と呼んで区別する場合がある。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0011】
詳細は後に改めて説明するが、金属線30は、温度に応じて長手方向に伸縮する性質を有する。金属線30が長手方向に伸縮すると、2つの固定子10が移動し、それら固定子10の対向する端面同士の間隔が変化する。そして、2つの固定子10の端面同士の間隔変化に伴って複数の可動子20が変位し、振動が発生する。
【0012】
図1(a)には、金属線30が伸びているときの振動デバイス1Aが示されている。一方、図1(b)には、金属線30が縮んでいるときの振動デバイス1Aが示されている。尚、以下の説明では、金属線30の長手方向(伸縮方向)を“軸方向”と呼び、軸方向と直交する方向を“径方向”と呼ぶ場合がある。
【0013】
<固定子>
固定子10a,10bは、それぞれの端面11が互いに対向するように一列に配置されている。それぞれの固定子10a,10bは、導電性を有する材料によって形成されている。また、固定子10a,10bは、円柱形状を有し、その直径(外径)、数mmである。さらに、それぞれの固定子10a,10bの中心には、金属線30を挿通可能な貫通孔が設けられている。
【0014】
<可動子>
それぞれの可動子20は、高抵抗の材料や絶縁性の材料によって形成されており、金属線30を挿通可能な形状を有する。より特定的には、可動子20は、エボナイト等の合成樹脂によって形成されている。また、可動子20は、金属線30を挿通可能な内径を有する円環形状に形成されている。
【0015】
可動子20の内径は、金属線30の外径(線径)よりも大きく、固定子10の内径(金属線30が挿通される貫通孔の直径)よりも大きい。つまり、可動子20は、固定子10の内径よりも大きな内径を有する円形のリングである。
【0016】
もっとも、可動子20の内径は、固定子10の外径よりは小さい。よって、可動子20の内側に固定子10が入り込むことはない。つまり、可動子20が2つの固定子10a,10bの間から抜け出ることはない。また、可動子20の外径は、固定子10の外径と同一又は略同一である。別の見方をすると、固定子10や可動子20の外径は、本実施形態に係る振動デバイス1Aの最大高さに相当する。
【0017】
尚、以下の説明では、可動子20を“可動リング20”と呼ぶ場合がある。また、上述した「高抵抗の材料」とは、金属線30の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する材料を意味する。
【0018】
<金属線>
金属線30は、形状記憶合金(SMA/Shape Memory Alloy)によって形成されている。より特定的には、金属線30は、Ni-Ti系の形状記憶合金によって形成されている。金属線30に通電すると、ジュール熱によって金属線30の温度が上昇する。一方、金属線30に対する通電を停止すると、放熱によって金属線30の温度が低下する。金属線30は、温度が所定温度(変態点)を上回ると、長手方向に収縮して記憶形状に戻る。一方、金属線30は、温度が所定温度(変態点)を下回ると、長手方向に伸長(弛緩)する。
【0019】
金属線30は、2つの固定子10a,10b及び複数の可動リング20に挿通され、これらを一連に貫いている。言い換えれば、2つの固定子10a,10b及び複数の可動リング20は、金属線30によって串刺しにされている。
【0020】
<固定子と金属線の関係>
2つの固定子10a,10bは、それぞれ金属線30に固定されている。図2に示されるように、径方向において対向する固定子10の外周面上の二点が、径方向内側に向けて潰されている。別の見方をすると、金属線30が挿通されている固定子10の貫通孔が部分的に狭窄している。この結果、貫通孔の内周面が金属線30の外周面に圧接している。つまり、2つの固定子10a,10bは、金属線30に圧着されており、金属線30に対して軸方向に移動不能である。
【0021】
図2に示されている圧着点12の位置は一例である。圧着点12の位置は、例えば、固定子10の長手方向中央であってもよく、長手方向端部であってもよく、その他の位置であってもよい。尚、図2では、それぞれの固定子10上にある二点の圧着点12のうちの一方のみが表れている。
【0022】
固定子10を金属線30に固定する方法は、圧着(カシメ)に限られない。例えば、接着,半田付け,ネジ止めなどの他の固定方法によって固定子10を金属線30に固定してもよい。この場合の固定点の位置も特定の位置に限定されない。
【0023】
もっとも、圧着によれば、接着,半田付け,ネジ止めなどの他の固定方法よりも、容易かつ確実に固定子10を金属線30に固定することができ、振動デバイス1Aの生産性を向上させることができる。
【0024】
尚、作図の便宜上の理由により、図2では可動リング20の図示が省略されており、図1では圧着点12の図示が省略されている。
【0025】
<可動リングと金属線の関係>
図1に示されている複数の可動リング20は、互いに固定されておらず、かつ、金属線30にも固定されていない。言い換えれば、それぞれの可動リング20は、互いにフリーであり、かつ、金属線30に対してもフリーである。別の見方をすると、それぞれの可動リング20は、金属線30に対して軸方向及び径方向に移動可能である。もっとも、可動リング20は、軸方向及び径方向に無制限に移動できるわけではない。可動リング20は、対向する2つの固定子10の間で軸方向に移動可能である。より特定的には、可動リング20は、固定子10aの端面11と固定子10bの端面11との間で軸方向に移動可能である。また、可動リング20は、当該可動リング20の内周面と金属線30の外周面との間のクリアランスの範囲内で径方向に移動可能である。
【0026】
<動作>
図1に示されている振動デバイス1Aを作動させるときには、金属線30に電圧を印加し、金属線30に電流を通す。金属線30に通電すると、ジュール熱による加熱(抵抗加熱)によって金属線30の温度が上昇する。そして、金属線30の温度が変態点を上回ると、金属線30が軸方向に収縮する(図1(a)⇒図1(b))。さらに、金属線30が軸方向に収縮すると、金属線30に固定されている固定子10aと固定子10bとが互いに近接する方向に移動し、これら固定子10a,10bの対向する端面同士の間隔が狭まる。
【0027】
すると、固定子10aの端面11と固定子10bの端面11との間に配置されている複数の可動リング20が、それら端面11,11に押されて変位する。具体的には、それぞれの可動リング20が、隣接する可動リング20と接触しながら起き上がったり、隣接する可動リング20に近接したり、隣接する可動リング20に衝突したりする。このとき、金属線30に固定されていない複数の可動リング20の全部又は一部は、径方向(接線方向)にも移動する。このように、複数の可動リング20が変位することによって振動が発生する。さらに、複数の可動リング20が一様ではない動きを示すことにより、全方位への振動が発生する。
【0028】
その後、金属線30への通電が停止され、金属線30の温度が変態点を下回ると、金属線30が軸方向に伸長する(図1(b)⇒図1(a))。すると、金属線30に固定されている固定子10aと固定子10bとが互いに離間する方向に移動し、これら固定子10a,10bの対向する端面同士の間隔が広がる。このときにも、複数の可動リング20の変位に伴って全方位への振動が発生する。
【0029】
図1(a),(b)に示されている例では、金属線30に直接電圧が印加されている。しかし、固定子10は導電性を有しており、かつ、金属線30に圧着されている。つまり、固定子10は、金属線30と電気的に導通している。よって、固定子10を介して金属線30に電圧を印加してもよい。言い換えれば、固定子10を介して金属線30に通電してもよい。この場合、固定子10は、金属線30に電圧を印加するための電極としても機能する。一方、固定子10を電極として機能させない場合には、固定子10を高抵抗の材料や絶縁性の材料によって形成してもよい。つまり、固定子10の材料は特定の材料に限定されない。また、固定子10を電極として機能させる場合であっても、導電性を確保する必要がある部分以外の部分には、酸化膜などの絶縁膜を形成してもよい。
【0030】
可動リング20は、高抵抗の材料や絶縁性の材料によって形成されている。よって、金属線30に電圧が印加されても、金属線30と接している可動リング20に電流が通ることはないか、通ったとしてもその電流量は極めて少ない。
【0031】
一方、金属線30と接している可動リング20には、金属線30から熱が伝わる。よって、可動リング20は、100℃以上の熱に耐え得る材料(高耐熱性材料)によって形成されていることが好ましく、熱容量が大きな材料や熱伝導率が高い材料によって形成されていることがさらに好ましい。
【0032】
これまでの説明から、金属線30にパルス電圧を印加すると、連続振動が得られることがわかる。例えば、パルス幅が60msのパルス電圧を240ms周期で金属線30に印加すると、連続振動が得られる。また、パルス幅や周期を変化させることにより、振動の特性を変化させることもできる。例えば、パルス幅を5ms~100msの範囲内で変化させたり、周期を50ms~500msの範囲内で変化させたりすることにより、振動デバイス1Aが発生する振動が人間の触覚に与える影響を変化させることができる。また、振動の立ち上がりを早くする観点からは、パルス電圧のキャリア波の周波数が高いことが好ましい(例えば、1kHz以上)。
【0033】
金属線30に印加する電圧の大きさ(高さ)も適宜に設定することができる。もっとも、金属線30に印加される電圧が大きすぎると、金属線30が断線する虞がある。一方、断線を回避するために金属線30を太くしすぎると、振動デバイス1Aの消費電力が増大する。そこで、金属線30に印加する電圧は、金属線30の線径を踏まえて設定することが好ましく、金属線30の線径は、金属線30に印加される電圧を踏まえて設定することが好ましい。かかる観点からは、金属線30に印加する電圧は、金属線30を軸方向に2.0%~5.0%収縮させる大きさであることが好ましい。また、金属線30の線径は、0.03mm~0.2mmであることが好ましい。
【0034】
既述のとおり、固定子10や可動リング20の外径は、振動デバイス1Aの最大高さに相当する。ここで、2つの固定子10は、それらの間に可動リング20を保持可能な内外径を有している必要がある。また、可動リング20は、2つの固定子10の間に保持され得る内外径を有している必要がある。別の見方をすると、振動デバイス1Aの最大高さに相当する固定子10の外径を決定する際に求められる条件は、可動リング20を保持し得ることである。また、振動デバイス1Aの最大高さに相当する可動リング20の外径を決定する際に求められる条件は、可動リング20に保持され得ることである。よって、上記条件を満たした上で固定子10や可動リング20の外径の最小化を図ることにより、振動デバイス1Aの低背化を実現し得る。
【0035】
また、振動デバイス1Aは、永久磁石や電磁石などの磁力を帯びる部品を用いずに振動を発生させる。よって、振動デバイス1Aを機器に搭載するに際に磁力の影響を考慮する必要がない。したがって、振動デバイス1Aが搭載される機器(特に、磁力の影響を受けやすい精密機器)の設計の自由度を高めることができる。
【0036】
(実施形態2)
図3(a),(b)は、本実施形態に係る振動デバイス1Bの斜視図である。図3(a)には、金属線30が伸びているときの振動デバイス1Bが示されている。一方、図3(b)には、金属線30が縮んでいるときの振動デバイス1Bが示されている。
【0037】
振動デバイス1Bは、固定子10,可動子20及び金属線30に加えて、付勢体としてのトーションバネ40と、支持部材50と、を有する。トーションバネ40は金属によって形成されており、導電性を有する。支持部材50は合成樹脂によって形成されており、絶縁性を有する。
【0038】
トーションバネ40の一端側は支持部材50に接続されているが、他端側は支持部材50に接続されていない。別の見方とすると、トーションバネ40は、支持部材50に接続されている右腕41と、支持部材50に接続されていない左腕42と、コイル43と、を有する。
【0039】
固定子10b及びトーションバネ40の右腕41は支持部材50に接続され、トーションバネ40の左腕42は固定子10aに接続されている。具体的には、固定子10bの端部及びトーションバネ40の右腕41の端部は、支持部材50に埋め込まれている。一方、トーションバネ40の左腕42の端部は、固定子10aの端部に係止されている。より具体的には、左腕42の端部は、固定子10aの端部に設けられている係合孔13に挿入され、かつ、略90度折り曲げられている。
【0040】
つまり、トーションバネ40の右腕41は支持部材50に固定され、トーションバネ40の左腕42は、固定子10aを介して金属線30に接続されている。この結果、金属線30には、トーションバネ40によって常に張力が付与される。トーションバネ40によって張力が付与されている金属線30は、直線状に伸びた状態に維持される。これにより、可動リング20の偏在が防止又は抑制される。また、金属線30の軸方向への伸長がトーションバネ40によって行われる。
【0041】
尚、振動デバイス1Bにおける固定子10も金属線30と電気的に導通しており、電極として機能する。もっとも、固定子10bには直接電圧が印加される一方、固定子10aにはトーションバネ40を介して電圧が印加される。
【0042】
また、トーションバネ40が金属線30に付与する張力は、抵抗加熱によって金属線30に生じる収縮力よりも小さい。よって、トーションバネ40が付与する張力によって金属線30の収縮が阻害されることはない。
【0043】
図3(a),(b)に示されているトーションバネ40は、図4に示されているコイルバネ44に置換することができる。また、図3(a),(b)に示されている支持部材50は、図4に示されている支持部材51に置換することができる。
【0044】
支持部材51は、一対の支持部51a,51bを備え、全体として略コ字形の平面形状を呈する。固定子10,可動子20,金属線30及びコイルバネ44は、一対の支持部51a,51bの間に配置されている。
【0045】
固定子10bは、支持部材51の支持部51bに接続されている。一方、固定子10aは、コイルバネ44の一端に接続され、コイルバネ44の他端は、支持部材51の支持部51aに接続されている。具体的には、固定子10bの端部は支持部51bに埋め込まれている。一方、コイルバネ44の一端は固定子10aの端部に係止され、コイルバネ44の他端は支持部51aに係止されている。
【0046】
(実施形態3)
図5は、本実施形態に係る振動デバイス1Cの斜視図である。振動デバイス1Cは、固定子10,可動子20及び金属線30に加えて、付勢体としてのトーションバネ45と、第1の支持部材52aと、第2の支持部材52bと、を有する。トーションバネ45は金属によって形成されており、導電性を有する。支持部材52a,52bは合成樹脂によって形成されており、絶縁性を有する。
【0047】
固定子10aが固定されている金属線30の一端側は、固定子10aから突出して支持部材52aに接続(固定)されている。固定子10bが固定されている金属線30の他端側は、固定子10bから突出して支持部材52bに接続(固定)されている。
【0048】
トーションバネ45の一端側は、支持部材52aに接続され、トーションバネ45の他端側は、支持部材52bに接続されている。具体的には、トーションバネ45の左腕46の端部は、支持部材52aに設けられている係合溝53に挿入され、かつ、略90度折り曲げられている。トーションバネ45の右腕47の端部は、支持部材52bに設けられている係合溝53に挿入され、かつ、略90度折り曲げられている。
【0049】
つまり、トーションバネ45の左腕46は、支持部材52aを介して金属線30の一端側に接続されており、トーションバネ45の右腕47は、支持部材52bを介して金属線30の他端側に接続されている。この結果、金属線30には、トーションバネ45によって常に張力が付与される。トーションバネ45によって張力が付与されている金属線30は、直線状に伸びた状態に維持される。これにより、可動リング20の偏在が防止又は抑制される。また、金属線30の軸方向への伸長がトーションバネ45によって行われる。
【0050】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、可動子の数,大きさ,厚み、形状、材料などは特に限定されない。例えば、可動子の形状は、楕円形であってもよく、多角形であってもよい。複数の可動子の厚みは、同一であってもよく、異なっていてもよい。可動子の表面は、平坦であってもよく、湾曲していてもよい。
【0051】
本発明における付勢体は、本明細書に記載されているバネやスプリングに限られず、収縮した金属線を伸長させることができる押しバネや引きバネであってもよい。さらに、本発明における付勢体には、磁力や重力を利用して金属線に引張力を与える付勢体も含まれる。
【0052】
本発明が適用された振動デバイスの用途は特に限定されない。本発明が適用された振動デバイスは、例えば、携帯型情報端末,家電用リモコン,照明スイッチ,眼鏡型告知フレーム,ウェアラブル端末,インシュリンポンプのような携帯型の精密機器などの電子機器に搭載することができる。本発明が適用された振動デバイスを何らかの機器に搭載する際には、PETフィルム等の樹脂フィルムで全体を覆うことにより、防塵性や防水性を高めることが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B,1C:振動デバイス、10,10a,10b:固定子、11:端面,12:圧着点,13:係合孔,20:可動子(可動リング),30:金属線,40,44,45:トーションバネ、41,46:右腕、42,47:左腕、43:コイル、44:コイルバネ、50,51,52a,52b:支持部材、51a,51b:支持部、53:係合溝
図1
図2
図3
図4
図5