(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139855
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】配線構造体、導電性粒体検出装置、及び、減速機
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20220915BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20220915BHJP
F16H 57/01 20120101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N27/04 Z
G01N27/00 L
F16H57/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040414
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 敦
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 和彦
【テーマコード(参考)】
2G060
3J063
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AA10
2G060AA19
2G060AD04
2G060AE20
2G060AE30
2G060AF07
2G060AG10
2G060GA01
2G060HD03
2G060KA10
3J063AC01
3J063BB35
(57)【要約】
【課題】接続部の大型化を招くことなく、配線の導通部と導電性の永久磁石を容易に接続することかできる配線構造体、導電性粒体検出装置、及び、減速機を提供する。
【解決手段】配線構造体1は、フレキシブルプリント配線板等の配線と、永久磁石3と、中継片4と、を備えている。配線は、導通部を有する。永久磁石3は、導電性の有する。中継片4は、導電金属によって構成され、配線の導通部に接続される。中継片4は、永久磁石3が磁力によって吸着固定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の永久磁石と、
導通部を有する配線と、
前記配線の前記導通部に接続されるとともに、前記永久磁石が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片と、を備えている配線構造体。
【請求項2】
前記配線は、フレキシブルプリント配線板によって構成されている請求項1に記載の配線構造体。
【請求項3】
前記中継片と前記永久磁石とは、導電性の接着剤によって接続されている請求項1または2に記載の配線構造体。
【請求項4】
相互に離間して配置された導電性の複数の永久磁石と、
隣接する前記永久磁石の間の電気抵抗を基にして、隣接する前記永久磁石の間に吸引される導電性粒体を検出する検出基板と、
前記検出基板と各前記永久磁石を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板と、
各前記フレキシブルプリント配線板の前記永久磁石の側の導通部に接続されるとともに、前記永久磁石が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片と、を備えている導電性粒体検出装置。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント配線板の前記導通部と前記中継片とは、半田によって接続されている請求項4に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント配線板の前記導通部と前記中継片とは、導電性の接着剤によって接続されている請求項4に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント配線板には、複数の前記永久磁石が配置される潤滑液充填空間と、前記検出基板の配置される検出空間との間を密閉する封止部材が一体に形成されている請求項4~6のいずれか1項に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項8】
入力された回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部を内部に収容するケーシングと、
前記ケーシング内の潤滑液に混入した導電性粒体を検出する導電性粒体検出装置と、を備え、
前記導電性粒体検出装置は、
前記ケーシングの内部で相互に離間して配置された導電性の複数の永久磁石と、
隣接する前記永久磁石の間の電気抵抗を基にして、隣接する前記永久磁石の間に吸引される導電性粒体を検出する検出基板と、
前記検出基板と各前記永久磁石を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板と、
各前記フレキシブルプリント配線板の前記永久磁石の側の導通部に接続されるとともに、前記永久磁石が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片と、を備えている減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の永久磁石が配線の導通部に接続された配線構造体、配線構造体を用いる導電性粒体検出装置、及び、導電性粒体検出装置を用いる減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
減速機等の機械的な動作機構を内蔵する装置では、ケーシングの内部に潤滑液を充填することによって動作機構の摩耗低減が図られている。この種の装置では、経時使用に伴って機械部品から金属粉が発生し、その発生した金属粉が潤滑液中に混入する。潤滑液中に金属粉が多量に混入すると、潤滑液による動作機構の摩耗抑制機能が低下する。また、潤滑液中に金属粉が多量に混入することは、動作機構に摩耗や破損等が生じたことを意味する。
【0003】
このため、この種の装置では、潤滑液中の金属粉の量が規定量以上になったときに、そのことを外部から検知できることが望まれる。この対策として、潤滑液中の金属粉を永久磁石によって吸引し、吸引した金属粉の量を電気的に検知できるようにしたものが案出されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この装置で用いられている金属粉の検出装置(導電性粒体検出装置)は、潤滑液内に配置される筒状の永久磁石の外周面側に、相反する電極をギャップを介して配置し、そのギャップを挟んだ電極間の抵抗を検出することによって潤滑液内の金属粉の混入量を求める仕組みとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、上述のような導電性粒体検出装置として、導電性の複数の永久磁石を電極として用いるものが提案されている。この導電性粒体検出装置では、導電性の永久磁石が導電性粒体(例えば、金属粉)に対する吸引部と電極部の機能を兼ねている。この導電性粒体検出装置で用いられる各永久磁石は、配線を通して検出基板上の抵抗検出回路に接続されている。
【0007】
検出基板と導電性の永久磁石を接続する配線構造体は、一端側が検出基板に接続された配線の導通部の他端側に、対応する永久磁石がねじ止めや導電性のクランプ係止具を用いた接続手段によって接続される。
【0008】
永久磁石をねじ止めする場合には、永久磁石にねじ穴を形成する必要があるが、一般的に永久磁石に精度の高いねじ穴を形成することは難しい。
また、導電性のクランプ係止具を用いる場合には、クランプ係止具自体が大型部品であるため、配線構造体全体が大型化してしまう。
【0009】
本発明は、接続部の大型化を招くことなく、配線の導通部と導電性の永久磁石を容易に接続することができる配線構造体、導電性粒体検出装置、及び、減速機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る配線構造体は、導電性の永久磁石と、導通部を有する配線と、前記配線の前記導通部に接続されるとともに、前記永久磁石が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片と、を備えている。
【0011】
前記配線は、フレキシブルプリント配線板によって構成されることが望ましい。
【0012】
前記中継片と前記永久磁石とは、導電性の接着剤によって接続されるようにしても良い。
【0013】
本発明の一態様に係る導電性粒体検出装置は、相互に離間して配置された導電性の複数の永久磁石と、隣接する前記永久磁石の間の電気抵抗を基にして、隣接する前記永久磁石の間に吸引される導電性粒体を検出する検出基板と、前記検出基板と各前記永久磁石を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板と、各前記フレキシブルプリント配線板の前記永久磁石の側の導通部に接続されるとともに、前記永久磁石が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片と、を備えている。
【0014】
前記フレキシブルプリント配線板の前記導通部と前記中継片とは、半田によって接続されるようにしても良い。
【0015】
前記フレキシブルプリント配線板の前記導通部と前記中継片とは、導電性の接着剤によって接続されるようにしても良い。
【0016】
前記フレキシブルプリント配線板には、複数の前記永久磁石が配置される潤滑液充填空間と、前記検出基板の配置される検出空間との間を密閉する封止部材が一体に形成されるようにしても良い。
【0017】
本発明の一態様に係る減速機は、入力された回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部を内部に収容するケーシングと、前記ケーシング内の潤滑液に混入した導電性粒体を検出する導電性粒体検出装置と、を備え、前記導電性粒体検出装置は、前記ケーシングの内部で相互に離間して配置された導電性の複数の永久磁石と、隣接する前記永久磁石の間の電気抵抗を基にして、隣接する前記永久磁石の間に吸引される導電性粒体を検出する検出基板と、前記検出基板と各前記永久磁石を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板と、各前記フレキシブルプリント配線板の前記永久磁石の側の導通部に接続されるとともに、前記永久磁石が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片と、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
上述の配線構造体は、配線の導通部に接続される金属磁性体製の中継片を備え、中継片に永久磁石が磁力によって吸着固定される構成されている。このため、配線の導通部と導電性の永久磁石を接続するに際にして、永久磁石にねじ穴等を形成するための切削加工を施す必要がない。したがって、上述の配線構造体を採用した場合には、接続部の大型化を招くことなく、配線の導通部と導電性の永久磁石を容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】第1実施形態の配線構造体の製造工程の一部を示す斜視図。
【
図3】第2実施形態の導電性粒体検出装置を取り付けた減速機の部分断面側面図。
【
図4】第2実施形態の導電性粒体検出装置の部分断面斜視図。
【
図5】第2実施形態の導電性粒体検出装置の
図4のV部を拡大した部分断面斜視図。
【
図6】第2実施形態の導電性粒体検出装置の
図4のVI-VI線に沿う断面図。
【
図7】第2実施形態の導電性粒体検出装置で採用するフレキシブルプリント配線板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号を付して、重複する説明を一部省略するものとする。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の配線構造体1の斜視図である。
本実施形態の配線構造体1は、導電性の永久磁石3と、配線の一形態であるフレキシブルプリント配線板2と、フレキシブルプリント配線板2の一端側の導通部(不図示)に接続された金属磁性体製の中継片4と、を備えている。
【0022】
永久磁石3は、一定厚みの矩形板状に形成されている。フレキシブルプリント配線板2は帯状に形成され、図示しない導通部が長手方向の一端側から他端側に延びている。導通部は柔軟性を有する絶縁層2aによって覆われている。導通部の一端側と他端側は、端子部(図示せず)として絶縁層2aの外側に露出している。
【0023】
フレキシブルプリント配線板2の長手方向の一端側の端子部には中継片4が半田によって接続されている。これにより、中継片4はフレキシブルプリント配線板2の導通部に対して電気的にも接続されている。中継片4は、永久磁石3が磁着可能な金属の磁性体によって形成されている。中継片4は、フレキシブルプリント配線板2と略同幅の矩形板状に形成されている。中継片4の表裏の面は平坦面とされている。
なお、本実施形態では、中継片4がフレキシブルプリント配線板2の端子部(導通部)に半田によって接続されているが、中継片4はフレキシブルプリント配線板2の端子部(導通部)に対して導電性の接着剤によって接続するようにしても良い。この場合、導電性の接着剤によって中継片4とフレキシブルプリント配線板2の端子部とを電気的に接続することができるとともに、中継片4をフレキシブルプリント配線板2の端部の広い平面に安定して接着固定することができる。
【0024】
図2は、フレキシブルプリント配線板2の端子部(導通部)に中継片4を接続した後に、中継片4に永久磁石3を接続する工程を示した図である。
永久磁石3は、フレキシブルプリント配線板2に接続された中継片4に対し、磁力によって吸着固定されている。本実施形態では、永久磁石3と中継片4とはさらに導電性の接着剤によって接着固定されている。
【0025】
また、フレキシブルプリント配線板2の長手方向の他端側の端子部は、図示しない抵抗検出回路等を有する基板に対して接続可能とされている。本実施形態の場合、フレキシブルプリント配線板2の長手方向の中途部には、封止部材であるグロメット5が一体に形成されている。グロメット5は、配線構造体1を減速機等の機械装置に設置する際に、機械装置のケーシングの貫通孔とフレキシブルプリント配線板2の間を封止する。つまり、グロメット5は、永久磁石3が配置される潤滑液充填空間と、基板の配置される基板配置空間(検出空間)との間を密閉する。
【0026】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の配線構造体は1、導電性の永久磁石3と、導通部を有するフレキシブルプリント配線板2(配線)と、フレキシブルプリント配線板2の導通部に接続されるとともに、永久磁石3が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片4と、を備えている。このため、フレキシブルプリント配線板2(配線)の導通部と導電性の永久磁石3を接続するに際にしては、中継片4に永久磁石3を吸着固定すれば良く、永久磁石3にねじ穴等を形成するための切削加工を施す必要がない。したがって、本実施形態の配線構造体1を採用した場合には、接続部の大型化を招くことなく、フレキシブルプリント配線板2(配線)の導通部と導電性の永久磁石3を容易に接続することかできる。
【0027】
なお、永久磁石3と基板を電気的に接続する配線は、フレキシブルプリント配線板2以外にも、断面が円形形状や矩形形状の被覆導線等を採用することも可能である。
ただし、本実施形態の配線構造体1のように、永久磁石3と基板を電気的に接続する配線としてフレキシブルプリント配線板2を採用した場合には、狭い配置スペース内であっても配線を自由に引き回すことができ、かつ、配線形状も安定させることができる。また、フレキシブルプリント配線板2は平坦な面を有するため、中継片4をフレキシブルプリント配線板2の平坦な面に安定して支持させることができる。
【0028】
また、本実施形態の配線構造体1では、中継片4と永久磁石3が導電性の接着剤によっても接続されている。このため、永久磁石3の吸着力に加えて導電性の接着剤の接着力によっても、永久磁石3を中継片4に強固に固定することができる。また、実際に中継片4に永久磁石3を接続するに際しては、予め中継片4と永久磁石3の少なくとも一方に導電性の接着剤を塗布しておき、その状態で永久磁石3を中継片4に磁力によって吸着するだけで良いため、配線構造体1の製造が煩雑になることもない。
【0029】
また、本実施形態の配線構造体1では、中継片4に平坦面が形成され、その平坦面に永久磁石3が吸着固定されている。このため、本構成を採用した場合には、中継片4と永久磁石3の電気的な接続と機械的な固定を安定したものとすることができる。
【0030】
また、フレキシブルプリント配線板2(配線)の導通部に対し、中継片4を導電性の接着剤によって接続する場合には、中継片4とフレキシブルプリント配線板2(配線)の導通部が半田によって接続しにくい素材や構造であっても、中継片4をフレキシブルプリント配線板2(配線)の導通部に導通状態で安定して接続することができる。
【0031】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の減速機10の部分断面側面図である。
減速機10は、入力回転を所定の減速比に減速する減速機構部11と、減速機構部11を内部に収容するケーシング12と、を備えている。ケーシング12の内部には、減速機構部11やその他の機械接触部を潤滑するための潤滑液13が充填されている。また、ケーシング12の壁12aには、導電性粒体検出装置14が取り付けられている。導電性粒体検出装置14は、潤滑液13内に混入した金属粉等の導電性粒体を検出する。
【0032】
図4は、導電性粒体検出装置14の一部を長手方向に沿って縦断面にした斜視図である。また、
図5は、
図4のV部の拡大図であり、
図6は、
図4のVI-VI線に沿う断面図である。
導電性粒体検出装置14は、略筒状の装置ボディ16と、装置ボディ16の内部に固定される支持ブロック17と、支持ブロック17に支持されるフレキシブルプリント配線板102(配線)と、を備えている。導電性粒体検出装置14は、さらにフレキシブルプリント配線板102の長手方向の一端側に中継片4を介して接続される四つの永久磁石3と、フレキシブルプリント配線板102の長手方向の他端側に接続される検出基板18と、を備えている。永久磁石3と、フレキシブルプリント配線板102と、中継片と4は、本実施形態における配線構造体101を構成している。
【0033】
装置ボディ16は、減速機10のケーシング12(
図3参照)に、ケーシング12の壁12aを貫通して取り付けられる。装置ボディ16は、例えば、金属によって形成されている。装置ボディ16は、ケーシング12の壁12aを貫通するねじ孔に締め込み固定される円筒状の固定筒16aと、固定筒16aの端部(ケーシング12の外側に配置される側の端部)に一体に形成されたフランジ部16bと、を有している。
【0034】
固定筒16aの外周面には、減速機10側のねじ孔に締め込まれる雄ねじ19が形成されている。フランジ部16bの外側の端面(ケーシング12の外側に向く側の端面)には、有底筒状の装置カバー20が締結部材であるボルト21によって固定されている。装置カバー20とフランジ部16bの間は、封止部材である円板状のグロメット5によって密閉されている。グロメット5は、後述するようにフレキシブルプリント配線板102の絶縁層102aの一部と一体に形成されている。フレキシブルプリント配線板102は、グロメット5を厚み方向に貫通するようにグロメット5と一体化されている。
【0035】
グロメット5の外側の端面(ケーシング12の外側に向く側の端面)には、検出基板18が取り付けられている。検出基板18の外側は、装置カバー20によって覆われている。また、グロメット5は、外周縁部が装置カバー20とフランジ部16bとに挟み込まれて、両者に固定されている。グロメット5は、減速機10のケーシング12の内側の潤滑液充填空間22(
図3参照)と、検出基板18の配置される検出空間23(装置カバー20の内側の空間)との間を密閉する。
【0036】
支持ブロック17は、樹脂材料によって四角柱状に形成されている。支持ブロック17は、長手方向の一端側(以下、「基部側」と呼ぶ。)が装置ボディ16の内側に固定されている。支持ブロック17は、固定筒16aの軸方向に沿うように配置されている。支持ブロック17の長手方向の他端側(以下、「先端側」と呼ぶ。)は、装置ボディ16の固定筒16aよりも外側に突出している。
【0037】
支持ブロック17の先端側の外周面と端面は、有底筒状の検出部カバー24によって覆われている。検出部カバー24は、樹脂材料によって一体に形成されている。検出部カバー24は、四つの検出窓25を有する周壁24aと、周壁24aの軸方向の端部を閉塞する端部壁24bと、を備えている。周壁24aの四つの検出窓25は、周壁24aの外周上のほぼ90°離間した位置に等間隔に離間して配置されている。各検出窓25は、正面視が略矩形状に形成されている。また、各検出窓25の、周壁24aの円周方向に沿う両側の縁部には、径方向外側に向かって開口面積が漸増するようにテーパ面25aが設けられている。
【0038】
検出部カバー24は、端部壁24bが支持ブロック17の先端側の端面にリベット止めされている。なお、図中の符号26は、検出部カバー24を支持ブロック17に固定するためのリベットである。
【0039】
図7は、フレキシブルプリント配線板102の平面図である。
図7に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板102は、端子部(導通部50の一端側)が検出基板18に接続される基部102bと、一端側が基部102bから四つに分岐し、各他端側の端子部(導通部50の他端側)が対応する各中継片4に接続される分岐部102cと、を有している。フレキシブルプリント配線板102には、基部102bから各分岐部102cの先端部に向かって導通部50が形成されている。基部102bは、グロメット5を厚み方向に貫通している。基部102bから分岐した四つの分岐部102cは、支持ブロック17の外周上の四面に夫々沿わせて配置されている。支持ブロック17の外周の四面には、支持ブロック17の長手方向に沿うように支持溝27(
図6参照)が形成されている。各分岐部102cは、支持ブロック17の各面において支持溝27に支持されている。
【0040】
各分岐部102cの先端側の端子部には、金属磁性体製の略矩形状の中継片4が導電性の接着剤や半田付けによって接続されている。各中継片4は、支持ブロック17の先端側において、分岐部102cとともに各支持溝27に支持されている。
【0041】
各中継片4のうちの、支持ブロック17の外周側に向く平坦な面には、対応する永久磁石3が磁力によって吸着固定されている。本実施形態の場合も、各永久磁石3はさらに導電性の接着剤を併用して中継片4に固定するようにしても良い。
【0042】
支持ブロック17の先端側の各面に上述のようにして中継片4と永久磁石3が取り付けられると、その後に、支持ブロック17の先端側に検出部カバー24が取り付けられる。検出部カバー24は、四つの検出窓25の内側に(周壁24aの径方向についての内側に)対応する四つの永久磁石3が位置されるように位置合わせされる。検出部カバー24はこの状態において、支持ブロック17の端面にリベット止めされる。なお、このとき、検出部カバー24の周壁24aの端面(端部壁24bと逆側の端面)は、装置ボディ16の固定筒16aの端面に突き当てられる。
【0043】
上述ように組み立てられた導電性粒体検出装置14は、減速機10のケーシング12の壁12aのねじ孔に先端側(永久磁石3の側)が挿入され、その状態で装置ボディ16の固定筒16aがねじ孔に締め込まれて固定される。この状態で減速機10のケーシング12内に潤滑液13が充填されると、複数の永久磁石3と検出部カバー24は潤滑液13内に没することになる。
【0044】
検出基板18は抵抗検出回路を備えている。抵抗検出回路は、支持ブロック17の外周上で隣接する複数の永久磁石3の間の電気抵抗を検出する。支持ブロック17の外周上にある複数の永久磁石3は、
図6に示すように相互に離間している。このため、潤滑液13内に没した初期状態では、隣接する永久磁石3の間の抵抗値は無限大となる。この状態から減速機10の経時使用によって潤滑液13内に混入する導電性粒体(金属粉等)の量が増大すると、潤滑液13に混入している導電性粒体が導電性粒体検出装置14の複数の永久磁石3によって吸引される。こうして吸引された導電性粒体は、検出部カバー24の検出窓25を通して各永久磁石3の表面に吸着するとともに、永久磁石3の磁力によって検出部カバー24の外周面にも吸着する。
【0045】
潤滑液13内の導電性流体の混入量が増大すると、その混入量の増大とともに検出部カバー24の外周面の導電性粒体の吸着量も増大する。検出部カバー24の外周面の導電性粒体の吸着量がある量よりも増大すると、隣接する永久磁石3の間の抵抗値が規定値以下に低下し、そのことが検出基板18によって検出される。検出基板18をコントローラを介して表示装置や警告装置に接続しておけば、減速機10内の導電性粒体が規定量以上に増大したことを作業者等に知らせることができる。
【0046】
<第2実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の導電性粒体検出装置14は、相互に離間して配置された導電性の複数の永久磁石3と、検出基板18と、検出基板18と各永久磁石3を接続するフレキシブルプリント配線板2と、フレキシブルプリント配線板2の永久磁石3の側の導通部50に接続され、永久磁石3が磁力によって吸着固定される金属磁性体製の中継片4と、を備えている。本実施形態の導電性粒体検出装置14は、導電性の永久磁石3を磁力によって中継片4に吸着固定することができるため、フレキシブルプリント配線板2の導通部50と導電性の永久磁石3を接続するに際して、永久磁石3にねじ穴等を形成するための切削加工を施す必要がない。したがって、本実施形態の導電性粒体検出装置14を採用した場合には、接続部の大型化を招くことなく、フレキシブルプリント配線板2の導通部50と導電性の永久磁石3を容易に接続することができる。
【0047】
本実施形態の導電性粒体検出装置14は、フレキシブルプリント配線板102の導通部50と中継片4とを半田によって接続した場合には、金属磁性体製の中継片4をフレキシブルプリント配線板102の導通部50に強固に固定することができる。
【0048】
また、本実施形態の導電性粒体検出装置14は、フレキシブルプリント配線板102の導通部50と中継片4とを導電性の接着剤によって接続した場合には、中継片4とフレキシブルプリント配線の導通部50が半田によって固定しにくい素材や構造であっても、中継片4をフレキシブルプリント配線板102の導通部50に導通状態で安定して固定することができる。
【0049】
さらに、本実施形態の導電性粒体検出装置14では、永久磁石3と検出基板18を電気的に接続する配線としてフレキシブルプリント配線板102を採用している。このため、導電性粒体検出装置14内の狭い配置スペース内であっても配線を自由に引き回すことができるうえ、配線形状も安定させることができる。
【0050】
また、本実施形態の導電性粒体検出装置14は、減速機10内において潤滑液13が充填される潤滑液充填空間22と、検出基板18の配置される検出空間23の間を密閉するグロメット5(封止部材)がフレキシブルプリント配線板102に一体に形成されている。このため、製造や組付けの容易な簡単な構造でありながら、検出空間23への潤滑液13の流入を確実に防止することができる。
【0051】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,101…配線構造体、2,102…フレキシブルプリント配線板(配線)、3…永久磁石、4…中継片、5…グロメット、10…減速機、11…減速機構部、12…ケーシング、13…潤滑液、14…導電性粒体検出装置、18…検出基板、22…潤滑液充填空間、23…検出空間、50…導通部。