(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139870
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】レーダー探知機
(51)【国際特許分類】
G01S 7/38 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G01S7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040434
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 睦己
(72)【発明者】
【氏名】飯田 浩康
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AA02
5J070AC20
5J070AE20
5J070AH25
5J070AH26
5J070AH31
5J070AH40
5J070AK22
5J070AK29
5J070BG01
5J070BH12
(57)【要約】
【課題】他の装置が発射する電波を、車両速度測定装置からの電波であると誤判定することを抑制するレーダー探知機を提供する。
【解決手段】本開示の一局面に係るレーダー探知機は、受信部と、第1信号混合部と、第2信号混合部と、第1検波部と、検出周波数特定部と、第2検波部と、変調波判定部と、を備える。第2検波部は、第1検波信号の振幅に応じて変化する第2検波信号を第1検波信号から検波し、第2検波信号を出力する。変調波判定部は、第1信号レベルと第2信号レベルとに基づいて、受信電波に含まれる目標電波が変調波であるか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標電波を含む受信電波を受信して受信信号として出力するように構成された受信部と、
前記受信信号に対して第1周波数の信号を混合した第1混合信号を出力するように構成された第1信号混合部であって、前記第1周波数は前記目標電波の周波数に応じて定められている、第1信号混合部と、
前記第1混合信号に対して第2周波数の信号を混合した第2混合信号を出力するとともに、前記第2周波数を変更できるように構成された第2信号混合部と、
前記第2混合信号から予め定められた中間周波数を含む所定の周波数帯の信号を検波し、検波で得られた第1検波信号を出力するように構成された第1検波部と、
前記第2信号混合部を制御して前記第2周波数を変更するとともに、前記第1検波信号が前記中間周波数の信号となるときの前記第2周波数に対応する検出周波数を特定するように構成された検出周波数特定部と、
前記第1検波信号の振幅に応じて変化する第2検波信号を前記第1検波信号から検波し、前記第2検波信号を出力するように構成された第2検波部と、
前記第2周波数が前記検出周波数ではないときの前記第2検波信号の振幅に対応する第1信号レベルと、前記第2周波数が前記検出周波数であるときの前記第2検波信号の振幅に対応する第2信号レベルと、に基づいて、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かを判定するように構成された変調波判定部と、
を備えるレーダー探知機。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダー探知機であって、
前記変調波判定部は、前記第2信号レベルから前記第1信号レベルを差し引いたレベル差分値と、予め定められた判定閾値と、に基づいて、前記レベル差分値が前記判定閾値より大きいことに応じて、前記目標電波が変調波であると判定し、前記レベル差分値が前記判定閾値以下であることに応じて、前記目標電波が変調波ではないと判定するように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレーダー探知機であって、
前記検出周波数特定部は、予め定められた開始周波数から予め定められた終了周波数まで前記第2周波数を変動させつつ、前記第1検波信号が前記中間周波数の信号であるか否かを判定し、前記第1検波信号が前記中間周波数の信号となるときの前記第2周波数を前記検出周波数として特定するように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項4】
請求項3に記載のレーダー探知機であって、
前記変調波判定部は、第1期間および第2期間のいずれかで前記第1信号レベルを取得するように構成されており、前記第1期間は、前記第2周波数が前記開始周波数である時点から前記検出周波数に到達する時点までの期間に対応し、前記第2期間は、前記第2周波数が前記検出周波数から逸脱した時点から前記終了周波数に到達する時点までの期間に対応する、
レーダー探知機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のレーダー探知機であって、
前記変調波判定部は、前記第2周波数が一定の周波数に維持された状態で、前記第1信号レベルおよび前記第2信号レベルのうち少なくとも一方を取得するように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項6】
請求項5に記載のレーダー探知機であって、
前記変調波判定部は、前記第2周波数が前記検出周波数に維持された状態で、前記第2信号レベルを取得するように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のレーダー探知機であって、
前記変調波判定部は、前記第2周波数が前記検出周波数ではない非検出周波数に維持された状態で、前記第1信号レベルを取得するように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載のレーダー探知機であって、
前記第2検波部は、前記第1検波信号を包絡線検波して前記第2検波信号を得るように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項9】
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載のレーダー探知機であって、
前記第2検波部は、前記第1検波信号を平均値検波して前記第2検波信号を得るように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載のレーダー探知機であって、
前記第1信号混合部は、前記第1周波数を変更できるように構成されている、
レーダー探知機。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のレーダー探知機であって、
前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であると前記変調波判定部が判定することに応じて、前記変調波を含む前記受信電波を受信したことを報知するように構成された報知部を備える、
レーダー探知機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダー探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両速度測定装置から発射されるマイクロ波の電波を検出するように構成されたレーダー探知機が知られている。
車両速度測定装置が発射する電波には、周波数帯域が異なる複数種類の電波が存在する。このような複数種類の電波(例えば、Xバンド電波、Kバンド電波など)をそれぞれ検出するためのレーダー探知機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のレーダー探知機は、車両速度測定装置とは異なる他の装置から発射される電波であって、車両速度測定装置が発射する電波と同一周波数帯域の電波を受信した場合には、誤って、車両速度測定装置からの電波を検出したと判定する可能性がある。
【0005】
例えば、自動販売機の人感センサは、Kバンド電波と同じ周波数帯域の電波を利用している。このため、レーダー探知機は、自動販売機の人感センサが発射する電波を検出した場合に、車両速度測定装置からのKバンド電波を検出したと誤判定する可能性がある。
【0006】
そこで、目標電波である車両速度測定装置からの電波を検出するにあたり、他の装置が発射する電波を、車両速度測定装置からの電波であると誤判定することを抑制するレーダー探知機を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に係るレーダー探知機は、受信部と、第1信号混合部と、第2信号混合部と、第1検波部と、検出周波数特定部と、第2検波部と、変調波判定部と、を備える。
受信部は、目標電波を含む受信電波を受信して受信信号として出力するように構成されている。第1信号混合部は、前記受信信号に対して第1周波数の信号を混合した第1混合信号を出力するように構成されている。前記第1周波数は、前記目標電波の周波数に応じて定められている。第2信号混合部は、前記第1混合信号に対して第2周波数の信号を混合した第2混合信号を出力するように構成されている。第2信号混合部は、前記第2周波数を変更できるように構成されている。
【0008】
第1検波部は、前記第2混合信号から予め定められた中間周波数を含む所定の周波数帯の信号を検波するように構成されている。第1検波部は、検波で得られた第1検波信号を出力するように構成されている。検出周波数特定部は、前記第2信号混合部を制御して前記第2周波数を変更するとともに、前記第1検波信号が前記中間周波数の信号となるときの前記第2周波数に対応する検出周波数を特定するように構成されている。第2検波部は、前記第1検波信号の振幅に応じて変化する第2検波信号を前記第1検波信号から検波し、前記第2検波信号を出力するように構成されている。
【0009】
変調波判定部は、第1信号レベルと第2信号レベルとに基づいて、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かを判定するように構成されている。第1信号レベルは、前記第2周波数が前記検出周波数ではないときの前記第2検波信号の振幅に対応する。第2信号レベルは、前記第2周波数が前記検出周波数であるときの前記第2検波信号の振幅に対応する。
【0010】
このレーダー探知機は、第2検波部を備えることで、前記第1検波信号から前記第2検波信号を抽出できる。前記第2信号レベルは、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波である場合と無変調波である場合とで、異なる値を示す。このため、第2信号レベルを用いることで、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか無変調波であるかを判定できる。
【0011】
また、前記第1信号レベルは、いわゆるホワイトノイズなどの影響を受けるが、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか無変調波であるかによる影響は小さい。そのため、前記第2信号レベルのみではなく、前記第1信号レベルと前記第2信号レベルとに基づいて判定することで、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かを判定するにあたり、ホワイトノイズなどの影響を抑制できる。
【0012】
よって、このレーダー探知機は、受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かを判定できるため、前記目標電波と同じ周波数の無変調波が前記受信電波に含まれる場合に、誤って、前記目標電波を受信したと判定することを抑制できる。
【0013】
次に、前記変調波判定部は、レベル差分値と、判定閾値と、に基づいて、前記レベル差分値が前記判定閾値より大きいことに応じて、前記目標電波が変調波であると判定するように構成されてもよい。前記変調波判定部は、レベル差分値と、判定閾値と、に基づいて、前記レベル差分値が前記判定閾値以下であることに応じて、前記目標電波が変調波ではないと判定するように構成されてもよい。
【0014】
前記レベル差分値は、前記第1信号レベルおよび前記第2信号レベルのそれぞれに応じて値が定められる。前記レベル差分値は、ホワイトノイズなどの影響を抑制しつつ、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かによって変動する特性を有する。
【0015】
このため、レーダー探知機は、前記レベル差分値と前記判定閾値との比較結果を用いることで、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かを判定するにあたり、ホワイトノイズなどの影響を抑制できるため、判定精度を向上できる。
【0016】
次に、前記検出周波数特定部は、予め定められた開始周波数から予め定められた終了周波数まで前記第2周波数を変動させつつ、前記第1検波信号が前記中間周波数の信号であるか否かを判定し、前記第1検波信号が前記中間周波数の信号となるときの前記第2周波数を前記検出周波数として特定するように構成されてもよい。
【0017】
なお、前記検出周波数特定部は、前記変動範囲における開始周波数から終了周波数にかけて前記第2周波数を上昇させるように変動させてもよい。あるいは、前記検出周波数特定部は、前記変動範囲における開始周波数から終了周波数にかけて前記第2周波数を下降させるように変動させてもよい。
【0018】
前記変調波判定部は、第1期間および第2期間のいずれかで前記第1信号レベルを取得するように構成されてもよい。前記第1期間は、前記第2周波数が前記開始周波数である時点から前記検出周波数に到達する時点までの期間に対応してもよい。前記第2期間は、前記第2周波数が前記検出周波数から逸脱した時点から前記終了周波数に到達する時点までの期間に対応してもよい。
【0019】
前記第1期間および前記第2期間においては、前記第2周波数が前記検出周波数ではないことは明らかであり、前記第1期間または前記第2期間における前記第2検波信号のレベルは、前記第1信号レベルとして利用できる。
【0020】
前記第1期間で前記第1信号レベルを取得する場合には、前記第2信号レベルの取得時点で前記第1信号レベルが取得済みとなる。この場合、レーダー探知機は、前記第2信号レベルの取得後、速やかに、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かを判定できる。
【0021】
前記第2期間で前記第1信号レベルを取得する場合には、前記第2信号レベルの取得後に、前記第1信号レベルを取得してもよい。前記第1期間よりも前記第2期間の方がノイズなどの影響を抑制して前記第1信号レベルを取得できる環境下では、前記第2期間で前記第1信号レベルを取得してもよい。このようなレーダー探知機は、前記第1信号レベルの検出精度を向上でき、ひいては、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であるか否かの判定精度を向上できる。
【0022】
前記変調波判定部は、前記第2周波数が一定の周波数に維持された状態で、前記第1信号レベルおよび前記第2信号レベルのうち少なくとも一方を取得するように構成されてもよい。これにより、前記第1信号レベルおよび前記第2信号レベルのうち少なくとも一方を取得するにあたり、前記第2周波数が変動する状態で取得する場合に比べて、前記第1信号レベルおよび前記第2信号レベルのうち少なくとも一方を精度良く取得できる。
【0023】
前記変調波判定部は、前記第2周波数が前記検出周波数に維持された状態で、前記第2信号レベルを取得するように構成されてもよい。これにより、前記第2周波数が前記検出周波数となる期間が短期間である場合に比べて、前記第2信号レベルを精度良く取得できる。
【0024】
前記変調波判定部は、前記第2周波数が前記検出周波数ではない非検出周波数に維持された状態で、前記第1信号レベルを取得するように構成されてもよい。これにより、前記第2周波数が変動する状態で前記第1信号レベルを取得する場合に比べて、前記第1信号レベルを精度良く取得できる。
【0025】
前記第2検波部は、前記第1検波信号を包絡線検波して前記第2検波信号を得るように構成されてもよい。包絡線検波を用いることにより、前記第1検波信号の振幅に応じて変化する前記第2検波信号を前記第1検波信号から検波できる。
【0026】
前記第2検波部は、前記第1検波信号を平均値検波して前記第2検波信号を得るように構成されてもよい。平均値検波を用いることにより、前記第1検波信号の振幅に応じて変化する前記第2検波信号を前記第1検波信号から検波できる。
【0027】
前記第1信号混合部は、前記第1周波数を変更できるように構成されてもよい。このレーダー探知機は、前記第1信号混合部が前記第1周波数を変更できることで、周波数が異なる複数種類の前記目標電波のそれぞれにおいて、変調波であるか否かを判定できる。つまり、このレーダー探知機は、複数種類の目標電波について、目標電波の無変調波が前記受信電波に含まれる場合に、誤って、目標電波の変調波を受信したと判定することを抑制できる。
【0028】
レーダー探知機は、報知部を備えてもよい。前記報知部は、前記受信電波に含まれる前記目標電波が変調波であると前記変調波判定部が判定することに応じて、前記変調波を含む前記受信電波を受信したことを報知するように構成されてもよい。このレーダー探知機は、前記変調波を含む前記受信電波を受信したことを、レーダー探知機の利用者に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】レーダー探知機のハードウェア構成を表すブロック図である。
【
図2】Kバンド取締機検出処理の内容を表すフローチャートである。
【
図3】包絡線検波を行うレーダー探知機において、Kバンド取締機が発射するKバンド電波を受信した場合における各信号の波形を表す説明図である。
【
図4】包絡線検波を行うレーダー探知機において、他の機器が発射するKバンド電波を受信した場合における各信号の波形を表す説明図である。
【
図5】平均値検波を行うレーダー探知機において、Kバンド取締機が発射するKバンド電波を受信した場合における各信号の波形を表す説明図である。
【
図6】平均値検波を行うレーダー探知機において、他の機器が発射するKバンド電波を受信した場合における各信号の波形を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0031】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に示す本実施形態のレーダー探知機1は、自動車などの車両の車室内に搭載される。レーダー探知機1は、車両速度測定装置から発射されるマイクロ波の電波を検出するように構成されている。車両速度測定装置から発射されるマイクロ波の電波は、レーダー探知機1の目標電波に対応する。
【0032】
車両速度測定装置は、車両に対して電波を発射し、車両で反射した電波を受信して、車両の走行速度を測定するように構成されている。車両速度測定装置は、道路上や道路脇などに固定設置される形態であってもよく、あるいは、可搬式の形態であってもよい。
【0033】
車両速度測定装置は、例えば、Xバンド電波を発射する車両速度測定装置(以下、Xバンド取締機ともいう)、Kバンド電波を発射する車両速度測定装置(以下、Kバンド取締機ともいう)など、を含む。Xバンド電波は、Xバンド周波数(10.525[GHz])の電波である。Kバンド電波は、Kバンド周波数(24.100[GHz])の電波である。Kバンド取締機から発射されるKバンド電波は、所定の手順に基づいて変調された電波である。なお、Kバンド取締機で行われる変調の種類としては、周波数変調などが挙げられる。
【0034】
レーダー探知機1は、外部から受信した電波に目標電波(例えば、Xバンド電波またはKバンド電波)が含まれるか否かの判定結果に基づいて、車両速度測定装置(Xバンド取締機またはKバンド取締機)を検出するように構成されている。また、レーダー探知機1は、外部から受信した電波に含まれるKバンド電波が、変調波のKバンド電波であるか無変調波のKバンド電波であるのかを判定するように構成されている。
【0035】
レーダー探知機1は、受信部11と、第1発振器13と、第1混合器15と、増幅器17と、第2発振器18と、第2混合器19と、第1検波部21と、掃引制御部23と、バンドパスフィルタ27と、第2検波部29と、主制御部31と、報知部33と、を備える。
【0036】
受信部11は、マイクロ波を含む受信電波を受信して受信信号Sreとして出力するように構成されている。受信部11は、アンテナを備えて構成されてもよい。
第1発振器13は、第1周波数信号Sf1を出力するように構成されている。第1周波数信号Sf1は、周波数が第1周波数Fr1の信号である。
【0037】
第1発振器13は、Xバンド発振器13aと、Kバンド発振器13bと、を備える。Xバンド発振器13aは、X周波数Fx(=11.525[GHz])のXバンド信号Sxを出力するように構成されている。Kバンド発振器13bは、K周波数Fk(=25.100[GHz])のKバンド信号Skを出力するように構成されている。第1発振器13は、第1周波数信号Sf1として、Xバンド信号SxまたはKバンド信号Skを出力する。
【0038】
なお、X周波数Fxは、Xバンド電波のXバンド周波数と、予め定められた中間周波数Fmとに基づいて定められている。K周波数Fkは、Kバンド電波のKバンド周波数と中間周波数Fmとに基づいて定められている。中間周波数Fmは、例えば、1000[MHz]に設定されている。なお、X周波数Fxは、9.525[GHz]であってもよい。この場合、K周波数Fkは、23.100[GHz]であってもよい。
【0039】
第1発振器13は、主制御部31から受信した周波数指定信号Sfsに応じて、Xバンド信号SxまたはKバンド信号Skを第1周波数信号Sf1として出力するように構成されている。換言すれば、第1発振器13は、周波数指定信号Sfsに応じて、第1周波数信号Sf1の第1周波数Fr1を変更できるように構成されている。
【0040】
第1混合器15は、受信信号Sreと第1周波数信号Sf1とを混合し、混合により得られた第1混合信号Sm1を出力するように構成されている。第1混合器15は、第1周波数信号Sf1の第1周波数Fr1に基づいて、受信信号Sreを周波数変換して、周波数変換後の第1混合信号Sm1を出力する。第1混合信号Sm1は、第1周波数Fr1に基づいて受信信号Sreが周波数変換された信号に相当する。
【0041】
増幅器17は、第1混合信号Sm1を増幅するように構成されている。
第2発振器18は、第2周波数信号Sf2を出力するように構成されている。第2発振器18は、第2周波数信号Sf2の周波数(以下、第2周波数Fr2ともいう)を変更できるように構成されている。第2発振器18は、掃引制御部23から受信した周波数制御信号Sfcに応じて、第2周波数Fr2を設定し、第2周波数信号Sf2を出力する。
【0042】
第2混合器19は、増幅された第1混合信号Sm1と第2周波数信号Sf2とを混合し、混合により得られた第2混合信号Sm2を出力するように構成されている。第2混合器19は、第2周波数信号Sf2の第2周波数Fr2に基づいて、第1混合信号Sm1を周波数変換して、周波数変換後の第2混合信号Sm2を出力する。第2混合信号Sm2は、第2周波数Fr2に基づいて第1混合信号Sm1が周波数変換された信号に相当する。
【0043】
第1検波部21は、第2混合信号Sm2から所定の周波数帯の信号を検波するように構成されている。第1検波部21は、第2混合信号Sm2から検波で得られた第1検波信号Sd1を出力するように構成されている。ここでの「所定の周波数帯」は、中間周波数Fmを含む周波数帯である。第1検波部21における所定の周波数帯は固定(不変)であるが、第1周波数信号Sf1の第1周波数Fr1が変更されることで、第1検波信号Sd1として検波される電波の周波数を変更することができる。例えば、第1周波数Fr1を変更することで、第1検波信号Sd1をXバンド電波に応じた信号に設定したり、あるいは、第1検波信号Sd1をKバンド電波に応じた信号に設定したりできる。
【0044】
掃引制御部23は、主制御部31から開始信号Sstを受信することに応じて、第2周波数Fr2の掃引処理を開始するように構成されている。
掃引制御部23は、第2発振器18を制御して、第2周波数Fr2の掃引処理を実行するように構成されている。掃引処理は、第2周波数Fr2を変更する処理である。本実施形態の掃引処理は、第2周波数Fr2を開始周波数Fr2aから終了周波数Fr2bまで変更するように定められている。掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理を実行するとともに、第1検波信号Sd1に中間周波数Fmの信号が含まれているか否かを判定する。換言すれば、掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理を実行するとともに、第1検波信号Sd1に、Xバンド電波に応じた信号またはKバンド電波に応じた信号が含まれているか否かを判定する。
【0045】
なお、開始周波数Fr2aおよび終了周波数Fr2bは、開始周波数Fr2aと終了周波数Fr2bとの間に、中間周波数Fmを含むように、具体的数値が設定されている。開始周波数Fr2aおよび終了周波数Fr2bは、用途や環境などの条件に応じて、任意の適切な値を設定してもよい。例えば、開始周波数Fr2aは、中間周波数Fmから予め定められた調整値Fvを差し引いた周波数を設定してもよい。この場合、終了周波数Fr2bは、中間周波数Fmに調整値Fvを加算した周波数を設定してもよい。例えば、調整値Fvは、数10[MHz]であってもよい。
【0046】
掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理を実行中に、第1検波信号Sd1に中間周波数Fmの信号が含まれている(換言すれば、第1検波信号Sd1に、Xバンド電波に応じた信号またはKバンド電波に応じた信号が含まれている)と判定すると、第2発振器18を制御して、第2周波数Fr2の掃引処理を一時的に停止する。掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理を停止した後、経過時間の計測を開始し、予め定められた停止時間Tstが経過すると、第2周波数Fr2の掃引処理を再開する。
【0047】
掃引制御部23は、インプット信号Sb1と、終了信号Sb2と、を出力するように構成されている。掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理を一時中止し、停止時間Tstが経過すると、インプット信号Sb1を出力する。インプット信号Sb1は、第2周波数Fr2の掃引処理の再開したことを表す信号である。掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理において、第2周波数Fr2が終了周波数Fr2bに到達すると、終了信号Sb2を出力する。終了信号Sb2は、第2周波数Fr2の掃引処理が終了したことを表す信号である。
【0048】
つまり、掃引制御部23は、開始信号Sstを受信して、第2周波数Fr2の掃引処理を開始した後、第2周波数Fr2を変動させつつ、第1検波信号Sd1に中間周波数Fmの信号が含まれている(換言すれば、第1検波信号Sd1に、Xバンド電波に応じた信号またはKバンド電波に応じた信号が含まれている)ときの第2周波数Fr2に対応する検出周波数Fdeを特定するように構成されている。掃引制御部23は、第1検波信号Sd1に、Xバンド電波に応じた信号またはKバンド電波に応じた信号が含まれていることに応じて、停止時間Tstにわたり第2周波数Fr2を一定値(ここでは、検出周波数Fde)に維持することで、第2周波数Fr2の掃引処理を一時的に停止する。その後、掃引制御部23は、停止時間Tstが経過すると第2周波数Fr2の掃引処理を再開する。
【0049】
例えば、第1発振器13がK周波数Fkの信号を出力するように設定されている場合には、掃引制御部23は、第1検波信号Sd1が中間周波数Fmの信号(換言すれば、Kバンド電波に応じた信号)になると、停止時間Tstにわたり第2周波数Fr2を一定値に維持し、その後、第2周波数Fr2の掃引処理を再開する。
【0050】
バンドパスフィルタ27は、第1検波信号Sd1から予め定められた対象周波数帯域の周波数成分を抽出し、抽出した信号(以下、抽出信号Sbpともいう)を出力するように構成されている。なお、
図1では、バンドパスフィルタ27をBPF27と記載する。なお、ここでの「予め定められた対象周波数帯域」は、中間周波数Fmを含む任意の周波数帯域である。
【0051】
第2検波部29は、抽出信号Sbpを包絡線検波して、検波により得られた第2検波信号Sd2を出力するように構成されている。第2検波部29は、例えば、ダイオード検波を行うダイオード検波回路を備えてもよい。第2検波部29は、ダイオード検波を行うことで、抽出信号Sbpを包絡線検波してもよい。
【0052】
バンドパスフィルタ27および第2検波部29は、第1検波信号Sd1の振幅に応じて変化する第2検波信号Sd2を第1検波信号Sd1から検波し、第2検波信号Sd2を出力するように構成されている。
【0053】
主制御部31は、レーダー探知機1に備えられる各部を制御するように構成されている。主制御部31は、演算部31a(以下、CPU31aともいう)、記憶部31b(以下、MEM31bともいう)を備える。MEM31bは、ROM、RAM、NVRAMなど(図示省略)を備える。CPU31aは、ROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を実行するように構成される。RAMは、CPU31aによる処理実行時に、作業領域として使用される。NVRAMは、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであり、CPU31aによる処理実行時に参照される各種データを記憶する。主制御部31が実行する処理は、CPU31aがROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を実行することにより実現される。
【0054】
主制御部31は、図示しないA/D変換部を備えている。A/D変換部は、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されている。主制御部31は、第2検波部29からアナログ信号としての第2検波信号Sd2を受信し、A/D変換部を用いてA/D変換するように構成されている。主制御部31は、デジタル信号としての第2検波信号Sd2を用いて、各種制御処理を実行する。
【0055】
主制御部31は、各種制御処理の1つとして、少なくとも、後述するKバンド取締機検出処理における一部の処理を実行するように構成されている。Kバンド取締機検出処理は、第2検波信号Sd2を用いて、受信部11で受信した受信電波にKバンド電波が含まれるか否かを判定するとともに、Kバンド電波が変調波のKバンド電波であるか無変調波のKバンド電波であるのかを判定する処理である。
【0056】
主制御部31は、掃引制御部23に対して開始信号Sstを出力するように構成されている。開始信号Sstは、第2周波数Fr2の掃引処理を開始する時期を通知するための指令信号である。
【0057】
報知部33は、主制御部31からの報知指令に応じて、車両速度測定装置を検出したことを報知するように構成されている。報知部33は、スピーカなどの音声出力部を備えて、警告音声の音声出力による報知動作を実行してもよい。報知部33は、警告灯を備えて、警告灯の点灯あるいは点滅による報知動作を実行してもよい。報知部33は、画像表示部を備えて、警告画像の画像表示による報知動作を実行してもよい。
【0058】
[1-2.取締機検出処理]
レーダー探知機1が実行する取締機検出処理について説明する。取締機検出処理は、Xバンド電波またはKバンド電波を用いて車両速度を取り締まる取締機(換言すれば、車両速度測定装置)を検出するための処理である。
【0059】
取締機検出処理は、主制御部31を主体として、レーダー探知機1の各部(掃引制御部23など)により実行される。主制御部31は、レーダー探知機1が車両のアクセサリ電源(図示省略)から電力を受け取ることで、起動するように構成されている。主制御部31は、起動することに応じて、各種制御処理を実行する。主制御部31は、少なくとも、取締機検出処理を実行するように構成されている。
【0060】
取締機検出処理は、Xバンド取締機検出処理と、Kバンド取締機検出処理と、を含む。Xバンド取締機検出処理は、Xバンド電波を用いて車両速度を取り締まるXバンド取締機を検出する処理である。Kバンド取締機検出処理は、Kバンド電波を用いて車両速度を取り締まるKバンド取締機を検出する処理である。
【0061】
レーダー探知機1は、取締機検出処理を実行することで、Xバンド取締機検出処理と、Kバンド取締機検出処理と、を2回ずつ交互に実行するように構成されている。詳細には、レーダー探知機1は、Xバンド取締機検出処理を2回実行した後に、Kバンド取締機検出処理を2回実行し、その後、再び、Xバンド取締機検出処理を2回実行した後、Kバンド取締機検出処理を2回実行する、という処理を繰り返す。
【0062】
ここで、
図2を用いて、Kバンド取締機検出処理について説明する。
レーダー探知機1は、Kバンド取締機検出処理を開始すると、まずS110(Sはステップを表す)では、Kバンド発振器13bをオン状態に設定する。具体的には、主制御部31が、第1発振器13に対して、K周波数Fkを設定するための周波数指定信号Sfsを出力する。第1発振器13は、主制御部31から受信した周波数指定信号Sfsに応じて、Kバンド信号Skを第1周波数信号Sf1として出力する。
【0063】
レーダー探知機1は、S120では、第2周波数Fr2の掃引処理を開始する。具体的には、主制御部31が、掃引制御部23に対して、開始信号Sstを出力する。掃引制御部23は、開始信号Sstを受信することに応じて、第2周波数Fr2の掃引処理を開始する。掃引制御部23は、開始周波数Fr2aを基点として終了周波数Fr2bに向けて第2周波数Fr2を変更する処理を開始する。
【0064】
レーダー探知機1は、S130では、第2検波信号Sd2の値を検出し、検出した値を第1信号レベルY1として記録する。具体的には、主制御部31が、第2検波信号Sd2のデジタル値を検出し、検出値を第1信号レベルY1としてMEM31bに記録する。第1信号レベルY1は、第2周波数Fr2が検出周波数Fdeではないときの第2検波信号Sd2の振幅に対応する。
【0065】
レーダー探知機1は、S140では、第2周波数Fr2の掃引処理が終了したか否かを判定し、肯定判定すると本処理を終了し、否定判定するとS150に移行する。ここでは、第2周波数Fr2が終了周波数Fr2bに到達したか否かを、掃引制御部23が判定している。第2周波数Fr2が終了周波数Fr2bに到達することに応じて、掃引制御部23が、第2周波数Fr2の掃引処理が終了したと判定する。掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理が終了したと判定すると、終了信号Sb2を主制御部31に対して出力する。
【0066】
レーダー探知機1は、S150では、第1検波信号Sd1にKバンド信号Skが含まれるか否かを判定し、肯定判定するとS160に移行し、否定判定するとS140に移行する。ここでは、掃引制御部23が、第1検波信号Sd1に中間周波数Fmの信号が含まれている(換言すれば、第1検波信号Sd1に、Kバンド電波に応じた信号が含まれている)か否かを判定する。
【0067】
レーダー探知機1は、S160では、第2周波数Fr2の掃引処理を一時的に停止する。ここでは、掃引制御部23が、第2発振器18を制御して、第2周波数Fr2を一定の周波数に維持することで、第2周波数Fr2の掃引処理を一時的に停止する。このときの第2周波数Fr2が、検出周波数Fdeに相当する。掃引制御部23は、第2周波数Fr2の掃引処理を停止した後、経過時間の計測を開始する。
【0068】
レーダー探知機1は、S170では、第2周波数Fr2の掃引処理を停止した後、停止時間Tstが経過したか否かを判定し、肯定判定するとS180に移行し、否定判定するとS140に移行する。ここでは、掃引制御部23が、第2周波数Fr2の掃引処理を停止した時点から停止時間Tstが経過したか否かを判定する。
【0069】
レーダー探知機1は、S180では、第2検波信号Sd2の値を検出し、検出した値を第2信号レベルY2として記録した後で、第2周波数Fr2の掃引処理を再開する。具体的には、まず、掃引制御部23が、主制御部31に対してインプット信号Sb1を出力する。主制御部31は、インプット信号Sb1を受信したことに応じて、第2検波信号Sd2のデジタル値を検出し、検出値を第2信号レベルY2としてMEM31bに記録する。第2信号レベルY2は、第2周波数Fr2が検出周波数Fdeであるときの第2検波信号Sd2の振幅に対応する。また、掃引制御部23は、インプット信号Sb1を出力した後に、第2周波数Fr2の掃引処理を再開する。
【0070】
レーダー探知機1は、S190では、第2信号レベルY2から第1信号レベルY1を差し引いたレベル差分値Dr(=Y2-Y1)と、予め定められた判定閾値αとを比較して、レベル差分値Drが判定閾値αより大きいか否かを判定し、肯定判定するとS200に移行し、否定判定するとS210に移行する。
【0071】
ここでは、主制御部31が、レベル差分値Drが判定閾値αより大きいか否かを判定する。判定閾値αは、MEM31bに予め記録されている。主制御部31は、MEM31bから第2信号レベルY2、第1信号レベルY1、および判定閾値αを読み出して、レベル差分値Drと判定閾値αとの比較処理を実行する。主制御部31は、レベル差分値Drが判定閾値αより大きい場合には肯定判定し(Y2-Y1>α)、レベル差分値Drが判定閾値α以下である場合には否定判定する(Y2-Y1≦α)。
【0072】
レーダー探知機1は、S200では、Kバンド取締機を検出したと判定する。具体的には、主制御部31が、レーダー探知機1の周囲に存在するKバンド取締機を検出したと判定する。
【0073】
レーダー探知機1は、S200に続くS220では、Kバンド取締機を検出したことを報知するための報知処理を実行する。具体的には、主制御部31が、報知部33を制御することで、報知部33が報知動作を実行する。レーダー探知機1は、報知部33による報知動作により、レーダー探知機1の利用者に対して、Kバンド取締機を検出したことを報知する。
【0074】
レーダー探知機1は、S210では、車両速度測定装置ではない他の機器を検出したと判定する。具体的には、主制御部31が、Kバンド取締機ではない他の機器であって、無変調のKバンド電波を発射する機器を検出したと判定する。他の機器は、例えば、人感センサを備える自動販売機などが挙げられる。人感センサは、無変調のKバンド電波を発射するように構成されている。
【0075】
レーダー探知機1は、S210またはS220を完了すると、再びS140に移行する。このあと、レーダー探知機1は、S140で肯定判定するまで、S140からS220までの処理を繰り返し実行する。レーダー探知機1は、S140で肯定判定すると、本処理を終了する。
【0076】
このように、レーダー探知機1は、Kバンド取締機検出処理を実行して、変調されたKバンド電波を検出することで、Kバンド取締機を検出することができる。レーダー探知機1は、変調されたKバンド電波と、無変調のKバンド電波とを識別できるため、Kバンド取締機ではない他の機器から発射された無変調のKバンド電波を、Kバンド取締機からのKバンド電波であると誤判定することを抑制できる。
【0077】
なお、第2周波数Fr2が開始周波数Fr2aから終了周波数Fr2bに到達するまでの一連の掃引処理において、複数回にわたりS150で肯定判定して、第2周波数Fr2の掃引処理の一時的停止が複数回にわたり実行されることがある。これは、ノイズなどの影響により、誤ってS150で肯定判定されることが原因と考えられる。しかし、レーダー探知機1は、S150で肯定判定されることに応じて直ちに、Kバンド取締機を検出したと判定するのでは無く、S190で肯定判定された場合にKバンド取締機を検出したと判定する。これにより、レーダー探知機1は、Kバンド取締機を検出するにあたり、ノイズなどの影響を低減できる。
【0078】
なお、Xバンド取締機検出処理については、詳しい説明を省略するが、公知の手法を用いて実現することができる。例えば、第1発振器13が、Xバンド信号Sxを第1周波数信号Sf1として出力する状態に設定した上で、主制御部31が、第2検波信号Sd2に基づいて、受信信号SreにXバンド電波に応じた信号が含まれるか否かを判定する。主制御部31は、Xバンド電波に応じた信号を検出することに応じて、Xバンド取締機を検出したと判定する。
【0079】
レーダー探知機1は、Kバンド取締機検出処理およびXバンド取締機検出処理をそれぞれ実行することで、Kバンド取締機およびXバンド取締機を検出できる。
[1-3.信号波形]
図3および
図4を用いて、受信電波にKバンド電波が含まれる場合の、レーダー探知機1における各信号の波形について説明する。
【0080】
具体的には、Kバンド取締機が発射するKバンド電波を受信した場合と、他の機器(例えば、自動販売機の人感センサ)が発射するKバンド電波を受信した場合と、のそれぞれにおける各信号の波形の違いについて説明する。
図3が、Kバンド取締機が発射するKバンド電波を受信した場合の信号波形であり、
図4が、他の機器が発射するKバンド電波を受信した場合の信号波形である。Kバンド取締機が発射するKバンド電波は、変調されたKバンド電波である。他の機器が発射するKバンド電波は、無変調のKバンド電波である。
【0081】
図3および
図4に示すように、レーダー探知機1は、上述のKバンド取締機検出処理を実行することで、第2周波数信号Sf2の掃引処理を実行する。掃引処理では、第2周波数信号Sf2の第2周波数Fr2を開始周波数Fr2aから終了周波数Fr2bまで変更する。
【0082】
時刻t1は、レーダー探知機1が受信信号Sreの受信を開始した時点である。時刻t2は、掃引処理の開始時点であり、時刻t7は、掃引処理の終了時点である。
時刻t2から時刻t3までの区間、時刻t4から時刻t5までの区間、および時刻t6から時刻t7までの区間は、それぞれ、第2周波数Fr2の掃引処理が実行されている区間である。時刻t3から時刻t4までの区間、および時刻t5から時刻t6までの区間は、それぞれ、第2周波数Fr2の掃引処理が一時的に停止されている区間である。
【0083】
このうち、時刻t2からt3までの第1期間W1は、第2周波数Fr2が開始周波数Fr2aである時点から検出周波数Fdeに到達する時点までの期間に対応している。時刻t4からt7までの第2期間W2は、第2周波数Fr2が検出周波数Fdeから逸脱した時点から終了周波数Fr2bに到達する時点までの期間に対応している。
【0084】
本実施形態のレーダー探知機1は、第1期間W1で第1信号レベルY1を取得している。レーダー探知機1は、第2周波数Fr2が検出周波数Fdeである時刻t3~t4の期間で、第2信号レベルY2を取得している。
【0085】
図3に示す波形は、
図4に示す波形と比べて、時刻t3から時刻t4までの区間における、抽出信号Sbpの振幅の大きさ、および、第2検波信号Sd2の値、が異なる。具体的には、
図3に示す波形は、
図4に示す波形と比べて、抽出信号Sbpの振幅が大きく、第2検波信号Sd2の値が大きい。これに伴い、
図3に示す波形は、レベル差分値Drが判定閾値αよりも大きい(Y2―Y1>α)。
図4に示す波形は、レベル差分値Drが判定閾値α以下である(Y2―Y1≦α)。
【0086】
これらのことから、レーダー探知機1は、レベル差分値Drと判定閾値αとの比較結果に基づいて、変調されたKバンド電波と、無変調のKバンド電波と、を識別することができる。換言すれば、レーダー探知機1は、Kバンド取締機が発射するKバンド電波と、他の機器が発射するKバンド電波と、を識別することができる。
【0087】
よって、レーダー探知機1は、Kバンド取締機を検出するにあたり、他の機器をKバンド取締機であると誤って判定することを抑制できる。
[1-4.効果]
以上説明したように、レーダー探知機1は、第2検波部29を備えることで、第1検波信号Sd1から第2検波信号Sd2を抽出できる。第2信号レベルY2は、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波である場合と無変調波である場合とで、異なる値を示す。このため、第2信号レベルY2を用いることで、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか無変調波であるかを判定できる。
【0088】
また、第1信号レベルY1は、いわゆるホワイトノイズなどの影響を受けるが、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか無変調波であるかによる影響は小さい。そのため、第2信号レベルY2のみではなく、第1信号レベルY1と第2信号レベルY2とに基づいて判定することで、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか否かを判定するにあたり、ホワイトノイズなどの影響を抑制できる。
【0089】
よって、レーダー探知機1は、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか否かを判定できるため、無変調のKバンド電波が前記受信電波に含まれる場合に、誤って、変調波のKバンド電波を受信したと判定することを抑制できる。
【0090】
次に、主制御部31は、レベル差分値Drが判定閾値αより大きい場合には(Y2-Y1>α)、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であると判定する。主制御部31は、レベル差分値Drが判定閾値α以下である場合には(Y2-Y1≦α)、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波ではないと判定する。
【0091】
レベル差分値Drは、第1信号レベルY1および第2信号レベルY2のそれぞれに応じて値が定められる。このため、レベル差分値Drは、ホワイトノイズなどの影響を抑制しつつ、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか否かによって変動する特性を有する。
【0092】
よって、レーダー探知機1は、レベル差分値Drと判定閾値αとの比較結果を用いることで、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか否かを判定するにあたり、ホワイトノイズなどの影響を抑制できるため、判定精度を向上できる。
【0093】
次に、レーダー探知機1は、第1期間W1で第1信号レベルY1を取得するため、第2信号レベルY2の取得時点で第1信号レベルY1が取得済みとなる。この場合、レーダー探知機1は、第2信号レベルY2の取得後、速やかに、受信電波に含まれるKバンド電波が変調波であるか否かを判定できる。
【0094】
次に、主制御部31は、第2周波数Fr2が一定の検出周波数Fdeに維持された状態で、第2信号レベルY2を取得するように構成されている。これにより、レーダー探知機1は、第2信号レベルY2を取得するにあたり、第2周波数Fr2が変動する状態で取得する場合に比べて、第2信号レベルY2を精度良く取得できる。また、レーダー探知機1は、第2周波数Fr2が検出周波数Fdeとなる期間が短期間である場合に比べて、第2信号レベルY2を精度良く取得できる。
【0095】
第2検波部29は、第1検波信号Sd1を包絡線検波して第2検波信号Sd2を得るように構成されている。つまり、第2検波部29は、包絡線検波を用いることにより、第1検波信号Sd1の振幅に応じて変化する第2検波信号Sd2を第1検波信号Sd1から検波できる。よって、レーダー探知機1は、包絡線検波を用いて、第1検波信号Sd1から第2検波信号Sd2を検波できる。
【0096】
第1発振器13および第1混合器15は、周波数指定信号Sfsに応じて、第1周波数信号Sf1の第1周波数Fr1を変更できるように構成されている。つまり、レーダー探知機1は、第1発振器13および第1混合器15が第1周波数Fr1を変更できることで、受信電波に含まれるKバンド電波およびXバンド電波のそれぞれについて、変調波であるか否かを判定できる。つまり、レーダー探知機1は、複数種類の受信電波(Kバンド電波およびXバンド電波)について、第1周波数の無変調波が前記受信電波に含まれる場合に、誤って、第1周波数の変調波を受信したと判定することを抑制できる。
【0097】
レーダー探知機1は、報知部33を備えている。報知部33は、受信電波に含まれるKバンド電波(またはXバンド電波)が変調波であると主制御部31が判定することに応じて、変調波を含むKバンド電波(またはXバンド電波)を受信したことを報知するように構成されている。よって、レーダー探知機1は、変調波を含むKバンド電波(またはXバンド電波)を受信したことを、レーダー探知機1の利用者に報知できる。
【0098】
[1-5.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
第1発振器13および第1混合器15は、本開示における第1信号混合部の一例に相当する。第2発振器18および第2混合器19は、本開示における第2信号混合部の一例に相当する。掃引制御部23は、本開示における検出周波数特定部の一例に相当する。主制御部31は、本開示における変調波判定部の一例に相当する。
【0099】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0100】
(a)上記実施形態では、Xバンド取締機検出処理と、Kバンド取締機検出処理と、を2回ずつ交互に実行する構成のレーダー探知機1について説明したが、本開示のレーダー探知機は、このような構成に限られることはない。
【0101】
例えば、レーダー探知機は、Xバンド取締機検出処理と、Kバンド取締機検出処理と、を1回ずつ交互に実行する構成であってもよい。あるいは、レーダー探知機は、Xバンド取締機検出処理と、Kバンド取締機検出処理と、を3回以上の所定回数ずつ交互に実行する構成であってもよい。
【0102】
(b)上記実施形態では、Xバンド電波とKバンド電波とを検出するレーダー探知機について説明したが、検出対象となる電波の周波数は、上記の周波数に限られることはなく、任意の周波数であってもよい。
【0103】
また、上述のレーダー探知機は、周波数が異なる2種類の電波を検出するように構成されているが、周波数が異なる3種類以上の電波を検出するように構成されてもよい。例えば、第1発振器13が、周波数が異なる3種類以上の周波数信号の中からいずれか1つを第1周波数信号Sf1として出力する構成であってもよい。
【0104】
(c)上記実施形態では、第2周波数Fr2の掃引処理にあたり、
図3および
図4に示すように、開始周波数から終了周波数にかけて第2周波数Fr2を上昇させる形態のレーダー探知機について説明したが、本開示のレーダー探知機は、このような形態に限られることはない。例えば、本開示のレーダー探知機は、第2周波数Fr2の掃引処理にあたり、開始周波数から終了周波数にかけて第2周波数Fr2を下降させる形態であってもよい。
【0105】
(d)上記実施形態では、第1期間W1で第1信号レベルY1を取得する形態について説明したが、本開示のレーダー探知機は、このような形態に限られることはない。例えば、本開示のレーダー探知機は、第1信号レベルY1を第2期間W2で取得する形態であってもよい。第2期間W2で第1信号レベルY1を取得する場合には、レーダー探知機は、第2信号レベルY2の取得後に、第1信号レベルY1を取得してもよい。
【0106】
例えば、第1期間W1よりも第2期間W2の方がノイズなどの影響を抑制して第1信号レベルY1を取得できる環境下では、第2期間W2で第1信号レベルY1を取得してもよい。このようなレーダー探知機は、第1信号レベルY1の検出精度を向上でき、ひいては、受信電波に含まれる目標電波(例えば、Kバンド電波、Xバンド電波など)が変調波であるか否かの判定精度を向上できる。
【0107】
(e)上記実施形態では、第2周波数Fr2が変化する状態で、第1信号レベルY1を取得し、第2周波数Fr2が一定の周波数に維持された状態で、第2信号レベルY2を取得する形態について説明したが、本開示のレーダー探知機は、このような形態に限られることはない。
【0108】
例えば、本開示のレーダー探知機は、第2周波数Fr2が一定の周波数に維持された状態で、第1信号レベルY1を取得する形態であってもよい。また、本開示のレーダー探知機は、第2周波数Fr2が一定の周波数(以下、非検出周波数Funともいう)に維持された状態で、第1信号レベルY1を取得し、第2周波数Fr2が一定の周波数(換言すれば、検出周波数Fde)に維持された状態で、第2信号レベルY2を取得する形態であってもよい。非検出周波数Funは、検出周波数Fdeとは異なる周波数である。
【0109】
これにより、本開示のレーダー探知機は、第1信号レベルおよび第2信号レベルを取得するにあたり、第2周波数が変動する状態で取得する場合に比べて、第1信号レベルおよび第2信号レベルを精度良く取得できる。
【0110】
(f)上記実施形態では、第2検波部29が包絡線検波により第2検波信号Sd2を検出する形態について説明したが、本開示のレーダー探知機は、このような構成に限られることはない。例えば、第2検波部は、平均値検波により第2検波信号Sd2を得るように構成されてもよい。平均値検波を用いることにより、第1検波信号Sd1の振幅に応じて変化する第2検波信号Sd2を第1検波信号Sd1から検波できる。
【0111】
ここで、
図3および
図4に示す抽出信号Sbpと同じ抽出信号Sbpから、平均値検波により得た第2検波信号Sd2を、
図5および
図6に示す。平均値検波により得られる第2検波信号Sd2(
図5および
図6)は、包絡線検波により得られた第2検波信号Sd2(
図3および
図4)と比べると、完全に波形が一致するものではないものの、変化状態が似た波形を示す。
【0112】
つまり、平均値検波により得られる第2検波信号Sd2を用いて得られるレベル差分値Dr(=Y2-Y1)は、Kバンド取締機が発射するKバンド電波を受信した場合(
図5)と、他の機器(例えば、自動販売機の人感センサ)が発射するKバンド電波を受信した場合(
図6)とで、それぞれ異なる値となる。具体的には、
図5に示す波形は、レベル差分値Drが判定閾値αよりも大きい(Y2―Y1>α)。
図6に示す波形は、レベル差分値Drが判定閾値α以下である(Y2―Y1≦α)。
【0113】
このことから、レーダー探知機は、平均値検波により第2検波信号Sd2を得る構成であっても、レベル差分値Drと判定閾値αとの比較結果に基づいて、変調されたKバンド電波と、無変調のKバンド電波と、を識別することができる。換言すれば、レーダー探知機は、平均値検波により第2検波信号Sd2を得る構成であっても、Kバンド取締機が発射するKバンド電波と、他の機器が発射するKバンド電波と、を識別することができる。
【0114】
よって、レーダー探知機は、平均値検波により第2検波信号Sd2を得る構成であっても、Kバンド取締機を検出するにあたり、他の機器をKバンド取締機であると誤って判定することを抑制できる。
【0115】
(g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0116】
1…レーダー探知機、11…受信部、13…第1発振器、13a…Xバンド発振器、13b…Kバンド発振器、15…第1混合器、17…増幅器、18…第2発振器、19…第2混合器、21…第1検波部、23…掃引制御部、27…バンドパスフィルタ(BPF)、29…第2検波部、31…主制御部、31a…演算部(CPU)、31b…記憶部、33…報知部。