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特開2022-139945蓄熱結合蒸気発生システム及び蓄熱結合発電システム
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  • 特開-蓄熱結合蒸気発生システム及び蓄熱結合発電システム 図1
  • 特開-蓄熱結合蒸気発生システム及び蓄熱結合発電システム 図2
  • 特開-蓄熱結合蒸気発生システム及び蓄熱結合発電システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139945
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】蓄熱結合蒸気発生システム及び蓄熱結合発電システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/02 20060101AFI20220915BHJP
   F01K 23/02 20060101ALI20220915BHJP
   F28D 20/00 20060101ALI20220915BHJP
   F22B 1/06 20060101ALI20220915BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F22B1/02 Z
F01K23/02 A
F28D20/00 B
F22B1/06 Z
F22B1/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040539
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鶴峯 順一
(72)【発明者】
【氏名】高宮 淳
(72)【発明者】
【氏名】服部 康之
(72)【発明者】
【氏名】横山 尚伸
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 博
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC21
(57)【要約】
【課題】既存のボイラー等と蓄熱部とを組み合わせ、蓄熱部における熱媒体の貯蔵量を負荷変動に応じて調節しながら発生蒸気を蒸気タービン発電機等の負荷部に供給することにより、ボイラー等の出力を一定にしつつ、負荷変動に柔軟に対応可能で建設コストや運用コストを低減した蓄熱結合蒸気発生システム、蓄熱結合発電システムを提供する。
【解決手段】化石燃料等の燃焼熱を熱源12として、循環可能な熱媒体HSを加熱する高温熱媒体供給部としてボイラー10と、高温の熱媒体HSを貯蔵する高温蓄熱槽25及び低温の熱媒体HSを貯蔵する低温蓄熱槽21を有する蓄熱部20と、高温の熱媒体HSと水・蒸気STとの熱交換により高圧の蒸気及び低温の熱媒体HSを発生させる蒸気発生部30とを備え、蒸気発生部30により発生させた蒸気を負荷部40としての蒸気タービン発電機に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火力発電用の燃料の燃焼熱または外部設備の排熱を熱源として、熱媒体を加熱して供給する高温熱媒体供給部と、
前記高温熱媒体供給部から供給された高温の熱媒体を貯留する高温蓄熱槽、及び、前記高温の熱媒体が冷却された後の低温の熱媒体を貯留する低温蓄熱槽、を有する蓄熱部と、
前記高温蓄熱槽から前記低温蓄熱槽に至る熱媒体の循環経路に設けられ、熱媒体と蒸気との熱交換により、負荷部に供給される高圧の蒸気と前記低温の熱媒体とを発生させる蒸気発生部と、
前記高温熱媒体供給部と前記高温蓄熱槽と前記低温蓄熱槽と前記蒸気発生部との間で、所定流量の熱媒体を循環させる循環手段と、
を備えたことを特徴とする蓄熱結合蒸気発生システム。
【請求項2】
請求項1に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、
前記高温熱媒体供給部が、化石燃料、バイオマス燃料、水素ガス燃料、アンモニア燃料のうち何れかの燃料の燃焼熱を前記熱源とするボイラーであることを特徴とする蓄熱結合蒸気発生システム。
【請求項3】
請求項1に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、
前記高温熱媒体供給部が、前記外部設備としてのガスタービン発電機の排熱を前記熱源とする排熱回収ボイラーであることを特徴とする蓄熱結合蒸気発生システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、
前記循環手段は、前記蒸気発生部と前記蓄熱部との間に設けられる第1循環ポンプと、前記蓄熱部と前記高温熱媒体供給部との間に設けられる第2循環ポンプと、を備え、
前記第2循環ポンプの動作により前記高温熱媒体供給部への熱媒体の供給量をほぼ一定に保つと共に、前記負荷部の要求出力に応じて、前記第1循環ポンプの動作により前記蒸気発生部への熱媒体の供給量を増加または減少させることを特徴とする蓄熱結合蒸気発生システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、
前記熱媒体が溶融塩であることを特徴とする蓄熱結合蒸気発生システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項における前記蒸気発生部により発生させた蒸気を、前記負荷部としての蒸気タービン発電機に供給して発電することを特徴とする蓄熱結合発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱した熱媒体を蓄熱部に供給し、この蓄熱部の蓄熱を利用して蒸気を発生する蓄熱結合蒸気発生システム、及び、このシステムにより発生させた蒸気を利用して発電する蓄熱結合発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子炉及び蒸気発生器により発生させた蒸気により蒸気タービン発電機を駆動する蒸気発電システムが知られている。
この種の蒸気発電システムとして、特許文献1に記載されたボイラー発電システムでは、原子炉で加熱された一次冷却材となるヘリウムガスと二次冷却材である水との間で熱交換を行って蒸気を発生し、この蒸気を蒸気タービン発電機に供給して発電を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-88207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムにおいて、原子炉の出力を要求負荷に応じて変化させるように運転すると、システムの稼働率が低下して熱利用のコストが高くなる。これは、一般に原子力における熱利用のコストは、資本コスト等の固定費の割合が大きいので、稼働率の低下が熱利用のコストに直接影響するためである。
従って、特許文献1のように熱発生源として原子炉を利用した蒸気発電システムの運転に当たっては、原子炉の出力を一定にすることが要求される。
また、特許文献1のシステムでは、熱交換器における蒸気発生用の伝熱管等においてバウンダリ破損が生じた場合、原子炉内への水の浸入等を引き起こすおそれがある。
【0005】
一方、近年では、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入が拡大しており、例えば、化石燃料を使用する既存の火力発電システムは調整電力としての供給も増えてきている。つまり、火力発電システムの将来像としては、必要な時により多くの電力を供給できる能力が求められており、世界的な脱炭素社会の要請のもとで、既存の火力発電システムは規模の縮小、燃料種別の変更、あるいは退出を余儀なくされている。
このように、将来的に火力発電システムの定常的な運転による安定した収入を見込めない現状では、既存の機器(ボイラ、タービン発電機等)をできるだけ活用しつつ最大出力を拡大可能なシステムの提供が求められている。
【0006】
そこで、本発明の解決課題は、既存のボイラー等からなる高温熱媒体供給部と蓄熱部とを組み合わせ、蓄熱部の高温熱媒体と熱交換して発生させた蒸気を負荷部に供給することにより、高温熱媒体供給部の出力を一定に保ちながら負荷部の要求出力の変化に柔軟に対応させ、しかも建設コストや運用コストの低減を可能にした蓄熱結合蒸気発生システム及び蓄熱結合発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る蓄熱結合蒸気発生システムは、
火力発電用の燃料の燃焼熱または外部設備の排熱を熱源として、熱媒体を加熱して供給する高温熱媒体供給部と、
前記高温熱媒体供給部から供給された高温の熱媒体を貯留する高温蓄熱槽、及び、前記高温の熱媒体が冷却された後の低温の熱媒体を貯留する低温蓄熱槽、を有する蓄熱部と、
前記高温蓄熱槽から前記低温蓄熱槽に至る熱媒体の循環経路に設けられ、熱媒体と蒸気との熱交換により、負荷部に供給される高圧の蒸気と前記低温の熱媒体とを発生させる蒸気発生部と、
前記高温熱媒体供給部と前記高温蓄熱槽と前記低温蓄熱槽と前記蒸気発生部との間で、所定流量の熱媒体を循環させる循環手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る蓄熱結合蒸気発生システムは、請求項1に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、前記高温熱媒体供給部が、化石燃料、バイオマス燃料、水素ガス燃料、アンモニア燃料のうち何れかの燃料の燃焼熱を前記熱源とするボイラーであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る蓄熱結合蒸気発生システムは、請求項1に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、前記高温熱媒体供給部が、前記外部設備としてのガスタービン発電機の排熱を前記熱源とする排熱回収ボイラーであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る蓄熱結合蒸気発生システムは、請求項1~3の何れか1項に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、前記循環手段は、前記蒸気発生部と前記蓄熱部との間に設けられる第1循環ポンプと、前記蓄熱部と前記高温熱媒体供給部との間に設けられる第2循環ポンプと、を備え、前記第2循環ポンプの動作により前記高温熱媒体供給部への熱媒体の供給量をほぼ一定に保つと共に、前記負荷部の要求出力に応じて、前記第1循環ポンプの動作により前記蒸気発生部への熱媒体の供給量を増加または減少させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る蓄熱結合蒸気発生システムは、請求項1~4の何れか1項に記載した蓄熱結合蒸気発生システムにおいて、前記熱媒体が溶融塩であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る蓄熱結合発電システムは、請求項1~5の何れか1項における前記蒸気発生部により発生させた蒸気を、前記負荷部としての蒸気タービン発電機に供給して発電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボイラー等の高温熱媒体供給部の熱出力を一定に維持しつつ、蓄熱部から蒸気発生部に供給される熱媒体の流量を制御することにより、蓄熱部に蓄えられた熱エネルギーを必要な時に利用して発電することができる。また、負荷部の要求に見合った蒸気エネルギーを発生可能であり、負荷変動に対して最大限対応可能なシステムを構築することができる。
更に、既存のボイラーやタービン発電機を有効に活用して建設コストや運用コストを低減することができ、初期投資を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態を示す概略構成図である。
図2図2(a)はボイラー熱出力及び蒸気タービン出力の時間変化を示すグラフであり、図2(b)は高温蓄熱槽及び低温蓄熱槽における熱媒体の貯蔵量の時間変化を示すグラフである。
図3】本発明の第2実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を示す概略構成図である。この第1実施形態は、高温熱媒体供給部としてのボイラー10と、蓄熱部20と、蒸気発生部30と、負荷部40とを備えている。ここで、ボイラー10、蓄熱部20及び蒸気発生部30は本発明に係る蓄熱結合蒸気発生システムを構成し、この蓄熱結合蒸気発生システムに負荷部40を加えた全体が本発明に係る蓄熱結合発電システムを構成している。
【0016】
まず、ボイラー10の筐体11には熱源12により加熱される伝熱管23が収容されている。熱源12は火力発電用の燃料の燃焼熱を発生するものであり、前記燃料としては、石炭・石油・天然ガス等の化石燃料、各種バイオマス燃料、水素燃料、アンモニア燃料等を使用することができる。
【0017】
伝熱管23は、下端部の配管22から流入する低温の熱媒体HSを加熱して上端部の配管24から流出させるためのものであり、熱媒体HSとしては、例えば、化学的に不活性で流動性の高い溶融塩等が使用される。
配管24から流出した高温(例えば約600[℃])の熱媒体HSは、蓄熱部20内の高温蓄熱槽25に流入する。
【0018】
高温蓄熱槽25は、高温の熱媒体HSを貯留して蓄熱すると共に、弁26を開放して循環手段としての第1循環ポンプ52を駆動することにより、高温の熱媒体HSを蒸気発生部30に供給する。
蒸気発生部30の下端部の配管に配置された第1循環ポンプ52の流出側には、蒸気発生部30における水・蒸気STとの熱交換により低温(例えば約300[℃])になった熱媒体HSが貯留される低温蓄熱槽21が設けられている。
【0019】
低温蓄熱槽21の下端部の配管には循環手段としての第2循環ポンプ53が設けられており、この第2循環ポンプ53を駆動することで、低温の熱媒体HSを配管22からボイラー10内の伝熱管23に流入させる。
上述した第1循環ポンプ52、第2循環ポンプ53を駆動することにより、熱媒体HSは、ボイラー10→高温蓄熱槽25→蒸気発生部30→低温蓄熱槽21→ボイラー10の経路で循環しつつ高温→低温→高温→…と温度変化し、熱エネルギーの吸収、放出を繰り返す。
【0020】
一方、蒸気発生部30の筐体31には伝熱管32が収容されている。この伝熱管32は、下端部の配管34から流入する低温の水・蒸気STを熱媒体HSとの熱交換によって高温の水・蒸気STに変換するものであり、高温の水・蒸気STは上端部の配管33を介して負荷部40内の蒸気タービン41に流入する。
【0021】
負荷部40は、蒸気タービン発電機を構成しており、高圧・高温の水・蒸気STが供給される蒸気タービン41と、出力軸42と、この出力軸42の回転により発電する発電機Gと、を備えている。
蒸気タービン41の下方には、熱エネルギーを吸収されて低温になった水・蒸気STを回収する復水器43が設けられている。この復水器43内の低温の水・蒸気STは、第3循環ポンプ51の動作により、配管34を介して蒸気発生部30内の伝熱管32に流入する。
なお、図示されていないが、配管34の経路内にドレン設備や熱交換器等を設けても良い。
以上のように、第3循環ポンプ51を駆動することにより、水・蒸気STは、蒸気発生部30と負荷部40との間で循環しつつ低温→高温→低温→…と変化してエネルギーの放出、吸収を繰り返す。
【0022】
前述した第1循環ポンプ52、第2循環ポンプ53、及び第3循環ポンプ51は、制御部50によって動作が制御される。蒸気発生部30の熱媒体流入側の弁26についても、必要に応じて制御部40により開閉制御しても良い。
【0023】
次に、本実施形態による出力調整方法について、図2を参照しつつ説明する。
図2(a)は、ボイラー10の熱出力、及び、負荷部40の蒸気タービン41(または発電機G)の出力の時間変化を示すグラフである。また、図2(b)は、蓄熱部20を構成する高温蓄熱槽25及び低温蓄熱槽21における熱媒体HSの貯蔵量の時間変化を示すグラフである。
【0024】
まず、ボイラー10については、図2(a)に示すように、定格運転として一日中、熱出力が一定となる条件とする。
また、負荷部40については、昼間(6時~18時)の方が夜間(18時~6時)に比べて相対的に要求出力(発電量)が少ない場合を想定する。なお、図2(a)に示す蒸気タービン41の出力変化は一例に過ぎないものであり、昼夜の出力を逆にしたり、漸次増減したりする場合も同様に対応可能である。
【0025】
上記の条件のもとで、制御部50は第2循環ポンプ53を動作させ、低温蓄熱槽21から伝熱管23を経て高温蓄熱槽25に流入する熱媒体HSの量を一定に制御する。このように第2循環ポンプ53の駆動を維持しながら、負荷部40の要求出力が少ない昼間は、蒸気タービン41の出力を減らしつつ蓄熱部20に熱エネルギーを蓄積する。具体的には、夜間に比べて少なくなる昼間の出力に応じ、制御部50によって第3循環ポンプ51による水・蒸気STの送出量を夜間に比べて減らすように制御する。
更に、制御部50は、第3循環ポンプ51による水・蒸気STの送出量の減少に応じて、第1循環ポンプ52による熱媒体HSの低温蓄熱槽21への送出量も、夜間より少なくするように制御する。
【0026】
この間、図2(b)に示すように、高温蓄熱槽25では高温となる熱媒体HSの貯蔵量が次第に増加し、かつ、低温蓄熱槽21では低温となる熱媒体HSの貯蔵量が次第に減少する。
よって、蓄熱部20としては全体の蓄熱エネルギーが増加することとなる。
【0027】
一方、負荷部40の要求出力が大きくなる夜間は、蓄熱部20に蓄熱した熱エネルギーを用いて出力を増加させる運転を行う。この夜間についても、第2循環ポンプ53による熱媒体HSの供給量、言い換えればボイラー10の熱出力を一定に維持する。
夜間では、蒸気タービン41の出力を増やすように、制御部50によって、第3循環ポンプ51による水・蒸気STの送出量を昼間より増やすように制御する。更に、制御部50は、第3循環ポンプ51による水・蒸気STの送出量の増加に応じて、第1循環ポンプ52による熱媒体HSの低温蓄熱槽21への送出量も、昼間より増やすように制御する。
【0028】
この間、図2(b)に示すように、高温蓄熱槽25では高温となる熱媒体HSの貯蔵量が次第に減少し、かつ、低温蓄熱槽21では低温となる熱媒体HSの貯蔵量が次第に増加する。
よって、蓄熱部20としては全体の蓄熱エネルギーが減少することとなる。
【0029】
以上のように、この第1実施形態によれば、ボイラー10の熱出力を一定としつつ、高温蓄熱槽25及び低温蓄熱槽21における熱媒体HSの貯蔵量を変化させることで、負荷部40の要求に応じた出力変化を実現することができる。
これにより、負荷変動に対応可能な電源システムとしても利用することができる。
また、上記のように蓄熱部20の貯蔵量(蓄熱量)を減らす場合には、蓄熱部を備えていないシステムの定格出力より大きい最大出力を得ることができ、ボイラー10の設備コストを低減することが可能である。
【0030】
更に、本実施形態では、第2循環ポンプ53による熱媒体HSの送出量を一定に保ちつつ、第3循環ポンプ51による水・蒸気STの送出量の増減に比例するように第1循環ポンプ52による熱媒体HSの送出量を増減させている。このため、負荷部40の要求出力が増減する場合には、蓄熱部20で駆動制御するポンプを第2循環ポンプ28のみとすることができる。従って、蓄熱部20における制御の簡略化や負担の軽減が可能になり、要求出力の増減に対する応答性も向上する。
【0031】
なお、蓄熱部20及び蒸気発生部30は、上述した蓄熱動作、熱交換動作等を行える限りにおいて、図1とは異なる構成であっても良い。
負荷部40は蒸気タービン発電機に限定されるものではなく、蒸気発生部30から供給される高圧・高温の水・蒸気STを入力エネルギーとする他の熱利用装置であっても良い。
また、第2循環ポンプ53の駆動による熱媒体HSの送出量は適宜変化させても良いが、前述したように一定とした方が制御を簡略化できる点で有利である。
【0032】
次に、図3は、本発明の第2実施形態を示す概略構成図である。
この第2実施形態における高温熱媒体供給部は、ガスタービン発電機14の排熱を回収して熱媒体HSを加熱する排熱回収ボイラー10Aによって構成される。
すなわち、第2実施形態は、ガスタービン発電機14の排熱を排熱回収ボイラー10Aが回収し、この排熱を熱源として加熱された熱媒体HSを、蓄熱部20を介して蒸気発生部30に供給することにより、高圧・高温の蒸気を発生して負荷部40の蒸気タービン発電機を駆動するコンバインド発電システムである。
【0033】
ガスタービン発電機14は、周知のように、空気を圧縮する圧縮機15と、高圧空気に燃料を噴射して燃焼させる燃焼器17と、燃焼により発生した高圧・高温ガスにより出力軸18を回転させるガスタービン16と、出力軸18の回転により発電する発電機Gと、を備えている。
このガスタービン発電機14の排熱を、配管19を介して排熱回収ボイラー10A内の伝熱管23に供給して熱媒体HSを加熱することにより、以後は第1実施形態と同様の動作によって負荷部40の蒸気タービン発電機が駆動される。
【0034】
以上説明した第1実施形態及び第2実施形態は、あくまで本発明を実施する上での態様に過ぎず、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成要素を様々に変更、置換、変形した技術的思想を全て包含するものである。
【符号の説明】
【0035】
10:ボイラー(高温熱媒体供給部)
10A:排熱回収ボイラー(高温熱媒体供給部)
11,13:筐体
12:熱源
14:ガスタービン発電機
15:圧縮機
16:ガスタービン
17:燃焼器
18:出力軸
19:排熱供給管
20:蓄熱部
21:低温蓄熱槽
22,24:配管
23:伝熱管
25:高温蓄熱槽
26:弁
30:蒸気発生部
31:筐体
32:伝熱管
33,34:配管
40:負荷部
41:蒸気タービン
42:出力軸
43:復水器
50:制御部
51:第3循環ポンプ
52:第1循環ポンプ(循環手段)
53:第2循環ポンプ(循環手段)
G,G:発電機
HS:熱媒体
ST:水・蒸気
図1
図2
図3