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特開2022-139958エアワイパー装置、エアワイパー装置の制御方法、エアワイパー装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139958
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】エアワイパー装置、エアワイパー装置の制御方法、エアワイパー装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/54 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
B60S1/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040562
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】岡山 進一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 崇
【テーマコード(参考)】
3D025
3D225
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC04
3D025AD02
3D025AD03
3D025AD09
3D025AF21
3D225AA01
3D225AC04
3D225AD02
3D225AD03
3D225AD09
3D225AF21
(57)【要約】
【課題】停止中や低速走行中においても運転者の視界を確保することができる。
【解決手段】エアワイパー装置1は、フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパー12の駆動状態を検出するワイパー状態検出部22と、エアの噴出を制御するフロントエアワイパー駆動部31と、車両の車速を検出する車速検出部23と、を備える。フロントエアワイパー駆動部31は、アーム式ワイパーが駆動し、かつ、車両が停止中又は車速が閾値以下である場合に噴出孔からエアを噴出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスに対してエアを噴出するエアワイパー装置であって、
前記フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパーの駆動状態を検出するワイパー状態検出部と、
前記フロントガラスに向けてエアを噴出するフロント噴出孔と、
前記フロント噴出孔からのエアの噴出を制御するフロントエアワイパー駆動部と、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
を備え、
前記フロントエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ、前記車両が停止中又は前記車速が閾値以下である場合に前記フロント噴出孔からエアを噴出する
ことを特徴とするエアワイパー装置。
【請求項2】
前記フロント噴出孔は、前記フロントガラスの上方に設けられており、エアを下方に向けて噴出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエアワイパー装置。
【請求項3】
前記フロントエアワイパー駆動部は、エアを間欠的に噴出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアワイパー装置。
【請求項4】
前記アーム式ワイパーは、前記フロントガラスの表面を扇状に往復回動するものであり、
前記ワイパー状態検出部は、前記アーム式ワイパーの位置を検出し、
前記フロントエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーの先端が稼働範囲の上端にあるとき又は下方へ向かって移動しているときにエアを噴出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のエアワイパー装置。
【請求項5】
前記車両のサイドミラーに対してエアを噴出するサイド噴出孔と、
前記サイド噴出孔におけるエアの噴出を制御するサイドエアワイパー駆動部と、
前記車両のウィンカーの状態を検出するウィンカー状態検出部と、
を備え、
前記サイドエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ、前記ウィンカーが点灯された場合に、前記サイド噴出孔からエアを噴出する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエアワイパー装置。
【請求項6】
前記車両のリアガラスに対してエアを噴出するリア噴出孔と、
前記リア噴出孔におけるエアの噴出を制御するリアエアワイパー駆動部と、
前記車両のギアの状態を検出するギア状態検出部と、
をさらに備え、
前記リアエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ、前記ギアがバックに切り替えられた場合に、前記リア噴出孔からエアを噴出する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のエアワイパー装置。
【請求項7】
車両のフロントガラスに対してエアを噴出するエアワイパー装置の制御方法であって、
前記フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパーの駆動状態を検出するワイパー状態検出ステップと、
前記車両の車速を検出する車速検出ステップと、
前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ前記車両が停止中又は前記車速が閾値以下である場合に、前記フロントガラスに向けてエアを噴出するフロント噴出孔からエアを噴出するフロントエアワイパー駆動ステップと、を含む、
ことを特徴とするエアワイパー装置の制御方法。
【請求項8】
車両のフロントガラスに対してエアを噴出するエアワイパー装置と通信可能なコンピュータを、
前記フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパーの駆動状態を検出するワイパー状態検出部、
前記車両の車速を検出する車速検出部、
前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ前記車両が停止中又は前記車速が閾値以下である場合に、前記フロントガラスに向けてエアを噴出するフロント噴出孔からエアを噴出するフロントエアワイパー駆動部、
として機能させることを特徴とするエアワイパー装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアワイパー装置、エアワイパー装置の制御方法、及びエアワイパー装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各噴出孔から噴射される圧縮空気がフロントガラスの表面の雨滴等を除去するエアワイパー装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-143312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、車両の走行中においては視界が確保できる一方、停止中や低速走行中は雨滴等がガラス上に留まり、視界の確保が困難であった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、停止中や低速走行中においても運転者の視界を確保することができるエアワイパー装置、エアワイパー装置の制御方法、及びエアワイパー装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るエアワイパー装置は、例えば、車両のフロントガラスに対してエアを噴出するエアワイパー装置であって、前記フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパーの駆動状態を検出するワイパー状態検出部と、前記フロントガラスに向けてエアを噴出するフロント噴出孔と、前記フロント噴出孔からのエアの噴出を制御するフロントエアワイパー駆動部と、前記車両の車速を検出する車速検出部と、を備え、前記フロントエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ、前記車両が停止中又は前記車速が閾値以下である場合に前記フロント噴出孔からエアを噴出することを特徴とする。
【0007】
本発明の他態様に係るエアワイパー装置の制御方法は、例えば、車両のフロントガラスに対してエアを噴出するエアワイパー装置の制御方法であって、前記フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパーの駆動状態を検出するワイパー状態検出ステップと、前記車両の車速を検出する車速検出ステップと、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ前記車両が停止中又は前記車速が閾値以下である場合に、前記フロントガラスに向けてエアを噴出するフロント噴出孔からエアを噴出するフロントエアワイパー駆動ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様に係るエアワイパー装置の制御プログラムは、例えば、車両のフロントガラスに対してエアを噴出するエアワイパー装置と通信可能なコンピュータを、前記フロントガラスの表面を払拭するアーム式ワイパーの駆動状態を検出するワイパー状態検出部、前記車両の車速を検出する車速検出部、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ前記車両が停止中又は前記車速が閾値以下である場合に、前記フロントガラスに向けてエアを噴出するフロント噴出孔からエアを噴出するフロントエアワイパー駆動部、として機能させることを特徴とする。なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、エアの噴出により、車両における運転者の視界を確保することができる。特に、アーム式ワイパーの稼働中は雨滴等を除去する必要が生じている状態であるとみなし、アーム式ワイパーが稼働していることをエア噴出の条件とすることで、エアの噴出を効果的に行わせることができる。また、車両が停止中又は所定の閾値以下で走行していることをエア噴出の条件とすることで、走行時に生じる風により雨滴等が除去されない場合にエアを噴出することができ、効率がよい。すなわち、停車中及び低速走行時においても、運転者の視界を確保することができる。
【0010】
前記フロント噴出孔は、前記フロントガラスの上方に設けられており、エアを下方に向けて噴出してもよい。この場合、フロントガラスに付着した雨滴等が自重で滑り落ちるのをエアが補助するため、除去の効率がよい。
【0011】
前記フロントエアワイパー駆動部は、エアを間欠的に噴出するものとしてもよい。この場合、エアが連続的に噴出している構成に比べて、エネルギー消費量の点で効率よく雨滴等を除去できる。
【0012】
前記アーム式ワイパーは、前記フロントガラスの表面を扇状に往復回動するものであり、前記ワイパー状態検出部は、前記アーム式ワイパーの位置を検出し、前記フロントエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーの先端が稼働範囲の上端にあるとき又は下方へ向かって移動しているときにエアを噴出してもよい。これにより、アーム式ワイパーで雨滴等を除去するときの雨滴等の移動方向と、フロント噴出孔から噴出するエアで雨滴等を除去するときの雨滴等の移動方向とを一致させ、フロントガラスの一部に雨滴等が溜まることを防ぎ、運転者の視界を確保することができる。
【0013】
前記車両のサイドミラーに対してエアを噴出するサイド噴出孔と、前記サイド噴出孔におけるエアの噴出を制御するサイドエアワイパー駆動部と、前記車両のウィンカーの状態を検出するウィンカー状態検出部と、を備え、前記サイドエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ、前記ウィンカーが点灯された場合に、前記サイド噴出孔からエアを噴出してもよい。ウィンカーが点灯された場合には、運転者が車両をカーブさせることが予測される。また、運転者は、カーブの際にサイドミラーを見ることが予測できる。そのため、ウィンカーが点灯された場合にエアを噴出し、サイドミラーに付着した雨滴等を除去することで、サイドミラー越しの視界を確保することができる。
【0014】
前記車両のリアガラスに対してエアを噴出するリア噴出孔と、前記リア噴出孔におけるエアの噴出を制御するリアエアワイパー駆動部と、前記車両のギアの状態を検出するギア状態検出部と、をさらに備え、前記リアエアワイパー駆動部は、前記アーム式ワイパーが駆動し、かつ、前記ギアがバックに切り替えられた場合に、前記リア噴出孔からエアを噴出してもよい。この場合、ギアがバックに切り替えられた場合には、車両が後退することが予測される。そこで、ギアがバックに切り替えられた場合にエアを噴出し、リアガラス及びバックモニタに付着した雨滴等を除去することで、後退時において確認すべきリアガラス及びバックモニタ越しの視界を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、停止中や低速走行中においても運転者の視界を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エアワイパー装置1が搭載される車両Cの一例を示す概略図であって、(a)は正面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図である。
図2】エアワイパー装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
図3】フロントエアワイパー駆動部31の作動要否を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
図4】サイドエアワイパー駆動部32の作動要否を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
図5】リアエアワイパー駆動部33の作動要否を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
図6】エアワイパー装置1により雨滴等が除去される領域を示す概念図であって、(a)はフロントガラスの様子を示す図であり、(b)はサイドミラーの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るエアワイパー装置1の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、エアワイパー装置1が搭載される車両Cの一例を示す概略図であって、(a)は正面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図である。車両Cは、例えば、フロントガラスC1、サイドミラーC2、リアガラスC3及びバックカメラC4を備える。
【0019】
フロントガラスC1には、アーム式ワイパー12が設けられている。アーム式ワイパー12は、機械式であり、例えば駆動モータによりゴム製のワイパーブレードをフロントガラスC1の表面に沿って扇状に往復回動させて、フロントガラスC1表面の雨滴や雪を払拭するものである。
【0020】
フロントガラスC1、サイドミラーC2、リアガラスC3及びバックカメラC4の周縁には、エアワイパー装置1の噴出孔が設けられている。噴出孔は、例えば、フロント噴出孔N11、N12、N13と、サイド噴出孔N2と、リア噴出孔N31、N32、N33、N4とを有する。
【0021】
フロントガラスC1の周縁には、フロント噴出孔N11、N12、N13が設けられている。フロントガラスC1の周縁のうち、上方にフロント噴出孔N11、正面視左方にフロント噴出孔N12、正面視右方にフロント噴出孔N13が設けられている。サイドミラーC2の周縁には、サイド噴出孔N2が設けられている。サイド噴出孔N2は、サイドミラーC2上方に設けられている。リアガラスC3の周縁には、N31、N32、N33が設けられている。リアガラスC3の周縁のうち、上方にリア噴出孔N31、背面視左方にリア噴出孔N32、背面視右方にリア噴出孔N33が設けられている。バックカメラC4周縁には、リア噴出孔N4が設けられている。リア噴出孔N4は、バックカメラC4上方に設けられている。
【0022】
フロント噴出孔N11、サイド噴出孔N2、及びリア噴出孔N31、N4は、それぞれフロントガラスC1、サイドミラーC2、リアガラスC3及びバックカメラC4の上方に配設され、エアを下方に向けて噴出する。したがって、フロントガラスC1、サイドミラーC2、リアガラスC3及びバックカメラC4に付着した雨滴等が自重で滑り落ちるのをエアにより補助でき、雨滴等を効率よく除去することができる。
【0023】
なお、フロント噴出孔N11、N12、N13、サイド噴出孔N2、リア噴出孔N31、N32、N33、N34は、それぞれ、1つの噴出口から構成されていてもよいし、複数の噴出口が並設されていてもよい。
【0024】
図2は、エアワイパー装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。エアワイパー装置1は、主として、エアワイパースイッチ11と、制御部20とを備える。
【0025】
エアワイパースイッチ11は、エアワイパー装置1の電源をオン又はオフするスイッチであり、運転者が操作可能である。エアワイパースイッチ11は、例えば運転席の近傍に設けられている。アーム式ワイパーが駆動する。エアワイパー装置1は、エアワイパースイッチ11がオンである場合、すなわちアーム式ワイパー12が駆動しているときに、後述する所定の条件を満たすとエアを噴出する。
【0026】
制御部20は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置により、ソフトウェア資源として少なくとも、スイッチ検出部21と、ワイパー状態検出部22と、車速検出部23と、ウィンカー状態検出部24と、ギア状態検出部25と、エアワイパー駆動部30と、を備える。スイッチ検出部21、ワイパー状態検出部22、車速検出部23、ウィンカー状態検出部24及びギア状態検出部25は、それぞれ、エアワイパースイッチ11、アーム式ワイパー12、車両駆動部13、ウィンカー作動部14及びギア作動部15に接続されている。
【0027】
スイッチ検出部21は、エアワイパースイッチ11のオン及びオフを検出する機能部である。
【0028】
ワイパー状態検出部22は、フロントガラスC1に配設されるアーム式ワイパー12の駆動状態を検出する機能部である。ワイパー状態検出部22は、1又は複数のセンサを有する。
【0029】
ワイパー状態検出部22は、アーム式ワイパー12の駆動の有無及びアーム式ワイパー12の駆動中におけるアーム式ワイパー12の位置を検出する。例えば、ワイパー状態検出部22は、アーム式ワイパー12の先端が稼働範囲の上端にあることを検出する。
【0030】
また、例えば、ワイパー状態検出部22は、アーム式ワイパー12が下方に向かって移動していることを検知する。この場合、ワイパー状態検出部22は、アーム式ワイパー12の移動方向を検出してもよいし、アーム式ワイパー12の先端が稼働範囲の上端及び下端にあることを検出し、上端から下端への移動中はアーム式ワイパー12が下方に向かって移動していると検出してもよい。
【0031】
車速検出部23は、車両Cの車速を検出する機能部である。車速検出部23は、例えば車両Cを駆動させる車両駆動部13と接続されている。また、車速検出部23は、車両Cが停止しているか移動しているかを判定してもよい。車速検出部23は、車両駆動部13からの情報に代えて、タイヤの回転速度の計測、又はGNSSによる移動距離の推定により、車両Cの車速を検出してもよい。
【0032】
ウィンカー状態検出部24は、車両Cのウィンカーの状態を検出する機能部である。ウィンカー状態検出部24は、例えば車両Cにおける運転者の操作に応じてウィンカーを作動させるウィンカー作動部14と接続されている。
【0033】
ギア状態検出部25は、車両Cのギアの状態を検出する機能部である。ギア状態検出部25は、例えば車両Cにおける運転者の操作に応じてギアを切り替えるギア作動部15と接続されている。ギア状態検出部25は、少なくとも、ギアがバックに切り替えられたタイミングを検出する。
【0034】
エアワイパー駆動部30は、車両Cに配設されるエアワイパーを駆動させる機能部である。エアワイパー駆動部30は、主として、フロントエアワイパー駆動部31と、サイドエアワイパー駆動部32と、リアエアワイパー駆動部33とを有する。
【0035】
フロントエアワイパー駆動部31は、フロントガラスC1に設けられたフロント噴出孔N11、N12、N13からのエアの噴出を制御する。サイドエアワイパー駆動部32は、サイドミラーC2に設けられたサイド噴出孔N2からのエアの噴出を制御する。リアエアワイパー駆動部33は、リアガラスC3又はバックカメラC4に設けられたリア噴出孔N31、N32、N33、N4からのエアの噴出を制御する。
【0036】
エアワイパー駆動部30は、フロントエアワイパー駆動部31、サイドエアワイパー駆動部32、及びリアエアワイパー駆動部33を、除去対象の領域ごとに、それぞれ独立して制御する。エアワイパー駆動部30は、例えばポンプ、バルブ及びノズルを駆動し、各噴出孔に連結される管に選択的にエアを供給する。エアは、例えば圧縮空気である。
【0037】
エアワイパー駆動部30は、エアを連続的に噴出してもよいし、エアを間欠的に噴出してもよい。エアを間欠的に噴出する場合には、エアが連続的に噴出している構成に比べて、エネルギー消費量の点で効率よく雨滴等を除去できる。
【0038】
フロントエアワイパー駆動部31は、アーム式ワイパー12の先端が稼働範囲の上端にあるとき又は下方へ向かって移動しているときに、フロント噴出孔N11からエアを噴出する。これにより、アーム式ワイパー12で雨滴等を除去すると共に、アーム式ワイパー12により雨滴等が除去できない領域についても、フロント噴出孔N11から噴出するエアにより雨滴等を除去し、運転者の視界を確保することができる。また、アーム式ワイパー12で雨滴等を除去するときの雨滴等の移動方向と、フロント噴出孔N11から噴出するエアで雨滴等を除去するときの雨滴等の移動方向とを一致させ、フロントガラスC1の一部に雨滴等が溜まることを防ぎ、運転者の視界を確保することができる。
【0039】
また、フロントエアワイパー駆動部31は、フロント噴出孔N11からエアを噴出するのと同時にフロント噴出孔N12、N13からエアを噴出する。ただし、フロント噴出孔N12、N13からエアを噴出するタイミングはこれに限られない。なお、フロント噴出孔N12、N13及びフロント噴出孔N12、N13からエアを噴出することは必須ではない。ただし、フロント噴出孔N12、N13からエアを噴出することで、アーム式ワイパー12の稼働範囲に雨滴等を移動させ、効率よく雨滴等を除去できるため、フロント噴出孔N12、N13からもエアを噴出することが望ましい。
【0040】
サイドエアワイパー駆動部32は、アーム式ワイパー12が駆動し、かつウィンカーが点灯された場合に、サイド噴出孔N2からエアを噴出する。ウィンカーが点灯された場合には、運転者が車両Cをカーブさせることが予測される。また、運転者がカーブの際にサイドミラーC2を見ることが予測できる。そのため、ウィンカーが点灯された場合にエアを噴出し、サイドミラーC2に付着した雨滴等を除去することで、サイドミラーC2越しの視界を確保することができる。また、通常アーム式ワイパーが設けられていないサイドミラーC2においてもワイパー機能を持たせることができる。
【0041】
なお、サイドエアワイパー駆動部32は、左右のサイドミラーC2周縁にそれぞれ設けられたサイド噴出孔N2からのエアを独立して制御し、ウィンカーが点灯された方向に応じて、エアを噴出するサイド噴出孔N2を変更してもよい。すなわち、例えば右折の意図を示すウィンカーが点灯された場合には、進行方向右側のサイドミラーC2に設けられたサイド噴出孔N2からエアを噴出し、左折の意図を示すウィンカーが点灯された場合には、進行方向左側のサイドミラーC2に設けられたサイド噴出孔N2からエアを噴出させてもよい。この場合には、運転者が視認するサイドミラーC2でのみ雨滴等を除去できるので、エネルギー消費の観点で効率がよい。
【0042】
また、エアワイパー装置1はハンドルの動きを検出する検出部を備え、サイドエアワイパー駆動部32は、ハンドルの回転に基づいてサイド噴出孔N2からエアを噴出させてもよい。
【0043】
リアエアワイパー駆動部33は、アーム式ワイパー12が駆動し、かつギアがバックに切り替えられた場合に、リア噴出孔N31、N32、N33、N4からエアを噴出する。ギアがバックに切り替えられた場合には、車両Cが後退することが予測される。そこで、この場合にエアを噴出し、リアガラスC3及びバックカメラC4に付着した雨滴等を除去することで、後退時において確認すべきリアガラスC3及びバックカメラC4越しの景色の視認性を高めることができる。
【0044】
なお、サイドエアワイパー駆動部32及びリアエアワイパー駆動部33は、上述に代えて、又は加えて、車両Cが停止中又は車速が上述の閾値以下である場合に、エアを噴出させてもよい。また、サイドエアワイパー駆動部32及びリアエアワイパー駆動部33がエアを噴出する車速の閾値は、フロントエアワイパー駆動部31における閾値とは異なっていてもよい。
【0045】
また、車両CのドアD1、D2、D3、D4(図1参照)に設けられているガラスC11、C12、C13,C14(図1参照)の周縁(例えば、上縁部)にも、エアワイパー駆動部30によりエアが噴出する噴出孔が設けられていてもよい。この噴出孔におけるエアの噴出制御は、フロントエアワイパー駆動部31、サイドエアワイパー駆動部32及びリアエアワイパー駆動部33のいずれかにより他の噴出孔と同様のタイミングでエアを噴出してもよいし、独立して制御されてもよい。
【0046】
図3は、フロントエアワイパー駆動部31の作動要否を決定する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ワイパー状態検出部22は、アーム式ワイパー12が作動しているか否かを検出する(ステップSP11)。アーム式ワイパー12が作動していない場合(ステップSP11でNO)には、ステップSP11の処理を繰り返す。アーム式ワイパー12が作動している場合(ステップSP11でYES)には、スイッチ検出部21は、エアワイパースイッチ11がオンとなっているか否かを検出する(ステップSP12)。エアワイパースイッチ11がオフである場合(ステップSP12でNO)には、処理をステップSP11に戻す。エアワイパースイッチ11がオンの場合(ステップSP12でYES)には、車速検出部23は、車両Cが停止中又は車速が所定の閾値以下であるかを検出する(ステップSP13)。車両Cが停止中又は車速が所定の閾値以下でない場合(ステップSP13でNO)には、処理をステップSP11に戻す。なお、ステップSP11、SP12、SP13は順不同であり、同時に行われてもよい。
【0047】
車両Cが停止中又は車速が所定の閾値以下である場合(ステップSP13でYES)には、フロントエアワイパー駆動部31は、フロント噴出孔N11、N12、N13からエアを噴出する(ステップSP14)。より具体的には、ワイパー状態検出部22はアーム式ワイパー12の位置を検出し、フロントエアワイパー駆動部31はアーム式ワイパー12の動作に合わせてエアを噴出させる。次いで、ステップSP11に戻る。
【0048】
図4は、サイドエアワイパー駆動部32の作動要否を決定する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ワイパー状態検出部22は、アーム式ワイパー12が作動しているか否かを検出する(ステップSP21)。アーム式ワイパー12が作動していない場合(ステップSP21でNO)には、ステップSP21の処理を繰り返す。アーム式ワイパー12が作動している場合(ステップSP21でYES)には、スイッチ検出部21は、エアワイパースイッチ11がオンとなっているか否かを検出する(ステップSP22)。
【0049】
エアワイパースイッチ11がオフである場合(ステップSP22でNO)には、処理をステップSP21に戻す。エアワイパースイッチ11がオンの場合(ステップSP22でYES)には、ウィンカー状態検出部24は、車両Cのウィンカーが点灯しているか否かを検出する(ステップSP23)。ステップSP23において、ウィンカーが点灯していない場合(ステップSP23でNO)には、処理をステップSP21に戻す。なお、ステップSP21、SP22、SP23は順不同であり、同時に行われてもよい。
【0050】
ウィンカーが点灯した場合(ステップSP23でYES)には、ステップSP24に移行し、サイドエアワイパー駆動部32は、サイド噴出孔N2からエアを噴出させる(ステップSP24)。次いで、ステップSP21に戻る。
【0051】
図5は、リアエアワイパー駆動部33の作動要否を決定する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ワイパー状態検出部22により、アーム式ワイパー12が作動しているか否かを検出する(ステップSP31)。アーム式ワイパー12が作動していない場合(ステップSP31NO)には、ステップSP31の処理を繰り返す。アーム式ワイパー12が作動している場合(ステップSP31でYES)には、スイッチ検出部21は、エアワイパースイッチ11がオンとなっているか否かを検出する(ステップSP32)。
【0052】
エアワイパースイッチ11がオフである場合(ステップSP32でNO)には、処理をステップS31に戻す。エアワイパースイッチ11がオンの場合(ステップSP32でYES)には、ギア状態検出部25により、ギアがバックに設定されているか否かを検出する(ステップSP33)。ステップSP34の判定において、ギアがバックに切り替えられていない場合(ステップSP33でNO)には、処理をステップS31に戻す。なお、ステップSP31、SP32、SP33は順不同であり、同時に行われてもよい。
【0053】
ギアがバックに切り替えられている場合(ステップSP33でYES)には、ステップSP34に移行し、リアエアワイパー駆動部33は、リア噴出孔N31、N32、N33、N4からエアを噴出させる(ステップS34)。
【0054】
なお、ステップS34において、リアエアワイパー駆動部33は、リア噴出孔N31のみからエアを噴出してもよいし、リア噴出孔N4のみからエアを噴出してもよい。次いで、ステップSP31に戻る。
【0055】
なお、図3~5に示す処理の開始のタイミング及び停止のタイミングは任意である。例えば、図3~5に示す処理は、車両Cのエンジンが始動したときに開始し、車両Cのエンジンが停止した場合に停止してもよい。
【0056】
図6は、エアワイパー装置1により雨滴等が除去される領域を示す概念図であって、(a)はフロントガラスC1の様子を示す図であり、(b)はサイドミラーC2の様子を示す図である。2個のアーム式ワイパー12(図1参照)は、図6(a)に示すように、それぞれ領域A1、A2の範囲における雨滴等を払拭する。一方、フロント噴出孔N11、N12、N13からのエアは、それぞれ矢印W11、W12、W13の方向にエアを噴出し、矢印W11、W12、W13で示される領域付近の雨滴等を除去する。このように、アーム式ワイパー12に加えてエアワイパー装置1を配設することで、アーム式ワイパー12で除去しきれない領域の雨滴等を効果的に除去することができる。
【0057】
図6(b)に示すように、サイドミラーC2においては、サイド噴出孔N2から矢印W2の方向(すなわち、下方)にエアを噴出し、矢印W2で示される領域付近の雨滴等を除去する。これにより、サイドミラーC2の雨滴等を効果的に除去できる。
【0058】
本実施の形態によれば、アーム式ワイパーが駆動し、かつ、車両Cが停止中又は車速が閾値以下である場合にフロント噴出孔N11等からエアを噴出することで、停止中や低速走行中においても運転者の視界を確保することができる。エアワイパーが設けられておらず、フロントガラスの表面を往復回動するアーム式ワイパー12のみの場合には、アームの先端に設けられたブレードが届く範囲でしか払拭ができないため、ブレードが届かない領域においては視界の確保ができなかった。それに対し、アーム式ワイパー12に加えてエアワイパー装置1を設けることで、アーム式ワイパー12により雨滴等を除去できない領域の雨滴等を効果的に除去することができる。
【0059】
また、アーム式ワイパー12の稼働中は雨滴等を除去する必要が生じている状態であるとみなし、アーム式ワイパーが稼働していることをエア噴出の条件とすることで、エアの噴出を効果的に行わせることができる。また、車両が停止中又は所定の閾値以下で走行していることをエア噴出の条件とすることで、走行時に生じる風により雨滴等が除去されない場合にエアを噴出することができ、効率がよい。
【0060】
また、本実施の形態によれば、フロント噴出孔N11をフロントガラスC1の上方に設け、エアを下方に向かって噴出することで、フロントガラスC1に付着した雨滴等が自重で滑り落ちるのをエアが補助することができる。そのため、停車時又は低速走行時にも確実に雨滴等を除去することができる。
【0061】
また、フロントガラスC1の速報に設けられたフロント噴出孔N12、N13からエアを噴出することにより、アーム式ワイパーの稼働範囲に雨滴等を移動させることができる。したがって、効率よく雨滴等を除去できる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、アーム式ワイパー12の先端が稼働範囲の上端にあるとき又は下方へ向かって移動しているときに、フロント噴出孔N11からエアを噴出するため、アーム式ワイパー12で雨滴等を除去するときの雨滴等の移動方向と、フロント噴出孔N11から噴出するエアで雨滴等を除去するときの雨滴等の移動方向とを一致させ、フロントガラスC1の一部に雨滴等が溜まることを防ぎ、運転者の視界を確保することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、アーム式ワイパーが駆動し、かつ、ウィンカーが点灯されている場合にサイド噴出孔N2からエアを噴出することで、サイドミラーC2に付着した雨滴等を除去することができ、視認性を高めることができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、アーム式ワイパーが駆動し、かつ、ギアがバックに切り替えられている場合に、リア噴出孔N31、N4等からエアを噴出することで、後退時において確認すべきリアガラスおよびバックモニタ越しの景色の視認性を高めることができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、ステップSP12、SP22及びSP32においてエアワイパースイッチ11がオフの場合にそれぞれ処理をステップSP11、SP21及びSP31に戻したが、ステップSP12、SP22及びSP32は必須ではない。例えば、ステップSP12においてエアワイパースイッチ11がオフであっても、車両Cが停止中又は車速が所定の閾値以下である場合(ステップSP13でYES)には、エアワイパースイッチ11を自動でオンにし、処理をステップSP14に進め、フロント噴出孔N11、N12、N13からエアを噴出させてもよい。
【0066】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 :エアワイパー装置
11 :エアワイパースイッチ
12 :アーム式ワイパー
13 :車両駆動部
14 :ウィンカー作動部
15 :ギア作動部
20 :制御部
21 :スイッチ検出部
22 :ワイパー状態検出部
23 :車速検出部
24 :ウィンカー状態検出部
25 :ギア状態検出部
30 :エアワイパー駆動部
31 :フロントエアワイパー駆動部
32 :サイドエアワイパー駆動部
33 :リアエアワイパー駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6