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特開2022-139964導電性粒体検出装置、及び、機械動作装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139964
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】導電性粒体検出装置、及び、機械動作装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/06 20060101AFI20220915BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N27/06 A
G01N27/00 L
G01N27/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040569
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】栗田 昌兆
(72)【発明者】
【氏名】森 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 江児
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 昌樹
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA19
2G060AE30
2G060AF02
2G060AF07
2G060AG10
2G060AG11
2G060HC15
2G060KA09
(57)【要約】
【課題】大型化や設計の自由度の低下を抑制しつつ、検出対象の導電性粒体を確実に検出することができる導電性粒体検出装置、及び、機械動作装置を提供する。
【解決手段】導電性粒体検出装置は、複数の電極51a,51bと、永久磁石3と、検出回路50と、を備える。複数の電極51a,51bは、潤滑液13中に離間して配置される。永久磁石3は、磁力によって隣り合う電極51a,51bの間に潤滑液13中の導電性粒体を集める。検出回路50は、隣り合う電極51a,51bの間の電気抵抗を基にして、検出対象の導電性粒体を検出する。隣り合う電極51a,51bの間で導電性粒体に作用する永久磁石3による吸着力は、検出対象の導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体の周囲に潤滑液13が非導電層として残存するように設定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑液中に離間して配置される複数の電極と、
磁力によって隣り合う前記電極の間に前記潤滑液中の導電性粒体を集める永久磁石と、
隣り合う前記電極の間の電気抵抗を基にして、検出対象の導電性粒体を検出する検出回路と、を備え、
隣り合う前記電極の間で前記導電性粒体に作用する前記永久磁石による吸着力は、検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体の周囲に前記潤滑液が非導電層として残存するように設定されている、導電性粒体検出装置。
【請求項2】
前記検出対象の導電性粒体の粒径は、10μm以上であり、前記微小粒径は、10μm未満の粒径である、請求項1に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項3】
前記微小粒径は、2μm未満の粒径である、請求項2に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項4】
前記電極は、前記微小粒径の導電性粒体が付着して堆積する主面から部分的に突出する導電性の突部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項5】
前記突部は、導電性の非磁性体から成る、請求項4に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項6】
前記永久磁石の磁力は、前記電極に付着して堆積する前記微小粒径の導電性粒体が、前記突部を完全に覆わない範囲で飽和して周囲に離散するように設定されている、請求項4または5に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項7】
前記永久磁石の磁力は、適用する複数種類の機械動作装置のうちの発生する導電性粒体の量が最大のものにおいて、前記電極に付着して堆積する前記微小粒径の導電性粒体が、前記突部を完全に覆わない範囲で飽和して周囲に離散するように設定される、請求項6に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項8】
前記突部は、前記電極の本体部と別体の突起部材によって構成され、
前記突起部材は、前記電極の前記本体部の周囲を覆う検出部カバーによって前記本体部に押圧されている、請求項4~7のいずれか1項に記載の導電性粒体検出装置。
【請求項9】
潤滑液中に離間して配置される導電性の複数の永久磁石と、
隣り合う前記永久磁石を異なる電極として当該電極間の電気抵抗を検出する検出回路と、を備え、
検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体が前記電極に電流印加時に導通しないように、前記粒径の小さい微小粒径の導電性粒体の一部が前記電極間で非接触状態に維持されている、導電性粒体検出装置。
【請求項10】
潤滑液中に離間して配置される複数の電極と、
前記電極の間の電気抵抗を基にして、前記潤滑液中の検出対象の導電性粒体を検出する検出回路と、を備え、
検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体が前記電極に電流印加時に導通しないように設定されている、導電性粒体検出装置。
【請求項11】
機械的な動作機構と、
前記動作機構とともに潤滑液を内部に収容するケーシングと、
前記潤滑液に混入した導電性粒体を検出する導電性粒体検出装置と、を備え、
前記導電性粒体検出装置は、
前記潤滑液中に離間して配置される複数の電極と、
磁力によって隣り合う前記電極の間に前記潤滑液中の導電性粒体を集める永久磁石と、
隣り合う前記電極の間の電気抵抗を基にして、検出対象の導電性粒体を検出する検出回路と、を備え、
隣り合う前記電極の間で前記導電性粒体に作用する前記永久磁石による吸着力は、検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体が前記電極に電流印加時に導通しないように設定されている、機械動作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒体検出装置、及び、導電性粒体検出装置を備えた機械動作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
減速機等の機械的な動作機構を内蔵する機械動作装置では、ケーシングの内部に潤滑液を充填することによって動作機構の摩耗低減が図られている。この種の機械動作装置では、経時使用に伴って機械部品に摩耗や破損が発生し、そこで発生した金属粉が潤滑液中に混入する。潤滑液中に金属粉が多量に混入すると、潤滑液による動作機構の摩耗抑制機能が低下する。また、潤滑液中に金属粉が多量に混入することは、動作機構に摩耗や破損等が生じたことを意味する。
【0003】
このため、この種の機械動作装置では、潤滑液中に混入している金属粉の量が規定量以上になったときに、そのことを外部から検知できることが望まれる。この対策として、潤滑液中の金属粉を永久磁石によって吸引し、吸引した金属粉の量を電気的に検知できるようにしたものが案出されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この機械動作装置で用いられている金属粉の検出装置(導電性粒体検出装置)は、潤滑液内に配置される筒状の永久磁石の外周面側に、相反する電極をギャップを介して配置し、そのギャップを挟んだ電極間の抵抗を検出することによって潤滑液内の金属粉の混入量を求める仕組みとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-331324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、機械動作装置では、初めて機械を動作させるとき等に微細な初期摩耗粉(金属粉)が多量に発生する。このため、機械動作装置を長期間使用すると、潤滑液内には、本来検知したい破損片や経時摩耗による金属粉(以下、「検出対象金属粉」と呼ぶ。)だけでなく、動作機構の動作に殆ど悪影響を及ぼさない初期摩耗粉が混入することになる。
【0007】
このため、上記の導電性粒体検出装置では、ギャップを挟んだ電極間に最初に初期摩耗粉が集まり、その外側に検出対象金属粉が付着する。このことから、本来検出したい検出対象金属粉を確実に検出するためには、電極間のギャップや金属粉の捕集空間を充分に大きく確保する必要がある。しかし、電極間のギャップや金属粉の捕集空間を充分に大きく確保しようとすると、導電性粒体検出装置が大型化し、設計の自由度も低下する。
【0008】
本発明は、大型化や設計の自由度の低下を抑制しつつ、検出対象の導電性粒体を確実に検出することができる導電性粒体検出装置、及び、機械動作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る導電性粒体検出装置は、潤滑液中に離間して配置される複数の電極と、磁力によって隣り合う前記電極の間に前記潤滑液中の導電性粒体を集める永久磁石と、隣り合う前記電極の間の電気抵抗を基にして、検出対象の導電性粒体を検出する検出回路と、を備え、隣り合う前記電極の間で前記導電性粒体に作用する前記永久磁石による吸着力は、検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体の周囲に前記潤滑液が非導電層として残存するように設定されている。
【0010】
前記検出対象の導電性粒体の粒径は、10μm以上であり、前記微小粒径は、10μm未満の粒径である。
【0011】
前記微小粒径は、2μm未満の粒径であることが望ましい。
【0012】
前記電極は、前記微小粒径の導電性粒体が付着して堆積する主面から部分的に突出する導電性の突部を有する構成としても良い。
【0013】
前記突部は、導電性の非磁性体から成ることが望ましい。
【0014】
前記永久磁石の磁力は、前記電極に付着して堆積する前記微小粒径の導電性粒体が、前記突部を完全に覆わない範囲で飽和して周囲に離散するように設定されることが望ましい。
【0015】
前記永久磁石の磁力は、適用する複数種類の機械動作装置のうちの発生する導電性粒体の量が最大のものにおいて、前記電極に付着して堆積する前記微小粒径の導電性粒体が、前記突部を完全に覆わない範囲で飽和して周囲に離散するように設定されるようにしても良い。
【0016】
前記突部は、前記電極の本体部と別体の突起部材によって構成され、前記突起部材は、前記電極の前記本体部の周囲を覆う検出部カバーによって前記本体部に押圧されるようにしても良い。
【0017】
本発明の他の態様に係る導電性粒体検出装置は、潤滑液中に離間して配置される導電性の複数の永久磁石と、隣り合う前記永久磁石を異なる電極として当該電極間の電気抵抗を検出する検出回路と、を備え、検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体が前記電極に電流印加時に導通しないように、前記粒径の小さい微小粒径の導電性粒体の一部が前記電極間で非接触状態に維持されている。
【0018】
本発明のさらに他の態様に係る導電性粒体検出装置は、潤滑液中に離間して配置される複数の電極と、前記電極の間の電気抵抗を基にして、前記潤滑液中の検出対象の導電性粒体を検出する検出回路と、を備え、検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体が前記電極に電流印加時に導通しないように設定されている。
【0019】
本発明の一態様に係る機械動作装置は、機械的な動作機構と、前記動作機構とともに潤滑液を内部に収容するケーシングと、前記潤滑液に混入した導電性粒体を検出する導電性粒体検出装置と、を備え、前記導電性粒体検出装置は、前記潤滑液中に離間して配置される複数の電極と、磁力によって隣り合う前記電極の間に前記潤滑液中の導電性粒体を集める永久磁石と、隣り合う前記電極の間の電気抵抗を基にして、検出対象の導電性粒体を検出する検出回路と、を備え、隣り合う前記電極の間で前記導電性粒体に作用する前記永久磁石による吸着力は、検出対象の前記導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体が前記電極に電流印加時に導通しないように設定されている。
【発明の効果】
【0020】
上述の導電性粒体検出装置の場合、隣り合う電極間では、検出対象の導電性粒体よりも粒径の小さい微小粒径の導電性粒体の周囲に、潤滑液が非導電層として残存するようになる。このため、微小粒径の導電性粒体である初期摩耗粉が隣り合う電極の間に集まっても、初期摩耗粉の周囲の非導電層の機能により、検出回路が誤検出するのを防止することができる。したがって、上述の導電性粒体検出装置を採用した場合には、電極間のギャップの拡大や導電性粒体の捕集空間の拡大を抑制できることから、装置の大型化や設計の自由度の低下を抑制しつつ、検出対象の導電性粒体を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態の減速機(機械動作装置)の部分断面側面図。
図2】第1実施形態の導電性粒体検出装置の部分断面斜視図。
図3図2のIII-III線に沿う断面図。
図4】第1実施形態の導電性粒体検出装置の機能を示す模式的な断面図。
図5】鉄粉の粒径と永久磁石による吸着力の関係を示すグラフ。
図6】第2実施形態の導電性粒体検出装置の模式的な断面図。
図7】第3実施形態の導電性粒体検出装置の斜視図。
図8図7に示す導電性粒体検出装置を図7のVIII-VIII線に沿って断面にした部分断面斜視図。
図9】第4実施形態の導電性粒体検出装置の斜視図。
図10図9に示す導電性粒体検出装置を図9のX-X線に沿って断面にした部分断面斜視図。
図11図9に示す導電性粒体検出装置の図9のXI-XI線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
【0023】
図1は、機械動作装置の一形態である減速機10の部分断面側面図である。
減速機10は、入力回転を所定の減速比に減速する減速機構部11と、減速機構部11を内部に収容するケーシング12と、を備えている。ケーシング12の内部には、減速機構部11やその他の機械接触部を潤滑するための潤滑液13が充填されている。また、ケーシング12の壁12aには、導電性粒体検出装置14が取り付けられている。導電性粒体検出装置14は、潤滑液13内に混入した金属粉等の導電性粒体を検出する。
本実施形態では、減速機構部11とその他の機械接触部がケーシング12内に配置される機械的な動作機構を構成している。また、ケーシング12に充填される潤滑液は非導電性のものが用いられている。
【0024】
<第1実施形態の構成>
図2は、導電性粒体検出装置14の一部を長手方向に沿って縦断面にした斜視図である。また、図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
導電性粒体検出装置14は、略筒状の装置ボディ16と、装置ボディ16の内部に固定される支持ブロック17と、支持ブロック17に支持されるフレキシブルプリント配線板102(配線)と、を備えている。導電性粒体検出装置14は、さらにフレキシブルプリント配線板102の長手方向の一端側に中継片4を介して接続される四つの永久磁石3と、フレキシブルプリント配線板102の長手方向の他端側に接続される検出基板18と、を備えている。
【0025】
装置ボディ16は、減速機10のケーシング12(図1参照)に、ケーシング12の壁12aを貫通して取り付けられる。装置ボディ16は、例えば、金属によって形成されている。装置ボディ16は、ケーシング12の壁12aを貫通するねじ孔に締め込み固定される円筒状の固定筒16aと、固定筒16aの端部(ケーシング12の外側に配置される側の端部)に一体に形成されたフランジ部16bと、を有している。
【0026】
固定筒16aの外周面には、減速機10側のねじ孔に締め込まれる雄ねじ19が形成されている。フランジ部16bの外側の端面(ケーシング12の外側に向く側の端面)には、有底筒状の装置カバー20が締結部材であるボルト21によって固定されている。装置カバー20とフランジ部16bの間は、封止部材である円板状のグロメット5によって密閉されている。グロメット5は、フレキシブルプリント配線板102の絶縁層の一部と一体に形成されている。フレキシブルプリント配線板102は、グロメット5を厚み方向に貫通するようにグロメット5と一体化されている。
【0027】
グロメット5の外側の端面(ケーシング12の外側に向く側の端面)には、検出基板18が取り付けられている。検出基板18の外側は、装置カバー20によって覆われている。また、グロメット5は、外周縁部が装置カバー20とフランジ部16bとに挟み込まれて、両者に固定されている。グロメット5は、減速機10のケーシング12の内側の潤滑液充填空間22(図1参照)と、検出基板18の配置される検出空間23(装置カバー20の内側の空間)との間を密閉する。
【0028】
支持ブロック17は、樹脂材料によって四角柱状に形成されている。支持ブロック17は、長手方向の一端側(以下、「基部側」と呼ぶ。)が装置ボディ16の内側に固定されている。支持ブロック17は、固定筒16aの軸方向に沿うように配置されている。支持ブロック17の長手方向の他端側(以下、「先端側」と呼ぶ。)は、装置ボディ16の固定筒16aよりも外側に突出している。
【0029】
支持ブロック17の先端側の外周面と端面は、有底筒状の検出部カバー24によって覆われている。検出部カバー24は、樹脂材料によって一体に形成されている。検出部カバー24は、四つの検出窓25を有する周壁24aと、周壁24aの軸方向の端部を閉塞する端部壁24bと、を備えている。周壁24aの四つの検出窓25は、周壁24aの外周上のほぼ90°離間した位置に等間隔に配置されている。各検出窓25は、正面視が略矩形状に形成されている。また、各検出窓25の、周壁24aの円周方向に沿う両側の縁部には、径方向外側に向かって開口面積が漸増するようにテーパ面25aが設けられている。
【0030】
検出部カバー24は、端部壁24bが支持ブロック17の先端側の端面にリベット止めされている。なお、図中の符号26は、検出部カバー24を支持ブロック17に固定するためのリベットである。
【0031】
図2に示すように、フレキシブルプリント配線板102は、導通部の一端側が検出基板18に接続される基部102bと、基部102bから四方向に分岐し、四方向に分岐した各導通部の端部が対応する各中継片4に接続される分岐部102cと、を有している。フレキシブルプリント配線板102の基部102bは、グロメット5を厚み方向に貫通している。基部102bから分岐した四つの分岐部102cは、支持ブロック17の外周上の四面に夫々沿わせて配置されている。支持ブロック17の外周の四面には、支持ブロック17の長手方向に沿うように支持溝27(図3参照)が形成されている。各分岐部102cは、支持ブロック17の各面において支持溝27に支持されている。
【0032】
各分岐部102cの先端側の端子部(導通部)には、金属磁性体製の略矩形状の中継片4が導電性の接着剤や半田付け等によって接続されている。各中継片4は、支持ブロック17の先端側において、分岐部102cとともに各支持溝27に支持されている。各中継片4のうちの、支持ブロック17の外周側に向く平坦な面には、対応する永久磁石3が磁力によって吸着固定されている。各永久磁石3は、導電性を有し、フレキシブルプリント配線板102の導通部と検出基板18を通して図示しない電源に接続されている。
本実施形態の場合、支持ブロック17の外周上で隣り合う複数の永久磁石3は、電源に接続されることによって抵抗検出用の電極を構成している。ただし、電極は、永久磁石3と別に設けることも可能である。
【0033】
支持ブロック17の先端側の各面に上述のようにして中継片4と永久磁石3が取り付けられると、その後に、支持ブロック17の先端側に検出部カバー24が取り付けられる。検出部カバー24は、四つの検出窓25の内側に(周壁24aの径方向についての内側に)対応する四つの永久磁石3が位置されるように位置合わせされる。検出部カバー24はこの状態において、支持ブロック17の端面にリベット止めされる。なお、このとき、検出部カバー24の周壁24aの端面(端部壁24bと逆側の端面)は、装置ボディ16の固定筒16aの端面に突き当てられる。
【0034】
上述ように組み立てられた導電性粒体検出装置14は、減速機10のケーシング12の壁12aのねじ孔に先端側(永久磁石3の側)が挿入され、その状態で装置ボディ16の固定筒16aがねじ孔に締め込まれて固定される。この状態で減速機10のケーシング12内に潤滑液13が充填されると、複数の永久磁石3と検出部カバー24は潤滑液13内に没することになる。
【0035】
検出基板18は検出回路を備えている。検出基板18の検出回路は、支持ブロック17の外周上で隣り合う複数の永久磁石3の間の電気抵抗を検出する。支持ブロック17の外周上にある複数の永久磁石3は、図3に示すように相互に離間している。このため、潤滑液13内に没した初期状態では、隣り合う永久磁石3の間の抵抗値は無限大となる。この状態から減速機10の使用に伴って潤滑液13内に混入する金属粉(導電性粒体)の量が増大すると、潤滑液13に混入している金属粉が導電性粒体検出装置14の複数の永久磁石3によって吸引される。こうして吸引された金属粉は、検出部カバー24の検出窓25を通して各永久磁石3の表面に吸着するとともに、永久磁石3の磁力によって検出部カバー24の外周面にも吸着する。
【0036】
潤滑液13内の金属粉の混入量が増大すると、その混入量の増大とともに検出部カバー24の外周面の金属粉の吸着量も増大する。検出部カバー24の外周面の金属粉の吸着量がある量よりも増大すると、隣り合う永久磁石3の間の抵抗値が規定値以下に低下し、そのことが検出基板18によって検出される。検出基板18をコントローラを介して表示装置や警告装置に接続しておけば、減速機10内の金属粉が規定量以上に増大したことを作業者等に知らせることができる。
【0037】
ここで、金属粉に作用する永久磁石3の吸着力は、永久磁石3の磁力、検出部カバー24上での隣り合う永久磁石3間の距離で決定される。また、金属粉に作用する永久磁石3の吸着力は、潤滑液13の粘度等の要素にも影響を受ける。本実施形態の導電性粒体検出装置14では、以下の条件(a)を満たすように、上記の各要素の調整により金属粉に対する吸着力が設定されている。
条件(a)…検出対象の金属粉(導電性粒体)よりも粒径の小さい微小粒径の金属粉(導電性粒体)の周囲には、潤滑液13が非導電層として残存する。
なお、条件(a)中の「検出対象の金属粉」は、通常使用に伴う機械部品の摩耗粉や破損片であり、その粒径は、10μm以上、望ましくは、20μm以上である。また、条件(a)中の「微小粒径の金属粉」は、減速機10を初めて使用する際に発生する初期摩耗粉であり、その粒径は、10μm未満、望ましくは、2μm未満である。
【0038】
図4は、導電性粒体検出装置14の機能を示す同装置14の模式的な断面図である。図4(A)は、導電性粒体検出装置14が微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)を吸着している様子を示しており、図4(B)は、導電性粒体検出装置14が検出対象の金属粉Ml(初期摩耗粉以外の摩耗粉(破損片も含む))を吸着している様子を示している。
なお、図4中の符号50は、隣り合う二つの電極51a,51b(永久磁石3)間の電気抵抗を検出するための検出回路である。また、符号52は、電源であり、符号53は、検出回路50内における抵抗検出部である。図4(A)中の抵抗検出部53に記載された「OFF」は、検出抵抗が所定値よりも大きく、検出対象の金属粉Mlが検出されない状態を意味し、図4(B)中の抵抗検出部53に記載された「ON」は、検出抵抗が所定値以下で、検出対象の金属粉Mlが検出された状態を意味している。
【0039】
本実施形態の導電性粒体検出装置14は、上記の条件(a)を満たすように、金属粉に対する永久磁石3の吸着力が設定されているため、図4(A)に示すように、微小粒径の金属粉Msの周囲には、潤滑液13が非導電層として残存する。このため、隣り合う二つの電極51a,51bの間に微小粒径の金属粉Msが吸引されて堆積したとしても、金属粉Msの間が非導通状態となるため、二つの電極51a,51b間の抵抗値は所定値以下とならない(検出対象の金属粉Mlとして誤検出されない)。
【0040】
また、本実施形態の導電性粒体検出装置14は、上記の条件(a)を満たすように、金属粉に対する永久磁石3の吸着力が設定されているため、図4(B)に示すように、検出対象の金属粉Mlの周囲の全域が、潤滑液13によって完全に被覆されることがない。
図5は、鉄粉粒径(金属粉の粒径)と永久磁石3による吸着力との関係を示すグラフである。図5のグラフに示すように、金属粉(鉄粉)は、粒径が大きいほど永久磁石3から受ける吸着力が大きくなり、10μm以上の粒径の金属粉は、10μmに満たない粒径の金属粉(特に、2μ未満の粒径の金属粉)に比較して吸着力が極めて大きくなる。このため、検出対象の金属粉Mlは、永久磁石3による大きな吸着力を受ける。この結果、検出対象の金属粉Ml同士は、潤滑液13の膜を押し退けて直接接触する。したがって、隣り合う二つの電極51a,51bの間に検出対象の金属粉Mlが吸引されて堆積すると、金属粉Mlの間が導通状態となり、二つの電極51a,51b間の抵抗値は所定値以下となる(検出対象の金属粉Mlが検出される)。
【0041】
ところで、機械動作装置である減速機10を初めて使用する際に発生する初期摩耗粉は、粒径が10μm未満(通常2μm未満)の微細な金属粉(微小粒径の金属粉Ms)であるが、この金属粉は使用開始初期に発生するものであることから、導電性粒体検出装置14の電極51a,51bや検出部カバー24(図2図3参照)の表面には、下層となって使用初期段階で付着する。一方、減速機10の通常使用時に発生する摩耗粉や破損片等の金属粉(検出対象の金属粉Ml)は、必然的に初期摩耗粉の上に上層となって付着する。この金属粉は、初期摩耗粉の上側に堆積するものの、粒径が大きく前述のように永久磁石3から大きな吸着力を受けるため、初期摩耗粉の上側からでも確実に吸着される。したがって、減速機10で発生した検出対象の金属粉Mlは、導電性粒体検出装置14によって確実に検出される。
【0042】
<第1実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の導電性粒体検出装置14は、検出対象の金属粉Ml(10μm以上の粒径の金属粉)よりも粒径の小さい微小粒径の金属粉Ms(10μm未満の粒径の金属粉)の周囲に潤滑液13が非導電層として残存するように、永久磁石3による吸着力が設定されている。このため、隣り合う電極51a,51b間の検出ギャップでは、微小粒径の金属粉(粒径が10μm未満の金属粉)である初期摩耗粉の周囲に、潤滑液が非導電層として残存するようになる。この結果、所定量以上の初期摩耗粉が隣り合う電極51a,51bの間の検出ギャップに集まっても、その初期摩耗粉は、検出対象の金属粉Mlとして検出回路50によって検出されなくなる。また、このとき粒径の小さい初期摩耗粉に対する吸着力は比較的弱いため、電極51a,51bの間の検出ギャップに集まる初期摩耗粉の量も少なく抑えられる。
したがって、本実施形態の導電性粒体検出装置14を採用した場合には、電極51a,51b間の検出ギャップの拡大や金属粉の捕集空間の拡大を抑制できることから、装置の大型化や設計の自由度の低下を抑制しつつ、検出対象の金属粉Mlを確実に検出することができる。
【0043】
<第2実施形態の構成>
図6は、本実施形態の導電性粒体検出装置114の機能を示す模式的な断面図である。図6(A)は、導電性粒体検出装置114が減速機10(機械動作装置)の使用開始初期に微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)を吸着した状態を示しており、図6(B)は、導電性粒体検出装置114がその後に検出対象の金属粉Mlを吸着した状態を示している。
本実施形態の導電性粒体検出装置114は、基本的な構成は第1実施形態と同様である。ただし、電極151a,151bの構成は、第1実施形態のものと異なっている。
【0044】
電極151a,151bは、導電性の永久磁石3から成る本体部30と、本体部30に接触状態で取り付けられた導電性の突起部材31(突部)と、を備えている。隣り合う電極151a,151bは、互いの極性が異なるだけで同様の構造とされている。本体部30は、略矩形状に形成され、第1実施形態の電極51a,51bと同様に、検出部カバー24の検出窓25内に配置されている。本体部30の平坦な面は、検出窓25を通して外部(潤滑液13の充填空間)に臨んでいる。各電極151a,151bの本体部30は、検出回路50の電源52と抵抗検出部53とに電気的に接続されている。
【0045】
突起部材31は、本体部30の外部(潤滑液の充填空間)に臨む側の面である主面に、例えば、導電性の接着剤等によって固定されている。突起部材31は、本体部30の主面の一部から外部に向かって突出している。突起部材31の突出方向と直交する方向の断面は、本体部30の主面に対して充分に小さく設定されている。
本実施形態の突起部材31は、真鍮、アルミニウム、銅等の導電性の非磁性体によって形成されている。このため、突起部材31は、永久磁石3から成る本体部30に接して設けられているものの、金属粉を直接吸着することはない。
【0046】
また、本体部30を構成する永久磁石3の磁力は、電極151a,151bに付着して堆積する微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)が、突起部材31を完全に覆わない範囲で飽和して周囲に離散するように設定されている。このため、図6(A)に示すように、潤滑液13中の微小粒径の金属粉Msが隣り合う電極151a,151b間に集まって堆積するときには、堆積した金属粉Msが突起部材31を完全に覆う前に、新たな金属粉Msが磁力によって拘束されなくなり、潤滑液中に離散するようになる。
【0047】
本実施形態の導電性粒体検出装置14の場合も、隣り合う複数の永久磁石3(電極151a,151b)の間に作用する金属粉に対する吸着力は、第1実施形態の説明で述べた条件(a)を満たすように設定されている。このため、隣り合う電極151a,151b間に集まった微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)の周囲には、潤滑液13が非導電層として残存する。したがって、図6(A)に示すように、微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)のみが隣り合う電極151a,151b間に集まった場合には、隣り合う電極151a,151b間の電気抵抗は所定値以下にならない。このため、抵抗検出部53は、検出対象の金属粉Mlが所定以上に発生したものと誤検出することはない。
【0048】
また、図6(B)に示すように、初期摩耗粉(微小粒径の金属粉Ms)の堆積が終わり、検出対象の金属粉Mlが隣り合う電極151a,151b間にある程度以上堆積されると、電極151a,151b間が検出対象の金属粉Mlによって導通する。この結果、電極151a,151b間の電気抵抗が所定値以下となり、抵抗検出部53は、検出対象の金属粉Mlの発生を検出する。このとき、各電極151a,151bの突起部材31は、少なくとも一部が初期摩耗粉(微小粒径の金属粉Ms)の外側に突出しているため、検出対象の金属粉Mlの存在を確実に検出することができる。
【0049】
<第2実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の導電性粒体検出装置114は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、第1実施形態の導電性粒体検出装置14と同様の基本的な効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態の導電性粒体検出装置114は、微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)が付着して堆積する電極151a,151bの本体部30の主面に、当該主面から外側に突出する導電性の突起部材31(突部)が取り付けられている。このため、微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)が電極151a,151bの本体部30の主面にある程度付着して堆積することがあっても、導電性の突起部材31の少なくとも一部が堆積した金属粉Ms(初期摩耗粉)の外側に突出する。
したがって、本実施形態の導電性粒体検出装置114を採用した場合には、電極151a,151bの通電部が微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)によって完全に埋もれ、検出対象の金属粉(10μm以上の粒径の金属粉)の付着を検出回路50によって検出できなくなるのを未然に防止することができる。
なお、上記の実施形態では、永久磁石3からなる電極151a,151bの本体部30に別体の突起部材31を取り付けているが、電極151a,151bの主面から突出する突部を同じ永久磁石3によって一体に形成することも可能である。
【0051】
ただし、本実施形態の導電性粒体検出装置114は、本体部30と別体の突起部材31が非磁性の導体によって形成されているため、突起部材31が本体部30(永久磁石)の磁力を受けて磁化されることがない。このため、電極151a,151bの本体部30から突出した突起部材31に微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)が付着するのを抑制することができる。
したがって、本実施形態の導電性粒体検出装置114を採用した場合には、突起部材31が微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)によって埋もれ、検出対象の金属粉Ml(10μm以上の粒径の金属粉)の付着を検出回路50によって検出できなくなるのをより確実に防止することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の導電性粒体検出装置114は、電極151a,151bに付着して堆積する微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)が、突起部材31を完全に覆わない範囲で飽和して潤滑液13中に離散するように永久磁石3の磁力が設定されている。このため、電極151a,151bの通電部が初期摩耗粉によって完全に埋もれ、検出対象の金属粉Mlの付着を検出回路50によって検出できなくなるのをより確実に防止することができる。
【0053】
また、本実施形態の導電性粒体検出装置114を仕様の異なる複数種類の減速機10(機械動作装置)で用いる場合には、発生する金属粉の量が最大のものにおいて、電極151a,151bに付着して堆積する微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)が、突起部材31を完全に覆わない範囲で飽和するように永久磁石3の磁力を設定することが望ましい。この場合、永久磁石3の磁力等の設定を変更することなく、共通の導電性粒体検出装置114を全ての減速機10(機械動作装置)でそのまま用いることができる。すなわち、金属粉の付着量の最も多い仕様の減速機10(機械動作装置)において、電極151a,151bの突起部材31が微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)で埋もれない設定としておけば、それよりも金属粉の付着量の少ない他の仕様の減速機10(機械動作装置)では、電極151a,151bの突起部材31が微小粒径の金属粉Ms(初期摩耗粉)で埋もれることがない。
したがって、本構成を採用した場合には、共通の導電性粒体検出装置114を複数の仕様の減速機10(機械動作装置)でそのまま用いることができるため、導電性粒体検出装置114を効率良く生産することができる。
【0054】
<第3実施形態の構成>
図7は、本実施形態の導電性粒体検出装置214の斜視図であり、図8は、図7に示す導電性粒体検出装置214をVIII-VIII線に沿って断面にした部分断面斜視図である。
本実施形態の導電性粒体検出装置214は、基本的な構成は第2実施形態とほぼ同様である。ただし、電極151a,151bの一部を構成する突起部材131の形状と、突起部材131の設置の仕方(固定の仕方)が第2実施形態のものと異なっている。
【0055】
各電極151a,151bは、永久磁石3から成る矩形板状の本体部30と、本体部30の主面(外側に向く面)に接する突起部材231(突部)と、から成る。突起部材231は、真鍮、アルミニウム、銅等の導電性の非磁性体によって形成されている。突起部材231は、一定幅の矩形板状の延出部32と、延出部32の幅方向と直交する延び方向の一端側(以下、「基部側」と呼ぶ。)に設けられたフランジ部33と、を有する。板状の突起部材231は、延出部32の幅方向が支持ブロック17の軸方向に沿うように配置され、フランジ部33の端面が本体部30の平坦な主面に当接している。
【0056】
本実施形態では、支持ブロック17の先端側の外周に取り付けられる樹脂製の検出部カバーが、基部側の第1検出部カバー224Aと、先端側の第2検出部カバー224Bと、から構成されている。第1検出部カバー224Aと第2検出部カバー224Bはいずれも円筒状に形成され、支持ブロック17の外周側を覆うように支持ブロック17に取り付けられている。
【0057】
第1検出部カバー224Aの周壁40の先端側(第2検出部カバー224Bと対向する側)の縁部には、略矩形状の四つの切欠き部41が周方向に等間隔に離間して形成されている。各切欠き部41は、四つの永久磁石3(電極151a,151bの四つの本体部30)とほぼ重なる位置に形成されている。周壁40のうちの各切欠き部41の底部に相当する部位には、第1検出部カバー224Aの軸方向に沿うように所定幅のスリット41aが形成されている。この各スリット41aには、突起部材231の延出部32が嵌合される。延出部32は、スリット41aを周壁40の径方向内側から外側に貫通するようにしてスリット41aに嵌め入れられる。また、第1検出部カバー224Aの周壁40のうちの各スリット41aの近傍部には、周壁40の内周面側を平坦に切り欠いた押さえ溝35が形成されている。各押さえ溝35には、突起部材131のフランジ部33の一部が嵌め入れられる。各押さえ溝35の深さ(周壁40の径方向についての深さ)は、フランジ部33の一部が押さえ溝35に嵌め入れられた状態で、突起部材231が電極151a,15bの本体部30の主面に充分な力で押圧されるように設定されている。
【0058】
第2検出部カバー224Bの周壁42の基部側(第1検出部カバー224Aと対向する側)の縁部には、軸方向に突出する四つの略矩形状の遮蔽壁43が一体に形成されている。四つの遮蔽壁43は、周壁42の周方向に等間隔に離間して形成されている。四つの遮蔽壁43は、第1検出部カバー224A側の四つの切欠き部41に当該切欠き部41を閉塞するように挿入される。各遮蔽壁43の延出端側の縁部は、電極151a,151bの本体部30に対向する側の面が一部肉抜きされている。この肉抜きされた部分の内側には、突起部材231のフランジ部33の残余の一部が配置される。
【0059】
電極151a,151bの各突起部材231は、例えば、以下のようにして対応する本体部30(永久磁石3)の主面に接触状態で固定される。
支持ブロック17の先端側の外周面には、予め、第1検出部カバー224Aと電極151a,151bの各本体部30(永久磁石3)を取り付けておく。次に、この状態において、第1検出部カバー224Aの各スリット41a内に突起部材231の延出部32を嵌め入れ、かつ、周壁40の押さえ溝35内に突起部材231のフランジ部33の一部を嵌め入れる。このとき、突起部材231のフランジ部33の一部は、押さえ溝35によって径方向内側に押し付けられ、突起部材231の基端(フランジ部33)が本体部30(永久磁石3)に対して押圧状態とされる。この結果、突起部材231は、本体部30(永久磁石3)の外面に対し起立姿勢のまま接触状態で固定される。
【0060】
この後、第2検出部カバー224Bが支持ブロック17の先端側の外周面に装着され、第2検出部カバー224Bの各遮蔽壁43が、第1検出部カバー224Aの対応する切欠き部41内に挿入される。このとき、各突起部材231のフランジ部33の残余の一部は、第2検出部カバー224Bの周壁42の肉抜き部分に受容される。この後、第2検出部カバー224Bは金属係止片45(図8参照)による係止等の適宜手段によって支持ブロック17に固定される。
【0061】
<第3実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の導電性粒体検出装置214は、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、第2実施形態の導電性粒体検出装置114と同様の基本的な効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態の導電性粒体検出装置214は、電極151a,151bの本体部30(永久磁石3)から外側に突出する突起部材231が第1検出部カバー224Aの押さえ溝35によって径方向内側に押さえ込まれ、それによって突起部材231が電極151a,151bの本体部30に押圧されている。このため、本実施形態の導電性粒体検出装置214を採用した場合には、電極151a,151bの本体部30と突起部材231の間の当接状態が不安定になり、隣り合う電極151a,151bの突起部材231間の電圧が低下するのを簡単な構成によって抑制することができる。
【0063】
<第4実施形態の構成>
図9は、本実施形態の導電性粒体検出装置314の斜視図であり、図10は、図9に示す導電性粒体検出装置314をX-X線に沿って断面にした部分断面斜視図である。また、図11は、導電性粒体検出装置314の図9のXI-XI線に沿う断面図である。
本実施形態の導電性粒体検出装置314は、基本的な構成は第3実施形態とほぼ同様である。本実施形態の導電性粒体検出装置314は、支持ブロック17の先端側の外周に取り付けられる第1検出部カバー324Aと第2検出部カバー324Bの構造、特に、電極151a,151bの突起部材231(突部)に対する係止部の構造が第3実施形態のものと大きく異なっている。
【0064】
各電極151a,151bは、第3実施形態と同様に、永久磁石3から成る矩形板状の本体部30と、本体部30の主面(外側に向く面)に接する突起部材231(突部)と、から成る。突起部材231は、真鍮、アルミニウム、銅等の導電性の非磁性体によって形成されている。突起部材231は、延出部32と、フランジ部33と、を有する。
【0065】
第1検出部カバー324Aと第2検出部カバー324Bはいずれも概略円筒状に形成され、支持ブロック17の外周側を覆うように支持ブロック17に取り付けられている。
第1検出部カバー324Aの周壁には、八つの分割スリット65が周方向に離間して形成されている。各分割スリット65は、第1検出部カバー324Aの基部側(第2検出部カバー324Bと離間する側)の円筒部64を残し、当該円筒部64から軸方向に沿って先端部側(第2検出部カバー324Bと近接する側)に向かって延びている。各分割スリット65の端部は、第1検出部カバー324Aの先端部側に開口している。八つの分割スリット65は、第1検出部カバー324Aの周壁のうちの、円筒部65aを除く領域を、軸方向に延びる八つの板状片に分割している。八つの板状片のうちの四つは、電極151a,151bの突起部材231を係止する係止片66を構成している。八つの板状片のうちの残余の四つの板状片は、突起部材231を係止せずに支持ブロック17の外側を覆う覆い片67を構成している。係止片66と覆い片67とは、第1検出部カバー324Aの外周部において、交互に並んで配置されている。各係止片66は、支持ブロック17周りの円周方向において、支持ブロック17上の四つの永久磁石3(電極151a,151bの四つの本体部30)とほぼ重なる位置に形成されている。
【0066】
四つの覆い片67は、円筒部64と略同径(略同内外径)の略円弧状の断面形状に形成されている。これに対し四つの係止片66は、平坦な板状の断面形状に形成されている。係止片66の厚みは、覆い片67の厚みよりも薄く設定されている。各係止片66の延び方向の先端側の端面には、第1検出部カバー324Aの軸方向に沿うように所定幅のスリット68が形成されている。
【0067】
各係止片66のスリット68には、突起部材231の延出部32が嵌合される。延出部32は、スリット68を係止片66の径方向内側から外側に貫通するようにしてスリット68に嵌め入れられる。係止片66の延び方向の先端側領域の裏面は、突起部材231のフランジ部33の一部を押さえ込むための押さえ面69とされている。押さえ面69は、突起部材231の延出部32がスリット68に嵌め入れられたときに、突起部材231のフランジ部33の一部を、電極151a,151bの本体部30の主面との間で押さえ込む。
【0068】
なお、係止片66の裏面(押さえ面69)と、その係止片66に対向する本体部30の主面の間の隙間は、フランジ部33の厚みよりも狭く設定されている。係止片66は、係止片66のスリット68に突起部材231の延出部32が押し込まれるときに、全体が板厚方向に弾性変形することにより、係止片66と本体部30の間の隙間へのフランジ部33の挿入を許容する。
【0069】
第2検出部カバー324Bの周壁の基部側(第1検出部カバー324Aと対向する側)の縁部は、電極151a,151bの本体部30に対向する側の面が一部肉抜きされている。この肉抜きされた部分の内側には、突起部材231のフランジ部33の残余の一部が配置される。
【0070】
電極151a,151bの各突起部材231は、以下のようにして対応する本体部30(永久磁石3)の主面に接触状態で固定される。
支持ブロック17の先端側の外周面には、第1検出部カバー324Aと電極151a,151bの各本体部30(永久磁石3)を取り付けておく。この状態において、第1検出部カバー324Aの各係止片66のスリット68に突起部材231の延出部32を嵌め入れ、かつ、各係止片66の先端側の押さえ面69と電極151a,151bの本体部30の間の隙間に突起部材231のフランジ部33の一部を嵌め入れる。このとき、係止片66を前述のように板厚方向に弾性変形させる。この結果、突起部材231のフランジ部33の一部は、押さえ面69によって径方向内側に押し付けられ、突起部材231の基端(フランジ部33)が本体部30(永久磁石3)に対して押圧状態とされる。突起部材231は、本体部30(永久磁石3)の外面に対し起立姿勢のまま接触状態で固定される。
【0071】
この後、第2検出部カバー324Bが支持ブロック17の先端側の外周面に装着される。このとき、各突起部材231のフランジ部33の残余の一部は、第2検出部カバー324Bの肉抜き部分に受容される。この後、第2検出部カバー224Bは金属係止片45による係止等の適宜手段によって支持ブロック17に固定される。
【0072】
<第4実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の導電性粒体検出装置314は、基本的な構成は第3実施形態と同様であるため、第3実施形態の導電性粒体検出装置214と同様の基本的な効果を得ることができる。
【0073】
ただし、本実施形態の導電性粒体検出装置314は、第1検出部カバー324Aに軸方向に延びる係止片66が設けられ、その係止片66に、突起部材231を支持するためのスリット68と押さえ面69とが設けられている。このため、突起部材231を第1検出部カバー324Aと永久磁石151a,151bの本体部30に間に挟み込んで固定する際に、係止片66を板厚方向に弾性変形させることにより、容易に固定作業を行うことができる。また、突起部材231を固定する際に、第1検出部カバー324Aの一部に不要な歪が生じるのを回避することができる。
【0074】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態の導電性粒体検出装置は、駆動源の回転速度を減速する減速機で適用されているが、導電性粒体検出装置を適用する機械動作装置は減速機に限定されるものではなく、機械的な動作機構がケーシング内に収容されるものであれば、減速機構を持たない他の動作装置であっても良い。
また、上記の各実施形態の導電性粒体検出装置は、機械動作装置で発生する金属粉を検出しているが、機械動作装置の動作機構の少なくとも一部が金属以外の導電性材料によって形成される場合には、その導電性材料の粒子も検出することができる。
さらに、上記の実施形態では、10μm以上の粒径の金属粉(導電性粒体)が検出対象の金属粉(導電性粒体)とされているが、検出対象の金属粉(導電性粒体)は20μm以上の粒径の金属粉(導電性粒体)としても良い。この場合、永久磁石による吸着力は、20μm未満の粒径の金属粉(導電性粒体)の周囲に潤滑液が非導電層として残存するように設定する。このように、永久磁石による吸着力を変更することで、機械動作装置から発生する任意の粒径の導電性粒体を検出対象として検出することができる。
【符号の説明】
【0075】
3…永久磁石、10…減速機(機械動作装置)、11…減速機構部(動作機構)、12…ケーシング、13…潤滑液、14,114,214,314…導電性粒体検出装置、30…本体部、31,131,231…突起部材(突部)、50…検出回路、51a,51b,151a,151b…電極、224A,324A…第1検出部カバー(検出部カバー)。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11