(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139986
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 17/93 20200101AFI20220915BHJP
【FI】
G01S17/93
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040599
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】幸田 健志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 将大
(72)【発明者】
【氏名】後藤田 明
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 邦雄
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AB16
5J084AC03
5J084BA03
5J084BA40
5J084BA50
5J084CA03
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】接岸に関する正確な情報を好適に取得可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置1のコントローラ13は、対象船舶に設けられた計測装置であるライダ3による接岸場所を計測した計測データを取得する。そして、コントローラ13は、対象船舶の輪郭位置を示す輪郭データDcを取得する。そして、コントローラ13は、計測データと、輪郭データDcとに基づき、対象船舶と接岸場所との距離である対岸距離を算出する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得する計測データ取得手段と、
前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得する輪郭データ取得手段と、
前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する算出手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記輪郭データが示す複数の輪郭ポイントと、前記計測データに基づく複数の対象計測点との距離に基づき、前記対岸距離を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記複数の輪郭ポイントの各々に対する最近傍点を前記複数の対象計測点から探索し、探索した前記最近傍点に基づき前記対岸距離を算出する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記計測データが示す計測点をフィルタリングにより選択又は統合することで前記対象計測点を決定するフィルタリング手段をさらに有する、請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記フィルタリング手段は、前記計測装置が計測を行う垂直方向のライン毎に、前記計測装置の位置から最も近い計測点を前記対象計測点として選択する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記輪郭データ取得手段は、前記接岸場所に近づく前に前記計測装置が生成した計測データに基づき、前記輪郭データを生成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記輪郭データ取得手段は、前記計測装置が計測を行う垂直方向のライン毎に最も計測距離が長い前記計測データの計測点を前記船舶の輪郭ポイントとした前記輪郭データを生成する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記算出手段は、前記複数の輪郭ポイントの各々に対する最近傍点を前記複数の対象計測点から探索し、前記複数の輪郭ポイントの各々と前記最近傍点との距離の平均値に基づき、前記船舶が前記接岸場所に接近する接岸速度を算出する、請求項2~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記算出手段は、前記複数の輪郭ポイントの各々に対する最近傍点を前記複数の対象計測点から探索し、前記複数の輪郭ポイントの各々から対応する前記最近傍点までのベクトルの平均に基づき、前記船舶の前記接岸場所への進入角度を算出する、請求項2~5、8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する制御方法であって、
船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得し、
前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得し、
前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する、
制御方法。
【請求項11】
船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得し、
前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得し、
前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶の接岸時の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、船舶の接岸(着岸)に関する支援を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、船舶の自動接岸を行う自動接岸装置において、ライダから照射される光が接岸位置の周囲の物体に反射してライダにより受光できるように、船舶の姿勢を変化させる制御を行う手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接岸場所への船舶の自動接岸などの高度な接岸支援を行う場合には、接岸場所に対する対岸距離等を正確に把握する必要がある。一方、特許文献1には、接岸場所に対する正確な対岸距離等を算出する手法については開示されていない。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、接岸に関する正確な情報を好適に取得可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、
船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得する計測データ取得手段と、
前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得する輪郭データ取得手段と、
前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する算出手段と、
を有する情報処理装置である。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、
コンピュータが実行する制御方法であって、
船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得し、
前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得し、
前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する、
制御方法である。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、
船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得し、
前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得し、
前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】輪郭データにより特定される輪郭ポイントを船舶座標系において示した図である。
【
図4】(A)接岸場所に接近した対象船舶の俯瞰図を示す。(B)各輪郭ポイントと最近傍点との対応関係を明示した対象船舶の俯瞰図を示す。
【
図5】(A)処理時刻tにおける輪郭ポイントと最近傍点との対応関係を示す。(B)処理時刻t+1における輪郭ポイントと最近傍点との対応関係を示す。
【
図6】(A)処理時刻tでの対象船舶に対し、最近傍点平均ベクトルを重ねた図である。(B)処理時刻t+1での対象船舶に対し、最近傍点平均ベクトルを重ねた図である。
【
図7】処理時刻tでの対象船舶に対して、最近傍点平均ベクトルを示す矢印と、船舶座標系の基準方向に相当するベクトルと、進入角度を表す矢印とを重ねた図である。
【
図8】輪郭ポイントを生成する際に使用するライダの点群データに含まれる計測点を対象船舶上に重ねた図である。
【
図9】(A)ライダが計測した一部の計測点を、ライダの出射光が照射される仮想的な2次元平面上で表した図である。(B)垂直ラインごとに距離が最も長い計測点のみを船舶座標系において明示した図である。
【
図10】ライダの垂直方向の計測範囲を明示した対象船舶と接岸場所の正面図である。
【
図11】計測点を明示した接岸場所の斜視図である。
【
図13】接岸パラメータの算出処理の概要を表すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示における好適な実施形態によれば、情報処理装置は、船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得する計測データ取得手段と、前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得する輪郭データ取得手段と、前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する算出手段と、を有する。この態様によれば、情報処理装置は、船舶の輪郭を示す輪郭データに基づき、対岸距離を的確に算出することができる。
【0011】
上記情報処理装置の一態様では、前記算出手段は、前記輪郭データが示す複数の輪郭ポイントと、前記計測データに基づく複数の対象計測点との距離に基づき、前記対岸距離を算出する。この態様により、情報処理装置は、対岸距離を好適に算出することができる。
【0012】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記算出手段は、前記複数の輪郭ポイントの各々に対する最近傍点を前記複数の対象計測点から探索し、探索した前記最近傍点に基づき前記対岸距離を算出する。この態様により、情報処理装置は、対岸距離を好適に算出することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、前記計測データが示す計測点をフィルタリングにより選択又は統合することで前記対象計測点を決定するフィルタリング手段をさらに有する。この態様により、情報処理装置は、対象計測点の数を好適に減少させて処理負荷を低減させることができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記フィルタリング手段は、前記計測装置が計測を行う垂直方向のライン毎に、前記計測装置の位置から最も近い計測点を前記対象計測点として選択する。この態様により、情報処理装置は、対象計測点の数を好適に減少させて処理負荷を低減させることができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記輪郭データ取得手段は、前記接岸場所に近づく前に前記計測装置が生成した計測データに基づき、前記輪郭データを生成する。この態様により、情報処理装置は、対岸距離の算出に必要な輪郭データを好適に取得することができる。
【0016】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記輪郭データ取得手段は、前記計測装置が計測を行う垂直方向のライン毎に最も計測距離が長い前記計測データの計測点を前記船舶の輪郭ポイントとした前記輪郭データを生成する。この態様により、情報処理装置は、輪郭データを好適に生成することができる。
【0017】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記算出手段は、前記複数の輪郭ポイントの各々に対する最近傍点を前記複数の対象計測点から探索し、前記複数の輪郭ポイントの各々の前記最近傍点との距離の平均値に基づき、前記船舶が前記接岸場所に接近する接岸速度を算出する。この態様により、情報処理装置は、接岸速度を高精度に算出することができる。
【0018】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記算出手段は、前記複数の輪郭ポイントの各々に対する最近傍点を前記複数の対象計測点から探索し、前記複数の輪郭ポイントの各々から対応する前記最近傍点までのベクトルの平均に基づき、前記船舶の前記接岸場所への進入角度を算出する。この態様により、情報処理装置は、進入角度を高精度に算出することができる。
【0019】
本開示の他の好適な実施形態によれば、コンピュータが実行する制御方法であって、船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得し、前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得し、前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する。コンピュータは、この制御方法を実行することで、対岸距離を的確に算出することができる。
【0020】
本開示の他の好適な実施形態によれば、船舶に設けられた計測装置により接岸場所を計測した計測データを取得し、前記船舶の輪郭を示す輪郭データを取得し、前記計測データと、前記輪郭データとに基づき、前記船舶と前記接岸場所との距離である対岸距離を算出する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。コンピュータは、このプログラムを実行することで、対岸距離を的確に算出することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0022】
(1)
運転支援システムの概要
図1は、実施例に係る運転支援システムの概略構成である。運転支援システムは、移動体である船舶と共に移動する情報処理装置1と、当該船舶に搭載されたセンサ群2とを有する。以後では、情報処理装置1と共に移動する船舶を「対象船舶」とも呼ぶ。
【0023】
情報処理装置1は、センサ群2と電気的に接続し、センサ群2に含まれる各種センサの出力に基づき、情報処理装置1が設けられた対象船舶の運転支援を行う。運転支援には、自動接岸(着岸)などの接岸支援も含まれる。ここで、「接岸」とは、岸壁に対象船舶を着ける場合の他、桟橋等の構造体に対象船舶を着ける場合も含まれる。また、以後では、「接岸場所」とは、接岸の対象となる岸壁、桟橋等の構造体の総称であるものとする。情報処理装置1は、対象船舶に設けられたナビゲーション装置であってもよく、船舶に内蔵された電子制御装置であってもよい。
【0024】
センサ群2は、対象船舶に設けられた種々の外界センサ及び内界センサを含んでいる。本実施例では、センサ群2は、ライダ(Lidar:Light Detection and Ranging、または、Laser Illuminated Detection And Ranging)3を少なくとも含んでいる。
【0025】
ライダ3は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対してパルスレーザを出射することで、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を示す3次元の点群データを生成する。この場合、ライダ3は、照射方向を変えながらレーザ光を照射する照射部と、照射したレーザ光の反射光(散乱光)を受光する受光部と、受光部が出力する受光信号に基づくスキャンデータを出力する出力部とを有する。レーザ光を照射する方向(走査位置)ごとに計測されるデータは、受光部が受光したレーザ光に対応する照射方向と、上述の受光信号に基づき特定される当該レーザ光の応答遅延時間とに基づき生成される。なお、ライダ3は、上述したスキャン型のライダに限らず、2次元アレイ状のセンサの視野にレーザ光を拡散照射することによって3次元データを生成するフラッシュ型のライダであってもよい。ライダ3は、本発明における「計測装置」の一例である。
【0026】
(2)
情報処理装置の構成
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、主に、インターフェース11と、メモリ12と、コントローラ13と、を有する。これらの各要素は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0027】
インターフェース11は、情報処理装置1と外部装置とのデータの授受に関するインターフェース動作を行う。本実施例では、インターフェース11は、センサ群2の各センサから出力データを取得し、コントローラ13へ供給する。また、インターフェース11は、例えば、コントローラ13が生成した対象船舶の制御に関する信号を、対象船舶の運転を制御する対象船舶の各構成要素に供給する。例えば、対象船舶は、エンジンや電気モータなどの駆動源と、駆動源の駆動力に基づき進行方向の推進力を生成するスクリューと、駆動源の駆動力に基づき横方向の推進力を生成するスラスターと、船舶の進行方向を自在に定めるための機構である舵等とを備える。そして、自動接岸などの自動運転時には、インターフェース11は、コントローラ13が生成した制御信号を、これらの各構成要素に供給する。なお、対象船舶に電子制御装置が設けられている場合には、インターフェース11は、当該電子制御装置に対し、コントローラ13が生成した制御信号を供給する。インターフェース11は、無線通信を行うためのネットワークアダプタなどのワイヤレスインターフェースであってもよく、ケーブル等により外部装置と接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。また、インターフェース11は、入力装置、表示装置、音出力装置等の種々の周辺装置とのインターフェース動作を行ってもよい。
【0028】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。メモリ12は、コントローラ13が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、コントローラ13が実行するプログラムは、メモリ12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0029】
また、メモリ12には、本実施例において情報処理装置1が実行する処理に必要な情報が記憶される。本実施例では、メモリ12は、対象船舶の輪郭に関する位置データである輪郭データDcを記憶する。輪郭データDcについては後述する。また、メモリ12には、例えば、接岸場所の位置に関する情報を含む地図データが記憶されてもよい。他の例では、メモリ12には、ライダ3が1周期分の計測(走査)を行った場合に得られる点群データに対してダウンサンプリングを行う場合のダウンサンプリングのサイズに関する情報が記憶されてもよい。
【0030】
コントローラ13は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などの1又は複数のプロセッサを含み、情報処理装置1の全体を制御する。この場合、コントローラ13は、メモリ12等に記憶されたプログラムを実行することで、対象船舶の運転支援等に関する処理を行う。
【0031】
また、コントローラ13は、機能的には、接岸パラメータ算出部16を有する。接岸パラメータ算出部16は、接岸場所への接岸に必要なパラメータ(「接岸パラメータ」とも呼ぶ。)の算出を行う。ここで、接岸パラメータには、接岸場所までの距離(対岸距離)、接岸場所への進入角度、接岸場所へ近づく速度(接岸速度)などが含まれる。そして、コントローラ13は、「計測データ取得手段」、「輪郭データ取得手段」、「算出手段」及びプログラムを実行するコンピュータ等として機能する。
【0032】
なお、コントローラ13が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、コントローラ13が実行する処理は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、コントローラ13が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。
【0033】
(3)
輪郭データの構造
輪郭データDcについて説明する。
図3は、輪郭データDcにより特定される輪郭ポイントPoを、対象船舶を基準とした座標系(「船舶座標系」とも呼ぶ。)において示した図である。
【0034】
図3に示すように、輪郭データDcは、対象船舶の輪郭を表す複数個(
図3では、24個)の輪郭ポイントPoが船舶座標系の座標として記録されたデータとなっている。ここで、船舶座標系は、対象船舶の船体を基準とした座標系であり、ここでは、対象船舶の正面(前進)方向を「X
b」座標、対象船舶の側面方向を「Y
b」座標、対象船舶の鉛直方向を「Z
b」座標とする。そして、ライダ3が計測した、ライダ3を基準とした座標系の計測データは、
図3に示す船舶座標系に変換される。なお、移動体に設置されたライダを基準とした座標系の点群データを移動体の座標系に変換する処理については、例えば、国際公開WO2019/188745などに開示されている。
【0035】
なお、輪郭データDcは、コントローラ13により生成されてもよい。この処理については、「(6)輪郭データの生成」のセクションで詳しく説明する。
【0036】
(3)対岸距離の算出
次に、輪郭データDcを用いた対岸距離の算出方法について説明する。概略的には、接岸パラメータ算出部16は、各輪郭ポイントPoに対し、点群データが示す接岸場所の計測ポイント(計測点)のうち距離が最小となる点(「最近傍点」とも呼ぶ。)を探索し、探索した最近傍点に基づき対岸距離を算出する。これにより、接岸パラメータ算出部16は、自己位置推定を行っていない状況においても、対岸距離を的確に算出する。
【0037】
図4(A)は、接岸場所50に接近した対象船舶の俯瞰図を示す。ここでは、説明の便宜上、対象船舶及び接岸場所50を、所定の地点を原点とした水平面上の2次元座標系において表している。対象船舶には、周囲全体を計測できる複数台のライダ3が設けられているが、ここでは接岸場所50の側にある3台のライダ3を対象にして説明する。
図4(A)では、各ライダ3の計測範囲「R1」~「R3」が明示されている。また、輪郭データDcに基づく輪郭ポイントPoと共に、最近傍点の探索対象となる接岸場所50上のライダ3による計測点(「対象計測点Pm」とも呼ぶ。)が明示されている。対象計測点Pmは、ライダ3によりレーザ光が照射されてその反射光がライダ3により受光されることで計測された全ての計測点(被照射点)であってもよく、当該計測点から所定のフィルタリングによる選択又は統合が行われた点であってもよい。
【0038】
この場合、接岸パラメータ算出部16は、全ての輪郭ポイントPoの各々について、輪郭ポイントPoと最も近い対象計測点Pmとなる最近傍点を探索する。
図4(A)では、代表例として、輪郭ポイントPo1とその近傍にある対象計測点Pmとを破線により結び、かつ、輪郭ポイントPo1に対する最近傍点となる対象計測点Pm1と輪郭ポイントPo1とを太線により結んでいる。同様に、他の代表例として、輪郭ポイントPo2とその近傍にある対象計測点Pmとを破線により結び、かつ、輪郭ポイントPo2に対する最近傍点となる対象計測点Pm2と輪郭ポイントPo2とを太線により結んでいる。そして、
図4(A)では、接岸パラメータ算出部16は、24個の輪郭ポイントPoに対応する24個の最近傍点を決定する。以後では、任意の輪郭ポイントPoと当該輪郭ポイントPoに対する最近傍点との距離(即ち太線の長さに相当する距離)を「最近傍点距離」とも呼ぶ。
【0039】
次に、接岸パラメータ算出部16は、全ての輪郭ポイントPoの各々の最近傍点距離のうち最小値となる距離を、対岸距離として決定する。
図4(B)は、各輪郭ポイントPoと最近傍点との対応関係を明示した対象船舶の俯瞰図を示す。ここでは、輪郭ポイントPoとその最近傍点となる対象計測点Pmとの組を破線により結び、当該組のうち最近傍点距離が最小値となる輪郭ポイントPoと対象計測点Pmとの組を太線により結んでいる。
図4(B)の例では、輪郭ポイントPo1とその最近傍点である対象計測点Pm1との最近傍点距離が最小値となるため、接岸パラメータ算出部16は、輪郭ポイントPo1と対象計測点Pm1との距離を、対岸距離として定める。
【0040】
このように、接岸パラメータ算出部16は、輪郭データDcを用いることで、自己位置推定結果等を用いることなく、対岸距離を好適に算出することができる。
【0041】
ここで、対象計測点Pmの決定方法について説明する。
【0042】
まず、接岸パラメータ算出部16は、対象船舶が接岸場所に近づいたことをセンサ群2の出力又はユーザによる外部入力等に基づき検知した場合、対象船舶において接岸場所が存在する方向を計測範囲に含むライダ3が生成する点群データを取得する。この場合、例えば、船舶座標系における各ライダ3の計測範囲に関する情報は、メモリ12等に予め記憶されていてもよい。
【0043】
そして、接岸パラメータ算出部16は、取得した点群データに対し、フィルタリング処理として、例えば、点群データのダウンサンプリングと、レーザ光が水面で反射することで得られたデータ(「水面反射データ」とも呼ぶ。)の除去と、の少なくとも一方を実行する。この場合、まず、接岸パラメータ算出部16は、ライダ3が生成する点群データに対し、水面位置より下方に存在するデータを、水面反射データ(即ち誤検出データ)として除去する。なお、接岸パラメータ算出部16は、例えば、周辺に水面以外の物体が存在しないときにライダ3が生成する点群データの高さ方向の平均値等に基づき、水面位置を推定する。そして、接岸パラメータ算出部16は、水面反射データを除去後の点群データに対し、所定サイズの格子空間毎に計測点を統合する処理であるダウンサンプリングを行う。そして、接岸パラメータ算出部16は、ダウンサンプリング後の点群データにより示される各計測点を上述の対象計測点Pmとみなし、最近傍点の探索及び対岸距離の算出を行う。
【0044】
また、接岸パラメータ算出部16は、水面反射データの除去又は/及びダウンサンプリングに代えて、又はこれに加えて、垂直方向の計測ライン毎に対象計測点Pmを選択する処理を実行してもよい。この処理の詳細については、「(7)最近傍点探索の処理負荷低減手法」のセクションにおいて詳しく説明する。
【0045】
(4)接岸速度の算出
次に、接岸速度の算出方法について説明する。概略的には、接岸パラメータ算出部16は、全ての輪郭ポイントPoに対する最近傍点距離の平均値に基づき、接岸速度を算出する。これにより、接岸パラメータ算出部16は、連続性を保った接岸速度を好適に算出する。
【0046】
図5(A)は、ある処理時刻「t」における輪郭ポイントPoと最近傍点との対応関係を示す図であり、
図5(B)は、処理時刻tの次の処理時刻「t+1」における輪郭ポイントPoと最近傍点との対応関係を示す図である。また、
図5(A)及び
図5(B)では、最近傍点距離が最小値となる輪郭ポイントPoと対象計測点Pmの組を太線により結んでおり、その他の輪郭ポイントPoとその最近傍点である対象計測点Pmとの組を破線により結んでいる。
【0047】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、処理時刻tと処理時刻t+1とでは、最近傍点距離が最小値となる輪郭ポイントPoと対象計測点Pmの組が異なっている。具体的には、処理時刻tでは、輪郭ポイントPo1と対象計測点Pm1との距離が対岸距離(最近傍点距離の最小値)となっており、処理時刻t+1では、輪郭ポイントPo3と対象計測点Pm3との距離が対岸距離となっている。従って、仮に、これらの対岸距離に基づき接岸速度を算出した場合、算出される接岸速度が不連続になる(即ち直前に算出された接岸速度からの変化が急変する)可能性がある。
【0048】
以上を勘案し、接岸パラメータ算出部16は、全ての輪郭ポイントPoに対する最近傍点距離の平均値を、対象船舶の中心から接岸場所までの距離の近似値として算出し、当該平均値の時間変化を、接岸速度として算出する。
【0049】
図6(A)は、処理時刻tでの対象船舶に対し、各輪郭ポイントPoを始点とし対応する最近傍点を終点とするベクトル(破線参照)を平均したベクトル(「最近傍点平均ベクトル」とも呼ぶ。)を示す矢印A1を重ねた図である。各輪郭ポイントPoから対応する最近傍点までのn本のベクトル(破線)を、a
1=[a
1x,a
1y,a
1z]、a
2=[a
2x,a
2y,a
2z]、a
n=[a
nx,a
ny,a
nz]とすると、接岸パラメータ算出部16は、それらの平均ベクトルA1を、以下の式に基づき算出する。
【0050】
【数1】
また、
図6(B)は、処理時刻t+1での対象船舶に対して最近傍点平均ベクトルを示す矢印A1を重ねた図である。
図6(A)及び
図6(B)において矢印A1により示される最近傍点平均ベクトルは、対象船舶の中心から接岸場所50までのベクトルに近似している。
【0051】
そして、接岸パラメータ算出部16は、最近傍点平均ベクトルの長さ(即ち矢印A1の長さ)に相当する最近傍点距離の平均値を以下の式で求める。
【0052】
【数2】
そして、接岸パラメータ算出部16は、最近傍点距離の平均値の時間変化を、接岸速度として算出する。具体的には、接岸パラメータ算出部16は、処理時刻t+1での最近傍点平均ベクトルの長さを処理時刻tでの最近傍点平均ベクトルの長さにより減算した値を、処理時刻tから処理時刻t+1までの時間長により割った値を、処理時刻tから処理時刻t+1までの期間における接岸速度として算出する。これにより、接岸パラメータ算出部16は、接岸速度を好適に算出することができる。
【0053】
(5)
進入角度の算出
図7は、処理時刻tでの対象船舶に対して、最近傍点平均ベクトルを示す矢印A1と、船舶座標系の基準方向(
図3に示す座標軸X
b)に相当するベクトルを示す矢印A2と、進入角度を表す矢印A3とを重ねた図である。
【0054】
接岸パラメータ算出部16は、最近傍点平均ベクトルを示す矢印A1に基づき、正接を規定する2つの引数から逆正接(アーク・タンジェント)を求める関数である「atan2」を用いて、以下の式により矢印A3に示される進入角度「θ」を算出する。
【0055】
【数3】
この場合、接岸パラメータ算出部16は、例えば、最近傍点平均ベクトルを示す矢印A1の始点を船舶座標系の原点とした場合の最近傍点平均ベクトルを示す矢印A1の終点の船舶座標系の座標値を関数atan2に入力することで、進入角度θを算出する。このように、接岸パラメータ算出部16は、最近傍点平均ベクトルを示す矢印A1と対象船舶との向きの角度差を対象船舶の進入角度として好適に算出することができる。
【0056】
(6)輪郭データの生成
コントローラ13は、ライダ3が出力する点群データに基づき輪郭データDcを生成してもよい。この場合、前提として、対象船舶の船体の一部がライダ3の視野内に含まれるような向きでライダ3が対象船舶に搭載される。そして、コントローラ13は、岸から遠く、かつ、周りに障害物や他船がない状況(即ち、対象船舶から所定距離以内に水面以外の物体が存在しない状況)において生成されたライダ3の点群データに基づき、輪郭データDcを生成する。
【0057】
図8は、輪郭データDcを生成する際に使用するライダ3の点群データに含まれる計測点を対象船舶上に重ねた図である。
図8の例では、対象船舶の両側に6台のライダ3が対象船舶の中心付近に存在し、夫々のライダ3の計測範囲R1~R6が示されている。そして、計測範囲R1~R6においてライダ3のレーザ光が対象船舶に照射されることで、対象船舶の一部を計測した点群データが生成される。なお、この場合、コントローラ13は、岸から遠く、かつ、周りに障害物や他船がない状況において生成されたライダ3の点群データに対し、水面反射データの除去処理などのノイズ除去処理を行うことで、主に船体の計測点を表す点群データを取得する。
【0058】
そして、コントローラ13は、取得した点群データに対して、垂直方向の計測ライン(即ち、仰俯角の走査ライン)ごとに、計測された距離が最も遠い計測点を、輪郭点として探索する。
【0059】
図9(A)は、ライダ3が計測した一部の計測点を、ライダ3の出射光が照射される仮想的な2次元平面(即ち仮想的な走査平面)上で表した図である。
図9(A)において、「垂直ライン」は、ライダ3により計測される計測点の垂直方向(即ちライダ3の仰俯角の方向)のラインに相当し、「水平ライン」は、ライダ3により計測される計測点の水平方向のラインに相当する。格子の交点は出射光が照射される位置を表し、丸は計測点が存在する位置を表している。そして、コントローラ13は、垂直ラインごとに、距離が最も長い計測点を、輪郭点として採用する。
【0060】
図9(B)は、垂直ラインごとに距離が最も長い計測点のみを抽出して船舶座標系において明示した図である。
図9(B)に示すように、垂直ラインごとに距離が最も長い計測点は、対象船舶の船体の輪郭点と近似的にみなすことができる。従って、コントローラ13は、このような計測点を船舶座標系のデータに変換し、輪郭データDcとして使用する。これにより、コントローラ13は、輪郭データDcを好適に取得することができる。
【0061】
また、
図9(B)の輪郭データDcは、輪郭点のデータ数が多く、各輪郭点間の距離が近いものもある。一方、輪郭点は、対象船舶の輪郭を表現できる数であれば良い。以上を勘案し、コントローラ12は、適切な間隔で輪郭データDcとする輪郭点をサンプリングするとよい。これにより、演算処理の負荷を少なくすることができる。
図9(C)は、サンプリングにより輪郭データDcとして採用された輪郭点を明示した図である。
図9(C)では、
図9(B)に示す垂直ラインごとに距離が最も長い計測点(「輪郭候補点」とも呼ぶ。)のうち、サンプリングにより輪郭点として採用された点と、それ以外の点とが夫々明示されている。この場合、例えば、コントローラ13は、隣接する各輪郭候補点間の距離を求め、サンプリングされる輪郭点がおよそ同程度の間隔となるように、輪郭候補点から輪郭点のサンプリングを行う。これにより、適切な輪郭ポイントを設定することができる。
【0062】
(7)最近傍点探索の処理負荷低減手法
次に、対岸距離の算出において実行する輪郭ポイントPo毎の最近傍点の探索の処理負荷低減手法について説明する。
【0063】
最近傍点の探索は、点群データの全ての計測点を対象計測点Pmとみなして処理を行うと処理負荷が高くなる。例えば、垂直ライン及び水平ラインの数が共に76であるライダ3を6台用いる場合には、接岸場所50側のライダ3台から得られる計測点は、最大で17328個(=76×76×3)となる。そして、17328個のデータに対する最近傍点の探索処理は、演算負荷が比較的大きく、その演算負荷の大きい処理を複数の輪郭ポイントPoにおいて必要な時間内に終了させるのは、高性能なハードウェアが必要とされる。
【0064】
以上を勘案し、接岸パラメータ算出部16は、垂直ラインごとに最も計測距離(即ち、計測したライダ3との距離)が短い計測点(以後では、「近傍点」とも呼ぶ。)の探索を行い、探索した近傍点を対象計測点Pmとして決定する。なお、対象船舶の船体の一部がライダ3の視野内に含まれる場合は、そのデータを除外して探索する必要がある。
【0065】
図10は、ライダ3の垂直方向の計測範囲を明示した対象船舶と接岸場所50の正面図である。また、
図11は、計測点を明示した接岸場所50の斜視図である。
【0066】
まず、接岸パラメータ算出部16は、
図10に示すように、水面位置を示す破線51よりも低い位置となるデータを水面反射データとして点群データから除外する。次に、接岸パラメータ算出部16は、
図11に示すように、垂直ライン(
図11では垂直ラインA~垂直ラインE)毎に、最も計測距離が短くなる計測点を近傍点として抽出する。ここで抽出された近傍点は、接岸場所50のエッジ近辺のデータとなる。そして、接岸パラメータ算出部16は、全ての垂直ラインに対応する近傍点を対象計測点Pmとして定める。
【0067】
この場合、対象計測点Pmの数は、最大でも垂直ラインの数となるため、垂直ライン及び水平ラインの数が共に76であるライダ3を3台用いる場合には、228個(=76×3)となる。よって、この場合、接岸パラメータ算出部16は、228個に対する最近傍点探索を行えば良いため、全ての点群データを対象とする場合(即ち最大で17328個行う必要がある場合)と比較して演算負荷を好適に減少させることができる。
【0068】
出願人は、上述の処理負荷軽減の効果を確認するため、同一仕様のライダ3を用いて、点群データの全ての計測点を対象計測点Pmとみなして処理を行った場合(「全点群を用いた場合」とも呼ぶ。)と、垂直ラインごとに探索した近傍点を対象計測点Pmとみなして処理を行った場合(「エッジ付近点群を用いた場合」とも呼ぶ。)とで、最近傍探索の処理に要する時間を計測した。
図12は、最近傍探索の処理に要する時間の計測結果を示す。なお、この実験では、垂直ライン及び水平ラインの数が共に76であり、フレームレートが24Hz(周期:41.7ms)となるライダ3を3台使用して片側の岸壁の点群データを収集した。
【0069】
図12に示すように、全点群を用いた場合では、フレーム周期の41.7msを超えてしまうため処理が間に合わないが、エッジ付近点群を用いた場合には、処理時間が短縮化されることにより、フレーム周期の中で十分余裕をもって処理を行えることがわかる。
【0070】
(8)
処理フロー
図13は、本実施例における接岸パラメータの算出処理の概要を表すフローチャートの一例である。情報処理装置1は、
図13のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0071】
まず、情報処理装置1の接岸パラメータ算出部16は、輪郭データDcを取得する(ステップS11)。この場合、接岸パラメータ算出部16は、予めメモリ12に記憶された輪郭データDcを取得してもよく、ライダ3が出力する点群データに基づき、輪郭データDcを生成してもよい。
【0072】
次に、接岸パラメータ算出部16は、ライダ3が生成する点群データの取得及び点群データのフィルタリングを行う(ステップS12)。この場合、接岸パラメータ算出部16は、例えば、接岸場所に所定距離以内に近づいたときに接岸場所を計測範囲に含むライダ3が生成する点群データに対し、水面反射データの除去、ダウンサンプリング、又は/及び垂直ライン毎の近傍点の抽出等のフィルタリングを行う。これにより、接岸パラメータ算出部16は、最近傍点の探索において必要な数の計測点を対象計測点Pmとして決定する。
【0073】
そして、接岸パラメータ算出部16は、輪郭データDcが示す各輪郭ポイントPoと各対象計測点Pmとの距離を算出する(ステップS13)。そして、接岸パラメータ算出部16は、各輪郭ポイントPoに対する最近傍点を対象計測点Pmから決定する(ステップS14)。そして、接岸パラメータ算出部16は、全ての輪郭ポイントPoに対する最近傍点の最小距離を対岸距離として決定する(ステップS15)。このとき、最小距離となる輪郭ポイントPoと対象計測点Pmの特定も行う。そして、接岸パラメータ算出部16は、各輪郭ポイントPoに対する最近傍点距離の平均値に基づき、接岸速度を算出する(ステップS16)。さらに、接岸パラメータ算出部16は、各輪郭ポイントPoから最近傍点までの平均ベクトルである最近傍点平均ベクトルに基づき、進入角度を算出する(ステップS17)。
【0074】
以上説明したように、実施例に係る情報処理装置1のコントローラ13は、対象船舶に設けられた計測装置であるライダ3による接岸場所を計測した計測データを取得する。そして、コントローラ13は、対象船舶の輪郭位置を示す輪郭データDcを取得する。そして、コントローラ13は、計測データと、輪郭データDcとに基づき、対象船舶と接岸場所との距離である対岸距離を算出する。これにより、情報処理装置1は、接岸場所への接岸において重要なパラメータの一つである対岸距離を、自己位置推定を行っていない場合においても的確に算出することができる
【0075】
なお、上述した実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるコントローラ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0076】
以上、実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。