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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139996
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】脱水装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/01 20060101AFI20220915BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20220915BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B01D29/04 510A
B01D29/04 520B
B01D29/38 510A
B01D29/38 540
B01D29/04 530A
B65D88/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040615
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】繁泉 恒河
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼地 春菜
【テーマコード(参考)】
3E170
4D116
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AB01
3E170GB08
3E170VA04
3E170WE10
4D116BB01
4D116BC06
4D116BC75
4D116DD01
4D116EE02
4D116FF12B
4D116FF14B
4D116FF15B
4D116FF16B
4D116GG12
4D116GG13
4D116GG21
4D116KK01
4D116KK04
4D116KK06
4D116QA36A
4D116QA36D
4D116QA36F
4D116QA51A
4D116QA51D
4D116QA51F
4D116QA55C
4D116QA55F
4D116QB41
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR12
4D116SS01
4D116SS07
4D116VV15
(57)【要約】
【課題】運搬可能かつ効率的に懸濁物質を脱水できる脱水装置を提供する。
【解決手段】脱水装置1は、密閉可能かつ底部12aを有する容器(コンテナ10)と、容器の内部において底部12aの上に設けられる第1空間SP1と、容器の内部において第1空間SP1の上方に設けられる第2空間SP2と、容器の内部において底部12aに対して所定間隔を空けて設けられる濾材22cを含み第1空間SP1と第2空間SP2とを隔てる濾過床22と、第2空間SP2を加圧可能な第1加圧部24及び第1空間SP1を減圧可能な減圧部28の少なくともいずれかと、第2空間SP2に収容された対象物に振動を付与する振動部40と、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通可能かつ閉塞可能な排水経路(排水管50)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能かつ底部を有する容器と、
前記容器の内部において前記底部の上に設けられる第1空間と、
前記容器の内部において前記第1空間の上方に設けられる第2空間と、
前記容器の内部において前記底部に対して所定間隔を空けて設けられる濾材を含み前記第1空間と前記第2空間とを隔てる濾過床と、
前記第2空間を加圧可能な第1加圧部及び前記第1空間を減圧可能な減圧部の少なくともいずれかと、
前記第2空間に収容された対象物に振動を付与する振動部と、
前記第1空間と前記第2空間とを連通可能かつ閉塞可能な排水経路と、
を備える、脱水装置。
【請求項2】
前記第1空間に貯留した液状物を排出可能な排水部をさらに備える、
請求項1に記載の脱水装置。
【請求項3】
前記第1加圧部及び前記減圧部をいずれも備える、
請求項1又は2に記載の脱水装置。
【請求項4】
前記第1空間を加圧可能な第2加圧部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の脱水装置。
【請求項5】
前記振動部は、容器の外部側に取り付けられる振動体を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の脱水装置。
【請求項6】
前記排水経路は、前記濾過床を貫通し下端側が前記第1空間に開口する無孔部と、前記無孔部の上端に下端が連通しかつ周面に複数の貫通孔を有する有孔部と、を含む排水管を含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の脱水装置。
【請求項7】
前記有孔部の外周面に接して前記有孔部の外周面及び上端側の開口を覆うように装着可能な蓋体を含む、
請求項6に記載の脱水装置。
【請求項8】
外周面が前記有孔部の内周面に接した状態で前記排水管の内部を上下方向に移動可能な内管を含む、
請求項6に記載の脱水装置。
【請求項9】
前記無孔部は、下端側の開口が水封される、
請求項6に記載の脱水装置。
【請求項10】
前記排水経路は、前記容器の内部側の側面に沿って、下端側が前記第1空間に開口し上端側が前記第2空間に開口するよう中空に設けられる排水壁を含み、
前記排水壁は、前記第2空間側の側面に前記排水壁の内側面側と外側面側とを貫通する複数の貫通孔を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の脱水装置。
【請求項11】
前記排水壁の内側面側に設けられ前記排水壁の内部を上下方向に移動可能な栓部材を含み、
前記排水壁は、前記貫通孔が設けられる位置より下方の内側面側に設けられ、前記栓部材の下端部を支持する栓受けを有し、
前記栓部材及び前記栓受けは、前記栓部材が前記栓受けに支持されている状態において、前記排水壁の内部を閉塞する、
請求項10に記載の脱水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小規模の工場や建設現場等では、処理量の少ない小型又は仮設の水処理施設により排水を処理している。特に、懸濁物質(suspended solid)分を含む排水を取り扱う、又は処理過程で凝集沈殿を行う水処理施設において、事故による懸濁物質分の流出が生じた場合や不定期で水処理を行いたい場合、取り回しのよい固液分離装置が望まれる。また、鉄鋼業等の製造ラインから水を多く含む副生物が発生する場合、水切りを行う上で沈殿池やヤード等の中間保管場所が必要である上、積替えの手間もかかるため、同様に、取り回しのよい固液分離装置が望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1の荷役車両に積載可能なコンテナは、二重床を備えたコンテナ内での固液分離や、分離後の固体物の保管、処分場所への輸送、ダンプアップによる取り出しが可能であり、取り回しのよい固液分離装置になりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-039542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のコンテナでの固液分離は、重力脱水を想定しており、脱水の効率が悪く、固液分離後もスラリーになりやすい可能性がある。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、運搬可能かつ効率的に懸濁物質を脱水できる脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の脱水装置は、密閉可能かつ底部を有する容器と、前記容器の内部において前記底部の上に設けられる第1空間と、前記容器の内部において前記第1空間の上方に設けられる第2空間と、前記容器の内部において前記底部に対して所定間隔を空けて設けられる濾材を含み前記第1空間と前記第2空間とを隔てる濾過床と、前記第2空間を加圧可能な第1加圧部及び前記第1空間を減圧可能な減圧部の少なくともいずれかと、前記第2空間に収容された対象物に振動を付与する振動部と、前記第1空間と前記第2空間とを連通可能かつ閉塞可能な排水経路と、を備える。
【0008】
脱水装置の望ましい態様として、前記第1空間に貯留した液状物を排出可能な排水部をさらに備える。
【0009】
脱水装置の望ましい態様として、前記第1加圧部及び前記減圧部をいずれも備える。
【0010】
脱水装置の望ましい態様として、前記第1空間を加圧可能な第2加圧部をさらに備える。
【0011】
脱水装置の望ましい態様として、前記振動部は、容器の外部側に取り付けられる振動体を含む。
【0012】
脱水装置の望ましい態様として、前記排水経路は、前記濾過床を貫通し下端側が前記第1空間に開口する無孔部と、前記無孔部の上端に下端が連通しかつ周面に複数の貫通孔を有する有孔部と、を含む排水管を含む。
【0013】
脱水装置の望ましい態様として、前記有孔部の外周面に接して前記有孔部の外周面及び上端側の開口を覆うように装着可能な蓋体を含む。
【0014】
脱水装置の望ましい態様として、外周面が前記有孔部の内周面に接した状態で前記排水管の内部を上下方向に移動可能な内管を含む。
【0015】
脱水装置の望ましい態様として、前記無孔部は、下端側の開口が水封される。
【0016】
脱水装置の望ましい態様として、前記排水経路は、前記容器の内部側の側面に沿って、下端側が前記第1空間に開口し上端側が前記第2空間に開口するよう中空に設けられる排水壁を含み、前記排水壁は、前記第2空間側の側面に前記排水壁の内側面側と外側面側とを貫通する複数の貫通孔を有する。
【0017】
脱水装置の望ましい態様として、前記排水壁の内側面側に設けられ前記排水壁の内部を上下方向に移動可能な栓部材を含み、前記排水壁は、前記貫通孔が設けられる位置より下方の内側面側に設けられ、前記栓部材の下端部を支持する栓受けを有し、前記栓部材及び前記栓受けは、前記栓部材が前記栓受けに支持されている状態において、前記排水壁の内部を閉塞する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、運搬可能かつ効率的に懸濁物質を脱水できる脱水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態に係る脱水装置が設置された荷役車両を模式的に示す側面図である。
図2図2は、図1に示された荷役車両のダンプアップした状態を模式的に示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る脱水装置の構成を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図3に示された脱水装置の排水管の拡大図である。
図5図5は、振動による脱水処理の一状態を模式的に示す脱水装置の断面図である。
図6図6は、図5の後の一状態を模式的に示す脱水装置の断面図である。
図7図7は、加圧による脱水処理の一状態を模式的に示す脱水装置の断面図である。
図8図8は、図7の後の加圧による引き剥がし処理の一状態を模式的に示す脱水装置の断面図である。
図9図9は、減圧による脱水処理の一状態を模式的に示す脱水装置の断面図である。
図10図10は、第1変形例の排水管の構成を一部断面で模式的に示す側面図である。
図11図11は、第2変形例の排水管の構成を一部断面で模式的に示す側面図である。
図12図12は、第3変形例の排水管の構成を一部断面で模式的に示す側面図である。
図13図13は、第4変形例の排水管の構成を一部断面で模式的に示す側面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る脱水装置の構成を模式的に示す断面図である。
図15図15は、図14に示された脱水装置の排水壁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施形態の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態における構成要素は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。以下の実施形態では、本開示の実施形態を例示する上で、必要となる構成要素を説明し、その他の構成要素を省略する。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る脱水装置1の構成について、図1から図4までを参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る脱水装置1が設置された荷役車両100を模式的に示す側面図である。図2は、図1に示された荷役車両100のダンプアップした状態を模式的に示す側面図である。図3は、第1実施形態に係る脱水装置1の構成を模式的に示す断面図である。図4は、図3に示された脱水装置1の排水管50の拡大図である。
【0022】
第1実施形態の脱水装置1は、懸濁物質を含む泥状の対象物Sを脱水して、固体物Ss(後述の図6及び図8等参照)と液状物Sl(後述の図6図7及び図9等参照)とに固液分離する装置である。なお、液状物Slは、後述の濾過床22及び排水管50を通過するものを示し、固体物Ssは、濾過床22及び排水管50を通過しないものを示す。脱水装置1は、車両上又は車両に運搬されるコンテナ内で対象物Sを脱水し、固体物Ssを保管又は処分場所に輸送することが可能である。脱水装置1は、第1実施形態において、荷役車両100に積載可能なコンテナ10の内部で脱水処理を行う。
【0023】
まず、荷役車両100の概略構成について説明する。なお、以下の説明では、荷役車両100の長手方向を前後方向Xと称し、幅方向を左右方向Yと称する。また、荷役車両100において前後方向Xの進行方向側の一端部を前部と称し、前後方向Xの反対側の他端部を後部と称する。図1及び図2に示すように、荷役車両100は、脱水装置1のコンテナ10を運搬する。荷役車両100は、第1実施形態ではダンプカー(dump truck)であるが、本開示ではダンプカーに限定されない。荷役車両100は、運転者が搭乗するキャブ110と、車体フレーム120と、サブフレーム130と、荷役フレーム140と、シリンダ150と、を備える。
【0024】
車体フレーム120は、水平に配置された金属により構成されたフレームである。車体フレーム120は、キャブ110に連続して設けられる。サブフレーム130は、水平に配置された金属により構成されたフレームである。サブフレーム130は、車体フレーム120上に固定して設けられる。サブフレーム130は、支持軸132を含む。支持軸132は、キャブ110から離れた側の後部において、荷役車両100の左右方向Yと平行に設けられる軸部材である。
【0025】
荷役フレーム140は、金属により構成されたフレームである。荷役フレーム140は、サブフレーム130上に設けられている。荷役フレーム140は、箱形状のコンテナ10を支持する。荷役フレーム140は、車体フレーム120に対して、車体フレーム120の前後方向Xに移動及び停止可能であり、かつ、車体フレーム120の前後方向Xに伸縮可能であるが、具体的な構造の説明は省略する。荷役フレーム140は、基部142と、ローラ144と、上方延在部146と、フック148と、を含む。
【0026】
基部142は、左右方向Y視でサブフレーム130に重ねられて設けられる。ローラ144は、支持軸132と同軸かつ支持軸132に対して回転自在に設けられる。ローラ144は、基部142に固定して設けられる。荷役フレーム140は、支持軸132に対してローラ144が回動することにより、支持軸132の軸心回りにサブフレーム130に対して所定角度の範囲内で回動可能である。
【0027】
上方延在部146は、基部142のキャブ110寄りの前部から基部142に対して直交する方向に延びて設けられる。フック148は、上方延在部146の上端部に設けられる。フック148は、後述のコンテナ10のフック受け20に掛けられる。
【0028】
シリンダ150は、サブフレーム130に対して荷役フレーム140を回動させるものである。シリンダ150は、第1実施形態では、シリンダ本体152と、ロッド154と、を含む。シリンダ本体152は、左右方向Yに平行な軸回りに所定角度の範囲内で回動可能であるように、サブフレーム130の前端部に取り付けられる。ロッド154は、シリンダ本体152から伸縮自在に設けられる。ロッド154は、シリンダ本体152側とは反対側の端部が荷役フレーム140に取り付けられる。
【0029】
シリンダ150は、ロッド154を縮小することによって、図1に示すように、荷役フレーム140の基部142を水平方向と平行に位置付ける、シリンダ150は、ロッド154を伸張することで、図2に示すように、荷役フレーム140の基部142の前端部を後端部よりも上方に位置付ける。図2に示す荷役フレーム140の基部142の前端部を後端部よりも上方に位置付ける状態をダンプアップという。
【0030】
次に、第1実施形態に係る脱水装置1の概略構成について説明する。第1実施形態の脱水装置1は、箱形状のコンテナ10の内部で脱水処理を行う。図1及び図2に示すように、第1実施形態において、コンテナ10は、前後方向が荷役車両100の前後方向Xに一致し、左右方向が荷役車両100の左右方向Yに一致する。すなわち、コンテナ10は、長手方向が荷役車両100の前後方向Xとなるように、荷役車両100の荷役フレーム140に積載される。コンテナ10は、容器本体12と、開閉扉14と、天蓋部16と、ローラ18と、フック受け20と、を含む。
【0031】
容器本体12は、例えば、鉄板、鋼鉄、又はステンレス鋼等の金属製で形成される。容器本体12は、底部12aと、一対の側壁12bと、前壁12cと、開口部12eと、取り出し口12dと、を含む。底部12aは、第1実施形態において、長方形状であるが、本開示では長方形状に限定されない。底部12aは、前後方向Xの前部側が下方に傾斜するように設けられる。底部12aは、水平面に対する傾斜角が0.1°以上1°以下程度であるように設けられる。
【0032】
一対の側壁12bは、底部12aの左右方向Yの両端辺に連続して設けられる。前壁12cは、底部12a及び一対の側壁12bの前後方向Xの前部側の端辺に連続して、容器本体12の前部を塞ぐように設けられる。開口部12eは、容器本体12の上部において、一対の側壁12bと前壁12cと取り出し口12dとで囲まれるように形成される。取り出し口12dは、容器本体12の前後方向Xの後部側において、底部12aと一対の側壁12bとで囲まれるように形成される。
【0033】
開閉扉14は、容器本体12の後部側の取り出し口12dを開閉可能であるように容器本体12に取り付けられる。開閉扉14は、一対の側壁12bの後部の上端にヒンジ14aにより取り付けられる。ヒンジ14aは、一対の側壁12bの後部の上端と、開閉扉14の上端とを左右方向Yと平行な軸回りに回転自在に連結する。天蓋部16は、容器本体12の上部の開口部12eを開閉可能に設けられる。
【0034】
コンテナ10は、第1実施形態において、容器本体12の取り出し口12dと開閉扉14との間、及び開口部12eと天蓋部16との間に、これらの間を水密及び気密に保つシール部材を備える。シール部材は、ゴム等の弾性を有する樹脂を含む。シール部材は、取り出し口12dと開閉扉14との少なくとも一方、及び開口部12eと天蓋部16との少なくとも一方に設けられる。なお、本開示のコンテナ10は、箱形状に限定されず、対象物Sを収容及び排出可能であって、密閉可能であれば、どのような形状であってもよい。
【0035】
ローラ18は、容器本体12に対して左右方向Yと平行な軸回りに回動可能に設けられる。ローラ18は、容器本体12の底部12aの前部及び後部それぞれに設けられている。フック受け20は、容器本体12の前壁12cの外表面に設けられる。フック受け20には、荷役車両100のフック148を引っ掛けることができる。
【0036】
コンテナ10は、容器本体12の底部12aを荷役フレーム140の基部142に重ね、前壁12cを上方延在部146に重ね、フック148がフック受け20に掛けられることによって、荷役車両100の荷役フレーム140に積載可能である。コンテナ10は、フック148がフック受け20に掛けられることによって、荷役車両100に対して、荷役車両100の前後方向X、及び左右方向Yの移動が規制される。コンテナ10は、フック148をフック受け20から取り外すことによって、荷役車両100の荷役フレーム140から取り外すことが可能である。
【0037】
コンテナ10は、天蓋部16を取り外して開口部12eを開放した状態において、対象物Sを開口部12eから容器本体12内部へ収容可能である。コンテナ10は、開閉扉14を開いて取り出し口12dを開放した状態において、容器本体12内部に収容された対象物Sを取り出し口12dから外部へ排出可能である。なお、開閉扉14は、第1実施形態では上端に連結されたヒンジ14aによって取り出し口12dを開閉するが、本開示ではこれに限定されずに、所謂観音開き等で取り出し口12dを開閉してもよい。コンテナ10は、図1に示す位置で開口部12eを通して対象物Sが積み込まれ、図2に示す位置で取り出し口12dを通して対象物Sを外部に排出する。
【0038】
図3に示すように、第1実施形態の脱水装置1は、さらに、濾過床22と、第1加圧部24と、第2加圧部26と、減圧部28と、排水部30と、振動部40と、排水管50と、蓋体60と、を備える。
【0039】
濾過床22は、コンテナ10の内部に収容される。濾過床22は、底部12aに対して所定間隔を空けた位置に固定して設けられる。濾過床22は、通気性及び通水性を有し、対象物Sを固体物Ssと液状物Slとに固液分離するものである。濾過床22は、コンテナ10の内部において底部12aの上に設けられる第1空間SP1と、コンテナ10の内部において第1空間SP1の上方に設けられる第2空間SPと、を隔てる。濾過床22は、第1床材22aと、第2床材22bと、濾材22cと、を含む。
【0040】
第1床材22aは、金属製の平板状である。第1床材22aは、底部12aに対して所定間隔を空けた位置に固定して設けられる。第1床材22aは、水平方向に隣接して配置される複数の第1床材22aを含んでもよい。第1床材22aは、例えば、厚さが1mm以上20mm以下である。第1床材22aには、抜き打ち加工された複数の貫通孔が等間隔に設けられる。貫通孔の平面形は、例えば、内径が10mm以上100mm以下の円形である。貫通孔は、対象物Sの液状物Slが通過することを許容する。なお、第1床材22aは、本開示では金属製に限定されない。また、第1床材22aの貫通孔の平面形は、円形に限定されない。
【0041】
第2床材22bは、金属製の平板状である。第2床材22bは、第1床材22aの上方側に所定間隔を空けた位置に固定して設けられる。第2床材22bは、水平方向に隣接して配置される複数の第1床材22aを含んでもよい。第2床材22bは、例えば、厚さが0.1mm以上5mm以下である。第1床材22aには、抜き打ち加工された複数の貫通孔が等間隔に設けられる。貫通孔の平面形は、例えば、内径が0.5mm以上30mm以下の円形である。貫通孔は、対象物Sの液状物Slが通過することを許容する。第2床材22bの貫通孔の内径は、第1床材22aの貫通孔の内径より小さい。なお、第2床材22bは、本開示では金属製に限定されない。また、第2床材22bの貫通孔の平面形は、円形に限定されない。また、第2床材22bの貫通孔の平面形の面積は、第1実施携帯では第1床材22aの貫通孔の平面形の面積より小さいが、本開示では第1床材22aの貫通孔の平面形の面積より大きくてもよい。
【0042】
濾材22cは、第1床材22aと第2床材22bとの間に設けられるシート状である。濾材22cは、底部12aに対して所定間隔を空けた位置において、少なくとも平面視で第1床材22a及び第2床材22bの貫通孔が設けられる領域全体に亘って設けられる。濾材22cは、例えば、厚さが0.01mm以上1mm以下である。濾材22cは、通気性及び通水性を有する。濾材22cには、複数の貫通孔が等間隔に設けられる。貫通孔の平面形は、例えば、内径が0.45μm以上3mm以下の円形である。貫通孔は、対象物Sの液状物Slが通過することを許容する。濾材22cは、例えば、樹脂等を含むメッシュシート又は網、樹脂、布、紙、不織布、濾布、樹脂製フィルタ等を含む。
【0043】
第1空間SP1は、濾過床22と底部12aとの間の空間である。より詳しくは、第1空間SP1は、第1床材22aと底部12aと一対の側壁12b(図1及び図2参照)と前壁12cと開閉扉14とに囲まれた空間である。第1空間SP1は、濾過床22により分離された液状物Slを一時的に収容する。
【0044】
第2空間SP2は、濾過床22と天蓋部16との間の空間である。より詳しくは、第2空間SP2は、第2床材22bと天蓋部16と一対の側壁12b(図1及び図2参照)と前壁12cと開閉扉14とに囲まれた空間である。濾過床22は、第2空間SP2側である第2床材22bの上面に対象物Sを積載する(図1参照)。
【0045】
第1加圧部24は、第2空間SP2を加圧可能である。第1加圧部24は、第1加圧ポート24aを含む。第1加圧ポート24aは、第2空間SP2と容器本体12の外部とを接続する。第1加圧ポート24aは、第1加圧ラインL1を介して、第1圧縮機P1に接続する。第1加圧ラインL1は、第1加圧ポート24aと第1圧縮機P1との間を開放した状態と閉塞した状態とを切り替え可能である。第1加圧ラインL1には、例えば、開閉弁が設けられる。第1圧縮機P1は、第1加圧ラインL1及び第1加圧ポート24aを介して、第2空間SP2に圧縮空気を送気する。
【0046】
第2加圧部26は、第1空間SP1を加圧可能である。第2加圧部26は、第2加圧ポート26aを含む。第2加圧ポート26aは、第1空間SP1と容器本体12の外部とを接続する。第2加圧ポート26aは、第2加圧ラインL2を介して、第2圧縮機P2に接続する。第2加圧ラインL2は、第2加圧ポート26aと第2圧縮機P2との間を開放した状態と閉塞した状態とを切り替え可能である。第2加圧ラインL2には、例えば、開閉弁が設けられる。第2圧縮機P2は、第2加圧ラインL2及び第2加圧ポート26aを介して、第1空間SP1に圧縮空気を送気する。
【0047】
減圧部28は、第1空間SP1を減圧可能である。減圧部28は、減圧ポート28aを含む。減圧ポート28aは、第1空間SP1と容器本体12の外部とを接続する。減圧ポート28aは、減圧ラインL3を介して、第3圧縮機P3に接続する。減圧ラインL3は、減圧ポート28aと第3圧縮機P3との間を開放した状態と閉塞した状態とを切り替え可能である。減圧ラインL3には、例えば、開閉弁が設けられる。第3圧縮機P3は、減圧ラインL3及び減圧ポート28aを介して、第1空間SP1から吸気する。
【0048】
なお、第1加圧ポート24a、第2加圧ポート26a及び減圧ポート28aは、図3等に示す一例では容器本体12の前壁12cに設けられるが、本開示では側壁12bに設けられてもよい。
【0049】
排水部30は、第1空間SP1に貯留した液状物Slを排出可能である。排水部30は、第1空間SP1に液状物Slを貯留可能である。排水部30は、排水ポート30aを含む。排水ポート30aは、第1空間SP1と容器本体12の外部とを接続する。排水ポート30aは、排水ラインL4を介して、第1空間SP1に貯留した液状物Slを容器本体12の外部へ排出する。排水ラインL4は、排水ポート30aと下流側との間を開放した状態と閉塞した状態とを切り替え可能である。排水ラインL4には、例えば、開閉弁が設けられる。排水部30は、排水ポート30aと下流側との間が閉塞した状態において、第1空間SPに液状物Slを貯留する。排水部30は、排水ポート30aと下流側との間が開放した状態において、第1空間SP1に貯留した液状物Slを、排水ポート30a及び排水ラインL4を介して容器本体12の外部へ排出する。
【0050】
振動部40は、第2空間SP2に収容された対象物Sに振動を付与する。振動部40は、例えば、コンテナ10の外部に設けられる電源からケーブル等を介して電力が供給されることによって振動する振動体(バイブレータ)を含む。振動部40の振動体は、第1実施形態において、容器本体12の底部12aの下面側に複数(図3に示す一例では、2箇所)設置される。振動部40は、第1実施形態において、容器本体12の底部12aを介して容器本体12に振動を付与することによって、第2空間SP2の濾過床22上に収容された対象物Sに振動を付与する。
【0051】
振動部40は、振動体の設置箇所が図3に示す一例に限定されず、第2空間SP2に収容された対象物Sに振動を付与可能であればよい。振動体は、例えば、容器本体12の側壁12b(図1及び図2参照)、又は前壁12c等、脱水装置1の機能に支障がない範囲で、コンテナ10の外部側のあらゆる位置に取り付けられてもよい。振動体は、容器本体12に固定されず、例えば、開口部12eから垂直方向に挿入されてもよいし、対象物Sに埋没されてもよい。また、例えば、荷役車両100の荷役フレーム140とコンテナ10との間にコンテナ10を下方から支持する板状物を設け、この板状物に振動体を設置して、板状物を介して容器本体12に振動を付与してもよい。
【0052】
排水管50は、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する排水経路である。排水管50は、第1実施形態において、後述の蓋体60によって、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する排水経路を閉塞される。排水管50は、容器本体12の内部の、前壁12c側に設けられる。排水管50は、第1実施形態において、濾過床22を上下方向に貫通して設けられる。排水管50は、下端側が第1空間SP1側に開口する。排水管50の平面形は、例えば、円形又は長方形であるが、本開示ではこれに限定されず、楕円、半円、多角形、扇形、その他の直線及び曲線の組み合わせで囲まれる形状であるもの等、如何なるものでもよい。排水管50は、無孔部52と、有孔部54と、を含む。
【0053】
無孔部52は、排水管50の長手方向の一部分であって、下端側の開口を含む一部分である。無孔部52は、下端側が第1空間SP1に開口する。無孔部52は、濾過床22を上下方向に貫通する。無孔部52は、第1実施形態では濾過床22の下面と同一の高さに下端が位置するが、本開示では濾過床22の下面より下方に突出してもよい。無孔部52は、第1実施形態において、濾過床22から上端部までの高さが、15cm以上30cm以下程度である。無孔部52は、内周側と外周側との間で対象物Sの固体物Ss及び液状物Slが通過することを許容しない。
【0054】
有孔部54は、排水管50の長手方向の一部分であって、無孔部52の上方に位置する部分である。有孔部54は、下端が無孔部52の上端に連通する。有孔部54は、第1実施形態において、無孔部52との境界から上端部までの高さが、10cm程度である。有孔部54は、周面に複数の孔56を有する。孔56は、有孔部54の内周面側と外周面側とを貫通する貫通孔である。孔56は、第1実施形態において、高さ方向の長さが10mm以上50mm程度、水平方向の長さが5cm程度の長方形状である。排水管50は、少なくとも有孔部54の内周面側に孔56を塞ぐフィルタ58を含む。フィルタ58は、例えば、孔の内径が1mm以上5mm以下である。フィルタ58は、対象物Sの液状物Slが通過することを許容する。フィルタ58は、例えば、樹脂等を含むメッシュシート又は網、樹脂、布、紙、不織布、濾布、樹脂製フィルタ等を含む。
【0055】
蓋体60は、上端側が閉塞する筒形状である。なお、本明細書において、筒とは、長手方向に沿って中空であるものを指し、長手方向視の形状が真円形状であるもののみならず、楕円、半円、多角形、扇形、その他の直線及び曲線の組み合わせで囲まれる形状であるもの等、如何なるものでもよい。蓋体60は、内周面が排水管50の有孔部54の外周面に接して有孔部54の外周面及び上端側の開口を覆うように装着可能である。すなわち、蓋体60は、例えば排水管50の有孔部54の平面形状が円形である場合、例えば円筒形状である。また、蓋体60は、例えば排水管50の有孔部54の平面形状が長方形である場合、例えば角筒形状である。
【0056】
蓋体60は、有孔部54に装着された状態において、排水管50の内周側と外周側との間で対象物Sの固体物Ss及び液状物Slが通過することを許容しない。蓋体60は、蓋体60を有孔部54に装着した状態を維持可能な固定部60aを有する。固定部60aは、例えば、蓋体60の周面の下端部側に設けられるパチン錠を含む。蓋体60は、第1実施形態の構成に限定されず、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への固体物Ss及び液状物Slを通過させないものであればよい。
【0057】
容器本体12は、開閉扉14が取り出し口12dを閉塞し、天蓋部16が開口部12eを閉塞し、第1加圧ラインL1、第2加圧ラインL2、減圧ラインL3及び排水ラインL4が閉塞した状態において、密閉される。第1空間SP1は、開閉扉14が取り出し口12dを閉塞し、濾過床22上に対象物Sを収容し、蓋体60が排水管50の有孔部54を閉塞し、第1加圧ラインL1が閉塞した状態において、密閉される。第2空間SP2は、開閉扉14が取り出し口12dを閉塞し、天蓋部16が開口部12eを閉塞し、濾過床22上に対象物Sを収容し、蓋体60が排水管50の有孔部54を閉塞し、第2加圧ラインL2、減圧ラインL3及び排水ラインL4が閉塞した状態において、密閉される。
【0058】
次に、脱水装置1による脱水処理の動作について、図5から図9までを参照して説明する。第1実施形態の脱水装置1は、対象物Sの粒子径及び性状等に対応して、複数の脱水処理を選択的に実施することが可能である。具体的には、脱水装置1は、振動、加圧及び減圧から選択されたいずれかの方法によって対象物Sを脱水して、固体物Ssと液状物Slとに固液分離する。
【0059】
[振動による脱水処理]
図5は、振動による脱水処理の一状態を模式的に示す脱水装置1の断面図である。図6は、図5の後の一状態を模式的に示す脱水装置1の断面図である。振動による脱水処理は、例えば、対象物Sが、砂分を多く含む泥状物である場合に有用である。
【0060】
図5に示すように、振動による脱水処理では、第1加圧部24、第2加圧部26及び減圧部28を使用しないため、振動による脱水処理を実施する前に、作業者は、第1加圧ポート24a、第2加圧ポート26a及び減圧ポート28aを閉じておく。作業者は、天蓋部16を開放し、開口部12eを通して対象物Sを容器本体12内部の濾過床22上に積み込む。対象物Sを第2空間SPの内部に収容した後、作業者は、対象物Sを第2空間SPの内部に収容した後、天蓋部16を閉塞してもよいし、開放したままにしてもよい。
【0061】
次に、図5に示すように、作業者は、振動部40を振動させる。具体的には、作業者は、容器本体12に取り付けられた振動部40の振動体に電力を供給させるように脱水装置1の制御部を操作して、振動体を振動させる。振動体は、容器本体12を介して対象物Sを振動させる。これにより、対象物Sは、液状化して固体物Ssが沈下する。固体物Ssが沈下したことにより、対象物Sから固液分離した液状物Slは、固体物Ssの上層側に浮き上がる。
【0062】
十分に振動を付与して液状物Slを浮き上がらせた後、作業者は、図6に示すように、排水管50から蓋体60を取り外して、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部へ液状物Slが通過できるようにする。排水管50から蓋体60を取り外すと、固体物Ssの上層側に浮き上がった液状物Slは、排水管50の孔56からフィルタ58を通過し排水管50の内部を通って、第1空間SP1へ流入する。液状物Slは、第1空間SP1に貯留される。
【0063】
このように、脱水装置1は、第2空間SP2に収容した対象物Sに振動を付与し、液状化させる。そして、液状物Slを第1空間SPへ流出させるとともに、固体物Ssを第2空間SP2に留めることによって、対象物Sを脱水することができる。第2空間SP2に残された固体物Ssは、開閉扉14を開放し、図2に示す位置にダンプアップすることによって、取り出し口12dを通して外部に排出可能である。また、第1空間SP1に貯留する液状物Slは、排水部30の排水ポート30aから、排水ラインL4を通って容器本体12の外部へ排出可能である。
【0064】
[加圧による脱水処理]
図7は、加圧による脱水処理の一状態を模式的に示す脱水装置1の断面図である。図8は、図7の後の加圧による引き剥がし処理の一状態を模式的に示す脱水装置1の断面図である。加圧による脱水処理は、例えば、対象物Sが、前述した振動によって液状化しにくい泥状物である場合に有用である。
【0065】
図7に示すように、加圧による脱水処理を実施する前に、作業者は、排水管50に蓋体60を装着して、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部へ固体物Ss及び液状物Slが通過できないようにしておく。また、加圧による脱水処理では、減圧部28を使用しないため、減圧ポート28aを閉じておく。
【0066】
作業者は、天蓋部16を開放し、開口部12eを通して対象物Sを容器本体12内部の濾過床22上に積み込む。この際、濾過床22の上に、予め、砂を配置してもよい。対象物Sを第2空間SPの内部に収容した後、作業者は、天蓋部16を閉塞して、第2空間SP2を密閉する。
【0067】
次に、図7に示すように、作業者は、第1加圧部24の第1加圧ポート24aを開放した状態で、第1圧縮機P1を作動させて、第1加圧ラインL1及び第1加圧ポート24aを介して第2空間SP2に送気する。第2空間SP2は、密封されているため、第1圧縮機P1から圧縮空気が送気されることにより加圧される。第2空間SP2が加圧されると、圧縮空気が対象物Sを下方に押圧して、対象物Sが濾過床22によって濾過され、液状物Slが濾過床22を通過して第1空間SP1に流入する。第2空間SP2に流入した液状物Slは、排水部30の排水ポート30aから、排水ラインL4を通って容器本体12の外部へ排出する。
【0068】
作業者は、脱水が完了し、液状物Slが排出された後、第1加圧部24の第1圧縮機P1を停止させ、排水部30の排水ポート30aを閉塞する。次に、図8に示すように、第2加圧部26の第2加圧ポート26aを開放した状態で、第2圧縮機P2を作動させて、第2加圧ラインL2及び第2加圧ポート26aを介して第1空間SP1に送気する。第1空間SP1は、密封されているため、第2圧縮機P2から圧縮空気が送気されることにより加圧される。第1空間SP1が加圧されると、圧縮空気が濾過床22を介して対象物Sを上方に押圧して、固体物Ssを濾過床22から引き剥がす。
【0069】
このように、脱水装置1は、第2空間SP2に対象物Sを収容した状態で第2空間SP2を加圧し、圧縮空気で対象物Sを濾過床22に押し付けることによって、対象物Sを濾過させる。そして、液状物Slを第1空間SPへ流出させるとともに、固体物Ssを第2空間SP2に留めることによって、対象物Sを脱水することができる。第2空間SP2を加圧した圧縮空気によって濾過床22に押し付けられ、第2空間SPに留まった固体物Ssは、第1空間SPを加圧して、濾過床22の下方から圧縮空気で上方に押圧することによって、濾過床22から引き剥がすことができる。固体物Ssは、開閉扉14を開放し、図2に示す位置にダンプアップすることによって、取り出し口12dを通して外部に排出可能である。
【0070】
[減圧による脱水処理]
図9は、減圧による脱水処理の一状態を模式的に示す脱水装置1の断面図である。減圧による脱水処理は、加圧による脱水処理と同様に、例えば、対象物Sが、前述した振動によって液状化しにくい泥状物である場合に有用である。
【0071】
図9に示すように、減圧による脱水処理を実施する前に、作業者は、排水管50に蓋体60を装着して、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部へ固体物Ss及び液状物Slが通過できないようにしておく。また、加圧による脱水処理では、第1加圧部24を使用しないため、第1加圧ポート24aを閉じておいてもよい。
【0072】
作業者は、天蓋部16を開放し、開口部12eを通して対象物Sを容器本体12内部の濾過床22上に積み込む。この際、濾過床22の上に、予め、砂及び活性炭を配置してもよい。対象物Sを第2空間SPの内部に収容した後、作業者は、対象物Sを第2空間SPの内部に収容した後、天蓋部16を閉塞してもよいし、開放したままにしてもよい。
【0073】
次に、図9に示すように、作業者は、減圧部28の減圧ポート28aを開放した状態で、第3圧縮機P3を作動させて、減圧ラインL3及び減圧ポート28aを介して第1空間SP1から吸気する。第1空間SP1は、密封されているため、第3圧縮機P3に吸気されることにより減圧される。第1空間SP1が減圧されると、低圧空気が濾過床22を介して対象物Sを下方に吸引して、対象物Sが濾過床22に押し付けられる。これにより、対象物Sが濾過床22によって濾過され、液状物Slが濾過床22を通過して第1空間SP1に流入する。第2空間SP2に流入した液状物Slは、排水部30の排水ポート30aから、排水ラインL4を通って容器本体12の外部へ排出する。
【0074】
作業者は、脱水が完了し、液状物Slが排出された後、減圧部28の第3圧縮機P3を停止させ、排水部30の排水ポート30aを閉塞する。その後は、加圧による脱水処理と同様に、図8に示すように、第1空間SP1を加圧することにより、固体物Ssを濾過床22から引き剥がす。
【0075】
このように、脱水装置1は、第2空間SP2に対象物Sを収容した状態で第1空間SP1を減圧し、低圧空気で対象物Sを濾過床22に吸引させることによって、対象物Sを濾過させる。そして、液状物Slを第1空間SPへ流出させるとともに、固体物Ssを第2空間SP2に留めることによって、対象物Sを脱水することができる。第1空間SP1を減圧した低圧空気によって濾過床22に押し付けられ、第2空間SPに留まった固体物Ssは、第1空間SPを加圧して、濾過床22の下方から圧縮空気で上方に押圧することによって、濾過床22から引き剥がすことができる。固体物Ssは、開閉扉14を開放し、図2に示す位置にダンプアップすることによって、取り出し口12dを通して外部に排出可能である。
【0076】
以上で説明したように、第1実施形態の脱水装置1は、密閉可能かつ底部12aを有する容器(コンテナ10)と、容器の内部において底部12aの上に設けられる第1空間SP1と、容器の内部において第1空間SP1の上方に設けられる第2空間SP2と、容器の内部において底部12aに対して所定間隔を空けて設けられる濾材22cを含み第1空間SP1と第2空間SP2とを隔てる濾過床22と、第2空間SP2を加圧可能な第1加圧部24及び第1空間SP1を減圧可能な減圧部28の少なくともいずれかと、第2空間SP2に収容された対象物Sに振動を付与する振動部40と、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通可能かつ閉塞可能な排水経路(排水管50)と、を備える。
【0077】
第1実施形態の脱水装置1は、振動部40によって対象物Sに振動を付与することにより、対象物Sを固体物Ssと液状物Slとに固液分離することができる。対象物Sから固液分離した液状物Slは、固体物Ssの上層側に浮き上がるので、排水経路を通って第1空間SP1へ流入させるとともに、固体物Ssを第2空間SP2に留めることができる。
【0078】
また、脱水装置1は、対象物Sを濾過床22上に収容しかつ排水経路を閉塞することによって第2空間SP2を密閉し、第1加圧部24によって第2空間SP2を加圧することにより、対象物Sを濾過床22側に押圧して、濾過させることができる。これにより、液状物Slに濾過床22を通過させて第1空間SP1に流入させるとともに、固体物Ssを第2空間SP2に留めることができる。
【0079】
また、脱水装置1は、対象物Sを濾過床22上に収容しかつ排水経路(排水管50)を閉塞することによって第1空間SP1を密閉し、減圧部28によって第1空間SP1を減圧することにより、対象物Sを濾過床22側に引き寄せて、濾過させることができる。これにより、液状物Slに濾過床22を通過させて第1空間SP1に流入させるとともに、固体物Ssを第2空間SP2に留めることができる。
【0080】
このように、脱水装置1は、振動と、加圧及び減圧の少なくともいずれかとから選択されたいずれかの方法によって対象物Sを脱水して、固体物Ssと液状物Slとに固液分離することができる。すなわち、対象物Sの粒子径及び性状等に対応して、複数の脱水処理を選択的に実施することが可能であるため、混濁物質を含む対象物Sを効率的に脱水することができる。また、脱水装置1は、1つの容器(コンテナ10)として設けられるため、運搬可能であり、既存の施設への導入も容易である。したがって、導入時及び運用時のコストダウンに貢献できる。
【0081】
また、第1実施形態の脱水装置1は、第1空間SPに貯留した液状物Slを排出可能な排水部30をさらに備える。これにより、対象物Sから固液分離した液状物Slを、容器(コンテナ10)の外部へ容易に排出することができる。
【0082】
また、第1実施形態の脱水装置1は、第1加圧部24及び減圧部28をいずれも備える。これにより、対象物Sの粒子径及び性状等に対応して、複数の脱水処理を選択的に実施することが可能である。また、第1加圧部24及び減圧部28をいずれも駆動して、対象物Sを第2空間SP2側から濾過床22側に押圧するとともに第1空間SP1側に引き寄せることができるので、より効率的に脱水処理することができる。
【0083】
また、第1実施形態の脱水装置1は、第1空間SP1を加圧可能な第2加圧部26をさらに備える。加圧又は減圧によって対象物Sから固液分離された固体物Ssは、濾過床22に貼り付いた状態である。脱水装置1は、固体物Ssを濾過床22上に収容し排水経路(排水管50)を閉塞し第1空間SP1を密閉した状態のまま、第2加圧部26によって第1空間SP1を加圧することにより、固体物Ssを第2空間SP2側に押圧し、濾過床22から引き剥がすことができる。これにより、固体物Ssを容器内から容易に搬出することができる。
【0084】
また、第1実施形態の脱水装置1において、振動部40は、容器(容器本体12)の外部側に取り付けられる振動体を含む。脱水装置1は、容器内部に収容された対象物Sに直接振動体を埋没させるのではなく、容器を介して外部から振動を付与するため、都度振動体を配置する手間を省略することができる。
【0085】
また、第1実施形態の脱水装置1において、排水経路は、濾過床22を貫通し下端側が第1空間SP1に開口する無孔部52と、無孔部52の上端に下端が連通しかつ周面に複数の貫通孔(孔56)を有する有孔部54と、を含む排水管50を含む。脱水装置1は、振動により対象物Sから固液分離し固体物Ssの上層に浮き上がった液状物Slを、第2空間SP2から第1空間SP1へ好適に流出させることができる。
【0086】
また、第1実施形態の脱水装置1は、有孔部54の外周面に接して有孔部54の外周面及び上端側の開口を覆うように装着可能な蓋体60を含む。これにより、簡単な構成で、排水経路の開放と閉塞との切り換えを行うことができる。
【0087】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る排水管50Aの構成について、図10を参照して説明する。図10は、第1変形例の排水管50Aの構成を一部断面で模式的に示す側面図である。図1から図9までに示した第1実施形態の脱水装置1では、排水管50に代えて第1変形例の排水管50Aを備えてもよい。第1変形例の排水管50Aについて、第1実施形態の排水管50と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第1変形例の排水管50Aは、第1実施形態の排水管50と比較して、蓋体60の代わりに内管62によって、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への排水経路を閉塞する点で異なる。
【0088】
内管62は、排水管50Aの内部側に設けられる。内管62は、第1変形例において、外周面が排水管50Aの有孔部54の内周面に沿う形状に設けられる。内管62は、排水管50Aの内部を上下方向に移動可能である。内管62は、第1変形例において、外周面が全周に亘って有孔部54の内周面に接した状態で、排水管50Aの内部を上下方向に移動可能である。内管62の外径は、有孔部54の内径と略同一である。内管62は、第1変形例において、内管62の上端側の開口を閉塞する蓋部62aを有する。
【0089】
内管62は、排水管50Aの上端から下方に挿入され、下端が有孔部54より下方に位置する状態において、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への排水経路を閉塞する。内管62は、排水経路を閉塞する状態から、排水管50Aの内部を上方に移動することによって、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への排水経路を開放する。
【0090】
以上で説明したように、第1変形例の脱水装置1は、外周面が有孔部54の内周面に接した状態で排水管50Aの内部を上下方向に移動可能な内管62を含む。これにより、内管62は、上方に移動させた状態で有孔部54の孔56を開放し、下方に移動させた状態では閉塞するので、簡単な構成で排水経路の開放と閉塞との切り換えを行うことができる。
【0091】
なお、第1変形例の内管62は、図10に示す一例において、外周面が有孔部54の孔56を閉塞するが、排水管50Aの内側に設けられ、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への排水経路を閉塞できればよい。排水管50Aは、例えば、上下方向に移動可能かつ排水管50Aの内側を上下方向に隔てる板状部と、板状部を上下方向に移動させる際に掴むための取手部と、によって、有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への排水経路を閉塞されてもよい。
【0092】
(第2変形例)
次に、第2変形例に係る排水管50Bの構成について、図11を参照して説明する。図11は、第2変形例の排水管50Bの構成を一部断面で模式的に示す側面図である。図1から図9までに示した第1実施形態の脱水装置1では、排水管50に代えて第2変形例の排水管50Bを備えてもよい。第2変形例の排水管50Bについて、第1実施形態の排水管50と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第2変形例の排水管50Bは、第1実施形態の排水管50と比較して、無孔部52の代わりに無孔部52Bを含む点で異なる。また、第2変形例の排水管50Bは、第1実施形態の排水管50と比較して、蓋体60が有孔部54の孔56から無孔部52の下端部への排水経路を閉塞する代わりに、槽部64において無孔部52Bの下端側の開口を水封する点で異なる。
【0093】
無孔部52Bは、排水管50Bの長手方向の一部分であって、下端側の開口を含む一部分である。無孔部52Bは、濾過床22を上下方向に貫通する。無孔部52Bは、下端が濾過床22の下面より下方の第1空間SP1(図3等参照)側に突出するように設けられる。無孔部52Bは、後述の槽部64内の液体64aの液面より下方に下端側の開口が位置する。無孔部52Bは、第1変形例において、濾過床22から上端部までの高さが、15cm以上30cm以下程度である。無孔部52は、内周側と外周側との間で対象物Sの固体物Ss及び液状物Slが通過することを許容しない。
【0094】
槽部64は、上端側に開口を有する箱形状の層である。槽部64は、内部に液体64aが満たされている。液体64aは、水又は対象物Sから分離された液状物Slを含む。槽部64は、第1空間SP1(図3等参照)において、底部12a上に設けられる。槽部64は、排水管50Bの垂直下方の位置に設けられる。槽部64に満たされる液体64aの液面は、排水管50Bの無孔部52Bの下端側の開口よりも上方に位置する。
【0095】
排水管50Bは、無孔部52Bの下端側の開口は、液体64aによって水封される。すなわち、有孔部54の孔56から無孔部52Bの下端部を介した第1空間SP1への排水経路は、液状物Slの通過を許容するが、気体の通過を許容しない。したがって、例えば、図7に示す加圧による脱水処理を行う際、濾過床22上に対象物Sを収容し、第1加圧部24の第1加圧ポート24a、開閉扉14及び天蓋部16を閉塞することによって、第2空間SP2を気密状態にすることができる。
【0096】
第2空間SP2で対象物Sから分離した液状物Slは、有孔部54の孔56を通って無孔部52の下端部から第1空間SP1に流出し、槽部64に受け止められた後、槽部64から溢れて底部12a上に一時的に貯留され、排水部30から排出される。
【0097】
以上で説明したように、第2変形例の脱水装置1において、無孔部52Bは、下端側の開口が水封される。これにより、排水経路を気密するとともに液状物Slの通過を許容させるため、排水経路の開放及び閉塞の切り替えを行うことなく、選択的に加圧、減圧又は振動による脱水処理が可能である。
【0098】
(第3変形例)
次に、第3変形例に係る排水管50Cの構成について、図12を参照して説明する。図12は、第3変形例の排水管50Cの構成を一部断面で模式的に示す側面図である。図1から図9までに示した第1実施形態の脱水装置1では、排水管50に代えて第3変形例の排水管50Cを備えてもよい。第3変形例の排水管50Cについて、第1実施形態の排水管50と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第3変形例の排水管50Cは、第1実施形態の排水管50と比較して、有孔部54の代わりに有孔部54Cを含む点で異なる。
【0099】
第3変形例の有孔部54Cは、第1実施形態の有孔部54と比較して、周面に複数の孔56を有する代わりに、周面に複数の孔56Cを有する点で異なる。孔56Cは、有孔部54Cの内周面側と外周面側とを貫通する貫通孔である。孔56Cは、第3変形例において、直径が10mm以上50mm程度の円形状である。排水管50Cは、第1実施形態の排水管50と同様に、少なくとも有孔部54Cの内周面側に孔56Cを塞ぐフィルタ58を含む。
【0100】
(第4変形例)
次に、第4変形例に係る排水管50Dの構成について、図13を参照して説明する。図13は、第4変形例の排水管50Dの構成を一部断面で模式的に示す側面図である。図1から図9までに示した第1実施形態の脱水装置1では、排水管50に代えて第4変形例の排水管50Dを備えてもよい。第4変形例の排水管50Dについて、第1実施形態の排水管50と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第4変形例の排水管50Dは、第1実施形態の排水管50と比較して、有孔部54の代わりに有孔部54Dを含む点で異なる。
【0101】
第4変形例の有孔部54Dは、第1実施形態の有孔部54と比較して、周面に複数の孔56を有する代わりに、周面にメッシュ状部56Dを有する点で異なる。メッシュ状部56Dは、有孔部54Dの内周面側と外周面側とを貫通する貫通孔を複数有する。メッシュ状部56Dは、第4変形例において、目開きが10mm以上50mm程度の格子状である。排水管50Dは、第1実施形態の排水管50と同様に、少なくとも有孔部54Dの内周面側にメッシュ状部56Dを塞ぐフィルタ58を含む。
【0102】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る脱水装置2の構成について、図14から図15までを参照して説明する。図14は、第2実施形態に係る脱水装置2の構成を模式的に示す断面図である。図15は、図14に示された脱水装置2の排水壁70の断面図である。第2実施形態の脱水装置2について、第1実施形態の脱水装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の脱水装置2は、第1実施形態の脱水装置1と比較して、排水管50及び蓋体60の代わりに排水壁70有及び栓部材80を備える点で異なる。
【0103】
排水壁70は、容器本体12の内部側の側面に沿って、より詳しくは前壁12c側に沿って中空に設けられる。排水壁70は、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する排水経路である。排水壁70は、第2実施形態において、後述の栓部材80によって、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する排水経路を閉塞される。排水壁70は、第2実施形態において、濾過床22を上下方向に貫通して設けられる。排水壁70は、下端側が第1空間SP1側に開口する。排水壁70は、上端側が第2空間SP2側の上部で開口する。
【0104】
排水壁70は、第2空間SP2側の側面に、メッシュ状部72を有する。メッシュ状部72は、排水壁70の内側面側と外側面側とを貫通する貫通孔を複数有する。メッシュ状部72は、第2実施形態において、目開きが10mm以上50mm程度の格子状である。排水壁70は、内側面側にメッシュ状部72を塞ぐフィルタを含む。フィルタは、例えば、厚さが1mm以上5mm以下である。フィルタは、対象物Sの液状物Slが通過することを許容する。フィルタは、例えば、樹脂等を含むメッシュシート又は網、樹脂、布、紙、不織布、濾布、樹脂製フィルタ等を含む。
【0105】
排水壁70は、内側面側に後述の栓部材80の下端部を支持する栓受け74を有する。栓受け74は、栓部材80の下方への移動範囲を規制する。栓受け74は、排水壁70の内側面から内側に向かって突出する突起又は板である。栓受け74は、排水壁70のメッシュ状部72の貫通孔が設けられる位置より下方に設けられる。栓受け74は、少なくとも排水壁70の内部を上下方向に貫通する孔を有する。
【0106】
栓部材80は、排水壁70の内側面側に設けられる。栓部材80は、第2実施形態において、外側面が排水壁70の内側面に沿う形状に設けられる。栓部材80は、排水壁70の内部を上下方向に移動可能である。栓部材80は、下端部を栓受け74によって下方から支持される。栓受け74が栓部材80を支持している状態において、栓受け74の孔を閉塞する。すなわち、栓受け74が栓部材80を支持している状態において、栓部材80及び栓受け74は、排水壁70の内部を閉塞し、排水壁70内部を通過する液状物Slの通過を許容しない。
【0107】
栓部材80は、封止部82と、取手部84と、を含む。封止部82は、栓部材80の上端部に外側面から突出するように設けられる。封止部82は、栓部材80が栓受け74に支持されている状態において、栓部材80の外側面と排水壁70の内側面との間を封止する。取手部84は、栓部材80の上端部に設けられる。取手部84は、栓部材80を上下方向に移動させる際に掴むための部分である。
【0108】
栓部材80は、栓受け74に下端部を支持され、栓受け74の孔を閉塞している状態において、メッシュ状部72から排水壁70の下端部への排水経路を閉塞する。栓部材80は、排水経路を閉塞する状態から、排水壁70の内部を上方に移動することによって、メッシュ状部72から排水壁70の下端部への排水経路を開放する。
【0109】
以上で説明したように、第2実施形態の脱水装置2において、排水経路は、容器(コンテナ10)の内部側の側面に沿って、下端側が第1空間SP1に開口し上端側が第2空間SP2に開口するよう中空に設けられる排水壁70を含み、排水壁70は、第2空間SP2側の側面に排水壁70の内側面側と外側面側とを貫通する複数の貫通孔(メッシュ状部72)を有する。脱水装置2は、振動により対象物Sから固液分離し固体物Ssの上層に浮き上がった液状物Slを、第2空間SP2から第1空間SP1へ好適に流出させることができる。
【0110】
また、第2実施形態の脱水装置2は、排水壁70の内側面側に設けられ排水壁70の内部を上下方向に移動可能な栓部材80を含む。脱水装置2において、排水壁70は、貫通孔(メッシュ状部72)が設けられる位置より下方の内側面側に設けられ、栓部材80の下端部を支持する栓受け74を有し、栓部材80及び栓受け74は、栓部材80が栓受け74に支持されている状態において、排水壁70の内部を閉塞する。これにより、栓部材80は、上方に移動させた状態で貫通孔から排水壁70の下端側の開口までの排水経路を開放し、栓受け74に支持される状態では閉塞するので、簡単な構成で排水経路の開放と閉塞との切り換えを行うことができる。
【0111】
なお、第2実施形態の排水壁70は、図14及び図15に示す一例において、メッシュ状部72を有するが、メッシュ状部72の代わりに、第1実施形態の排水管50の長方形状の孔56、又は第3変形例の円形状の孔56Cのような複数の貫通孔を有してもよい。例えば、メッシュ状部72の代わりに円形状の孔56Cを設ける場合、内側からゴム栓又はバルブ等で閉塞可能であるようにしてもよい。また、排水壁70は、内側に設けた部材(栓部材80)によって排水経路を閉塞するが、外側からメッシュ状部72を閉塞可能であるように設けてもよい。
【0112】
なお、各実施形態において説明した各構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態内の他の構成と組み合わせてもよい。また、これらの各構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態とは異なる他の実施形態内の構成と組み合わせてもよい。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の改変を行ってもよい。
【0113】
例えば、各実施形態の脱水装置1、2のコンテナ10に設けられる濾過床22は、上下方向に所定間隔を空けて2枚の床材が設けられる構成に限定されず、対象物Sに応じて上下方向に1枚のみ床材が設けられる構成でもよい。
【符号の説明】
【0114】
1、2 脱水装置
10 コンテナ
12 容器本体
12a 底部
12b 側壁
12c 前壁
12d 取り出し口
12e 開口部
14 開閉扉
14a ヒンジ
16 天蓋部
18 ローラ
20 フック受け
22 濾過床
22a 第1床材
22b 第2床材
22c 濾材
24 第1加圧部
24a 第1加圧ポート
26 第2加圧部
26a 第2加圧ポート
28 減圧部
28a 減圧ポート
30 排水部
30a 排水ポート
40 振動部
50、50A、50B、50C、50D 排水管
52、52B 無孔部
54、54C、54D 有孔部
56、56C 孔
56D メッシュ状部
58 フィルタ
60 蓋体
60a 固定部
62 内管
62a 蓋部
64 槽部
64a 液体
70 排水壁
72 メッシュ状部
74 栓受け
80 栓部材
82 封止部
84 取手部
100 荷役車両
110 キャブ
120 車体フレーム
130 サブフレーム
132 支持軸
140 荷役フレーム
142 基部
144 ローラ
146 上方延在部
148 フック
150 シリンダ
152 シリンダ本体
154 ロッド
SP1 第1空間
SP2 第2空間
L1 第1加圧ライン
L2 第2加圧ライン
L3 減圧ライン
L4 排水ライン
P1 第1圧縮機
P2 第2圧縮機
P3 第3圧縮機
S 対象物
Ss 固体物
Sl 液状物
X 前後方向
Y 左右方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15