(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140007
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】結束バンド
(51)【国際特許分類】
B65D 63/10 20060101AFI20220915BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65D63/10 M
F16B2/08 C
F16B2/08 S
B65D63/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040630
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】592197315
【氏名又は名称】ユニチカトレーディング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595054213
【氏名又は名称】株式会社オルセン
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 伸行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 健二
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳秀
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 和彦
【テーマコード(参考)】
3E085
3J022
【Fターム(参考)】
3E085BA04
3E085BB02
3E085BD04
3E085BD09
3E085BD10
3J022DA11
3J022FA04
3J022GB45
3J022GB56
3J022GB75
(57)【要約】
【課題】 運搬及び使用しやすい結束バンドを提供する。
【解決手段】 この結束バンドは、ヘッド部1、バンド部2及びテール部3よりなる。ヘッド部1、バンド部2及びテール部3は、同体で平面的なシートとなっている。平面的なシートは剛直な織物であり、経糸及び緯糸相互間を融着一体化したものである。融着一体化するのに適した経糸及び緯糸として、芯成分と芯成分より融点の低い鞘成分とよりなる芯鞘型複合フィラメントよりなるマルチフィラメント糸を用いる。バンド部2の両側縁に鋸歯状部位4,4,4・・・が形成されている。ヘッド部1には、貫通孔5が設けられている。貫通孔5は、テール部3及びバンド部2を挿入しうるものである。テール部3及びバンド部2を貫通孔5に挿入し、バンド部2の両側縁の鋸歯状部位4,4を貫通孔5の周縁に係止して使用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部、バンド部及びテール部が同体のシートよりなる結束バンドであり、該バンド部の両側縁には鋸歯状部位が形成されていると共に、該ヘッド部には該テール部及び該バンド部を挿入しうる貫通孔が設けられている結束バンド。
【請求項2】
ヘッド部に挿入されたバンド部の鋸歯状部位は、貫通孔の周縁に係合しうる請求項1記載の結束バンド。
【請求項3】
貫通孔の形状が三角形である請求項1記載の結束バンド。
【請求項4】
シートは布帛製であり、該布帛の構成糸相互間が融着されて一体化している請求項1記載の結束バンド。
【請求項5】
布帛の構成糸が、経糸及び緯糸よりなる織物である請求項4記載の結束バンド。
【請求項6】
構成糸が、芯成分と芯成分より融点の低い鞘成分とよりなる芯鞘型複合フィラメントよりなるマルチフィラメント糸であり、鞘成分の溶融固化により構成糸相互間が融着されてなる請求項4記載の結束バンド。
【請求項7】
芯鞘型複合フィラメントの芯成分がポリエチレンテレフタレートであり、鞘成分が共重合ポリエステルである請求項6記載の結束バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被結束物同士を固定したり束ねたりする結束バンドに関し、特に構築物を構築する際に、支柱や柵にネット等を固定するための結束バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
結束バンドとして、従来より、ヘッド部、バンド部及びテール部よりなり、全体がナイロン、フッ素樹脂又はポリオレフィン等の合成樹脂で成形されてなるものが知られている。そして、テール部をヘッド部に挿入し、ヘッド部に設けられた係止片に、バンド部の表面に形成された鋸歯状部位を係止することによりロックしている。しかるに、ヘッド部に係止片を設けるため、ヘッド部は立体的な箱状になっている(特許文献1、
図1)。このため、結束バンドの運搬時に嵩張ったり、狭いスペースで使用しにくいということがあった。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、運搬及び使用しやすい結束バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バンド部の表面ではなく、バンド部の両側縁に鋸歯状部位を設けると共に、ヘッド部に貫通孔を設けることにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、ヘッド部、バンド部及びテール部が同体のシートよりなる結束バンドであり、該バンド部の両側縁には鋸歯状部位が形成されていると共に、該ヘッド部には該テール部及び該バンド部を挿入しうる貫通孔が設けられている結束バンドに関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る結束バンドは、ヘッド部、バンド部及びテール部が同体のシートよりなる。そして、ヘッド部の貫通孔にテール部及びバンド部を挿入し、バンド部の両側縁に形成されている鋸歯状部位を貫通孔の周縁に係止することにより、被結束物同士を固定したり束ねたりする。したがって、ヘッド部を立体的な箱状にする必要がなく、結束バンドの運搬及び使用が合理的で容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一例に係る結束バンドの平面図である。
【
図2】本発明の他の例に係る結束バンドの平面図である。
【
図3】本発明の一例に係る結束バンドのヘッド部にテール部及びバンド部を挿入し、貫通孔の周縁にバンド部の鋸歯状部位を係止した状態の写真である。
【
図4】
図1の結束バンドの寸法を示した平面図である。
【
図5】
図2の結束バンドの寸法を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る結束バンドは、ヘッド部1、バンド部2及びテール部3よりなる。ヘッド部1、バンド部2及びテール部3は、同体で平面的なシートとなっている。このシートを構成する素材は、剛直なものであれば任意のものを採用でき、合成樹脂、金属又は布帛であってよい。
【0009】
本発明においては、シートの素材を布帛製とするのが好ましい。素材が金属製であると、バンド部2の両側縁に設けられた鋸歯部位4,4,4・・・によって作業中に身体が傷つけられる恐れがあるが、素材が布帛であると傷つけられる恐れが少なくなる。布帛は一般的に柔軟なものであるが、布帛を構成する糸相互間を融着一体化すれば剛直なものとなる。しかし、金属製のものに比べれば、身体が傷つけられる恐れは少ない。布帛としては、織物、編物又は不織布等が用いられる。
【0010】
織物を例に挙げて説明すれば以下のとおりである。まず、経糸及び緯糸として、芯鞘型複合フィラメントよりなるマルチフィラメント糸を準備する。芯鞘型複合フィラメントは、芯成分と芯成分よりも融点の低い鞘成分とよりなるものである。芯成分/鞘成分の組み合わせとしては、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン又はナイロン66/ナイロン6が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステルの組み合わせが好ましい。これは耐候性に優れており、本発明に係る結束バンドを屋外で使用するのに適しているからである。このマルチフィラメント糸を経糸及び緯糸として織物を織成した後、鞘成分のみが軟化又は溶融する温度で熱加工する。この熱加工により、鞘成分が融着一体化してなるシートが得られる。このシートは、鞘成分よりなる母体に、繊維形態を持つ芯成分が織物として存在しているものである
【0011】
布帛製等の剛直な素材よりなるシートに、打ち抜き加工を施すことにより、本発明に係る結束バンドを得ることができる。すなわち、打ち抜き加工により、ヘッド部1、バンド部2及びテール部3を成形すると共に、バンド部2の両側縁に鋸歯状部位4,4,4・・・及びヘッド1に貫通孔5を成形する。鋸歯状部位4の数は、
図1及び
図2に示す通り任意であり、数個~数十個成形することができる。貫通孔5の形状も、テール部3を挿入できれば任意である。たとえば、三角形、四角形又は楕円形等が用いられる。本発明においては、三角形であるのが好ましい。なお、
図1及び
図2に示した結束バンドの各部の寸法は
図4及び
図5に示したとおりである。
【0012】
本発明に係る結束バンドの使用方法は、以下のとおりである。まず、テール部3を手指で持ち、結束バンドを被結束物に沿わせた後、テール部3を捻って、貫通孔5に挿入する。そして、被結束物が固定される又は束ねられるまで、バンド部2も貫通孔5に挿入する。その後、バンド部2の両側縁の鋸歯状部位4,4を貫通孔5の周縁に係止させればよい。この係止は、手指をテール部3からを離すと、バンド部2の剛直性で捻りが元に戻って自動的に行われることもある。
図3は、被結束物は示していないが、鋸歯状部位4,4が貫通孔5の周縁に係止されている状態を示した写真である。なお、狭いスペースで結束バンドを使用する際、特許文献1に記載されているように、テール部3先端をU字状又はL字状に折り曲げて、狭いスペースに差し入れればよい。
【0013】
本発明に係る結束バンドは、被結束物を固定したり束ねたりする任意の用途に用いられる。たとえば、構築物である支柱や柵にネットを取り付ける用途や、ネット同士を繋ぎ合わせる用途又は電線等の線材を束ねる用途等の従来公知の用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0014】
1 ヘッド部
2 バンド部
3 テール部
4 鋸歯状部位
5 貫通孔