(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014010
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】換気ダクト構造、空調システム及び空調システムの改造方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20220112BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20220112BHJP
F24F 1/0035 20190101ALI20220112BHJP
【FI】
F24F7/08 A
F24F13/02 A
F24F13/02 F
F24F13/02 D
F24F1/0035
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116121
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】514048660
【氏名又は名称】池田テクニカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 租
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AA04
3L080AA05
3L080AA09
3L080AC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】既設の空調システムが室内循環のみに対応している場合でも外気を用いた室温調整を行うことができる換気ダクト構造、空調システム及び空調システムの改造方法を提供する。
【解決手段】換気ダクト構造は、天井S2に沿って配されるものであり、外気取込ダクトと、吸引口側ダクト42と、外気取込ダクト及び吸引口側ダクト42を接続する接続ダクト43と、を備える。吸引口側ダクト42は、吸引口を覆うようにして露出面に配される。接続ダクト43は、外気取込ダクトに接続する上流側ダクト部43Uと、吸引口側ダクト42に接続する下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bと、上流側ダクト部43Uを下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bに分岐する分岐部43Dと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に取り付けられた室内機に取り付ける換気ダクト構造であって、
前記室内機は、前記室内からの気体を取り込む吸込口と、前記吸引口から吸引した気体を所定の温度にする熱交換器と、前記所定の温度の気体を前記室内供給する吹出口と、を備えたものと定義した際、
前記室内機の吸込口に接続する出口ダクトと、
室外に開口する入口ダクトと、
前記入口ダクトと前記出口ダクトを接続する接続ダクトと、を備え、
前記出口ダクトは、出口を有する箱部を有し、
前記出口は、前記室内機の吸込口に対して正対することを特徴とする換気ダクト構造。
【請求項2】
前記室内機の吸込口と前記室内機の吹出口とが並んで配されており、
前記接続ダクトは、
前記入口ダクト側に設けられる分岐ダクトと、
前記分岐ダクトから延びるとともに前記箱部に接続する第1ダクトと、
前記分岐ダクトから延びるとともに前記箱部に接続する第2ダクトと、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の換気ダクト構造。
【請求項3】
前記接続ダクトは環状部を有し、
前記環状部の孔から、前記室内機の吹出口が露出することを特徴とする請求項1または2記載の換気ダクト構造。
【請求項4】
前記室内機の吸込口と前記室内機の吹出口とが並んで配されており、
前記接続ダクトは、
前記入口ダクト側に設けられる分岐ダクトと、
前記分岐ダクトから延びるとともに前記箱部に接続する第1ダクトと、
前記分岐ダクトから延びるとともに前記箱部に接続する第2ダクトと、
を備え、
前記接続ダクトは環状部を有し、
前記環状部の孔から、前記室内機の吹出口が露出し、
前記環状部は、前記箱部、前記分岐ダクト、前記第1ダクト及び前記第2ダクトから形成されることを特徴とする請求項1項記載の換気ダクト構造。
【請求項5】
前記室内機の吹出口が複数ある場合には、前記第1ダクト又は前記第2ダクトは、複数の前記エアコンの吹出口の間に配されることを特徴とする請求項2または4記載の換気ダクト構造。
【請求項6】
前記箱部に設けられた開閉自在な箱部側シャッタと、
前記接続ダクトに設けられた開閉自在な接続ダクト側シャッタと、を備え、
前記箱部側シャッタが閉状態であり前記接続ダクト側シャッタが開状態である換気環状態と、前記箱部側シャッタが開状態であり前記接続ダクト側シャッタが閉状態である循環状態と、の間で切り替え可能となっていることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の換気ダクト構造。
【請求項7】
室内に取り付けられる室内機と、
前記室内機に取り付けられる換気ダクト構造と、
を備えた空調システムであって、
前記換気ダクト構造は、請求項1ないし6のうちいずれか1項記載のものであることを特徴とする空調システム。
【請求項8】
室内に取り付けられた既設の室内機に対して行われる空調システムの改造方法であって、
請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の前記換気ダクト構造を前記既設の室内機に対して取り付けることを特徴とする空調システムの改造方法。
【請求項9】
支持アームを天井に仮止めするステップと、
仮止めされた前記支持アームに対し支持枠を固定するステップと、
前記支持枠の上に前記箱部を載置するステップと、
前記支持アームの天井に対する固定を行うステップと、
を備えたことを特徴とする請求項8記載の空調システムの改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気ダクト構造、空調システム及び空調システムの改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや住宅の室温調整するための空調システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症対策として、室内の換気が必要になる場合がある。ところが、従来の空調システムは、室内循環を行うものが多い。特に、既設の空調システムが、室内循環のみに対応している場合、外気を用いた室温調整を行うことができない。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、既設の空調システムが室内循環のみに対応している場合でも外気を用いた室温調整を行うことができる換気ダクト構造、空調システム及び空調システムの改造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、室内に取り付けられた室内機に取り付ける換気ダクト構造であって、前記室内機は、前記室内からの気体を取り込む吸込口と、前記吸引口から吸引した気体を所定の温度にする熱交換器と、前記所定の温度の気体を前記室内供給する吹出口と、を備えたものと定義した際、前記室内機の吸込口に接続する出口ダクトと、室外に開口する入口ダクトと、前記入口ダクトと前記出口ダクトを接続する接続ダクトと、を備え、前記出口ダクトは、出口を有する箱部を有し、前記出口は、前記室内機の吸込口に対して正対することを特徴とする。
【0007】
本発明は、室内に取り付けられる室内機と、前記室内機に取り付けられる換気ダクト構造と、を備えた空調システムであって、前記換気ダクト構造は、上記のものであることを特徴とする。
【0008】
本発明は、室内に取り付けられた既設の室内機に対して行われる空調システムの改造方法であって、上記の前記換気ダクト構造を前記既設の室内機に対して取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、既設の空調システムが室内循環のみに対応している場合でも外気を用いた室温調整を行うことができる換気ダクト構造、空調システム及び空調システムの改造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】居住空間に設けられる空調システムの概要を示す説明図である。
【
図2】(A)は、室内機の概要を示す側面図である。(B)は、室内機の概要を示す正面図である。
【
図3】室内機に取り付けられた第1の換気ダクト構造の概要を示す側面図である。
【
図4】室内機に取り付けられた第1の換気ダクト構造の概要を示す正面図である。
【
図6】吸引口側ダクト(変形例)の概要を示す断面図である。
【
図7】(A)は、第2の換気ダクト構造の概要を示す平面図である。(B)は、第2の換気ダクト構造の概要を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、説明の便宜上、水平面のうち任意の方向をX方向、水平面のうちX方向に直交する方向をY方向と、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向と称する。
【0012】
図1に示すように、空調システム2は、オフィス等の居住設備Rに設けられる。居住設備Rは、下方において水平に設けられた床S1と上方において水平に設けられた天井S2とによって、床下空間R1と、居住空間R2と、天井裏R3と、に仕切られる。
【0013】
空調システム2は、居住空間R2の温度等を調節するものであり、温度が調節された空気を居住空間R2へ供給する室内機10と、屋外に配される室外機20と、室外機20と室内機10との間で冷媒が循環する冷媒配管30と、居住空間R2に配された換気ダクト構造40と、を備える。
【0014】
室外機20は、室外機筐体と、室外機筐体に収容され外気が通過する室外通気路と、室外機筐体に収容された凝縮器、圧縮機、膨張弁、及び室外熱交換機と、を備える。冷媒配管30は、室外機筐体を貫通するものであり、室外機筐体において各種弁が取り付けられる。室外熱交換機は、アルミニウム等、熱伝導率の高い材料から形成されるものであり、冷媒配管30と室外通気路がそれぞれ貫通する。また、室外熱交換機においては、冷媒配管30と室外通気路が近接するように配される。このため、室外熱交換機においては、冷媒配管30を通る冷媒と、室外通気路を通る気体(外気)との間で熱交換が行われる。
【0015】
図1~2に示すように、室内機10は、居住設備Rの天井裏R3に設けられるものであり、室内機筐体11と、室内機筐体11に形成された吹出口11Fと吸引口11Kと、室内機筐体11に設けられた吸引口11Kと吹出口11Fを繋ぐ室内通気路12と、室内機筐体11に収容された室内熱交換機15と、を備える。また、冷媒配管30は、室内機筐体11を貫通する。
【0016】
室内熱交換機15は、それぞれ、アルミニウム等、熱伝導率の高い材料から形成されるものであり、冷媒配管30と室内通気路12がそれぞれ貫通する。また、室内熱交換機15においては、冷媒配管30と室内通気路12が近接するように配される。このため、室内熱交換機15においては、冷媒配管30を通る冷媒と、室内通気路12を通る気体との間で熱交換が行われる。
【0017】
室内機筐体11は、居住空間R2に露出する露出面11Mを備える。露出面11Mは、X方向及びY方向に辺を持つ矩形状に形成される。露出面11Mには、吹出口11Fと吸引口11Kとがそれぞれ開口する。吸引口11Kは、露出面11Mの中央部において、X方向及びY方向に辺を持つ矩形状に形成される。吹出口11Fは、吸引口11Kの周りを囲むように形成される。図示するように、吸引口11Kが矩形状に形成される場合、吹出口11Fは、吸引口11Kの周りを所定のピッチで4つ配置されることが好ましい。吹出口11Fは、横長の矩形状に形成されることが好ましく、吸引口11Kの辺に対して並行となることが好ましい。吹出口11Fの長手方向の寸法は、吸引口11Kの4辺とほぼ同じ長さであることが好ましい。これによって、居住空間R2の全方位に、所望の温度の空気を供給することができる。
【0018】
図3~4に示すように、換気ダクト構造40は、天井S2に沿って配されるものであり、外気取込ダクト41(入口ダクト)と、吸引口側ダクト42(出口ダクト)と、外気取込ダクト41及び吸引口側ダクト42を接続する接続ダクト43と、各ダクトを天井S2に対して固定する固定具47と、フィルタユニット48と、を備える。
【0019】
図1に示すように、外気取込ダクト41の上流端開口41Aは、外気を取り込むよう、居住設備Rの外部空間に露出する。外気取込ダクト41の上流端開口41Aは、例えば、居住空間R2の窓Wから外部空間に向けて開口することが好ましい。
【0020】
図3~4に示すように、吸引口側ダクト42は、吸引口11K(
図2)を覆うようにして露出面11Mに配されるものであり、固定具47によって天井S2に固定される。水平面から見た際、吸引口11Kが矩形状に形成される場合(
図2)には、吸引口側ダクト42も、吸引口11Kより一回り大きな矩形状に形成されることが好ましい(
図4)。
【0021】
図3~5に示すように、吸引口側ダクト42は、X方向、Y方向及びZ方向に延びる稜線を備えた薄型の箱状に形成されるものであり、吸引口側ダクト42の上面には出口42Uが開口する。出口42Uは、吸引口11Kに対して正対する。吸引口側ダクト42の出口42Uは、吸引口11Kに対して近接することが好ましく、出口42Uは、吸引口11Kに対して密接していることが好ましい。必要に応じて、出口42Uと吸引口11Kとの間に、パッキンが設けられていることが好ましい。これにより、吸引口側ダクト42からの気体が、吸引口11Kへ確実に供給されることとなる。
【0022】
接続ダクト43は、固定具47によって天井S2に固定されるものであり、外気取込ダクト41に接続する上流側ダクト部43Uと、吸引口側ダクト42に接続する下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bと、上流側ダクト部43Uを下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bに分岐する分岐部43Dと、を備える。
【0023】
分岐部43Dは、室内機筐体11の露出面11Mの近傍に配されるものであり、箱状に形成される。分岐部43Dは、吹出口11Fに対して隣接するように配される。結果、分岐部43Dと吸引口11Kとの間に吹出口11Fが位置する。分岐部43Dの側面のうち任意の面(例えば、窓Wに向いている側面)には、上流側ダクト部43Uの下流側端部を支持するための上流側ダクト部支持開口43DDが形成される。また、分岐部43Dの側面のうち、上流側ダクト部支持開口43DDの両隣の面には、下流側第1ダクト部支持開口43DA及び下流側第2ダクト部支持開口43DBが形成される。上流側ダクト部43Uの上流端部は外気取込ダクト41と接続し、その下流端部は、分岐部43Dの上流側ダクト部支持開口43DDに挿入される。下流側第1ダクト部43Aの上流端部は下流側第1ダクト部支持開口43DAに挿入され、その下流端部は、吸引口側ダクト42の上流側ダクト部支持開口42Aに挿入される。下流側第2ダクト部43Bの上流端部は下流側第2ダクト部支持開口43DBに挿入され、その下流端部は、吸引口側ダクト42の上流側ダクト部支持開口42Bに挿入される。ここで、下流側第1ダクト部支持開口43DA及び下流側第2ダクト部支持開口43DBは、吸引口側ダクト42の下面から見て、四隅のうちいずれかの角部(Z方向に延びる稜線を含む部分)に形成されることが好ましい。
【0024】
固定具47は、吸引口側ダクト42を支持する支持枠47Bと、支持枠47Bを天井S2に固定する支持アーム47Aと、各ダクトを天井S2に固定する支持アーム47Cと、を備える。
【0025】
フィルタユニット48は、分岐部43Dに設けられることが好ましい。より詳しくいえば、フィルタユニット48は、下流側第1ダクト部支持開口43DAや下流側第2ダクト部支持開口43DBに設けられることが好ましい。フィルタユニット48は、通過する気体に含まれる塵や煤塵を補足する可能なフィルタ48Fと、フィルタ48Fを支持するフィルタ支持枠48Wと、フィルタ支持枠48Wをスライド自在にするスライド機構(図示省略)と、を備えることが好ましい。スライド機構により、フィルタユニット48が、外気の通過経路上に位置する状態と、そこから退位した状態との間で切り替え自在となる。これにより、フィルタ48Fの取り付け、フィルタ48Fの洗浄や交換が容易となる。
【0026】
既設の空調システムの改造方法は、外気取込ダクト41を取り付ける外気取込ダクト取付ステップと、吸引口側ダクト42を取り付ける吸引口側ダクト取付ステップと、接続ダクト43を取り付ける接続ダクト取付ステップと、を備える。
【0027】
外気取込ダクト取付ステップでは、支持アーム47Cを用いて、外気取込ダクト41を天井S2に対して固定する。これにより、上流端開口41Aが居住設備Rの外部空間に露出する。
【0028】
吸引口側ダクト取付ステップでは、支持アーム47Aを天井S2に対して仮止めする。次に、支持枠47Bを支持アーム47Aに対して固定する。その後、吸引口11Kの周縁にパッキンを設ける。次に、出口42Uが吸引口11Kに対して正対する姿勢となった吸引口側ダクト42を支持枠47Bの上に配置する。最後に、支持アーム47Aを用いて吸引口側ダクト42を固定する。これにより、出口42Uが吸引口11Kに対して正対する状態が維持される。なお、吸引口側ダクト42の出口42Uに対してパッキンを取り付けた後に、吸引口11Kの周縁に吸引口側ダクト42の出口42Uを取り付けてもよい。
【0029】
接続ダクト取付ステップでは、支持アーム47Cを用いて天井S2に分岐部43Dを固定する。次に、分岐部43Dに対して、上流側ダクト部43U、下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bの接続を行う。上流側ダクト部43U、下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bの接続順序は特に限定されない。
【0030】
次に、空調システム2の作用について説明する。
【0031】
(冷房運転)
圧縮機は、冷媒配管30内の冷媒を圧縮する。室外機20の熱交換器では、外気との熱交換によって、圧縮された冷媒が冷却される。膨張弁は、冷媒の圧力を低下させる。圧力を低下されられた冷媒は、室内機10の熱交換器において、吸引口11Kから取り込んだ気体との熱交換が行われる。これにより、吸引口11Kから取り込んだ気体が冷却される一方、冷媒が加熱される。加熱された冷媒は、圧縮機に送られる。以降、同様のステップを繰り返すことにより、空調システム2は冷房運転を行う。
【0032】
(暖房運転)
圧縮機は、冷媒配管30内の冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は、室内機10の熱交換器において、吸引口11Kから取り込んだ気体との間で、熱交換が行われる。これによって、冷媒が冷却され、吸引口11Kから取り込んだ気体が加熱される。加熱された期待は、吹出口11Fから吹き出される。一方、冷却された冷媒は、膨張弁によって圧力が低下する。圧力を低下されられた冷媒は、室外機20の熱交換器によって加熱される。加熱された冷媒は、圧縮機を経由して、室内機10の熱交換機へ送られる。以降、同様のステップを繰り返すことにより、空調システム2は暖房運転を行う。
【0033】
本発明の換気ダクトにおいては、吸引口側ダクト42は、吸引口11Kを覆うように設けられる。このため、既設の空調システムが、室内循環のみに対応している場合でも、外気を用いた室温調整を行うことができる。さらに、本発明の換気ダクトにおいては、分岐部43Dと、下流側第1ダクト部43Aと、下流側第2ダクト部43Bと、吸引口側ダクト42とが、環状に配される。したがって、本来の空調システム2の空調能力を損なうことなく、換気を行うことができる。さらに、接続ダクト43には、吸引口11Kが覗くような開口が形成されるため、吹出口11Fを確実に塞ぐことなく、外気を吸引口11Kへ供給することができる。
【0034】
さらに、接続ダクト43は、
図4~5に示すように、吸引口側ダクト42の下面42Mや側面42Sに形成される複数の内部循環用開口42MXと、それぞれの内部循環用開口42MXに設けられる回動軸42MZと、各回動軸42MZに対して回動自在に取り付けられる回動板42MYと、内部循環用開口42MXを開閉自在にする出口ダクト側開閉機構と、上流側ダクト部43Uまたは分岐部43Dに配されるダンパー43Q(接続ダクト側シャッタ)と、を備えることが好ましい。出口ダクト側開閉機構は、を備える。ここで、内部循環用開口42MXと回動軸42MZと回動板42MYとが箱部側シャッタを構成する。
【0035】
内部循環用開口42MXは、下面42M及び側面42Sに対して所定の形成ピッチで並ぶ。下面42Mに形成された内部循環用開口42MXは、Y方向に延びる長辺とX方向に延びる短辺とを有する矩形状のスリットであり、側面42Sに形成された内部循環用開口42MXは、Y方向に延びる長辺とZ方向に延びる短辺とを有する矩形状のスリットである。回動板42MYを回動軸42MZ周りにスイングさせることによって、内部循環用開口42MXを塞ぐ閉塞状態と、内部循環用開口42MXを開放する開放状態と、との間で回動板42MYが切り替え自在となる。
【0036】
ダンパー43Qは、上流側ダクト部43Uの中空部に配された回動板43QBと、回動板43QBを回動自在にする回動軸43QAと、回動板43QBの回動操作を行う回転レバー43QLとを備える。回動板43QBは、回転レバー43QLの操作によって、上流側ダクト部43Uを開放状態と閉塞状態との間で切り替え自在となっている。
【0037】
そして、出口ダクト側開閉機構42MYが開放状態であり、上流側ダクト部43Uが閉塞状態となると、空調システム2の吸引口11Kからは、居住空間R2の空気が入る状態、すなわち、内部循環状態が可能となる。また、出口ダクト側開閉機構42MYが閉塞状態であり、上流側ダクト部43Uが開放状態となると、空調システム2の吸引口11Kからは、外気(外部空間の空気)が入る状態、すなわち、外気導入状態となる。
【0038】
これにより、本来の空調システム2の空調能力を損なうことなく、室内の空気を用いた空調(内部循環状態)と、室外の空気を用いた空調(外気導入状態)と、の間で切り替えることができる。
【0039】
上記実施形態では、吸引口側ダクト42の下面42Mにおいて内部循環用開口42MXを複数形成し、内部循環用開口42MXごとに回動軸42MZと回動板42MYとを設けたが、本発明はこれに限られない。
図6に示すように、吸引口側ダクト42の下面42Mにおいて内部循環用開口42MXを1つ形成し、内部循環用開口42MXにおいて所定ピッチで設けられる複数の回動軸42MZと、回動軸42MZに対して回動する回動板42MYとを備える。複数の回動板42MYの回動操作により、複数の回動板42MYを用いて内部循環用開口42MXを閉塞する状態(閉塞状態)と、閉塞状態から退避した解放状態との間で切り替え自在となる。
【0040】
上記実施形態では、フィルタユニット48を、分岐部43Dに設けたが本発明はこれに限られず、接続ダクト43のうちその他の部分、外気取込ダクト41や吸引口側ダクト42に設けてもよい。
【0041】
上記実施形態では、分岐部43Dと吸引口側ダクト42とを連通するダクトとして、2つのダクト、すなわち、下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bを設けたが、本発明はこれに限られず、3つ以上のダクトを設けてもよい。
【0042】
上記実施形態では、分岐部43Dと吸引口側ダクト42とに連通するダクトとして、2つのダクト、すなわち、下流側第1ダクト部43A及び下流側第2ダクト部43Bを設けたが、本発明はこれに限られない。例えば、室内機の吸引口11Kが1つ設けられる場合には、下流側第2ダクト部43Bを省略すればよい。
【0043】
上記実施形態では、室内機10が天井S2に露呈する空調システム2について述べたが、本発明はこれに限られず、室内機10が壁W3に取り付けられる空調システム2でもよい。以降、上記実施形態の変形例について説明するが、上記実施形態と異なる部分の説明にとどめ、上記実施形態と同一の部分には同一の符号を付しその詳細の説明を省略する。
【0044】
図7に示すように、室内機10は、居住設備Rの壁W3に設けられるものであり、室内機筐体11と、室内機筐体11に形成された吹出口11Fと吸引口11Kと、室内機筐体11に設けられた吸引口11Kと吹出口11Fを繋ぐ室内通気路と、室内機筐体11に収容された室内熱交換機と、を備える。また、冷媒配管は、室内機筐体11を貫通する。
【0045】
室内機筐体11の上面11Uには吸引口11Kが開口し、室内機筐体11の側面11Sには吹出口11Fが開口する。
【0046】
換気ダクト構造40は、天井S2に沿って配されるものであり、外気取込ダクト41と、吸引口側ダクト42と、外気取込ダクト41及び吸引口側ダクト42を接続する接続ダクト43と、各ダクトを天井S2に対して固定する固定具(図示省略)と、フィルタユニット(図示省略)と、を備える。
【0047】
外気取込ダクト41は、壁3に貫通するように設けられ、居住空間R2と室外空間とを連通する。
【0048】
吸引口側ダクト42は、吸引口11Kを覆うようにして上面11Uに配されるものであり、固定具によって室内機筐体11に固定される。吸引口側ダクト42は、X方向、Y方向及びZ方向に延びる稜線を備えた薄型の箱状に形成されるものであり、吸引口側ダクト42の下面には出口部が形成される。出口部は、吸引口11Kに対して正対する。これにより、吸引口側ダクト42からの気体が、吸引口11Kへ確実に供給されることとなる。
【0049】
接続ダクト43は、固定具によって天井S2に固定されるものであり、外気取込ダクト41と吸引口側ダクト42の側面に形成された側面開口とを連通する。また、吸引口側ダクト42の正面に形成された内部循環用開口42MXと、内部循環用開口42MXに設けられた回動軸42MZと、回動軸42MZ周りに回動可能な回動板42MYとを設けてもよい。これにより、内部循環用開口42MXを閉塞する状態(閉塞状態)と、閉塞状態から退避した解放状態との間で切り替え自在となる。
【0050】
本発明の換気ダクトにおいては、吸引口側ダクト42は、吸引口11Kを覆うようにして上面11Uに配される。このため、吹出口11Fを塞ぐことなく、外気を吸引口11Kへ供給することができる。
【0051】
上記実施形態では、天井や壁に設けられた室内機について説明したが、本発明はこれに限られず、天井から吊り下げられた室内機や床に載置された室内機等、吹出口及び吸引口がともに居住空間に対して露出する室内機であれば適用可能である。
【0052】
上記実施形態では、既設の空調システム2について説明したが、本発明はこれに限られず、新設の空調システム2の導入時に、本発明を適用してもよい。
【0053】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
2 空調システム
10 室内機
11 室内機筐体
11F 吹出口
11K 吸引口
11M 露出面
11S 側面
11U 上面
12 室内通気路
15 室内熱交換機
20 室外機
30 冷媒配管
40 換気ダクト構造
41 外気取込ダクト
41A 上流端開口
42 吸引口側ダクト
43 接続ダクト
43A 下流側第1ダクト部
43B 下流側第2ダクト部
43D 分岐部
43U 上流側ダクト部
48 フィルタユニット