(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140114
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20220915BHJP
G06Q 50/12 20120101ALI20220915BHJP
【FI】
G06F21/32
G06Q50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040775
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】521107242
【氏名又は名称】株式会社スマートホテルソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】高志保 博孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施設の利用客の満足度を向上させる。
【解決手段】情報処理装置1は、施設を利用する利用客が施設にチェックインする際にチェックイン場所において利用客を第1認証手段により認証し、利用客を識別するための利用客識別情報に関連付けて認証結果を記憶部12に記憶させる第1認証処理部131と、第1認証処理部131が第1認証手段による認証に成功したことが利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶されている場合に、施設におけるチェックイン場所以外の一以上の場所にいる利用客を第1認証手段と異なる第2認証手段により認証し、利用客IDに関連付けて認証結果を記憶部12に記憶させる第2認証処理部132と、第2認証処理部132が第2認証手段による認証に成功したことが利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶されている場合に、施設内の設備を制御する設備制御部133と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設を利用する利用客が前記施設にチェックインする際にチェックイン場所において前記利用客を第1認証手段により認証し、前記利用客を識別するための利用客識別情報に関連付けて認証結果を記憶部に記憶させる第1認証処理部と、
前記第1認証処理部が前記第1認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証し、前記利用客識別情報に関連付けて認証結果を前記記憶部に記憶させる第2認証処理部と、
前記第2認証処理部が前記第2認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記施設内の設備を制御する設備制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記第2認証処理部は、前記第1認証手段よりも精度が低い前記第2認証手段により前記利用客を認証する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1認証処理部は、顔認証を前記第1認証手段として用いて前記利用客を認証するとともに、前記顔認証をした際の前記利用客の顔以外の部分を含む画像データをサブ特徴データとして、前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させ、
前記第2認証処理部は、前記サブ特徴データを使用する前記第2認証手段を用いて前記利用客を認証する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1認証処理部は、前記利用客の服装の色、種類又は大きさの少なくともいずれかを示す前記サブ特徴データを前記記憶部に記憶させ、
前記第2認証処理部は、前記チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で前記利用客が撮影された画像が示す服装と、前記記憶部に記憶されたサブ特徴データが示す服装とを比較することにより前記利用客を認証する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1認証処理部は、前記利用客の動作の特徴を示す前記サブ特徴データを前記記憶部に記憶させ、
前記第2認証処理部は、前記チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で前記利用客が撮影された画像に基づいて特定した前記利用客の体形又は動作の少なくともいずれかの特徴と、前記記憶部に記憶されたサブ特徴データが示す体形又は動作の少なくともいずれかの特徴とを比較することにより前記利用客を認証する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1認証処理部は、前記利用客識別情報に関連付けて前記第1認証手段により認証した日時である第1認証日時を前記記憶部に記憶させ、
前記第2認証処理部は、前記記憶部に記憶された前記第1認証日時から所定の期間以内であることを条件として、前記第2認証手段により前記利用客を認証する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、施設を利用する利用客を識別するための利用客識別情報と、前記利用客が前記施設内で利用する部屋を識別するための部屋識別情報とが関連付けられた利用客データベースと、をさらに記憶し、
前記設備制御部は、前記第2認証処理部が前記第2認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記部屋識別情報に対応する前記施設内の設備を制御する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2認証処理部は、前記チェックイン場所から前記部屋に移動するために使用される場所で撮影された前記利用客の画像に基づいて、前記第2認証手段により前記利用客を認証する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記設備制御部は、前記チェックイン場所から前記利用客が利用する部屋に前記利用客が移動するまでの想定ルート上の前記設備を制御する、
請求項7又は8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記設備制御部は、前記利用客が利用する部屋に設置された前記設備を制御する、
請求項7から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2認証処理部は、前記第1認証処理部による認証に成功した後に前記利用客が前記チェックイン場所を通る場合に、前記第2認証手段により前記利用客を認証する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2認証処理部は、前記第1認証処理部による認証に成功した後に前記利用客が、前記施設に関連付けられた他の施設のチェックイン場所を通る場合に、前記第2認証手段により前記利用客を認証する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1認証処理部は、前記第2認証処理部が前記第2認証手段により認証した後に、再び前記第1認証手段を用いて認証する場合に、前記第1認証手段とともに、前記第2認証処理部が認証した結果を用いて認証する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが、
施設を利用する利用客が前記施設にチェックインする際にチェックイン場所において前記利用客を第1認証手段により認証するステップと、
前記第1認証手段による認証に成功した場合に、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証するステップと、
前記第2認証手段による認証に成功した場合に前記施設内の設備を制御するステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
施設を利用する利用客が前記施設にチェックインする際にチェックイン場所において前記利用客を第1認証手段により認証するステップと、
前記第1認証手段による認証に成功した場合に、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証するステップと、
前記第2認証手段による認証に成功した場合に前記施設内の設備を制御するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
施設のチェックイン場所に設置された第1認証装置と、
前記施設の前記チェックイン場所以外の場所に設置された第2認証装置と、
前記第1認証装置及び前記第2認証装置と通信可能な情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1認証装置が送信した、前記施設を利用する利用客の特徴を示す第1特徴データに基づいて第1認証手段により前記利用客を認証し、前記利用客を識別するための利用客識別情報に関連付けて認証結果を記憶部に記憶させる第1認証処理部と、
前記第1認証処理部が前記第1認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記第2認証装置が送信した前記利用客の特徴を示す第2特徴データに基づいて、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証し、前記利用客識別情報に関連付けて認証結果を前記記憶部に記憶させる第2認証処理部と、
前記第2認証処理部が前記第2認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記施設内の設備を制御する設備制御部と、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設の利用客を認証するための情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宿泊施設へのチェックイン時に撮影した利用客の顔画像を予め登録された画像と照合することにより、宿泊施設の運営者がいない状態でチェックインを可能にするためのシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施設の運営者がいない状態で利用客がチェックインをする場合、ホスピタリティが低下してしまい、利用客の満足度が低下することが懸念されるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、施設の利用客の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、施設を利用する利用客が前記施設にチェックインする際にチェックイン場所において前記利用客を第1認証手段により認証し、前記利用客を識別するための利用客識別情報に関連付けて認証結果を記憶部に記憶させる第1認証処理部と、前記第1認証処理部が前記第1認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証し、前記利用客識別情報に関連付けて認証結果を前記記憶部に記憶させる第2認証処理部と、前記第2認証処理部が前記第2認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を有する。
【0007】
前記第2認証処理部は、前記第1認証手段よりも精度が低い前記第2認証手段により前記利用客を認証してもよい。
【0008】
前記第1認証処理部は、顔認証を前記第1認証手段として用いて前記利用客を認証するとともに、前記顔認証をした際の前記利用客の顔以外の部分を含む画像データをサブ特徴データとして、前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させ、前記第2認証処理部は、前記サブ特徴データを使用する前記第2認証手段を用いて前記利用客を認証してもよい。
【0009】
前記第1認証処理部は、前記利用客の服装の色、種類又は大きさの少なくともいずれかを示す前記サブ特徴データを前記記憶部に記憶させ、前記第2認証処理部は、前記チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で前記利用客が撮影された画像が示す服装と、前記記憶部に記憶されたサブ特徴データが示す服装とを比較することにより前記利用客を認証してもよい。
【0010】
前記第1認証処理部は、前記利用客の動作の特徴を示す前記サブ特徴データを前記記憶部に記憶させ、前記第2認証処理部は、前記チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で前記利用客が撮影された画像に基づいて特定した前記利用客の体形又は動作の少なくともいずれかの特徴と、前記記憶部に記憶されたサブ特徴データが示す体形又は動作の少なくともいずれかの特徴とを比較することにより前記利用客を認証してもよい。
【0011】
前記第1認証処理部は、前記利用客識別情報に関連付けて前記第1認証手段により認証した日時である第1認証日時を前記記憶部に記憶させ、前記第2認証処理部は、前記記憶部に記憶された前記第1認証日時から所定の期間以内であることを条件として、前記第2認証手段により前記利用客を認証してもよい。
【0012】
前記記憶部は、施設を利用する利用客を識別するための利用客識別情報と、前記利用客が前記施設内で利用する部屋を識別するための部屋識別情報とが関連付けられた利用客データベースと、をさらに記憶し、前記設備制御部は、前記第2認証処理部が前記第2認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記部屋識別情報に対応する前記施設内の設備を制御してもよい。
【0013】
前記第2認証処理部は、前記チェックイン場所から前記部屋に移動するために使用される場所で撮影された前記利用客の画像に基づいて、前記第2認証手段により前記利用客を認証してもよい。
【0014】
前記設備制御部は、前記チェックイン場所から前記利用客が利用する部屋に前記利用客が移動するまでの想定ルート上の前記設備を制御してもよい。前記設備制御部は、前記利用客が利用する部屋に設置された前記設備を制御してもよい。
【0015】
前記第2認証処理部は、前記第1認証処理部による認証に成功した後に前記利用客が前記チェックイン場所を通る場合に、前記第2認証手段により前記利用客を認証してもよい。
【0016】
前記第2認証処理部は、前記第1認証処理部による認証に成功した後に前記利用客が、前記施設に関連付けられた他の施設のチェックイン場所を通る場合に、前記第2認証手段により前記利用客を認証してもよい。
【0017】
前記第1認証処理部は、前記第2認証処理部が前記第2認証手段により認証した後に、再び前記第1認証手段を用いて認証する場合に、前記第1認証手段とともに、前記第2認証処理部が認証した結果を用いて認証してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、コンピュータが、施設を利用する利用客が前記施設にチェックインする際にチェックイン場所において前記利用客を第1認証手段により認証するステップと、前記第1認証手段による認証に成功した場合に、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証するステップと、前記第2認証手段による認証に成功した場合に前記施設内の設備を制御するステップと、を実行する。
【0019】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、施設を利用する利用客が前記施設にチェックインする際にチェックイン場所において前記利用客を第1認証手段により認証するステップと、前記第1認証手段による認証に成功した場合に、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証するステップと、前記第2認証手段による認証に成功した場合に前記施設内の設備を制御するステップと、を実行させる。
【0020】
本発明の第4の態様の情報処理システムは、施設のチェックイン場所に設置された第1認証装置と、前記施設の前記チェックイン場所以外の場所に設置された第2認証装置と、前記第1認証装置及び前記第2認証装置と通信可能な情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1認証装置が送信した、前記施設を利用する利用客の特徴を示す第1特徴データに基づいて第1認証手段により前記利用客を認証し、前記利用客を識別するための利用客識別情報に関連付けて認証結果を記憶部に記憶させる第1認証処理部と、前記第1認証処理部が前記第1認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記第2認証装置が送信した前記利用客の特徴を示す第2特徴データに基づいて、前記施設における前記チェックイン場所以外の一以上の場所にいる前記利用客を前記第1認証手段と異なる第2認証手段により認証し、前記利用客識別情報に関連付けて認証結果を前記記憶部に記憶させる第2認証処理部と、前記第2認証処理部が前記第2認証手段による認証に成功したことが前記利用客識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶されている場合に、前記施設内の設備を制御する設備制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、施設の利用客の満足度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】施設内のレイアウトを模式的に示す図である。
【
図3】情報処理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】記憶部が記憶する利用客データベースの一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの構成を示す図である。情報処理システムSは、施設を利用する利用客を認証し、利用客が施設を利用しやすくするために施設内の設備を制御するためのシステムである。情報処理システムSが利用される施設は、例えばホテル、旅館、カラオケルーム又はスポーツジム等のように、チェックインをした後に利用客が施設内の設備を利用できるようになる施設である。以下の説明においては、施設がホテルである場合を主に説明するが、情報処理システムSはホテル以外の任意の施設に適用することができる。
【0024】
情報処理システムSは、情報処理装置1と、第1認証装置2と、第2認証装置3と、館内設備4と、室内設備5と、を備える。情報処理装置1は、利用客を認証するための処理を実行するコンピュータである。情報処理装置1は、施設内に設けられたコンピュータであってもよく、クラウド上に存在するサーバであってもよい。情報処理装置1は、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。情報処理装置1は、一以上の第1認証装置2、一以上の第2認証装置3、一以上の館内設備4、一以上の室内設備5との間で、ネットワークNを介して各種のデータを送受信する。ネットワークNは、例えばインターネット又はイントラネットを含む。
【0025】
第1認証装置2は、情報処理装置1が第1認証手段で利用客を認証するために用いる第1特徴データを作成する装置である。第1特徴データは、利用客の身体的な特徴を示すデータであり、例えば利用客の顔を撮影して作成された顔画像データ又は利用客の生体情報データである。第1認証装置2は、利用客の顔画像を撮影して作成した顔画像データを情報処理装置1に送信する顔画像撮影装置、利用客の指紋を読み取って作成した指紋データを情報処理装置1に送信する指紋読取装置、又は利用客の静脈形状パターンを読み取って作成した静脈形状データを情報処理装置1に送信する静脈読取装置である。第1認証装置2は、例えば施設のチェックイン場所に設置されている。
【0026】
第1認証装置2は、さらに、利用客が静止した状態で顔画像を撮影したり、指紋又は静脈形状パターンを読み取ったりしている間に、利用客が着用している衣服若しくは靴、利用客が持っている鞄、又は利用客の全身を撮影することにより、これらの少なくともいずれかの画像が含まれる撮像画像データをサブ特徴データとして作成する。第1認証装置2は、このようにして作成したサブ特徴データを、第1特徴データとともに情報処理装置1に送信する。第1認証装置2は、利用客が発する声を録音して作成した音声データをサブ特徴データとして送信してもよい。
【0027】
図1においては、複数の第1認証装置2(第1認証装置2-1~第1認証装置2-m、mは自然数)が示されているが、第1認証装置2の台数は任意である。第1認証装置2は、施設の入口又はフロント付近に1台だけ設置されていてもよく、施設内の他の場所を含む複数の場所に複数台設置されていてもよい。
【0028】
第2認証装置3は、第1認証装置2と異なる手段により利用客の特徴を示す第2特徴データを作成する装置である。第2認証装置3は、例えば利用客を撮影して作成した撮像画像データを情報処理装置1に送信する。第2認証装置3は、例えば利用客が動いている状態で、利用客が着用している衣服、靴又は鞄等を含む利用客全体の画像を撮影することにより第2特徴データとして撮像画像データを作成する。第2認証装置3は、撮像画像データの代わりに利用客の声を録音することにより、音声データを第2特徴データとして作成してもよい。第2認証装置3は、例えば施設のチェックイン場所以外の場所に設置された装置である。
【0029】
館内設備4は、施設において利用客が通る場所又は滞在する場所に設置されている設備である。館内設備4は、例えば、エレベータ、通路の照明、スピーカ、通路の壁に設置されたディスプレイ又は通路に設置された空調機器等のように、外部から受信する制御データに基づいて起動したり、動作の内容を変更したりすることができる電気機器である。
【0030】
室内設備5は、施設において利用客が使用する部屋に設置されている設備である。室内設備5は、例えば、部屋の入口の鍵、部屋の入口に設置された認証装置、室内灯、室内空調機器、冷蔵庫又はテレビのように、利用客に割り当てられた部屋に利用客が入る際、又は利用客が部屋に入った後に使用する設備である。
【0031】
図2は、施設内のレイアウトを模式的に示す図である。
図2(a)は、ホテルの1階のレイアウトを示しており、
図2(b)はホテルの2階のレイアウトを示している。
図3は、情報処理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。以下、
図2及び
図3を参照しながら、情報処理システムSの動作の概要を説明する。
【0032】
図2に示す例においては、1階のフロントの前のチェックイン場所に第1認証装置2-1が設置されている。また、エレベータ内に第2認証装置3-1、階段に第2認証装置3-2、2階の通路に第2認証装置3-3が設置されている。また、1階の通路に館内設備4-1が設置されており、2階の通路に館内設備4-2、館内設備4-3及び館内設備4-4が設置されている。館内設備4-1、館内設備4-2、館内設備4-3及び館内設備4-4は、例えば照明である。
【0033】
図3は、情報処理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。ホテルに到着した利用客は、チェックイン場所に設置された第1認証装置2-1の前に立つ。第1認証装置2-1は、例えば利用客の顔画像を撮影するカメラを有しており、利用客が来たことを検出すると、利用客の顔を撮影することにより第1特徴データとして顔画像データを作成する(
図3におけるS1)。また、第1認証装置2-1は、利用客の顔以外の領域を含む領域(例えば全身)を撮影し、サブ特徴データを作成する。第1認証装置2-1は、作成した第1特徴データ及びサブ特徴データを情報処理装置1に送信する。
【0034】
情報処理装置1は、受信した第1特徴データを、予め記憶している複数の利用客(例えば予約している利用客)の第1認証データ(例えば顔画像データ)と照合することにより、利用客が予約済の利用客であることを認証するための第1認証処理を実行する(S2)。情報処理装置1は、認証に成功すると、利用客に関連付けて、第1認証装置2-1から受信したサブ特徴データを、第2認証装置3を用いて第2認証処理を実行するための第2認証用データとして記憶する。
【0035】
情報処理装置1は、認証結果を第1認証装置2-1に送信する。情報処理装置1は、認証に成功した場合、利用客が使用可能な部屋の番号を第1認証装置2-1に通知する。第1認証装置2-1は、認証に成功したという結果を受信すると部屋番号をディスプレイに表示し、認証に失敗したという結果を受信すると、認証に失敗したことを表示したり、フロントでチェックインをすることを案内したりする。本例においては、利用客の部屋番号が2階の201号室であるとする。
【0036】
また、情報処理装置1は、認証に成功すると、館内設備4-1に対して起動指示を含む制御データを送信することにより、館内設備4-1を起動させて点灯状態にする(S3)。これにより、情報処理システムSは、利用客が部屋に移動する際に、通路を明るい状態にすることができる。情報処理装置1は、館内設備4の一種であるエレベータを利用客がすぐに利用できるように、エレベータを1階に移動させるように制御してもよい。
【0037】
情報処理装置1は、認証に成功したことを条件として、第2認証装置3-1を起動させてもよい。情報処理装置1は、第2認証装置3-1に限らず、利用客が部屋に移動するために通る場所に設置された複数の第2認証装置3を起動させてもよい。これにより、情報処理システムSは、利用客が部屋に移動する途中に設置された第2認証装置3を用いて利用客を認証することが可能になる。
【0038】
利用客がエレベータに乗ると、エレベータに設置された第2認証装置3-1は、利用客を撮影する(S4)。第2認証装置3-1は、撮影により作成した撮像画像データを情報処理装置1に送信する。
【0039】
情報処理装置1は、第2認証装置3-1から受信した画像データに基づいて、第2認証処理を実行する(S5)。具体的には、情報処理装置1は、第2認証用データとして記憶していたサブ特徴データと第2認証装置3-2から受信した画像データとを比較し、第2認証装置3-1から受信した画像データに含まれている被写体がサブ特徴データに含まれている被写体と一致するか否かを判定することにより認証する。
【0040】
情報処理装置1は、第2認証処理において利用客の認証に成功した場合(すなわち、利用客がエレベータに乗っていると判定した場合)、当該利用客が利用する部屋の階の設備を制御する。例えば、情報処理装置1は、利用客が利用する部屋の階の設備を起動させたり、動作状態を変化させたりする(S6)。
図2に示す例の場合、情報処理装置1は、利用客の部屋がある2階に設置された館内設備4-2に起動指示を含む制御データを送信することにより、2階の通路に設置されている照明を点灯させる。また、情報処理装置1は、利用客の部屋の設備に対して起動指示を含む制御データを送信し、利用客が部屋に入った時点で室内の照明が点灯している状態にしたり、空調設備が起動している状態にしたりしてもよい(S7)。
以下、情報処理装置1の構成及び動作を詳細に説明する。
【0041】
図4は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、第1認証処理部131と、第2認証処理部132と、設備制御部133と、を有する。
【0042】
通信部11は、ネットワークNを介して第1認証装置2、第2認証装置3、館内設備4及び室内設備5との間で各種のデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、第1認証装置2から受信したデータ(例えば第1特徴データ及びサブ特徴データ)を第1認証処理部131に入力し、第1認証処理部131から入力された認証結果を第1認証装置2に送信する。通信部11は、第2認証装置3から受信したデータ(例えば撮像画像データ)を第2認証処理部132に入力する。また、通信部11は、設備制御部133から受信した制御データを館内設備4及び室内設備5に送信する。
【0043】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を含む。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、施設を利用する利用客を識別するための利用客識別情報(以下、「利用客ID」という)と、利用客が施設内で利用する部屋を識別するための部屋識別情報(以下、「部屋ID」という)とが関連付けられた利用客データベースを記憶する。
【0044】
図5は、記憶部12が記憶する利用客データベースの一例を示す図である。
図5に示す例においては、利用客IDと、部屋IDと、第1認証用データと、第1認証結果と、第2認証用データと、複数の第2認証結果とが関連付けられている。部屋IDは、利用客が利用する予定の部屋を識別するための情報である。
【0045】
第1認証用データは、第1認証処理部131が第1認証装置2を用いて第1認証処理を実行するために用いられるデータである。第1認証用データは、例えば利用客が施設を利用するための予約をする際に登録した顔画像データである。第1認証用データは、施設の利用を予約するためのサービスを利用するための会員情報の一つとして予め登録された顔画像データ、生体情報データ若しくは認証用コード等のいずれか、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0046】
第1認証結果は、第1認証装置2から送信された第1特徴データ(例えば顔画像データ)と第1認証用データとに基づいて第1認証処理が成功した日時を示すデータである。第1認証結果は、第1認証処理が成功したことを示すデータであってもよい。記憶部12は、第1認証結果を記憶せず、第1認証処理が成功した場合にのみ第2認証用データを記憶するように構成されていてもよい。
【0047】
第2認証用データは、第2認証処理部132が第2認証装置3を用いて第2認証処理を実行するために用いられるデータである。第2認証用データは、例えば第1認証装置2から送信されたサブ特徴データである。
【0048】
第2認証結果は、第2認証装置3から送信された第2特徴データ(例えば撮像画像データ)と第2認証用データとに基づいて第2認証処理が成功した日時を示すデータである。第2認証結果は、第2認証処理が成功したことを示すデータであってもよい。
【0049】
なお、
図5における「第2認証結果a」は、第2認証装置3-1から受信した第2特徴データに基づく第2認証処理が成功した日時を示し、「第2認証結果b」は、第2認証装置3-2から受信した第2特徴データに基づく第2認証処理が成功した日時を示し、「第2認証結果c」は、第2認証装置3-3から受信した第2特徴データに基づく第2認証処理が成功した日時を示している。
【0050】
利用客IDがG001の利用客及び利用客IDがG003の利用客は、エレベータを利用したので、第2認証装置3-1が送信した第2特徴データに基づいて第2認証処理が行われている。利用客IDがG002の利用客及び利用客IDがG004の利用客は、階段を利用したので、第2認証装置3-2が送信した第2特徴データに基づいて第2認証処理が行われている。このように、どの第2認証装置3から受信した第2特徴データに基づいて第2認証処理が行われたかに基づいて、情報処理装置1は、利用客の移動経路を特定することもできる。
【0051】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有している。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、第1認証処理部131、第2認証処理部132及び設備制御部133として機能する。
【0052】
第1認証処理部131は、利用客が施設のチェックイン場所でチェックインする際に、施設を利用する利用客を第1認証手段により認証し、
図5に示したように、利用客を識別するための利用客IDに関連付けて第1認証結果を記憶部12に記憶させる。第1認証処理部131は、例えば、顔認証を第1認証手段として用いて利用客を認証するとともに、顔認証をした際の利用客の顔以外の部分を含む画像データをサブ特徴データとして、利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0053】
一例として、第1認証処理部131は、利用客の全身の画像を示すサブ特徴データを記憶部12に記憶させる。第1認証処理部131は、利用客の服装の色、種類又は大きさの少なくともいずれかを示すサブ特徴データを記憶部12に記憶させてもよい。
【0054】
また、第1認証処理部131は、
図5に示したように、利用客IDに関連付けて第1認証手段により認証した日時である第1認証日時を記憶部12に記憶させてもよい。第1認証日時は、例えば、第2認証処理部132が第2認証処理を実行するか否かの判定に用いられる。
【0055】
第2認証処理部132は、第1認証処理部131が第1認証手段による第1認証処理に成功したことが利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶されている場合に、施設におけるチェックイン場所以外の一以上の場所にいる利用客を第1認証手段と異なる第2認証手段により認証する。第2認証処理部132は、例えばチェックイン場所から部屋に移動するために使用される場所で撮影された利用客の画像に基づいて、第2認証手段により利用客を認証する。第2認証処理部132は、利用客IDに関連付けて第2認証結果を記憶部12に記憶させる。チェックイン場所から部屋に移動するために使用される場所は、例えば施設内の廊下、駐車場、レストラン又はプールである。
【0056】
第2認証処理部132は、第1認証手段よりも精度が低い第2認証手段により利用客を認証する。第2認証処理部132は、例えば第2認証装置3が作成したサブ特徴データを用いる第2認証手段により利用客を認証する。第1認証手段が顔画像に基づく顔認証である場合、第2認証手段は、例えばサブ特徴データが示す服装の特徴を利用した認証である。具体的には、第2認証処理部132は、チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で利用客が撮影された画像が示す服装と、記憶部12に記憶されたサブ特徴データが示す服装とを比較することにより利用客を認証する。
【0057】
第2認証処理部132が、このように第1認証手段よりも精度が低い第2認証手段を用いることで、例えば顔認証をする際のように利用客が静止したり、利用客が特別な動作をしたりすることなく、第2認証処理部132は第2認証処理に用いるためのデータを取得することができる。したがって、情報処理システムSは、施設内の多数の場所に設置された第2認証装置3が作成した多数のサブ特徴データを利用して第2認証処理を実行することができるので、利用客がいる場所又は利用者の状態を細かく認識し、利用客の状態に適した設備の制御をすることが可能になり、利用客の満足度が向上する。
【0058】
第2認証処理部132は、記憶部12に記憶された第1認証日時から所定の期間以内であることを条件として、第2認証手段により利用客を認証してもよい。所定の期間は、例えば、第1認証処理部131が第1認証処理を行った利用客が、利用客が使用可能な部屋まで移動する際に第2認証装置3が設置された場所に到達するまでに要する標準時間(例えば1分)に基づいて決定された期間(例えば2分)である。第2認証処理部132がこのように動作することで、第2認証装置3から取得したサブ特徴データに、第1認証処理に成功した利用客を示す情報(例えば服装の画像)が含まれている蓋然性が高まるので、第2認証の精度が向上する。
【0059】
第2認証処理部132は、複数の第2認証装置3の位置を利用客が通る順序に基づいて第2認証処理を実行するか否かを決定してもよい。第2認証処理部132は、例えば、1つの第2認証装置3から送信されたサブ特徴データを取得した場合、当該サブ特徴データを取得する前に、他の所定の第2認証装置3から取得したサブ特徴データに基づく第2認証が成功していたことを条件として、第2認証処理を実行してもよい。
【0060】
例えば
図2及び
図3に示した例において利用客がチェックイン場所から201号室まで移動する場合、第2認証装置3-3が設置された位置に利用客が到達する前に、第2認証装置3-1又は第2認証装置3-2が設置された位置を必ず通ることになる。したがって、第2認証装置3-1又は第2認証装置3-2から送信されたサブ特徴データに基づく第2認証処理に成功していない場合、第2認証装置3-3が設置された位置に利用客が到達しないと考えられる。
【0061】
そこで、第2認証処理部132は、第2認証装置3-3が設置された場所を利用客が通る前に利用客が通る位置に設置された第2認証装置3から送信されたサブ特徴データに基づく第2認証処理に成功していない場合、第2認証装置3-3から送信されたサブ特徴データに基づく第2認証処理を実行しない。第2認証処理部132がこのように、複数の第2認証装置3の位置を利用客が通る順序に基づいて第2認証処理を実行するか否かを決定することで、第2認証処理の精度を向上させることができる。
【0062】
ところで、利用客は、部屋に入った後に施設の外に出てから戻ってくる場合がある。このように、チェックインが終了している利用客が再びチェックイン場所を通る場合に、利用客に第1認証装置2の前で停止してもらうと、利用客の満足度が低下する。そこで、第2認証処理部132は、第1認証処理部131による認証が成功した後に利用客がチェックイン場所を通る場合に、第2認証手段により利用客を認証してもよい。
【0063】
この場合、第1認証装置2-1は、付近を移動している利用客を撮影することにより撮像画像データを作成して情報処理装置1に送信し、第2認証処理部132は、第1認証装置2から受信した撮像画像データに基づいて第2認証処理を実行する。この場合、第1認証装置2-1が作成した撮像画像データは第2特徴データとして使用される。第2認証処理部132は、第2認証処理に失敗した場合に第1認証装置2に認証結果を送信し、第1認証装置2が警報音を発してもよい。情報処理装置1及び第1認証装置2がこのように動作することで、チェックインをしていない人が施設内に入ってしまうことを防止できる。
【0064】
設備制御部133は、第2認証処理部132が第2認証手段による第2認証処理に成功したことが利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶されている場合に、施設内の設備を制御する。設備制御部133は、例えば、第2認証処理部132が第2認証手段による認証が成功したことが利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶されている場合に、部屋IDに対応する施設内の設備を制御する。設備制御部133は、例えばチェックイン場所から利用客が利用する部屋に利用客が移動するまでの想定ルート上の一以上の館内設備4を起動させる。設備制御部133は、利用客が利用する部屋に設置された一以上の室内設備5を制御してもよい。設備制御部133は、例えば、利用客が利用する部屋に設置された一以上の室内設備を起動させたり、動作状態を変化させたりする。
【0065】
設備制御部133は、第1認証処理部131が第1認証手段による第1認証に成功したことが利用客IDに関連付けて記憶部12に記憶されている場合にも施設内の設備を制御してもよい。この場合、設備制御部133は、第2認証処理部132が第2認証手段による第2認証処理に成功した場合に、第1認証処理部131が第1認証手段による第1認証処理に成功した場合に制御する設備と異なる設備を制御してもよい。
【0066】
一例として、設備制御部133は、第1認証処理部131が、第1認証装置2-1が送信した第1特徴データに基づく第1認証手段による第1認証処理に成功した場合に、第1認証手段に用いるデータを作成する第1認証装置2-1が設置された位置から所定の範囲内の館内設備4-1を起動させる。設備制御部133は、第1認証処理部131が第1認証処理に成功した後に、第2認証処理部132が、第2認証装置3-1が送信した第2特徴データに基づく第2認証処理に成功した場合に、第2認証装置3-1が設置された位置から所定の範囲外の館内設備4-2及び館内設備4-3を起動させたり、室内設備5を起動させたりする。設備制御部133がこのように動作することで、利用客の移動状況に合わせて設備が動作するので、利用客の満足度が向上する。
【0067】
また、設備制御部133は、第2認証処理部132が第2認証手段による第2認証処理に成功した場合に、第1認証処理部131が第1認証手段による第1認証処理に成功した場合と異なる状態に設備がなるように設備を制御してもよい。設備制御部133は、例えば第1認証処理部131が、第1認証装置2-1が送信した第1特徴データに基づく第1認証処理に成功した時点で、館内設備4-2~館内設備4-4を第1照度で点灯させる。そして、第2認証処理部132が、第2認証装置3-1が送信した第2特徴データに基づく第2認証処理に成功した場合に、館内設備4-2~館内設備4-4を第1照度よりも明るい第2照度で点灯させる。設備制御部133は、例えば第1認証処理部131が第1認証処理に成功した時点で室内設備5の電源を投入し、第2認証処理部132が第2認証処理に成功した時点で室内設備5の動作を開始させてもよい。
【0068】
設備制御部133がこのように動作することで、例えば館内設備4が第2照度で点灯するまでに所定の時間を要したり、室内設備5の電源が投入されてから動作を開始するまでに所定の時間を要したりする場合であっても、利用客が館内設備4又は室内設備5が設置された場所に到達する際に、館内設備4及び室内設備5が所定の動作をすることができる。
【0069】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、利用客がチェックイン場所に来た時点から開始している。
図6に示すフローチャートにおいては、部屋の入口に、利用客の顔画像データを情報処理装置1に送信する顔認証用の撮像装置が設置されている場合が想定されている。
【0070】
第1認証装置2-1は、例えば利用客の第1特徴データ(例えば顔画像データ)及びサブ特徴データ(例えば全身画像データ)を情報処理装置1に送信し、第1認証処理部131は、第1特徴データ及びサブ特徴データを取得する(S11)。第1認証処理部131は、予め記憶部12に記憶された第1認証用データと第1特徴データとを照合することにより第1認証処理を実行する(S12)。
【0071】
第1認証処理部131は、第1認証処理に成功すると(S12においてYES)、第1認証結果及びサブ特徴データを第2認証用データとして記憶部12に記憶させる(S13)。第1認証処理部131は、第1認証処理に失敗すると(S12においてNO)、認証に失敗したことを示す失敗通知データを第1認証装置2-1に送信する(S22)。第1認証処理部131は、失敗通知データを所定の外部装置(例えば施設の管理者のコンピュータ)に送信してもよい。
【0072】
設備制御部133は、第1認証処理部131が第1認証処理に成功すると、所定の館内設備4に制御データを送信することにより館内設備4-1(第1館内設備)を起動させる(S14)。設備制御部133は、例えば第1認証装置2-1から所定の範囲内に設置されている1階の通路灯を点灯させる。
【0073】
続いて、第2認証処理部132は、第2認証装置3から第2特徴データを取得する(S15)。第2認証処理部132は、第1認証処理部131が記憶部に第2認証用データとして記憶させたサブ特徴データと第2特徴データとを照合することにより第2認証処理を実行する(S16)。設備制御部133は、第2認証処理部132が第2認証処理に成功すると(S16においてYES)、所定の館内設備4(第2館内設備)に制御データを送信することにより所定の館内設備4を起動させる(S17)。設備制御部133は、例えば利用客が利用する部屋まで利用客が移動する間に通る位置に設置されている2階の通路灯を点灯させる。第2認証処理部132は、第2認証処理に失敗すると(S16においてNO)、認証に失敗したことを示す失敗通知データを所定の外部装置に送信してもよい(S22)。
【0074】
続いて、設備制御部133は第2認証処理に成功した利用客が利用する部屋に設置されている室内設備5及び部屋の入口に設置されている撮像装置を起動させる(S18)。利用客が部屋の入口に達すると、撮像装置は、利用客の顔を撮影することにより顔画像データを作成し、作成した顔画像データを情報処理装置1に送信する。撮像装置が送信した顔画像データを第1認証処理部131が取得して(S19)、認証処理に成功すると(S20においてYES)、設備制御部133は、部屋の電子錠に制御データを送信することにより開錠する(S21)。第1認証処理部131が認証処理に失敗すると(S20においてNO)、失敗通知データを外部装置に送信する(S22)。
【0075】
情報処理装置1は、利用客がチェックアウトするまでの間(S23においてNO)、利用客を対象としてS12からS22までの処理を繰り返す。情報処理装置1は、利用客がチェックアウトをした場合、処理を終了する。
【0076】
[第1変形例]
以上の説明においては、情報処理システムSが一つの施設内の第1認証装置2、第2認証装置3、館内設備4及び室内設備5を管理する場合を例示したが、情報処理システムSが管理する第1認証装置2、第2認証装置3、館内設備4及び室内設備5が複数の施設に設置されていてもよい。例えば、利用客が第1施設においてチェックインした際に第1認証処理部131が第1認証処理を実行し、利用客が第1施設と異なる第2施設を利用する際に、第2施設に設置された第2認証装置3から送信される第2特徴データに基づいて第2認証処理部132が第2認証処理を実行してもよい。
【0077】
すなわち、第2認証処理部132は、第1認証処理部131による認証が成功した後に利用客が、施設に関連付けられた他の施設のチェックイン場所を通る場合に、第2認証手段により利用客を認証してもよい。第2認証処理部132は、所定の回数以上にわたって第1認証処理部131が第1認証処理に成功した履歴がある利用客であることを条件として、他の施設のチェックイン時に第2認証手段により利用客を認証してもよい。情報処理装置1がこのように動作することで、情報処理システムSを用いて提供されるサービスを利用する利用客が他の施設にチェックインする場合に、利用客がチェックイン場所で停止する必要がなくなるので、利用客の満足度がさらに向上する。
【0078】
[第2変形例]
以上の説明においては、
図5に示した利用客データベースが記憶部12に記憶されている場合を例示したが、利用客データベースは、情報処理装置1の外部の装置に記憶されていてもよい。また、利用客データベースに含まれるデータの一部が記憶部12に記憶されており、他の一部のデータが外部の装置に記憶されていてもよい。
【0079】
[第3変形例]
以上の説明においては、第2認証処理部132が、チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で利用客が撮影された画像が示す服装と、記憶部12に記憶されたサブ特徴データが示す服装とを比較することにより利用客を認証するという例を示したが、第2認証処理部132は、サブ特徴データに基づく服装以外の特徴を利用して利用客を認証してもよい。第2認証処理部132は、サブ特徴データに基づいて特定される利用客の体形又は動作の特徴を用いて利用客を認証してもよい。第2認証処理部132が動作の特徴を用いる場合、サブ特徴データは動画像データであることが好ましい。
【0080】
第1認証処理部131は、利用客の体形又は動作の少なくともいずれかの特徴を示すサブ特徴データを記憶部12に記憶させる。第2認証処理部132は、チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で利用客が撮影された画像に基づいて特定した利用客の体形又は動作の少なくともいずれかの特徴と、記憶部12に記憶されたサブ特徴データが示す体形又は動作の少なくともいずれかの特徴とを比較することにより利用客を認証する。
【0081】
第2認証処理部132は、例えば、サブ特徴データに含まれる画像データに基づいて、利用客の骨格上の複数のポイントを抽出し、抽出した複数のポイントの位置関係が、チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で利用客が撮影された画像から抽出される骨格上の複数のポイントの位置関係と一致するか否かを判定することにより利用客を認証する。
【0082】
第2認証処理部132は、複数のポイントが時間の経過とともに変化するパターンを特定する。パターンは、サブ特徴データに含まれる動画像データに基づいて抽出した骨格上の複数のポイントの変化パターンが、チェックインが行われる場所以外の一以上の場所で利用客が撮影された画像から抽出される骨格上の複数のポイントの変化パターンと一致するか否かを判定することにより利用客を認証する。複数のポイントの変化パターンは、例えば、複数のポイントそれぞれの単位時間あたりの変化量、変化する方向又は複数のポイントの位置関係の変化傾向により定められる。
【0083】
第2認証処理部132が、このような利用者の体形又は動作の少なくともいずれかの特徴を利用することで、利用客が正面を向いていない状態で撮影されて作成された撮像画像データを用いて利用客を認証できるので、さまざまな場所で容易に利用客を認証することができる。また、複数の利用客で体形又は動作が一致する確率は服装が一致する確率よりも低いので、認証の精度が向上する。
【0084】
[第4変形例]
以上の説明においては、チェックイン時に第1認証を行う場合を例示したが、第1認証を行う回数及び場所は任意である。第1認証装置2は、例えば、チェックイン場所、エレベータ内、部屋の入口又は精算場所の少なくともいずれかの場所に設けられていてもよい。
【0085】
また、第1認証処理部131は、第2認証処理部132が第2認証装置3により認証した後に、再び第1認証装置2を用いて認証する場合に、第1認証装置2とともに、第2認証装置3を用いて第2認証処理部132が認証した結果を用いて認証してもよい。すなわち、第1認証処理部131が2回目以降の第1認証を行う際に、第1認証処理で用いる認証方法(例えば顔画像を用いる認証)とともに、1回目の第1認証処理の後に第2認証処理部132が行った第2認証の結果を用いてもよい。第2認証処理の結果は、例えば、利用客の服装、体形、動き方、利用客が撮影された位置及び時刻、又は利用客の携帯端末の位置情報に基づいて特定される位置である。このように第1認証手段と第2認証手段とを併用することにより、認証の精度が向上する。
【0086】
一例として、第1認証処理部131は、第1認証手段と併用する第2認証手段として、利用客の携帯端末の位置情報の履歴を用いてもよい。例えば、第2認証処理部132は、第2認証処理をした際の利用客の位置(すなわち第2認証処理に用いた撮像画像を取得した第2認証装置3の位置)を時刻及び利用客に関連付けて記憶部12に記憶させる。そして、第1認証処理部131は、第1認証処理を実行する時刻及び位置と、記憶部12に記憶された利用客に対して第2認証処理をした時刻及び位置との関係に基づいて、第1認証処理の対象の利用客が第2認証処理をした利用客とが同一人物でないと判定した場合、第1認証処理を実行しない。
【0087】
第1認証処理部131は、例えば、第1位置で第1認証装置2の位置にいる利用客が、第1位置から5分で移動することが不可能な第2位置で5分前に第2認証装置3を介して第2認証が行われたという場合に、当該利用客に第1認証処理を実行せず、エラーメッセージを出力する。第1認証処理部131は、第2認証処理部132が記憶部12に記憶させた時刻及び位置の代わりに、予約した利用客の携帯端末の位置情報を検索することにより、予約した利用客の位置を時刻に関連付けて確認し、確認した位置及び時刻と第1認証装置2の位置及び第1認証装置2に利用客が到着した時刻との関係に基づいて、第1認証処理の対象の利用客が第2認証処理をした利用客とが同一人物であるか否かを判定してもよい。第1認証処理部131がこのように動作することで、双子のように顔が似ている人を取り違えてしまうことを防げる。
【0088】
[情報処理システムSによる効果]
以上説明したように、情報処理システムSは、情報処理装置1と、第1認証装置2と、第2認証装置3と、を備えている。そして、情報処理装置1は、施設を利用する利用客が施設にチェックインする際にチェックイン場所において利用客を第1認証手段により認証し、第1認証手段による認証に成功した場合に、利用客を第2認証手段により認証する。情報処理装置1は、第2認証手段による認証に成功した場合に、施設内の設備を制御して、設備に所定の動作を実行させる。
【0089】
情報処理装置1がこのように構成されていることで、チェックイン時に利用客を認証した後に、チェックイン場所以外の場所に適した手段で利用客を認証することができる。したがって、情報処理装置1は、複数の場所で利用客を認証した結果に基づいて利用客の満足度が向上するように設備を制御することが可能になるので、施設の運営者がいない状態で利用客がチェックインをした場合の利用客の満足度を向上させることができる。
【0090】
また、第1認証手段を用いた第1認証処理よりも第2認証手段を用いた第2認証処理の精度は低いので、多数の場所で第2認証処理をするための第2特徴データが収集されたとしても利用客の負担が増加しない。その結果、利用客の負担が増えることなく利用客にとっての利便性が高まるので、利用客の満足度が向上しやすくなる。
【0091】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0092】
1 情報処理装置
2 第1認証装置
3 第2認証装置
4 館内設備
5 室内設備
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 第1認証処理部
132 第2認証処理部
133 設備制御部