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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140140
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/04 20060101AFI20220915BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220915BHJP
   H05B 47/10 20200101ALI20220915BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220915BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
F21V23/04 500
H05B47/19
H05B47/10
F21V23/00 170
F21S8/02 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040817
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】高井 大幹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 圭介
(72)【発明者】
【氏名】川原田 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 一行
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 堅治
(72)【発明者】
【氏名】堀田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】中村 英弘
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA01
3K273QA29
3K273QA31
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA41
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA23
(57)【要約】
【課題】従来よりも発信位置を柔軟に変更可能な照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤレスモジュール7aを備えた照明器具2であって、ワイヤレスモジュール7aは、着脱可能に構成されており、ビーコン信号11aの発信機能を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスモジュールを備えた照明器具であって、
前記ワイヤレスモジュールは、着脱可能に構成されており、ビーコン信号の発信機能を備える
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記照明器具は、電源装置を備え、
前記ワイヤレスモジュールは、前記電源装置に着脱される
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記ワイヤレスモジュールは、
それぞれ無線通信機能を備える第1の回路部及び第2の回路部を備え、
前記第1の回路部は、照明の制御を行い、
前記第2の回路部は、ビーコン信号の発信を制御する
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記第1の回路部と前記第2の回路部とは、同一の回路である
ことを特徴とする請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
前記ワイヤレスモジュールは、複数の端子を備え、
前記照明器具は、前記ワイヤレスモジュールが挿入されることで、前記複数の端子と電気的に接続するソケット部を備え、
前記第1の回路部は、前記複数の端子のうちの第1の端子群に接続されており、
前記第2の回路部は、前記複数の端子のうちの第2の端子群に接続されており、
前記第1の端子群と前記第2の端子群とは、端子の組み合わせが異なる
請求項3記載の照明器具。
【請求項6】
前記第2の端子群は、給電用の端子及びグランド用の端子であり、
前記第1の端子群は、前記第2の端子群を含む
請求項5記載の照明器具。
【請求項7】
前記第1の回路部及び前記第2の回路部は、前記複数の端子を介さない信号線で接続されており、
前記第1の回路部及び前記第2の回路部は、前記信号線を介して相互に通信する
請求項3記載の照明器具。
【請求項8】
前記第1の回路部は、前記第2の回路部に対し、前記信号線を介して前記ビーコン信号に含める識別情報を書き込む
請求項7記載の照明器具。
【請求項9】
前記第1の回路部は、前記第2の回路部に対し、前記無線通信により前記ビーコン信号に含める識別情報を書き込む
請求項3記載の照明器具。
【請求項10】
前記第2の回路部は、ビーコン信号の発信のオンとオフが可能であり、
前記第1の回路部は、前記第2の回路部に対し、前記信号線を介して前記ビーコン信号の発信のオン及びオフを指示する
請求項7記載の照明器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、特に、ビーコン信号を発信する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にビーコン信号を発信することが可能な照明器具が開示されている。ビーコン信号には、通常、発信位置を特定するための位置情報が含まれる。この位置情報を情報端末等で受信させることで、ユーザの情報端末のディスプレイに、その位置に適した広告画像を表示させるなどのサービスを提供することができる。ビーコン信号の発信を可能にすべく、特許文献1の照明器具では、ビーコン信号を発信する機能を備えた基板が、照明器具の本体部から着脱可能な直管形ランプの内部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-37812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ビーコン信号を発信する機能を備えた照明器具は、通常、発信するビーコン信号の内容が製造業者などにより予め設定された状態で設置現場に納入され、設置場所に設置されることになるが、実際に照明器具を設置する設置現場では、ビーコン信号の位置情報と、照明器具が取り付けられる位置である実際の発信位置とが異なることが考えられる。
【0005】
この場合、上述の照明器具では、直管形ランプを取り外し、近くの他の照明器具に取り付けることでビーコン信号の実際の発信位置を変更することが可能であるが、発光色が変わらないよう同発光色であってかつ同サイズの直管形ランプ用の照明器具に取り付けることしかできないため、発信位置の微調整、変更に対する制約が大きい。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、従来よりも発信位置を柔軟に変更可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る照明器具は、ワイヤレスモジュールを備えた照明器具であって、前記ワイヤレスモジュールは、着脱可能に構成されており、ビーコン信号の発信機能を備える。
【発明の効果】
【0008】
上述の構成により、本発明に係る照明器具は、従来よりも発信位置を柔軟に変更可能な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る照明システムの構成を示す図である。
図2】照明システムに含まれる電源装置の外観を示す斜視図である。
図3】(a)照明システムに含まれる照明器具の構成を示すブロック図、(b)照明システムに含まれるユーザ端末装置の構成を示すブロック図である。
図4】(a)照明器具が備えるワイヤレスモジュール部を分解した場合の構成を示す斜視図、(b)ワイヤレスモジュール部に含まれる基板部の外観構成を示す図である。
図5】ワイヤレスモジュール部の機能構成を示すブロック図である。
図6】ワイヤレスモジュール部の端子の構成を示す一覧表を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る照明システム1について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<1.第1の実施形態>
<1.1.概要>
図1は、照明システム1の構成を示す図である。
【0012】
照明システム1は、図1に示すように、複数の照明器具2a、2b、・・・、2c(以下「照明器具2」と総称する。)、ユーザ端末装置9a及び照明制御装置9bを備える。
【0013】
照明器具2は、それぞれビーコン信号を発信する機能を有する照明器具である。照明器具2b、・・・2cは、照明器具2aと同様の構成を有する。以下では、主に照明器具2aについて説明し、照明器具2b、・・・、2cについては必要に応じ説明する。
【0014】
ユーザ端末装置9a及び照明制御装置9bは、いずれも一例としてスマートフォンなどディスプレイを備えた情報処理装置である。ユーザ端末装置9aは、照明器具2が送信するビーコン信号(一例として図1中に破線で模式的に示すような、照明器具2aが送信するビーコン信号11a)を無線通信により受信し、受信したビーコン信号の内容に応じて異なるアプリケーションを立ち上げ、又は画像を表示するなど、受信したビーコン信号に応じた処理を行う。
【0015】
照明制御装置9bは、ユーザが入力する指示に従って、照明器具2に対し、無線通信(一例として図1中に破線で模式的に示す無線通信12a)により、光源の点灯、消灯、調光率の変更及び発光色温度の変更などの照明制御を行う指示(以下、「照明制御指示」という。)を送信するために用いられる。
【0016】
照明器具2とユーザ端末装置9aとの間の無線通信(主にビーコン信号の送信)、及び照明器具2と照明制御装置9bとの間の無線通信は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、「BLE」という。)仕様に基づくものとするが、これに限るものではなく、他の仕様に基づく無線通信を行ってもよい。また、照明器具2、ユーザ端末装置9a及び照明制御装置9bは、BLEを用いメッシュネットワークを形成可能であり、メッシュネットワークを通じて直接又は間接的に相互に通信することができる。
【0017】
照明器具2aは、図1に示すように、器具本体4a、電源装置5a及びワイヤレスモジュール(以下、「WM」という。)7aを備える。なお、照明器具2aは、器具本体4aと電源装置5aとを別個の構成(電源外付型)としているが、これに限らず、器具本体4aが電源装置5aを内蔵する構成(電源内蔵型)であってもよい。
【0018】
図2は、電源装置5aの外観を示す斜視図である。
【0019】
図3(a)は、照明器具2aの構成を示すブロック図である。
【0020】
電源装置5aは、図2に示すように、電源本体部50a及び電線51aを備え、電線51aが器具本体4aに接続されることにより器具本体4aと電気的に接続する。また、電源本体部50aは、図3(a)に示すようにWM7aが着脱可能であるソケット部53aを備える。
【0021】
WM7aは、ビーコン信号を発信する機能を有する。ビーコン信号は、そのビーコン信号の発信位置を示す情報を含む。ここで、例えば、施工時などにおいて、照明器具2を所定の設置位置に取り付ける際に、照明器具2の設置位置が設計時と異なっており、その設置位置と、照明器具2から発せられるビーコン信号の示す発信位置とにずれが生じるようなことが起こりうる。
【0022】
このような場合であっても、WM7aを取り付ける照明器具2を、その配置位置が、ビーコン信号の示す発信位置により近い照明器具2に変更することにより、ビーコン信号が実際に発信される位置(照明器具2の配置位置が相当する)と、ビーコン信号の示す発信位置とをより近づけることができる。
【0023】
なお、仮にビーコン信号を発する機能を直管形ランプに持たせるよう構成すると、その直管形ランプを他の照明器具に取り付けるよう変更したい場合に、元々取り付けられていた直管形ランプと発光色が変わってしまうことや、直管形ランプのサイズが異なっているためにそもそも取り付けができないなどの問題が生じ得る。
【0024】
照明器具2においては、ビーコン信号を発するWM7aが着脱可能に構成されていることにより、他の照明器具2に取り付けたとしても、その照明器具2の発光色、直管形ランプのサイズなどが変わることがないので、ビーコン信号の実際の発信位置を柔軟に変更することが可能である。
【0025】
また、照明器具2に、ビーコン信号を発信する機能を有しないワイヤレスモジュールが装着されている場合には、そのワイヤレスモジュールをWM7aに交換することで、その照明器具2をビーコン発信機能付きに簡単に変換することができる。
【0026】
以下、照明システム1の各構成について、より詳細に説明する。
【0027】
<1.2.構成>
<1.2.1.照明器具2a>
照明器具2aは、図3(a)に示すように、器具本体4a、電源装置5a及びWM7aを備える。
【0028】
<器具本体4a>
器具本体4aは、光源部41aを備える。光源部41aは、LEDで構成された光源、及び光源を配置する回路基板である光源基板を備える。なお、光源は、照明用の光源として機能すれば足り、有機EL(Electro Luminescence)デバイスなどLED以外で構成されていてもよい。光源部41aは、電源装置5aの電力供給部54aから電線51aを介して供給される電力に応じて、光源の点灯、消灯、調光率変更及び調色などの動作をする。
【0029】
<電源装置5a>
電源装置5aは、図2及び図3(a)に示すように、電源本体部50a及び電線51aを備え、電源本体部50a内にソケット部53a及び電力供給部54aを備える。
【0030】
電力供給部54aは、照明器具2の外部から供給される電力を、WM7aから受信する照明制御信号に応じた電力に変換し、光源部41aに供給することで、調光制御、調色制御などを行う。
【0031】
ソケット部53aは、WM7aが挿入されるソケットであり、WM7aが挿入されることにより、WM7aの端子部75aが備える端子それぞれに電気的に接続する複数の端子を備える。複数の端子は、電力供給部54aと電気的に接続しており、ソケット部53aにWM7aが挿入された場合に、WM7aと電力供給部54aとが電気的に接続した状態になる。
【0032】
<WM7a>
WM7aは、無線通信を行うモジュールである。WM7aは、電力供給を受けて動作する独立した装置であり、ソケット部53aに着脱可能に構成されている。WM7aは、照明制御機能及びビーコン信号発信機能を有する。
【0033】
照明制御機能は、無線通信によって照明制御装置9bから照明制御指示を受信し、受信した照明制御指示に従って、光源部41の点灯、消灯、調光率変更及び調色などを制御する機能である。
【0034】
ビーコン信号発信機能は、無線通信を用いて外部にビーコン信号を発信する機能である。
【0035】
図4(a)は、WM7aを分解した場合の構成を示す図である。
【0036】
WM7aは、形状的には、図4(a)に示すように、筐体第1部分701a、筐体第2部分702a及び基板部703aを備える。筐体第1部分701a及び筐体第2部分702aは、嵌合することにより筐体を構成し、筐体の内部に基板部703aが固定される
基板部703aは、部品が実装された板状の部材である。基板部703aでは、主に一方の面側に部品が実装されている(以下、主に部品が実装される面を「実装面」という。)。
【0037】
図4(b)は、基板部703aの実装面を模式的に示す図である。
【0038】
図5は、WM7aの機能面からみた構成を示すブロック図である。
【0039】
基板部703aは、図4(b)及び図5に示すように、第1の回路部71a、第2の回路部72a及び端子部75aを備える。
【0040】
<第1の回路部71a及び第2の回路部72a>
第1の回路部71a及び第2の回路部72aは、同一の回路であり、それぞれを制御するプログラムが異なっている。第1の回路部71aは、照明制御プログラムを実行することにより照明制御機能を実現し、第2の回路部72aは、ビーコン信号発信プログラムを実行することによりビーコン信号発信機能を実現している。同一の回路を用いることで、照明制御用の回路を流用し、ビーコン信号の発信を行う回路として使用することができるので、WM7aの開発期間を短縮することができる。
【0041】
ここで、照明制御機能を実現する第1の回路部71aと、ビーコン信号発信機能を実現する第2の回路部72aとは、それぞれ独立して動作する。これは、ビーコン信号は短時間間隔で発信する必要がある場合があるため、1つの回路でビーコン信号発信機能と、照明制御機能とを実現すると、照明制御信号の送受信タイミングと、ビーコン信号の発信タイミングとが重なってしまい、処理に遅れが生じてしまう場合が有り得るので、これを回避するためである。
【0042】
また、第1の回路部71aは、第2の回路部72aの動作開始、動作停止を制御することができる。例えば、ビーコン信号の発信が必要ない場合には、第2の回路部72aの動作を停止させ、第1の回路部71aのみを動作させ、消費電力の低減を図ることができる。
【0043】
また、第1の回路部71aは、第2の回路部72aによるビーコン信号の発信開始、発信停止を制御することもできる。例えば、ビーコン信号の発信が必要ない場合に、第1の回路部71aは、第2の回路部72aに対しビーコン信号の発信停止を指示することで、無線通信量を低減することができる。
【0044】
第1の回路部71aは、無線部711a、制御部712a、及び発信部713aを備える。制御部712aは、記憶部714aを備える。図4(b)に示すように、第1の回路部71aにおいて、無線部711aと隣接する部分には、空間部715aが設けられている。
【0045】
第2の回路部72aは、無線部721a、制御部722a、及び発信部723aを備える。制御部722aは、記憶部724aを備える。図4(b)に示すように、第2の回路部72aにおいて、無線部721aと隣接する部分には、空間部725aが設けられている。
【0046】
無線部711a及び無線部721aは、無線通信に用いられるアンテナであり、一例としてチップアンテナで構成される。
【0047】
第1の回路部71a及び第2の回路部72aは、ともにBluetooth(登録商標) Low Energy(以下、「BLE」という。)仕様に基づき無線通信を行うが、これに限らず、他の仕様に基づく無線通信を行うこととしてもよい。
【0048】
空間部715aは、部品の実装されていない領域である。無線部711aの近くに、部品などが実装されていると、電波を反射して通信性能に悪影響を及ぼすため、空間部715aを設けることによって通信性能が低下するのを防いでいる。空間部725aも、空間部715aと同様に部品の実装されていない領域であり、空間部715aと同様、通信性能が低下するのを防いでいる。
【0049】
発信部713aは、制御部712aに供給するクロック信号を生成するクロック源であり、発信部723aは、制御部722aに供給するクロック信号を生成するクロック源である。発信部713a及び発信部723aは、それぞれ、一例として水晶発振子で構成される。
【0050】
記憶部714a及び記憶部724aは、データ、プログラムなどを記憶するメモリ装置である。記憶部714aは、一例として、照明制御機能を実現するための照明制御プログラムなど、制御部712aの動作を制御するためのプログラムを記憶している。
【0051】
記憶部724aは、一例として、ビーコン信号発信機能を実現するためのビーコン信号発信プログラムなど、制御部722aの動作を制御するためのプログラムを記憶している。
【0052】
制御部712aは、発信部713aから供給されるクロック信号に基づき動作するプロセッサであり、記憶部714aに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより、照明制御機能などの機能を実現する。より具体的には、制御部712aは、光源の点灯、消灯、点滅、調光率増加、調光率減少など光源の動作に関する照明制御指示をWM7aから受け取り、照明制御指示が示す動作を行わせるための制御信号を、端子部75a及びソケット部53aを介して、電源装置5aの電力供給部54aに出力する。電力供給部54aは、受信した制御信号に応じた電力を、電線51aを介して器具本体4aの光源部41aに供給する。
【0053】
制御部722aは、発信部723aから供給されるクロック信号に基づき動作するプロセッサであり、記憶部724aに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより、ビーコン信号発信機能などの機能を実現する。
【0054】
ビーコン信号は、識別情報(ID)と、ビーコン信号の示す発信位置を示す発信位置情報とを含む。識別情報及び発信位置情報は、予め記憶部724aに書き込まれているものとする。
【0055】
信号線73aは、第1の回路部71a及び第2の回路部72aを接続する信号線である。第1の回路部71a及び第2の回路部72aは、信号線73aを介して相互にデータを送受信する。例えば、第1の回路部71aから、信号線73aを介して制御用のデータを送信し、第2の回路部72aがその制御用のデータに従って動作することで、第1の回路部71aが第2の回路部72aを制御できる。
【0056】
<端子部75a>
端子部75aは、図5に示すように、端子751a、端子752a、端子753a、端子754a及び端子755aを備える。
【0057】
図6は、WM7aにおける端子751a~端子755aの機能(Type)と、用途に関する簡単な説明を一覧にした図である。
【0058】
端子751a、端子754a、端子755aは、それぞれ入出力(I/O)用の信号用端子である。
【0059】
端子752aは、WM7aを動作させるための電源入力用の端子であり、電源装置5aの電力供給部54aから供給される3.3ボルト(V)の電力信号の入力を受け付ける。なお、電力信号の電圧は、3.3Vに限るものではなく、要求仕様に応じて変更してよい。
【0060】
端子753aは、回路動作の基準となるグランド接続用の端子であり、電力供給部54aと接続することで電力供給部54aとWM7aとのグランドを共通にする。
【0061】
ここで、照明制御を行う第1の回路部71aと、ビーコン信号の発信を行う第2の回路部72aとは、端子751a~端子755aのうち必要とする端子が異なる。第2の回路部72aは、ビーコン信号を発信する処理において、電力供給部54aとの間で制御用の信号を送受信する必要はなく、WM7aを動作させるための電力が供給され、かつグランドが電力供給部54aと共通になっていれば足りる。すなわち、第2の回路部72aにおいて必要な端子は、端子752aと端子753aのみであるので、第2の回路部72aは、図5に示すように、端子752a及び端子753aのみと接続し、端子751a、端子754a及び端子755aとは接続されていない。
【0062】
一方、第1の回路部71aは、照明制御を行うための制御用信号を送受信するために端子751a、端子754a及び端子755aを用いるため、端子752a及び端子753aに加えて、端子751a、端子754a及び端子755aとも接続されている。
【0063】
以上のように、端子751a、端子754a及び端子755aを必要とする第1の回路部71aのみに、端子751a、端子754a及び端子755aを通じて信号が伝送されるため、第2の回路部72aに余計な信号が入力されることが無くなり、第2の回路部72aが誤動作したり、不要な信号処理を行うのを防ぐことができ、第2の回路部72aの処理負荷についても低減することができる。
【0064】
なお、図5において、端子752a及び端子753aは、第1の回路部71a内の構成要素に結線していないように省略して描かれているが、第1の回路部71aにおける、電力供給が必要な部品、グランドを接続すべき部品等に電気的に接続されているものとする。
【0065】
第2の回路部72aについても、第1の回路部71aと同様に、端子752a及び端子753aは、第2の回路部72aにおける、電力供給が必要な部品、グランドを接続すべき部品等に電気的に接続されているものとする。
【0066】
また、第1の回路部71aは、端子751a~端子755aの全てと結線し、第2の回路部72aは、端子752a及び端子753aと結線しているとしたが、これに限らず、必要な信号を入出力できるよう結線すれば足りる。
【0067】
端子751a~端子755aのうち、第1の回路部71aが接続する端子群(第1の端子群)と、端子751a~端子755aのうち、第2の回路部72aが接続する端子群(第2の端子群)とは、端子の組み合わせが同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1の回路部71aは、入出力すべき信号の仕様に基づき、信号の入出力用に端子751aを使用して、端子754a及び端子755aを使用する必要が無い場合には、第1の端子群として端子751a~端子753aと結線し、端子754a及び端子755aとは結線しなくてもよい。また、第2の回路部72aは、第2の端子群として、端子752a及び端子753aと接続するのに限らず、端子751a~端子755aのうち必要な端子と接続することとしてよい。
【0068】
WM7aは、一例として、照明制御にあたり、1CH(チャネル)制御、2CH制御、及び3CH制御する機能を有するものとする。ここで、チャネルは、制御対象(電源装置5a)を制御するのに使用する信号を表す。使用する信号は、制御の対象とする光源部41aに採用される光源により異なる。
【0069】
1CH制御は、光源部41aが調光のみ可能な場合に、1つの信号(調光信号)を用いて電源装置5aに調光の指示を行う制御である。この場合、例えば、WM7aは、端子751を用いて光源部41aに信号を送信する。
【0070】
2CH制御は、光源部41aが調光及び調色が可能な場合に、調光信号を用いて電源装置5aに調光の指示を行い、もう1つの信号(調色信号)を用いて電源装置5aに調色の指示を行う制御である。この場合、例えば、WM7aは、端子751及び端子752を用いて光源部41aに信号を送信する。
【0071】
3CH制御は、光源部41aが、3色のLEDを含む場合に、3つの信号がそれぞれ、各色のLEDの発光を制御する。この場合、例えば、WM7aは、端子751、端子752及び端子753を用いて光源部41aに信号を送信する。
【0072】
光源部41aに送信する信号は、1例としてPWM信号とするが、これに限らず、電源装置5aに調光率を伝えることができる信号形式であれば足りる。例えば、シリアル信号などであってもよい。
【0073】
なお、WM7aは、可動部や、照明するための発光部などを有さず、照明器具2aを構成する器具本体4a、電源装置5aと比べて壊れにくい。よって、器具本体4aや電源装置5aが仮に壊れて交換する必要が生じた場合でも、WM7aをそのまま使い続けうる。
【0074】
<ユーザ端末装置9a及び照明制御装置9b>
ユーザ端末装置9a及び照明制御装置9bは、いずれも可搬型の情報処理装置で構成され、一例として、図1に示すような長方形板状の外観を有し、一つの面にタッチパネルが嵌め込まれたスマートフォンである。ユーザ端末装置9a及び照明制御装置9bは、ハードウェア面の構成としては共通し、異なるプログラムによる動作を行うことで、それぞれユーザ端末装置9a及び照明制御装置9bとして機能する。
【0075】
以下では、ユーザ端末装置9aについて主に説明し、照明制御装置9bについては特に必要な場合にのみ、差異を中心に説明する。
【0076】
図3(b)は、ユーザ端末装置9aの構成を示すブロック図である。
【0077】
ユーザ端末装置9aは、図3(b)に示すように、制御部91a、ROM92a、RAM93a、無線通信部94a及びタッチパネル95aを備える。
【0078】
ROM92aは、フラッシュメモリなどで構成され、アプリ、プログラム、UIのほか各種のデータを保持する。RAM93aは、ROM92aに格納された照明制御用のプログラムがロードされる記憶装置である。なお、照明制御装置9bの場合、ROMに格納されたビーコン送信を行うためのプログラムがRAMにロードされる。
【0079】
タッチパネル95aは、UIを構成する画像、情報を表示する表示部と、ユーザ指示の入力を受け付ける入力部とを組み合わせた電子部品であり、ユーザインターフェース手段として機能する。表示部は、一例として液晶パネルで構成される。また、入力部は、一例としてタッチパッドである。タッチパネル95aは、ユーザ入力を制御部91aに通知する。タッチパネル95aは、ユーザインターフェース(以下「UI」という)を表示する機能を有する。
【0080】
制御部91aは、CPU(Central Processing Unit)を備える。ユーザ端末装置9aの各機能は、ROM92aからロードされてRAM93aに記憶される照明制御用のプログラムを制御部91aが実行することにより実現される。
【0081】
また、制御部91aは、タッチパネル95aに表示されているUIの内容と、ユーザにより行われるタッチパネル95aへのタッチ、ジェスチャ入力(以下「ユーザ入力」という)とに基づき、ユーザが要求している動作の指示(ユーザ指示)を判断し、ユーザ指示に応じた処理を実行する。
【0082】
無線通信部94aは、無線通信を行うデバイスで構成される。無線通信部94aは、照明器具2との間で無線通信を行う。
【0083】
<2.変形例>
以上、本発明に係る照明システムの実施形態を説明したが、例示した照明システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明システムに限られないことは勿論である。
【0084】
(1)WM7aは、複数の通信仕様に従った無線通信可能であるとするが、これに限らず、例えば異なる通信仕様ごとのWM7aが用意されていることとしてもよい。この場合、使用する通信仕様に応じたWM7aがソケット部53aに装着されることで、照明器具2aは、その通信仕様に応じた無線通信が可能になる。
【0085】
(2)上述の実施形態では、識別情報及び発信位置情報は、予め記憶部724aに書き込まれているものとしたが、これらの一方又は双方を書き換え可能に構成してもよいし、書き換えができないよう保護される構成としてもよい。
【0086】
書換可能に構成する場合、例えば、第1の回路部71aが無線通信により、照明制御装置9bから識別情報及び発信位置情報の一方又は両方の書換指示を受信する。そして、第1の回路部71aが、信号線73aを介して、第2の回路部72aに対し書き換え指示をする。第2の回路部72aは、書換指示に従って、識別情報及び発信位置情報の一方又は両方を書き換える。
【0087】
これにより、第2の回路部72aは、無線通信については、ビーコン信号の発信のみ行うよう構成でき、第2の回路部72aの処理負荷をビーコン信号の発信処理にできるだけ割り当てることができる。
【0088】
(3)照明器具2aにおいて、照明制御を行う第1の回路部71a側が、第2の回路部72a側を制御するよう構成してもよい。
【0089】
例えば、第1の回路部71aが、第2の回路部72aの有する機能の実行開始、実行停止を、信号線73aを介して指示することとしてもよい。一例として、第1の回路部71aが、ビーコン信号の発信及び停止を第2の回路部72aに指示し、第2の回路部72aは、ビーコン信号の発信指示を受け取るとビーコン信号を発信し、ビーコン信号の停止指示を受け取るとビーコン信号の発信を停止する。
【0090】
これにより、不要なビーコン信号の発信を抑止でき、消費電力を低減することができる。
【0091】
また、第1の回路部71aは、第2の回路部72aの動作の開始指示、動作の停止指示を送信し、第2の回路部72aは、動作の開始指示を受け取ると動作を開始し、動作の停止指示を受け取ると動作を停止することとしてもよい。第2の回路部72aは動作を停止している場合には、第1の回路部71aから動作の開始指示などを受け取る機能を実現する部分だけ動作させ、他の動作を停止する。これにより、更に、消費電力を低減することができる。
【0092】
(4)照明器具2aにおいて、照明制御を行う第1の回路部71aが、第2の回路部72aの動作に必要な情報を照明制御装置9bから受信し、第2の回路部72aに送信することとしてもよい。動作に必要な情報としては、例えば、送信する電波の電波強度や、通信チャンネル、認証用のID、パスワードなどの識別情報などが考えられる。
【0093】
(5)上述の実施形態では、第1の回路部71aと第2の回路部72aとは、信号線73aを介して相互にデータを送受信することとしたが、これに限らず他の方法でデータの送受信を相互に行ってもよい。例えば、第1の回路部71aと第2の回路部72aは、無線通信により相互にデータの送受信を行ってもよい。この場合、信号線73aは省略してもよい。
【0094】
(6)端子751a、端子754a、及び端子755aのいずれかを、ON/OFF信号として、オン信号及びオフ信号のいずれかを送信することとしてもよい。一例として、オン信号はハイレベルの信号、オフ信号はローレベルの信号とする。
【0095】
ON/OFF信号は、オン信号の場合に電源装置5aは、各色LEDへの電力供給を行い、オフ信号の場合に各色LEDへの電力供給を行わない。
【0096】
電源装置5aは、WM7aから制御信号を受信すると、その制御信号に応じて光源部41aを制御するよう光源部41aの各色LEDに電力供給しようとするが、電源装置5a内の回路遅延などにより、各色LEDへの電力供給の開始タイミングにばらつきが生じる場合があり、これにより、所望の色と異なる色で光源部41aが点灯してしまう期間が生じうる。
【0097】
WM7aは、ON/OFF信号をオフ信号にして電源装置5aに制御信号を送信し、電源装置5aが、全てのLEDに電力供給ができるようになった後に、ON/OFF信号をオン信号にすることで、所望の色と異なる色で光源部41aが点灯してしまう期間を無くしている。
【0098】
なお、ON/OFF信号は、必ずしも必須の構成ではなく、上述のような遅延がない場合などON/OFF信号が必要ない場合には、ON/OFF信号を使用せず、また端子755aの構成を省略することとしてもよい。
【0099】
(7)上述の実施形態では、WM7aは、1CH、2CH、3CHの全てに対応することとしたが、1CH、2CH、3CHのうち1つ、又は2つに対応することとしてもよい。電源装置5aの制御に必要なチャネルの制御機能を備えたWM7aをソケット部53aに装着することで、光源部41aの制御が可能になる。
【0100】
(8)上述の実施形態では、WM7aは、電源装置5aに装着されることとしたが、これに限らず、電源装置2aにおいて着脱可能に構成されれば足りる。例えば、器具本体4aに装着可能であってもよい。
【0101】
(9)上述の実施形態で示した各機能構成要素は、その機能を実行する回路として実現されてもよいし、1又は複数のプロセッサにより照明制御プログラムを実行することで実現されてもよい。
【0102】
(10)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0103】
<3.補足>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明システムの構成及びその変形例と効果について説明する。
【0104】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、ワイヤレスモジュールを備えた照明器具であって、前記ワイヤレスモジュールは、着脱可能に構成されており、ビーコン信号の発信機能を備える。
【0105】
この構成により、本発明に係る照明器具は、従来よりも発信位置を柔軟に変更可能な照明器具を提供することができる。
【0106】
(2)また、前記照明器具は、電源装置を備え、前記ワイヤレスモジュールは、前記電源装置に着脱されることとしてもよい。
【0107】
この構成により、照明器具において電源装置を交換する必要が生じた場合などに、ワイヤレスモジュールをそのまま流用することができる。
【0108】
(3)また、前記ワイヤレスモジュールは、それぞれ無線通信機能を備える第1の回路部及び第2の回路部を備え、前記第1の回路部は、照明の制御を行い、前記第2の回路部は、ビーコン信号の発信を制御することとしてもよい。
【0109】
この構成により、照明の制御と、ビーコン信号の発信とを並行して実施することができる。
【0110】
(4)また、前記第1の回路部と前記第2の回路部とは、同一の回路であることとしてもよい。
【0111】
この構成により、第1の回路部の構成を流用して第2の回路部を実現することができるので、ワイヤレスモジュールの開発期間を短縮することができる。
【0112】
(5)また、前記ワイヤレスモジュールは、複数の端子を備え、前記照明器具は、前記ワイヤレスモジュールが挿入されることで、前記複数の端子と電気的に接続するソケット部を備え、前記第1の回路部は、前記複数の端子のうちの第1の端子群に接続されており、前記第2の回路部は、前記複数の端子のうちの第2の端子群に接続されており、前記第1の端子群と前記第2の端子群とは、端子の組み合わせが異なることとしてもよい。
【0113】
この構成により、不要な信号処理を行うのを防ぎ、処理負荷についても低減することができる。
【0114】
(6)また、前記第2の端子群は、給電用の端子及びグランド用の端子であり、前記第1の端子群は、前記第2の端子群を含むこととしてもよい。
【0115】
この構成により、第1の回路部及び第2の回路部の双方に電力を供給し、グランドを共通にすることができる。
【0116】
(7)また、前記第1の回路部及び前記第2の回路部は、前記複数の端子を介さない信号線で接続されており、前記第1の回路部及び前記第2の回路部は、前記信号線を介して相互に通信することとしてもよい。
【0117】
この構成により、第1の回路部から第2の回路部にデータを送信することにより、第1の回路部が第2の回路部を制御することができる。
【0118】
(8)前記第1の回路部は、前記第2の回路部に対し、前記信号線を介して前記ビーコン信号に含める識別情報を書き込むこととしてもよい。
【0119】
この構成により、ビーコン信号に含める識別情報を、照明の制御用の無線通信を用いて変更可能となり、第2の回路部の処理負荷をビーコン信号の発信処理にできるだけ割り当てることができる。
【0120】
(9)また、前記第2の回路部に対し、前記無線通信により前記ビーコン信号に含める識別情報を書き込むこととしてもよい。
【0121】
この構成により、第1の回路部から第2の回路部に無線通信によりデータを送信することにより、第1の回路部が第2の回路部を制御することができる。
【0122】
(10)前記第2の回路部は、ビーコン信号の発信のオンとオフが可能であり、前記第1の回路部は、前記第2の回路部に対し、前記信号線を介して前記ビーコン信号の発信のオン及びオフを指示することとしてもよい。
【0123】
この構成により、不必要なビーコン信号の発信を停止することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 照明システム
2 照明器具
2a、2b、2c 照明器具
4a 器具本体
5a 電源装置
9a ユーザ端末装置
9b 照明制御装置
11a ビーコン信号
12a 無線通信
41a 光源部
50a 電源本体部
51a 電線
53a ソケット部
54a 電力供給部
71a 第1の回路部
72a 第2の回路部
73a 信号線
75a 端子部
91a 制御部
92a ROM
93a RAM
94a 無線通信部
95a タッチパネル
701a 筐体第1部分
702a 筐体第2部分
703a 基板部
711a、721a 無線部
712a、722a 制御部
713a、723a 発信部
714a、724a 記憶部
715a、725a 空間部
751a、752a、753a、754a、755a 端子

図1
図2
図3
図4
図5
図6