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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140168
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】汚れ検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20220915BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N21/85 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047780
(22)【出願日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021039690
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】瓶子 司
【テーマコード(参考)】
2G051
2G059
【Fターム(参考)】
2G051AA48
2G051AB20
2G051BB01
2G051CA07
2G051CB01
2G051CB05
2G051CD09
2G051EA16
2G059AA05
2G059BB04
2G059CC01
2G059CC09
2G059EE02
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH01
2G059KK03
2G059LL01
(57)【要約】
【課題】液体に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を検出することが可能な汚れ検出装置を提供すること。
【解決手段】汚れ検出装置1は、作動油13に光を照射する光源11と、光源11からの光が作動油13に照射されたときに、作動油13に含まれた汚染物14からの反射光を受光する受光素子21aおよび受光素子21bと、受光素子21aおよび受光素子21bにより受光した光量に基づいて所定種の汚染物14の含有量を検出する検出部31とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記液体に照射されたときに、前記液体に含まれた汚染物からの反射光を受光する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のいずれかにより受光した光量に基づいて所定種の前記汚染物の含有量を検出する検出部と、
を備える汚れ検出装置。
【請求項2】
前記光源の出射光軸に対して前記受光素子の受光軸が90度以上150度未満になる範囲に、複数の前記受光素子がそれぞれ異なる角度に配設されている請求項1に記載の汚れ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧にて動作する機械には、作動油を吐出する油圧ポンプと、油圧ポンプからの圧油により作動する油圧アクチュエータと、が備えられている。
この種の油圧機械に使用されている作動油には、油圧アクチュエータへの圧油を繰り返す過程において、機械部品の金属の摩耗粉、水分等が混入するため、徐々に作動油の性能(品質)が劣化する。
そのため、性能劣化なく機械動作を継続させるためには、作動油の劣化・汚染状態を正しく把握する必要がある。
例えば、作動油の汚染度合いを検出する技術として、作動油に光を照射し、作動油に含まれる汚染物からの反射光を検出することで、作動油の汚れを検出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-35984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、作動油の汚染度合いを検出することは可能であったが、作動油に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を特定することができないという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、液体に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を検出することが可能な汚れ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体に光を照射する光源と、前記光源からの光が前記液体に照射されたときに、前記液体に含まれた汚染物からの反射光を受光する複数の受光素子と、前記複数の受光素子のいずれかにより受光した光量に基づいて所定種の前記汚染物の含有量を検出する検出部と、を備える汚れ検出装置である。
本発明に係る汚れ検出装置は、液体に含まれる汚染物に反射した反射光を、受光軸の角度がそれぞれ異なる複数の受光素子により受光し、その受光した光量に基づいて、汚染物の種別ごとの含有量を検出する。
すなわち、光源の出射光軸と受光素子の受光軸とのなす角度における反射率が、液体に含まれる汚染物の種別ごとに変化するために、受光軸の角度が異なる複数の受光素子で反射光を受光することより、液体に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を算出することができる。
【0007】
本発明は、前記光源の出射光軸に対して前記受光素子の受光軸が90度以上150度未満になる範囲に、複数の前記受光素子がそれぞれ異なる角度に配設されていることを特徴とする汚れ検出装置である。
すなわち、汚染物の種別ごとの反射率が、光源の出射光軸と受光素子の受光軸とのなす角度である反射角度により変化するため、反射角度が90度以上150度未満になる範囲に、それぞれ異なる角度に配設された複数の受光素子で反射光を受光することより、液体に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を算出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る汚れ検出装置の構成を示した図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る汚れ検出装置の光源および受光素子の配置を示した図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る汚れ検出装置の反射角度に対する受光素子の出力電圧の特性を示した図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る汚れ検出装置の検出処理を示したフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態に係る汚れ検出装置の算出処理に用いる反射率の特性を示した図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る汚れ検出装置の構成を示した図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る汚れ検出装置の光源および受光素子の配置を示した図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る汚れ検出装置の検出処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
図1から図5を用いて、第1の実施形態に係る汚れ検出装置1について説明する。
汚れ検出装置1は、例えば、油圧機械の作動油のタンク等に取り付けられ、作動油に含まれる汚染物の含有量を検出する装置である。
【0011】
<汚れ検出装置1の構成>
図1に示すように、汚れ検出装置1は、光源部10と、容器12と、受光部20と、CPU30と、表示部40と、を含んで構成されている。
【0012】
光源部10は、光源11を含んで構成されている。
光源11には、例えば、赤外線を放射する赤外LED(Light Emitting Diode)が用いられ、光源11は後述する容器12に充填される作動油13に光を照射する。
容器12は、例えば金属、樹脂等により成形され、容器12の中には、作動油13が充填されている。
作動油13には、例えば、機械部品の金属の摩耗粉、砂利、樹脂、水分等の汚染物14が含まれている。
【0013】
受光部20は、受光素子21aと、受光素子21bと、を含んで構成されている。
受光素子21aおよび受光素子21bは、光源11の照射した光が作動油13に含まれる汚染物14に反射した反射光を受光する。
受光素子21aおよび受光素子21bには、例えばPD(Photo Diode)が用いられ、受光素子21aおよび受光素子21bは、受光した光を電気信号に変換し、その電気信号をCPU30に出力する。
なお、受光素子21aおよび受光素子21bには、光源11の波長に対する受光感度の高い素子が用いられ、本実施形態では、赤外線に対して受光感度が高い素子が用いられている。
【0014】
CPU30は、検出部31を含んで構成されている。
CPU30は、図示しない周知のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/Oバス等を備え、ROMに格納された制御プログラムにしたがって、汚れ検出装置1全体を制御する。
【0015】
検出部31は、CPU30の一部の機能であり、受光素子21aおよび受光素子21bから出力される出力電圧に基づいて、作動油の中に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を算出する。
なお、検出部31において実行される算出処理については、後述する。
【0016】
表示部40は、CPU30に接続され、汚れ検出装置1の検出結果等を表示する。
例えば、表示部40は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)等により構成されている。
【0017】
<光源11および受光部20の配置>
図2を用いて、光源11、容器12、受光素子21aおよび受光素子21bの配置について説明する。
容器12には、光源11の光を作動油13に照射するための照射窓15と、汚染物14からの反射光を受光するための受光窓16とが設けられている。
照射窓15および受光窓16は、例えば、人工石英、サファイヤ等の光透過性材料で成形されている。
【0018】
受光軸Aは、受光素子21aが汚染物14からの反射光を受光する方向を示した軸である。
受光軸Bは、受光素子21bが汚染物14からの反射光を受光する方向を示した軸である。
出射光軸Cは、光源11の光が作動油13に出射される方向を示した軸である。
光源11は、出射光軸Cと照射窓15とが、直交するように配置されている。
【0019】
受光素子21aは、出射光軸Cと受光軸Aとのなす角度である反射角度がαとなる位置に配設されている。
受光素子21bは、出射光軸Cと受光軸Bとのなす角度である反射角度がβとなる位置に配設されている。
なお、反射角度αと反射角度βとが、異なる角度となるように、光源11および受光素子21a、21bが配設されている。
【0020】
ここで、図3を用いて、光源および受光素子が配設される位置(反射角度)について説明する。
受光素子の出力電圧は、作動油13の汚染物の含有量により変化し、さらに、反射角度により変化する。
つまり、作動油13に含まれる汚染物14の含有量の変化に合わせ、受光素子の出力電圧の変化が顕著に現れる反射角度に、受光素子が配設されることが必要である。
【0021】
図3の縦軸は、汚染物が含有されていない作動油13に光を照射したときの受光素子の出力電圧と、汚染物が一定量含有された作動油13に光を照射したときの受光素子の出力電圧との差(出力電圧の変化)を示している。
図3に示されるように、反射角度が90度以上150度未満の範囲では、反射角度に比例して(反射角度が大きくなると)、受光素子の出力電圧差(出力電圧の変化)が大きくなる。
また、反射角度が90度より小さい範囲では、反射角度によって受光素子の出力電圧差が顕著に変化しない。つまり、反射角度が90度より小さい範囲では、反射角度が変化しても、汚染物からの反射光の光量が大きく変化しないことが示されている。
さらに、反射角度が150度より大きい範囲では、受光素子の出力電圧差がゼロとなっている。つまり、反射角度150度より大きい範囲では、受光素子が光源からの光を直接受光してしまうために、汚染物からの反射光の光量の変化を検出できず、受光素子の出力電圧差がゼロとなっている。
なお、図3に示した特性は、一例であり、光源11の指向特性や受光素子21aおよび受光素子21bの受光特性等により、特性は変化する。
以上、上述した特性に基づいて、本実施形態に係る汚れ検出装置1では、反射角度が90度以上150度未満になるように、光源11、受光素子21aおよび受光素子21bが配設されている。
例えば、図2に示すように、受光素子21aは反射角度α=90°の位置に配設され、受光素子21bは反射角度β=135°の位置に配設されている。
【0022】
ここで、検出する汚染物14の種別数をnとした場合には、受光素子をn個以上配設する必要がある。例えば、2つの受光素子が配設された汚れ検出装置1は、2つの汚染物(汚染物Xおよび汚染物Y)の含有量を検出することができる。
つまり、作動油から検出する汚染物の種別数により、受光素子の数が決定される。
【0023】
<汚れ検出装置1の処理>
図4を用いて、本実施形態に係る汚れ検出装置1において実行される処理について説明する。
以下では、CPU30および検出部31において、図示しないROMに格納された制御プログラムにしたがって実行される、汚染物の検出処理について説明する。
【0024】
まず、CPU30は、光源11に電源を供給し、容器12に充填された作動油13に光を照射する(ステップS10)。
【0025】
検出部31は、受光素子21aから出力される出力電圧Vaおよび受光素子21bから出力される出力電圧Vbを取得する(ステップS20)。
【0026】
次に、検出部31は、出力電圧Vaおよび出力電圧Vbに基づいて、作動油に含まれる汚染物の種別ごとの含有量を算出する(ステップS30)。
以下に、ステップS30において、検出部31が実行する、汚染物の種別ごとの含有量の算出処理について説明する。
【0027】
上述したように、検出部31は、ステップS20において取得した出力電圧Vaと、出力電圧Vbとに基づいて、汚染物の種別ごとの含有量を算出する。
ここで、出力電圧Vaおよび出力電圧Vbは以下の数式により表すことができる。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
ここで、kおよびkは、光源11の光出力、照射窓15および受光窓16の光透過率、光源11の出射光が照射されている作動油13の体積、受光素子21aおよび21bの光検出感度等により決定される係数である。
また、RXαは、光源11の出射光軸Cと受光素子21aの受光軸Aとのなす角度である反射角度αにおける汚染物Xの反射率である。
そして、RYαは、光源11の出射光軸Cと受光素子21aの受光軸Aとのなす角度である反射角度αにおける汚染物Yの反射率である。
【0031】
また、RXβは、光源11の出射光軸Cと受光素子21bの受光軸Bとのなす角度である反射角度βにおける汚染物Xの反射率である。
そして、RYβは、光源11の出射光軸Cと受光素子21bの受光軸Bとのなす角度である反射角度βにおける汚染物Yの反射率である。
なお、k、k、RXα、RYα、RXβ、RYβの値は、例えば、CPU30または検出部31の図示しない不揮発性メモリに格納されている。
【0032】
なお、上述した反射率Rは、例えば、汚染物である銅のみを一定量含有させた作動油13に光源11の光を照射し、反射角度ごとに出射光量と反射光量との比から決定することができる。さらに、作動油13に含有させる汚染物14の種別を変えて同様に測定することにより、汚染物14の種別ごとの係数を決定することができる。
【0033】
また、反射率Rの値は、汚染物の種別により異なり、さらに反射角度によっても異なる。
図5に示された数値は、汚染物の種別ごと、反射角度ごとに反射率Rを測定した結果の一例である。
例えば、機械の作動油の汚染物として挙げられる、銅、鉄、砂利の反射率Rは、銅>鉄>砂利、の順に大きい値となる。
また、反射角度が90度、120度、150度における反射率Rは、汚染物の種別によらず、反射角度が大きいほど、大きい値となる。
つまり、数1および数2に使用されている反射率(RXα、RYα、RXβ、RYβ)の値は、汚染物の種別と反射角度とにより決まる係数である。
【0034】
以上、上で説明した各係数(k、k、RXα、RYβ、RYα、RXβ)の値と、出力電圧Vaおよび出力電圧Vbと、数1および数2とに基づいて、検出部31は、汚染物Xおよび汚染物Yの含有量を算出する。
【0035】
CPU30は、検出部31において算出された算出結果を表示部40に表示し(ステップS40)、光源11の電源供給をオフし(ステップS50)、汚染物の検出処理を終了する。
【0036】
なお、上述した汚染物の検出処理では、出力電圧Vaおよび出力電圧Vbを1回取得し、汚染物の含有量を算出しているが、出力電圧を複数回取得し、平均値から汚染物の含有量を決定してもよい。
【0037】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る汚れ検出装置1は、作動油13に光を照射する光源11と、光源11からの光が作動油13に照射されたときに、作動油13に含まれた汚染物14からの反射光を受光する受光素子21aおよび受光素子21bと、受光素子21aおよび受光素子21bにより受光した光量に基づいて所定種の汚染物14の含有量を検出する検出部31とを備えている。
【0038】
本実施形態に係る汚れ検出装置1は、光源11の出射光軸に対して、受光軸の角度がそれぞれ異なる位置に配設された受光素子21aおよびと受光素子21bにより、光源11の光が汚染物14に反射した反射光を受光し、受光素子21aと受光素子21bとが受光した光量に基づいて、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を検出する。
すなわち、反射率Rが、汚染物14の種別ごと、および、反射角度ごとに変化するため、受光素子21aおよび受光素子21bを、光源11の出射光軸に対して異なる反射角度に配設することにより、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を検出することができる。
また、検出部31は、受光素子21aおよび受光素子21bから出力される出力電圧を同時に取得することが可能であるために、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を短時間で検出することができる。
【0039】
本実施形態に係る汚れ検出装置1では受光素子21aおよび受光素子21bの受光軸が、光源11の出射光軸に対して、90度以上150度未満になる範囲に配設されている。
すなわち、受光素子21aおよび受光素子21bは、光源11の出射光を直接受光する位置に配設されていないために、精度よく、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を検出することができる。
【0040】
本実施形態に係る汚れ検出装置1では、光源11の出射光軸に対して異なる反射角度に配設された複数の受光素子を配設することが可能である。
すなわち、汚れ検出装置1が検出する所定種の汚染物14の種別数と同じ数以上の受光素子を配設することにより、汚れ検出装置1が検出できる汚染物14の種別数を変更することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る汚れ検出装置1は、汚染物14の種別ごとの含有量を取得することができるため、機械の摩耗箇所を推定することができる。例えば、検出された汚染物と、機械を構成する部品の材料と、を照合し、機械の摩耗箇所を推定することができる。
さらに、本実施形態に係る汚れ検出装置1は、汚染物14の種別ごとの含有量を取得することができるため、作動油の交換時期を精度よく決定することができる。例えば、作動油交換が必要であると判定される閾値を汚染物の種別ごとに設定することにより、交換時期を精度よく決定することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る汚れ検出装置1は、汚染物14の種別ごとの含有量を取得することができるため、例えば、通常は検出されない砂利等が検出された場合には、直ちに機械の点検指示、作動油交換指示等を行うことができる。
【0043】
<第2の実施形態>
図6から図8を用いて、第2の実施形態に係る汚れ検出装置1Aについて説明する。
なお、第2の実施形態ならびに後述するその他の実施例において、第1の実施形態に係る汚れ検出装置1の構成要素と同一の構成要素または実質的に同一の構成要素には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
<汚れ検出装置1Aの構成>
以下、図6から図8を用いて、本実施形態に係る汚れ検出装置1Aの構成について説明する。
第1の実施形態に係る汚れ検出装置1は、1つの光源と2つの受光素子とを備えた構成であったが、汚れ検出装置1Aは、2つの光源と1つの受光素子とを備えた構成である。
図6に示すように、汚れ検出装置1Aは、光源部10Aと、容器12Aと、受光部20Aと、CPU30Aと、表示部40と、を含んで構成されている。
光源部10Aは、光源11aと、光源11bとを含んで構成されている。
受光部20Aは、受光素子21dを含んで構成されている。
CPU30Aは、検出部31Aを含んで構成されている。
【0045】
<光源部10Aおよび受光部20Aの配置>
図7に示すように、光源11aおよび光源11bは、容器12Aの照射窓15Aから作動油13に光を照射する。このとき、光源11aの出射光軸C1と、光源11bの出射光軸C2とが、異なる出射角度を持ち、光源11aおよび光源11bが配設されている。
【0046】
受光素子21dの受光軸Dは、光源11aの出射光軸C1および光源11bの出射光軸C2のどちらに対しても、反射角度が90度以上150度未満の範囲になるように配設されている。
すなわち、反射角度γおよび反射角度θがともに、90度以上150度未満の範囲になるように、光源11a、11b、および受光素子21dがそれぞれ配設されている。
【0047】
<汚れ検出装置1Aの処理>
図8を用いて、本実施形態に係る汚れ検出装置1Aにおいて実行される処理について説明する。
以下では、CPU30Aおよび検出部31Aにおいて、図示しないROMに格納された制御プログラムにしたがって実行される、汚染物の検出処理について説明する。
【0048】
CPU30Aは、光源11aをオンし、光源11bをオフする(ステップS100)。
つまり、CPU30Aは、光源11aのみを点灯させ、作動油13に光を照射する。
【0049】
検出部31Aは、受光素子21dから出力される出力電圧Vcを取得する。(ステップS110)。
【0050】
CPU30Aは、光源11aをオフし、光源11bをオンする(ステップS120)。
つまり、CPU30Aは、光源11bのみを点灯させ、作動油13に光を照射する。
【0051】
検出部31Aは、受光素子21dから出力される出力電圧Vdを取得する(ステップS130)。
【0052】
検出部31Aは、ステップS20およびステップS40において取得した出力電圧Vcおよび出力電圧Vdの値に基づいて、作動油13に含まれる汚染物14の含有量を算出する(ステップS140)。
以下に、ステップS140において、検出部31Aが実行する、汚染物の種別ごとの含有量の算出処理について説明する。
【0053】
上述したように、光源を2つ備えた汚れ検出装置1Aでは、光源11aのみを点灯させたときの出力電圧Vcと、光源11bのみを点灯させたときの出力電圧Vdとが、検出部31Aにおいて取得される(ステップS110およびステップS130)。
つまり、検出部31Aでは、反射角度の異なる(例えば、γ=100度、θ=120度)2つの出力電圧VcおよびVdを取得することができる。
そして、出力電圧Vcおよび出力電圧Vdは以下の数式にて表すことができる。
【0054】
【数3】
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、kは、光源11aの光源出力、照射窓15Aおよび受光窓16Aの光透過率、光源11aの出射光が照射されている作動油13の体積、受光素子21dの光検出感度等により決定される係数である。
また、kは、光源11bの光源出力、照射窓15Aおよび受光窓16Aの光透過率、光源11bの出射光が照射されている作動油13の体積、受光素子21dの光検出感度等により決定される係数である。
また、RXγは、光源11aの出射光軸C1と、受光素子21dの受光軸Dとのなす角度である反射角度γにおける汚染物Xの反射率である。
そして、RYγは、光源11aの出射光軸C1と、受光素子21dの受光軸Dとのなす角度である反射角度γにおける汚染物Yの反射率である。
【0057】
また、RXθは、光源11bの出射光軸C2と、受光素子21dの受光軸Dとのなす角度である反射角度θにおける汚染物Xの反射率である。
そして、RYθは、光源11bの出射光軸C2と、受光素子21dの受光軸Dとのなす角度である反射角度θにおける汚染物Yの反射率である。
なお、kc、、RXγ、RYγ、RXθ、RYθの値は、例えば、CPU30Aまたは検出部31Aの図示しない不揮発性メモリに格納されている。
【0058】
以上、上で説明した各係数(kc、、RXγ、RYγ、RXθ、RYθ)の値と、出力電圧Vcおよび出力電圧Vdと、数3および数4とに基づいて、検出部31Aは、汚染物Xおよび汚染物Yの含有量を算出する。
【0059】
CPU30Aは、検出部31Aにより算出された算出結果を表示部40に表示し(ステップS150)、光源11aおよび光源11bをオフし(ステップS160)、汚染物の検出処理を終了する。
【0060】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る汚れ検出装置1Aは、出射光軸の角度が異なる2つ光源(光源11aおよび光源11b)を備えた光源部10Aと、1つの受光素子21dを備えた受光部20Aと、を備えている。そして、光源11aの出射光軸C1と光源11bの出射光軸C2に対して、受光素子21dの受光軸が、90度以上150度未満になる範囲に、受光素子21dが配設されている。そして、光源11aと、光源11bと、を交互に点灯させ、検出部31Aは、受光素子21dから出力される出力電圧(VcおよびVd)を取得し、その出力電圧に基づいて作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を検出する。
すなわち、受光素子21dは、反射角度の異なる反射光を受光することができるため、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を検出することができる。
さらに、光源の数が増えることにより、光が照射される範囲にある作動油13の体積が増加するため、作動油13内に分布する汚染物の状態を平均化して汚染物の含有量を算出することができる。
そのため、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を精度よく検出することができる。
【0061】
本実施形態に係る汚れ検出装置1Aでは、受光素子21dの受光軸が、光源11aおよび光源11bの出射光軸に対して、90度以上150度未満の範囲に配設されている。
すなわち、受光素子21dは、光源11aおよび光源11bの出射光を直接受光する位置に配設されていないために、精度よく、作動油13(液体)に含まれる汚染物14の種別ごとの含有量を検出することができる。
【0062】
[その他の実施例]
上述した汚れ検出装置1,1Aの受光素子は、反射角度が90度以上150度未満になる範囲に配設されていたが、受光素子が光源の出射光を直接受光しない位置であればよく、反射角度が150度以上であってもよい。
【0063】
検出する汚染物の種別数を増やすためには、受光素子の数を増やす必要があることを上述したが、光源の数を増やすことでも対応することができる。
例えば、3種別の汚染物の含有量を検出する汚れ検出装置は、1つの光源と受光軸の角度が異なる3つの受光素子と、が配設された汚れ検出装置が例示できるが、出射光軸の異なる3つの光源と1つの受光素子と、が配設された汚れ検出装置であってもよい。
【0064】
また、本実施形態に係る汚れ検出装置1Aでは、2つの光源と1つの受光素子で構成された汚れ検出装置を例示し説明したが、複数の光源と複数の受光素子とを含んで、汚れ検出装置を構成してもよい。
すなわち、光源を1つずつ点灯することにより、各受光素子は反射角度の異なる光を受光することができるため、検出する汚染物の種別数を増やすことができる。
【0065】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1;汚れ検出装置、1A;汚れ検出装置、10;光源部、10A;光源部、11;光源、11a;光源、11b;光源、12;容器、12A;容器、13;作動油、14;汚染物、15;照射窓、16;受光窓、20;受光部、20A;受光部、21a;受光素子、21b;受光素子、21d;受光素子、30;CPU、30A;CPU、31;検出部、31A;検出部、40;表示部
図1
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図8