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▶ 有限会社テヅカ精機の特許一覧

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  • 特開-ブランコ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140176
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ブランコ
(51)【国際特許分類】
   A63G 9/16 20060101AFI20220915BHJP
   A63G 31/04 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A63G9/16
A63G31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021074450
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】511048889
【氏名又は名称】有限会社テヅカ精機
(72)【発明者】
【氏名】中西 理
(72)【発明者】
【氏名】村田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】新井 康晃
(57)【要約】
【課題】 ブランコを屋内の既設の鴨居や梁に常時設置しても、使用時には下降し、不使用時には上昇させて、人の往来の障害を回避することができるブランコを提供する。
【解決手段】 鴨居や梁等の構造体2に取り付けられたフレーム1と、フレーム1に回転自在に軸支され、下端に座板11を取り付けた吊り部材10を巻き取るローラー4と、ローラー4と駆動モータ7との間に配設され、ローラー4に回転を伝達する回転伝達機構とを備え、ローラー4は下方に荷重が印可されたときに、少なくとも回転伝達機構側の一方が下方に変位するように構成されるとともに、ローラー4の回転を停止させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の鴨居もしくは梁等の構造体から吊り下げられて上昇下降するブランコであって、
前記ブランコは、前記構造体に取り付けられたフレームと、前記フレームに回転自在に軸支され、下端に座板を取り付けた吊り部材を巻き取るローラーと、前記ローラーと駆動モータとの間に配設され、前記ローラーに回転を伝達する回転伝達機構とを備え、
前記ローラーは下方に荷重が印可されたときに、少なくとも前記回転伝達機構側の一方が下方に変位するように構成されるとともに、前記ローラーの回転を停止させることを特徴とするブランコ。
【請求項2】
前記フレームには、常時は前記ローラーを上方に押圧するバネが設けられ、前記ローラーの一方側を付勢させる請求項1に記載のブランコ。
【請求項3】
前記回転伝達機構は歯車もしくはプーリーからなり、前記ローラーが荷重により一方側が変位したとき、回転伝達機構の係合を解除させる請求項2に記載のブランコ。
【請求項4】
前記ローラーの一方側には加重検出センサーが配設され、前記ローラーが荷重により一方側が変位したとき、前記駆動モータを停止せる請求項1及び2に記載のブランコ。
【請求項5】
前記駆動モータと前記回転伝達機構との間には減速機構が設けられ、前記減速機構の減速比を大きくした請求項1に記載のブランコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内に設置されるブランコに関し、詳しくは、使用時には下降し、不使用時には上昇させることができるブランコに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、幼児や小児が屋外で遊び、運動する機会が大きく減少している。これは、屋外での種々の危険性が増していること、或いは、天候の影響を受けること、さらには、屋内で行う多くのゲームやパソコンに興味が持たれていることに起因していると考えられる。
【0003】
このような状況から、特開平6-190149号公報(特許文献1)、特開平7-328230号公報(特許文献2)、或いは、実開昭58-43473号公報(特許文献3)に示されるような室内用ブランコが提案されている。これらの特許文献に示される室内用ブランコは、屋内の既設の鴨居、或いは、直下の敷居との間に一対の支柱を取り付け、その鴨居や支柱に、座板を有する吊り紐を吊り下げる構造としている。このように、室内にブランコを設置することにより、幼児や小児は、屋内でブランコ遊びを楽しむことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-190149号公報
【特許文献2】特開平7-328230号公報
【特許文献3】実開昭58-43473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら特許文献に示される屋内用ブランコは、屋外における危険や天候による影響を回避するために好適である。しかし、屋内用ブランコを屋内の既設の鴨居に設置、或いは、格別な支柱等を必要とするもので、その取り付け、取り外しの作業に時間を要する問題があった。また、鴨居の下は通常人が往来する通路であり、常時鴨居等に設置した場合にはブランコが往来の邪魔になり、場合によっては、ブランコの吊り紐や座板に絡み付き、往来する人に危害を及ぼす可能性を有する問題がある。
【0006】
本発明の課題は、ブランコを屋内の既設の鴨居や梁に常時設置しても、使用時には下降し、不使用時には上昇させて、人の往来の障害を回避することができるブランコを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によるブランコは、鴨居や梁等の構造体に取り付けられたフレームと、前記フレームに回転自在に軸支され、下端に座板を取り付けた吊り部材を巻き取るローラーと、前記ローラーと駆動モータとの間に配設され、前記ローラーに回転を伝達する回転伝達機構とを備え、前記ローラーは下方に荷重が印可されたときに、少なくとも前記回転伝達機構側の一方が下方に変位するように構成されるとともに、前記ローラーの回転を停止させることを要旨としている。
【0008】
また、前記フレームには、常時は前記ローラーを上方に押圧するバネが設けられ、前記ローラーの一方側を付勢させるようにしている。
【0009】
さらに、前記回転伝達機構は歯車もしくはプーリーからなり、前記ローラーが荷重により一方側が変位したとき、回転伝達機構の係合を解除させるようにしている。
【0010】
さらにまた、前記ローラーの一方側には加重検出センサーが配設され、前記ローラーが荷重により一方側が変位したとき、前記駆動モータを停止せるようにしている。
【0011】
また、前記駆動モータと前記回転伝達機構との間には減速機構が設けられ、前記減速機構の減速比を大きくすることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のブランコによれば、駆動モータによって回転駆動されるローラーに、座板を取り付けた吊り部材を巻き付けるように構成しているので、ブランコを使用するときは、吊り部材を下降して幼児や小児を楽しませ、不使用時には、ブランコを上昇させることにより、人の往来や日常生活における障害等を回避することができる。また、幼児等がブランコ遊びをするために座板に着座してローラーに荷重が印可されたときには、回転伝達機構の回転伝達が遮断され、ローラーの回転が停止するので、不意にブランコが上昇して鴨居や梁の間に挟まれる事故を未然に防止することから、安全性を確保することができる。
【0013】
また、フレームには、常時はローラーを上方に押圧するバネを設けてローラーの一方側を付勢させ、このバネを幼児や小児の体重以上の荷重によって変位すように設定することにより、回転伝達機構の回転伝達を遮断してローラーの回転を停止することができる。
【0014】
さらに、回転伝達機構を歯車もしくはプーリーとすることにより、ローラーの荷重の変化により、回転伝達機構の係合と解除が円滑にできる。
【0015】
さらにまた、ローラーの一方側には加重検出センサーを配設することにより、ローラーが荷重により変位したとき、駆動モータを停止せることができるので、事故を未然に防止することから安全性が向上する。
【0016】
また、駆動モータと回転伝達機構との間に設けられる減速機構の減速比を大きくすることにより、上昇または下降の途中で駆動モータを停止しても、座板を取り付けた吊り部材の自重によって駆動モータに回転が伝達せず、静止状態を保持するので、吊り部材等の不意な落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるブランコの実施例を示す構成図である。
図2】回転伝達機構を示す側面図である。
図3】(A)(B)は、回転伝達機構の係合離脱状態を示す説明図である。
図4】駆動モータを制御する電気系の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるブランコは、鴨居や梁等の構造体に取り付けられたフレームと、フレームに回転自在に軸支され、下端に座板を取り付けた吊り部材を巻き取るローラーと、ローラーと駆動モータとの間に配設され、ローラーに回転を伝達する回転伝達機構とを備え、ローラーは下方に荷重が印可されたときに、少なくとも回転伝達機構側の一方が下方に変位するように構成されるとともに、ローラーの回転を停止させるようにしている。
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明によるブランコの実施例を示す構成図である。金属板によって形成されたフレーム1は、上部が屋内の鴨居や梁等の構造体2にネジ或いはボルト3によって強固に取り付けられている。
【0020】
フレーム1には両側に側壁が形成され、円柱状のローラー4の両側の軸部4aが、軸受5によって回転自在に軸支されている。ローラー4の図示左方の軸部4aには、平歯車5が固着されている。平歯車5には、小径の平歯車6が噛み合わされ、フレーム1の下面に配設された電動モータ7の出力軸に固着されている。これら平歯車5と平歯車6によって回転伝達機構を構成している。この回転伝達機構は、減速比を大きくしている。減速比としては、電動モータ7の出力軸の回転数に対して平歯車5の回転数が5分の1程度、好ましくは10分の1以上とすることが良い。これは、後述する吊り部材10を上昇または下降させる途中で駆動モータ7を停止した場合、吊り部材10に荷重を印加しても大きな減速比によって駆動モータ7への回転が伝達されず、静止状態を保持するので、吊り部材10等の不意な落下を防止することができる。
【0021】
ローラー4の図示左方の軸部4aを軸支する軸受8は、図3に示すように、上下方向に移動可能に構成されている。すなわち、フレーム1の側壁には、上下方向に長い長孔1bが形成され、この長孔4bに軸受8を嵌合させている。そして、軸受8とフレーム1の底面との間には、常時は軸受8を上方に付勢するためのバネ9が設けられている。このバネ9は、後述するように、幼児や小児の体重以上の荷重が印可された場合に圧縮して、ローラー4の図示左方の軸部4aを寸法Gだけ下方に変位させるために設けられている。
【0022】
バネ9が圧縮してローラー4の図示左方が下降すると、ローラー4が傾斜する。このため、ローラー4は、無負荷の状態で、図2に示すように、僅かな角度θだけ図示左方が高くなるようにし、バネ9が圧縮して軸受5が長孔1bの下端に達した状態で、ローラー4が水平になるように設定している。このようにローラー4の図示左方が下降すると、平歯車5が下降して駆動側の平歯車6から寸法Gだけ離脱するので、ローラー4が停止する。
【0023】
ローラー4は円柱状に形成され、両側には直径方向に挿通孔4cが各々形成され、吊り部材10を挿通して離脱しないように固定している。吊り部材10は、一般的なブランコに使用されるロープ或いはチェーンが好ましい。また、吊り部材10の下端には、座板11が取り付けられている。吊り部材10は、ローラー4に巻き取られる。ローラー4に吊り部材10を巻き上げるときに、吊り部材10が変位しないように、フレーム1の左右の下面に長孔1aを形成することが望ましい。なお、ローラー4はロープ状の吊り部材10巻き付ける機能を有していることから、円柱状の他に、プーリー状に形成して軸部4aの両側に配設しても良い。
【0024】
一方、ブランコには、駆動モータ7を制御して安全性を確保するための各種のセンサーが設置されている。まず、フレーム1の下面には、座板11が上昇してフレーム1に到達したことを検出し、駆動モータ7の回転を停止するためのリミットスイッチ12が設置されている。また、フレーム1の内面には、吊り部材10が下降して座板11が所定の位置まで下降したことを検出して駆動モータ7の回転を停止するための近接スイッチ13が設置されている。この近接スイッチ13に対応する吊り部材10には、例えば金属製の指標14が取り付けられ、指標14が近接スイッチ13に接近したときに信号を発せられる。さらに、ローラー4の図示左方の軸部4a近傍には、荷重検出センサーとしてのリミットスイッチ15が設置され、軸部4aが下降したことを検出して駆動モータ7の回転を停止するようにしている。これら各種のセンサーは、コントローラ16に接続され駆動モータ7の回転を制御している。
【0025】
コントローラ16には、リモートスイッチ17が接続されている。リモートスイッチ17には、図4に示すように、電源スイッチ17a、吊り部材10を上下動させる上昇スイッチ17bと下降スイッチ17cが設置されている。また、駆動モータ7としては、回転方向及び回転数を変化させることが可能な制御モータが好ましく、このため、駆動モータ7はインバータ回路18によって制御される。なお、駆動モータ7としては減速比が大きいギアードモータを選択した場合は、回転伝達機構の減速比を小さくしても良い。
【0026】
次に、上述したブランコの動作について説明する。図1は、下端に座板11が取り付けられた吊り部材10が下降した状態を示している。この状態で幼児或いは小児が座板11に着座することにより、一般のブランコと同様に揺動させることができる。このように幼児が着座すると、体重によりローラー4の一方が下降するとともに平歯車5が下降して、駆動側の平歯車6から離脱することによりローラー4が停止する。一方、ローラー4の一方が下降したことを、荷重検出センサーであるリミットスイッチ15が検出し、駆動モータ7が停止する。この結果、幼児や小児は、ブランコを安全な状態で楽しむことができる。このとき、リモートスイッチ17の上昇スイッチ17bを操作しても、平歯車5と平歯車6から離脱するとともに、リミットスイッチ15により駆動モータ7が停止状態を維持しているので、上昇することはない。
【0027】
ブランコを楽しんだ後、吊り部材10を上昇するには、まず、幼児等がブランコから降りる。このとき、ローラー4の一方がバネ9によって上昇し、平歯車5が上昇して駆動側の平歯車6と噛合する。さらに、リミットスイッチ15が通電状態に切り替わる。この状態でリモートスイッチ17の上昇スイッチ17bを操作すると、駆動モータ7が回転駆動してローラー4を回転させ、吊り部材10を巻き付けることにより上昇する。巻き上げた後、座板11が上昇してフレーム1の下面に到達すると、ミットスイッチ12が到達したことを検出して、駆動モータ7の回転を停止する。このように、吊り部材10を巻き上げて座板11を上昇させることにより、座板11の下方を自由に往来することができる。
【0028】
吊り部材10を巻き上げているときに、幼児等が座板11に飛び乗ることやぶら下がった場合には、幼児等の体重によりローラー4の一方が下降して平歯車5と平歯車6が離間してローラー4が停止する。さらに、リミットスイッチ15がローラー4の下降を検出して駆動モータ7を停止するので、安全性が保たれる。
【0029】
一方、上昇していた吊り部材10を下降するには、リモートスイッチ17の下降スイッチ17cを操作することにより、駆動モータ7を回転駆動させ、回転伝達機構を介してローラー4を回転させる。これにより、巻き付かれた吊り部材10が下降する。そして、座板11が所定位置まで下降すると、吊り部材10に取り付けられた指標14を近接スイッチ13が検出してコントローラ16により駆動モータ7を停止させる。吊り部材10が下降する途中で幼児等が座板11に飛び乗った場合には、上述した巻き上げるときと同様に、平歯車5と平歯車6が離間してローラー4を停止させるとともに、リミットスイッチ15がローラー4の下降を検出して駆動モータ7を停止させる。この結果、下降させるときも安全性を保つことができる。
【0030】
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0031】
1 フレーム
2 構造体
4 ローラー
5 平歯車
6 平歯車
7 電動モータ
8 軸受
9 バネ
10 吊り部材
11 座板
15 リミットスイッチ(荷重検出センサー)
図1
図2
図3
図4