(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140177
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】フルートの発音効率を改善するための粗面を有するリッププレート。
(51)【国際特許分類】
G10D 9/02 20200101AFI20220915BHJP
G10D 7/026 20200101ALI20220915BHJP
【FI】
G10D9/02 200
G10D7/026
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021074451
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】521178770
【氏名又は名称】秋山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直樹
(57)【要約】
【課題】 フルートを演奏する際に発生する音波を含む気流の経路を明らかにして、音波のエネルギー損失を少なくするようなリッププレートの形態を提供する。
【解決手段】 これまで解明されていなかったフルートの音波の情報を含む気流の経路が、演奏者が吹き込む気流と共にリッププレートの上を流れることを明らかにし、それと共に従来のフルートのリッププレートの構造上の欠陥により音波のエネルギーが大きく失われていることも明らかにして、その対策として音波の気流の経路に粗面を有するリッププレートを追加あるいは加工することによって、従来失われていた音波の情報を含む気流のエネルギーを取り戻した。この結果、フルートの音量が全ての音域で大きく増加し、これまで困難とされていた低音域を安定して出し易くなった。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッププレート(1)と、粗面を有するリッププレート(2)を備えることを特徴とする金属製もしくは木製のフルート。
【請求項2】
粗面はリッププレート(2)の中央に位置し、その横幅が最少20ミリメートルから最大35ミリメートルであることを特徴とする「請求項1」記載のフルート。
【請求項3】
リッププレート(2)の中央に位置する粗面の表面粗さは、日本産業規格の算術平均粗さによって表して最小5マイクロメートルから最大15マイクロメートルであることを特徴とする「請求項1」記載のフルート。
【請求項4】
リッププレート(1)の先端部の接線と、リッププレート(2)が作る角度は、最小20度から最大30度であることを特徴とする「請求項1」記載のフルート。
【請求項5】
リッププレート(1)と、粗面を有するリッププレート(2)を備えることを特徴とする金属製のフルート属、すなわちフルートダモーレ、アルトフルート及びバスフルート。
【請求項6】
粗面はリッププレート(2)の中央に位置し、その横幅が少なくとも20ミリメートル以上で最大35ミリメートルであることを特徴とする「請求項5」記載のフルート属。
【請求項7】
リッププレート(2)の中央に位置する粗面の表面粗さは、日本産業規格の算術平均粗さによって表して最小5マイクロメートルから最大15マイクロメートルであることを特徴とする「請求項5」記載のフルート属。
【請求項8】
リッププレート(1)の先端部の接線と、リッププレート(2)が作る角度は、最小20度から最大30度であることを特徴とする「請求項5」記載のフルート属。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルートの発音効率を改善するための粗面を有するリッププレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フルートのリッププレートは、金属製ならば単純に端部を切断した形状であり、金属の頭部管に木製のリッププレートを持つものも、端部を切断した形状であり、木製の頭部管に浮かし彫りしたリッププレートを持つものはリッププレートと頭部管の間の傾斜部分を磨いて仕上げした形状であった。このようなリッププレートを持つフルートは、低い音を素早く安定して出すことが難く、「非特許文献6 p.4」や「非特許文献7 p.28」及び「非特許文献8 p.14~15」に見られるように、専門家でも苦労していた。
【0003】
「非特許文献3」は、フルートを含むエアーリード楽器の物理に関する1992年までの欧米や日本の研究を俯瞰的に述べている。そこで行われているのは、歌口に吹き込む気流とそれに対応して発生する音波について、どのような関数を用いてどう処理すれば実験値との整合がよいかという研究が専らである。それに類する研究活動は現在まで続いていることを確認した。そのような研究が主流であり、音波の情報を含む気流がどこをどのように流れるかについては研究者の興味を引くことはなかったと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-271481
【特許文献2】特許第6744509号
【特許文献3】特開2020-046508
【特許文献4】特開2017-68110
【特許文献5】実登3229586
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】安藤由典著 「楽器の音響学」 音楽の友社 1971年
【非特許文献2】安藤由典著 「楽器の音色を探る」 中公新書
【非特許文献3】吉川茂著 「エアリード楽器の物理と音色」 日本音響学会誌49巻3号 p.193~202
【非特許文献4】高橋公也、池田研介著 「管楽器吹鳴の非線形現象とその解釈をめぐって」 物性研究(1995)、64(1):26-88
【非特許文献5】鬼束博文著 「エアリード楽器の流動・音響特性予測シミュレーション」 HPCIシステム利用研究課題 利用報告書
【非特許文献6】マルセル・モイーズ著 「ソノリテ」
【非特許文献7】有田正広著 「フルートのための作品」 季刊ムラマツ 114号 p.26~29
【非特許文献8】話:田中修一 「フルート製作、その変遷」 THE FLUTE 99号 p.14~16
【非特許文献9】テオバルト・ベーム著 「THE FLUTE AND FLUTE PLAYING」
【非特許文献10】安藤由典著 「フルートの駆動条件と発生音圧レベルおよび基本周波数との関係」 日本音響学会誌 26巻 6号 p.253~260
【非特許文献11】安藤由典著 「フルートの駆動条件と倍音構造との関係」 日本音響学会誌26巻 7号 p.297~305
【非特許文献12】石綿良三著 「流体力学」 ナツメ社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、フルートが低音を素早くかつ安定して出し難い点である。
【0007】
解決しようとするもう一つの課題は、演奏者が歌口に吹き込む気流と、そのエネルギーによって作られる音波の情報が含まれる気流の動きを明らかにして対策し、音を安定して出すことが可能となるようなフルートのリッププレートの形状を決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
フルートのリッププレート1の端に粗面を持つリッププレート2を設ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粗面を有するリッププレート2を持つフルートを演奏すると、音量が増し、かつ低い音を素早くかつ安定して出すことが出来る。
【0010】
リッププレート1に加えて粗面を有するリッププレート2を持つ本発明のフルートが発生する音波の振幅は、リッププレート1のみを有する従来のフルートの音波の振幅と比較して3オクターブにわたって平均して6デシベルを越える値が得られた。エネルギーに換算すると4倍強となる。この結果から、音波の情報を含む空気の流れの多くの部分は、演奏者が吹き込む息による気流と共にリッププレートの上を流れていると考えられる。すなわち、従来のフルートのリッププレートの上を流れる音波を含む気流は、リッププレートの端で急激に流路が広がるために流れの剥離が生じて音波のエネルギーの大きな損失を起こしていると考えられるのに対して、本発明の粗面を有するリッププレートは粗面の働きによって音波の持つエネルギーを小さい損失で止めていると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明の粗面を有するリッププレートを持つフルートの、歌口近傍の側面図である。
【
図2】
図2は本発明の粗面を有する金属製リッププレートを持つ金属製フルートの歌口の中央部の頭部管の管軸に垂直な断面図である。
【
図3】
図3は、金属の頭部管に木製のリッププレートを有するフルートに粗面を有する木製リッププレートを追加したフルートの歌口中央部の頭部管の管軸に垂直な断面図である。
【
図4】
図4は、木製の頭部管で浮かし彫りのリッププレートを有するフルートのリッププレートと頭部管の間の傾斜部の一部に粗面を加工した歌口中央部の頭部管の管軸に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
音波の情報を含む気流の多くの部分が、演奏者が発生する気流と共にリッププレートの上を流れていることを明らかにして、従来のフルートのリッププレートの形状が原因で音波のエネルギーの多くを失っている欠点を、粗面を有するリッププレートを用いる方法で音波のエネルギーを取り戻すことによりフルートの低音を容易に出すことが出来るという目的を達成した。
【実施例0013】
図1は、本発明の粗面を有するリッププレート2を持つフルートの歌口近傍の側面図であり従来のリッププレート1に、本発明の粗面を有するリッププレート2がリッププレート1と頭部管4に接するように配置され、リッププレート1に歌口3が設けられている。
図2は、金属製のリッププレート1に粗面を有する金属製リッププレート2を追加した金属製頭部管4のフルートの歌口3の中央部の頭部管の管軸に垂直な断面図である。
図2のリッププレート1として右側に書かれている部分に演奏者の顎と唇が当てられ、左側のリッププレート1は、気流が流れる部分である。
図3は、木製のリッププレート1に、粗面を有する木製のリッププレート2を追加した金属製頭部管4のフルートの歌口3の中央部の頭部管の管軸に垂直な断面図である。
図3のリッププレート1に関する説明は、
図2と同様である。
図4は、木製の頭部管4に木製のリッププレート1を浮かし彫りした斜面の一部を粗面に加工した部分2を有するフルートの歌口3の中央部の頭部管の管軸に垂直な断面図である。
図4のリッププレート1に関する説明は、
図2と同様である。
【0014】
演奏者がフルートの歌口に吹き込む気流と、そのエネルギーによって発生する音波が伝播する媒体としての気流は、ともにリッププレートの上を流れると推測したが、その推測が正しいか否かを確認する必要があった。
【0015】
フルートが発生する定在波は、開管であることが知られている。その定在波の腹の一つは歌口の近傍にあり、歌口は、音波の振幅が最大となる気流が排出と吸入の振動を繰り返す場所である。
【0016】
音波を含む定在波が歌口から排出する時に、音波が伝播する媒体としての気流が歌口から溢れだし、演奏者が吹き込む気流と共に、リッププレートの上を流れると考えられる。
【0017】
従来のフルートの場合、リッププレートは、
図1のリッププレート1のみを持つので、リッププレートの端で急速に流路が拡大するため、気流が剥離して大きな損失が発生する。それにより、音波の振幅とエネルギーが小さくなることが予想される。
【0018】
予想が正しいことを証明するには、リッププレート1の端で流路が急速に拡大することを防いで音波のエネルギーが増すことを示す必要がある。そのために流体力学を応用して、リッププレート1の端から斜面を作り、更にその斜面の表面を多くの突起または窪みのある粗面とすることが効果的である。このような粗面を有するリッププレート2によって音波のエネルギー損失を少なくできれば予想が正しく、フルートが発生する音波のエネルギーが取り戻されることになる。
【0019】
粗面の作成について、予備実験を行い、研磨材の白色アルミナの粒度の異なる60番、120番、180番、240番、320番の5種類を用いて、2液性のエポキシ系接着剤と1対1の割合で混ぜ、リッププレート2の表面に薄く塗布する方法を採用した。
【0020】
5種類の粗面について、フルートが発生する3オクターブの音全てについて評価するのは理想だが、予備実験としては非効率である。低い音であるD4(約294ヘルツ)の音で評価することで基音の振幅、倍音の数と振幅によって改善の程度を比較するのが適切と判断して、5種類の粗面の評価を行った。
【0021】
粗面の評価法は、客観性を重視して、以下のように行った。金属製のリッププレート1に脱着が可能な金属製のリッププレート2を用意した。頭部管も金属製である。銀のリッププレート2の形状とした部品の表面に接着材と研磨材を混ぜて塗布した粗面を5種類の研磨材に対応して5個用意した。歌口から30センチメーター離れた場所に録音機を置いて、自分で金属製フルートを最強音で吹奏して録音した。歪の発生を避けるため、録音条件を24ビット、44.1キロヘルツに設定した。録音データをパソコンに書き込み、同一パソコンに設定してあるDSDの再生機能を使って再生し、データをUSBに送ってDA変換器でアナログ化し、その信号を増幅器で観測に適した大きさにするが、一連の測定をする際には、増幅度を固定しておく。この信号をUSB変換して別のパソコンで受け、高速フーリエ変換した画面から基音や倍音の発生の様子を観測した。なお、再生機能にDSDを使用した理由は、一度ディジタル化された音の波形を出来る限り元の波形に忠実に戻したいと考えたからである。以上のデータと比較するために、粗面を持たないリッププレート1のみを持つフルートのD4の音を最強音で吹奏したデータを以上と同じ方法で得て、基音の振幅と倍音の振幅および数をそれぞれ比較した。
【0022】
高速フーリエ変換した画面を用いて、基音の振幅、複数の倍音のそれぞれの振幅と発生の数によって評価し、粗面製作に用いた研磨材の番手の違いにより相違のあることがわかった。粒度120番使用のサンプルが最も基音の振幅が大きく、倍音の振幅が大で数が多い。粒度60番と180番のサンプルが続き、粒度240番、粒度320番のサンプルは、ほとんど効果がみられなかった。
【0023】
参考として、「参考
図1」に粒度120番を使用して作成した粗面を用いた時のD4の音波の高速フーリエ変換した図を、「参考
図2」に粒度320番を使用して作成した粗面を用いた時のD4の音波の高速フーリエ変換した図を、「参考
図3」に粗面を使用しない時すなわち従来のフルートの状態のD4の音波の高速フーリエ変換した図を示す。横軸は、周波数(ヘルツ)を表し、縦軸は振幅の相対レベルをデシベルで表す。
従来のフルートと本発明のフルートの音の比較を詳細に実施した。金属リッププレート1のみを有する従来のフルートの音を録音して解析し、次に長さ35ミリメートル、幅が5ミリメートルで三日月の両端を切った形状の金属板の全面に粒度120番の研磨材を接着剤と混合し塗布したリッププレート2をリッププレート1に装着することにより、本発明の粗面を有するリッププレートを構成して録音し解析を行った。このようにして、金属製フルートの個体の違いをなくして実験した。
音を録音する際は、録音仕様を24ビット、44.1キロヘルツに設定して、録音機とフルートの距離を歌口の前30センチメートルとした。録音した音のデータをパソコンに移し、パソコンでDSDに変換した信号をUSBを介してDA変換機でアナログ信号に変換して音響増幅器に送り、その後の高速フーリエ変換の結果を観測するのに適した信号レベルとなるように音量を定め、その音響増幅器の出力をUSB変換器を介して別のパソコンで受けて高速フーリエ変換を行って、音を周波数の情報データに分解した。
フルートから音を出すには、機械式が気流の速度を詳細に設定することが出来るので望ましいが、所有しないので人が吹奏する方法を採用した。それぞれの音を出す際に、出来る限り強く吹くことでばらつきを小さくするように注意して実験を行った。
フルートを使用して出す音は、ハ長調の音階を3オクターブ、すなわち、音名をドイツ語で表記してC4、D4、E4、F4、G4、A4、H4、C5、D5、E5、F5、G5、A5、H5、C6、D6、E6、F6、G6、A6、H6の21音とした。
リッププレート1のみを有する従来のフルートを使用して21の音名の音を録音機に録音し、次に本発明の粗面を有するリッププレートを設けたフルートを使用して同じく21の音名の音を録音した。録音した音のデータを前に述べた手順に従って処理し、音名毎に高速フーリエ変換された基音や倍音の振幅のデータを得た。
フルートの倍音発生は、個人差が大きいことが「非特許文献2p.143」で報告されている。その影響を避けるため、音名が該当する周波数の振幅の値のみを比較のデータとして採用し、その他の倍音の情報は用いないことにした。「表1」に従来のフルートと、本発明のフルートを用いた金属製フルートに関する結果を記す。
粗面の表面粗さについて測定器により2種類の試料について評価した。一つは、粒度120番の研磨材をエポキシ系接着材と体積比率で1対1で混ぜて薄く塗布して多数の突起を作った粗面で、もう一つは銀の素材の表面を、約2ミリの球体のダイヤモンド彫刻器を使用して、小さい窪みを約200個作った粗面である。日本産業規格の算術平均粗さ(Ra)で表して、研磨材120番使用の突起の粗面はおおよそ5マイクロメートルで、窪みを彫刻器で作った粗面は、12マイクロメートルであった。この2つの粗面は、リッププレート2の粗面としてほぼ同等の音の改善効果を示すことを確認した。突起による粗面は気流に対して抵抗、即ちエネルギーの損失を生じるから、窪みによる粗面の方が望ましいが研磨材を使うことで粗面の突起を制御しながら容易に作成できるのが選択の理由である。その後、窪みを追加工して250個とした。C4が5デシベル増加するほかに200個と相違はない。窪みの増加により算術平均粗さ(Ra)は15マイクロメートルとなる。
摂氏10度かそれ以下の室温で、同様に冷えているフルートを演奏すると、「参考写真1」に示すように、リッププレート1の上に、歌口3からリッププレート1の端へ向かって、歌口の幅と同じくらいの幅で、水滴が並ぶことを観測できる。これから、フルートの演奏時にリッププレート1の上を流れる気流はほぼ歌口の幅と同じであると推測される。「非特許文献9」の4ページ目にテオバルト・ベームによって、歌口の幅を12ミリメートルとすることが推奨されている。現在所有する頭部管5個の歌口の幅は全てこれに従っていた。粗面を有するリッププレート2は、全面に粗面を加工しても機能上の問題はないが、デザイン上や加工の工数などの理由で、その面積を小さくすることが求められる場合は、粗面の横幅は、リッププレート2の中心線から左右それぞれ6ミリメートルとして、合計で12ミリメートルあればよいことになるが加工上の誤差や演奏者の癖などを考慮して多少の余裕を持たせるのがよいと考える。粗面の表面粗さを評価した、窪みを彫刻器で作った試料は粗面の横幅を20ミリメートルとしたが、リッププレート2の全面を粗面とした試料と比べて差はなかった。この部分的に粗面を有するリッププレート2の下端部の中央付近の横幅20ミリメートルの範囲において頭部管4との間隙は出来るだけ小さいことが望ましいが、1ミリメートル弱であれば、良いと考える。「表1」の結果は、その程度の寸法精度で得られたからである。同様な理由で、部分的に粗面を有するリッププレート2と、それに突き合わせるリッププレート1との間隙は、中央部横幅20ミリメートルの間において、0.5ミリメートル以下であれば良い。
従来から用いられてきたフルートが持つ構造上の問題を解決して失われたエネルギーの多くを取り戻すという改良であるから、フルートが本来持っている特徴を改変したり、損なうような改良ではない。音量が増して、音が出し易くなって、音楽に表情をつけることが改善され、従来の欠点であった低域の音の出し難さと音色が改善されることなど、以上の事情が正しく理解された時には、新たな需要が喚起されることを期待できる。
従来から用いられているリッププレート1のみを有するフルートには、粗面を有するリッププレート2を部品として追加することで、本発明の機能を用いることが可能となる。新たにフルートを製作する場合は、リッププレート1とリッププレート2を繋ぎ合わせて一体化したリッププレートとすることが機能と審美的な面から望ましいと考えられる。木製の頭部管で、リッププレートが浮かし彫りとなった形状の場合には、磨いてある斜面の気流が流れる部分を粗面として加工し利用すればよい。木製頭部管で、リッププレートを貼り付けている例もあるが、浮かし彫りと同様に扱うことが出来る。
これまでの記述は、フルートについて行ってきたが、同様なリッププレート1の形状を有する、いわゆるフルート属である、フルートダモーレ、アルトフルート、バスフルートなどに粗面を有するリッププレート2の適用が可能であり、フルートと同様な改良、すなわち音量の増加、音の出し易さ、音色の改善などを期待できる。あらゆるジャンルの編成や、あらゆるジャンルの音楽に関する応用が期待でき、関連する製造業、関連する音楽業界に貢献することを期待できる。