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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140199
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20220915BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220915BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079556
(22)【出願日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021040818
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】高井 大幹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 圭介
(72)【発明者】
【氏名】川原田 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 一行
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 堅治
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 浩亨
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA25
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA16
3K273SA17
3K273SA34
3K273SA42
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA22
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA22
3K273VA05
(57)【要約】
【課題】調色可能な照明器具を、調色できない照明器具として簡易に転用可能な照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具2は、着脱可能な小型装置(ドングル)7を備え、小型装置7は、ユーザ指示を入力するための操作部としてディップスイッチ73を備え、照明器具2は、ディップスイッチ73に入力されたユーザ指示としての設定値に応じた発光状態で発光する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具であって、
着脱可能な小型装置を備え、
前記小型装置は、ユーザ指示を入力するための操作部を備え、
前記操作部に入力されたユーザ指示に応じた発光状態で発光する
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記照明器具は、ユーザ指示に応じて複数の発光状態で発光可能であり、
前記複数の発光状態は、それぞれ調光率が異なる
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記照明器具は、ユーザ指示に応じて複数の発光状態で発光可能であり、
前記複数の発光状態は、それぞれ発光色が異なる
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記小型装置は、前記操作部としてスイッチを備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記照明器具は、光源部と、電源装置とを備え、
前記電源装置は、前記小型装置から受信する制御信号に応じて前記光源部を発光させ、
前記小型装置は、
複数の通信方式により制御信号を送信する機能を有し、前記ユーザ指示の内容に対応する通信方式を用いて制御信号を送信する
請求項1記載の照明器具。
【請求項6】
前記小型装置は、ユーザ指示と、通信方式との対応表を保持している
請求項5記載の照明器具。
【請求項7】
前記対応表の内容は、前記小型装置の外部から所定の信号を入力することにより変更可能である
請求項6記載の照明器具。
【請求項8】
照明制御装置の無線通信による指示に基づき発光する照明器具であって、
着脱可能で無線通信機能を有する小型装置を備え、
前記小型装置は、ユーザ指示を入力するための操作部を備え、複数のユーザ指示それぞれに対応する認証情報を保持しており、
前記照明制御装置と無線通信する場合に、前記ユーザ指示に基づく認証情報を用いて、前記照明制御装置を認証する
ことを特徴とする照明器具。
【請求項9】
前記操作部は、ユーザ指示として複数桁の設定値を入力するためのスイッチであり、
前記設定値において、前記複数桁をグループに分けた場合の、一のグループが示す内容は、他のグループが示す値に応じて異なっている
請求項8記載の照明器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、特に、調光、調色などの制御が可能な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具には、調色機能を有する照明器具と、調色機能を有さない照明器具がある。調色機能は、照明器具が備える電源装置が、複数色の光源それぞれに供給する電力を調整することで実現する。調色機能を有する照明器具の一例に、ディップスイッチによるアドレス設定部で設定したアドレスを用いて無線通信し、照明制御装置を用いて調色などの制御をする照明器具がある(特許文献1参照)。
【0003】
一方、調色機能を有さない照明器具においては、その電源装置は、特定の電力を複数色の光源それぞれに供給することで特定の色温度で光源を点灯させる。このため、調色機能を有さない照明器具においては、その電源装置は、コストなども鑑み、光源に供給する電力を調整する機能は有していない。調色機能を有さない照明器具には、特定の色温度として3000K(ケルビン)で発光するもの、4000Kで発光するものなど色々な仕様がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-126851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、調色機能を有さない照明器具の販売が好調で在庫が不足する一方、調色機能を有する照明器具の販売が芳しくなく在庫が積みあがるという状況は生じ得る。ここで、調色機能を有する照明器具を、調色機能を有さない照明器具に転用して販売する場合を想定すると、照明制御装置を用いて調色できないようプログラムを変更したり、発光する色温度も、特定のものにする必要があるなどの条件を満たす必要があるが、上記特許文献1の技術では実現することが容易ではない。以上、調色について説明したが、調光についても同様である。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、複数の発光状態で発光可能な照明器具を、特定の発光状態で発光する照明器具として簡易に転用可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る照明器具は、照明器具であって、着脱可能な小型装置を備え、前記小型装置は、ユーザ指示を入力するための操作部を備え、前記操作部に入力されたユーザ指示に応じた発光状態で発光する。
【発明の効果】
【0008】
上述の構成により、本発明に係る照明器具は、複数の発光状態で発光可能な照明器具を、特定の発光状態で発光する照明器具に簡易に転用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具の外観的な構成を示す図である。
図2】(a)照明器具が備える電源装置の外観を示す斜視図、(b)照明器具2が備えるドングルの外観を示す斜視図である。
図3】照明器具の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】ドングルが備えるディップスイッチの設定値と、実現される発光状態との対応表を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る照明システムの外観的な構成を示す図である。
図6】(a)照明システムが備える照明器具の機能的な構成を示すブロック図、(b)照明システムが備える照明制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図7】照明システムを構成するワイヤレスモジュールが備えるディップスイッチの設定値と、実現される内容との対応表を示す図である。
図8】第3の実施形態に係るディップスイッチの設定値と、実現される内容との対応表を示す図である。
図9】(a)第4の実施形態に係る、照明器具が備える電源装置の外観を示す斜視図、(b)照明器具が備えるドングルの外観の表面側から見た斜視図、(c)ドングルの、裏面側から見た斜視図である。
図10】ドングルによる照明制御にあたり、各端子の機能と、電源装置を1CH制御、2CH制御、3CH制御する場合のそれぞれの場合に用いる信号の種類との対応を表す図である。
図11】(a)DS設定値と、設定される色温度及び調光率と、照明制御信号との対応を表すDS設定値-信号対応表を示す図、(b)DS設定値-信号対応表を示す図(図11(a)の続き)である。
図12】(a)DS設定値-信号対応表を示す図(図11(b)の続き)、(b)DS設定値-信号対応表を示す図(図12(a)の続き)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る照明器具2について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<1.第1の実施形態>
<1.1.構成>
図1は、照明器具2の構成を示す図である。
【0012】
図2(a)は、照明器具2が備える電源装置5の外観を示す斜視図であり、図2(b)は、照明器具2が備えるドングル7の外観を示す斜視図である。ドングル7は、電力供給を受けて、独立して動作する小型装置の一例である。
【0013】
図3は、照明器具2の構成を示すブロック図である。
【0014】
照明器具2は、図1に示すように、一例として、設置場所の一例としての天井11に設置されて使用されるダウンライトであり、器具本体4、電源装置5、及びドングル7を備える。
【0015】
<器具本体4>
器具本体4は、図3に示すように、光源部41を備える。光源部41は、LED(Light Emitting Diode)で構成された光源、及び光源を配置する回路基板である光源基板を備える。光源部41は、電源装置5の電力供給部54から電線51を介して供給される電力に応じて、光源の点灯、消灯、調光率の変更(以下、「調光」ともいう。)及び発光色の変更(以下、「調色」ともいう。)などの動作をする。ここで、発光色の変更は、色温度を変更することも含む。
【0016】
<電源装置5>
電源装置5は、光源部41に対し、点灯、消灯、調光及び調色などの制御(以下、「光源制御」という。)を行うための電力を供給する機能を有する。
【0017】
電源装置5は、外観的には、図2(a)に示すように、電源本体部50及び電線51を備え、電線51が器具本体4に接続されることにより器具本体4と電気的に接続する。また、電源本体部50は、ソケット部53を備える。ソケット部53には、ドングル7が着脱可能である
電源装置5は、機能的には、図3に示すように、ソケット部53と電力供給部54を備える。
【0018】
電力供給部54は、調光及び調色を実現する機能を備えており、照明器具2の外部から供給される電力を、ドングル7から受信する照明制御信号に応じた電力に変換し、光源部41に供給することで光源制御を行う。
【0019】
電力供給部54は、受信する照明制御信号と、光源部41に供給すべき電力との対応関係を予め記憶しているものとするが、これに限らず、照明制御信号に応じた調光、調色が実現できれば足り、例えば、照明制御信号に応じた調光、調色を行う電力を出力するよう回路的に構成されていてもよい。
【0020】
ソケット部53は、図2(a)に示すように、外観的には、電源本体部50の側壁に設けられた、ドングル7が挿入される溝状の差し込み口(スロット)であり、差し込み口の内部的には、ドングル7が挿入されることにより、ドングル7の端子部75が備える信号端子それぞれに電気的に接続する複数の端子を備える。
【0021】
複数の端子は、電力供給部54と電気的に接続しており、ソケット部53にドングル7が挿入された場合に、ドングル7と電力供給部54とが電気的に接続した状態になる。
【0022】
<ドングル7>
ドングル7は、形状的には、図2(b)に示すように、筐体71、基板部72及びディップスイッチ(以下、「DS」という。)73を備える。筐体71は、ドングル7の外形を構成し、長円筒状の筐体第1部分71a及び角筒状の筐体第2部分71bが連続して成る。筐体71は、基板部72の大部分を内部に格納しており、筐体第2部分71bにおける、筐体第1部分71aが連続する側面側とは反対側の側面に設けられた開口から、基板部72の一部が突出している。
【0023】
基板部72は、ドングル7を動作させるための電子部品などが実装された板状のプリント基板である。基板部72の筐体71から突出した部分には、端子部75が設けられている。ドングル7が、図2(a)に示すように、電源装置5のソケット部53に装着されると、ドングル7の筐体第1部分71aが電源装置5の電源本体部50から飛び出た状態になる。
【0024】
DS73は、ユーザがユーザ指示として所望する設定値を入力するための操作部の一例であり、ディップスイッチで構成されている。DS73は、図2(b)に示すように、筐体第1部分71aの一側面に設けられているが、これに限らず、天面(筐体第2部分71bから最も離れた側の面)に設けることとしてもよい。DS73は、それぞれが1ビットの情報を表す6個のスイッチ73a、スイッチ73b、スイッチ73c、スイッチ73d、スイッチ73e及びスイッチ73fを備える。すなわち、DS73は、6ビットの値を表す。
【0025】
スイッチ73aは、第1ポジションと第2ポジションの間で摺動するつまみ74aを備える。以下、スイッチ73aは、つまみ74aが第1ポジションにある場合、1(「オン」という場合もある。)を表し、つまみ74aが第2のポジションにある場合、0(「オフ」という場合もある。)であるとする。スイッチ73b~スイッチ73fは、それぞれスイッチ73aと同様に、つまみ74b、つまみ74c、つまみ74d、つまみ74e及びつまみ74fを備え、第1ポジションにある場合1を表し、第2ポジションにある場合0を表す。
【0026】
ここで、第1のポジションは、一例として、図2(b)における、筐体第2部分71bからみて筐体第1部分71a側の位置であり、第2のポジションは、第1ポジションとは逆の、筐体第1部分71aからみて筐体第2部分71b側の位置である。図2(b)では、一例として、スイッチ73aにおいて、つまみ74aが第1ポジションに設定されており、スイッチ73bにおいて、つまみ74bが第2ポジションに設定されている。
【0027】
以下では、DS73により表される情報を「DS設定値」という。DS設定値は、2値の6ビットの値である。以下、6桁のうち最上位の桁を「第1桁」、最下位の桁を「第6桁」、間の桁をそれぞれ「第2桁」、「第3桁」、「第4桁」、「第5桁」という。DS設定値の第1桁は、スイッチ73aが表す値であり,第1桁と同様に、第2桁~第6桁はそれぞれスイッチ73b~スイッチ73fが表す値である。
【0028】
端子部75は、図2(b)に示すように、端子75a、端子75b、端子75c、端子75d及び端子75eの5個の端子を備える。
【0029】
端子75bは、ドングル7を動作させるための電源入力用の端子であり、電源装置5の電力供給部54から供給される3.3ボルト(V)の電力信号の入力を受け付ける。なお、電力信号の電圧は、3.3Vに限るものではなく、要求仕様に応じて変更してよい。
【0030】
端子75cは、回路動作の基準となるグランド接続用の端子であり、電力供給部54と接続することで電力供給部54とドングル7とのグランドを共通にする。その他の端子は、照明制御信号の伝達に用いられる。照明制御信号は、光源部41を制御するための制御仕様に応じる、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号や、シリアル信号などの信号である。
【0031】
ドングル7は、機能的には、図3に示すように、DS73、制御部712、記憶部714、及び端子部715を備える。
【0032】
制御部712は、一例として、プロセッサであり、記憶部714に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより、照明制御機能などの機能を実現する。より具体的には、制御部712は、光源の点灯、消灯、点滅、調光率増加、調光率減少など光源の動作に関する照明制御指示を、端子部715を介して電源装置5に送信する。
【0033】
制御部712は、特に、DS73のDS設定値を読み取り、DS設定値に応じた調光及び調色などの制御を行うための照明制御信号を、端子部75及びソケット部53を介して、電源装置5の電力供給部54に出力する。電力供給部54は、受信した照明制御信号に応じた電力を、電線51を介して器具本体4の光源部41に供給する。
【0034】
<1.2.DS設定値と照明制御>
図4は、DS設定値と、色温度、調光率との対応を表す対応表であり、色温度及び調光率は、DS設定値に応じた照明制御により実現される光源部41の発光状態についての色温度と調光率である。図4の対応表中、a列がDS設定値の第1桁、b列が第2桁、c列が第3桁、d列が第4桁、e列が第5桁、f列が第6桁を表している。
【0035】
ここで、図4の対応表では、a~d列で表される4桁の値が色温度を特定し、e~f列で表される2桁の値が調光率を特定している。色温度は、a~d列の値が0000の場合に6500Kを表し、0001の場合に6000Kを表し、0010の場合に5000Kを表し、0011の場合に4000Kを表し、0100の場合に3500Kを表し、0101の場合に3000Kを表し、110の場合に2700Kを表している。
【0036】
また、調光率は、e~f列の値が00の場合に100%を表し、01の場合に75%を表し、10の場合に50%を表し、11の場合に25%を表す。
【0037】
ドングル7の制御部712は、図4に示す対応表に基づき、DS7に設定されているDS設定値により特定される色温度及び調光率を実現するための照明制御信号を、端子部715及びソケット部53を介して、電源装置5の電力供給部54に対し出力する。電力供給部54は、照明器具2の外部から供給される電力を、受信した照明制御信号が表す色温度、調光率を実現するための電力に変換し、光源部41に供給する。
【0038】
例えば、DS設定値が000000の場合、図4の対応表に従い、電力供給部54は、色温度6500K、調光率100%になるよう光源部41に照明制御信号を送信する。DS設定値が001111の場合であれば、電力供給部54は、色温度4000K、調光率25%になるよう光源部41に照明制御信号を送信する。
【0039】
以上のように構成することで、照明器具2は、ドングル7が備えるDS73のDS設定値を変更することで、調光及び調色が可能になる。
【0040】
以上のように構成した照明器具2は、一例として、以下のような使用が想定可能である。
【0041】
照明器具2について、ドングル7のDS7を、DS値が000000となるよう設定して出荷する。この場合、調光・調色機能を有する電源装置5を備えた照明器具2を、光源部41が特定の調光率(例えば100%)及び色温度(例えば2700K)で発光する調光・調色機能を有しない照明器具として出荷することができる。
【0042】
これにより、調光・調色機能を有さない照明装置の在庫が不足し、調光・調色機能を有する照明装置の在庫が潤沢で余っているような状態の場合に、調光・調色機能を有する照明装置の在庫を処理することができ、照明器具2、特に、電源装置5の有効活用ができる。
【0043】
また、ドングル7のDS7を操作することで、調光・調色が可能であるため、一旦客先に納入した照明器具2について、光源部41の色温度を3000Kに変更したり、調光率を75%に変更するなどできる。通常、照明器具2の電源装置5は、天井裏に配されることになるので、照明器具2の製造業者、販売業者、電気工事業者などがメンテナンス要員等を派遣し、メンテナンス要員等がDS7の設定を変更するような運用が考えられる。
【0044】
また、別の使用態様として、照明器具2は、ドングル7を挿入しない場合には、ある色温度、調光率で光源部41が発光するよう構成することが考えられる。より具体的には、電源装置5は、ドングル7が挿入されない場合に、ある色温度、調光率で光源部41が発光するよう電力供給する。
【0045】
この場合に、照明器具2を納入した後、納入先で、照明器具2の電源装置5にドングル7を挿入すれば、照明器具2は、調光・調色が可能な照明器具2に変更される。これは、照明器具2のアップデート、上位機種化ともいえる。
【0046】
<2.第2の実施形態>
第1の実施形態では、ドングル7のDS37を、色温度と調光率の設定に用いていたが、これに限るものではなく、色温度と調光率以外の設定に用いることとしてもよい。一例として、第2の実施形態では、DS設定値をIDとパスワードの設定に用いる。
【0047】
以下、第2の実施形態に係る照明システム1について、第1の実施形態との差異を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0048】
<2.1.構成>
図5は、第2の実施形態に係る照明システム1の構成を示す図である。
【0049】
照明システム1は、図5に示すように、複数の照明器具2a、照明器具2b、・・・、照明器具2c(以下、「照明器具2a等」と総称する。)及び照明制御装置9を備える。照明器具2a、照明器具2b、・・・、照明器具2cについては、同様の構成を備えるので、以下では照明器具2aについて説明するものとし、照明器具2b、・・・、照明器具2cについては、特に必要な場合にのみ説明を行う。
【0050】
照明器具2aは、照明器具2とは、小型装置の一例としてドングル7に代えて無線通信機能を有するワイヤレスモジュール(以下、「WM」)700を備える点が異なる。第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付しており、特に必要ない限り説明は省略する。
【0051】
照明器具2a、照明器具2b、・・・、照明器具2c(以下、「照明器具2a等」と総称する場合がある。)及び照明制御装置9における無線通信は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、「BLE」という。)仕様に基づくものとするが、これに限るものではなく、他の仕様に基づく無線通信を行ってもよい。また、照明器具2a等、照明制御装置9は、相互にBLEを用いメッシュネットワークを形成可能であり、メッシュネットワークを通じて直接又は間接的に相互に通信することができる。
【0052】
図6(a)は、照明器具2aの構成を示すブロック図であり、図6(b)は、照明制御装置9の構成を示すブロック図である。
【0053】
照明器具2aは、図6(a)に示すように、器具本体4、電源装置5及びWM700を備える。WM700は、図6(a)に示すように、無線部711、制御部712、記憶部714、ディップスイッチ730及び端子部715を備える。
【0054】
無線部711は、無線通信に用いられるアンテナであり、一例としてチップアンテナで構成される。制御部712は、無線部711を用いて、無線通信により、他の照明器具である照明器具2b、・・・、照明器具2c及び照明制御装置9と制御信号、データなどの送受信を行う。
【0055】
ここで、DS73の構成は、第1の実施形態と同じであるが、DS設定値に対応づけられる内容が第1の実施形態と異なる。
【0056】
第1の実施形態では、DS設定値それぞれに対して、調光率と色温度が対応づけられていたが、第2の実施形態では、DS設定値それぞれに、無線通信に必要な情報の一例としての認証情報が対応付けられている。
【0057】
図7は、DS設定値と、DS設定値それぞれに対応づけられている認証情報の一例としての使用チャネル、メッシュID、パスワードを示している。
【0058】
使用チャネルは、BLEによる無線通信に用いる周波数チャネルを示す。照明器具2a等は、DS設定値により特定される使用チャネルを用いて無線通信を行う。
【0059】
メッシュIDは、形成するメッシュネットワークの識別情報を示している。
【0060】
パスワードは、メッシュネットワークで使用するパスワードを示す。
【0061】
同一のメッシュIDを使用する照明器具2a等及び照明制御装置9は、メッシュネットワークを形成する。形成されているメッシュネットワークに参加するには、そのメッシュネットワークで使用されているメッシュIDと、パスワードを用いる必要がある。
【0062】
照明器具2a等は、装着されているWM700のDS73で示される使用チャネル、メッシュID、パスワードを用いて通信することで、メッシュネットワークに参加する。
【0063】
<照明制御装置9>
照明制御装置9は、可搬型の情報処理装置で構成され、一例として、図5に示すような長方形板状の外観を有し、一つの面にタッチパネルが嵌め込まれたスマートフォンである。
【0064】
照明制御装置9は、タッチパネル等を用いてユーザが入力する指示に従って、照明器具2a等に対し、無線通信により、光源の点灯、消灯、調光率の変更及び発光色温度の変更などの照明制御を行う指示(以下、「照明制御指示」という。)を送信するために用いられる。
【0065】
照明制御装置9は、図6(b)に示すように、制御部91、ROM92、RAM93、無線通信部94及びタッチパネル95を備える。
【0066】
ROM92は、フラッシュメモリなどで構成され、アプリ、プログラム、UIのほか各種のデータを保持する。RAM93は、ROM92に格納された照明制御用のプログラムがロードされる記憶装置である。
【0067】
タッチパネル95は、UIを構成する画像、情報を表示する表示部と、ユーザ指示の入力を受け付ける入力部とを組み合わせた電子部品であり、ユーザインターフェース手段として機能する。表示部は、一例として液晶パネルで構成される。また、入力部は、一例としてタッチパッドである。タッチパネル95は、ユーザ入力を制御部91に通知する。タッチパネル95は、ユーザインターフェース(以下「UI」という)を表示する機能を有する。
【0068】
制御部91は、CPU(Central Processing Unit)を備える。照明制御装置9の各機能は、ROM92からロードされてRAM93に記憶される照明制御用のプログラムを制御部91が実行することにより実現される。
【0069】
また、制御部91は、タッチパネル95に表示されているUIの内容と、ユーザにより行われるタッチパネル95へのタッチ、ジェスチャ入力(以下「ユーザ入力」という)とに基づき、ユーザが要求している動作の指示(ユーザ指示)を判断し、ユーザ指示に応じた処理を実行する。
【0070】
無線通信部94は、無線通信を行うデバイスで構成される。無線通信部94は、照明器具2a等との間で無線通信を行う。
【0071】
ここで、照明制御装置9が、メッシュネットワークに参加し、照明器具2a等と通信するには、メッシュIDとパスワードとを用いる必要がある。メッシュネットワークで使用される使用チャネル、メッシュID、パスワードは、照明器具2a等のDS73を用いて設定されている使用チャネル、メッシュID及びパスワードである。
【0072】
照明制御装置9のユーザは、照明器具2a等のDS73を用いて設定されているメッシュIDとパスワードを認識しており、タッチパネル95を用いて入力する。また、ユーザは、照明制御装置9に対し、無線通信に使用すべき使用チャネルを指示する。
【0073】
照明制御装置9は、入力された使用チャネル、メッシュID及びパスワードを用いて、メッシュネットワークに参加する。入力されたメッシュID及びパスワードが、メッシュネットワークを構成している照明器具2a等において、DS73を用いて設定されているメッシュID及びパスワードと異なる場合は、照明制御装置9は、認証を成功できず、メッシュネットワークに参加して通信することはできない。また、照明制御装置9が、使用チャネルが、DS設定値により特定されている使用チャネルと異なる場合は、無線通信自体が成立しない。
【0074】
<3.第3の実施形態>
DS73のDS設定値により指定される内容(意味付け)は、第1の実施形態では、調光率と色温度であり、第2の実施形態では、使用チャネル、メッシュID及びパスワードであったが、これに限るものではない。
【0075】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、DS設定値において複数のビット(ビット群)で表す内容は固定的な内容であったが、これに限らず、上位桁、又は、下位桁の内容によって、他のビット群の内容が変わってもよい。
【0076】
第3の実施形態では、WM700のDS73を8ビットのディップスイッチとしている。DS設定値は8ビット値である。DS設定値の最上位桁をビットaとし、以下、ビットb、ビットc、ビットd、ビットe、ビットf、ビットgと続き、最下位桁をビットhとする。
【0077】
図8は、DS設定値中のビットと、その内容との対応を一覧にした対応表を示す図である。
【0078】
(1)ビットa
例えば、WM700は、DS設定値の最上位桁であるビットaが0の場合、無線通信を行わないドングルとして機能し、ビットaが1の場合、ワイヤレスモジュールとして機能する。
【0079】
(2)ビットbc
DS設定値のビットb及びビットc(ビットbc)の内容は、ビットaの値が1の場合と、0の場合とで異なる。
【0080】
ビットaの値が1の場合、WM700は、無線通信を行うワイヤレスモジュールとして機能し、ビットbcの値が00の場合、無線通信にチャネル1を使用し、ビットbcの値が01の場合、チャネル2を使用し、ビットbcの値が11の場合、チャネル3を使用する。
【0081】
ビットaの値が0の場合、WM700は、無線通信を行わないドングルとして機能するので、bcの値は、使用チャネルを指定することもなく、いずれの値でもWM700の動作に関係ない。
【0082】
(3)ビットdefgh
ビットdefghは、ビットbcの値が00の場合と、ビットbcの値が01、10の場合で内容が異なる。
【0083】
ビットbcの値が00の場合、ビットdefghのうち、ビットdefが色温度を表し、ビットghが、通信で使用すべきメッシュIDとパスワードを表す。
【0084】
ビットbcの値が、01の場合及び10の場合は、ビットdefghは、メッシュIDとパスワードを表す。
【0085】
以上説明したように、DS設定値は、ビット毎に固定した内容ではなく、他のビットの値により内容が変わることとしてよく、これにより、DS設定値に対し、柔軟に、内容を割り当てることができ、DS設定値の有効活用ができる。
【0086】
<4.第4の実施形態>
上述の実施形態では、DS設定値に応じて、調光率、色温度など発光状態を変更する例について説明したが、ドングル7が電源装置5に対し送信する照明制御信号の具体例については説明していない。照明制御信号の仕様は、電源装置5が受信し解釈可能に規定される。
【0087】
以下では、ディップスイッチ(DS)811を備えるドングル801が、DS811に対し行われる設定、すなわちDS設定値に応じて、複数の異なる仕様に基づく照明制御信号を電源装置5に送信する例について説明する。ドングル801は、基本的には、ドングル7と同様の構成を有する。ブロック図についても、図3のドングル7をドングル801に、ディップスイッチ73をディップスイッチ811に置き換えたものになる。
【0088】
以下、ドングル801については、ドングル7と異なる点を中心に説明する。
【0089】
図9(a)は、第4の実施形態に係る、照明器具が備える電源装置50の外観を示す斜視図である。図9(b)は、照明器具が備えるドングル801の外観のDS811を備える面(以下、「表面802」という。)側から見た斜視図である。図9(c)は、ドングル801の、表面802と対向する面(以下、「裏面803」という。)側から見た斜視図である。
【0090】
ドングル801は、図9(a)に示すように、電源装置5が備えるスロットに挿入される。ドングル801が、スロットに挿入された場合には、DS811がスロット内に位置する。この状態では、ユーザはDS811に触ることができず、DS設定値を変更することができない。よって、DS811の設定値が、不注意などにより誤って変更されるのを防ぐことができる。また、DS811に埃などがたまるのを防ぐことができる。
【0091】
なお、DS811は、ドングル801における電源装置5のスロットに挿入された場合に、触れられない位置に配されていなくてもよく、スロットの外側に位置するような配置となっていてもよい。
【0092】
DS811は、図9(b)に示すように、ドングル801の表面802に設けられた、テーパー813を有する開口812から露出している。
【0093】
DS811は、つまみ814を含む8個のつまみを備えており、それぞれのつまみは、第1のポジション(ON)と第2のポジション(OFF)とを相互に移動可能である。第1のポジションは値「1」を表し、第2のポジションは値「0」に対応する。DS811は、各つまみが第1のポジションに位置するか、第2のポジションに位置するかに応じた8ビットのDS設定値を表すことができる。なお、つまみ814については、人間の指、爪で操作しにくい程度に細く構成すれば、ユーザによる誤操作、誤設定を防止することができる。
【0094】
また、図9(c)に示すように、ドングル801は、裏面803に6個の穴部831、穴部832、穴部833、穴部834、穴部835、及び穴部836を備える。穴部831からは、基板部72が備える電極パッド851が露出している。同様に、穴部832~穴部836のそれぞれからは、基板部72が備える電極パッド852~856がそれぞれ露出している。
【0095】
電極パッド851~856は、制御部712、記憶部714に電気的に接続している。
【0096】
電極パッド851~856に、所定の信号を入力することにより、記憶部714の内容を書き換えることができる。
【0097】
図10は、ドングル801による照明制御にあたり、各端子の機能と、電源装置5を1CH(チャネル)制御する場合に用いる信号の種類、電源装置5を2CH制御する場合に用いる信号の種類、電源装置5を3CH制御する場合に用いる信号の種類との対応を表す図である。ここで、チャネルは、制御対象(電源装置5)を制御するのに使用する信号を表す。使用する信号は、制御の対象とする光源部41に採用される光源により異なる。
【0098】
1CH制御は、1つの信号を用いて行う制御である。一例として、光源部41が調光のみ可能な場合に、ドングル801は、1つの調光信号を用いて電源装置5に調光の指示を行う。より具体的には、1CH制御の場合、ドングル801は、端子75dを用い、調光率を示す調光信号を電源装置5に送信する。電源装置5は、受信する調光信号により示される調光率で点灯するよう光源部41を制御する。
【0099】
調光信号は、1例としてPWM信号とするが、これに限らず、電源装置5に調光率を伝えることができる信号形式であれば足りる。
【0100】
2CH制御は、2つの信号を用いて行う制御である。一例として、光源部41が調光及び調色が可能な場合に、ドングル801は、調光信号を用いて電源装置5に調光の指示を行い、もう1つの信号(調色信号)を用いて電源装置5に調色の指示を行う制御である。調光に関しては、上述の1CH制御と同様である。
【0101】
調色について、ドングル801は、より具体的には、端子75aを用い、光源部41が点灯すべき色を示す調色信号を電源装置5に送信する。電源装置5は、受信する調色信号により示される色で点灯するよう光源部41を制御する。
【0102】
調色信号は、1例としてPWM信号とするが、これに限らず、電源装置5に点灯すべき色を伝えることができる信号形式であれば足りる。
【0103】
3CH制御は、3つの信号を用いて行う制御であるが、本実施形態では、3つの信号を用いて伝送すべきデータを、1つのシリアル信号に含めて伝送することで3CH制御を実現している。なお「3CH制御」と称してはいるが、必要な信号が4つ以上であってもシリアル信号に含めて送信することができるので、3CHの制御に限らず、4CH以上を制御対象とする、より複雑な制御を行うこととしてもよい。また、3CH制御について、シリアル信号を用いることとしたが、制御に必要な信号を送信できれば足り、他の形式の信号を用いることとしてもよく、例えば、1つの信号線に、複数の信号を時分割多重して送信することとしてもよい。
【0104】
3CH制御の一例としては、光源部41が、青白色LED、赤色LED及び黄白色LEDの3色のLEDからなる場合に、ドングル801は、各色LEDについての調光率を指示する構成がある。仮に、3色それぞれのLEDに調光信号を別個の信号線で送る構成とすれば3CHが必要となるが、ドングル801では、上述のように、3色それぞれについての調光信号を1つのシリアル信号に含めて端子75dから送信することにより、1つの制御信号で3色分の調光率を光源部41に伝えている。そして、電源装置5側で、シリアル信号から各色の調光率を取り出し、それぞれのLEDを受信した調光率になるよう光源部41を制御する。
【0105】
図11及び図12は、ドングル801が備えるDS811に設定されたDS設定値(図11中のDS設定値)と、設定される色温度及び調光率と、照明制御信号との対応を表すDS設定値-信号対応表を示す図である。図11(a)、図11(b)、図12(a)、及び図12(b)に示す表は、1つの表である。すなわち、図11(a)の表の下端は図11(b)の表の上端に連続し、図11(b)の表の下端は図12(a)の表の上端に連続し、図12(a)の表の下端は図12(b)の表の上端に連続する。
【0106】
図11及び図12のDS設定値-信号対応表は、2CH制御及び3CH制御に対応している。2CH制御の場合、DS設定値-信号対応表には、「信号」列にPWMと記載されているが、実際には、予め規定されている2つのPWM信号(PWM1及びPWM2)のデューティー比が記載されている。2CH制御の場合、「色温度」列に記載の色温度、「調光率」列に記載の調光率を実現するための2つのPWM信号(PWM1及びPWM2)を用いた制御を行う。
【0107】
例えば、DS設定値が、00000000の場合に、デューティー比が100%のPWM信号(PWM1)と、デューティー比が0%のPWM信号(PWM2)を用いて制御することで、DS設定値-信号対応表に示すように、色温度が2700Kとなり、調光率が100%となる。
【0108】
DS設定値が、01011000以降は、シリアル通信による3CH制御に対応している。シリアル通信には、対応する色温度、調光率を実現する、青白色LED、赤色LED及び黄白色LEDそれぞれについての調光率を示すデータが含められる。
【0109】
例えば、DS設定値が01011000の場合、光源部41が全体として、色温度が1800K、調光率が100%となるよう発光するための、青白色LED、赤色LED及び黄白色LEDそれぞれの調光率を示すデータが、シリアル通信により送信されることを示している。なお、図11図12のDS設定値-信号対応表では、「シリアル通信」と記載するのみで、送信するデータの具体例を逐一記載することはしていないが、実際には、送信すべきシリアル通信のデータが記載される。シリアル通信で送信されるデータは、シリアル通信を受信する電力供給部54の仕様に従う。
【0110】
以上説明したように、ドングル801は、設定されるDS設定値に対応づけられた、PWM信号、及びシリアル信号から選択される信号を用いて、光源部41の調光、調色の制御を行う。
【0111】
ここで、DS設定値-信号対応表は、記憶部714に記憶されている。制御部712は、DS811に設定されるDS設定値を取得し、記憶部714に記憶されているDS設定値-信号対応表を参照し、DS設定値に対応する信号を、電源装置5に対して出力する。
【0112】
なお、DS設定値-信号対応表は、記憶部714に単独で記憶されている必要はなく、制御部712を動作させるための制御プログラムに組み込まれているものとしてもよい。
【0113】
なお、上述の例では、DS設定値-信号対応表には、2CH制御のための信号、3CH制御のための信号について記載していたが、これに限らず、1CH制御のための信号についても記載されていてもよいし、3CH以上の制御を行うための信号についても記載されていてもよい。DS設定値-信号対応表には、光源部41を制御するための仕様に応じ、必要な信号とDS設定値との対応づけを記載してよい。例えば、DS設定値は、光源部41を点滅させる点滅制御に対応づけられていてもよいし、光源部41を点灯させる色を時間の経過とともに変化させる制御に対応付けられていてもよい。
【0114】
また、DS設定値-信号対応表は、記憶部714に記憶されている場合には、記憶部714の記憶内容を書き換えることによって、その内容を変更可能である。DS設定値-信号対応表が記憶部714に記憶されている制御プログラムに組み込まれている場合には、記憶部714に記憶された制御プログラムの内容を書き換えることにより、DS設定値-信号対応表の内容を書き換えることが可能である。
【0115】
すなわち、DS設定値-信号対応表を書き換えることで、DS設定値に応じてドングル801から出力される信号を変更することが可能である。これにより、制御対象が制御仕様の異なる光源部41に変更される場合など、制御に必要な信号を変更する必要が生じたとしても、DS設定値-信号対応表を書き換えることで、ドングル801による制御が可能になる。
【0116】
<5.変形例>
以上、本発明に係る照明システムの実施形態を説明したが、例示した照明システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明システムに限られないことは勿論である。
【0117】
(1)上述の実施形態では、照明器具2は、器具本体4と電源装置5とを別個の構成(電源外付型)としたが、これに限らず、器具本体4が電源装置5を内蔵する構成(電源内蔵型)であってもよい。
【0118】
(2)上述の実施形態では、光源部41は、LEDで構成することとしたが、これに限らず照明用の光源として機能すれば足り、有機EL(Electro Luminescence)デバイスなどLED以外で構成されていてもよい。
【0119】
(3)上述の実施形態では、DS73は、一例として6ビットの値を表すこととしているが、これに限るものではなく、5ビット以下の値を表すディップスイッチでもよいし、7ビット以上の値を表すディップスイッチでもよい。また、DS73は、ディップスイッチに限らず、設定値をユーザが入力できれば足り、例えばロータリースイッチなど他のスイッチであってもよい。必要な、色温度、調光率、ID、パスワードなどの内容の数に応じて、ディップスイッチ、DS設定値の桁数を変更してよい。
【0120】
また、DS設定値の全てに対し、色温度、調光率、ID、パスワードなどの内容を割り当ててもよいし、DS設定値の一部に内容を割り当てて、使用しないDS設定値があってもよい。
【0121】
(4)照明器具2は、調光制御及び調色制御の双方が可能であるとしたが、いずれか一方が可能であってもよい。
【0122】
(5)第2の実施形態では、照明制御装置9は、照明器具2a等と直接的に無線通信を行い制御することとしたが、これに限らず、照明制御装置9が照明器具2a等を制御できれば足り、例えば、照明制御装置9と照明器具2a等との間に、ゲートウェイを備えることとしてもよい。
【0123】
ゲートウェイは、照明制御装置9から無線通信を介して、調光、調色の指示を受信し、受信した指示に従い、無線通信を介して照明器具2a等それぞれについて調光、調色などを行う機能を有する装置である。
【0124】
(6)ドングル7は、BLEのみならず、他の通信仕様に従い通信することとしてもよいし、複数の通信仕様に従った無線通信可能であるとしてもよい。また、これに限らず、例えば異なる通信仕様ごとのドングル7が用意されていることとしてもよい。この場合、使用する通信仕様に応じたドングル7がソケット部53に装着されることで、照明器具2は、その通信仕様に応じた無線通信が可能になる。
【0125】
(7)上述の実施形態で示した各機能構成要素は、その機能を実行する回路として実現されてもよいし、1又は複数のプロセッサにより照明制御プログラムを実行することで実現されてもよい。
【0126】
(8)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【0127】
<6.補足>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明システムの構成及びその変形例と効果について説明する。
【0128】
(1)本発明の一実施形態に係る照明器具は、着脱可能な小型装置を備え、前記小型装置は、ユーザ指示を入力するための操作部を備え、前記操作部に入力されたユーザ指示に応じた発光状態で発光する。
【0129】
この構成によれば、複数の発光状態で発光可能な照明器具を、特定の発光状態で発光する照明器具に簡易に転用できる。
【0130】
(2)また、前記照明器具は、ユーザ指示に応じて複数の発光状態で発光可能であり、前記複数の発光状態は、それぞれ調光率が異なることとしてもよい。
【0131】
この構成によれば、複数の調光率で発光可能な照明器具を特定の調光率で発光する照明器具に簡易に転用できる。
【0132】
(3)また、前記照明器具は、ユーザ指示に応じて複数の発光状態で発光可能であり、前記複数の発光状態は、それぞれ発光色が異なることとしてもよい。
【0133】
この構成によれば、複数の発光色で発光可能な照明器具を特定の発光色で発光する照明器具に簡易に転用できる。
【0134】
(4)また、前記小型装置は、前記操作部としてスイッチを備えることとしてもよい。
【0135】
この構成によれば、スイッチを操作するという簡単な操作で、照明器具の発光状態を所望のものに特定することができる。
【0136】
(5)また、前記照明器具は、光源部と、電源装置とを備え、前記電源装置は、前記小型装置から受信する前記制御信号に応じて前記光源部を発光させ、前記小型装置は、複数の通信方式により制御信号を送信する機能を有し、前記ユーザ指示の内容に対応する通信方式を用いて制御信号を送信することとしてもよい。
【0137】
この構成によれば、小型装置は、複数の通信方式を用いて電源装置を制御することが可能であり、電源装置の制御仕様に柔軟に対応できる。
【0138】
(6)前記小型装置は、ユーザ指示と、通信方式との対応表を保持していることとしてもよい。
【0139】
この構成によれば、小型装置は、電源装置の仕様に応じた制御信号を、ユーザ指示により判断し送信することができる。
【0140】
(7)前記対応表の内容は、前記小型装置の外部から所定の信号を入力することにより変更可能であることとしてもよい。
【0141】
この構成によれば、電源装置に関し、データの内容、通信方式などの仕様が変更される場合にも、対応表の内容を書き換えることで、変更後の仕様に対応し電源装置を制御することができる。
【0142】
(8)本発明の一実施形態に係る照明器具は、照明制御装置の無線通信による指示に基づき発光する照明器具であって、着脱可能で無線通信機能を有する小型装置を備え、前記小型装置は、ユーザ指示を入力するための操作部を備え、複数のユーザ指示それぞれに対応する認証情報を保持しており、前記照明制御装置と無線通信する場合に、前記ユーザ指示に基づく認証情報を用いて、前記照明制御装置を認証する。
【0143】
この構成によれば、照明器具に特定の認証情報により認証するよう指示することができる。
【0144】
(9)また、前記操作部は、ユーザ指示として複数桁の設定値を入力するためのスイッチであり、前記設定値において、前記複数桁を所定の桁数でグループに分けた場合の、一のグループが示す値に対応するユーザ指示の内容は、他のグループが示す値に応じて異なっていることとしてもよい。
【0145】
この構成によれば、スイッチによる設定値に、ユーザ指示の内容を柔軟に割り当て、限られた桁数の設定値を有効に利用できる。
【符号の説明】
【0146】
1 照明システム
2、2a、2b、2c 照明器具
4 器具本体
5 電源装置
7、801 ドングル
9 照明制御装置
11 天井
41 光源部
50 電源本体部
51 電線
53 ソケット部
54 電力供給部
71 筐体
71a 筐体第1部分
71b 筐体第2部分
72 基板部
73a、73b、73c、73d、73e、73f スイッチ
75 端子部
75a、75b、75c、75d、75e 端子
91、712 制御部
92 ROM
93 RAM
94 無線通信部
95 タッチパネル
711 無線部
714 記憶部
715 端子部
730、811 ディップスイッチ
831、832、833、834、835、836 穴部
851、852、853、854、855、856 電極パッド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12