(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014020
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】気泡発生器
(51)【国際特許分類】
B01F 23/20 20220101AFI20220112BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220112BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20220112BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20220112BHJP
E03C 1/084 20060101ALI20220112BHJP
A01G 25/02 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B01F3/04 Z
B01F5/06
B01F15/02 A
E03D9/08 D
E03C1/084
A01G25/02 601Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116135
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】513298239
【氏名又は名称】株式会社ドリームバンク
(74)【代理人】
【識別番号】100167276
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】才藤 清司
【テーマコード(参考)】
2D038
2D060
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
2D038JA00
2D038JF00
2D060CB03
2D060CC03
2D060CD06
4G035AB15
4G035AC26
4G035AC27
4G037AA02
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】気泡発生器の流路内に雑菌や異物が進入することを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】供給された水の中に気泡を発生させる気泡発生器であって、上流側から下流側に向かって流路断面積が小さくなる前記水の流路と、前記流路の出口が開口しており、前記出口よりも大きい流路断面積を有する弁室と、前記弁室において前記出口を封止するように配置され、前記流路から前記弁室に向かう前記水の圧力により前記出口を開放する弁体と、を備える、気泡発生器。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水の中に気泡を発生させる気泡発生器であって、
上流側から下流側に向かって流路断面積が小さくなる前記水の流路と、
前記流路の出口が開口しており、前記出口よりも大きい流路断面積を有する弁室と、
前記弁室において前記出口を封止するように配置され、前記流路から前記弁室に向かう前記水の圧力により前記出口を開放する弁体と、
を備える、気泡発生器。
【請求項2】
請求項1記載の気泡発生器であって、さらに、
前記弁室に配置され、前記弁体を前記流路の前記出口に向かって下流側から付勢する付勢部材を備え、
前記弁体は、前記水の圧力を受けたときに、前記付勢部材から付勢力を受けた状態で下流側へと移動して前記出口を開放する、気泡発生器。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の気泡発生器であって、
上流側端部に、前記水の給水栓の吐水口に取り付けられる取付部が設けられている、気泡発生器。
【請求項4】
請求項3に記載の気泡発生器であって、
透水性を有する多孔質部材を備え、前記多孔質部材を通過する前記水に泡沫を発生させる泡沫器具が、前記弁室より下流に配置されている、気泡発生器。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の気泡発生器であって、
ホースが接続されるホース接続部を下流側端部に備える、気泡発生器。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の気泡発生器であって、
トイレの便座に着座している人の局部に洗浄水を噴射する噴射ノズルに組み込まれており、前記洗浄水の中に気泡を発生させる、気泡発生器。
【請求項7】
請求項1または請求項2記載の気泡発生器であって、
洗濯機が有する前記水の供給を受け入れる給水受入部に接続される洗濯機接続部を備え、前記洗濯機に供給される前記水に気泡を発生させる、気泡発生器。
【請求項8】
請求項1または請求項2記載の気泡発生器であって、
シャワーヘッドに前記水を供給するシャワー用ホースに接続されるホース側接続部が上流側端部に設けられ、前記シャワーヘッドが接続されるヘッド側接続部が下流側端部に設けられており、前記シャワーヘッドに供給される前記水に気泡を発生させる、気泡発生器。
【請求項9】
請求項1または請求項2記載の気泡発生器であって、
農作物に供給される用水を送り出すポンプに接続されるポンプ側接続部が上流側端部に設けられ、前記ポンプから送り出された前記用水を前記農作物に供給するための供給路に接続される供給路側接続部が下流側端部に設けられており、前記農作物に供給される前記用水に気泡を発生させる、気泡発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、供給された水に気泡を発生させる気泡発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、微細なサイズの気泡を高濃度で含む水は、生活用水として利用されているほか、工業や、農業、水産業、医療分野等で利用されている。ISO規格(ISO 20480-1:2017)によれば、そうした微細なサイズの気泡のうち、粒径が100μm以下のものは「ファインバブル」と定義される。また、ファインバブルのうち、粒径が1μm以上のものは「マイクロバブル」と定義され、粒径が1μm未満のものは「ウルトラファインバブル」と定義される。ファインバブルは、一般に、発生後、例えば数ヶ月以上の長期間にわたって水の中に存在し続けることができるという特性を有している。
【0003】
ファインバブルの発生方法の一例としては、キャビテーション方式が知られている。キャビテーション方式では、流路断面積が上流から下流に向かって一時的に縮小した後、再び拡大する流路を用いて、水流の速度を一時的に増減させて水の静圧を変化させることにより水中に気泡を発生させる。例えば、下記の特許文献1には、そうしたキャビテーション方式によって、水道水にファインバブルを発生さる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水にファインバブルを発生させる気泡発生器は、例えばシンクや浴室など、種々の雑菌が繁殖しているような場所で用いられる場合がある。そうした雑菌が、跳ね水などによって気泡発生器付近に付着し、気泡発生器の流路内に入り込むと、気泡発生器から流出する水の水質を低下させる原因となり得る。また、そうした雑菌に限らず、気泡発生器内の流路には、水の逆流などにより、微小な異物が入り込む可能性もある。そうした異物の進入は、雑菌の進入と同様に、気泡発生器から流出する水の水質を低下させる原因になり得るし、気泡発生器におけるファインバブルの発生性能を低下させる原因ともなり得る。しかしながら、これまで、気泡発生器の流路内に雑菌や異物が進入することを抑制することについては十分な対策が施されていなかった。また、気泡発生器の技術分野においては、従来から、より簡素な構成でファインバブルの発生性能を高めたいとの要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本開示の一形態は、供給された水の中に気泡を発生させる気泡発生器であって、上流側から下流側に向かって流路断面積が小さくなる前記水の流路と、前記流路の出口が開口しており、前記出口よりも大きい流路断面積を有する弁室と、前記弁室において前記出口を封止するように配置され、前記流路から前記弁室に向かう前記水の圧力により前記出口を開放する弁体と、を備える、気泡発生器として提供される。
この形態の気泡発生器によれば、流路に所定の圧力の水が流入するまでは、弁体によって流路の出口が封止された状態となっている。そのため、気泡発生器の出口側から流路内へと雑菌や異物などが入り込むことを抑制できる。また、気泡発生器に水が供給されて、弁体が流路の出口を開放し、流路の出口から弁室へと水が流出する際には、流路と弁室における流路断面積の変化によってキャビテーションが生じ、水にファインバブルを含む気泡を発生させることができる。加えて、弁室での弁体による流路断面積の縮小に伴うキャビテーションの発生や、水の弁体への衝突によって発生する乱流によって、ファインバブルの発生が促進されるため、気泡発生器のファインバブルの発生性能を高めることができる。
(2)上記形態の気泡発生器は、さらに、前記弁室に配置され、前記弁体を前記流路の前記出口に向かって下流側から付勢する付勢部材を備え、前記弁体は、前記水の圧力を受けたときに、前記付勢部材から付勢力を受けた状態で下流側へと移動して前記出口を開放してよい。
この形態の気泡発生器によれば、付勢部材を用いて、流路の出口の弁体による開閉機構を簡易に構成することができる。また、この形態の気泡発生器によれば、流路から弁室へと水が流入する際に、付勢部材の弾性力によって弁体を水流の中で振動させることができる。よって、この弁体の振動によって生じる乱流により、ファインバブルの発生がさらに促進されるため、気泡発生器のファインバブルの発生性能を、より一層、高めることができる。
(3)上記形態の気泡発生器において、上流側端部に、前記水の給水栓の吐水口に取り付けられる取付部が設けられてよい。
この形態の気泡発生器によれば、水の給水栓への取り付けを容易化することができる。
(4)上記形態の気泡発生器において、透水性を有する多孔質部材を備え、前記多孔質部材を通過する前記水に泡沫を発生させる泡沫器具が、前記弁室より下流に配置されてよい。
この形態の気泡発生器によれば、流路および弁室においてファインバルブを発生させた水に、泡沫器具によって、さらに泡沫を発生させることができる。これにより、気泡発生器から吐出される水の体積を泡沫の分だけ増大させることができる。よって、給水栓から吐出される水の量を低減させることができ、節水効果を得ることができる。また、泡沫によって気泡発生器から吐出される水の勢いが和らぐため、気泡発生器から吐出された水の飛び跳ねを抑制することができる。よって、そうした水の飛び跳ねによる水の浪費が抑制され、節水効果を得ることができる。さらに、泡沫器具によって、気泡発生器から吐出される水に、様々な粒径を有するファインバブルを発生させることができる。
(5)上記形態の気泡発生器は、ホースが接続されるホース接続部を下流側端部に備えてよい。
この形態の気泡発生器によれば、気泡発生器へのホースの接続が容易化される。よって、ファインバブルを発生させた水をホースによって離れた場所へと導くことが容易になる。また、この形態の気泡発生器によれば、ホース内の雑菌や藻類などの異物が、ホース内に残っている水の逆流などにより、気泡発生器の流路内へと入り込むことを、弁体による流路の出口の封止によって抑制することができる。
(6)上記形態の気泡発生器は、トイレの便座に着座している人の局部に洗浄水を噴射する噴射ノズルに組み込まれており、前記洗浄水の中に気泡を発生させてよい。
この形態の気泡発生器によれば、洗浄水にファインバブルを発生させることができるため、洗浄水による洗浄効果を高めることができる。また、弁体による流路の出口の封止によって、便器内の雑菌や異物が気泡発生器の流路内に入り込むことを抑制できる。
(7)上記形態の気泡発生器は、洗濯機が有する前記水の供給を受け入れる給水受入部に接続される洗濯機用接続部を下流側端部に備え、前記洗濯機に供給される前記水に気泡を発生させてよい。
この形態の気泡発生器によれば、洗濯機の給水経路への取り付けを容易化することができる。よって、洗濯機で用いられる水にファインバブルを発生させることが容易になり、洗濯機による衣類等の洗浄性能を高めることができる。また、弁体による流路の出口の封止によって、洗濯機に水が供給されていない間に、洗濯機の雑菌や異物が気泡発生器の流路内に入り込むことを抑制できる。
(8)上記形態の気泡発生器は、シャワーヘッドに前記水を供給するシャワー用ホースに接続されるホース側接続部が上流側端部に設けられ、前記シャワーヘッドが接続されるヘッド側接続部が下流側端部に設けられており、前記シャワーヘッドに供給される前記水に気泡を発生させてよい。
この形態の気泡発生器によれば、シャワーヘッドへの取り付けを容易化できる。よって、シャワーヘッドから流出する水にファインバブルを発生させることが容易になる。また、弁体による流路の出口の封止によって、シャワーヘッドを通じて雑菌や異物が気泡発生器の流路内に入り込むことを抑制できる。
(9)上記形態の気泡発生器は、農作物に供給される用水を送り出すポンプに接続されるポンプ側接続部が上流側端部に設けられ、前記ポンプから送り出された前記用水を前記農作物に供給するための供給路に接続される供給路側接続部が下流側端部に設けられており、前記農作物に供給される前記用水に気泡を発生させてよい。
この形態の気泡発生器によれば、農作物に供給される用水の供給経路への取り付けを容易化できる。よって、農作物に供給される用水にファインバブルを発生させることが容易になる。また、弁体による流路の出口の封止によって、用水の供給経路の雑菌や異物が気泡発生器の流路内に入り込むことを抑制できる。
【0008】
本開示の技術は、気泡発生器以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、気泡発生方法や、気泡発生器を備えるトイレ用の洗浄ノズル、ホースおよびホースリール、洗濯機、シャワーヘッド、農業用水の供給システム、気泡発生器を備えるその他の水処理システム、水に気泡を発生させる流路構造等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態の気泡発生器の概略分解斜視図。
【
図3】第1実施形態の弁ユニットの概略分解斜視図。
【
図5】第1実施形態の気泡発生器におけるファインバブルの発生メカニズムを説明するための概略図。
【
図6】気泡のサイズごとの濃度分布を調べた実験結果を示す説明図。
【
図8】第2実施形態の気泡発生器の概略分解斜視図。
【
図10】気泡のサイズごとの濃度分布を調べた実験結果を示す説明図。
【
図11】第3実施形態の気泡発生器およびそれが接続されるホースリールを示す概略図。
【
図12】第4実施形態の気泡発生器が用いられているトイレを示す概略斜視図。
【
図13】第5実施形態の気泡発生器およびそれが接続される洗濯機を示す概略図。
【
図14】第6実施形態の気泡発生器が用いられているシャワーの概略分解図。
【
図15】第7実施形態の気泡発生器を備える農業用水の供給システムの構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における気泡発生器10Aを示す概略側面図である。
図2は、気泡発生器10Aの概略分解斜視図である。
図3は、気泡発生器10Aが備える弁ユニット15の概略分解斜視図である。
図4は、
図1に示す4-4切断における気泡発生器10Aの概略断面図である。
図1~
図4にはそれぞれ、気泡発生器10Aの中心軸CXが一点鎖線によって図示されている。
【0011】
第1実施形態の気泡発生器10Aは、
図1に示すように、給水栓100の吐水口101に取り付けられ、吐水口101から吐出される水にファインバブルを発生させる。第1実施形態では、給水栓100は上水道に接続されており、吐水口101から吐出される水は水道水である。なお、給水栓100は上水道に接続されていなくてもよく、例えば井戸などの上水道以外の水源に接続され、水道水以外の水を吐出してもよい。
【0012】
気泡発生器10Aは、円筒状の形状を有しており、一端が給水栓100における吐水口101に接続され、他端からファインバブルを発生させた水を流出する。以下では、気泡発生器10Aにおいて、水の供給源に接続されている一端側を「上流」と呼び、ファインバブルを発生させた水を流出する他端側を「下流」と呼ぶ。
【0013】
図2に示すように、気泡発生器10Aは、本体筒部11と、弁ユニット15と、パッキン17と、弁ユニット保持部材18と、を備える。本体筒部11は、円筒状の部材によって構成され、気泡発生器10Aの本体部を構成する。本体筒部11は、例えば、快削黄銅などの金属材料によって構成される。本体筒部11は、他の金属材料や樹脂材料によって構成されてもよい。なお、本体筒部11の下流端には、他の給水用の器具を取り付けるためのネジ部12が設けられている。ネジ部12は省略されてもよい。
【0014】
図4に示すように、本体筒部11の筒内には、取付部20と、流路21と、弁ユニット配置部25とが中心軸CX上に上流から下流へと順に設けられている。なお、取付部20と流路21と弁ユニット配置部25のそれぞれの中心軸は、気泡発生器10Aの中心軸CXと一致する。
【0015】
取付部20は、本体筒部11の上流側の端部に設けられ、給水栓100の吐水口101に取り付けられる部位であり、給水栓100から供給される水を受け入れる入口として機能する。
図2および
図4に示すように、取付部20の内周面には、吐水口101の外周に設けられている、図示しないネジ部に螺号するネジ溝27が設けられている。吐水口101は、取付部20に挿入されてネジ締めにより固定される。
【0016】
図1および
図2に示すように、取付部20の外周を囲む側面には、縦に並列に延びる複数の縦溝28が全周にわたって配列されている。縦溝28は、気泡発生器10Aを吐水口101に取り付ける際に滑り止めとして機能する。縦溝28は省略されてもよい。
【0017】
図4に示すように、流路21は、取付部20の下流側に設けられている。流路21の入口22は、取付部20の底部において開口しており、出口23は、弁ユニット配置部25において開口している。流路21は、上流から下流に向かって流路断面積が小さくなる構成を有している。第1実施形態では、流路21は、円形断面形状を有しており、上流から下流に向かって開口径が縮小するテーパ状の流路として構成されている。
【0018】
流路21は、所定の圧力で流路21に流れる水に、キャビテーションによりファインバブルが発生する寸法で構成されている。所定の圧力は、例えば、0.1~0.6MPa程度としてよい。また、流路21の寸法としては、例えば、流路21の入口22の開口径を5~20mm程度とし、出口23の開口径を1~8mm程度とし、流路21の中心軸CXに沿った方向における長さを8~18mm程度としてもよい。また、流路21は、その入口22と出口23の開口径の差と流路21の長さとの比の値が、0.5~1.0程度となるように構成されてもよい。
【0019】
弁ユニット配置部25は、流路21の下流端に接続された円柱状の空間によって構成されている。流路21の出口23は、弁ユニット配置部25の上流端に位置する上面における中央において開口している。弁ユニット配置部25の下流端は全体的に開口している。弁ユニット配置部25には、その下流端における開口から後述する弁ユニット15が収容される。
【0020】
図2および
図4を参照して、パッキン17および弁ユニット保持部材18について説明する。
図2に示すように、パッキン17は、円環状のゴム部材によって構成される。気泡発生器10Aが給水栓100に取り付けられるときに、パッキン17は、
図4に示すように、取付部20内における流路21手前の底部において流路21の入口22を囲むように配置される。パッキン17は、給水栓100の吐水口101の先端面に当接して圧縮され、吐水口101と流路21との間を水密かつ気密にシールする。パッキン17は、吐水口101から吐出された水が気泡発生器10Aの外部へと漏洩することを抑制する。また、吐水口101から流路21へと流入する水に外気が混入することを抑制する。
【0021】
弁ユニット保持部材18は、
図2に示すように、円環の一部を欠いたC字状の形状を有しており、その径方向への弾性変形が可能である。弁ユニット保持部材18は、例えば、ステンレス(登録商標)によって構成される。
図4に示すように、弁ユニット保持部材18は、弁ユニット配置部25に弁ユニット15が収容された後、弁ユニット配置部25における下流側端部の内周面に設けられた円環状の溝部29に嵌めこまれる。弁ユニット保持部材18は、弁ユニット15の下流側端部の周縁部を支持し、弁ユニット15が弁ユニット配置部25から脱落することを抑制する。
【0022】
気泡発生器10Aによれば、弁ユニット配置部25への弁ユニット15の取り付けにより、以下に説明する弁体35によって実現される逆止弁機構を流路21の下流に簡易に設けることができる。これにより、気泡発生器10Aの製造効率が高められている。
【0023】
図3および
図4を参照して、弁ユニット15の構成を説明する。弁ユニット15は、上述したように、円柱形状を有している。弁ユニット15の内部には、以下に説明するリフト式の逆止弁機構が構成されている。弁ユニット15は、ケーシング30と、弁体35と、付勢部材36と、支持部材38と、を備えている。
【0024】
ケーシング30は、中空円筒状の部材であり、例えばポリアセタールなどの樹脂材料によって構成される。ケーシング30は、
図4に示すように、弁ユニット配置部25の内壁面に密着する寸法を有している。ケーシング30の内部空間は、円柱形状を有しており、弁体35が収容される弁室31を構成する。
【0025】
ケーシング30の上流側端部に位置する上面中央には、弁室31に連通する円形状の導入口32が開口している。気泡発生器10Aの流路21の出口23は、導入口32の中央に位置しており、導入口32を介して弁室31において開口している。導入口32の開口面積は、流路21の出口23より大きい。また、中心軸CXに垂直な断面における弁室31の断面積は、流路21の出口23の開口面積より大きい。つまり、流路21から弁室31へと水が流れるときの流路21の出口23における流路断面積は、弁室31における流路断面積よりも大きい。
【0026】
ケーシング30の外周側面には、上流側端部に寄った位置に、弁室31の外周を囲む円環状の溝が設けられており、その溝内に、円環状のゴム部材によって構成された内部パッキン33が配置されている。内部パッキン33は、弁ユニット15が弁ユニット配置部25内に取り付けられたときに、圧縮された状態で本体筒部11の内壁面に密着する。内部パッキン33は、本体筒部11と弁ユニット15との間の隙間から水が漏洩することを抑制する。また、内部パッキン33は、本体筒部11と弁ユニット15との間の隙間から外気が流路21および弁室31へと進入することを抑制する。
【0027】
ケーシング30の下流端は全体的に開口している。弁体35は、ケーシング30の下流端におけるその開口部を通じて弁室31に収容される。弁体35は、弁室31において、中心軸CXに沿って移動することにより導入口32を開閉する。弁体35は、例えばポリアセタールなどの樹脂材料によって構成される。第1実施形態では、弁体35は、弁部40と、弁軸43と、を備える。
【0028】
弁部40は、弁体35の上流側端部に設けられた傘状に広がる円柱形状を有する部位である。弁部40の直径は、ケーシング30の導入口32の開口径より大きい。弁部40の上面部における周縁端部には、径方向外方に向かって下降傾斜する傾斜面44が設けられている。また、傾斜面44より下流の外周側面には、シール部材45が取り付けられている。シール部材45は、円環状のゴム部材によって構成され、弁部40の外周側面に設けられた周状の括れ部に嵌め込まれている。
【0029】
弁部40の下流端部における外周側面には、複数の側方突起部46が設けられている。複数の側方突起部46は、弁部40の周方向に配列されている構造物であり、シール部材45より下流に設けられている。各側方突起部46は、弁部40の外周側面から径方向に突起している。第1実施形態では、弁部40には、4つの側方突起部46が設けられており、互いに直交する4方向に突起している。各側方突起部46の先端は、弁室31の側壁面の手前まで延び出ている。各側方突起部46によって、弁室31内での弁部40の中心軸CXに沿った方向への移動がガイドされる。
【0030】
弁軸43は、円柱軸状の部位であり、弁部40の下面中央から中心軸CXに沿って延び出ている。弁軸43は、弁部40を支持する支持軸として機能する。弁軸43の周りには付勢部材36が配置される。
【0031】
支持部材38は、弁ユニット15の下流側端部を構成する部材であり、例えばポリアセタールなどの樹脂材料によって構成される。支持部材38は、ケーシング30の弁室31に収容されている弁体35および付勢部材36を支持する。
【0032】
支持部材38は、ケーシング30の下流側端部の開口部に嵌めこまれる環状部47と、環状部47の中央に設けられている円筒状の筒状部48と、環状部47と筒状部48とを連結する複数の連結軸49と、を備える。環状部47は、その上流側端部がケーシング30の下流側端部の開口部内に嵌め込まれることにより、ケーシング30の下流側端部に固定される。
【0033】
筒状部48は、その中央に中心軸CXに沿った貫通孔を有している。弁体35の弁軸43は、筒状部48におけるその貫通孔内に挿通される。弁軸43と筒状部48との間には、わずかな隙間が形成されている。これにより、中心軸CXに沿った弁軸43の移動が許容される。また、弁軸43を中心とする弁体35の回転が許容される。筒状部48は弁軸43の中心軸CXに沿った方向における往復移動をガイドする。
【0034】
複数の連結軸49は、筒状部48の周囲に放射状に配列されている。弁室31に流入した水は、連結軸49同士の間の空間を通じて、弁室31の下流端から流出する。上述したように、弁軸43の周囲には付勢部材36が配置される。付勢部材36は、コイルスプリングによって構成される。付勢部材36は、複数の連結軸49の上に配置され、連結軸49に支持された状態で弁部40の下面に当接し、弁体35に、下流側から上流側へと向かう付勢力を付与する。
【0035】
図4に示すように、弁ユニット15では、弁体35は、付勢部材36から付与される付勢力によって、弁部40がケーシング30の上流側端部へと押し付けられた状態で保持される。この状態では、弁部40の傾斜面44が導入口32の内周縁部に当接し、シール部材45が、導入口32の内周縁部より下流に設けられている傾斜内壁面50に当接することによって導入口32が閉塞される。傾斜内壁面50は、弁室31の内壁面の一部であり、中心軸CXを囲むように周状に形成され、中心軸CXの方に向き、かつ、下流を向くように傾斜している。弁体35の弁部40は、導入口32を通じて水の圧力を受けると、導入口32から離れるように下流側へと移動し、導入口32を開放する。
【0036】
気泡発生器10Aによれば、弁体35が逆止弁として機能する弁ユニット15を備えていることにより、流路21に水が流入していない状態では、弁ユニット15の弁体35によって流路21の出口23が封止された状態となる。また、給水栓100が開かれ、流路21に水が流入したときには、その水の圧力により、弁体35が流路21の出口23から離れるように移動し、流路21の出口23が開放される。
【0037】
シンクや浴室などの給水栓100が設置されているような場所には、多くの場合、種々の雑菌が存在する。そうした雑菌は、跳ね水などにより、給水栓100の吐水口101付近に付着する可能性がある。気泡発生器10Aによれば、上記のように給水栓100が閉じられている不使用時には、弁体35によって流路21が封止されるため、そうした雑菌が、気泡発生器10Aの下流端から流路21へと進入することが抑制される。よって、気泡発生器10Aから吐出される水の水質が雑菌によって低下することが抑制され、水の衛生面を保つことができる。また、給水栓100が閉じられている不使用時に弁体35によって流路21が封止されていれば、気泡発生器10Aの下流端から微細な異物が気泡発生器10Aの流路21に進入することが抑制される。そのため、流路21にそうした異物が進入することによって、気泡発生器10Aから吐出される水の水質が低下することや、後述する気泡発生器10Aにおけるファインバブルの発生性能が低下することが抑制される。気泡発生器10Aによれば、弁体35は、弁部40の傾斜面44とその下流のシール部材45とによって、流路21の出口23は二重に封止される。これにより、流路21への雑菌や異物の進入がさらに抑制される。
【0038】
以下に説明するように、気泡発生器10Aにおいて流路21の下流に設けられている弁体35は、ファインバブルの発生性能の向上にも寄与する。
【0039】
図5を参照して、気泡発生器10Aにおけるファインバブルの発生メカニズムを説明する。
図5は、
図4と同様な概略断面図であり、流路21に水が流れ、弁体35が流路21の出口23を開放した状態にある気泡発生器10Aを示している。なお、
図5には、便宜上、弁体35が流路21の出口23を閉塞しているときの弁体35の位置が破線で図示されている。
【0040】
上述したように、給水栓100が開かれ、吐水口101から流路21に水が流入すると弁体35が下流に移動し、流路21の出口23が開放される。流路21は上流から下流に向かって流路断面積が小さくなる構成を有しているため、流路21内では、ベルヌーイの定理に従って、下流ほど水の流速が増大して水の静圧が急激に低下する。この静圧の急激な低下により、キャビテーションが発生する。流路断面積が最小に絞られた流路21の出口23を通じて流路断面積がその出口23よりも大きい弁室31へと水が流出するときには、水の流速が低下して水の静圧が急激に増大し気泡が収縮する。これによって、水中にファインバブルが発生する。
【0041】
気泡発生器10Aでは、弁室31において水が弁室31の内壁面と弁体35の弁部40との間の隙間を通過する際にもキャビテーションが発生する。また、気泡発生器10Aでは、水が弁体35へ衝突することにより、流路21および弁室31内に激しい乱流が発生する。この乱流の発生によってもファインバブルの発生が促進されるため、気泡発生器10Aにおけるファインバブルの発生性能が高められる。
【0042】
さらに、気泡発生器10Aでは、弁体35は、水の圧力により流路21の出口23を開放した後に、付勢部材36の弾性力により水流の中で微振動する。この弁体35の微振動によっても流路21および弁室31内で乱流が引き起こされるため、流路21および弁室31内でのファインバブルの発生がさらに促進される。
【0043】
また、気泡発生器10Aでは、弁室31内において水は、弁部40の側方突起部46同士の間の隙間を通って下流へと流れる。このとき、側方突起部46がプロペラとして機能することにより、弁体35は弁軸43を中心として回転する。これにより、弁室31内に水の旋回流が生じ、ファインバブルの発生がさらに促進される。
【0044】
気泡発生器10Aでは、弁体35の弁部40の上端周縁部には傾斜面44が形成されている。この傾斜面44によって水が円滑に誘導されて流れるため、弁室31内での流路抵抗の増大が抑制される。よって、気泡発生器10Aにおける圧力損失の増大が抑制される。
【0045】
図6は、気泡発生器10Aから吐出された水に含有される気泡のサイズごとの濃度分布を調べた実験結果を示す説明図である。
図6には、気泡のサイズを横軸とし、水1mL当たりに含まれる気泡の個数濃度を縦軸とするグラフが示されている。気泡のサイズは、気泡の粒子径に相当する。実線グラフは、給水栓100に接続された気泡発生器10Aから吐出された水における気泡の濃度分布を示している。破線グラフは、気泡発生器10Aを通過させることなく、給水栓100から吐出させた原水における気泡の濃度分布を示している。ここでの「原水」とは、ファインバブルを発生さていない水を意味しており、水道水の原材料となる水を意味する「原水」とは異なる概念を示している。この実験結果が示すように、気泡発生器10Aによれば、原水に対して、0.2μm以下の粒径を有するウルトラファインバブルを高濃度で発生させることができる。また、0.1μm前後の粒径を有するウルトラファインバブルをきわめて高い濃度で発生させることができる。
【0046】
以上のように、第1実施形態の気泡発生器10Aによれば、給水栓100の吐水口101への取り付けが容易であり、給水栓100から吐出される水にファインバブルを容易に発生させることができる。また、給水栓100が閉じられて水が吐出されていないときには弁体35が流路21を閉塞するため、給水栓100が閉じられている間に、流路21に雑菌や異物が進入することを抑制できる。また、第1実施形態の気泡発生器10Aによれば、流路21の下流に弁体35を設ける簡素な構成により、ファインバブルの発生性能が高められる。
【0047】
2.第2実施形態:
図7は、第2実施形態における気泡発生器10Bを示す概略側面図である。
図8は、気泡発生器10Bの概略分解斜視図である。
図9は、
図7に示す9-9切断における気泡発生器10Bの概略断面図である。なお。
図9では、便宜上、泡沫発生部材56の断面構造については図示せず、泡沫発生部材56の配置領域にクロスハッチングを付して表示してある。
【0048】
第2実施形態の気泡発生器10Bの構成は、本体筒部11の下流端に泡沫器具55が追加されている点以外は、第1実施形態の気泡発生器10Aとほぼ同じである。泡沫器具55は、通過する水に泡沫(foam)を発生させる。本明細書において「泡沫」とは、ファインバブルよりも大きく、視認が可能なサイズの気泡の集まりを意味する。気泡発生器10Bによれば、ファインバブルを発生させる機構と泡沫を発生させる機構とを給水栓¥に簡易かつコンパクトに一体的に取り付けることができる。
【0049】
図8および
図9に示すように、泡沫器具55は、泡沫発生部材56と、保持部材59と、を備える。
図8に示すように、泡沫発生部材56は、透水性を有する多孔質部材57と、多孔質部材57の側面を覆う外装部材58と、を備える。多孔質部材57は、直径よりも高さが小さい円柱形状を有しており、その内部に、多数の細孔57pが全体にわたって形成されている。細孔57pは、多孔質部材57を通過する水に気体を混合させて泡沫を発生させる微細な流路を構成している。外装部材58は、円筒状の樹脂部材によって構成され、筒内に多孔質部材57を保持する。外装部材58の外周側面には、外気を泡沫器具55内に導入するための隙間を形成する凹部が設けられている。なお、
図9に示すように、多孔質部材57は、その上面の中央がなだらか隆起して外装部材58から突出している。これにより、多孔質部材57の上方から流れてくる水を、外装部材58に接する多孔質部材57の外周縁部にまで行きわたらせることができる。
【0050】
保持部材59は、
図8に示すように、円筒状の部材によって構成されており、
図9に示すように、その筒内に泡沫発生部材56を保持する。保持部材59は、本体筒部11と同様に、快削黄銅などの金属材料によって構成される。
図8に示すように、保持部材59の上流側端部の内周面には、本体筒部11の下流端に設けられているネジ部12に螺号するネジ溝59sが切られている。また、
図9に示すように、保持部材59の上流側端部の内周面には、本体筒部11との境界をシールする円環状のパッキン部材59pが配置されている。
【0051】
気泡発生器10Bによれば、本体筒部11に設けられている弁室31の下流に泡沫器具55が配置されている。本体筒部11内で発生したファインバブルを含有する水は、泡沫器具55の多孔質部材57を通過して、泡沫器具55の下流端の開口から吐出される。泡沫器具55から吐出される水には、ファインバブルに加えて、泡沫器具55の多孔質部材57の内部を通過する際に外気と混合されて発生した泡沫が含有される。
【0052】
図10は、気泡発生器10Bから吐出された水に含有される気泡のサイズごとの濃度分布を調べた実験結果を
図6と同様なグラフによって示す説明図である。実線グラフは、気泡発生器10Bから吐出させた水における気泡の濃度分布を示している。破線グラフは、第1実施形態の気泡発生器10Aから吐出させた水における気泡の濃度分布を示している。この実験結果が示すように、気泡発生器10Bによれば、泡沫器具55によって泡沫を発生させることにより、水に、0.2μm以下の粒径を有するファインバブルに加えて、0.3μmや0.4μmの粒径を有するファインバブルも多数発生させることができる。
【0053】
以上のように、第2実施形態の気泡発生器10Bによれば、泡沫器具55を備えていることにより、ファインバブルを含む水に泡沫を発生させることができる。これにより、気泡発生器10Bから吐出される水の体積を、泡沫の分だけ増大させることができる。よって、給水栓100から吐出される水の量を低減させることができ、節水効果を得ることができる。また、泡沫器具55によって発生する泡沫によって、気泡発生器10Bから吐出される水の水流が和らぐため、気泡発生器10Bから吐出される水の飛び跳ねを抑制することができる。よって、そうした水の飛び跳ねによる水の浪費が抑制され、節水効果を得ることができる。さらに、泡沫器具55によって、気泡発生器10Bから吐出される水に、様々な粒径を有するファインバブルを発生させることができる。その他に、第2実施形態の気泡発生器10Bによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0054】
3.第3実施形態:
図11は、第3実施形態における気泡発生器10Cおよびそれが接続されるホースリール110を示す概略図である。第3実施形態の気泡発生器10Cの構成は、ネジ部12の代わりに、ホース111が接続されるホース接続部60が、下流側端部に設けられている点以外は、第1実施形態の気泡発生器10Aとほぼ同じである。
【0055】
気泡発生器10Cは、ホース接続部60がホース111内に挿入されることによってホース111に接続される。ホース接続部60は、下流端に半球状の先端部61を備えている。ホース接続部60は、先端部61を有することにより、ホース111内への挿入が容易化されている。また、ホース接続部60の外周側面には、ホース111の脱落を抑制するための滑り止めとして機能する周状の溝部62や、径が局所的に大きくなっている鍔部63が形成されている。
【0056】
第3実施形態の気泡発生器10Cによれば、ホース111およびホース111が巻き取られているホースリール110への接続が容易化される。よって、気泡発生器10Cにおいてファインバブルを発生させた水をホース111によって離れた場所へと導くことが容易になり、ファインバブルを含有する水を用いた散水や、洗車を含む洗浄作業が容易化される。また、気泡発生器10Cによれば、弁体35による流路21の出口23の封止によって、給水栓100が閉じられている不使用時に、ホース111内の雑菌や藻類などの異物が、ホース111内に残っている水の逆流により、気泡発生器10Cの流路21内へと入り込むことが抑制される。その他に、第3実施形態の気泡発生器10Cによれば、上記実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0057】
4.第4実施形態:
図12は、第4実施形態における気泡発生器10Dが用いられているトイレ120を示す概略斜視図である。第4実施形態の気泡発生器10Dは、トイレ120の便座121に着座している人の局部に洗浄水を噴射する噴射ノズル122に組み込まれている。噴射ノズル122は、柱状の形状を有しており、便座121より下方の便器124内の空間に延び出るように構成されている。噴射ノズル122の先端部には、洗浄水を噴射する噴射孔123が設けられている。気泡発生器10Dは、噴射ノズル122において、噴射孔123の上流側に位置する洗浄水の供給配管の一部を構成している。
【0058】
第4実施形態の気泡発生器10Dによれば、トイレ120の噴射ノズル122から噴射される洗浄水にファインバブルを発生させることができるため、洗浄水による洗浄効果を高めることができる。また、弁体35による流路21の出口23の封止によって、便器124内の雑菌や異物が気泡発生器10Dの流路21内に入り込むことを抑制できる。その他に、第4実施形態の気泡発生器10Dによれば、上記実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0059】
5.第5実施形態:
図13は、第5実施形態における気泡発生器10Eおよびそれが接続される洗濯機130を示す概略図である。第5実施形態の気泡発生器10Eは、洗濯機130に接続され、洗濯機130での洗濯に用いられる水にファインバブルを発生させる。気泡発生器10Eの上流側端部には、洗濯機130の給水ホース131の先端部が挿入されて接続される給水ホース取付部65が設けられている。気泡発生器10Eの下流側端部には、洗濯機130が有する水の供給を受け入れる給水受入部132に接続される洗濯機用接続部66が設けられている。給水受入部132は、洗濯機130から突出している円筒状のパイプによって構成される。給水受入部132の外周にはネジ溝が設けられている。また、洗濯機用接続部66の内周壁面には、給水受入部132の外周のネジ溝に螺号するネジ溝が設けられている。洗濯機用接続部66は、給水受入部132の挿入を受け入れ、螺号により、給水受入部132に固定される。
【0060】
なお、洗濯機130の給水受入部132は給水ホースに直接的に接続されてもよく、洗濯機用接続部66は、その給水ホースに接続されるように構成されていてもよい。この場合、気泡発生器10Eの上流側端部には、給水ホース取付部65の代わりに給水栓に接続される給水栓取付部が設けられていてもよい。
【0061】
第5実施形態の気泡発生器10Eによれば、洗濯機130の給水経路への取り付けが容易化される。よって、洗濯機130で用いられる水にファインバブルを発生させることが容易にでき、洗濯機130による衣類等の洗浄性能を高めることができる。また、弁体35による流路21の出口23の封止によって、洗濯機130への水の供給が停止されている間に、洗濯機130の雑菌や異物が気泡発生器10Eの流路21内に入り込むことが抑制される。その他に、第5実施形態の気泡発生器10Eによれば、上記実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0062】
6.第6実施形態:
図14は、第6実施形態における気泡発生器10Fが用いられているシャワー140の概略分解図である。第6実施形態の気泡発生器10Fは、シャワーヘッド141とシャワー用ホース143との間に取り付けられ、シャワーヘッド141から吐出される水にファインバブルを発生させる。気泡発生器10Fの構成は、シャワーヘッド141およびシャワー用ホース143への接続が可能に構成されている点以外は、第1実施形態の気泡発生器10Aとほぼ同じである。
【0063】
気泡発生器10Fの下流側端部には、シャワーヘッド141の基端部142に接続されるヘッド側接続部68が設けられている。ヘッド側接続部68は、シャワーヘッド141の基端部142が挿入される筒孔によって構成され、その内周面には、シャワーヘッド141の基端部142に設けられたネジ部に螺号するネジ溝が切られている。また、気泡発生器10Fの上流側端部には、シャワー用ホース143に接続されるホース側接続部69が設けられている。ホース側接続部69は、シャワー用ホース143の先端に設けられたシャワーヘッド141を接続するため円筒状の接続金具144に接続される。ホース側接続部69は、接続金具144内に挿入され、接続金具144内に切られているネジ溝に螺号するネジ部によって構成される。
【0064】
第6実施形態の気泡発生器10Fによれば、シャワー140への取り付けが容易化される。よって、シャワーヘッド141から流出する水にファインバブルを発生させることが容易になる。また、弁体35による流路21の出口23の封止によって、シャワーヘッド141を通じて雑菌や異物が気泡発生器10Fの流路21内に入り込むことを抑制できる。その他に、第6実施形態の気泡発生器10Fによれば、上記実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0065】
7.第7実施形態:
図15は、第7実施形態における気泡発生器10Gを備える農業用水の供給システム150の構成を示す概略図である。供給システム150は、農作物の育成に用いられる用水を、温室や田畑などの農作物に供給する。供給システム150は、第7実施形態の気泡発生器10Gに加えて、上流側配管151と、下流側配管152と、ポンプ155と、を備える。
【0066】
上流側配管151は、用水の水源とポンプ155とを接続する配管である。下流側配管152は、農作物の育成場所まで配設されている配管であり、用水を農作物に供給するための供給路に相当する。下流側配管152は、気泡発生器10Gを介してポンプ155に接続されている。ポンプ155によって上流側配管151を通じて水源から汲み上げられた用水は、気泡発生器10Gを通じて下流側配管152へと流入し、下流側配管152によって農作物の育成場所へと導かれて、農作物に供給される。
【0067】
気泡発生器10Gは、ポンプ155から送り出される用水にファインバブルを発生させる。気泡発生器10Gの構成は、ポンプ155の出力ポート156に接続されるポンプ側接続部70が上流側端部に設けられ、下流側配管152に接続される供給路側接続部71が下流側端部に設けられている点以外は、第1実施形態の気泡発生器10Aとほぼ同じである。なお、他の実施形態では、気泡発生器10Gは、下流側配管152の途中に組み込まれるように構成されていてもよい。
【0068】
第7実施形態の気泡発生器10Gによれば、農作物に供給される用水の供給経路への取り付けが容易である。よって、農作物に供給される用水にファインバブルを発生させることが容易になる。また、弁体35による流路21の出口23の封止によって、用水の供給経路の雑菌や異物が気泡発生器10Gの流路21内に入り込むことを抑制できる。さらに、第7実施形態の気泡発生器10Gによれば、用水にファインバブルを発生させるためのガスを混合させる機構を省略できる。その他に、第7実施形態の気泡発生器10Gによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0069】
8.他の実施形態:
本開示の技術は、上述した構成に限定されることはない。例えば、以下のように改変することが可能である。
(1)上記の各実施形態において、弁体35の弁部40における傾斜面44や側方突起部46、弁軸43は省略されてもよい。弁体35による流路21の出口23の開閉機構は、弁軸43を有していない弁部40が付勢部材36によって支持されているのみの構成によって実現されてもよい。
(2)上記の各実施形態において、流路21の出口23を開閉する弁体35は、リフト式逆止弁によって構成されていなくてもよい。弁体35は、例えば、スイング式逆止弁によって構成されてもよい。また、上記の各実施形態において、付勢部材36は省略されてもよく、弁体35は電磁的に駆動することにより流路21の出口23を開閉するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G…気泡発生器、11…本体筒部、12…ネジ部、15…弁ユニット、17…パッキン、18…弁ユニット保持部材、20…取付部、21…流路、22…入口、23…出口、25…弁ユニット配置部、27…ネジ溝、28…縦溝、29…溝部、30…ケーシング、31…弁室、32…導入口、33…内部パッキン、35…弁体、36…付勢部材、38…支持部材、40…弁部、43…弁軸、44…傾斜面、45…シール部材、46…側方突起部、47…環状部、48…筒状部、49…連結軸、50…傾斜内壁面、55…泡沫器具、56…泡沫発生部、57…多孔質部材、57p…細孔、58…外装部材、59…保持部材、59p…パッキン部材、59s…ネジ溝、60…ホース接続部、61…先端部、62…溝部、63…鍔部、65…給水ホース取付部、66…洗濯機用接続部、68…ヘッド側接続部、69…ホース側接続部、70…ポンプ側接続部、71…供給路側接続部、100…給水栓、101…吐水口、110…ホースリール、111…ホース、120…トイレ、121…弁座、122…噴射ノズル、123…噴射孔、124…便器、130…洗濯機、131…給水ホース、132…給水受入部、140…シャワー、141…シャワーヘッド、142…基端部、143…シャワー用ホース、144…接続金具、150…農業用水の供給システム、151…上流側配管、152…下流側配管、155…ポンプ、156…出力ポート、CX…中心軸