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特開2022-140221キャップユニット及びキャップ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140221
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20220915BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65D51/24 700
A47J41/02 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110791
(22)【出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2021039811
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 雄志
(72)【発明者】
【氏名】松山 真
【テーマコード(参考)】
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA26
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB18
3E084DC05
3E084EA03
3E084EC05
3E084FB02
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB17
3E084HA03
3E084HB04
3E084HC03
3E084HD04
3E084KA02
3E084KA19
3E084KB01
4B002AA01
4B002BA01
4B002CA14
4B002CA23
4B002CA34
4B002CA39
(57)【要約】
【課題】容器本体内の圧力が上昇することを防ぎつつ、容易且つ安全に開栓することを可能としたキャップユニットを提供する。
【解決手段】上部が開口した容器本体2Aに対して取り付けられるキャップユニット1Aであって、容器本体2Aの上部開口部2dを覆う外蓋8と、容器本体2Aの上部開口部2dから容器本体2Aの内側に嵌め込まれる内蓋9と、内蓋9の外周部に位置して、容器本体2Aの内側と内蓋9との間を密閉する止水パッキン10とを備え、止水パッキン10は、容器本体2Aの内側から全周に亘って突出された張出部7に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、内蓋9の外周部に設けられたリング状の溝部15に嵌合された状態で、内蓋9に取り付けられており、内蓋9の外周部には、容器本体2A内が所定の圧力まで上昇したときに、容器本体2A内の圧力を開放する圧力開放部20が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を覆う外蓋と、
前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に位置して、前記容器本体の内側と前記内蓋との間を密閉する止水パッキンとを備え、
前記止水パッキンは、前記容器本体の内側から全周に亘って突出された張出部に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記内蓋の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記内蓋に取り付けられており、
前記内蓋の外周部には、前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記容器本体内の圧力を開放する圧力開放部が設けられていることを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
上部が開口した容器本体に対して取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の外側を覆う外蓋と、
前記外蓋の内側の中央部に位置して、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の外周部に位置して、前記容器本体の内側と前記中栓との間を密閉する止水パッキンとを備え、
前記止水パッキンは、前記容器本体の内側から全周に亘って突出された張出部に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記中栓の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記中栓に取り付けられており、
前記中栓の外周部には、前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記容器本体内の圧力を開放する圧力開放部が設けられていることを特徴とするキャップユニット。
【請求項3】
上部が開口した容器本体に対して取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の口頸部に取り付けられると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体に対して螺合により着脱自在に取り付けられると共に、前記通液孔を開閉する蓋体とを備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内筒部と、
前記内筒部の外周部に位置して、前記容器本体の内側と前記内筒部との間を密閉する止水パッキンとを有し、
前記止水パッキンは、前記容器本体の内側から全周に亘って突出された張出部に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記内筒部の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記内筒部に取り付けられており、
前記蓋体は、前記キャップ本体の外側を覆う外蓋と、
前記外蓋の内側の中央部に位置して、前記キャップ本体の内側に嵌め込まれた状態で前記通液孔を閉塞する中栓と、
前記中栓の外周部に位置して、前記キャップ本体の内側と前記中栓との間を密閉する蓋パッキンとを有し、
前記蓋パッキンは、前記キャップ本体の内周面と全周に亘って当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記中栓の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記中栓に取り付けられており、
前記内筒部と前記中栓との少なくとも一方の外周部には、前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記容器本体内の圧力を開放する圧力開放部が設けられていることを特徴とするキャップユニット。
【請求項4】
前記圧力開放部は、前記溝部を介して前記容器本体の内側と連通される凹部又は切欠部を有し、
前記溝部に前記弾性シール部材が嵌合された状態において、前記弾性シール部材が前記溝部と前記凹部又は切欠部との間を遮断しており、
前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記弾性シール部材が弾性変形し、前記溝部と前記凹部又は切欠部との間が連通された状態となることによって、前記容器本体内の圧力が前記凹部又は切欠部から外部へと開放されることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記凹部又は切欠部は、少なくとも前記溝部を形成する上側の側面の一部を凹ませる又は切り欠くように設けられていることを特徴とする請求項4に記載のキャップユニット。
【請求項6】
前記凹部又は切欠部は、前記溝部の周方向に等間隔に並んで設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のキャップユニット。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【請求項8】
前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする請求項7に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体の口頸部に取り付けることによって、容器本体の上部開口部を閉塞するキャップユニット(栓体)を備えたキャップ付き容器がある。また、真空断熱構造を有する容器本体によって保温・保冷機能を持たせたキャップ付き容器がある。例えば、このようなキャップ付き容器では、内蓋及び外蓋を用いて容器本体の上部開口部を密閉する構造が採用されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1,2に記載のキャップ付き容器は、容器本体の上部開口部から容器本体の内側に嵌め込まれた状態で開口部を閉塞する内蓋と、内蓋に取り付けられた状態で容器本体と内蓋との間を密閉する止水パッキンと、容器本体の上部開口部を外側から覆った状態で容器本体に螺合により着脱自在に取り付けられる外蓋とを備えている。外蓋は、容器本体に装着されたときに内蓋と当接されることによって、内蓋の上方側への移動を規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5494717号公報
【特許文献2】特許第5841220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来のキャップ付き容器では、例えば容器本体の内部に高温の内容物を入れたときや、容器本体内の内容物が腐敗してガスが発生したときに、内蓋及び外蓋により密閉された容器本体内の圧力が上昇する(陽圧となる)のに伴って、内蓋が外蓋に押し付けられた状態となる。
【0006】
このとき、容器本体と外蓋との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋を取り外す方向(開栓方向)に回しづらくなることがあった。また、外蓋を取り外す(開栓する)際に、容器本体内の圧力が勢い良く開放されることによって、大きな音が鳴ったり、内蓋が上方側に飛び出したりすることがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、容器本体内の圧力が上昇することを防ぎつつ、容易且つ安全に開栓することを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、更なる使い勝手の向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を覆う外蓋と、
前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、
前記内蓋の外周部に位置して、前記容器本体の内側と前記内蓋との間を密閉する止水パッキンとを備え、
前記止水パッキンは、前記容器本体の内側から全周に亘って突出された張出部に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記内蓋の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記内蓋に取り付けられており、
前記内蓋の外周部には、前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記容器本体内の圧力を開放する圧力開放部が設けられていることを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 上部が開口した容器本体に対して取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の外側を覆う外蓋と、
前記外蓋の内側の中央部に位置して、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、
前記中栓の外周部に位置して、前記容器本体の内側と前記中栓との間を密閉する止水パッキンとを備え、
前記止水パッキンは、前記容器本体の内側から全周に亘って突出された張出部に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記中栓の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記中栓に取り付けられており、
前記中栓の外周部には、前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記容器本体内の圧力を開放する圧力開放部が設けられていることを特徴とするキャップユニット。
〔3〕 上部が開口した容器本体に対して取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の口頸部に取り付けられると共に、前記容器本体の内側と連通される通液孔が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体に対して螺合により着脱自在に取り付けられると共に、前記通液孔を開閉する蓋体とを備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる内筒部と、
前記内筒部の外周部に位置して、前記容器本体の内側と前記内筒部との間を密閉する止水パッキンとを有し、
前記止水パッキンは、前記容器本体の内側から全周に亘って突出された張出部に当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記内筒部の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記内筒部に取り付けられており、
前記蓋体は、前記キャップ本体の外側を覆う外蓋と、
前記外蓋の内側の中央部に位置して、前記キャップ本体の内側に嵌め込まれた状態で前記通液孔を閉塞する中栓と、
前記中栓の外周部に位置して、前記キャップ本体の内側と前記中栓との間を密閉する蓋パッキンとを有し、
前記蓋パッキンは、前記キャップ本体の内周面と全周に亘って当接されるリング状の弾性シール部材からなり、
前記中栓の外周部に設けられたリング状の溝部に嵌合された状態で、前記中栓に取り付けられており、
前記内筒部と前記中栓との少なくとも一方の外周部には、前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記容器本体内の圧力を開放する圧力開放部が設けられていることを特徴とするキャップユニット。
〔4〕 前記圧力開放部は、前記溝部を介して前記容器本体の内側と連通される凹部又は切欠部を有し、
前記溝部に前記弾性シール部材が嵌合された状態において、前記弾性シール部材が前記溝部と前記凹部又は切欠部との間を遮断しており、
前記容器本体内が所定の圧力まで上昇したときに、前記弾性シール部材が弾性変形し、前記溝部と前記凹部又は切欠部との間が連通された状態となることによって、前記容器本体内の圧力が前記凹部又は切欠部から外部へと開放されることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記凹部又は切欠部は、少なくとも前記溝部を形成する上側の側面の一部を凹ませる又は切り欠くように設けられていることを特徴とする前記〔4〕に記載のキャップユニット。
〔6〕 前記凹部又は切欠部は、前記溝部の周方向に等間隔に並んで設けられていることを特徴とする前記〔4〕又は〔5〕に記載のキャップユニット。
〔7〕 前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
〔8〕 前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする前記〔7〕に記載のキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、容器本体内の圧力が上昇することを防ぎつつ、容易且つ安全に開栓することを可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えることによって、更なる使い勝手の向上を可能としたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
図2図1に示すキャップユニット及び容器本体を下方側から見た分解斜視図である。
図3図1に示すキャップユニットが備える内蓋の構成を示す側面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
図5図4に示すキャップユニット及び容器本体を下方側から見た分解斜視図である。
図6図4に示すキャップユニットの構成を示す側面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
図8図7に示すキャップユニット及び容器本体を下方側から見た分解斜視図である。
図9図7に示すキャップユニットが備えるキャップ本体及び止水パッキンを下方側から見た分解斜視図である。
図10図9に示すキャップ本体の構成を示す側面図である。
図11図7に示すキャップユニットが備える蓋体及び蓋パッキンを下方側から見た分解斜視図である。
図12図11に示す蓋体の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図3に示すキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100Aについて説明する。
【0012】
なお、図1は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100Aの構成を示す断面図である。図2は、キャップユニット1A及び容器本体2Aを下方側から見た分解斜視図である。図3は、キャップユニット1Aが備える内蓋の構成を示す側面図である。
【0013】
本実施形態のキャップ付き容器100Aは、図1及び図2に示すように、本実施形態のキャップユニット1Aと、このキャップユニット1Aが着脱自在に取り付けられる容器本体2Aとを備えている。
【0014】
キャップ付き容器100Aは、真空断熱構造を有する容器本体2Aによって、容器本体2Aに収容された飲料物(内容物)を保温することが可能なスープジャー(飲料用容器)である。
【0015】
具体的に、この容器本体2Aは、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。
【0016】
また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面中央部に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0017】
容器本体2Aは、略円形状の底部2aと、底部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2Aの上部開口部2dとして、円形状に開口している。
【0018】
また、口頸部2c(内容器4)の内周面には、雌ネジ部6が設けられている。さらに、雌ネジ部6の下方には、リング状の張出部7が内容器4(容器本体2A)の内周面から全周に亘って突出して設けられている。
【0019】
なお、容器本体2Aについては、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、容器本体2Aの外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2Aの外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0020】
本実施形態のキャップユニット1Aは、図1図3に示すように、容器本体2Aの上部開口部2dを覆う外蓋8と、上部開口部2dから容器本体2Aの内側に嵌め込まれる内蓋9と、内蓋9の外周部に位置して、容器本体2Aの内側と内蓋9との間を密閉する止水パッキン10と、外蓋8の内側の中央部に位置して、内蓋9の内側に嵌め込まれる中栓11と、中栓11の底面中央部に位置して、内蓋9の底面中央部に設けられた通気孔12を閉塞する栓体13とを有している。
【0021】
外蓋8は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、容器本体2Aの胴部2bの外径に合わせて略円筒状に形成された周壁部8aと、周壁部8aの上部を閉塞する上壁部8bとを有している。
【0022】
内蓋9は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、略円形状の底壁部9aと、底壁部9aの外周から略円筒状に起立した周壁部9bとを有している。また、周壁部9bの外周面の上端側には、リング状の上側フランジ部9cが全周に亘って突出して設けられている。
【0023】
周壁部9b(内蓋9)の外周面には、上述した容器本体2A側の雌ネジ部6と螺合される雄ネジ部14が設けられている。キャップユニット1Aでは、これら雌ネジ部6と雄ネジ部14との螺合によって、容器本体2Aに対して内蓋9が着脱自在に取り付けられている。
【0024】
また、雌ネジ部6と雄ネジ部14とは、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、容器本体2Aに対して内蓋9を少ない回転操作(本実施形態では約180°)で着脱することが可能である。
【0025】
止水パッキン10は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどのリング状の弾性シール部材からなる。止水パッキン10は、内蓋9の外周部に設けられたリング状の溝部15に嵌合された状態で、内蓋9に対して着脱自在に取り付けられている。
【0026】
一方、止水パッキン10は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、内蓋9から取り外すことが可能である。これにより、内蓋9と止水パッキン10とをそれぞれ別々に洗浄することができ、内蓋9と止水パッキン10との間を衛生的に保つことが可能である。
【0027】
また、止水パッキン10の外周部には、弾性フランジ部10aが設けられている。弾性フランジ部10aは、止水パッキン10の外周面の上端から下方に向かって湾曲しながら全周に亘って突出された形状を有している。
【0028】
止水パッキン10は、容器本体2Aの内側に内蓋9が嵌め込まれた際に、弾性フランジ部10aが弾性変形しながら容器本体2Aの張出部7と当接することによって、この張出部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2Aの内側と内蓋9との間を止水パッキン10により密閉(止水)することが可能である。
【0029】
中栓11は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、有底略円筒形状を有して、上壁部8b(外蓋8)の下面中央部に溶着等により一体に取り付けられている。中栓11の内側には、断熱層として、例えば発泡ウレタン樹脂などからなる断熱材16が配置されている。また、断熱層としては、上述した断熱材16の代わりに、空気(空隙)であってもよい。
【0030】
周壁部9b(内蓋9)の上部には、周壁部9bの一部を上下方向に切り欠いて形成された弾性クリック部17が設けられている。一方、中栓11の外周面には、内蓋9を嵌め込むための嵌め込み溝18が設けられている。キャップユニット1Aでは、外蓋8に内蓋9を嵌め込む際に、弾性クリック部17が弾性変形しながら嵌め込み溝18に嵌合することで、中栓11に対して内蓋9が着脱自在に取り付けられている。
【0031】
内蓋9には、底壁部9aの中央部分を貫通する円形状の通気孔12が設けられている。一方、中栓11の底面中央部には、この通気孔12を閉塞する栓体13が設けられている。
【0032】
栓体13は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。栓体13は、その中央部分をドーム状に膨出させた突起部13aと、突起部13aの周囲から拡径方向に延長されたフランジ部13bと、突起部13aとは反対側から円筒状に突出された円筒部13cと、円筒部13cの外周面を切り欠くリング状の溝部13dとを有している。
【0033】
一方、中栓11は、その底面中央部に円筒部13cが嵌合される嵌合凹部11aと、嵌合凹部11aの内周面から突出されて溝部13dに嵌合される嵌合凸部11bとを有している。これにより、栓体13は、中栓11の底面中央部に着脱自在に取り付けられている。
【0034】
キャップユニット1Aでは、上述した中栓11に内蓋9が螺合により取り付けられた際に、栓体13の突起部13aが弾性変形しながら、通気孔12の周囲と当接されることによって、通気孔12を閉塞することが可能である。また、キャップユニット1Aでは、中栓11から栓体13を取り外して、中栓11と栓体13を別々に洗浄できるため、これら中栓11と栓体13との間を衛生的に保つことが可能である。
【0035】
ところで、本実施形態のキャップユニット1Aでは、内蓋9の外周部に、容器本体2A内が所定の圧力まで上昇したときに、容器本体2A内の圧力を開放する圧力開放部20が設けられている。
【0036】
なお、容器本体2A内の圧力が上昇する(陽圧となる)場合としては、例えば、容器本体2Aの内部に高温の内容物を入れたときや、容器本体2A内の内容物が腐敗してガスが発生したときなどを挙げることができる。
【0037】
圧力開放部20は、溝部15を介して容器本体2Aの内側と連通される凹部又は切欠部(本実施形態では切欠部)20aを有している。具体的に、この切欠部20aは、内蓋9の外周部のうち、少なくとも溝部15を形成する上側の側面の一部を切り欠くように設けられている。
【0038】
なお、切欠部20aを配置する数については、1つであっても複数であってもよい。切欠部20aを複数配置する場合は、溝部15の周方向に等間隔に並べて配置することが好ましい。また、切欠部20aの周方向における幅は、広すぎると漏れの原因になるため、60°以下の角度範囲で設けることが好ましい。
【0039】
本実施形態のキャップユニット1Aでは、溝部15に止水パッキン10が嵌合された状態において、止水パッキン10が溝部15と切欠部20aとの間を遮断している。また、容器本体2Aの内側と内蓋9との間が止水パッキン10により密閉(止水)された状態となっている。
【0040】
この状態から、容器本体2A内が所定の圧力(例えば、200kPa以上、800kPa以下)まで上昇したときに、止水パッキン10が弾性変形し、溝部15と切欠部20aとの間が連通された状態となる。これにより、容器本体2A内の圧力が切欠部20aから外部へと開放される。
【0041】
なお、切欠部20aを複数配置する場合、周方向における幅の広さをそれぞれ変えることで、止水パッキン10が弾性変形する圧力の設定値を調整することも可能である。
【0042】
一方、容器本体2A内の圧力が開放された後は、止水パッキン10が弾性復帰することで、溝部15と切欠部20aとの間を遮断する。これにより、容器本体2Aの内側と内蓋9との間が再び密閉(止水)された状態となる。
【0043】
したがって、本実施形態のキャップユニット1Aを備えるキャップ付き容器100Aでは、容器本体2A内の圧力上昇に伴って、容器本体2A側の雌ネジ部6と内蓋9側の雄ネジ部14との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋8が開栓方向に回しづらくなるといったことがなく、キャップユニット1Aを容器本体2Aから容易に取り外すことが可能である。
【0044】
さらに、本実施形態のキャップ付き容器100Aでは、容器本体2Aからキャップユニット1Aを取り外す際に、容器本体2A内の上昇した圧力によりキャップユニット1Aが上方側に飛び出すといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0045】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器100Aでは、容器本体2A内の圧力が上昇することを防ぎつつ、キャップユニット1Aを容易に且つ安全に開栓することが可能である。また、止水パッキン10による密閉性を良好に保ちながら、キャップユニット1Aを開栓する際の操作性を向上させることが可能である。したがって、このようなキャップユニット1Aを備えるキャップ付き容器100Aでは、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0046】
なお、本実施形態のキャップユニット1Aでは、上述した容器本体2Aに対して内蓋9が螺合により着脱自在に取り付けられる構成となっているが、容器本体2Aに対して外蓋8が螺合により着脱自在に取り付けられる構成とすることも可能である。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図4図6に示すキャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100Bについて説明する。
【0048】
なお、図4は、キャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100Bの構成を示す断面図である。図5は、キャップユニット1B及び容器本体2Bを下方側から見た分解斜視図である。図6は、キャップユニット1Bの構成を示す側面図である。また、以下の説明では、上記キャップユニット1A及び容器本体2Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0049】
本実施形態のキャップ付き容器100Bは、図4及び図5に示すように、本実施形態のキャップユニット1Bと、このキャップユニット1Bが着脱自在に取り付けられる容器本体2Bとを備えている。
【0050】
キャップ付き容器100Bは、真空断熱構造を有する容器本体2Bによって、容器本体2Bに収容された熱い飲料(内容物)を保温することが可能なタンブラー(飲料用容器)である。
【0051】
具体的に、この容器本体2Bは、上記容器本体2Aよりも胴長且つ上方に向かって漸次拡径された形状を有する以外は、上記容器本体2Aと基本的に同じ構成を有している。
【0052】
本実施形態のキャップユニット1Bは、図4図6に示すように、容器本体2Bの上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット1Bは、容器本体2Bの上部開口部2dを覆った状態で、容器本体2Bに螺合により取り付けられるキャップ本体30を備えている。
【0053】
キャップ本体30は、容器本体2Bの上部開口部2dを覆う外蓋31と、外蓋31の内側の中央部に位置して、上部開口部2dから容器本体2Bの内側に嵌め込まれる中栓32と、中栓32の外周部に位置して、容器本体2Bの内側と中栓32との間を密閉する止水パッキン33とを有している。
【0054】
外蓋31は、例えばポリプロピレンやトライタン(登録商標)等の耐熱性樹脂からなり、外観が容器本体2Bの胴部2bと連続するように略円筒状に形成された周壁部31aと、周壁部30aの上部を閉塞する上壁部31bとを有している。
【0055】
中栓32は、例えばポリプロピレンやトライタン(登録商標)等の耐熱性樹脂からなり、略円形状の底壁部32aと、底壁部32aの周囲から略円筒状に立ち上がる周壁部32bとを有している。
【0056】
中栓32は、外蓋31の内側中央部に位置しており、溶着等により周壁部32bが上壁部31bの下面中央部に一体に取り付けられている。なお、中栓32の内部は、上述した断熱材16を配置した構成に限らず、断熱層となる空気(空隙)が設けられた構成であってもよい。
【0057】
また、周壁部32b(中栓32)の外周面には、容器本体2B側の雌ネジ部6と螺合される雄ネジ部34が設けられている。キャップユニット1Bでは、これら雌ネジ部6と雄ネジ部34との螺合によって、容器本体2Bに対して中栓32(キャップ本体30)が着脱自在に取り付けられている。
【0058】
また、雌ネジ部6と雄ネジ部34とは、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、容器本体2Bに対してキャップ本体30を少ない回転操作(本実施形態では約180°)で着脱することが可能である。
【0059】
止水パッキン33は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどのリング状の弾性シール部材からなる。止水パッキン33は、中栓32の外周部に設けられたリング状の溝部35に嵌合された状態で、中栓32に対して着脱自在に取り付けられている。
【0060】
一方、止水パッキン33は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、中栓32から取り外すことが可能である。これにより、中栓32と止水パッキン33とをそれぞれ別々に洗浄することができ、中栓32と止水パッキン33との間を衛生的に保つことが可能である。
【0061】
また、止水パッキン33の外周部には、上下方向に並ぶ複数(本実施形態では2つ)の弾性フランジ部33aが設けられている。弾性フランジ部33aは、止水パッキン33の外周面から拡径方向に全周に亘って突出された形状を有している。
【0062】
止水パッキン33は、容器本体2Bの内側に中栓32が嵌め込まれた際に、弾性フランジ部33aが弾性変形しながら容器本体2Bの張出部7と当接することによって、この張出部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2Bの内側と中栓32との間を止水パッキン33により密閉(止水)することが可能である。
【0063】
ところで、本実施形態のキャップユニット1Bでは、中栓32の外周部に、容器本体2B内が所定の圧力まで上昇したときに、容器本体2B内の圧力を開放する圧力開放部40が設けられている。
【0064】
圧力開放部40は、溝部35を介して容器本体2Bの内側と連通される凹部又は切欠部(本実施形態では凹部)40aを有している。具体的に、この凹部40aは、中栓32の外周部のうち、少なくとも溝部35を形成する上側の側面の一部を凹ますように設けられている。
【0065】
なお、凹部40aを配置する数については、1つであっても複数であってもよい。凹部40aを複数配置する場合は、溝部35の周方向に等間隔に並べて配置することが好ましい。また、凹部40aの周方向における幅は、広すぎると漏れの原因になるため、60°以下の角度範囲で設けることが好ましい。
【0066】
本実施形態のキャップユニット1Bでは、溝部35に止水パッキン33が嵌合された状態において、止水パッキン33が溝部35と凹部40aとの間を遮断している。また、容器本体2Bの内側と中栓32との間が止水パッキン33により密閉(止水)された状態となっている。
【0067】
この状態から、容器本体2B内が所定の圧力(例えば、200kPa以上、800kPa以下)まで上昇したときに、止水パッキン33が弾性変形し、溝部35と凹部40aとの間が連通された状態となる。これにより、容器本体2B内の圧力が凹部40aから外部へと開放される。
【0068】
なお、凹部40aを複数配置する場合、周方向における幅の広さをそれぞれ変えることで、止水パッキン33が弾性変形する圧力の設定値を調整することも可能である。
【0069】
一方、容器本体2B内の圧力が開放された後は、止水パッキン33が弾性復帰することで、溝部35と凹部40aとの間を遮断する。これにより、容器本体2Bの内側と中栓32との間が再び密閉(止水)された状態となる。
【0070】
したがって、本実施形態のキャップユニット1Bを備えるキャップ付き容器100Bでは、容器本体2B内の圧力上昇に伴って、容器本体2B側の雌ネジ部6と中栓32側の雄ネジ部34との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋31が開栓方向に回しづらくなるといったことがなく、キャップ本体30(キャップユニット1B)を容器本体2Bから容易に取り外すことが可能である。
【0071】
さらに、本実施形態のキャップ付き容器100Bでは、容器本体2Bからキャップ本体30(キャップユニット1B)を取り外す際に、容器本体2B内の上昇した圧力によりキャップ本体30(キャップユニット1B)が上方側に飛び出すといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0072】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器100Bでは、容器本体2B内の圧力が上昇することを防ぎつつ、キャップ本体30(キャップユニット1B)を容易に且つ安全に開栓することが可能である。また、止水パッキン33による密閉性を良好に保ちながら、キャップ本体30(キャップユニット1B)を開栓する際の操作性を向上させることが可能である。したがって、このようなキャップユニット1Bを備えるキャップ付き容器100Bでは、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0073】
なお、本実施形態のキャップユニット1Bでは、上述した容器本体2Bに対して中栓32が螺合により着脱自在に取り付けられる構成となっているが、容器本体2Bに対して外蓋31が螺合により着脱自在に取り付けられる構成とすることも可能である。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図7図12に示すキャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100Cについて説明する。
【0075】
なお、図7は、キャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100Cの構成を示す断面図である。図8は、キャップユニット1C及び容器本体2Cを下方側から見た分解斜視図である。図9は、キャップユニット1Cが備えるキャップ本体51及び止水パッキン55を下方側から見た分解斜視図である。図10は、キャップ本体51の構成を示す側面図である。図11は、キャップユニット1Cが備える蓋体52の構成を示す及び蓋パッキン60を下方側から見た分解斜視図である。図12は、蓋体52の構成を示す側面図である。
また、以下の説明では、上記キャップユニット1A及び容器本体2Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0076】
本実施形態のキャップ付き容器100Cは、図7及び図8に示すように、本実施形態のキャップユニット1Cと、このキャップユニット1Cが着脱自在に取り付けられる容器本体2Cとを備えている。
【0077】
キャップ付き容器100Cは、真空断熱構造を有する容器本体2Cによって、容器本体2Cに収容された熱い飲料(内容物)を保温することが可能なマグボトル(飲料用容器)である。
【0078】
具体的に、この容器本体2Cは、上記容器本体2Aよりも胴長となる形状を有する以外は、上記容器本体2Aと基本的に同じ構成を有している。
【0079】
本実施形態のキャップユニット1Cは、容器本体2Cの口頸部2cに取り付けられると共に、容器本体2Cの内側と連通される通液孔50が設けられたキャップ本体51と、キャップ本体51に対して螺合により着脱自在に取り付けられると共に、通液孔50を開閉する蓋体52とを備えている。
【0080】
キャップ本体51は、図7図10に示すように、容器本体2Cの口頸部2cに嵌め付けられる外筒部53と、上部開口部2dから容器本体2Cの内側に嵌め込まれる内筒部54と、内筒部54の外周部に位置して、容器本体2Cの内側と内筒部との間を密閉する止水パッキン55とを有している。
【0081】
キャップ本体51は、例えばポリプロピレン(PP)等の耐熱性樹脂からなる筒状の外筒部53及び内筒部54を一体化したものからなる。なお、キャップ本体51は、外筒部53及び内筒部54を一体に形成したものであってもよい。また、外筒部53については、上述したPPの他にも、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の熱可塑性樹脂を用いることも可能である。
【0082】
通液孔50は、内筒部54の内側を貫通した状態で設けられている。通液孔50は、内筒部54の上端から下方に向けて漸次縮径されたテーパー孔部50aと、テーパー孔部50aの下端から下方に向けて同一径とされた第1のストレート孔部50bと、第1のストレート孔部50bの下端に第1のストレート孔部50bよりも縮径された段差部50cと、段差部50cから下方に向けて同一径とされた第2のストレート孔部50dとを有している。
【0083】
内筒部54の外周面には、容器本体2C側の雌ネジ部6と螺合される雄ネジ部56が設けられている。キャップユニット1Cでは、これら雌ネジ部6と雄ネジ部56との螺合によって、容器本体2Cに対して内筒部54(キャップ本体51)が着脱自在に取り付けられている。
【0084】
止水パッキン55は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどのリング状の弾性シール部材からなる。止水パッキン55は、内筒部54の外周部に設けられたリング状の溝部57に嵌合された状態で、内筒部54に対して着脱自在に取り付けられている。
【0085】
一方、止水パッキン55は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、内筒部54から取り外すことが可能である。これにより、内筒部54と止水パッキン55とをそれぞれ別々に洗浄することができ、内筒部54と止水パッキン55との間を衛生的に保つことが可能である。
【0086】
また、止水パッキン55の外周部には、少なくとも1つ以上(本実施形態では2つ)の弾性フランジ部55aが設けられている。弾性フランジ部55aは、止水パッキン55の外周面から拡径方向に全周に亘って突出された形状を有している。
【0087】
止水パッキン55は、容器本体2Cの内側に内筒部54が嵌め込まれた際に、弾性フランジ部55aが弾性変形しながら容器本体2Cの張出部7と当接することによって、この張出部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、容器本体2Cの内側と内筒部54との間を止水パッキン55により密閉(止水)することが可能である。
【0088】
蓋体52は、図7図8図11及び図12に示すように、キャップ本体51の外側を覆う外蓋58と、外蓋58の内側の中央部に位置して、キャップ本体51の内側に嵌め込まれた状態で通液孔50を閉塞する中栓59と、中栓59の外周部に位置して、キャップ本体51の内側と中栓59との間を密閉する蓋パッキン60とを有している。
【0089】
外蓋58は、例えばポリプロピレンやトライタン(登録商標)等の耐熱性樹脂からなり、外筒部53の外径に合わせて略円筒状に形成された周壁部58aと、周壁部58aの上部を閉塞する上壁部58bとを有している。
【0090】
中栓59は、例えばポリプロピレンやトライタン(登録商標)等の耐熱性樹脂からなり、略円形状の底壁部59aと、底壁部59aの周囲から略円筒状に立ち上がる周壁部59bとを有している。
【0091】
中栓59は、外蓋58の内側中央部に位置しており、溶着等により周壁部59bが上壁部58bの下面中央部に一体に取り付けられている。中栓59の内側には、断熱層として、例えば発泡ウレタン樹脂などからなる断熱材61が配置されている。また、断熱層としては、上述した断熱材61の代わりに、空気(空隙)であってもよい。
【0092】
内筒部54の内周面には、雌ネジ部62が設けられている。雌ネジ部62は、内筒部54の第2のストレート孔部50dを形成する位置に設けられている。一方、中栓59の外周面には、この雌ネジ部62と螺合される雄ネジ部63が設けられている。キャップユニット1Cでは、これら雌ネジ部62と雄ネジ部63との螺合によって、内筒部54(キャップ本体51)に対して中栓59(蓋体52)が着脱自在に取り付けられている。
【0093】
また、雌ネジ部62と雄ネジ部63とは、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、キャップ本体51に対して蓋体52を少ない回転操作(本実施形態では約180°)で着脱することが可能である。
【0094】
蓋パッキン60は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどのリング状の弾性シール部材からなる。蓋パッキン60は、中栓59の外周部に設けられたリング状の溝部64に嵌合された状態で、中栓59に対して着脱自在に取り付けられている。
【0095】
一方、蓋パッキン60は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、中栓59から取り外すことが可能である。これにより、中栓59と蓋パッキン60とをそれぞれ別々に洗浄することができ、中栓59と蓋パッキン60との間を衛生的に保つことが可能である。
【0096】
また、蓋パッキン60の外周部には、上下方向に並ぶ複数の弾性フランジ部60aが設けられている。弾性フランジ部60aは、蓋パッキン60の外周面から拡径方向に全周に亘って突出された形状を有している。
【0097】
蓋パッキン60は、内筒部54(キャップ本体51)の内側に中栓59が嵌め込まれた際に、弾性フランジ部60aが弾性変形しながらキャップ本体51の内周面と当接することによって、このキャップ本体51の内周面に全周に亘って密着した状態となる。また、弾性フランジ部60aは、テーパー孔部50aと第1のストレート孔部50bとの境界近傍の第1のストレート孔部50bに当接することが好ましい。これにより、キャップ本体51の内側と中栓59との間を蓋パッキン60により密閉(止水)することが可能である。
【0098】
ところで、本実施形態のキャップユニット1Cでは、内筒部54と中栓59との少なくとも一方(本実施形態では両方)の外周部に、容器本体2C内が所定の圧力まで上昇したときに、容器本体2C内の圧力を開放する圧力開放部70が設けられている。
【0099】
圧力開放部70は、溝部57を介して容器本体2Cの内側と連通される凹部又は切欠部(本実施形態では凹部)70aを有している。具体的に、この凹部70aは、内筒部54の外周部のうち、少なくとも溝部57を形成する上側の側面の一部を凹ますように設けられている。
【0100】
なお、凹部70aを配置する数については、1つであっても複数であってもよい。凹部70aを複数配置する場合は、溝部57の周方向に等間隔に並べて配置することが好ましい。また、凹部70aの周方向における幅は、広すぎると漏れの原因になるため、60°以下の角度範囲で設けることが好ましい。
【0101】
また、圧力開放部70は、溝部64を介して容器本体2Cの内側と連通される凹部70bを有している。具体的に、この凹部70bは、中栓59の外周部のうち、少なくとも溝部64を形成する上側の側面の一部を凹ますように設けられている。
【0102】
なお、凹部70bを配置する数については、1つであっても複数であってもよい。凹部70bを複数配置する場合は、溝部64の周方向に等間隔に並べて配置することが好ましい。また、凹部70bの周方向における幅は、広すぎると漏れの原因になるため、60°以下の角度範囲で設けることが好ましい。
【0103】
本実施形態のキャップユニット1Cでは、溝部57に止水パッキン55が嵌合された状態において、止水パッキン55が溝部57と凹部70aとの間を遮断している。また、容器本体2Cの内側と内筒部54との間が止水パッキン55により密閉(止水)された状態となっている。
【0104】
この状態から、容器本体2C内が所定の圧力(例えば、200kPa以上、800kPa以下)まで上昇したときに、止水パッキン55が弾性変形し、溝部57と凹部70aとの間が連通された状態となる。これにより、容器本体2C内の圧力が凹部70aから外部へと開放される。
【0105】
なお、凹部70aを複数配置する場合、周方向における幅の広さをそれぞれ変えることで、止水パッキン55が弾性変形する圧力の設定値を調整することも可能である。
【0106】
一方、容器本体2C内の圧力が開放された後は、止水パッキン55が弾性復帰することで、溝部57と凹部70aとの間を遮断する。これにより、容器本体2Cの内側と内筒部54との間が再び密閉(止水)された状態となる。
【0107】
したがって、本実施形態のキャップユニット1Cを備えるキャップ付き容器100Cでは、容器本体2C内の圧力上昇に伴って、容器本体2C側の雌ネジ部6と内筒部54側の雄ネジ部56との間で螺合による締結力が増すことによって、キャップ本体51が開栓方向に回しづらくなるといったことがなく、キャップ本体51(キャップユニット1C)を容器本体2Cから容易に取り外すことが可能である。
【0108】
さらに、本実施形態のキャップ付き容器100Cでは、容器本体2Cからキャップ本体51(キャップユニット1C)を取り外す際に、容器本体2C内の上昇した圧力によりキャップ本体51(キャップユニット1C)が上方側に飛び出すといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0109】
また、本実施形態のキャップユニット1Cでは、溝部64に蓋パッキン60が嵌合された状態において、蓋パッキン60が溝部64と凹部70bとの間を遮断している。また、内筒部54の内側と中栓59との間が蓋パッキン60により密閉(止水)された状態となっている。
【0110】
この状態から、容器本体2C内が所定の圧力(例えば、200kPa以上、800kPa以下)まで上昇したときに、蓋パッキン60が弾性変形し、溝部64と凹部70bとの間が連通された状態となる。これにより、容器本体2C内の圧力が凹部70bから外部へと開放される。
【0111】
なお、凹部70bを複数配置する場合、周方向における幅の広さをそれぞれ変えることで、止水パッキン60が弾性変形する圧力の設定値を調整することも可能である。
【0112】
一方、容器本体2C内の圧力が開放された後は、蓋パッキン60が弾性復帰することで、溝部64と凹部70bとの間を遮断する。これにより、内筒部54の内側と中栓59との間が再び密閉(止水)された状態となる。
【0113】
したがって、本実施形態のキャップユニット1Cを備えるキャップ付き容器100Cでは、容器本体2C内の圧力上昇に伴って、内筒部54側の雌ネジ部62と中栓59側の雄ネジ部63との間で螺合による締結力が増すことによって、外蓋58が開栓方向に回しづらくなるといったことがなく、蓋体52をキャップ本体51から容易に取り外すことが可能である。
【0114】
さらに、本実施形態のキャップ付き容器100Cでは、キャップ本体51から蓋体52を取り外す際に、容器本体2C内の上昇した圧力により蓋体52が上方側に飛び出すといったことを未然に防ぐことが可能である。
【0115】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器100Cでは、容器本体2C内の圧力が上昇することを防ぎつつ、キャップ本体51及び蓋体52を容易に且つ安全に開栓することが可能である。また、止水パッキン55及び蓋パッキン60による密閉性を良好に保ちながら、キャップ本体51及び蓋体52を開栓する際の操作性を向上させることが可能である。したがって、このようなキャップユニット1Cを備えるキャップ付き容器100Cでは、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0116】
なお、本実施形態のキャップユニット1Cでは、上述した容器本体2Cに対して内筒部54が螺合により着脱自在に取り付けられる構成となっているが、容器本体2Cに対して外筒部53が螺合により着脱自在に取り付けられる構成とすることも可能である。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2A,2B,2Cによって保温機能を持たせたキャップ付き容器100A,100B,100Cを例示しているが、真空断熱構造を持たない容器本体を備えたキャップ付き容器に対して、本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0118】
1A,1B,1C…キャップユニット 2A,2B,2C…容器本体 3…外容器 4…内容器 5…真空断熱層 6…雌ネジ部 7…張出部 8…外蓋 9…内蓋 10…止水パッキン(弾性シール部材) 11…中栓 12…通気孔 13…栓体 14…雄ネジ部 15…溝部 16…断熱材 17…弾性クリック部 18…嵌め込み溝 20…圧力開放部 20a…切欠部 30…キャップ本体 31…外蓋 32…中栓 33…止水パッキン(弾性シール部材) 34…雄ネジ部 35…溝部 40…圧力開放部 40a…凹部 50…通液孔 51…キャップ本体 52…蓋体 53…外筒部 54…内筒部 55…止水パッキン(弾性シール部材) 56…雄ネジ部 57…溝部 58…外蓋 59…中栓 60…蓋パッキン(弾性シール部材) 61…断熱材 62…雌ネジ部 63…雄ネジ部 64…溝部 70…圧力開放部 70a…凹部 70b…凹部 100A,100B,100C…キャップ付き容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12