(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140234
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0232 20140101AFI20220915BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220915BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20220915BHJP
H04N 1/028 20060101ALI20220915BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L31/02 D
H01L27/146 D
H04N1/10
H04N1/028 Z
G06T1/00 400G
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143067
(22)【出願日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】17/198,549
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 唯科
【テーマコード(参考)】
4M118
5B047
5C051
5C072
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118CA02
4M118CA05
4M118CB01
4M118CB02
4M118CB03
4M118GB05
4M118GB11
4M118GB13
4M118GC11
4M118GD02
4M118GD04
4M118GD07
4M118GD08
5B047AA25
5B047BC05
5B047BC07
5B047BC20
5C051AA01
5C051BA02
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB23
5C051DC04
5C051DC07
5C072AA01
5C072BA15
5C072DA02
5C072DA09
5C072DA15
5C072EA04
5F849BA04
5F849BB03
5F849EA04
5F849HA06
5F849HA07
5F849HA10
5F849JA12
5F849LA02
5F849XB05
(57)【要約】
【課題】 傾斜光を受光または集光する半導体装置を提供する。
【解決手段】 光電変換素子を有する基板、前記基板の上に配置され、前記光電変換素子に対応する第1の開口を有する第1の遮光層、前記第1の遮光層の上に配置された光調整構造、前記光調整構造の上に配置され、前記第1の開口に対応する第2の開口を有する第2の遮光層、前記第2の遮光層の上に配置され、前記第2の開口を覆う第1の集光構造、前記第1の集光構造の上に配置され、前記第2の開口に対応する第3の開口を有する第3の遮光層、前記第3の遮光層の上に配置され、前記第3の開口を覆う第2の集光構造、および前記第2の遮光層と前記第3の遮光層の間に配置された第1の光透過層を含み、前記第1の集光構造の屈折率および前記第1の光透過層の屈折率は異なる半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子を有する基板、
前記基板の上に配置され、前記光電変換素子に対応する第1の開口を有する第1の遮光層、
前記第1の遮光層の上に配置された光調整構造、
前記光調整構造の上に配置され、前記第1の開口に対応する第2の開口を有する第2の遮光層、
前記第2の遮光層の上に配置され、前記第2の開口を覆う第1の集光構造、
前記第1の集光構造の上に配置され、前記第2の開口に対応する第3の開口を有する第3の遮光層、
前記第3の遮光層の上に配置され、前記第3の開口を覆う第2の集光構造、および
前記第2の遮光層と前記第3の遮光層の間に配置された第1の光透過層を含み、
前記第1の集光構造の屈折率および前記第1の光透過層の屈折率は異なる半導体装置。
【請求項2】
前記第1の集光構造の屈折率は、前記第1の光透過層の屈折率より高く、前記第1の集光構造は凸状のマイクロレンズであり、前記第1の集光構造の屈折率は、1.5~2.5の間である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の集光構造の屈折率は、前記第1の光透過層の屈折率より低く、前記第1の集光構造は凹状のマイクロレンズであり、前記第1の集光構造の屈折率は1.0~1.5の間である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の集光構造の中心軸は、前記第2の集光構造の中心軸から分離されており、前記第1の集光構造および前記第2の集光構造は、球形、非球面、または自由曲面を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記光電変換素子は、前記第1の集光構造の1つおよび前記第2の集光構造の1つに対応し、前記光電変換素子は入射光を感知するように用いられ、前記入射光は1度~80度の範囲の入射角を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の集光構造は、少なくとも1つの第2の開口を覆う請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の集光構造の中心軸は、対応する前記第2の集光構造の1つの中心軸と重なり、前記第1の集光構造および前記第2の集光構造は、球形、非球面、または自由曲面を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の集光構造は、前記第3の開口の1つに対応する請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の集光構造の直径は、前記第2の集光構造の直径より大きい請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記光調整構造と前記第2の遮光層の間に配置された第2の光透過層をさらに含み、
前記第1の光透過層は、前記第2の遮光層、前記第1の集光構造、前記第3の遮光層、および前記第2の集光構造と直接接触しており、前記光調整構造は赤外線カットオフフィルタである請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものであり、特に、傾斜光を受光または集光する半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、様々な用途で用いられることができる。例えば、近年、光電変換素子を搭載した半導体装置が指紋認証装置、顔認証装置、虹彩認証などの生体認証装置として多用されている。生体認証装置は、人固有の身体的特性(例えば、指紋、顔、虹彩など)を用いて本人を認証し、通常、携帯機器(例えば、携帯電話、タブレット、ノートパソコンなど)で用いられる。この生体認証装置のアプリケーションは、ユーザにとって安全で利便性がある。
【0003】
しかしながら、既存の生体認証装置は、あらゆる点で満足できるものではない。例えば、携帯電話またはタブレットの画面における指紋認証に用いられる生体認証装置は、傾斜した入射光を感知して集光する必要があるが、入射角が大きい(例えば50度以上)傾斜した入射光は(コマ)収差を起こし、その結果、生体認証装置の光電変換素子からの画像信号の品質が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
傾斜光を受光または集光する半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態では、半導体装置は、少なくとも2つの集光構造、および2つの集光構造の間の1つの光透過層を含み、且つより低い集光構造の屈折率と光透過層の屈折率は異なるため、(コマ)収差が効果的に低減されることができ、その結果、半導体装置の光電変換要素からの画像信号の品質を向上させる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態による、半導体装置が提供される。半導体装置は、光電変換素子を有する基板を含む。半導体装置は、基板の上に配置され、光電変換素子に対応する第1の開口を有する第1の遮光層も含む。半導体装置は、第1の遮光層の上に配置された光調整構造をさらに含む。さらに、半導体装置は、光調整構造の上に配置され、第1の開口に対応する第2の開口を有する第2の遮光層を含む。半導体装置は、第2の遮光層の上に配置され、第2の開口を覆う第1の集光構造も含む。半導体装置は、第1の集光構造の上に配置され、第2の開口に対応する第3の開口を有する第3の遮光層をさらに含む。また、半導体装置は、第3の遮光層の上に配置され、第3の開口を覆う第2の集光構造を含む。半導体装置は、第2の遮光層と第3の遮光層の間に配置された第1の光透過層も含む。第1の集光構造の屈折率および第1の光透過層の屈折率は異なる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の屈折率は、第1の光透過層の屈折率より高い。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造は凸状のマイクロレンズである。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の屈折率は、1.5~2.5の間である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の屈折率は、第1の光透過層の屈折率より低い。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造は凹状のマイクロレンズである。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の屈折率は1.0~1.5の間である。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の中心軸は、第2の集光構造の中心軸から分離されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、光電変換素子は、1つの第1の集光構造および1つの第2の集光構造に対応する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造は、1つの第2の開口を覆う。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の中心軸は、対応する第2の集光構造の中心軸と重なる。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造は、少なくとも2つの第2の開口を覆う。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造は、1つの第3の開口に対応する。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の直径は、第2の集光構造の直径より大きい。
【0020】
いくつかの実施形態では、半導体装置は、光調整構造と第2の遮光層の間に配置された第2の光透過層をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造の屈折率および第2の集光構造の屈折率は異なる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の光透過層は、第2の遮光層、第1の集光構造、第3の遮光層、および第2の集光構造と直接接触している。
【0023】
いくつかの実施形態では、光調整構造は赤外線カットオフフィルタである。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造および第2の集光構造は、球形、非球面、または自由曲面を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、光電変換素子は入射光を感知するように用いられ、入射光は1度~80度の範囲の入射角を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、半導体装置の光電変換要素からの画像信号の品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、半導体装置を示す部分断面図である。
【
図2】
図2は、本開示のもう1つの実施形態による、半導体装置を示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による、半導体装置を示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、本開示のもう1つの実施形態による、半導体装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の開示では、本開示の異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態または実施例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の構成および配列の複数の具体例を説明する。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、第1の特徴において、下記の開示の第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴間に形成された複数の実施形態を含むこともできる。
【0029】
例示された方法の前、間、または後に追加のステップを実施することができ、例示された方法の他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるかまたは省略されてもよい。
【0030】
さらに(以下の詳細な説明において)、「下の方」、「下方」、「下部」、「上の方」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴と別の(複数の)要素と(複数の)特徴との関係を簡潔に説明するために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0031】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
本開示は、以下の例において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、複数の以下に説明する実施形態および/または配置の関係を限定するものではない。
【0033】
本開示の実施形態の半導体装置は、指紋認証装置などの生体認証装置として用いられることができるが、本開示はそれに限定されない。本開示の実施形態に示される半導体装置は、要件に応じて、他の適切な装置に適用されることもできる。
【0034】
図1は、本開示の一実施形態による半導体装置100を示す部分断面図である。簡潔にするために、
図1では、半導体装置100のいくつかの構成要素が省略されている。
【0035】
図1に示すように、半導体装置100は、基板10を有する。例えば、基板10の材料は、元素半導体(例えば、シリコン、ゲルマニウム)、化合物半導体(例えば、炭化タンタル(TaC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、またはリン化インジウム(InP))、合金半導体(例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンゲルマニウムカーバイド(SiGeC)、ヒ化ガリウムリン化物(GaAsP)、またはリン化インジウムリン化物(GaInP))、その他の任意の半導体、またはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、基板10は、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板を適用することができる。例えば、基板10は、シリコンオンインシュレータ基板またはゲルマニウムオンインシュレータ基板を用いることができるが、本開示はこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、基板10は、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ、または任意の他の適用可能な半導体ウェハ)を用いることができる。いくつかの実施形態では、基板10は、様々な導電的構成(例えば、導電線(conductive lines)またはビア)を用いることができる。例えば、導電的構成は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、それらの合金、他の適用可能な導電性材料、またはそれらの組み合わせを用いることができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0037】
図1に示されるように、基板10は、複数の光電変換素子11を有する。例えば、光電変換素子11は、イオン注入プロセスおよび/または拡散プロセスなどよって形成される。また、光電変換素子11は、トランジスタ、フォトダイオード、PINダイオード、および/または発光ダイオードを形成するように構成されることができるが、本開示はこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、光電変換素子11はアレイ構造を形成する。
【0038】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、基板10の上に配置された第1の遮光層21を有する。
図1に示されるように、第1の遮光層21は、基板10の上に堆積され、基板10と直接接触することができるが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の遮光層21は、光電変換素子11に対応する第1の開口部21Hを有する。言い換えると、第1の開口部21Hは、入射光Lが集光構造41等を透過して光電変換素子11に集光させる位置に設けられている。例えば、第1の遮光層21は、タングステン(W)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属を含むことができるが、本開示はそれらに限定されない。また、第1の遮光層21は、フォトレジスト(例えば、黒色のフォトレジスト、または透明でない他の適用可能なフォトレジスト)、インク(例えば、黒色のインク、または透明でない他の適用可能なインク)、成形化合物(例えば、黒色の成形化合物、または透明でない他の適用可能な成形化合物)、はんだマスク(例えば、黒色のはんだマスク、または透明でない他の適用可能なはんだマスク)、(黒色)エポキシ樹脂、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを用いることができる。いくつかの実施形態では、第1の遮光層21は、光硬化材料、熱硬化材料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0039】
上述の材料は、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、分子線エピタキシー(MBE)、液相エピタキシー(LPE)、またはそれらの組み合わせなどの蒸着プロセスによって基板10の上に堆積されてもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。次に、
図1に示されるように、パターン化プロセスが行なわれ、材料をパターン化して第1の遮光層21(第1の開口部21Hを有する)を形成する。より詳細には、材料の一部が、パターン化プロセスにおいて除去され、第1の開口部21Hを形成する。パターン化プロセスは、ソフトベーク、マスク位置合わせ、露光、露光後ベーク、現像、リンス、乾燥、任意の他の適用可能なプロセス、またはこれらの組み合わせを用いることができるが、本開示はそれらに限定されるものではない。
【0040】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、第1の遮光層21の上に配置された光調整構造30を含む。いくつかの実施形態では、光調整構造30は、マルチフィルム構造を有する赤外線(IR)カットオフフィルタである。例えば、光調整構造30は、特定の波長(例えば、約700nm~約1100nm)の赤外光をカットし、特定の波長(例えば、約400nm~約700nm)の可視光を通過させることができるが、本開示はそれに限定されない。光調整構造30は、堆積プロセスによって形成されてもよい。堆積プロセスの例は上述の通りであり、ここでは繰り返されないが、本開示はそれに限定されない。
【0041】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、光調整構造30の上に配置された第2の遮光層23を含む。同様に、いくつかの実施形態では、第2の遮光層23は、第1の開口部21Hに対応する第2の開口部23Hを有する。例えば、第2の遮光層23と第1の遮光層21は、類似または同一の材料を含み得るが、本開示はそれらに限定されない。また、前述の材料は、堆積プロセスによって、光調整構造30の上に堆積され、次いで、
図1に示されるように、パターン化プロセスが行なわれ、材料をパターン化して第2の遮光層23(第2の開口部23Hを有する)を形成することできるが、本開示はそれに限定されない。なお、第1の開口部21Hの位置と第2の開口部23Hの位置は、
図1の点線で示すような位置関係にあってもよい。すなわち、第2の集光構造から入射した入射光Lが光電変換素子11に集光するように、第1の開口部21Hと第2の開口部23Hは、入射光Lの光路上に位置することで、第1の開口部21Hと第2の開口部23Hは位置関係を対応さればよい。なお、以下の説明で、「対応する」は、「入射光Lの光路上に位置すること」としてもよいが、「所定範囲内の入射角に応じて、光電変換素子11が入射光Lを感知できるような位置関係」としてもよい。
【0042】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、第2の遮光層23の上に配置された第1の集光構造41を含む。例えば、第1の集光構造41は、ガラス、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせなどの透明な材料を含み得るが、本開示はそれらに限定されない。第1の集光構造41は、フォトレジストリフロー法、ホットエンボス法、任意の他の適用可能な方法、またはそれらの組み合わせによって形成されてもよい。さらに、第1の集光構造41を形成するステップは、スピンコーティングプロセス、リソグラフィプロセス、エッチングプロセス、任意の他の適用可能なプロセス、またはそれらの組み合わせを含み得るが、本開示はそれらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の集光構造41は、第2の開口部23Hに対応する凸状のマイクロレンズである。
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、第1の集光構造41は、第2の開口部23Hを覆う。各第1の集光構造41の中心軸C1は、
図1に示されるように、対応する第2の開口部23Hの中心から分離され得るが、本開示はそれに限定されないことに留意されたい。なお、中心軸C1は、基板10上、第1の遮光層21等の積層面(表面)に対して垂直方向に沿う軸である。そして、各第1の集光構造41の中心軸C1は、
図1に示されるように、対応する第2の開口部23Hの中心から、第2の遮光層23の積層面(表面)に沿う方向に離れている。
【0044】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、第2の遮光層23の上に配置された第1の光透過層51を含む。特に、第1の光透過層51は、第2の遮光層23および第1の集光構造41の上に堆積され、それらと直接接触することができる。いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41の屈折率は、第1の光透過層51の屈折率より高い。いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41の屈折率は、約1.5~約2.5の間(例えば、1.7)であり、第1の光透過層51の屈折率は、約1.4~約1.6の間(例えば、1.5)である。
【0045】
光透過層51の材料は、透明フォトレジスト、ポリイミド、エポキシ樹脂、任意の他の適用可能な材料、またはそれらの組み合わせを含み得るが、本開示はそれらに限定されない。例えば、スピンオンコーティングプロセスが行われ、前述の材料を第2の遮光層23および第1の集光構造41上にコーティングして第1の光透過層51を形成することができるが、本開示はそれらに限定されない。
【0046】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、第1の光透過層51および第1の集光構造41の上に配置された第3の遮光層25を含む。即ち、第1の光透過層51は、第2の遮光層23と第3の遮光層25の間に配置される。
【0047】
同様に、いくつかの実施形態では、第3の遮光層25は、第2の開口部23Hに対応する第3の開口部25Hを有する。例えば、第3の遮光層25、第1の遮光層21、および第2の遮光層23は、類似または同一の材料を含み得るが、本開示はそれらに限定されない。また、前述の材料は、堆積プロセスによって、第1の光透過層51の上に堆積され、次いで、
図1に示されるように、パターン化プロセスが行なわれ、材料をパターン化して第3の遮光層25(第3の開口部25Hを有する)を形成することできるが、本開示はそれに限定されない。
【0048】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、第3の遮光層25の上に配置された第2の集光構造43を含む。いくつかの実施形態では、第2の集光構造43は、透明な材料を含むが、第1の集光構造41とは異なる。即ち、各第1の集光構造41の屈折率と各第2の集光構造43の屈折率は異なる。例えば、各第2の集光構造43の屈折率は、約1.2~約1.5(例えば、1.4)の間であり得るが、本開示はそれに限定されない。第2の集光構造43は、第1の集光構造41を形成する同様の方法またはプロセスによって形成されることができるが、本開示はそれに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態では、第2の集光構造43は、第2の開口部25Hに対応する凸状のマイクロレンズである。
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、第2の集光構造43は、第3の開口部25Hを覆う。また、第3の開口部25Hは、第2の集光構造43で充填され得る。各第2の集光構造43の中心軸C3は、
図1に示されるように、対応する第3の開口部25Hの中心を覆い得るが、本開示はそれに限定されないことに留意されたい。言い換えると、各第2の集光構造43の中心軸C3は、対応する第3の開口部25Hの中心を通るように、位置合わせされてもよい。
【0050】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、第1の光透過層51は、第2の遮光層23、第1の集光構造41、第3の遮光層25、および第2の集光構造43と直接接触している。即ち、第2の遮光層23、第1の集光構造41、第1の光透過層51、第3の遮光層25、および第2の集光構造43は互いに堆積されることができる。
【0051】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41の中心軸C1は、各第2の集光構造43(または対応する第2の集光構造43)の中心軸C3から分離されている。言い換えると、各第1の集光構造41の中心軸C1は、各第2の集光構造43(または対応する第2の集光構造43)の中心軸C3に対して、第1の光透過層51の積層面(表面)に沿う方向に離れている。いくつかの実施形態では、各光電変換素子11は、1つの第1の集光構造41および1つの第2の集光構造43に対応する。光電変換素子11aは、
図1の断面図には示されていない1つの第1の集光構造41および1つの第2の集光構造43に対応し得ることに留意されたい。
【0052】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41および各第2の集光構造43は、(半)球形の表面を有する。いくつかの他の実施形態では、各第1の集光構造41および各第2の集光構造43は、非球面または自由曲面(freeform surface)を有する。
【0053】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、半導体装置100は、光調整構造30と第2の遮光層23との間に配置された第2の光透過層53をさらに含む。特に、第2の光透過層53は、光調整構造30の上に堆積され、光調整構造30と直接接触することができるが、本開示はそれに限定されない。第2の光透過層53の材料および形成方法は、第1の光透過層51のものと同じまたは類似し得るが、本開示はそれらに限定されない。
【0054】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、光電変換素子11は、入射光Lを感知するように用いられ、各入射光Lは、約1度~約80度の範囲の入射角θを有する。いくつかの実施形態では、各入射光Lは、少なくとも2つの集光構造(例えば、1つの第1の集光構造41および1つの第2の集光構造43)および2つの集光構造の間の1つの光透過層(例えば、第1の光透過層)を通過し、より低い集光構造の屈折率と光透過層の屈折率は異なる。傾斜した入射光がより大きな入射角(例えば、50度以上)を有するときでも、(コマ)収差は効果的に低減されることができ、その結果、半導体装置100の光電変換要素11からの画像信号がより高品質になる。
【0055】
図2は、本開示のもう1つの実施形態による、半導体装置102を示す部分断面図である。簡潔にするために、
図2では、半導体装置102のいくつかの構成要素が省略されている。
【0056】
図2に示すように、半導体装置102は、光電変換素子11を有する基板10を含む。半導体装置102は、基板10の上に配置され、光電変換素子11に対応する第1の開口部21Hを有する第1の遮光層21も含む。半導体装置102は、第1の遮光層21の上に配置された調光構造30をさらに含む。また、半導体装置102は、光調整構造30の上に配置され、第1の開口部21Hに対応する第2の開口部23Hを有する第2の遮光層23を含む。半導体装置102は、第2の遮光層23の上に配置され、第2の開口部23Hを覆う第1の集光構造41’も含む。半導体装置102は、第1の集光構造41’の上に配置され、第2の開口部23Hに対応する第3の開口部25Hを有する第3の遮光層25をさらに含む。さらに、半導体装置102は、第3の遮光層25の上に配置され、第3の開口部25Hを覆う第2の集光構造43を含む。半導体構造102は、第2の遮光層23と第3の遮光層25の間に配置された第1の光透過層51も含む。
【0057】
この実施形態では、各第1の集光構造41’の屈折率は、第1の光透過層51の屈折率よりも高く、第1の集光構造41’は、第2の開口部23Hに対応する凸状のマイクロレンズであり、第2の集光構造43は、第3の開口部25Hに対応する凸状のマイクロレンズである。
【0058】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41’は、少なくとも2つの第2の開口部23Hを覆い、各第2の集光構造43は、1つの第3の開口部25Hを覆う。また、
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41’の中心軸C1’は、対応する第2の集光構造43の中心軸C3と重なる。
【0059】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41’は、1つの第3の開口部25Hに対応する。いくつかの実施形態では、各第1の集光構造41’の直径D41は、各第2の集光構造43(または対応する第2の集光構造43)の直径D43より大きい。即ち、いくつかの実施形態では、2つ以上の光電変換素子11は、同じ第1の集光構造41’および第2の集光構造43を共有する。
【0060】
図3は、本開示の一実施形態による、半導体装置104を示す部分断面図である。簡潔にするために、
図3では、半導体装置104のいくつかの構成要素が省略されている。
【0061】
いくつかの実施形態では、各第1の集光構造42の屈折率は、第1の光透過層51の屈折率より低い。この実施形態では、各第1の集光構造42の屈折率は、約1.0~約1.5(例えば、1.3)の間であり、第1の光透過層51の屈折率は、約1.4~約1.6(例えば、1.5)の間である。
【0062】
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、第1の集光構造42は、第2の開口部23Hに対応する凹状のマイクロレンズであり、第2の集光構造43は、第3の開口部25Hに対応する凸状のマイクロレンズである。
【0063】
同様に、
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造42の中心軸C2は、各第2の集光構造43(または対応する第2の集光構造43)の中心軸C3から分離されている。言い換えると、各第1の集光構造42の中心軸C2は、各第2の集光構造43(または対応する第2の集光構造43)の中心軸C3に対して、第1の光透過層51の積層面(表面)に沿う方向に離れている。いくつかの実施形態では、各光電変換素子11は、1つの第1の集光構造42および1つの第2の集光構造43に対応する。光電変換素子11aは、
図3の断面図には示されていない1つの第1の集光構造42および1つの第2の集光構造43に対応し得ることに留意されたい。
【0064】
図4は、本開示のもう1つの実施形態による、半導体装置106を示す部分断面図である。簡潔にするために、
図4では、半導体装置106のいくつかの構成要素が省略されている。
【0065】
この実施形態では、各第1の集光構造42’の屈折率は、第1の光透過層51の屈折率より低く、第1の集光構造42’は、第2の開口部23Hに対応する凹状のマイクロレンズであり、第2の集光構造43は、第3の開口部25Hに対応する凸状のマイクロレンズである。
【0066】
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造42’は、少なくとも2つの第2の開口部23Hを覆い、各第2の集光構造43は、1つの第3の開口部25Hを覆う。また、
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造42’の中心軸C2’は、対応する第2の集光構造43の中心軸C3と重なる。
【0067】
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、各第1の集光構造42’は、1つの第3の開口部25Hに対応する。いくつかの実施形態では、各第1の集光構造42’の直径D42は、各第2の集光構造43(または対応する第2の集光構造43)の直径D43より大きい。即ち、いくつかの実施形態では、2つ以上の光電変換素子11は、同じ第1の集光構造42’および第2の集光構造43を共有する。
【0068】
要約すると、本開示のいくつかの実施形態による半導体装置は、少なくとも2つの集光構造、および2つの集光構造の間の1つの光透過層を含み、且つより低い集光構造の屈折率と光透過層の屈折率は異なるため、(コマ)収差が効果的に低減されることができ、その結果、半導体装置の光電変換要素からの画像信号の品質を向上させる。
【0069】
前述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できるであろう。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は請求項を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0070】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の用語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の用語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0071】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0072】
100、102、104、106 半導体装置
10 基板
11、11a 光電変換素子
21 第1の遮光層
21H 第1の開口部
23 第2の遮光層
23H 第2の開口部
25 第3の遮光層
25H 第3の開口部
30 光調整構造
41、41’、42、42’ 第1の集光構造
43 第2の集光構造
51 第1の光透過層
53 第2の光透過層
C1、C1’、C2、C2’ 第1の集光構造の中心軸
C3 第1の集光構造の中心軸
D41 第1の集光構造の直径
D42 第1の集光構造の直径
D43 第2の集光構造の直径
L 入射光
θ 入射角