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特開2022-140254車両用操舵補助装置およびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140254
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】車両用操舵補助装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20220915BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20220915BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20220915BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20220915BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20220915BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20220915BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D6/00
B60W10/00 134
B60W10/20
B60W10/08
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166843
(22)【出願日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0032227
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 志 胤
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
3D333
【Fターム(参考)】
3D232CC48
3D232DA03
3D232DA23
3D232DB05
3D232DB11
3D232EB11
3D232EC22
3D232FF10
3D232GG01
3D241BA17
3D241BA41
3D241BC02
3D241CA05
3D241CA09
3D241CC03
3D241CC17
3D241CD26
3D241DA52Z
3D241DA58Z
3D333CB02
3D333CB10
3D333CB28
3D333CB37
3D333CB42
(57)【要約】
【課題】操舵モータで生成されることができる限界操舵トルク以上の操舵トルクでタイヤ回転が行われるようにした車両用操舵補助装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知部と、認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと車両の前後力を0に維持するために第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、第1駆動力と第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御部とを含み、操舵モータで生成されることができる限界操舵トルク以上の操舵トルクでタイヤ回転が行われるようにした車両用操舵補助装置およびその制御方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知部と、
認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと前記車両の前後力を0に維持するために前記第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、前記第1駆動力と前記第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御部と、を含む、ことを特徴とする車両用操舵補助装置。
【請求項2】
前記車両の車輪速を用いて、前記車両が停車しているか否かを先行して判断する停車判断部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項3】
前記タイヤ駆動制御部は、
前記第1駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、外側前輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、内側前輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項4】
前記タイヤ駆動制御部は、
前記第2駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、内側後輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、外側後輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定する、ことを特徴とする請求項3に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項5】
前記タイヤ駆動制御部は、
停止状態の前記車両が左旋回をするために操舵操作される場合、前記第1駆動力として、前記車両の右側前輪に正(+)駆動力が印加され、左側前輪に負(-)駆動力が印加され、前記第2駆動力として、前記車両の左側後輪に正(+)駆動力が印加されて右側後輪に負(-)駆動力が印加されるように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項6】
前記タイヤ駆動制御部は、
停止状態の前記車両が右旋回をするために操舵操作される場合、前記第1駆動力として、前記車両の左側前輪に正(+)駆動力が印加され、右側前輪に負(-)駆動力が印加され、前記第2駆動力として、前記車両の右側後輪に正(+)駆動力が印加され、左側後輪に負(-)駆動力が印加されるように制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項7】
前記操舵角とモーメントアームの増減関係を示すデータを、キングピン軸と操舵モータの設置位置、およびモータ軸オフセットを含む前記車両の諸元特性値を用いて予め算出した後、メモリーに記憶し、前記操舵角の大きさを用いてタイヤ回転時に変更されるモーメントアームの長さを前記メモリーから把握するモーメントアーム算出部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項8】
前記操舵角の大きさに応じて、前記車両が停止した状態で左旋回または右旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを決定し、前記必要操舵トルクが操舵モータで生成されることができる限界操舵トルクを超える場合、前記必要操舵トルクの一部を前記駆動モータで生成される駆動力によって補助するように決定する操舵補助決定部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項9】
前記操舵補助決定部は、
前記必要操舵トルクのうち、前記操舵モータによって生成される操舵トルクと、前記駆動モータによって生成される操舵補助トルクの割合を決定する、ことを特徴とする請求項8に記載の車両用操舵補助装置。
【請求項10】
ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知ステップと、
認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと前記車両の前後力を0に維持するために前記第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、前記第1駆動力と前記第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御ステップと、を含む、ことを特徴とする車両用操舵補助制御方法。
【請求項11】
前記旋回方向認知ステップで前記操舵角の変化を認知する前に、前記車両の車輪速を用いて、前記車両が停車しているか否かを判断する車両停止判断ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の車両用操舵補助制御方法。
【請求項12】
前記タイヤ駆動制御ステップは、
前記第1駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、外側前輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、内側前輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定する、ことを特徴とする請求項10に記載の車両用操舵補助制御方法。
【請求項13】
前記タイヤ駆動制御ステップは、
前記第2駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、内側後輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、外側後輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定する、ことを特徴とする請求項12に記載の車両用操舵補助制御方法。
【請求項14】
前記タイヤ駆動制御ステップの前に、前記操舵角の大きさに応じて、左旋回または右旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを決定し、前記必要操舵トルクが操舵モータで生成されることができる限界操舵トルクを超える場合、前記必要操舵トルクの一部を前記駆動モータで生成される駆動力によって補助するように決定する操舵補助決定ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の車両用操舵補助制御方法。
【請求項15】
前記操舵補助決定ステップは、
前記必要操舵トルクのうち、前記操舵モータによって生成される操舵トルクと、前記駆動モータによって生成される操舵補助トルクの割合を決定する、ことを特徴とする請求項14に記載の車両用操舵補助制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車中の車両の操舵に求められるトルクを駆動モータから追加供給可能にした車両用操舵補助装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電動パワーステアリング(MDPS:Motor Driven Power Steering)を用いた操舵操作の際、所望の角度への操舵のために、各タイヤに作用する操舵トルクは、車両が走行または停車しているか否かに応じてその大きさが変化する。
【0003】
すなわち、タイヤと路面との摩擦係数が少ない走行時よりも車両が停車中の場合に、より大きい操舵トルクが必要となり、操舵角が大きいほど、必要な操舵トルクも増加する。それに伴い、停車中の状態で操舵角を最大に操作するフルターン(Full Turn)条件で最も大きい操舵トルクが必要となる。
【0004】
また、4個のタイヤがいずれも独立して駆動することができる四輪独立操舵車両の場合、各タイヤに操舵トルクを発生させるための操舵モータだけでなく、駆動力を発生させるための駆動モータもともに設置する必要があり、操舵トルクの容量と大きさを増加させる際に空間的な制約があるという問題があった。
【0005】
したがって、操舵モータの容量増加を最小化するとともに、操舵操作の際に最も大きい操舵トルクが求められる停車中のフルターン(Full Turn)時に必要な操舵トルクを満たすことができる装置が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開第2021-054395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知部と、認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと車両の前後力を0に維持するために第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、第1駆動力と第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御部とを含み、操舵モータで生成されることができる限界操舵トルク以上の操舵トルクでタイヤ回転が行われるようにした車両用操舵補助装置およびその制御方法を提供することを技術的課題とする。
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、下記の記載から、当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態による車両用操舵補助装置は、ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知部と、認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと前記車両の前後力を0に維持するために前記第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、前記第1駆動力と前記第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御部とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施形態による車両用操舵補助装置は、前記車両の車輪速を用いて、前記車両が停車しているか否かを先行して判断する停車判断部をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記タイヤ駆動制御部は、前記第1駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、外側前輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、内側前輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することを特徴とする。
【0011】
また、前記タイヤ駆動制御部は、前記第2駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、内側後輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、外側後輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することを特徴とする。
【0012】
また、前記タイヤ駆動制御部は、停止状態の前記車両が左旋回をするために操舵操作される場合、前記第1駆動力として、前記車両の右側前輪に正(+)駆動力が印加され、左側前輪に負(-)駆動力が印加され、前記第2駆動力として、前記車両の左側後輪に正(+)駆動力が印加されて右側後輪に負(-)駆動力が印加されるように制御することを特徴とする。
【0013】
また、前記タイヤ駆動制御部は、停止状態の前記車両が右旋回をするために操舵操作される場合、前記第1駆動力として、前記車両の左側前輪に正(+)駆動力が印加され、右側前輪に負(-)駆動力が印加され、前記第2駆動力として、前記車両の右側後輪に正(+)駆動力が印加され、左側後輪に負(-)駆動力が印加されるように制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の実施形態による車両用操舵補助装置は、前記操舵角とモーメントアームの増減関係を示すデータを、キングピン軸と操舵モータの設置位置、およびモータ軸オフセットを含む前記車両の諸元特性値を用いて予め算出した後、メモリーに記憶し、前記操舵角の大きさを用いてタイヤ回転時に変更されるモーメントアームの長さを前記メモリーから把握するモーメントアーム算出部をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の実施形態による車両用操舵補助装置は、前記操舵角の大きさに応じて、前記車両が停止した状態で左旋回または右旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを決定し、前記必要操舵トルクが前記操舵モータで生成されることができる限界操舵トルクを超える場合、前記必要操舵トルクの一部を前記駆動モータで生成される駆動力によって補助するように決定する操舵補助決定部をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また、前記操舵補助決定部は、前記必要操舵トルクのうち、前記操舵モータによって生成される操舵トルクと、前記駆動モータによって生成される操舵補助トルクの割合を決定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他の実施形態による車両用操舵補助制御方法は、ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知ステップと、認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと車両の前後力を0に維持するために前記第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、前記第1駆動力と前記第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他の実施形態による車両用操舵補助制御方法は、前記旋回方向認知ステップで前記操舵角の変化を認知する前に、前記車両の車輪速を用いて、前記車両が停車しているか否かを判断する車両停止判断ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記タイヤ駆動制御ステップは、前記第1駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、外側前輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、内側前輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することを特徴とする。
【0020】
また、前記タイヤ駆動制御ステップは、前記第2駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、内側後輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、外側後輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の他の実施形態による車両用操舵補助制御方法は、前記タイヤ駆動制御ステップの前に、前記操舵角の大きさに応じて、左旋回または右旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを決定し、前記必要操舵トルクが前記操舵モータで生成されることができる限界操舵トルクを超える場合、前記必要操舵トルクの一部を前記駆動モータで生成される駆動力によって補助するように決定する操舵補助決定ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0022】
また、前記操舵補助決定ステップは、前記必要操舵トルクのうち、前記操舵モータによって生成される操舵トルクと、前記駆動モータによって生成される操舵補助トルクの割合を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、タイヤの回転のための必要操舵トルクの一部が、駆動モータの駆動力によって補完供給されることができるように制御することで、操舵モータで生成される必要がある操舵トルクを増加させないことができ、操舵モータの重量増加とコストアップを減少させる効果がある。
【0024】
また、本発明は、駆動モータの協力によって操舵モータで生成されることができる限界操舵トルク以上の操舵トルクでタイヤを回転させることができ、操舵モータの重量と体積の増加を最小化することができ、タイヤ内側領域に対するパッケージ設計にも余裕を提供する効果がある。
【0025】
その他、本文書により、直接または間接に把握される様々な効果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による車両用操舵補助装置のブロック構成図である。
図2】車両の操舵操作時にモーメントアームの長さが変更されることを示す例示図である。
図3】本発明によって操舵中の四輪独立操舵車両のタイヤに駆動力が追加作用することを示す平面図である。
図4】本発明によって操舵中の四輪独立操舵車両のタイヤに駆動力が追加作用することを示す背面図である。
図5】本発明によって四輪独立操舵車両のタイヤそれぞれに操舵補助モーメントの生成のための駆動力が追加作用することを示す例示図である。
図6】本発明による車両用操舵補助制御方法の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一部の実施形態について例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては仮に異なる図面上に示されていても、できるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施形態に関する理解を妨げると判断した場合には、その詳細な説明は省略する。
【0028】
本発明の実施形態の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。かかる用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的もしくは科学的な用語をはじめ、ここで使用するすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈しなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的もしくは過剰に形式的な意味に解釈されない。
【0029】
以下、図1図6を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0030】
図1は本発明による車両用操舵補助装置のブロック構成図である。
【0031】
図1を参照すると、本発明による車両用操舵補助装置は、ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知部200と、認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと車両の前後力を0に維持するために第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、第1駆動力と第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御部500とを含むことができる。
【0032】
旋回方向認知部200は、ハンドル操作による操舵角の変化に基づいて、タイヤの回転方向が右旋回であるかまたは左旋回であるかを認知することができる。
【0033】
すなわち、旋回方向に応じて、タイヤ駆動制御部500で第1駆動力が印加されるタイヤと第2駆動力が印加されるタイヤが異なるため、旋回方向認知部200によって、車両が右旋回しようとするかそれとも左旋回しようとするかを先ず把握することができる。
【0034】
この際、本発明は、操舵操作の際、大きな操舵トルクが求められる停止状態の操舵時に、タイヤでの駆動力による操舵補助モーメントを生成することを目的としており、車両の車輪速を用いて、車両が停車しているか否かを先行して判断する停車判断部100をさらに含むことができる。
【0035】
停車判断部100は、車両に備えられている車輪速センサから取得したタイヤの車輪速が0であるか、車両の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)から取得した自動変速機のギア情報が駐車状態にあるか否かに基づいて、車両が停車状態にあるか否かを判断することができる。
【0036】
電動パワーステアリング(MDPS)を用いて操舵操作をする場合、操舵モータでタイヤを操舵角だけ回転させる操舵トルクを発生させて、タイヤに操舵方向に回転する操舵モーメントが印加される必要がある。
【0037】
それによって、タイヤを回転させる操舵トルクを発生させるために、図3および図4に図示するように、タイヤの一側に操舵モータが備えられて、ハンドルの動きに応じてタイヤを回転させる操舵モーメントを生成する。
【0038】
この際、図3および図4は4個のタイヤがいずれも独立して操舵および駆動されることができる四輪独立操舵車両に備えられたタイヤの一例を示す。それによって、各タイヤには、タイヤを操舵方向に回転させる操舵トルクを生成する操舵モータ10と、各タイヤの前後駆動力を生成する駆動モータ20がともに備えられることができる。
【0039】
図3および図4では、操舵モータ10は、タイヤの一側に設置されており、駆動モータ20は、タイヤの内部に設置されていることを示している。また、各タイヤの一側には、ハンドルによってもたらされる操舵操作を各タイヤに伝達するための操舵軸として、キングピン(kingpin)軸が斜めに結合している。それによって、各タイヤの一側にキングピン軸と操舵モータがいずれも設置される必要があるため、操舵モータの容量を増加させるために、操舵モータ自体の大きさを増加させるのに空間的な制限がある。
【0040】
このように、各タイヤの一側にキングピン軸と操舵モータが斜めに設置されているため、操舵操作によって回転するタイヤに加えられる操舵モーメントが、旋回しようとする操舵角に応じて変化する。すなわち、操舵角が増加するほど、タイヤの回転のために加えられる必要がある操舵モーメントが増加する。
【0041】
すなわち、図2(a)に図示するように、操舵角が0゜であるゼロターン(Zero turn)状況では、車両総重量(GVW:Gross Vehicle Weight)によって地面(Ground)を押圧しながら加える垂直方向モーメントWと地面の反力Rによってタイヤが変形し、一定の押圧量δが生じる。
【0042】
また、図2(b)に図示するように、操舵角が最大角度で回転しているフルターン(Full turn)状況でも、車両総重量(GVW:Gross Vehicle Weight)によって地面(Ground)を押圧しながら加える垂直方向モーメントWと地面の反力Rによってタイヤが変形し、一定の押圧量δが生じる。
【0043】
この際、車両の操舵角が増加するほど、すなわち、ゼロターンである場合よりもフルターンである場合に、タイヤから地面に向かって加える垂直方向モーメントWが増加し、それによってもたらされるタイヤの変形による押圧量も大きくなる。
【0044】
また、図2(a)、図2(b)に図示するように、ゼロターンである場合に、キングピン軸からタイヤの中心に至るモーメントアームrの長さよりもフルターンである場合に、キングピン軸からタイヤの中心に至るモーメントアームrの長さがより長くなって垂直方向モーメントも増加し、タイヤを操舵するために求められる操舵モーメント(またはキングピンモーメントとも称する)も増加する。
【0045】
一般的に、車両が旋回するに際し、動摩擦係数の影響を受ける走行中の場合よりも静止摩擦係数の影響を受ける車両停止時の旋回のための操舵に対してより大きな操舵モーメントが求められ、かかる操舵モーメントを満たすことができる大きな操舵トルクが必要になる。
【0046】
それによって、タイヤを回転させるために必要な操舵トルクを操舵モータによって生成する必要があるため、最も大きい操舵トルクが求められる停止時に、フルターンに必要な操舵トルクを充分に生成することができる容量の操舵モータが備えられなければならないため、操舵モータの大きさも増加する必要があった。
【0047】
本発明では、操舵モータで求められる最大大きさの操舵トルクの発生が常に求められる状況ではないことを考慮して、通常の場合には、操舵モータ10で生成される操舵トルクだけで車両の操舵操作のために必要な操舵モーメントを供給するが、操舵モータで生成されることができる限界操舵トルクを超える操舵モーメントが求められる場合(例えば、車両停止状態で左旋回または右旋回を最大操舵角度、すなわち、フルターンで行う場合)には、足りない操舵トルクを、下記の[数1]のように、各タイヤに備えられている駆動モータ20で発生する駆動力によって補完できるようにする。
【0048】
[数1]
必要操舵トルク=操舵トルク+(モータ軸オフセット×駆動力)
【0049】
この際、駆動モータ20によって生成される駆動力は、図4に図示するように、操舵モータ10のモータ回転軸からモータ軸オフセットに対応する距離だけ離隔した位置で印加されるため、[数1]では、タイヤの操舵のために寄与する操舵補助トルクを「モータ軸オフセットと駆動力」の乗算で示した。
【0050】
このように、タイヤの回転のための必要操舵トルクの一部が、駆動モータ20の駆動力によって補完供給されるように制御することで、操舵モータ10で生成される必要がある操舵トルクを増加させないことができ、操舵モータの重量増加とコストアップを減少させることができ、操舵モータの体積減少によってタイヤ内側領域の設置空間を最小化することができる。
【0051】
また、タイヤ駆動制御部500は、旋回方向認知部200で把握した旋回方向への回転を誘導する操舵補助トルクを生成するための第1駆動力が印加されるタイヤを決定し、決定したタイヤに備えられた駆動モータ20を制御して、タイヤの回転を補助する第1駆動力を生成することができる。
【0052】
かかるタイヤ駆動制御部500は、図5(a)および図5(b)に図示するように、第1駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、外側前輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、内側前輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することができる。
【0053】
この際、駆動モータ20で生成される正(+)駆動力は、タイヤを前進方向に回転させる動力を意味し、負(-)駆動力は、タイヤを後進方向に回転させる動力を意味する。
【0054】
通常、モーメントアームの回転中心が車両の内側にあるため、タイヤに印加される正(+)駆動力は、トーイン(toe-in)を作り、タイヤに印加される負(-)駆動力は、トーアウト(toe-out)を作る。
【0055】
それによって、タイヤが旋回方向に回転するための操舵補助モーメントを生成するためには、旋回方向を基準として、外側前輪はトーインになり、内側前輪はトーアウトになる必要があるため、タイヤ駆動制御部500は、外側前輪に正(+)駆動力が印加され、内側前輪に負(-)駆動力が印加されるように制御することができる。
【0056】
この際、タイヤ駆動制御部500は、車両が停止した状態でフルターンする状況のように操舵角が大きい場合に、操舵トルクの一部を補助するためにのみ駆動モータの駆動力を用いるため、車両は、停止した状態を維持していなければならない。
【0057】
それによって、タイヤ駆動制御部500は、操舵補助トルクの生成のためにタイヤに印加される第1駆動力を相殺して、車両を停止状態に維持するための第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、決定したタイヤに備えられた駆動モータ20を制御して、車両の前後力を0に維持する第2駆動力を生成することができる。
【0058】
かかるタイヤ駆動制御部500は、第2駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、内側後輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、外側後輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することができる。
【0059】
したがって、図5(a)に図示するように、停止状態の車両が左旋回をするために操舵操作される場合には、操舵補助モーメントの生成のための第1駆動力として車両の右側前輪に正(+)駆動力が印加され、左側前輪に負(-)駆動力が印加され、前後力を0に維持するために第1駆動力を相殺する第2駆動力として、車両の左側後輪に正(+)駆動力が印加され、右側後輪に負(-)駆動力が印加されることができる。
【0060】
また、図5(b)に図示するように、停止状態の車両が右旋回をするために操舵操作される場合には、操舵補助モーメントの生成のための第1駆動力として、車両の左側前輪に正(+)駆動力が印加され、右側前輪に負(-)駆動力が印加され、前後力を0に維持するために第1駆動力を相殺する第2駆動力として、車両の右側後輪に正(+)駆動力が印加され、左側後輪に負(-)駆動力が印加されることができる。
【0061】
また、タイヤを回転させようとする操舵角の大きさに応じて、モーメントアームの長さが変化し、かかるモーメントアームの長さ変化に応じて、操舵モータで生成される操舵トルクがタイヤの回転に作用するモーメントが変化する。
【0062】
それによって、本発明は、ハンドル操作による操舵角の大きさを用いて、タイヤの回転時に変更されるモーメントアームの長さを算出するモーメントアーム算出部300をさらに含むことができる。
【0063】
モーメントアーム算出部300は、操舵角とモーメントアームの増減関係を示すデータを、キングピン軸と操舵モータの設置位置およびモータ軸オフセットなどの車両の諸元に関する特性値を用いて予め算出した後、メモリーなどの記憶手段に記憶することができる。
【0064】
それによって、操舵操作によって操舵角の大きさが増加すると、モーメントアーム算出部300は、各操舵角の大きさにマッチしているモーメントアームの長さを、メモリーなどに記憶されているデータから把握することができる。
【0065】
また、本発明は、操舵角の大きさに応じて、車両が停止した状態で左旋回または右旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを決定し、必要操舵トルクが、操舵モータ10で生成されることができる限界操舵トルクを超える場合、必要操舵トルクの一部を駆動モータ20で生成される駆動力によって補助するように決定する操舵補助決定部400をさらに含むことができる。
【0066】
車両が停止した状態で左旋回または右旋回のために車両のハンドルを操作する場合、モーメントアームの長さと垂直方向モーメントが増加するだけでなく、車両のタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクも増加する。したがって操舵モータで生成されることができる限界操舵トルクを超える必要操舵トルクが求められることができる。
【0067】
それによって、操舵補助決定部400は、必要操舵トルクが限界操舵トルクを超えると判断した場合、タイヤ駆動制御部500によって必要操舵トルクの一部が分担されるように決定することができる。このように、操舵補助決定部400によって必要操舵トルクの一部が駆動モータによって分担されるように決定した場合、タイヤ駆動制御部500によって操舵補助トルクの生成が行われることができる。
【0068】
また、操舵補助決定部400は、必要操舵トルクのうち、操舵モータ10によって生成される操舵トルクと駆動モータ20によって生成される操舵補助トルクとの割合を決定することもできる。
【0069】
この際、駆動モータ20によって生成される補助操舵トルクの割合を増加させることもできるが、駆動モータ20の駆動力によって生成される補助操舵トルクは、付随して生成される効果であるため、必要操舵トルクの過剰な割合を分担しないようにすることができる
【0070】
それによって、操舵補助決定部400は、駆動モータ20によって生成される補助操舵トルクの割合が、タイヤの回転のために求められる全必要操舵トルクの10%以内の範囲で負担されるように設定することができる。
【0071】
また、操舵補助決定部400は、操舵角の大きさが増加するに伴い、停止状態で右旋回または左旋回方向にタイヤを旋回させるために求められる必要操舵トルクの大きさを操舵角の大きさにマッチしてメモリーに記憶し、操舵角の大きさを用いて、メモリーから必要操舵トルクを決定することができる。
【0072】
また、操舵補助決定部400は、タイヤ駆動制御部500によって駆動モータで生成される必要がある補助操舵トルクの割合と大きさも必要操舵トルクとともにメモリーに記憶することで、操舵角の大きさを認知するだけでも操舵モータでの操舵トルクの生成と駆動モータでの操舵補助トルクの生成がともに制御されるようにすることができる。
【0073】
次に、図6を参照して、本発明の他の実施形態による車両用操舵補助制御方法について説明する。
【0074】
図6は本発明による車両用操舵補助制御方法の構成図である。
【0075】
図6を参照すると、本発明による車両用操舵補助制御方法は、ハンドル操作によって制御される操舵角を用いて、車両が旋回しようとするタイヤの回転方向を認知する旋回方向認知ステップ(S200)と、認知した旋回方向へのタイヤの回転を補助する操舵補助トルクの生成のための第1駆動力が印加されるタイヤと車両の前後力を0に維持するために第1駆動力を相殺する第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、第1駆動力と第2駆動力を各タイヤに備えられている駆動モータで生成するように制御するタイヤ駆動制御ステップ(S500)と、を含むことができる。
【0076】
旋回方向認知ステップ(S200)では、ハンドル操作による操舵角の変化に基づいて、タイヤの回転方向が右旋回であるかまたは左旋回であるかを認知することができる。
【0077】
このように、旋回方向認知ステップ(S200)で把握されるタイヤの回転方向に応じて、タイヤ駆動制御ステップ(S500)で第1駆動力が印加されるタイヤと、第2駆動力が印加されるタイヤを決定することができる。
【0078】
この際、旋回方向認知ステップ(S200)で操舵角の変化を認知する前に、車両の車輪速を用いて、車両が停車しているか否かを判断する車両停止判断ステップ(S100)をさらに含むことができる。すなわち、本発明は、大きい操舵トルクが求められる停止状態の操舵時に、操舵トルクを補完するためのものであるため、車両が停止しているか否かを先ず判断することが好ましい。
【0079】
また、タイヤ駆動制御ステップ(S500)では、旋回方向認知ステップ(S200)で把握された旋回方向へのタイヤの回転を誘導する操舵補助トルクを生成するための第1駆動力が印加されるタイヤを決定し、決定したタイヤに備えられた駆動モータをそれぞれ制御して、タイヤの回転を補助する第1駆動力を生成することができる。
【0080】
かかるタイヤ駆動制御ステップ(S500)では、第1駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、外側前輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、内側前輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することができる。
【0081】
それによって、外側前輪には、正(+)駆動力が印加されてトーインが行われ、内側前輪には、負(-)駆動力が印加されてトーアウトを作りながらタイヤを回転させようとする方向へのタイヤ回転をもたらす操舵補助トルクを生成することができる。
【0082】
また、タイヤ駆動制御ステップ(S500)では、タイヤを操舵操作する間にも車両が停止状態を維持するように、操舵補助トルクの生成のためにタイヤに印加される第1駆動力を相殺して、車両を停止状態に維持するための第2駆動力が印加されるタイヤを決定し、決定したタイヤに備えられた駆動モータをそれぞれ制御して、車両の全前後力を0に維持する第2駆動力を生成することができる。
【0083】
このために、タイヤ駆動制御ステップ(S500)では、第2駆動力が印加されるタイヤとして、タイヤが回転する旋回方向を基準として、内側後輪を正(+)駆動力が印加されるタイヤとして決定し、外側後輪を負(-)駆動力が印加されるタイヤとして決定することができる。
【0084】
それによって、車両の停止状態で操舵補助トルクの生成のためにタイヤに印加される駆動力は、図5(a)および図5(b)に図示するように、同一の側面にある前輪と後輪に反対方向の駆動力が印加されることで、駆動力によって車両の全体に作用する前後力を0に維持することができ、操舵操作中に車両の停止状態を維持することができる。
【0085】
また、本発明は、旋回方向認知ステップ(S200)の後、操舵角の大きさを用いて、タイヤの回転時に変更されるモーメントアームの長さを算出するモーメントアーム算出ステップ(S300)をさらに含むことができる。
【0086】
モーメントアーム算出ステップ(S300)は、操舵角とモーメントアームの増減関係を示すデータを、キングピン軸と操舵モータの設置位置、およびモータ軸オフセットなど車両の諸元に関する特性値を用いて予め算出した後、メモリーなどの記憶手段に記憶し、各操舵角の大きさにマッチしているモーメントアームの長さを、メモリーなどに記憶されているデータから算出して把握することができる。
【0087】
また、本発明は、タイヤ駆動制御ステップ(S500)の前に、操舵角の大きさに応じて、左旋回または右旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを決定し、必要操舵トルクが、操舵モータ10で生成されることができる限界操舵トルクを超える場合、必要操舵トルクの一部を駆動モータ20で生成される駆動力によって補助するように決定する操舵補助決定ステップ(S400)をさらに含むことができる。
【0088】
操舵補助決定ステップ(S400)では、必要操舵トルクが、限界操舵トルクを超えると判断した場合、タイヤ駆動制御ステップ(S500)によって必要操舵トルクの一部が分担されるように決定することができる。
【0089】
このように、操舵補助決定ステップ(S400)によって、必要操舵トルクの一部が駆動モータによって分担されるように決定した場合、タイヤ駆動制御ステップ(S500)で操舵補助トルクの生成が行われることができる。
【0090】
また、操舵補助決定ステップ(S400)では、必要操舵トルクのうち、操舵モータ10によって生成される操舵トルクと、駆動モータ20によって生成される操舵補助トルクの割合を決定することもできる。
【0091】
操舵補助決定ステップ(S400)では、操舵角の大きさの増加に伴い、停止状態で右旋回または左旋回方向にタイヤを回転させるために求められる必要操舵トルクの大きさを操舵角の大きさにマッチしてメモリーに記憶し、操舵角の大きさを用いて、メモリーから必要操舵トルクを決定することができる。
【0092】
また、操舵補助決定ステップ(S400)では、タイヤ駆動制御ステップ(S500)によって駆動モータ20で生成される必要がある操舵補助トルクの割合と大きさも必要操舵トルクとともにメモリーに記憶することで、操舵角の大きさを認知するだけでも、操舵モータ10での操舵トルクの生成と駆動モータでの操舵補助トルクの生成をともに制御することができる。
【0093】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正および変形が可能である。
【0094】
したがって、本発明に開示している実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、かかる実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲によって解釈すべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0095】
100 停車判断部
200 旋回方向認知部
300 モーメントアーム算出部
400 操舵補助決定部
500 タイヤ駆動制御部
10 操舵モータ
20 駆動モータ


図1
図2
図3
図4
図5
図6