(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140257
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】組合せ秤及び組合せ秤の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G01G19/387 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171791
(22)【出願日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2021039987
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津川 久志
(72)【発明者】
【氏名】坂田 翔
(57)【要約】
【課題】 生産性の向上を図ることができる組合せ秤を提供する。
【解決手段】 本発明の一例の組合せ秤は、搬送コンベア3と、複数の被計量物保持部と、保持している被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる被計量物保持部の組合せからなる排出組合せを求める組合せ処理を繰り返し行う組合せ処理部51と、排出組合せに選択された被計量物保持部を駆動してそれぞれが保持する被計量物を搬送コンベア3へ排出させるとともに、搬送コンベア3を駆動して被計量物を後段装置50へ排出させる動作制御部52と、を備え、動作制御部52は、排出組合せに選択された被計量物保持部から排出される一群の被計量物を搬送コンベア3上で一時待機させた後、搬送コンベア3から排出させるよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物を搬送して後段装置へ排出する搬送コンベアと、
各々が保持する被計量物を前記搬送コンベアの各々定められた所定の位置へ排出する複数の被計量物保持部と、
保持している被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる前記被計量物保持部の組合せからなる排出組合せを求める組合せ処理を繰り返し行う組合せ処理部と、
前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部を駆動してそれぞれが保持する被計量物を前記搬送コンベアへ排出させるとともに、前記搬送コンベアを駆動して前記被計量物を前記後段装置へ排出させる動作制御部と、
を備え、
前記動作制御部は、
前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部から排出される一群の被計量物を前記搬送コンベア上で一時待機させた後、前記搬送コンベアから排出させるよう構成された、
組合せ秤。
【請求項2】
前記動作制御部は、
前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部から排出される一群の被計量物を前記搬送コンベア上で一時待機させた後、排出要求信号を入力すると前記搬送コンベアを所定時間駆動して前記一群の被計量物を前記搬送コンベアから排出させるよう構成された、
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記動作制御部は、
前記搬送コンベアが連続駆動されていると仮定した場合に、前記搬送コンベアの搬送方向の最も上流側の位置へ被計量物を排出する前記被計量物保持部が駆動を開始した時点から、当該被計量物保持部から排出された被計量物が前記連続駆動する前記搬送コンベアで搬送されて前記後段装置へ到達する時点までに要する時間の半分の時間の経過時に前記被計量物が到達する位置となる前記搬送コンベア上の所定位置と、前記搬送コンベアの搬出端との間の所定の待機領域に、前記一群の被計量物を一時待機させるように、前記被計量物保持部と前記搬送コンベアとの駆動を制御するよう構成された、
請求項1または2に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記搬送コンベアから排出される前記一群の被計量物を一時保持した後、前記後段装置へ排出することが可能な集合保持部をさらに備え、
前記動作制御部は、
前記集合保持部に前記搬送コンベアから排出される前記一群の被計量物を保持させた後、排出要求信号を入力すると、前記集合保持部に前記一群の被計量物を排出させるよう構成された、
請求項1~3のいずれかに記載の組合せ秤。
【請求項5】
前記搬送コンベアは、
複数の桟が搬送面に設けられたベルトコンベアによって構成された、
請求項1~4のいずれかに記載の組合せ秤。
【請求項6】
前記搬送コンベアは、
無端の平ベルトを有する2つのベルトコンベアを搬送面が断面V字状となるように並行に配設して構成された、
請求項1~4のいずれかに記載の組合せ秤。
【請求項7】
前記搬送コンベアは、
前記2つのベルトコンベアの各々の搬送面に、複数の桟が設けられた、
請求項6に記載の組合せ秤。
【請求項8】
前記被計量物保持部は、
搬送停止状態のときに被計量物が供給され、供給される被計量物を一時保持して計量し、所定時間搬送することにより保持している被計量物を前記搬送コンベアへ排出する計量コンベアである、
請求項1~7のいずれかに記載の組合せ秤。
【請求項9】
被計量物を搬送して後段装置へ排出する搬送コンベアと、
各々が保持する被計量物を前記搬送コンベアの各々定められた所定の位置へ排出する複数の被計量物保持部と、
を備えた組合せ秤の制御方法であって、
保持している被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる前記被計量物保持部の組合せからなる排出組合せを求める組合せ処理を繰り返し行い、
前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部を駆動してそれぞれが保持する被計量物を前記搬送コンベアへ排出させるとともに、前記搬送コンベアを駆動して前記被計量物を前記後段装置へ排出させる動作制御処理を行い、
前記動作制御処理は、
前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部から排出される一群の被計量物を前記搬送コンベア上で一時待機させた後、前記搬送コンベアから排出させるようにする、
組合せ秤の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合計重量が所定の目標重量範囲内となる被計量物を組合せて排出する組合せ秤及び組合せ秤の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤では、例えば、複数の被計量物の各々の重量を計量し、計量された被計量物の重量値を用いて組合せ演算を行い、合計重量が所定の目標重量範囲内となる被計量物を排出するように構成されている。
【0003】
特許文献1,2には、被計量物の重量を計量するための複数の計量コンベアと、各計量コンベアへ被計量物を供給する複数の供給コンベアと、各計量コンベアから排出される被計量物を搬送して包装機等の後段装置へ排出する1つの搬送コンベア(集合コンベア)とを備えた組合せ秤が開示されている。この組合せ秤では、後段装置からの排出要求信号(排出命令信号)を入力してから、合計重量が目標重量範囲内となる被計量物を複数の計量コンベアから搬送コンベアへ排出させて、搬送コンベアで被計量物を搬送して後段装置へ排出させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-120121号公報
【特許文献2】特開2013-120122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2の構成の組合せ秤では、後段装置からの排出要求信号を入力してから複数の計量コンベアから被計量物を排出させ、搬送コンベアで搬送する。そのため、排出要求信号を入力してから、後段装置へ被計量物を排出するまでには時間が長くなり、生産性(処理能力)を向上する上で改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、生産性の向上を図ることができる組合せ秤及び組合せ秤の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る組合せ秤は、被計量物を搬送して後段装置へ排出する搬送コンベアと、各々が保持する被計量物を前記搬送コンベアの各々定められた所定の位置へ排出する複数の被計量物保持部と、保持している被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる前記被計量物保持部の組合せからなる排出組合せを求める組合せ処理を繰り返し行う組合せ処理部と、前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部を駆動してそれぞれが保持する被計量物を前記搬送コンベアへ排出させるとともに、前記搬送コンベアを駆動して前記被計量物を前記後段装置へ排出させる動作制御部と、を備え、前記動作制御部は、前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部から排出される一群の被計量物を前記搬送コンベア上で一時待機させた後、前記搬送コンベアから排出させるよう構成されている。
【0008】
この構成によれば、一群の被計量物は、その移動経路において後段装置から最も遠い被計量物保持部よりも後段装置に近い搬送コンベア上で一時待機しているので、被計量物保持部から搬送コンベアを介して一群の被計量物を後段装置に供給する場合に比べて、後段装置への一群の被計量物の排出時間を短縮し、短いサイクルで、後段装置に一群の被計量物を供給することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0009】
前記動作制御部は、前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部から排出される一群の被計量物を前記搬送コンベア上で一時待機させた後、排出要求信号を入力すると前記搬送コンベアを所定時間駆動して前記一群の被計量物を前記搬送コンベアから排出させるよう構成されていてもよい。
【0010】
前記動作制御部は、前記搬送コンベアが連続駆動されていると仮定した場合に、前記搬送コンベアの搬送方向の最も上流側の位置へ被計量物を排出する前記被計量物保持部が駆動を開始した時点から、当該被計量物保持部から排出された被計量物が前記連続駆動する前記搬送コンベアで搬送されて前記後段装置へ到達する時点までに要する時間の半分の時間の経過時に前記被計量物が到達する位置となる前記搬送コンベア上の所定位置と、前記搬送コンベアの搬出端との間の所定の待機領域に、前記一群の被計量物を一時待機させるように、前記被計量物保持部と前記搬送コンベアとの駆動を制御するよう構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、搬送コンベアの搬送方向における概ね下流側の半分の領域が待機領域となり、この下流側の待機領域に一群の被計量物を一時待機させることにより、後段装置への一群の被計量物の排出時間をより短縮でき、生産性の向上を図ることができる。また、排出要求信号を入力すると、待機領域に一時待機させている前回の排出組合せの被計量物保持部から排出された一群の被計量物(前回の一群の被計量物)を搬送コンベアから排出するとともに、今回の排出組合せの被計量物保持部から排出される一群の被計量物(今回の一群の被計量物)を待機領域で一時待機させることができる。つまり、前回の一群の被計量物を搬送コンベアから排出させながら、今回の一群の被計量物を搬送コンベアへ供給することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0012】
前記搬送コンベアから排出される前記一群の被計量物を一時保持した後、前記後段装置へ排出することが可能な集合保持部をさらに備え、前記動作制御部は、前記集合保持部に前記搬送コンベアから排出される前記一群の被計量物を保持させた後、排出要求信号を入力すると、前記集合保持部に前記一群の被計量物を排出させるよう構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、集合保持部から一群の被計量物が纏まった状態で排出されるので、排出に要する時間がより短くなる。この場合、排出要求信号を入力すると、即座に集合保持部から纏まった状態の一群の被計量物を後段装置へ排出させることができ、後段装置への排出時間をより短縮し、より生産性の向上を図ることができる。
【0014】
前記搬送コンベアは、複数の桟が搬送面に設けられたベルトコンベアによって構成されていてもよい。この構成によれば、被計量物が転がりやすい被計量物の場合に、桟によって搬送コンベア上での被計量物の転がりを阻止できる。
【0015】
前記搬送コンベアは、無端の平ベルトを有する2つのベルトコンベアを搬送面が断面V字状となるように並行に配設して構成されていてもよい。この構成によれば、被計量物が2つのベルトコンベアと接触し、被計量物と搬送コンベアとの接触面積を増やすことができるので、被計量物が転がりやすい被計量物の場合に、搬送コンベア上での被計量物の転がりを防止できる。
【0016】
前記搬送コンベアは、前記2つのベルトコンベアの各々の搬送面に、複数の桟が設けられていてもよい。これにより、搬送コンベア上での被計量物の転がりをより防止できる。
【0017】
前記被計量物保持部は、搬送停止状態のときに被計量物が供給され、供給される被計量物を一時保持して計量し、所定時間搬送することにより保持している被計量物を前記搬送コンベアへ排出する計量コンベアであってもよい。
【0018】
この構成によれば、被計量物保持部である計量コンベア上に供給する被計量物を計量する装置を別途設ける必要がない。
【0019】
また、本発明のある態様に係る組合せ秤の制御方法は、被計量物を搬送して後段装置へ排出する搬送コンベアと、各々が保持する被計量物を前記搬送コンベアの各々定められた所定の位置へ排出する複数の被計量物保持部と、を備えた組合せ秤の制御方法であって、保持している被計量物の重量の合計が目標重量範囲内となる前記被計量物保持部の組合せからなる排出組合せを求める組合せ処理を繰り返し行い、前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部を駆動してそれぞれが保持する被計量物を前記搬送コンベアへ排出させるとともに、前記搬送コンベアを駆動して前記被計量物を前記後段装置へ排出させる動作制御処理を行い、前記動作制御処理は、前記排出組合せに選択された前記被計量物保持部から排出される一群の被計量物を前記搬送コンベア上で一時待機させた後、前記搬送コンベアから排出させるようにしている。
【0020】
この制御方法によれば、一群の被計量物は、その移動経路において後段装置から最も遠い被計量物保持部よりも後段装置に近い搬送コンベア上で一時待機しているので、被計量物保持部から搬送コンベアを介して一群の被計量物を後段装置に供給する場合に比べて、短いサイクルで、後段装置に一群の被計量物を供給することができ、生産性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上に説明した構成を有し、生産性の向上を図ることができる組合せ秤及び組合せ秤の制御方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1(A)は、本実施形態の一例の組合せ秤を上方から視た模式平面図であり、
図1(B)は、同組合せ秤を側方から視たときの要部を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す組合せ秤の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す組合せ秤の動作を説明するために用いる計量コンベア及び搬送コンベアの配置を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す組合せ秤の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態における変形例の要部を示す図である。
【
図6】
図6(A)は、本実施形態における第1変形例の搬送コンベアを備えた組合せ秤の要部を上方から視た模式平面図であり、
図6(B)は、同組合せ秤を側方から視たときの要部を示す模式図である。
【
図7】
図7(A)は、本実施形態における第2変形例の搬送コンベアを備えた組合せ秤の要部を上方から視た模式平面図であり、
図7(B)は、同組合せ秤を側方から視たときの要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。また、以下で例示する数値は一例であり、その数値に限定されるものではない。
【0024】
(実施形態)
図1(A)は、本実施形態の一例の組合せ秤を上方から視た模式平面図であり、
図1(B)は、同組合せ秤を側方から視たときの要部(計量部及び搬送コンベア)を示す模式図である。また、
図2は、
図1に示す組合せ秤の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
本組合せ秤は、複数(例えば12個)の計量部Cwと、搬送コンベア3と、操作表示器4と、制御装置5などを備えている。
【0026】
搬送コンベア3が略中央に配設され、搬送コンベア3の両側に6個ずつの計量部Cwが配設されている。各々の計量部Cwは、本実施形態では、ロードセル等の重量センサ2によって支持されたベルトコンベアからなる計量コンベア1で構成されている。本例において、計量コンベアは被計量物保持部である。ここで、搬送コンベア3の一方側の6個の計量部Cwからなるグループを計量グループG1とし、他方側の6個の計量部Cwからなるグループを計量グループG2として説明する。
【0027】
計量グループG1の計量部Cwの6個の計量コンベア1は、搬送コンベア3の一方の側方において並行に配置され、これら各々の搬送方向(矢印aの方向)が搬送コンベア3の搬送方向(矢印cの方向)と交差(本例では直交)するように配置されている。また、計量グループG2の計量部Cwの6個の計量コンベア1は、搬送コンベア3の他方の側方において並行に配置され、これら各々の搬送方向(矢印bの方向)が搬送コンベア3の搬送方向と交差(本例では直交)するように配置されている。
【0028】
搬送コンベア3は、本実施形態では、ベルトコンベアで構成され、各計量コンベア1から排出される被計量物を、矢印cの方向(上流端3bから下流端である搬出端3aに向かう方向)へ搬送する。そして、搬送先には組合せ秤の次段の後段装置50が設置され、搬送コンベア3によって搬送された被計量物は、後段装置50へ供給される。
図1の例では、搬送コンベア3の搬出端3aの近傍にファネル21が備えられており、搬送コンベア3から搬出された被計量物は、ファネル21の下部出口21aを通過して後段装置50へ供給される。
【0029】
なお、各計量コンベア1及び搬送コンベア3には、搬送される被計量物が両サイドから落ちないように両サイドに一対のガイド板(図示せず)が設けられていてもよい。
【0030】
また、装置本体部15が架台(図示せず)上に取り付けられ、装置本体部15上に計量コンベア1及び搬送コンベア3等が取り付けられている。また、装置本体部15には、
図2に示されたコンベア駆動回路部8a,8b、A/D変換部9、制御装置5及びI/O回路部10等が収納されている。
【0031】
また、各計量部Cwでは、重量センサ2によって計量コンベア1上の被計量物の重量が計量され、その計量値(アナログ重量信号)は、A/D変換部9でデジタル信号に変換され、制御装置5に送られる。
【0032】
制御装置5は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、CPU等からなる演算制御部6と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部7とを有している。記憶部7には、運転用プログラム、動作パラメータのデータ、計量データ等が記憶される。制御装置5は、タイマ機能を備え、組合せ処理部51、動作制御部52等として機能する。なお、制御装置5は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0033】
制御装置5は、演算制御部6が記憶部7に記憶されている運転用プログラムを実行することにより、組合せ秤の全体の制御を行うとともに後述の組合せ処理等を行う。例えば、各重量センサ2によって計測される計量値をA/D変換部9を介してデジタル値として随時取得し、必要であれば記憶部7に記憶する。また、制御装置5は、コンベア駆動回路部8a,8bを介して各計量コンベア1及び搬送コンベア3の搬送動作を制御する。また、制御装置5は、I/O回路部10を介して、後段装置50との信号の授受が可能であり、本実施形態では、後段装置50から排出要求信号を入力し、後段装置50へ排出通知信号を出力する。また、制御装置5は、操作表示器4からの信号を入力し、操作表示器4へ表示するデータ等の信号を出力する。なお、A/D変換部9及びI/O回路部10が制御装置5に含まれていてもよい。
【0034】
操作表示器4は、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ(表示装置)を備え、このディスプレイの画面上で、組合せ秤の運転の開始及び停止等の操作、運転パラメータの設定等を行うことができるとともに、制御装置5による組合せ処理の結果(組合せ重量等)をディスプレイ画面上に表示することができる。
【0035】
後段装置50では、被計量物の受け入れ準備ができたとき、あるいはその直前の所定のタイミングで排出要求信号を組合せ秤(制御装置5)へ出力する。また、組合せ秤(制御装置5)からの排出通知信号を入力すると、その入力したタイミングに基づいて所定の動作を開始するように構成されている。後段装置50としては、例えば被計量物を袋詰めするための給袋式の包装機が配置される場合がある。また、後段装置50として、例えば複数のトレー(浅い箱)を環状に連結して間欠的に水平移動させるトレー搬送装置が配置される場合がある。
【0036】
図1(A)に示すファネル21は、後段装置50の袋(包装機の場合)あるいはトレー(トレー搬送装置の場合)に、搬送コンベア3の搬出端3aから排出される被計量物が正確に入るようにするために設けられている。搬送コンベア3から排出される被計量物は、ファネル21の下部出口21aを通過して袋あるいはトレーに入れられる。
【0037】
次に、本実施形態の組合せ秤の動作の一例について説明する。
本実施形態では、作業者は、搬送停止状態で被計量物が載っていない計量コンベア1に被計量物を随時供給する(載せる)作業を行う。ここで、各計量コンベア1へ1回に供給する被計量物は、1個の物品で構成されてもよいし、複数個の物品で構成されてもよい。被計量物は、例えば、農産物または水産物等である。
【0038】
制御装置5は、A/D変換部9から一定時間間隔で各重量センサ2の計量値を取得し、重量センサ2の計量値に基づいて被計量物が供給されている計量コンベア1を認識するとともにその被計量物の重量値を認識する。ここで、被計量物が供給されている計量コンベア1を認識する際、計量値(重量値)を予め設定されている載荷検出基準値(例えば6g)と比較し、計量値が載荷検出基準値以上であれば被計量物が供給されていると判定し、載荷検出基準値未満であれば被計量物は供給されていないと判定する。
【0039】
ここで、制御装置5(組合せ処理部51)による組合せ処理について説明する。この組合せ処理では、各重量センサ2の計量値から得られる各計量コンベア1上の被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行い、供給されている被計量物の合計重量(組合せ重量)が所定の目標重量範囲(目標重量に対する許容範囲)内になる計量コンベア1の組合せを全て求め、1つの組合せを排出組合せに決める。組合せ処理によって排出組合せに選択された計量コンベア1上の被計量物は、計量コンベア1によって搬送されてその搬出端1aから搬送コンベア3上へ排出される。本実施形態では、各計量コンベア1が被計量物保持部であり、その搬出端1aが被計量物保持部の排出口である。
【0040】
図3は、
図1に示す組合せ秤の動作を説明するために用いる計量コンベア1及び搬送コンベア3の配置を示す模式図である。
【0041】
本実施形態では、作業者が各計量コンベア1に被計量物を載せる位置を、例えば計量コンベア1の機長方向の真ん中の位置とするように作業マニュアル等で定められているものとする。そして、全ての計量コンベア1の搬送速度は同一に設定されており、各々の計量コンベア1の搬送動作の開始時からその計量コンベア1上の被計量物が搬送コンベア3上へ排出されるまでに要する時間は同一と考える。
【0042】
各計量コンベア1には、例えば、
図3中のかっこ書きで示されるように、搬送コンベア3の搬出端3aに近い方から順にコンベア番号が付されており、各計量コンベア1に対するコンベア番号は記憶部7に記憶されている。なお、搬送コンベア3の搬送方向に対する位置が同一であって、搬送コンベア3を挟んで対向配置されている計量コンベア1についてはいずれか一方に小さいコンベア番号を付し、他方に次のコンベア番号を付している。また、搬送コンベア3の機長方向(搬送方向)に隣接する計量コンベア1間の中心間距離をL、搬送コンベア3の搬出端3aからこの搬出端3aに最も近い計量コンベア1の中心までの距離をPとする。
【0043】
また、
図3では、コンベア番号が(k)の計量コンベア1から排出された被計量物をMk(k=1~12)として示している。例えば、M12は、コンベア番号が(12)の計量コンベア1から排出された被計量物である。また、
図3の「搬送位置」は、搬送コンベア3の搬送方向における、計量コンベア1の排出口である搬出端1aの位置(搬出端1aの中心位置)を示している。この
図3では、コンベア番号が(1)、(2)の計量コンベア1の搬出端1aの位置を0とし、搬送コンベア3の上流側になるほど位置の値が大きくなるようにして「搬送位置」が例示されているが、これに限らない。制御装置5は、予め各計量コンベア1の「搬送位置」を記憶部7に記憶している。
【0044】
本実施形態では、制御装置5(動作制御部52)は、排出組合せに選択された各計量コンベア1から排出される一群の被計量物を、搬送コンベア3の所定の待機領域Rで一時待機させてから後段装置50へ排出するように、各計量コンベア1及び搬送コンベア3の動作(駆動)を制御している。
【0045】
待機領域Rの上流側の境界位置X1について説明する。例えば、境界位置X1は、搬送コンベア3が所定の搬送速度(Vt)で連続駆動されていると仮定した場合に、搬送コンベア3の搬送方向の最も上流側の位置へ被計量物を排出する計量コンベア1(コンベア番号(11),(12)の計量コンベア1)が駆動を開始した時点から、当該計量コンベア1から排出された被計量物M11,M12が上記連続駆動する搬送コンベア3で搬送されて後段装置50へ到達する時点までに要する時間(Tmax)の半分の時間(Tmax/2)の経過時に、被計量物M11,M12が到達する位置となる搬送コンベア3上の所定位置である。
【0046】
図3では、搬送コンベア3の搬送方向の最も上流側の位置へ被計量物を排出する計量コンベア1は、コンベア番号(11),(12)の計量コンベア1である。よって、上記時間Tmaxは、例えば、コンベア番号(11),(12)の計量コンベア1が駆動を開始してからその保持している被計量物M11,M12が搬送コンベア3上に到達するまでに要する時間Tsと、当該被計量物M11,M12が搬送コンベア3上に到達してから、連続駆動する搬送コンベア3の搬出端3aまで搬送されるのに要する時間Tmと、搬出端3aから後段装置50に当該被計量物M11,M12が到達するまでに要する時間Teと、の和として算出することができる。
【0047】
前述のように、被計量物は、作業者により各計量コンベア1の機長方向の真ん中の位置に載せられ、全ての計量コンベア1の搬送速度は同一に設定されているから、一の計量コンベア1の搬送動作の開始時から当該計量コンベア1が保持する被計量物が搬送コンベア3上へ排出されるまでに要する時間はすべての計量コンベア1において同一とする。つまり、前述の時間Tsは、予め求められた所定の時間である。
【0048】
前述のように、搬送コンベア3の機長方向(搬送方向)に隣接する計量コンベア1間の中心間距離がLなので、前述の時間Tmは、コンベア番号(11),(12)の計量コンベア1から、コンベア番号(1),(2)の計量コンベア1までの中心間距離(5×L)と、搬送コンベア3の搬出端3aからこの搬出端3aに最も近いコンベア番号(1),(2)の計量コンベア1の中心までの距離Pとの和を、搬送コンベア3の搬送速度Vtで割って求まる時間であり、予め求められた所定の時間である。
【0049】
また、前述の時間Teは、例えば、搬送コンベア3の搬出端3aと、搬送コンベア3の搬出端3aの近傍に備えられたファネル21の下部出口21a近傍または後段装置50の投入口近傍と、のそれぞれに、被計量物検出センサ(光電センサや近接センサなど)を設置して、搬送コンベア3に被計量物を流して2つの被計量物検出センサの検出時間差を求める実験を複数回行い、この複数回の検出時間差の平均値として求まる時間である。つまり、前述の時間Teは、予め求められた所定の時間である。
【0050】
よって、時間TsとTmとTeとの合計である時間Tmaxは、予め求められた所定の時間である。なお、上記では、TsとTmとTeとの和によりTmaxを求めるようにしたが、これに限定するものではない。例えば、時間Tmaxは、搬送コンベア3の搬出端3aの近傍に備えられたファネル21の下部出口21a近傍または後段装置50の投入口近傍に、光電センサや近接センサなどの被計量物検出センサを設置しておいて、搬送コンベア3を一時停止することなく連続駆動しておき、コンベア番号(11),(12)の計量コンベア1の駆動を開始したときから、上記被計量物検出センサが被計量物M11,M12を検出するまでの時間を計測して求めるようにしても良い。
【0051】
そして、待機領域Rの上流側の境界位置X1は、コンベア番号(11),(12)の計量コンベア1が駆動を開始(搬送動作を開始)した時から、上記時間Tmaxの半分の時間Tmax/2の経過時に、上記計量コンベア1から搬送動作中の搬送コンベア3へ排出された被計量物M11,M12が到達する搬送コンベア3上の位置である。
【0052】
また、待機領域Rの下流側の境界位置X2は、最も下流側のコンベア番号(1),(2)の計量コンベア1の「搬送位置(搬出端1aの中心位置)」から搬送コンベア3の搬出端3aまでの間の所定の位置とすることができ、その位置で一時待機する被計量物が搬送コンベア3の搬出端3aから排出されない程度に当該搬出端3aより上流寄りの位置とすることが好ましい。
【0053】
制御装置5(動作制御部52)は、排出組合せに選択されている複数の計量コンベア1から排出される一群の被計量物を待機領域Rで一時待機させるように、計量コンベア1と搬送コンベア3との駆動を制御するよう構成されている。
【0054】
具体的には、制御装置5(動作制御部52)は、組合せ秤の運転が順調に行われ、待機領域Rに一群の被計量物があるときには、後段装置50から排出要求信号を入力した時を基準にタイマ機能による計時を開始するとともに、搬送コンベア3の駆動を開始し、時間Tmax/2が経過すると搬送コンベア3の駆動を停止する。この搬送コンベア3の駆動により、待機領域Rにあった一群の被計量物は、後段装置50に排出される。
【0055】
また、制御装置5(動作制御部52)は、例えば組合せ秤の運転の開始時などにおいて、待機領域Rに一群の被計量物がないときには、排出組合せを求めた時を基準にタイマ機能による計時を開始するとともに、搬送コンベア3の駆動を開始し、時間Tmax/2が経過すると搬送コンベア3の駆動を停止する。
【0056】
さらに、制御装置5(動作制御部52)は、待機領域Rに一群の被計量物がある場合もない場合も、上記タイマ機能による計時開始時からTmax/2が経過して搬送コンベア3が停止したときに、排出組合せに選択された計量コンベア1から排出される一群の被計量物の全てが、待機領域R内となるように、タイマ機能による計時開始時から時間Tmax/2が経過するまでの間に、排出組合せに選択された各計量コンベア1を所定時間駆動する。なお、以下では、各計量コンベア1の駆動時間を前述の時間Tsと同じとするが、これに限らない。また、搬送コンベア3の搬送速度をVtとする。
【0057】
例えば、排出組合せに選択された各計量コンベア1のコンベア番号が(3)、(4)、(7)、(12)であるとき、制御装置5(動作制御部52)は、上述のようにタイマ機能による計時を開始するとともに搬送コンベア3の駆動を開始したときに、コンベア番号(12)の計量コンベア1の駆動を開始して所定時間Ts経過後に、停止する。コンベア番号(12)の計量コンベア1から排出された被計量物M12は、計時開始から時間Tmax/2経過して搬送コンベア3が停止したとき、待機領域Rの上流側の境界位置X1で停止する。
【0058】
また、制御装置5(動作制御部52)は、例えば、破線D1で囲まれたように、被計量物M7が被計量物M12と同じ位置で搬送されるように、計時開始(コンベア番号(12)の計量コンベア1の駆動開始)から(2×L)/Vt経過後に、コンベア番号(7)の計量コンベア1の駆動を開始して所定時間Ts経過後に、停止する。この被計量物M7は、搬送コンベア3が停止したとき、待機領域Rの上流側の境界位置X1で停止する。
【0059】
また、制御装置5(動作制御部52)は、被計量物M12と被計量物M7とが境界位置X1に到達するタイミングで、コンベア番号(3)、(4)の計量コンベア1の被計量物M3、M4が搬送コンベア3に排出されるように、当該計量コンベア1を駆動する。つまり、計時開始から(Tmax/2-Ts)経過後に、コンベア番号(3)、(4)の計量コンベア1の駆動を開始して所定時間Ts経過後に、停止する。被計量物M3、M4は、搬送コンベア3が停止すると同時に、各計量コンベア1から排出された被計量物が搬送コンベア3に到達する。
【0060】
これにより、
図3の破線D2で囲まれたように、一群の被計量物M3、M4、M7、M12のすべては待機領域Rで待機する。ここで、被計量物が待機領域Rで待機するとは、被計量物の中心が待機領域Rに入っていればよい。なお、
図3では、被計量物M7、M12の中心が境界位置X1からずれているが、実際にはこのようなずれも生じる。
【0061】
なお、被計量物M1~M10を排出する各計量コンベア1の駆動開始のタイミングは、その都度、制御装置(動作制御部52)が上述の被計量物M3、M4、M7を排出する場合と同様に求めても良いし、予め求めた結果を記憶部7に記憶しておいて必要な時に読みだしても良い。なお、被計量物M11、M12を排出する各計量コンベア1の駆動開始のタイミングは、タイマ機能による計時開始と同時、すなわち、搬送コンベア3の駆動開始(搬送開始)と同時である。
【0062】
なお、上記の例では、被計量物の排出位置が最も上流側にあるコンベア番号(11)、(12)の計量コンベア1以外で、被計量物の排出位置が待機領域Rにない計量コンベア1、すなわち、排出位置(搬出端1aの中心位置)が境界位置X1よりも上流側にあるコンベア番号(7)~(10)の計量コンベア1については、それらから排出された被計量物M7~M10が、被計量物M11,M12と同様、境界位置X1で待機するように、駆動を開始させるようにしたが、待機位置が待機領域R内になるのであれば、被計量物M11,M12よりも下流側に位置するように、駆動を開始させるようにしてもよい。
【0063】
また、排出位置(搬出端1aの中心位置)が境界位置X1よりも下流側にあるコンベア番号(1)~(6)の計量コンベア1については、搬送コンベア3の駆動開始から(Tmax/2-Ts)経過後に駆動を開始して、搬送コンベア3の駆動停止時に、各計量コンベア1にその排出位置に被計量物M1~M6を排出させて待機するようにしたが、待機位置が待機領域R内になるのであれば、搬送コンベア3の駆動開始から(Tmax/2-Ts)経過する前に駆動を開始させるようにしてもよい。
【0064】
制御装置5(組合せ処理部51)は、排出組合せを求めて計時を開始した後も、所定のタイミングで各計量コンベア1からそれぞれが保持する被計量物の計量値(重量値)を取得して、次の排出組合せを求めるので、作業者が空の計量コンベア1に被計量物を順調に供給し続ければ、搬送コンベア3の駆動停止時には、次の排出組合せは求まっており、制御装置5(動作制御部52)は、排出要求信号を入力するたびに、搬送コンベア3と各計量コンベア1の駆動制御を繰り返して行うことができる。
【0065】
図4は、
図1に示す組合せ秤の動作の一例を示すフローチャートである。この組合せ秤の動作は制御装置5の処理によって実現される。なお、組合せ秤の動作を制御するために必要となる情報等は全て記憶部7に記憶される。
【0066】
なお、
図4は、組合せ秤の運転途中の動作の一例を示したものであり、ここでは、搬送コンベア3の待機領域Rに、前回の排出組合せに選択された計量コンベア1から排出された一群の被計量物が待機されている状態とする。なお、運転開始時などで搬送コンベア3の待機領域Rに被計量物が待機していない時には、前述のように、後段装置50からの排出要求信号を入力していなくても、排出組合せが求まれば、その排出組合せに選択された計量コンベア1から被計量物を排出させ、搬送コンベア3の待機領域Rに待機させるように、計量コンベア1及び搬送コンベア3を駆動させればよい。
【0067】
また、
図4に示していないが、制御装置5(組合せ処理部51)は、常時、所定時間間隔で組合せ処理を行っており、
図4では、排出要求信号が入力された時点では排出組合せが求められているものとする。
【0068】
制御装置5は、ステップS1で、後段装置50からの排出要求信号を入力したか否かを判定し、入力すればステップS2へ進む。
【0069】
制御装置5(動作制御部52)は、ステップS2で、搬送コンベア3に搬送動作を開始(駆動を開始)させるとともにタイマ機能による計時を開始させる。
【0070】
次に、制御装置5(動作制御部52)は、ステップS3で、排出組合せに選択されている各計量コンベア1を、各々から排出された被計量物が搬送コンベア3の搬送停止時(ステップS4)に待機領域Rで停止(一時待機)するタイミングで搬送動作(駆動)を開始させ、所定時間(例えば前述の時間Ts)だけ搬送動作させる。なお、前述のように、コンベア番号(11)、(12)の計量コンベア1が排出組合せに選択されている場合には、これらの計量コンベア1は、搬送コンベア3と同時に搬送動作が開始される。
【0071】
次に、制御装置5(動作制御部52)は、ステップS4で、搬送コンベア3に搬送動作を開始させてからTmax/2の時間が経過すると搬送コンベア3に搬送動作を終了(駆動を停止)させて、後段装置50へ排出通知信号を出力する(ステップS5)。以上の動作が繰り返し行われる。
【0072】
本実施形態では、搬送コンベア3の搬送方向における概ね下流側の半分の領域が待機領域Rとなり、この下流側の待機領域Rに排出組合せに選択された計量コンベア1から排出された一群の被計量物を一時待機させることにより、排出要求信号を入力してから後段装置50への一群の被計量物の排出が完了するまでの排出時間を短縮し、生産性の向上を図ることができる。後段装置50への排出時間を短縮することで、後段装置50では次の動作を早く開始することができる。
【0073】
また、例えば、前述のステップS2で搬送コンベア3の搬送動作が開始されると、搬送コンベア3の待機領域Rに停止(一時待機)していた前回の排出組合せに選択された計量コンベア1から排出された一群の被計量物(前回の一群の被計量物)は、搬送コンベア3の搬出端3aからファネル21を介して後段装置50に供給され、ステップS3で今回の排出組合せに選択された計量コンベア1から排出される一群の被計量物(今回の一群の被計量物)が搬送コンベア3へ供給される。これによって、搬送コンベア3の搬送動作時間(Tmax/2)の間に、前回の一群の被計量物の搬送コンベア3からの排出と、今回の一群の被計量物の搬送コンベア3への供給とを行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
【0074】
(変形例)
上述の実施形態では、待機領域Rを、
図3に示されるように搬送コンベア3の搬送方向における概ね下流側の半分の領域としたがこれに限らない。例えば、待機領域Rの上流側の境界位置X1を、より上流側に移動させた位置に設定してもよいし、下流側に移動させた位置に設定してもよい。
【0075】
つまり、制御装置5(動作制御部52)は、排出組合せに選択された計量コンベア1から排出される一群の被計量物を搬送コンベア3上で一時待機させた後、排出要求信号を入力すると搬送コンベア3を所定時間駆動して一群の被計量物を後段装置50へ排出させるよう構成されていればよい。これにより、一群の被計量物は、その移動経路において後段装置50から最も遠い計量コンベア1よりも後段装置50に近い搬送コンベア3上で一時待機しているので、排出要求信号を入力してから計量コンベア1から搬送コンベア3を介して一群の被計量物を後段装置50に供給する場合に比べて、短いサイクルで、後段装置50に一群の被計量物を供給することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0076】
また、上述の実施形態では、搬送コンベア3の搬出端3aと後段装置50との間に集合保持部を備えなかったが、
図5に示すように、搬送コンベア3の搬出端3aと後段装置50との間に、ファネル21に代えてまたはファネル21の下流に、集合ホッパ31のような集合保持部を備えてもよい。この集合ホッパ31は、排出ゲート31gを有し、搬送コンベア3の搬出端3aから排出される被計量物を収容し、一時保持した後、排出ゲート31gを開いて下方の後段装置50へ排出することができる。集合ホッパ31の動作(排出ゲート31gの開閉動作)は、制御装置5(動作制御部52)によって制御される。
【0077】
このような集合ホッパ31を備えた場合、組合せ秤の運転を開始してから、k回目(kは正の整数)に求められた排出組合せに選択された計量コンベア1から排出された一群の被計量物を集合ホッパ31に保持した状態で、次の(k+1)回目に求められた排出組合せに選択された計量コンベア1から排出された一群の被計量物を搬送コンベア3の待機領域Rに保持させることができる。この場合、制御装置5は、後段装置50から排出要求信号を入力すると、即座に排出ゲート31gを開閉する(開いて閉じる)ことにより、集合ホッパ31から一群の被計量物を排出させ、排出通知信号を後段装置50へ出力することができる。また、この場合、制御装置5は、後段装置50から排出要求信号を入力すると、即座に排出ゲート31gを開閉して集合ホッパ31に保持している一群の被計量物を排出し、さらに搬送コンベア3を駆動して搬送コンベア3の待機領域Rに保持している今回の一群の被計量物が集合ホッパ31へ排出されて集合ホッパ31で保持される。
【0078】
このように集合ホッパ31を備えることにより、制御装置5は、排出要求信号を入力すると、即座に集合ホッパ31から纏まった状態の被計量物を後段装置50へ排出させることができるので、後段装置50への排出時間をより短縮し、より生産性の向上を図ることができる。後段装置50への排出時間をより短縮することで、後段装置50では次の動作をより早く開始することができる。
【0079】
なお、集合保持部は、集合ホッパ31に限定するものではなく、例えば、搬送コンベア3から排出された被計量物が一時保持することができ、シャッターなどで被計量物の排出と保持が切り替えられるものであればよい。
【0080】
次に搬送コンベアの変形例について説明する。
図6(A)は、本実施形態における第1変形例の搬送コンベアを備えた組合せ秤の要部を上方から視た模式平面図であり、
図6(B)は、同組合せ秤を側方から視たときの要部を示す模式図である。
【0081】
第1変形例の搬送コンベア3Aは、複数の桟32が搬送面に設けられたベルトコンベアによって構成されている。このように搬送コンベア3Aを複数の桟32が設けられたベルトコンベアによって構成することにより、被計量物が転がりやすい被計量物の場合に、桟32によって搬送コンベア3A上での被計量物の転がりを阻止できる。特に、搬送コンベア3Aが搬送(駆動)を停止した時、及び、搬送再開時(駆動再開時)に被計量物が転がって移動することを防止できる。例えば、搬送コンベア3Aが停止した時に被計量物が上流側へ転がって待機領域R(
図3参照)から飛び出るのを防止できる。また、搬送コンベア3Aの搬送再開時に被計量物が下流側へ転がって搬送コンベア3Aからの排出時間が延びるのを防止できる。
【0082】
なお、被計量物が転がって移動する距離を短くする上で、搬送コンベア3Aに設けられた桟32は、被計量物の搬送方向(矢印cの方向)と交差する方向(例では直交する方向)に延びて上記搬送方向に所定間隔を空けて並んでいるのが好ましい。また、桟32の配置間隔Qは、搬送コンベア3Aの搬送方向に並んだ計量コンベア1の配置間隔Lよりも小さいことが好ましい。
【0083】
また、桟32の高さは、被計量物の大きさ等に応じて適宜定めることができる。また、各々の桟32は、搬送方向に向かい合う両側の側面が平行で、搬送面に対して垂直に設けられていてもよいし、搬送方向に対して前傾姿勢または後傾姿勢となるように搬送面に設けられていてもよい。また、各々の桟32において、搬送方向に向かい合う各々の側面が、搬送面に対して異なる角度で傾いていてもよい。例えば、各々の桟32において、搬送方向後方側の側面を、後方側へ傾いた面(後傾姿勢の面)としてもよいし、搬送方向前方側の側面を、前方側へ傾いた面(前傾姿勢の面)としてもよい。また、各々の桟32において、搬送方向後方側の側面を、前方側へ傾いた面(前傾姿勢の面)としてもよいし、搬送方向前方側の側面を、後方側へ傾いた面(後傾姿勢の面)としてもよい。また、これらに限られず、例えば桟32の側面を凹形状などに湾曲させた曲面にするなど、桟32の形状は種々変更可能である。
【0084】
また、二点鎖線で示すように、計量コンベア1の搬送面にも複数の桟12が設けられていてもよい。これにより、計量コンベア1上での被計量物の転がりを防止できる。被計量物が転がって移動する距離を短くする上で、計量コンベア1の搬送面にも、その搬送方向に所定の配置間隔で配置された複数の桟12が設けられているのが好ましい。
【0085】
次に、
図7(A)は、本実施形態における第2変形例の搬送コンベアを備えた組合せ秤の要部を上方から視た模式平面図であり、
図7(B)は、同組合せ秤を側方から視たときの要部を示す模式図である。
【0086】
第2変形例の搬送コンベア3Bは、無端の平ベルトを有する2つのベルトコンベア33,34を、その搬送面が断面V字状となるように並行に配設して構成されている。2つのベルトコンベア33,34の搬送面のなす角度θは、例えば90度としているが、これに限られない。
【0087】
この構成により、例えば、
図7(B)に示すように、被計量物Mが2つのベルトコンベア33,34と接触し、被計量物Mと搬送コンベア3Bとの接触面積を増やすことができるので、被計量物が転がりやすい被計量物の場合に、搬送コンベア3B上での被計量物の転がりを防止できる。特に、搬送コンベア3Bが搬送を停止した時、及び、搬送再開時に被計量物が転がって移動することを防止できる。
【0088】
さらに、二点鎖線で示すように、2つのベルトコンベア33,34の搬送面に、搬送コンベア3Aの桟32と同様に桟35が設けられてあってもよい。これにより、搬送コンベア3B上での被計量物の転がりをより防止できる。
【0089】
なお、
図7(A),(B)及び
図1(A),(B)の構成においても、計量コンベア1の搬送面に複数の桟12(
図6(A)参照)が設けられていてもよい。
【0090】
また、上述の実施形態では、被計量物保持部が計量コンベア1であったが、計量ホッパであっても良く、計量機能を有するアームロボットであっても良い。
【0091】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、生産性の向上を図ることができる組合せ秤及び組合せ秤の制御方法等として有用である。
【符号の説明】
【0093】
1 計量コンベア
3,3A,3B 搬送コンベア
5 制御装置
11 被計量物検出部
31 集合ホッパ
32,35 桟
51 組合せ処理部
52 動作制御部