(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140285
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】触覚的なフィードバックを有する、時計ムーブメントを制御するためのデバイス、およびそのようなデバイスを備える時計、特に腕時計
(51)【国際特許分類】
G04B 3/04 20060101AFI20220915BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20220915BHJP
【FI】
G04B3/04 E
G04G21/00 302A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021208962
(22)【出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】21161683.4
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508289992
【氏名又は名称】メコ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ボナンファン
(72)【発明者】
【氏名】レミ・ティリ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ガイザー
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA05
2F002EH06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者が制御デバイスの位置を変更するときに、十分な強さの触覚的なフィードバックを使用者に提供する。
【解決手段】時計ムーブメント用の制御デバイス10であって、時計ムーブメントに対して固定されるように意図された摺動案内チューブ11を備える第1の部分と、調節ロッド120によって時計ムーブメントの構成部品と一体となることができるアクティブ位置と、調節ロッドが時計ムーブメントの構成部品を解放するように意図された非アクティブ位置との間を、案内チューブによって摺動可能に案内される第2の可動部分12とを含み、第2の部分は、調節ロッドに固定され、第2の部分がアクティブ位置および非アクティブ位置にあるときに休止状態の位置にあり、第2の部分がこれらの位置の間を移動するときに案内チューブによって押されるように配置された可逆的な弾性ケーシング・モジュール130を覆うヘッド140を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメント用の制御デバイス(10)であって、一方では、前記時計ムーブメントに対して固定されるように意図された摺動案内チューブ(11)を備える第1の部分と、他方では、調節ロッド(120)によって前記時計ムーブメントの構成部品と一体となることができるアクティブ位置と、前記調節ロッド(120)が前記時計ムーブメントの前記構成部品を解放するように意図された非アクティブ位置との間を、前記第1の部分に対して「軸方向」と呼ばれる方向に前記案内チューブ(11)によって摺動可能に案内される第2の可動部分(12)とを含み、前記第2の部分(12)は、前記調節ロッド(120)に固定され、前記第2の部分(12)が前記アクティブ位置および非アクティブ位置にあるときに休止状態の位置にあり、前記第2の部分(12)がこれらの位置の間を移動するときに前記案内チューブ(11)によって押されるように配置された可逆的な弾性ケーシング・モジュール(130)を覆うヘッド(140)を備えることを特徴とする制御デバイス(10)。
【請求項2】
前記案内チューブ(11)は、前記弾性ケーシングモジュール(130)を押すときに、半径方向の突起によって、半径方向の弾性復元力に逆らう力を発揮する、請求項1に記載の制御デバイス(10)。
【請求項3】
前記半径方向の突起は、前記案内チューブ(11)の一端に配置されたリップによって形成されている、請求項2に記載の制御デバイス(10)。
【請求項4】
前記案内チューブ(11)は、外側周壁が、前記ヘッド(140)の盲空洞(141)の周壁(143)によって並進方向に案内される第1の円筒部分を備え、内側周壁が前記調節ロッド(120)の周りで並進方向に案内される第2の円筒部分を備える段付き円筒形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御デバイス(10)。
【請求項5】
前記案内チューブ(11)は、その2つの円筒部分の間に肩部を含み、前記第1の部分は、前記肩部および前記弾性ケーシング・モジュール(130)に当たって受け止められるように配置された弾性部材(115)を受け入れ、前記弾性部材は、前記弾性ケーシング・モジュール(130)を前記案内チューブ(11)から遠ざけようとする力を生成するように圧縮状態で働く、請求項4に記載の制御デバイス(10)。
【請求項6】
前記案内チューブ(11)の前記第1の部分は、前記第2の部分(12)が前記アクティブ位置にあるときに前記弾性ケーシング・モジュール(130)を受け入れる凹部を含み、前記弾性ケーシング・モジュール(130)は、前記第2の部分(12)が前記アクティブ位置にあるときに前記凹部より後退させられる、請求項4または5に記載の制御デバイス(10)。
【請求項7】
前記弾性ケーシング・モジュール(130)は、前記調節ロッド(120)と前記ヘッド(140)との間に挟まれ、その結果、前記ヘッド(140)は、前記モジュールによって前記調節ロッド(120)に固定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御デバイス(10)。
【請求項8】
前記弾性ケーシング・モジュール(130)は、周壁によって互いに接続された2つの端壁の間に延在するケージを備え、前記端壁は、前記ヘッド(140)および前記調節ロッド(120)のそれぞれに固定され、前記ケージは、前記周壁を貫通して突出する弾性要素を受け入れる、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御デバイス(10)。
【請求項9】
前記弾性要素は、前記ケージを越えて延在するように前記周壁の貫通オリフィス内に係合された少なくとも1つの摺動部(135)を含み、前記少なくとも1つの摺動部(135)は、前記調節ロッド(120)の摺動方向に垂直な方向に並進するように構成され、弾性部材(136)によって前記摺動部(135)を前記貫通オリフィス内に保持しようとする弾性復元力を受ける、請求項8に記載の制御デバイス(10)。
【請求項10】
前記弾性要素は、前記周壁に固定された底部(134)を含み、前記弾性部材(136)は、前記底部(134)と前記摺動部(135)との間に挟まれ、圧縮状態で働く、請求項9に記載の制御デバイス(10)。
【請求項11】
前記弾性要素は、前記ケージを越えて延在するように前記周壁の貫通オリフィス内にそれぞれ係合された2つの摺動部(135)を含み、前記摺動部(135)は、前記調節ロッド(120)の摺動方向に垂直な方向に並進するように構成され、弾性部材(136)によって前記摺動部(135)を前記貫通オリフィス内に保持しようとする弾性復元力を受ける、請求項9に記載の制御デバイス(10)。
【請求項12】
前記弾性部材(136)は、前記摺動部(135)間に挟まれ、圧縮状態で働く、請求項11に記載の制御デバイス(10)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの摺動部(135)は、その遠位端に、前記アクティブ位置と前記非アクティブ位置との間を前記第2の部分(12)が変位するときに、前記案内チューブ(11)が当たって受け止めるように意図された半球形状部(138)を含む、請求項9に記載の制御デバイス(10)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの摺動部(135)は玉によって形成される、請求項9に記載の制御デバイス(10)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の制御デバイス(10)と、時計ムーブメントが収容され、前記制御デバイス(10)が貫通して挿入されるケースと、前記時計ムーブメントに接続される調節ロッド(120)とを備えることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計製造の分野に関し、特に腕時計などの時計の時計ムーブメントを制御するためのデバイスに関する。
【0002】
本発明は、特に、触覚的なフィードバックを有する、時計ムーブメントを制御するためのデバイス、およびそのような制御デバイスを備える時計、特に腕時計に関する。
【背景技術】
【0003】
時計製造の分野では、プッシュ・ボタンまたはプッシュ・クラウンなどの制御デバイスによって、時計、例えば、腕時計のケースの内部に配置された機械式または電子式の時計ムーブメントの制御および/または調節が可能になる。
【0004】
より詳細には、制御デバイスは、例えば、巻上げ、時刻設定、または時計ムーブメントの任意の機能の調節を図ることができる。
【0005】
従来技術の制御デバイスは、少なくとも、調節および/または制御位置であるアクティブ位置と、休止位置である非アクティブ位置との間でハウジングに対して並進移動可能である。そのため、制御デバイスは一般に、使用者が操作することができるように、ハウジングの半径方向外側に延在するヘッドを備える。
【0006】
典型的には、ヘッドは調節ロッドに接続され、調節ロッドは、前記ヘッドの変位時に直接的または間接的に時計ムーブメントに作用するように構成される。
【0007】
ヘッドを操作することによってコントローラの位置を変更しているときを使用者が感じる必要がある。その必要性は、電子式時計ムーブメントを含む時計であれば、なおさらである。
【0008】
実際、一般的に、機械式時計ムーブメントを制御するためのデバイスは、アクティブ位置と非アクティブ位置との間を移動するときに、使用者がわずかな抵抗の形態で触覚的なフィードバックを感じるように前記デバイスの可動物を作動させる。
【0009】
しかしながら、この抵抗は、使用者にとって顕著な触覚的なフィードバックを引き起こすのに十分ではないことがある、すなわち、使用者がそれを感じないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、使用者が前記制御デバイスの位置を変更するときに、使用者によって感じられるのに十分な強さの触覚的なフィードバックを使用者に提供する、時計ムーブメントを制御するデバイスのための解決策を提供することによって、この必要性に合致する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
より詳細には、本発明は、時計ムーブメントを制御するためのデバイスに関し、本デバイスは、一方では、前記時計ムーブメントに対して固定されるように意図された摺動案内チューブを備える第1の部分と、他方では、調節ロッドによって時計ムーブメントの構成部品と一体となることができるアクティブ位置と、前記調節ロッドが時計ムーブメントの構成部品を解放するように意図された非アクティブ位置との間を、前記第1の部分に対して「軸方向」と呼ばれる方向に案内チューブによって摺動可能に案内される第2の可動部分とを含む。
【0012】
第2の部分は、調節ロッドに固定され、第2の部分がアクティブ位置および非アクティブ位置にあるときに休止状態の位置にあり、第2の部分がこれらの位置の間を移動するときに案内チューブによって押されるように配置された可逆的な弾性ケーシング・モジュールを覆うヘッドを備える。
【0013】
したがって、使用者によるその操作中、特に並進中、第2の部分は、その位置の変化時に弾性ケーシング力に抗して動き、それは、触覚的なフィードバックの感覚、より正確には、インデキシングの感覚を使用者に引き起こし、第2の部分の位置の変更を使用者に示す。
【0014】
さらに、弾性ケーシング力は、制御デバイス内に収容された、より詳細には、ヘッドによって覆われた弾性ケーシング・モジュールによって生成され、触覚的なフィードバックは使用者によって感じられるのに十分な強さのものである。
【0015】
特定の実施形態では、本発明は、単独で、または技術的に可能な任意の組合せで採って、以下の特徴の1つまたは複数をさらに含んでもよい。
【0016】
特定の実施形態では、案内チューブは、弾性ケーシング・モジュールを押すときに、半径方向の突起によって、半径方向の弾性復元力に逆らう力を発揮し、この力が弾性ケーシング力の源となる。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、半径方向の突起は、案内チューブの一端に配置されたリップ、例えば、環状のリップによって形成される。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、案内チューブは、外側周壁が、前記ヘッドの盲空洞の周壁によって並進方向に案内される第1の円筒部分を備え、内側周壁が調節ロッドの周りで並進方向に案内される第2の円筒部分を備える段付き円筒形状を有する。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、案内チューブは、その2つの円筒部分の間に肩部を含み、第1の部分は、前記肩部および弾性ケーシング・モジュールに当たって受け止められるように配置された弾性部材を受け入れ、前記部材は、弾性ケーシング・モジュールを案内チューブから遠ざけようとする力を生成するように圧縮状態で働く。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、案内チューブの第1の部分は、第2の部分がアクティブ位置にあるときに弾性ケーシング・モジュールを受け入れる凹部を含み、前記弾性ケーシング・モジュールは、第2の部分がアクティブ位置にあるときに前記凹部より後退させられる。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、弾性ケーシング・モジュールは、調節ロッドとヘッドとの間に挟まれ、その結果、ヘッドは、弾性ケーシング・モジュールによって調節ロッドに固定される。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、弾性ケーシング・モジュールは、周壁によって互いに接続された2つの端壁の間に延在するケージを備え、端壁は、ヘッドおよび調節ロッドのそれぞれに固定される。前記ケージは、周壁を貫通して、すなわち、前記ケージを貫通して突出する弾性要素を受け入れる。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、弾性要素は、前記ケージを越えて延在するように周壁の貫通オリフィス内に係合された少なくとも1つの摺動部を含み、前記少なくとも1つの摺動部は、調節ロッドの摺動方向に垂直な方向に並進するように構成され、弾性部材によって摺動部を貫通オリフィス内に保持しようとする弾性復元力を受ける。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、弾性要素は、周壁に固定された底部を含み、弾性部材は、底部と前記摺動部との間に挟まれ、圧縮状態で働く。
【0025】
本発明の特定の実施形態では、弾性要素は、前記ケージを越えて延在するように周壁の貫通オリフィス内にそれぞれ係合された2つの摺動部を含み、前記摺動部は、調節ロッドの摺動方向に垂直な方向に並進するように構成され、弾性部材によって摺動部を貫通オリフィス内に保持しようとする弾性復元力を受ける。
【0026】
本発明の特定の実施形態では、弾性要素は、摺動部間に挟まれ、圧縮状態で働く。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、摺動部は、その遠位端に、アクティブ位置と非アクティブ位置との間を第2の部分が第1の部分に対して変位するとき、案内チューブが当たって受け止めるように意図された半球形状部を含む。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、少なくとも1つの摺動部は玉によって形成される。
【0029】
別の態様によれば、本発明はまた、上記のような制御デバイスと、時計ムーブメントが収容され、前記制御デバイスが貫通して挿入されるケースと、前記時計ムーブメントに接続される調節ロッドとを備える時計に関する。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明を読めば明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の好ましい例示的な実施形態による時計ムーブメントを制御するためのデバイスの長手方向断面図であり、前記制御デバイスは、非アクティブ位置にある2つの部分を含む。
【
図2】2つの部分がアクティブ位置に配置されている
図1の制御デバイスの長手方向断面図である。
【
図3】別の実施形態による弾性要素を備える
図2の制御デバイスの長手方向断面図である。
【
図4】さらに別の実施形態による弾性要素を備える
図2の制御デバイスの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および
図2は、本発明による時計ムーブメントの制御デバイス10の好ましい例を示す。
【0033】
制御デバイス10は、押し竜頭、巻上げ竜頭、または使用者が押すことによって時計ムーブメントに作用することができる任意の竜頭またはボタンの形状にすることができる。
【0034】
制御デバイス10は、当業者に知られている態様で、時計ムーブメントが収納される時計のケース、特に腕時計のケースの中央部を貫通して係合されるように意図されている。
【0035】
より詳細には、この目的のために、本発明による制御デバイス10は、その中央部に半径方向に延在する貫通オリフィス内に固定的に係合されるように意図された摺動案内チューブ11を備える第1の部分を含む。言い換えれば、案内チューブ11は、時計ムーブメントに対して固定されるように意図されている。
【0036】
さらに、制御デバイス10は、案内チューブ11の中を通って延在する調節ロッド120を備える第2の部分12を含み、前記ロッドは、その端部の1つによって、可逆的な弾性ケーシング・モジュール130に固定されている。第2の部分12はまた、下でより詳細に説明されるように、弾性ケーシング・モジュール130を覆うヘッド140を備える。
【0037】
調節ロッド120は、案内チューブ11の中を通って軸方向に摺動可能に係合され、その結果、第2の部分12は、調節ロッド120が時計ムーブメントの構成部品と一体となることができるアクティブ位置(
図2に示される)と、調節ロッド120が時計ムーブメントの構成部品を解放することができる、すなわち、前記構成部品と一体となっていない非アクティブ位置(
図1に示される)との間を第1の部分に対して摺動する。
【0038】
第2の部分のこの位置の変化は、腕時計の使用者がヘッド140を押すことによって引き起こされる。
【0039】
言い換えれば、第2の部分12がアクティブ位置にあるときは、第2の部分12は第1の部分に対して引っ込められ、第2の部分12が非アクティブ位置にあるときは、第2の部分12は第1の部分に対して展開されている。
【0040】
本文中、「一体」という用語は、一方が動きや力を他方に伝えることができるように2つの部分が運動学的に互いに接続されていることを意味することを理解されたい。言い換えれば、調節ロッド120が時計ムーブメントと一体となっているとき、調節ロッド120は時計ムーブメントに作用することができる。
【0041】
本発明による制御デバイス10は、第2の部分12が非アクティブ位置およびアクティブ位置にあるとき、弾性ケーシング・モジュール130が休止状態の位置にあり、第2の部分12がこれらの位置の間を移動するときに案内チューブ11によって押される、すなわち押し付けられるように構成されることが有利である。
【0042】
この特徴のおかげで、使用者が、第2の部分12をアクティブ位置に並進させるように制御デバイス10を操作する、より正確には制御デバイス10を押すと、第2の部分12は、特に適時に、弾性ケーシング力に抗して動く。したがって、使用者は、第2の部分12がアクティブ位置に達して、下で詳細に説明される弾性要素が弾性ケーシング力を発揮しなくなるまで、短い機械的な抵抗を感じ、次いで、使用者はこれらの力がなくなるのを感じる。
【0043】
したがって、制御デバイス10は、上記のように、第2の部分12を操作するとき、触覚的なフィードバックの感覚、より正確には明確なインデキシングの感覚を使用者に引き起こす。
【0044】
図1および
図2に示された本発明の特定の実施形態を以下により詳細に説明する。
【0045】
図1および
図2に示されるように、ヘッド140は、裏壁142および周壁143によって画定される実質的に円筒形の盲空洞141を有する。
【0046】
空洞141は弾性ケーシング・モジュール130を受け入れ、弾性ケーシング・モジュール130は、圧入または接着によって裏壁142に対して固定されることが有利である。
【0047】
弾性ケーシング・モジュール130は、周壁133によって互いに接続された2つの端壁131、132の間に延在する実質的に円筒形のケージを備える。
【0048】
特に、ケージは、好ましくは、空洞141の断面、特に前記空洞141の裏壁142の断面と相補的な形状の断面を有する第1の端壁131によってヘッド140に固定される。
【0049】
ケージは、第2の端壁132によって調節ロッド120に固定される。言い換えれば、弾性ケーシング・モジュール130は、調節ロッド120とヘッド140との間に挟まれ、その結果、前記ヘッド140は、前記モジュールによって調節ロッド120に固定される。
【0050】
さらに、
図1および
図2に示されているように、ケージは、前記ケージの中を半径方向に延在し、少なくともその端部の一方で周壁133を貫通して突出する弾性要素を受け入れる。
【0051】
より詳細には、一実施形態では、弾性要素は、周壁133に固定された底部134と、前記周壁133を越えて延在するように、周壁133の貫通オリフィス内に並進移動可能に係合された摺動部135とを含む。
【0052】
摺動部135と底部134は、ケージ内で径方向に対向しており、前記摺動部135は、調節ロッド120の摺動方向に垂直な方向に並進するように構成される。
【0053】
摺動部135と底部134は、弾性部材136によって互いに接続されており、圧縮状態で働く弾性部材136によって、前記摺動部135は、底部134から遠ざけようとする弾性復元力を受け、この弾性復元力は、弾性ケーシング力の元となる。
【0054】
摺動部135は、
図1および
図2に示された好ましい実施形態では、摺動部135がコイルばねによって形成された弾性部材136に固定される近位端と、ケージを越えて突き出る遠位端とを有する。
【0055】
遠位端と近位端との間に、摺動部135は、弾性ケーシング・モジュール130が休止状態の位置にあるときに、ケージの周壁133に当接するように配置された半径方向フランジ137を含む。フランジ137の別の機能は、並進方向に摺動部135を案内することであり、前記フランジ137は、摺動部135の変位を可能にする機械的隙間を有して、第1の端壁と第2の端壁の間に嵌められている。
【0056】
好ましい例示的な実施形態では、摺動部135はまた、ケージを通って、より詳細には、ケージのオリフィスを通って係合する円筒部分によって並進方向に案内され、ケージのオリフィスの断面は円筒部分の断面と相補的な形状を有する。
【0057】
摺動部135は、その遠位端に、下でより詳細に説明するように、第2の部分12が、アクティブ位置と非アクティブ位置との間を第1の部分に対して変位するときに、案内チューブ11が当たって受け止めるように意図された半球形状部138を含む。
【0058】
図3に示される弾性要素の別の実施形態では、弾性要素は、底部134の代わりに別の摺動部135を含む。この場合、2つの摺動部135は、第2の部分12がアクティブ位置と非アクティブ位置との間を移動するときに、案内チューブ11によって同時に押されるように意図されている。
【0059】
図4に示される弾性要素のさらに別の実施形態では、摺動部135はケージを越えて突き出る玉によって形成され、前記玉は、それらが通って係合するオリフィスの直径よりも大きな直径を有する。これに代えて、オリフィスは、断面を縮小するなど、前記玉を保持するための手段を有してもよい。
【0060】
本発明の別の実施形態では、弾性要素は、底部134の代わりに、別の摺動部135を含み、摺動部は玉によって形成される。
【0061】
ケージの第2の端壁132は、調節ロッド120に締結するための手段を備える。これらの締結手段を、調節ロッド120の「近位端」と呼ばれるねじ切りされた端部がねじ込まれることによって協働する中央の雌ねじ穴、または、調節ロッド120の前記近位端が締まり嵌めによって協働する中央の貫通穴から形成することができることが好ましい。
【0062】
この目的のために、さらに、調節ロッド120は、第2の端壁132に当接するように意図された環状の肩部121を近位端に含むことができる。より詳細には、環状の肩部121は、ケージの雌ねじ穴または中央穴の周りに延在するボスと当接するように意図されている。
【0063】
さらに、調節ロッド120は、本発明の好ましい例示的な実施形態では、前記調節ロッド120において、半径方向に延在する環状溝に収容された弾性リングによって形成された遠位止め具122を含む。
【0064】
案内チューブ11は、
図1に示されるように、第2の部分12が非アクティブ位置にあるときは、遠位止め具に当たって受け止める。
【0065】
案内チューブ11は、第2の部分12に対して2か所の並進方向の案内領域を有することが好ましい。
【0066】
より詳細には、本発明の好ましい例示的な実施形態では、案内チューブ11は、第1の円筒部分と第2の円筒部分とを備える段付き円筒形状を有する。図に示されるように、第1の円筒部分は、第2の円筒部分よりも大きな直径を有する。
【0067】
第1の円筒部分は、ヘッド140の空洞141に係合されており、前記第1の円筒部分は、外面がヘッド140の周壁143と摺動嵌合することによって摺動可能に協働する周壁110を含む。特に、周壁110は、ヘッド140の周壁143に対して摺動するように設けられた環状の軸受面111を備えることができる。
【0068】
第1の円筒部分は、第2の円筒部分とは反対側に自由端を備え、この自由端は、案内チューブ11が弾性ケーシング・モジュール130を押すときに、弾性部材136によって発揮される弾性復帰力に逆らって摺動部135に対して力を発揮するように設けられた半径方向の突起112を含む。
【0069】
この力は、弾性ケーシング力を生成するのに役立つ。
【0070】
より詳細には、半径方向の突起112は、第1の円筒部分の内側に向かって延在するリップによって形成される。本明細書では、第1の円筒部分の「内側」とは、周壁110の内面によって定められる内容積部と定義される。
【0071】
図1および
図2に示されるように、本発明の好ましい例示的な実施形態では、第1の円筒部分の周壁110の内面は、内容積部に面した環状の凹部113を備える。この凹部113は、
図2に示されるように、第2の部分12がアクティブ位置にあるときに、弾性ケーシング・モジュール130を収容するのに十分な容積を解放するように意図されている。
【0072】
第1の円筒部分は、第1の円筒部分を第2の円筒部分に接続する裏壁114を備える。前記裏壁114は、前記第1の円筒部分内に収容される弾性部材115が当たって受け止められるのに有利に配置される肩部を形成する。弾性部材115は、弾性ケーシング・モジュール130に当たって受け止められるようにさらに配置され、ヘッド140および弾性ケーシング・モジュール130を案内チューブ11から遠ざけようとする力を生成するように圧縮状態で働く。
【0073】
したがって、使用者がヘッドに加えた圧力を解放すると、第2の部分12は弾性部材115によって非アクティブ位置に向かって駆動される。非アクティブ位置への変位の際に第2の部分12を持つ使用者は、半径方向の突起112が摺動部135に対して接触し、適時に弾性部材136を押し込めるときに弾性ケーシング力を感じ、その結果、触覚的なフィードバックの感覚を感じる。
【0074】
第2の円筒部分は、調節ロッド120の周りにスリーブ状になっており、前記第2の円筒部分は周壁116を含み、その内面は、前記調節ロッド120と摺動可能に嵌合することによって摺動可能に協働する。
【0075】
さらに、第2の円筒部分は、第2の円筒部分の周壁と調節ロッド120との間に挟まれたシールを受け入れる凹部117を含む。
【0076】
最後に、第2の円筒部分は、第1の円筒部分とは反対側に自由端を備え、この自由端は、第2の部分12が非アクティブ位置にあるときに、調節ロッド120の遠位止め具に当たって受け止められるように設けられる。
【符号の説明】
【0077】
10 制御デバイス
11 案内チューブ
12 第2の部分、第2の可動部分
110 周壁
111 軸受面
112 突起
113 凹部
114 裏壁
115 弾性部材
116 周壁
117 凹部
120 調節ロッド
121 肩部
122 遠位止め具
130 弾性ケーシング・モジュール
131 第1の端壁
132 第2の端壁
133 周壁
134 底部
135 摺動部
136 弾性部材
137 フランジ
138 半球形状部
140 ヘッド
141 空洞
142 裏壁
143 周壁
【外国語明細書】