(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140290
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】二酸化炭素を主成分とするガス中の硫黄酸化物の除去方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/50 20060101AFI20220915BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20220915BHJP
B01J 20/06 20060101ALI20220915BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20220915BHJP
【FI】
B01D53/50 100
B01D53/14 100
B01J20/06 B
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002382
(22)【出願日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021040201
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大塚 浩文
(72)【発明者】
【氏名】則岡 慎平
(72)【発明者】
【氏名】平野 竹徳
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AC10
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4G146JC30
4G146JD05
(57)【要約】
【課題】燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を用い、水素と反応させることによりメタンやメタノールを得るに際して、燃焼排ガス中に含まれ、メタン化触媒またはメタノール合成触媒の触媒毒となる二酸化硫黄を二酸化炭素のメタン化を抑制しながら経済的に除去する技術を確立すること。
【解決手段】二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含む被処理ガス中の、硫黄酸化物を除去する方法であって、被処理ガスに水素を添加して水素添加被処理ガスを得たのちに、水素添加被処理ガスを、ニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤と接触させることにより、硫黄を脱硫剤に硫化物として固定して除去する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含む被処理ガス中の、前記硫黄酸化物を除去する方法であって、
前記被処理ガスに水素を添加して水素添加被処理ガスを得る水素添加工程と、
前記水素添加被処理ガスを、ニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤と接触させる脱硫工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記脱硫剤のニッケル含有量は4.5質量%以上9質量%以下である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素添加被処理ガス中の水素濃度は0.5体積%以上2体積%以下である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記脱硫工程において、前記脱硫剤の温度は250℃以上300℃以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を主成分とするガス中の硫黄酸化物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策の観点から二酸化炭素の排出を抑制することが求められている。火力発電や工業プロセスで発生する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する技術は、アミン吸収法や物理吸収法など既に工業的に確立されているものが存在する。回収した二酸化炭素は、地中に圧入して貯留する検討が進められており、回収から貯留に至る一連のプロセスは二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術と呼ばれる。CCSは一定の前提条件下においては、低炭素技術としてのコスト競争力を有することが期待されるものの、二酸化炭素の長距離輸送や貯留の適地確保など、なお課題もあるとされる。
【0003】
回収した二酸化炭素を貯留するのではなく、有価物の製造に用いることも検討されており、二酸化炭素回収・利用(CCU)技術の開発も進められている。有価物の例として、メタンやメタノールが考えられる。これらは、燃料などとして大きな市場が形成されているため、回収した二酸化炭素の利用先として有望といえる。燃焼排ガスから二酸化炭素を回収し、再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電の電力を用いる電気分解により得られた水素と反応させれば、メタンやメタノールが得られる。この方法によって得られたメタンやメタノールは、燃焼利用しても追加的な二酸化炭素の発生がないことから、地球温暖化に影響しない燃料と考えることができる。
【0004】
二酸化炭素及び水素からメタンを得る反応(式1)は公知である。
CO2+4H2 → CH4+2H2O (式1)
【0005】
特許文献1には、CO及びH2を含むガスをメタン化するに際し、上流側にCu-Zn系低温シフト触媒を配し且つ下流側にメタン化触媒を配置したメタン化反応器を使用することを特徴とするCO及びH2を含むガスのメタン化方法が開示されている。上流側の低温シフト反応器ではCOシフト反応(式2)が進行するので、低温シフト触媒により一酸化炭素の大部分は水蒸気と反応して二酸化炭素に転換され、メタン化触媒上では二酸化炭素のメタン化反応が進行しているものと考えられる。
CO+H2O → CO2+H2 (式2)
【0006】
メタン化反応はアンモニア合成用の水素から一酸化炭素及び二酸化炭素を除去する目的で古くから使用されており、NiやRuを担持した触媒が高活性を示すことが知られている(非特許文献1、2)。
【0007】
また、燃焼排ガスから回収した二酸化炭素と水素との反応によりメタンを得るプロセスも公知である。
【0008】
特許文献2には、付属の水/蒸気回路を有する、炭素燃料を燃焼させる電力ステーションの、より詳細には炭素ガスを燃焼させる電力ステーションの、電力ステーション煙道ガスから生じる、より詳細には流用されるまたは得られる二酸化炭素、より詳細には二酸化炭素ガスの、メタネーションプラントでのメタンへの変換を含むメタネーションプロセスにおいて、前記メタネーションプラントでの二酸化炭素のメタンへの変換で廃熱として生じる熱エネルギーが少なくとも1つの材料流及び/または熱エネルギー流の中に少なくとも部分的に取り出され、この少なくとも1つの材料流及び/または熱エネルギー流が、バーナ側の前記電力ステーションの蒸気発生装置の燃焼チャンバに流れ込む少なくとも1つの媒体に、前記電力ステーションの前記水/蒸気回路に、プロセスエンジニアリングの観点で前記メタネーションプラントの上流に接続された二酸化炭素排ガス処理または二酸化炭素処理、より詳細には、電力ステーション煙道ガス処理プラントに、及び/または付属の工業プラントの1つ以上の運転ステージに、少なくとも部分的に供給されることを特徴とするメタネーションプロセスが開示されている。
【0009】
特許文献3には、CO2及びH2を含むガスからメタネーション触媒を用いてメタンを製造する第一メタネーション反応工程と、前記第一メタネーション反応工程で残留した物質からメタンを製造する第二メタネーション反応工程と、前記第一反応工程に流入する反応ガスの変動に応じて前記第一メタネーション反応工程が化学平衡状態に近づくように前記第一メタネーション反応工程に流入する反応ガスの一部をバイパスして前記第二メタネーション反応工程に流入させるバイパス工程と、を有するメタン製造方法が開示されている。
【0010】
これらは、燃焼排ガスから回収した二酸化炭素と水素との反応によりメタンを得るプロセスにおけるエネルギー効率の向上や制御性の改善を図る試みといえる。
【0011】
メタノールは、一般的には一酸化炭素と水素との反応(式3)によって製造されるが、CCUの観点から二酸化炭素と水素との反応で得る試みもなされており、いくつかの触媒がこの反応に高活性であることが示されている(特許文献4、5)。
CO+2H2 → CH3OH (式3)
CO2+3H2 → CH3OH+H2O (式4)
【0012】
以上のように、二酸化炭素と水素との反応によりメタンやメタノールを合成するための触媒や反応条件は公知である。一方で、燃焼排ガスから回収された二酸化炭素に含まれる微量成分の影響及びその回避方法については十分には明らかにはされていない。
【0013】
石炭やバイオマスなど含炭素燃料は通常硫黄分を含んでいる。この硫黄分は燃焼に伴い硫黄酸化物(二酸化硫黄及び三酸化硫黄)に変化する。化学吸収法及び固体吸収法では、硫黄酸化物も吸収液ないし吸収剤に吸収されるが、二酸化炭素を吸収液ないし吸収剤から放出させる際にその一部が放出される。従って、分離された二酸化炭素には微量の硫黄酸化物が含まれることになる。非特許文献3では、石炭火力発電所排ガスからの二酸化炭素の分離において、排ガス脱硫を行って二酸化硫黄濃度を10ppmまで低減したあとの排ガスからアミンを用いた化学吸収法により二酸化炭素を分離した場合、分離された二酸化炭素に含まれる二酸化硫黄濃度は34~135ppmになると見積もられている。
【0014】
前述のようにメタン化触媒にはNiやRuを活性成分とする触媒が用いられるが、これらは非常に硫黄による被毒を受けやすいという問題がある。メタノール合成触媒には主に銅を主活性成分とする触媒が用いられるが、これも硫黄による被毒を強く受ける。
【0015】
NiやRuを活性成分とする触媒はメタン化だけでなく、メタン化の逆反応である水蒸気改質反応にも広く用いられている。水蒸気改質反応でも硫黄被毒は深刻な問題であり、そのため種々の炭化水素の脱硫方法が検討されている。
【0016】
例えば、特許文献6には、銅化合物、亜鉛化合物、及びアルミニウム化合物を原料として、共沈法により調製した酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物を水素還元して得た高次脱硫剤を使用することにより、炭化水素中の硫黄含有量を5ppb以下とすることができると示されている。
【0017】
特許文献7には、炭化水素原料の脱硫に関して、銅化合物及び亜鉛化合物を含む混合物とアルカリ物質の水溶液とを混合して沈澱を生じさせ、得られた沈澱を焼成し、酸化銅-酸化亜鉛混合物成形体を得た後、この成形物に鉄及び/またはニッケルを含浸させ、さらに焼成し、得られた酸化物焼成体を水素還元した脱硫剤が、特許文献6に記載される脱硫剤よりも脱硫性能に優れることが示されている。
【0018】
特許文献8には、炭化水素原料の脱硫に関して、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及び銅を含み、さらにコバルト及びルテニウムを含んでなるガスの脱硫剤が、特許文献6に記載される脱硫剤よりも脱硫性能に優れることが示されている。また特許文献9には、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及び銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のニッケル及び0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなるガスの脱硫剤が、特許文献6に記載される脱硫剤よりも脱硫性能に優れることが示されている。
【0019】
炭化水素に含まれる硫黄成分は、硫化水素及びチオール、サルファイドなどの有機硫黄化合物であって、二酸化硫黄は通常含まれない。メタン発酵ガスや石炭やバイオマスのガス化ガスから二酸化炭素を分離する場合もあるが、このようなガスに含まれる硫黄化合物は、やはり硫化水素、COS、及び有機硫黄化合物であって、二酸化硫黄は通常含まれない。
【0020】
特許文献10には、硫黄酸化物(SOx)を含む二酸化炭素からメタンを生成する方法において、前記硫黄酸化物を20ppm以下含む二酸化炭素と還元剤である水素とを混合する混合ガス生成工程と、 前記混合ガス生成工程において得られた前記混合ガスを、粉末状の担体表面にナノ粒子が分散担持された水素還元用触媒を用いて低温還元するメタン生成工程とを順次備えたことを特徴とする、硫黄酸化物を含む二酸化炭素からメタンを生成する方法が示されている。
【0021】
この文献には、触媒を用いて二酸化炭素を水素と反応させてメタンを生成するに際して、二酸化炭素中に含まれる硫黄酸化物が触媒活性を著しく低下させること、具体的には二酸化炭素のSOx濃度が20ppmを超えた領域、例えば、二酸化炭素が60ppmのSOxを含有する場合には、数時間にて触媒が失活することが示されている。
【0022】
特許文献11には、燃焼排ガスを二酸化炭素吸収材に接触させて燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収させる工程と、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材を加熱して二酸化炭素を主成分とするガスを取り出す工程と、二酸化炭素を主成分とするガスに第一の量の水素を添加したガスを、脱硫剤を充填した脱硫器に通じて、ガス中の硫黄化合物を除去する工程と、硫黄化合物を除去する工程を経たガスに第二の量の水素を添加し、メタン化触媒に通じ、メタン化反応によりメタンに変換する、燃焼排ガス中の二酸化炭素のメタン化方法が示されている。
【0023】
この文献には、鉄、ニッケル、コバルト及び銅からなる少なくとも1種の成分の金属ないし酸化物と酸化亜鉛とを含む脱硫剤が好ましいこと、二酸化炭素の脱硫を行うに際して、二酸化炭素に対して水素を分割して添加し、まず少量の水素を添加して脱硫を行い、脱硫された二酸化炭素に対してメタン化反応を完結させるのに必要な水素を添加してメタン化反応を行うことにより、脱硫剤上で予期しないメタン化が進行することを回避できることが記載されている。ただし、各脱硫剤の具体的な脱硫性能は明示されていない。
【0024】
石油の水素化脱硫に用いられるコバルト-モリブデン/アルミナ触媒を用いて、二酸化硫黄を水素で還元して硫黄を得た結果も報告されている(非特許文献3)。300℃程度という比較的低い温度で硫黄酸化物を硫黄及び硫化水素に還元できることは示されているが、被処理ガスからの硫黄成分を除去するにはさらに硫黄及び硫化水素の除去手段を別途設ける必要がある。また、二酸化炭素を主成分とするガス中での硫黄酸化物の還元性能も明らかではない。
【0025】
特許文献12には、二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含む被処理ガスに水素を添加したのち、銅を含む脱硫剤と接触させる、硫黄酸化物を含む二酸化炭素の脱硫方法が示されている。脱硫剤としては、銅及びアルミナを含む脱硫剤、銅、アルミナ及び酸化亜鉛を含む脱硫剤が開示されており、石油の水素化脱硫に用いられるコバルト-モリブデン/アルミナ触媒やニッケル-モリブデン/アルミナ触媒がほとんど有意の脱硫性能を示さない条件でも、脱硫性能を有することが示されている。
【0026】
特許文献12に記載の脱硫剤を用いた場合には、二酸化炭素中の硫黄酸化物をppbレベルまで低減することができる。しかし、より低い温度、例えば300℃より低い温度では脱硫性能が低下することや、硫黄を吸着できる容量に限界があることから、一定の運転時間で交換が必要になることから、より低い温度でも十分な脱硫性能を示すとともに、より多くの硫黄を吸着できる高性能な脱硫剤が求められている。
【0027】
前述のように、炭化水素原料の脱硫に関しては、銅-亜鉛系の脱硫剤に、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄などを添加すると脱硫性能が向上することが知られているが、ルテニウム、ニッケル、コバルト及び鉄は、炭素酸化物(一酸化炭素及び二酸化炭素)の水素化(メタン化)に比較的高い活性を有する(非特許文献4及び5)ので、被処理ガスに水素を添加して二酸化硫黄の除去を行う際に、被処理ガスに二酸化炭素が多く含まれる場合、二酸化炭素の水素化が急激に進行する懸念もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開昭60-235893号公報
【特許文献2】特表2016-531973号公報
【特許文献3】特開2018-135283号公報
【特許文献4】特開平3-258738号公報
【特許文献5】特開平7-39755号公報
【特許文献6】特開平1-123628号公報
【特許文献7】特開平11-61154号公報
【特許文献8】特開2018-199126号公報
【特許文献9】国際公開第2018/216555号
【特許文献10】特開2020-19751号公報
【特許文献11】特開2019-172595号公報
【特許文献12】特開2020-127935号公報
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】社団法人化学工学協会編、化学プロセス集成、1970年、p.153
【非特許文献2】触媒学会編、触媒便覧、2008年、p.535
【非特許文献3】Paik及びChung、Applied Catalysis B: Environmental、5巻、1995年、p.233-243
【非特許文献4】Seglin、Geosits、Franko及びGruber、Methanation of Synthesis Gas, 1975年、p.1-30
【非特許文献5】Younas、Kong、Bashir、Nadeem、Shehzad及びSethupathi、Energy and Fuels、30巻、2016年、p.8815-8831
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明が解決しようとする課題は、以上の問題に鑑み、燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を用い、水素と反応させることによりメタンやメタノールを得るに際して、燃焼排ガスから回収された二酸化炭素に含まれ、メタン化触媒またはメタノール合成触媒の触媒毒となる硫黄酸化物を、二酸化炭素のメタン化を抑制しながら経済的に除去する技術を確立することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記課題を解決するために、本発明は、二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含む被処理ガス中の、前記硫黄酸化物を除去する方法であって、前記被処理ガスに水素を添加して水素添加被処理ガスを得る水素添加工程と、前記水素添加被処理ガスを、ニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤と接触させる脱硫工程と、を含む方法を提供する。
【0032】
この構成によれば、燃焼排ガスから分離された二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含むガス中の硫黄酸化物は脱硫剤で処理され、硫黄化合物を実質的に含まない二酸化炭素が得られるため、メタン化触媒の硫黄被毒が防止されやすい。脱硫反応へのエネルギーの投入は実質的に不要であるため、効率の点でも経済的にも優れたメタン化が可能となる。
【0033】
上記の発明において、前記脱硫剤のニッケル含有量が4.5質量%以上9質量%以下であると、副反応であるメタン化を抑制しつつ、特に高い脱硫性能が確保できるので好ましい。
【0034】
上記の発明において、前記水素添加被処理ガス中の水素濃度が0.5体積%以上2体積%以下であると、十分な脱硫性能が確保できるとともに、副反応であるメタン化が抑制できるので好ましい。
【0035】
また、上記の発明において、前記脱硫工程において、前記脱硫剤の温度が250℃以上300℃以下であると、十分な脱硫性能が確保できるとともに、副反応であるメタン化が抑制できるので好ましい。なお、前記の温度領域は、メタン化やメタノール合成反応の入口温度として好適な温度領域と一致しているから、処理後のガスを加熱あるいは冷却することなくそのままメタン化やメタノール合成反応に供することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上の構成によれば、燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を用い、水素と反応させることによりメタンやメタノールを得るに際して、燃焼排ガス中に含まれ、メタン化触媒またはメタノール合成触媒の触媒毒となる硫黄酸化物を二酸化炭素のメタン化を抑制しながら経済的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明にかかる、被処理ガス中の硫黄酸化物を除去する方法を用いて、燃焼排ガスから回収した二酸化炭素を用いてメタンを製造するフローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明にかかる、二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含む被処理ガス中の、硫黄酸化物を除去する方法(脱硫方法)の実施形態について説明する。なお、本願に係る明細書、特許請求の範囲、及び要約書において「主成分」とは、混合ガス中において最も体積濃度が大きい成分のことをいい、特に、混合ガス中に50体積%以上含まれる成分のことをいう。
【0039】
本発明が対象とする、二酸化炭素を主成分とし硫黄酸化物を含む被処理ガスは、これに限定されるものではないが、公知の二酸化炭素分離方法であるアミンなどの溶剤を用いる化学吸収法、固体吸収法、あるいは物理吸収法を用いて燃焼排ガスから分離された二酸化炭素を主成分とするガスである。このほか、燃料を空気ではなく酸素で燃焼させる酸素燃焼法によって得られた燃焼排ガスを冷却して水蒸気の少なくとも一部を凝縮分離した後のガスであってもよい。これらの二酸化炭素主成分ガス中には、燃焼させた燃料や二酸化炭素分離方法により程度は異なるものの、0.1ppm以上100ppm以下(体積基準、以下も同じ)の硫黄酸化物が含まれる。硫黄酸化物は大部分が二酸化硫黄であり、三酸化硫黄も含まれることがある。
【0040】
二酸化炭素主成分ガス中には、このほかに窒素、酸素、水蒸気及び窒素酸化物も含まれる可能性がある。このうち窒素については、本発明の脱硫方法には影響を及ぼすことはない。酸素及び窒素酸化物については、脱硫剤上で水素と反応して水蒸気及び窒素を生成するが、あまりに濃度が高いと脱硫剤を酸化して不活性化すること、脱硫剤上で反応に伴い大きな発熱を生じることから、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下になるように二酸化炭素分離設備を運転することが好ましい。水蒸気は、あまりに濃度が高いと脱硫剤を酸化して不活性化することから、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下になるように二酸化炭素分離設備を運転することが好ましい。一方、水蒸気濃度が低いと、逆シフト反応(式5)によって、水素が消費されて一酸化炭素を生成することから、脱硫性能が低下する可能性がある。
CO2+H2 → CO+H2O (式5)
【0041】
水蒸気濃度は、1%以上であれば好ましく、3%以上であればより好ましい。通常の二酸化炭素分離方法で得られた二酸化炭素主成分ガスは、深冷分離しない限り数%の水蒸気を含むが、本発明の脱硫方法は、そのようなガスを好適に処理することができる。
【0042】
本発明の脱硫方法では、前記の被処理ガスに水素を添加する。本発明の脱硫方法における硫黄の除去の機構は明らかではないが、次の機構によるものと推定される。
SO2+3H2 → H2S+2H2O (式6)
ZnO+H2S → ZnS+H2O (式7)
2Cu+H2S → Cu2S+H2 (式8)
【0043】
まず、触媒活性点となる金属Cu上で、二酸化硫黄が硫化水素に還元される(式6)。ついで、生成した硫化水素は酸化亜鉛及び金属Cuと反応して、それぞれ硫化亜鉛及び硫化銅を形成して硫黄は脱硫剤に固定される(式7、8)。硫黄酸化物が三酸化硫黄の場合、より多くの水素が必要となるが、基本的に同様の機構が推定される。ニッケルの作用は明らかではないが、脱硫剤上では金属Niとして存在し、二酸化硫黄の硫化水素への還元を行うCuの助触媒として作用しているものと推測される。
【0044】
脱硫剤のニッケル含有量は、少なすぎると、助触媒としての作用が不十分になり、十分な脱硫性能が得られない恐れがある。一方、脱硫剤のニッケル含有量が、多すぎると、本質的な活性点であるCuを被覆して、その作用を阻害するため、十分な脱硫性能が得られない恐れがある。脱硫剤のニッケル含有量は、3質量%以上12質量%であると、メタン化を抑制しつつ高い脱硫性能が得られやすく、4.5質量%以上9質量%以下であると、特に高い脱硫性能が確保できるので、より好ましい。
【0045】
脱硫剤の銅含有量は、少なすぎると、触媒としての作用が不十分になり、十分な脱硫性能が得られない恐れがある。一方、脱硫剤の銅含有量が、多すぎると、使用前に還元処理した状態での銅の分散度が低下して、銅の含有量に見合う脱硫性能が得られない恐れがある。脱硫剤の銅含有量は、20質量%以上50質量%以下であると、二酸化硫黄の硫化水素への還元が進みやすくなるため、脱硫性能が得られやすく、25質量%以上40質量%以下であると、特に高い脱硫性能が確保できるので、より好ましい。
【0046】
脱硫剤の亜鉛含有量は、少なすぎると、二酸化硫黄の還元で発生する硫化水素をトラップする作用が不十分になり、十分な脱硫性能が得られない恐れがある。一方、脱硫剤の亜鉛含有量が、多すぎると、酸化亜鉛の比表面積が低下して、亜鉛の含有量に見合う脱硫性能が得られない恐れがある。脱硫剤の亜鉛含有量は、20質量%以上50質量%以下であると、二酸化硫黄の還元で発生する硫化水素をトラップしやすくなるため、脱硫性能が得られやすく、25質量%以上40質量%以下であると、特に高い脱硫性能が確保できるので、より好ましい。
【0047】
前記の反応機構から、水素は硫黄酸化物に対するモル比で少なくとも2倍必要となるが、現実的には反応速度や、好ましい銅の還元状態を維持するために、化学量論量よりは大過剰が必要である。一方、脱硫剤に接触させる被処理ガス中の水素濃度が高い場合には、脱硫剤上でメタン化やメタノール合成反応が急速に進行する恐れがある。いずれの反応も大きな発熱を伴うことから、脱硫剤の温度が急激に上昇して、脱硫剤や容器を破損したり、脱硫剤から硫黄分が飛散したりする恐れがある。以上の観点から、脱硫剤に接触させる被処理ガス中の水素濃度は0.1体積%以上5体積%以下とするのが好ましく、0.5体積%以上2体積%以下とするのがより好ましい。脱硫剤に接触させる水素添加被処理ガス中の水素濃度が前記の範囲となるように、二酸化炭素を主成分とし、硫黄酸化物を含む被処理ガスに対して水素を添加する。なお、処理後のガス中には、過剰の水素が残存することになるが、メタン化及びメタノール合成反応を行う場合は、いずれも脱硫後のガスに水素をさらに添加してこれらの反応を行うため、後段で添加する水素量を調整すればよく、水素の残存は問題とはならない。
【0048】
本発明の脱硫方法では、前記のように水素を添加した被処理ガスを、ニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤と接触させる。脱硫剤は、さらにアルミニウムを含んでいてもよい。
【0049】
脱硫剤は、例えば、例えば特許文献6に記載されるような共沈法で調製した、酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウムの成形体に、特許文献7に記載されるような含浸法でニッケルを担持することにより得られる。
【0050】
上記の方法で調製したニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤において、調製された段階では銅は通常酸化銅(CuOまたはCu2O)として、ニッケルは酸化ニッケル(NiO)として、それぞれ存在している。本発明の脱硫方法において、ニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤がその性能を発揮するためには、銅及びニッケルは金属の状態にある必要がある。従って、脱硫剤は使用前に還元する必要がある。脱硫剤の還元は、脱硫剤を好ましくは200℃以上400℃以下、より好ましくは250℃以上350℃以下に保って水素を含むガスを流通することで行う。前記の水素を含むガス中の水素濃度は、高すぎると大きな発熱を伴って銅が還元されることにより、銅の凝集が進行する恐れがある一方で、低すぎると還元に時間を要するので、1体積%以上10体積%以下程度とするのが良い。還元時間は、銅及びニッケルを還元するのに最低限必要な水素量との見合いで決定すればよいが、好ましくは最低限必要な水素量の1.5倍以上、好ましくは3倍以上流通される条件で、1時間以上3時間以下程度かけて行うのが良い。
【0051】
(本発明の適用例)
本発明にかかる方法を適用したメタン製造フローの例(
図1)について説明する。
【0052】
図1に示したメタン製造フローでは、火力発電設備1から排出される、炭素燃料を含む燃焼排ガス101を原料としてメタンを製造する。火力発電設備1から排出された燃焼排ガス101は、二酸化炭素分離設備2に導入され、二酸化炭素が除去された燃焼排ガス201と、二酸化炭素を主成分とするガス202とに分離される。分離された二酸化炭素を主成分とするガス202は、脱硫設備3に導入される。
【0053】
脱硫設備3においては、まず、二酸化炭素を主成分とするガス202(被処理ガスの例)に対して水素301が添加され、水素を添加した二酸化炭素を主成分とするガス302(水素添加被処理ガスの例)が得られる(水素添加工程の例)。水素を添加した二酸化炭素を主成分とするガス302は、予熱器32で予熱された後、脱硫剤を充填した脱硫器33に導入される。脱硫器33において、水素を添加した二酸化炭素を主成分とするガス302は、ニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤と接触し、前述の機構により硫黄は硫化銅及び硫化亜鉛として脱硫剤に固定される(脱硫工程の例)。従って、脱硫器33から、硫黄酸化物が除去された二酸化炭素を主成分とするガス303が排出される。当該ガス303はメタン化設備4に導入され、メタン化反応に供される。
【実施例0054】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al2O3:6質量%)45.0gに、硝酸ニッケル(Niとして2.87g含有)を溶解した33gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0056】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で一晩乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、6質量%のNiを含む脱硫剤Aを得た。
【0057】
脱硫剤A(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を300℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。分析は、ガスクロマトグラフを用いて行い、硫化水素、二酸化硫黄、硫化カルボニル(COS)、メタンチオール(CH3SH)についてはFPD検出器、メタンについてはFID検出器、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素についてはTCD検出器で、それぞれ検出した。
【0058】
分析結果(氷冷トラップで水分を除去した後のドライベースでの分析値、以下同様)を表1に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から70時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。水素は1.0~1.1%、一酸化炭素は0.7~0.8%となった。逆シフト反応により、水素の一部が二酸化炭素と反応して、水及び一酸化炭素を生成したと推測される。また、メタンの生成も確認されたが微量(約40ppm)であった。
【0059】
【表1】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0060】
(実施例2)
二酸化硫黄含有ガス流通時の脱硫剤温度を300℃から275℃に変更したほかは、実施例1と同様にして、脱硫剤Aの脱硫性能を評価した。
【0061】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表2に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から64時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。水素は1.4~1.5%、一酸化炭素は約0.5%となった。逆シフト反応により、水素の一部が二酸化炭素と反応して、水及び一酸化炭素を生成したと推測されるが、実施例1と比較すると温度の低下に伴い逆シフト反応は抑制されていた。メタンの生成も確認されたが微量(約10ppm)であり、メタン化反応も温度の低下により抑制されたことがわかる。
【0062】
【表2】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0063】
(実施例3)
二酸化硫黄含有ガス流通時の脱硫剤温度を300℃から250℃に変更したほかは、実施例1と同様にして、脱硫剤Aの脱硫性能を評価した。
【0064】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表3に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から62時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。水素は1.5~1.6%、一酸化炭素は約0.4%となった。メタンの生成は確認されなかった。実施例1と比較すると温度の低下に伴い逆シフト反応もメタン化反応も抑制されたことがわかる。
【0065】
【表3】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0066】
(比較例1)
脱硫剤Aに代えて、市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット)(脱硫剤Bとする)10gを用いたほかは、実施例1と同様にして、300℃における脱硫性能を評価した。
【0067】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表4に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から18時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、20時間時点で二酸化硫黄が0.32ppm検出された。水素は1.3~1.4%、一酸化炭素は0.6~0.7%で、メタンの生成は確認されなかった。実施例1と比較すると、短い時間で硫黄化合物の破過がみられた。
【0068】
【表4】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0069】
(比較例2)
二酸化硫黄含有ガス流通時の脱硫剤温度を300℃から275℃に変更したほかは、比較例1と同様にして、脱硫剤Bの275℃における脱硫性能を評価した。
【0070】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表5に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から14時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、16時間時点で二酸化硫黄が0.32ppm検出された。水素は約1.5%、一酸化炭素は約0.6%で、メタンの生成は確認されなかった。比較例2は、比較例1と比べて、より短い時間で硫黄化合物の破過がみられ、脱硫剤Bでは、脱硫剤温度が破過時間に及ぼす影響が大きいことが明らかとなった。
【0071】
【表5】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0072】
(比較例3)
二酸化硫黄含有ガス流通時の脱硫剤温度を300℃から250℃に変更したほかは、比較例1と同様にして、脱硫剤Bの250℃における脱硫性能を評価した。
【0073】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表6に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から12時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、14時間時点で二酸化硫黄が0.23ppm検出された。水素は約1.5%、一酸化炭素は約0.6%で、メタンの生成は確認されなかった。比較例3は、比較例2と比べても、さらに短い時間で硫黄化合物の破過がみられた。
【0074】
【表6】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0075】
(比較例4)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7)35.0gに、硝酸鉄(III)(Feとして2.23g含有)を溶解した30gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0076】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で一晩乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、6質量%のFeを含む脱硫剤Cを得た。
【0077】
脱硫剤C(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0078】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表7に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から12時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、14時間時点で二酸化硫黄が0.27ppm検出された。水素は1.6~1.7%、一酸化炭素は0.2~0.3%で、メタンの生成は確認されなかった。比較例4を用いた場合、比較例3を用いた場合と比べて、硫黄化合物の破過までの時間は変わらなかった。また、触媒にFeを導入した比較例4では、メタン化反応の促進は見られないものの、触媒にNiを導入した実施例1で見られたような脱硫性能の向上効果も見られないことが明らかとなった。
【0079】
【表7】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0080】
(比較例5)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット)45.0gに、硝酸コバルト(II)(Coとして2.87g含有)を溶解した32gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0081】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で一晩乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、6質量%のCoを含む脱硫剤Dを得た。
【0082】
脱硫剤D(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0083】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表8に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から60時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。水素は1.6~1.7%、一酸化炭素は約0.3%となった。加えて、100ppmを超えるメタンが確認された。
【0084】
比較例5を実施例3及び比較例3と比較すると、触媒にCoを導入した比較例5では、比較例3に比べて脱硫性能が向上する効果は触媒にNiを導入した実施例3と同様に見られるものの、メタン化反応については実施例3以上に促進することが明らかとなった。
【0085】
【表8】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0086】
(比較例6)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7)35.0gに、ヘキサアンミンルテニウム(III)塩化物(Ruとして0.069g含有)を溶解した14.2gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0087】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で一晩乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、0.2質量%のRuを含む脱硫剤Eを得た。
【0088】
脱硫剤E(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0089】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表9に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から16時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、18時間時点で二酸化硫黄が0.01ppm検出され、その後も二酸化硫黄濃度は増大していった。水素は約1.8%、一酸化炭素は約0.3%となった。また、二酸化硫黄含有ガスの流通開始後初期においては約10ppmのメタンの生成が見られた。
【0090】
比較例6を、実施例3及び比較例3と比較すると、触媒にRuを導入した比較例6では、比較例3に比べて脱硫性能が向上する効果は実施例3と同様に見られるものの、その効果は触媒にNiを導入した実施例3ほどではなかった。また、メタン化反応については実施例3以上に促進することが明らかとなった。
【0091】
【表9】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0092】
(実施例4)
脱硫剤A(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄250ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0093】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表10に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から26時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、28時間では、0.01ppmの二酸化硫黄が検出され、その後二酸化硫黄濃度は徐々に増加した。水素は約1.6%、一酸化炭素は0.3%となった。メタンは、初期に10ppm程度の生成が確認されたが、経時的に低下した。
【0094】
【表10】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0095】
(比較例7)
脱硫剤Aに代えて脱硫剤D(10g)を用いたほかは、実施例4と同様にして、脱硫剤Dの250℃における脱硫性能を評価した。
【0096】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表11に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から8時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、10時間では、0.01ppmの二酸化硫黄が検出され、その後二酸化硫黄濃度は徐々に増加した。水素は約1.7%、一酸化炭素は0.3%となった。メタンは、初期に300ppmを超える生成がみられ、二酸化硫黄の破過が生じた後の16時間後時点でも150ppm程度と、高いメタン化活性が維持されていた。
【0097】
比較例7を、実施例4と比較すると、酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体にNiを担持した実施例4では、メタン化を抑制しつつ、脱硫性能を大幅に向上させることができるのに対して、Coを担持した比較例7では、脱硫性能の向上は実施例4には劣るが一定程度見られるものの、メタン化活性がかなり高いことがわかる。
【0098】
脱硫剤上でのメタン化の進行は、脱硫剤上での急激な発熱による脱硫剤の不可逆的劣化を引き起こす危険性があることから、その恐れの少ない、本発明のニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤を用いる脱硫方法が、二酸化炭素を主成分とするガス中の硫黄酸化物の除去をより安全に行えることが明らかである。
【0099】
なお、非特許文献4及び5などに示される通り、一般にFe,Co,Niの中では、Niが最もメタン化活性が高いとされるが、上記の実施例及び比較例が明らかにしたように、本発明のニッケル、銅及び亜鉛を含む脱硫剤のメタン化活性は、コバルト、銅及び亜鉛を含む脱硫剤と比較しても、顕著に低いものであった。その理由は必ずしも明確ではないが、本発明の脱硫条件においては、Cuの存在によりNiのメタン化活性が抑制されている可能性がある。
【0100】
【表11】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0101】
(実施例5)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al2O3:6質量%)45.0gに、硝酸ニッケル(Niとして1.42g含有)を溶解した25gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0102】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で1時間乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、3質量%のNiを含む脱硫剤Fを得た。
【0103】
脱硫剤F(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0104】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表12に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から8時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から10時間後に0.02ppmの二酸化硫黄が検出された。その後、二酸化硫黄濃度は緩やかに上昇し、20時間後に0.15ppmとなった。水素は約1.7%、一酸化炭素は0.30~0.35%となった。メタンの生成は確認されなかった。
【0105】
実施例5を実施例3と比較すると、脱硫剤のNi含有量が少ない実施例5では、比較的短時間(10時間)で硫黄化合物の破過が観測され、長時間安定して脱硫を行うには、脱硫剤のNi含有量を一定以上にする方が好ましいことがわかる。一方で、実施例5を比較例3と比較すると、微量の硫黄化合物破過は、実施例5の方がやや早いものの、実施例5では、二酸化硫黄含有ガスの流通開始から20時間後でも、脱硫後ガスの二酸化硫黄濃度は0.15ppmと低く保たれており、Niの効果は明らかである。
【0106】
【表12】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0107】
(実施例6)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al2O3:6質量%)45.0gに、硝酸ニッケル(Niとして2.18g含有)を溶解した29gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0108】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で1時間乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、4.6質量%のNiを含む脱硫剤Gを得た。
【0109】
脱硫剤G(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0110】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表13に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から60時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。水素は1.6~1.7%、一酸化炭素は約0.3%となった。メタンの生成は確認されなかった。メタンは、初期に10ppm程度の生成が確認されたが、経時的に低下した。
【0111】
【表13】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0112】
(実施例7)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al2O3:6質量%)45.1gに、硝酸ニッケル(Niとして4.57含有)を溶解した41gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0113】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で1時間乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、9質量%のNiを含む脱硫剤Hを得た。
【0114】
脱硫剤H(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0115】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表14に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から62時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。水素は1.7~1.8%、一酸化炭素は0.29~0.35%となった。メタンは、初期に6ppmの生成が確認されたが、経時的に低下した。
【0116】
【表14】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0117】
(実施例8)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al2O3:6質量%)45.0gに、硝酸ニッケル(Niとして6.28g含有)を溶解した49gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0118】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で一晩乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、12質量%のNiを含む脱硫剤Iを得た。
【0119】
脱硫剤I(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0120】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表15に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から18時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかったが、20時間では、0.02ppmの二酸化硫黄が検出され、その後二酸化硫黄濃度は徐々に増加した。水素は1.6~1.7%、一酸化炭素は約0.3%となった。メタンの生成は確認されなかった。
【0121】
【表15】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0122】
実施例3及び5~8の結果を比較すると、脱硫剤のNi含有量が4.5質量%~9質量%の範囲にあると、脱硫性能が特に高いことがわかる。脱硫剤のNi含有量が3質量%の場合は、前記の4.5質量%~9質量%の範囲にある場合と比較すると、短い時間で硫黄化合物の破過が見られたが、これはNiの助触媒としての作用が低くなったためと推測される。一方、脱硫剤のNi含有量が12質量%の場合にも、前記の4.5質量%~9質量%の範囲にある場合と比較すると、短い時間で硫黄化合物の破過が見られた。これは、ニッケルが、本質的な活性点であるCuを被覆して、その作用を幾分阻害したためと推測される。以上の結果から、脱硫剤のNi含有量には好適な範囲が存在し、4.5質量%~9質量%が特に好ましいことが理解される。
【0123】
(比較例8)
市販の酸化銅-酸化亜鉛-酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC-7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al2O3:6質量%)45.0gに、硝酸コバルト(Coとして1.42g含有)を溶解した25gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
【0124】
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で一晩乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成して、300℃に1時間保持した。そして、3質量%のCoを含む脱硫剤Jを得た。
【0125】
脱硫剤J(10g)を内径14mmのガラス管に充填し、250℃に保って、水素2%(体積基準、以下同様)を含む水素-窒素混合ガスを毎時60Lの流量で2時間流通させて還元を行った。次いで、脱硫剤温度を250℃に保って、二酸化硫黄150ppm-水素2%-二酸化炭素76%-水蒸気4%-残部窒素からなるガスを毎時20Lの流量で流通し、流通開始から2時間おきに脱硫剤出口ガスを分析した。
【0126】
脱硫剤出口ガスの分析結果を表16に示す。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から10時間まで、脱硫後のガスには二酸化硫黄、硫化水素、硫化カルボニル、メタンチオールのいずれも検出されなかった。二酸化硫黄含有ガスの流通開始から12時間後に0.01ppmの二酸化硫黄が検出された。二酸化硫黄濃度は、徐々に上昇し、18時間後に0.49ppmに達した。水素は約1.5~1.8%、一酸化炭素は0.2~0.7%となった。メタン濃度は、初期42ppmで、18時間後は13ppmとなった。
【0127】
比較例8を実施例5と比較すると、微量の硫黄化合物破過は、実施例5の方がやや早いものの、実施例5では、二酸化硫黄含有ガスの流通開始から20時間後でも、脱硫後ガスの二酸化硫黄濃度は0.15ppmに過ぎなかったのに対し、比較例8では、二酸化硫黄含有ガスの流通開始から18時間後に、脱硫後ガスの二酸化硫黄濃度が0.49ppmに達し、NiをCoで置き換えても、同様の脱硫性能は得られないことが明らかである。
また、脱硫後ガスのメタン濃度を比較すると、Coを含有する脱硫剤Jでは、顕著なメタン生成が見られており、脱硫剤上でメタン化反応が進行する懸念がある。
【0128】
【表16】
-:検出されず(検出下限:硫黄化合物 0.3ppb、CH
4 2ppm)
【0129】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である