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特開2022-140318放電模擬信号発生構造、放電模擬信号発生構造を備えた放電検出ユニット、信号伝達能力判定システム、配線長推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140318
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】放電模擬信号発生構造、放電模擬信号発生構造を備えた放電検出ユニット、信号伝達能力判定システム、配線長推定システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20220915BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20220915BHJP
   G01R 31/20 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01R31/12 A
G01R31/58
G01R31/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026479
(22)【出願日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021037936
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】筧 友矩
(72)【発明者】
【氏名】相田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幸一郎
【テーマコード(参考)】
2G014
2G015
【Fターム(参考)】
2G014AA32
2G014AB10
2G014AB33
2G014AC15
2G014AC18
2G014AC19
2G015AA15
2G015AA27
2G015BA04
2G015BA06
2G015CA01
2G015CA05
2G015CA08
(57)【要約】
【課題】放電事象を模擬した疑似放電信号を出力することができる放電模擬信号発生構造を用いて、放電検出装置などで放電を検出できるかどうかの調査を行えるようにすること。
【解決手段】特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部14と、特定の位相角でON信号を出力させる位相角信号を出力する位相角制御部18と、ノイズ信号と位相角信号を用いて疑似放電信号を生成する疑似放電信号生成部16と、を備え、生成した疑似放電信号を商用電源に重畳させる放電模擬信号発生構造10とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部と、
特定の位相角でON信号を出力させる位相角信号を出力する位相角制御部と、
ノイズ信号と位相角信号を用いて疑似放電信号を生成する疑似放電信号生成部と、
を備え、
生成した疑似放電信号を商用電源に重畳させる放電模擬信号発生構造。
【請求項2】
記憶部に記憶された複数の位相角信号の中から位相角制御部で用いる位相角信号を呼び出し可能とする請求項1に記載の放電模擬信号発生構造。
【請求項3】
ノイズ信号のノイズ強度の設定が可能であるノイズレベル設定部を備えた請求項1又は2に記載の放電模擬信号発生構造。
【請求項4】
発生させるノイズ信号の周波数帯域の設定が可能である周波数設定部を備えた請求項1から3の何れかに記載の放電模擬信号発生構造。
【請求項5】
外部装置から位相角信号を入力させることが可能な請求項1から4の何れかに記載の放電模擬信号発生構造。
【請求項6】
高周波帯域のノイズを通過させて放電の検出を行う電路間に渡して形成したフィルタ部と、フィルタ部の出力を検出する検出部と、トラッキングや断線などの放電事象の有無を判定する判定部と、を有する放電検出ユニットに請求項1から5の何れかに記載の放電模擬信号発生構造を備えた放電検出ユニット。
【請求項7】
特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部と、
生成したノイズ信号を商用電源に重畳させてケーブルに流すノイズ出力部とを備えた放電模擬信号発生構造と、ケーブルから伝達された放電模擬信号発生構造から出力されたノイズ信号を受信する受信構造を備え、
受信構造に、放電模擬信号発生構造で出力した信号の減衰の程度を演算可能な減衰量演算部を備えた信号伝達能力判定システム。
【請求項8】
請求項7に記載の信号伝達能力判定システムと、信号の減衰の程度に関する演算結果を用いて放電模擬信号発生構造と受信構造をつなぐ配線の長さを推定可能とした配線長推定部と、を備えた配線長推定システム。
【請求項9】
受信構造を、放電事象を計測する放電検出ユニットに備えた請求項8に記載の配線長推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電模擬信号発生構造、放電模擬信号発生構造を備えた放電検出ユニット、信号伝達能力判定システム、配線長判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電路で生じた放電事象を分電盤に形成した放電検出ユニットで検出して判定することにより、分電盤の主幹回路を遮断したり、警報を鳴動させたりすることが知られている。例えば特許文献1に記載されているように、各負荷や経路で起こる放電事象をノイズ検出部で検出し、演算部により放電事象の有無を判定する構造が利用されるが、放電事象が発生したと判定した場合には、演算部から警報を鳴らしたり、主幹回路や分岐回路を遮断する遮断信号を送信したりする。
【0003】
ところで、放電検出ユニット(ノイズ検出部)から遠い場所で放電が発生した場合、放電事象に伴うノイズが減衰してしまい検出できない場合があった。また、複数のコンセントを介して接続された箇所でも、放電事象に伴うノイズが減衰してしまい検出できない場合があった。また接続される負荷によっても出力が減衰する場合があった。そのため、あらかじめ放電検出ユニット(ノイズ検出部)で検出することができない箇所かどうかを把握する必要があるが、検出できない箇所かどうかは実際に放電事象が発生しないと把握することは困難であった。
【0004】
発明者らは、この点を検討することにより、放電事象の検出の可否は、放電検出ユニットとの距離を把握することで、推定することができるということに想到した。配線長を測定する方法としては、特許文献2に記載されているように、電圧パルスを加え、その反射波形によってその機器までの配線長を測定する方法が知られている。ただし、このような反射波形によっては、機器と導電接続されていることは確認できない。機器と導電接続されているかを確認するために、特許文献3に記載されているように信号の送信器と受信器により確認を行うことは知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-122669号公報
【特許文献2】特開2019-41384号公報
【特許文献3】特開2001-324530号公報
【0006】
しかしながら、これらの技術を利用しようとすると、導電接続と、配線長を把握するための装置をそれぞれ用意する必要があり、測定に手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、放電事象を模擬した疑似放電信号を出力することができる放電模擬信号発生構造を用いて、放電検出装置などで放電を検出できるかどうかの調査を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部と、特定の位相角でON信号を出力させる位相角信号を出力する位相角制御部と、ノイズ信号と位相角信号を用いて疑似放電信号を生成する疑似放電信号生成部と、を備え、生成した疑似放電信号を商用電源に重畳させる放電模擬信号発生構造とする。
【0009】
また、記憶部に記憶された複数の位相角信号の中から位相角制御部で用いる位相角信号を呼び出し可能とすることが好ましい。
【0010】
また、ノイズ信号のノイズ強度の設定が可能であるノイズレベル設定部を備えた構成とすることが好ましい。
【0011】
また、発生させるノイズ信号の周波数帯域の設定が可能である周波数設定部を備えた構成とすることが好ましい。
【0012】
また、外部装置から位相角信号を入力させることが可能な構成とすることが好ましい。
【0013】
また、高周波帯域のノイズを通過させて放電の検出を行う電路間に渡して形成したフィルタ部と、フィルタ部の出力を検出する検出部と、トラッキングや断線などの放電事象の有無を判定する判定部と、を有する放電検出ユニットに上記放電模擬信号発生構造を備えた放電検出ユニットとすることが好ましい。
【0014】
また、特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部と、生成したノイズ信号を商用電源に重畳させてケーブルに流すノイズ出力部とを備えた放電模擬信号発生構造と、ケーブルから伝達された放電模擬信号発生構造から出力されたノイズ信号を受信する受信構造を備え、受信構造に、放電模擬信号発生構造で出力した信号の減衰の程度を演算可能な減衰量演算部を備えた信号伝達能力判定システムとする。
【0015】
また、前記信号伝達能力判定システムと、信号の減衰の程度に関する演算結果を用いて放電模擬信号発生構造と受信構造をつなぐ配線の長さを推定可能とした配線長推定部と、を備えた配線長推定システムとするのが好ましい。
【0016】
また、受信構造を、放電事象を計測する放電検出ユニットに備えた構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、放電事象を模擬した疑似放電信号を出力することができる放電模擬信号発生構造を用いて、放電検出装置などで放電を検出できるかどうかの調査を行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】放電模擬信号発生構造を備えた放電模擬信号発生装置の例の斜視図である。
図2】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、商用電源の周波数のピーク毎にノイズを重畳させている。
図3】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、商用電源の周波数のプラス側のピーク毎にノイズを重畳させている。
図4】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、商用電源の周波数のゼロクロス毎にノイズを重畳させている。
図5】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、複数種類の位相角信号を記憶した記憶部を備えている。
図6】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、外部装置から位相角信号を読み込めるようにしている。
図7】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、周波数設定部を備えている。
図8】放電模擬信号発生装置に組み込まれた放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。ただし、ノイズレベル設定部を備えている。
図9】放電模擬信号発生構造を備えた放電検出ユニットの例の斜視図である。
図10図9に示す放電検出ユニットの放電模擬信号発生構造及び放電検出部の例を示した概念図である。
図11】複数の放電検出ユニットを分散して配置した例を示す図である。
図12図10に示す構造に接点を付した変形例を示す図である。
図13】コンセントに差し込み可能なプラグを備えた放電検出ユニットに放電模擬信号発生装置を接続する例を示す図である。
図14】受信構造とケーブルを介して繋がるコンセントに対して放電模擬信号発生装置を接続することを表した図である。ただし、配線長計測装置に受信構造を備えている例である。
図15】放電模擬信号発生装置の放電模擬信号発生構造の例を示した概念図である。
図16】家屋に分散配置されたコンセントの一つに放電模擬信号発生装置を接続し、分電盤内の受信構造での検出を確認することを表す図である。
図17】記憶しているデータの例を表す図である。
図18図14に示す例とは異なる態様の受信構造とケーブルを介して繋がるコンセントに対して放電模擬信号発生装置を接続することを表した図である。ただし、放電検出ユニットに受信構造を備えている例である。
図19】複数の周波数を利用して配線長の推定をする例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の放電模擬信号発生構造10は、特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部14と、特定の位相角でON信号を出力させる位相角信号を出力する位相角制御部18と、ノイズ信号と位相角信号を用いて疑似放電信号を生成する疑似放電信号生成部16と、を備え、生成した疑似放電信号を商用電源に重畳させる。このため、放電事象を模擬した疑似放電信号を出力することができる放電模擬信号発生構造10を用いて、放電検出装置などで放電を検出できるかどうかの調査を行える。
【0020】
ここで、放電模擬信号発生構造10を備えた放電模擬信号発生装置1Aを例に挙げて説明をする。図1に示す放電模擬信号発生装置1Aは、筐体51からプラグ52が突出している外形を備えている。この放電模擬信号発生装置1Aに放電模擬信号発生構造10が組み込まれているが、放電模擬信号発生装置1Aの筐体51の表面に放電模擬信号発生構造10を動作させるか否かを切り替え可能な電源部11、放電模擬信号の条件を設定可能な設定部12、設定部12により設定した条件にあわせて疑似放電信号を商用電源に重畳させる動作をしていることを表示する動作表示部13を備えている。
【0021】
商用電源に重畳させる疑似放電信号を生成するために、実施形態では、特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部14を備えている。実施形態の放電ノイズ生成部14は絶えずノイズ信号である高周波信号を生成させている。このノイズ信号は、そのまま商用電源に重畳されるわけではなく、ノイズ信号の一部を用いた疑似放電信号が商用電源に重畳される。
【0022】
使用するノイズ信号は、位相角制御部18で出力された位相角信号にあわせるように選択されるが、実施形態では疑似放電信号生成部16でノイズ信号と位相角信号を結合し、合成信号を生成することにより疑似放電信号を生成する。なお、放電ノイズ生成部14で生成されたノイズ信号は増幅部15により増幅させた後に疑似放電信号生成部16に入力される。また、疑似放電信号生成部16で生成された疑似放電信号は結合部19で商用電源に重畳させる。
【0023】
実施形態では位相角制御部18を機能させるために、商用周波数に伴った周期信号を発生させる商用周期発生部17を用いている。位相角制御部18は特定の位相角でON信号を出力させる位相角信号を出力するものであり、周期信号のどの位相角(時間)でON信号を出力するかを設定することができ、その位相角にあわせるように位相角信号を出力させることができる。例えば、図2に示すことから理解されるように、商用電源のピーク値で出力を出したい場合は、4.175ms(90度)、12.525ms(270度)でON信号を出力するように設定することができる。なお、ここにおいて示す秒数は、周波数を60Hzとした時のものである。
【0024】
図2に示す例では、商用周波数のプラスのピークとマイナスのピークにノイズ信号を重ねるようにしているが、図3に示すことから理解されるように、商用周波数のプラスとマイナスのどちらか一方にのみノイズ信号を重ねるようにしても良い。また、図4に示すことから理解されるように、ピーク値ではなく、商用周波数のゼロクロス点にノイズ信号を重ねるようにしても良い。
【0025】
この位相角信号の設定方法には、さまざまな方法が考えられるが、例えば、図5に示す例では、記憶部21を備えているため、この記憶部21に出力パターンを記憶させ、設定部12で記憶部21の条件を呼び出し選択できるようにしても良い。このように、記憶部21に記憶された複数の位相角信号の中から位相角制御部18で用いる位相角信号を呼び出し可能とすると、位相角信号の設定がしやすくなる。
【0026】
また、図6に示すことから理解されるように、放電模擬信号発生構造10とは異なる外部装置81(例えばPCやスマートフォンなど)から位相角信号の情報を受け取り、放電模擬信号発生構造10で利用できるようにしても良い。図6に示す例では、外部装置81から受け取った位相角信号の情報を記憶部21で記憶し、設定部12により、記憶部21の情報を呼び出せるようにしている。なお、外部装置81と、放電模擬信号発生構造10の間での情報の伝達は有線で行っても無線で行っても良い。
【0027】
図7に示す例では、発生させるノイズ信号の周波数帯域の設定が可能である周波数設定部22を備えている。このため、他の機器のノイズを模擬させることが可能となる。なお、放電事象の放電ノイズや、家電ノイズを模擬させた信号を周波数設定部22で出力できるようにすることが好ましい。
【0028】
図8に示す例では、ノイズ信号のノイズ強度の設定が可能であるノイズレベル設定部23を備えている。このノイズレベル設定部23でノイズ信号のノイズ強度を調節しながら、検出の有無を確認すれば、「放電検出装置などに到達するまでに減衰する程度」や、「どれくらいのノイズレベルが発生していたら検出できるのか」を調査することができる。したがって、放電検出装置などの検出感度の設定が可能である。
【0029】
ところで、図1に示す例では、放電模擬信号発生装置1Aは疑似放電信号を生成するための装置であるが、図9に示す例では放電検出ユニット1Bに放電模擬信号発生構造10を組み込んでいる(図10参照)。なお、放電検出ユニット1Bには高周波帯域のノイズを通過させて放電の検出を行う電路間に渡して形成したフィルタ部24と、フィルタ部24の出力を検出する検出部25と、トラッキングや断線などの放電事象の有無を判定する判定部26と、を備えている。
【0030】
より具体的には、図10に示す例では、一つの部位でフィルタ部24と判定部26の機能をさせており、フィルタ部24と判定部26の間にはフィルタ部24から出力された信号を増幅させる増幅部27を備えている。また、判定部26には、判定結果を知らせることが可能な出力部28が接続されている。出力部28にはいろいろな形態が考えられるが、図9及び図10に示す例では、LEDライト28aやスピーカ28bを出力部28として備えている。なお、この放電検出ユニット1Bは表面で模擬放電信号の出力の設定、放電検出部25の動作の設定が可能である。
【0031】
図9に示す例の放電検出ユニット1Bは放電検出部25と放電模擬信号発生構造10が組み込まれているため、放電模擬信号を発生させることができるとともに、放電検出をさせることもできる。つまり、検出範囲の調査と、検出を1つの装置で実現することができる。なお、この放電検出ユニット1Bはコンセントに差し込むプラグ52を備えているため、例えば、図11に示すことから理解されるように、分電盤の放電検出構造で放電が検出しない範囲をカバーできる位置に、放電検出ユニット1Bを接続させておくことが出来る。
【0032】
このような放電検出ユニット1Bは、図12に示す例から理解されるように、放電模擬信号を発生させる機能と放電を検出させる機能の何れか一方しか動作しないように設定することも可能である。なお、図12に示す例では、それぞれの回路に接点31を形成しておき、いずれか一方が動作しているときには他方は動作しないようにしている。なお、放電模擬信号を発生させる機能と放電を検出させる機能の双方を発揮できるものとすれば、放電模擬信号発生構造10を自己の放電検出部25の動作テストをするために作用させることもできる。
【0033】
図1に示す放電模擬信号発生装置1Aは、コンセントに差し込まれるプラグ52を備えているが、必ずしも、このような形態である必要は無い。例えば、図13に示すことから理解されるように、コンセントに差し込むプラグ52を備えた放電検出ユニット1Bに外部接続できる放電模擬信号発生装置1Aとしても良い。この例では、放電検出ユニット1Bに接続可能な接続端子58を放電模擬信号発生装置1Aに備えた構成としており、放電検出ユニット1Bの側面に沿うように放電模擬信号発生装置1Aを取り付け可能としている。
【0034】
ところで、ケーブルCaの一端側で放電事象が生じて、ノイズがケーブルCaに重畳したとしても、ケーブルCaの他端に至るまでに信号がかなり減衰してしまい、適切に放電事象の発生が認識できないことも考えられる。そこで、この減衰の程度をあらかじめ把握しておくことが好ましい。
【0035】
このため、特定の周波数帯域のノイズ信号を生成させる放電ノイズ生成部14と、生成したノイズ信号を商用電源に重畳させてケーブルCaに流すノイズ出力部10aとを備えた放電模擬信号発生構造10と、ケーブルCaから伝達された放電模擬信号発生構造10から出力されたノイズ信号を受信する受信構造60を備え、受信構造60に、放電模擬信号発生構造10で出力した信号の減衰の程度を演算可能な減衰量演算部62を備えた信号伝達能力判定システムを構築するのが好ましい。なお、受信構造60は、放電事象を計測する放電検出ユニット1Bであるのが好ましい(図14及び図15参照)。
【0036】
例えば、図1に示すような形態の放電模擬信号発生装置1Aに放電模擬信号発生構造10を有する場合、図16に示すように分散配置されたコンセントSの何れかに放電模擬信号発生装置1Aを接続し、放電模擬信号発生構造10から出力されケーブルCaに重畳されたノイズ信号となる高周波信号を放電検出ユニット1Bなどに備えられた受信構造60の受信部61などで受信し、その受信内容を用いて演算することで信号の減衰の程度を判別できるようにする。その演算結果を確認して、現在設置されている位置とは異なる位置に受信構造60の増設が必要であるか否かなどを決めればよい。
【0037】
なお、実施形態においては、放電模擬信号発生装置1Aを差し込んだコンセントSから放電模擬信号発生構造10を機能させるための電力を得ているため、放電模擬信号発生装置1Aにバッテリは備えていない。このため、放電模擬信号発生装置1Aは、電力を得るために利用した経路に対して放電信号を重畳していることになる。このようなことを可能とするため、実施形態では放電模擬信号発生装置1Aのプラグ52を、信号の出力部としても電源入力部としても機能できるようにしている。ただし、放電模擬信号発生装置1Aにバッテリを備える構造とすることも可能である。
【0038】
また、信号の減衰の程度からケーブルCaの配線長を推定することができるため、信号伝達能力判定システムと、信号の減衰の程度に関する演算結果を用いて放電模擬信号発生構造10と受信構造60をつなぐ配線の長さを推定可能とした配線長推定部63と、を備えた配線長推定システムを構築することが好ましい。
【0039】
ここで、放電模擬信号発生装置1Aから高周波信号をケーブルCaに重畳させる方法の例について説明をする。先ず、放電ノイズ生成部14で一定の振幅と所定の周波数の高周波信号を発生させ、その高周波信号を増幅部15で増幅させる。商用周期発生部17は、商用周波数に伴った周期信号を発生させる。位相角制御部18は、周期信号のどの位相角(時間)でON出力するかを設定し、位相角信号を出力させる。位相角信号と、高周波信号を結合部で結合した合成信号をノイズ出力部10aを介して出力する(図15参照)。
【0040】
なお、ケーブルCaの配線長を測定するだけであれば、位相角信号の合成を省略して、放電ノイズ生成部14と商用周波数とを結合した信号を出力するものでも良い。また、放電ノイズ生成部14で周波数、振幅を自由に変更するものであっても良い。
【0041】
ここで、配線長の推定方法について説明をする。ここでは、あらかじめノイズの減衰の程度と配線長との関連性に関するデータをとっておき、そのデータに照らし合わせて、配線長を推定する例について説明をする。
【0042】
例えば、放電模擬信号発生装置1Aからのノイズ信号の出力を100としたときに、受信部61で40が入力されたとき、減衰量演算部62で60%の出力の低下であることを演算する。あらかじめ得られているデータから配線長と減衰率の関係性が分かっている場合(図17参照)、そのデータと演算結果を用いて配線長推定部63で配線長を推定する。このようなことを可能とするためには、データをグラフやマトリックスなどの形で配線長推定部63やデータベース部などに記憶されておけばよい。
【0043】
このように、減衰量演算部62で得られた結果を配線長推定部63などにあるデータと照らし合わせて配線長を推定し、その結果を出力するようにすればよいが、配線長推定部63による演算は、具体的な長さを導き出すのにとどまる必要はない。推定した配線長から放電検出ユニット1Bが検出できる距離かどうかを判定するようにしても良い。
【0044】
上記したことから理解されるように、配線長を把握することによって、既に設置してある放電検出ユニット1Bで検出できるか否かを判断すれば、コンセントSに差し込むプラグ52を備えた放電検出ユニット1Bを追加する必要があるか否かを判断することができる。
【0045】
受信構造60を有する装置は、放電検出の機能と配線長の推定の機能を備えることが好ましい(図18参照)。ケーブルCaなどの設置環境によっては、配線長の他、接続される機器によって高周波信号の減衰が引き起こされることがある。このため、設置環境における放電事象の規模と検知結果のずれと、配線長の推定結果をあわせて、放電検出ユニット1Bの追加をするか否かを判定する基準を補正することができるものであってもよい。なお、図18に示す例では、受信構造60に、放電検出のために利用される放電演算部64と放電判定部65を備えている。
【0046】
放電模擬信号発生装置1Aは、複数の周波数の波形を発生させることができるようにするのが好ましい。この場合、異なる周波数を利用して、判定をすることができる(図19参照)。このようなことを可能とするため、図14に示す例では、受信側である配線長計測装置の配線長推定部63に、その周波数に対応するグラフやマトリックスが記憶されている。
【0047】
このようにすれば、複数の要素で判断をすることができる。例えば、放電模擬信号発生装置1Aで所定の時間ごとに異なる周波数の高周波信号を出力し、それぞれの時間ごとで、対応するグラフやマトリックスに基づいた一次的な判断を行う。その後、複数の結果の平均値や中央値などを用いた配線長を推定するなどすればよい。このように、複数の周波数を利用すれば、精度良い判定を行うことができる。
【0048】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、放電模擬信号発生構造は分電盤に取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 放電模擬信号発生構造
10a ノイズ出力部
14 放電ノイズ生成部
16 疑似放電信号生成部
18 位相角制御部
21 記憶部
22 周波数設定部
23 ノイズレベル設定部
24 フィルタ部
25 検出部
26 判定部
60 受信構造
62 減衰量演算部
63 配線長推定部
81 外部装置
1B 放電検出ユニット
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