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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140343
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】マイクロ波照射装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/72 20060101AFI20220915BHJP
   H05B 6/78 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H05B6/72 C
H05B6/78 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033018
(22)【出願日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2021040836
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 真司
(72)【発明者】
【氏名】丸山 友樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆明
【テーマコード(参考)】
3K090
【Fターム(参考)】
3K090AA01
3K090AB01
3K090DA17
3K090EA03
3K090NA08
(57)【要約】
【課題】マイクロ波照射装置において加熱むらを抑制する。
【解決手段】マイクロ波照射装置は、被照射物90を保持する保持具66と、発振器10と導通するように構成された給電器具20と、給電器具20を介した導通による給電によって照射面42内の照射源44からマイクロ波を照射するように構成された、照射面42が開口面54であるループアンテナ51であるアンテナ40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射物を保持する保持具と、
発振器と導通するように構成された給電器具と、
前記給電器具を介した導通による給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成された、前記照射面が開口面であるループアンテナと
を備えるマイクロ波照射装置。
【請求項2】
前記ループアンテナと前記保持具との少なくとも何れか一方は、前記照射源から照射される前記マイクロ波の指向性照射軸に沿って移動し、前記ループアンテナと前記保持具との相対的な位置関係を変化させるように構成されている、請求項1に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項3】
前記保持具は、前記開口面を貫通して設けられている、
請求項1又は2に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項4】
前記保持具は、前記開口面を貫通する方向に移動するように構成されている、請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項5】
前記ループアンテナは、前記照射源から照射される前記マイクロ波の指向性照射軸が、前記保持具を構成する前記マイクロ波を反射する構造物と交わらないように配置されている、請求項1乃至4の何れかに記載のマイクロ波照射装置。
【請求項6】
前記照射源から照射される前記マイクロ波の指向性照射軸に沿って設けられた複数の前記ループアンテナを有するアンテナ群を備える、請求項1乃至5の何れかに記載のマイクロ波照射装置。
【請求項7】
複数の前記ループアンテナを有するアンテナ群を備え、
前記保持具は、前記アンテナ群の複数の前記開口面を貫通して設けられている、
請求項1乃至6の何れかに記載のマイクロ波照射装置。
【請求項8】
前記保持具は、前記開口面を貫通する方向に移動するように構成されている、請求項7に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項9】
前記アンテナ群を構成する前記ループアンテナは、前記照射源から照射される前記マイクロ波の指向性照射軸が、少なくとも、当該ループアンテナの前記開口面と向き合う、前記アンテナ群を構成する他のループアンテナの前記開口面との間に存在する前記保持具を構成する前記マイクロ波を反射する構造物と交わらないように配置されている、請求項6乃至8の何れかに記載のマイクロ波照射装置。
【請求項10】
マイクロ波を照射して食品を加熱することを含む食品の製造方法であって、
前記マイクロ波の照射は、
発振器と導通するように構成された給電器具と、
前記給電器具を介した導通による給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成された、前記照射面が開口面であるループアンテナと
を用いて行われる、食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被照射物にマイクロ波を照射することで被照射物を誘電加熱する加熱装置が知られている。誘電加熱では、種々の理由により均等に被照射物が加熱されないことがある。そこで均等な加熱のための工夫が様々行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、導電性格納容器内に、被照射物が入れられるマイクロ波反応容器が配置され、マイクロ波反応容器を囲むように複数のダイポールアンテナが均等に配置されたマイクロ波加熱装置について開示されている。このマイクロ波加熱装置では、各アンテナと導電性格納庫の内壁との距離が、マイクロ波反応容器から各ダイポールアンテナを見る方向では、照射されるマイクロ波の波長のほぼ1/4となるように、各部が配置されている。このような配置によって、ダイポールアンテナから放射されるマイクロ波がマイクロ波反応容器の方向を指向する。その結果、マイクロ波反応容器内の被照射物が、均等に加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-21678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記は一例であり、誘電加熱における加熱むらの抑制方法は種々あり得る。本発明は、マイクロ波照射装置において加熱むらを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、マイクロ波照射装置は、被照射物を保持する保持具と、発振器と導通するように構成された給電器具と、前記給電器具を介した導通による給電によって照射面内の照射源からマイクロ波を照射するように構成された、前記照射面が開口面であるループアンテナとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マイクロ波照射装置において加熱むらを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態のアンテナの向きについて説明するための模式図である。
図3図3は、比較例に係るアンテナの向きについて説明するための模式図である。
図4A図4Aは、第2の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す正面図である。
図4B図4Bは、第2の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す平面図である。
図4C図4Cは、第2の実施形態に係るマイクロ波照射装置のアンテナの位置において側方から見た端面の構成例の概略を模式的に示す図である。
図5図5は、ループアンテナの構成例の概略を示す模式図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るアンテナによって生じる電界強度と被照射物との位置関係を説明するための模式図である。
図7図7は、比較例に係る電界強度と被照射物との位置関係を説明するための模式図である。
図8図8は、第3の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す図である。
図9図9は、第3の実施形態に係るアンテナによって生じる電界強度と被照射物との位置関係を説明するための模式図である。
図10図10は、対向して設けられたアンテナの指向性照射軸に沿った位置に応じた電界実効値の大きさを示す模式図である。
図11A図11Aは、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す正面図である。
図11B図11Bは、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す平面図である。
図12図12は、第5の実施形態に係るマイクロ波照射装置の構成例の概略を模式的に示す平面図である。
図13図13は、実験例1で用いた試験装置の構成例の概略を示す模式図である。
図14図14は、実験例1に係る加熱対象物を縦置して加熱した試験結果例を示す図である。
図15図15は、実験例1に係る加熱対象物を横置して加熱した試験結果例を示す図である。
図16図16は、実験例2,3,6で用いた試験装置の構成例の概略を示す図である。
図17図17は、実験例2において試験装置を用いて出力150 Wとして加熱した後の食品モデルの写真を示す。
図18図18は、比較実験として、業務用電子レンジを用いて出力250 Wで加熱した後の食品モデルの写真を示す。
図19図19は、実験例3の実施状況の概略を示す図である。
図20図20は、実験例3における加熱後の食品モデルの写真を示す。
図21A図21Aは、実験例4に係る熱連成解析結果を斜視図で示す図である。
図21B図21Bは、実験例4に係る熱連成解析結果を断面図で示す図である。
図22A図22Aは、実験例5に係る距離が166.5 mmの場合の熱連成解析結果を示す図である。
図22B図22Bは、実験例5に係る距離が56.5 mmの場合の熱連成解析結果を示す図である。
図23図23は、実験例6に係る加熱対象物の中心部(実線)と外周部(破線)との温度測定の結果を示す図である。
図24図24は、実験例7で用いた試験装置の構成例の概略を示す図である。
図25図25は、実験例7に係る試験装置を用いて加熱した第1の加熱対象物、第2の加熱対象物及び第3の加熱対象物のサーモグラフィーで得られた画像を示す。
図26図26は、比較実験として、業務用電子レンジを用いて加熱した加熱対象物のサーモグラフィーで得られた画像を示す。
図27図27は、実験例8に係るマイクロ波照射装置のモデルの概略を示す図である。
図28図28は、実験例8に係るモデルにおける各アンテナ間に形成される電界強度の解析結果を示す。
図29図29は、比較解析として行った導波管内における発振器からの照射距離に対する電界強度の解析結果を示す。
図30図30は、実験例8に係る加熱対象物を加熱した際の加熱対象物の発熱分布の熱連成解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、マイクロ波照射装置に関する。本実施形態のマイクロ波照射装置は、被照射物に対してマイクロ波を照射して、被照射物を内部加熱するように構成されている。被照射物は、これに限らないが、例えば食品である。したがって、このマイクロ波照射装置やそれを用いたマイクロ波の照射方法は、例えば包装食品を含む食品の製造に用いられ得る。
【0010】
図1は、本実施形態に係るマイクロ波照射装置1の構成例の概略を模式的に示す図である。この図に示すように、マイクロ波照射装置1は、加熱対象物であってマイクロ波が照射される被照射物90を保持する保持具66を備える。保持具66は、例えば被照射物90が載置される台であり得る。マイクロ波照射装置1は、保持具66によって保持される被照射物90にマイクロ波を照射するように構成されたアンテナ40を備える。アンテナ40は、例えば、ループアンテナ、パッチアンテナ等といった指向性のアンテナである。すなわち、アンテナ40は、照射面42を有し、照射面42内の照射源44から指向性照射軸45の方向にマイクロ波を照射するように構成されている。アンテナ40の指向性照射軸45の方向は、保持具66の載置面に沿っている。アンテナ40は、例えば同軸ケーブルといった給電器具20を介して導通した発振器10から給電される。アンテナ40の周囲は、マイクロ波の遮蔽のため、金属で覆われている。すなわち、保持具66及びアンテナ40は、金属筐体82内に配置されている。
【0011】
アンテナ40の向きについて説明する。図2は、アンテナ40の向きについて説明するための模式図である。本実施形態では、アンテナ40は、例えば図2に示すように、指向性照射軸45が、被照射物90が載せられる保持具66の表面と平行になるように配置されている。あるいは、少なくとも指向性照射軸45が、保持具66を構成する構造物のうちマイクロ波を反射する構造物と交差しないように、アンテナ40は配置されている。
【0012】
指向性のアンテナ40から照射されるマイクロ波は、図2に拡散照射軸46として示すように、ある程度広がるものの、その照射角は比較的狭く、指向性照射軸45に沿って強度が最も強くなっている電界が形成される。指向性照射軸45が、マイクロ波を反射する構造物と交差しないことで、強い反射波が生じない。その結果、入射波と反射波とが干渉することによって生じ得る定在波が発生しない。
【0013】
図3は、比較例を示す模式図である。図3に示すように、指向性照射軸45が保持具66の表面と交差する場合、マイクロ波は保持具66の表面で反射する。強い反射波が生じる結果、入射波と反射波とが干渉し、定在波が発生する。定在波が発生すると、定在波の特に腹の位置と節の位置とで電界強度が大きく異なり、被照射物90における加熱むらが生じ得る。
【0014】
本実施形態のマイクロ波照射装置1では、図2を参照して説明したように、入射波と反射波との干渉による定在波が発生しないために、被照射物90において加熱むらが生じることが防止されている。なお、上述のマイクロ波を反射する構造物とは、上述の加熱むらが生じるほどの定在波が発生する程度にマイクロ波を反射する構造物を意味する。
【0015】
本実施形態のマイクロ波照射装置1の動作について説明する。発振器10は、マイクロ波の周波数に応じた高周波電力を出力する。その周波数は、これに限らないが、例えば、2.45GHz又は915MHzといったものや、450MHzといったものである。この発振器10から出力された高周波電力は、給電器具20を介してアンテナ40に供給される。アンテナ40は、この給電に基づいて、マイクロ波を指向性照射軸45の方向に照射する。アンテナ40の前の保持具66上に配置された被照射物90には、アンテナ40からマイクロ波が照射される。このマイクロ波によって、被照射物90は、誘電加熱される。
【0016】
上述の通り、本実施形態では、マイクロ波を照射するアンテナとして指向性のアンテナ40が用いられ、指向性照射軸45が保持具66のマイクロ波を反射する構造物と交差しないように設計されている。このため、照射されるマイクロ波について、反射波に由来する定在波が発生しない。その結果、被照射物90は、均一に加熱される。
【0017】
誘電加熱による加熱装置として、例えば、金属筐体内でマイクロ波を反射させて被加熱物を加熱するマルチモードの加熱装置が知られている。また、マイクロ波を搬送する導波管内に被加熱物を配置するシングルモードの加熱装置が知られている。このような装置では、マイクロ波の反射が意図的に利用されている。すなわち、反射による定在波が意図的に作り出され、この定在波によって誘電加熱が行われる。しかしながら、このような定在波では、腹位置と節位置とで顕著であるように場所により電界強度に差が生じる。この電界強度のむらは、被加熱物の加熱むらを生じさせる。本実施形態のマイクロ波照射装置1では、定在波が生じないように調整されているので、均一な加熱が実現され得る。
【0018】
また、導波管を用いる加熱装置は、特に周波数が低い場合に導波管が大型化するなど、装置が大型化しやすい。また、均一加熱のために、複数種類の加熱装置を組み合わせる等する場合には、装置全体が大型化しやすい。これに対して、本実施形態のマイクロ波照射装置1は、導波管を用いることなく、複数種類の装置を組み合わせる必要もないので、装置の小型化も容易である。また、導波管を用いないので、比較的低い周波数のマイクロ波を使用することも容易である。周波数を低くすることで、電力半減深度を深くすることもできる。
【0019】
なお、より均一な加熱のために、保持具66は、アンテナ40の指向性照射軸45に沿って前後に移動したり、指向性照射軸45と平行な面内で回転したりしてもよい。被照射物90をこのような方向に移動させることで、被照射物90はより均一に加熱され得る。また、保持具66ではなくアンテナ40を移動させて、同様のことが行われてもよい。
【0020】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態のマイクロ波照射装置は、例えば食品といった被照射物に対してマイクロ波を照射して、被照射物を内部加熱するように構成されている。マイクロ波照射装置は、搬送装置を有し、複数の被照射物が次々と搬送されて、次々と加熱される。
【0021】
図4Aは、第2の本実施形態に係るマイクロ波照射装置2の構成例の概略を模式的に示す正面図である。図4Bは、第2の本実施形態に係るマイクロ波照射装置2の構成例の概略を模式的に示す平面図である。図4Cは、第2の本実施形態に係るマイクロ波照射装置2のアンテナ40の位置において側方から見た端面の構成例の概略を模式的に示す図である。
【0022】
これら図に示すように、マイクロ波照射装置2は、加熱対象物であってマイクロ波が照射される被照射物90を搬送する、保持具としての搬送装置60を備える。搬送装置60は、例えば、ベルト61とローラ62とを備える。ベルト61は、ローラ62に掛けられている。ローラ62は、図示しないモータによって回転し、ベルト61を長手軸方向に移動させる。被照射物90は、ベルト61に載せられて、ベルト61の移動によって搬送方向91に搬送される。搬送装置60の搬送方向91上流側には、被照射物90をベルト61の上に次々と供給する供給装置84が設けられている。搬送装置60の搬送方向91下流側には、搬送された被照射物90をベルト61から搬出する搬出装置86が設けられている。
【0023】
マイクロ波照射装置2は、搬送装置60によって搬送される被照射物90にマイクロ波を照射するように構成されたアンテナ40を備える。アンテナ40は、例えば、指向性のアンテナの一種であるループアンテナである。アンテナ40は、例えば同軸ケーブルといった給電器具20を介して導通した発振器10から給電される。
【0024】
ループアンテナについて、図5を参照して説明する。図5は、ループアンテナ51の構成例の概略を示す模式図である。ループアンテナ51は、例えば、照射するマイクロ波の一波長分の長さを有して円環形状に形成された導線52を備える。導線52の両端は、給電点53となっている。給電点53には、給電器具20としての例えば同軸ケーブル21が接続されている。同軸ケーブル21は、発振器10とループアンテナ51とを接続して導通させる。発振器10は、同軸ケーブル21を介して高周波電力をループアンテナ51に供給する。給電されると、エレメントとしての導線52に電流が生じ、ループアンテナ51は電波を放射して電界を形成する。
【0025】
円環形状のループアンテナ51では、導線52によって形成された開口面54が照射面42となり、開口面54の中心が照射源44となる。照射源44を通り、開口面54に垂直な方向に指向性照射軸45が形成され、指向性照射軸45に沿って両方向にマイクロ波が放射される。なお、導線52が形成する形状は、円環に限らず、四角形など他の形の環状でもよい。
【0026】
図4A乃至図4Cに戻って説明を続ける。本実施形態のマイクロ波照射装置2では、ループアンテナ51であるアンテナ40の開口面54である照射面42を貫通するように、搬送装置60のベルト61が設けられている。すなわち、被照射物90は、アンテナ40を通り抜けるように搬送方向91に搬送される。例えば、アンテナ40の照射面42は、搬送方向91に対して垂直となっており、アンテナ40の指向性照射軸45は、搬送方向91と平行である。
【0027】
アンテナ40の周囲は、マイクロ波の遮蔽のため、金属で覆われている。すなわち、搬送装置60は、金属筐体82を通り抜けるように設けられており、アンテナ40は、金属筐体82内に配置されている。
【0028】
本実施形態のマイクロ波照射装置2でも、アンテナ40の指向性照射軸45は、搬送装置60を構成する構造物のうちマイクロ波を反射する構造物と交差しない。その結果、入射波と反射波とが干渉することによって生じ得る定在波が発生しない。本実施形態のマイクロ波照射装置2でも、このような定在波が発生しないために、被照射物90において加熱むらが生じることが防止されている。
【0029】
さらに、本実施形態のマイクロ波照射装置2では、被照射物90がアンテナ40の照射源44を通過することで、効率よく、かつ、均等な被照射物90の加熱が実現される。図6は、波線92の振幅で場所に応じた電界強度を模式的に示す。この図に示すように、本実施形態のマイクロ波照射装置2では、被照射物90の中心部が、電界強度が強いアンテナ40の照射源44を通過する。このため、被照射物90は、その中心部で発熱し、被照射物90の内部から効率よく加熱される。すなわち、被照射物90の外部からマイクロ波を照射するときのように電力半減深度を考慮しなくてもよい。また、搬送装置60のベルト61に載っている被照射物90は、搬送方向91の方向に移動するので、被照射物90内で発熱位置が変化して、均等に加熱される。
【0030】
比較例を図7に示す。図7は、一般に知られている搬送装置60の搬送方向91に対して側方にアンテナ40が配置された加熱装置を模式的に示す。波線92で電界強度を模式的に示すように、図7に示すような配置では、被照射物90がアンテナ40の照射源44から離れており、被照射物90の中心部まで電力が届きにくい。このため、中心部が加熱されにくいことがある。これに対して、本実施形態のマイクロ波照射装置2では、被照射物90の中心部で電界強度が強くなる。
【0031】
本実施形態のマイクロ波照射装置2の動作について説明する。発振器10は、マイクロ波の周波数に応じた高周波電力を出力する。その周波数は、これに限らないが、例えば、2.45GHz、915MHz又は450MHzといったものである。この発振器10から出力された高周波電力は、給電器具20を介してアンテナ40に供給される。アンテナ40は、この給電に基づいて、マイクロ波を指向性照射軸45の方向に照射する。
【0032】
搬送装置60は、ローラ62の回転により、ベルト61を回転させる。供給装置84は、搬送装置60のベルト61上に、例えば一定間隔で、被照射物90を供給する。搬送装置60は、供給された被照射物90を搬送方向91に搬送し、金属筐体82内のループアンテナ51であるアンテナ40の開口面54を通過させる。アンテナ40の開口面54を通過する被照射物90に対して、アンテナ40からマイクロ波が照射される。このマイクロ波によって、被照射物90は、誘電加熱される。加熱された被照射物90は、搬送装置60によって金属筐体82の外部まで搬送される。搬出装置86は、加熱された被照射物90を搬送装置60から搬出する。
【0033】
上述の通り、本実施形態では、指向性のアンテナ40が用いられ、指向性照射軸45が搬送装置60のマイクロ波を反射する構造物と交差しないように設計されている。このため、照射されるマイクロ波について、反射波に由来する定在波が発生しない。その結果、被照射物90は、均一に加熱される。また、被照射物90は、アンテナ40の照射源44を通過する。このため、被照射物90の内部で強い電界が発生し、被照射物90が内部から効率よく加熱される。その他、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0034】
本実施形態に係るマイクロ波照射装置2は、種々の用途の処理装置に組み込まれたり、適切な態様で構成されたりし得る。例えば、密封包装された食品の加熱殺菌のために用いられる場合には、マイクロ波照射装置1は、密封包装された食品である被照射物90が加圧されたり、殺菌のために必要な時間保温されたりするように構成された装置内に組み込まれることになる。あるいは、材料の反応処理等に用いられるためには、処理対象物である被照射物90は、適当な反応容器に収容されてもよいし、搬送装置60を処理対象物が流れる管などとして構成してもよい。
【0035】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図8は、第3の実施形態に係るマイクロ波照射装置3の構成例の概略を模式的に示す図である。この図に示すように、マイクロ波照射装置3は、2つのアンテナ40を含むアンテナ群30を備える。アンテナ40は、例えば、ループアンテナ、パッチアンテナ等といった指向性のアンテナである。これに限らないが、ここでは、アンテナ40は、ループアンテナ51であるものとする。アンテナ群30の2つのアンテナ40は、互いに照射面42を対向させるように平行に配置されている。この照射面42を形成する開口面54を貫通するように、被照射物90が載置される保持具66が設けられている。このように、保持具66に載置される被照射物90が2つのアンテナ40に挟まれるように構成されている。2つのアンテナ40の指向性照射軸45は、それぞれ強い反射波が生じないように保持具66の被照射物90が載置される面と平行となっている。2つのアンテナ40は、それぞれ反対側から被照射物90にマイクロ波を照射するようになっている。各々のアンテナ40から照射されたマイクロ波は、重なり合うようになっている。
【0037】
図9に、波線92の振幅で場所に応じた電界強度を模式的に示す。この図に示すように、本実施形態のマイクロ波照射装置3では、被照射物90の両側からマイクロ波が照射される。
【0038】
図10は、対向して設けられたアンテナ40の指向性照射軸45に沿った位置に応じた電界実効値の大きさを示す模式図である。第1の位置P1と第2の位置P2とに対向するアンテナ40の各々が配置されている。したがって、第1の位置P1と第2の位置P2との間に、被照射物90が配置されることになる。図10に示すように、本実施形態のマイクロ波照射装置1は、第1の位置P1と第2の位置P2との間で、電界実効値がほぼ一定となるように構成されている。
【0039】
本実施形態によれば、被照射物90の両側から、マイクロ波が照射され、それらが形成する電界強度は場所が異なってもほぼ等しいので、被照射物90の均一な加熱が実現され得る。対向するアンテナ40とアンテナ40との間の電界強度が一定とは、被照射物90の加熱の均一さに関する要求が満たされる程度に、電界強度が一定であることを意味する。本実施形態によれば、被照射物90の加熱がより均一に行われ得る。その他、第1の実施形態のマイクロ波照射装置1と同様の効果が得られる。
【0040】
ここでは、2つのアンテナ40の指向性照射軸45は、それぞれ強い反射波が生じないように保持具66の被照射物90が載置される面と平行となっている場合を例に挙げて説明した。指向性照射軸45は、保持具66の載置面と平行であることが好ましいが、これに限らない。しかし、2つのアンテナ40は、少なくとも、指向性照射軸45が2つのアンテナ40の互いに向き合う開口面54と開口面54との間に存在する保持具66を構成するマイクロ波を反射する構造物と交わらないように、配置されていることが好ましい。このようにすることで、照射されるマイクロ波について、反射波に由来する定在波が発生せず、その結果、被照射物90は、均一に加熱される。
【0041】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図11Aは、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置4の構成例の概略を模式的に示す正面図であり、図11Bは、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置4の構成例の概略を模式的に示す平面図である。これら図に示すように、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置4は、第2の実施形態に係るマイクロ波照射装置2と同様に、加熱対象物であってマイクロ波が照射される被照射物90を搬送する搬送装置60を備える。
【0043】
第4の実施形態のマイクロ波照射装置4は、搬送装置60によって搬送される被照射物90にマイクロ波を照射するように構成された複数のアンテナ40を有するアンテナ群30を備える。複数のアンテナ40は、搬送方向91に沿って配置されている。各々のアンテナ40は、例えば、ループアンテナ51である。搬送装置60のベルト61は、各アンテナ40を通り抜けるように配置されている。各々のアンテナ40は、例えば同軸ケーブルといった給電器具20を介して導通した発振器10から給電される。複数のアンテナ40は、第3の実施形態のマイクロ波照射装置3のアンテナ40と同様に、隣り合うアンテナ40とアンテナ40との間で、電界実効値がほぼ一定となるように配置されている。アンテナ群30の周囲は、マイクロ波の遮蔽のため、金属筐体82で覆われている。
【0044】
第4の実施形態のマイクロ波照射装置4によれば、複数のアンテナ40によって、ベルト61に沿ってマイクロ波による電界強度がほぼ一定になる。搬送装置60によって搬送される被照射物90は、この一定の強度を有する電界の中を移動する。また、被照射物90は、各アンテナ40の照射源44を通過するように構成されている。これらにより、マイクロ波照射装置4は、効率的にかつ均等に被照射物90を加熱することができる。その他、第1乃至第3の実施形態のマイクロ波照射装置と同様の効果が得られる。
【0045】
[第5の実施形態]
第5の実施形態について説明する。ここでは、第4の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図12は、第5の実施形態に係るマイクロ波照射装置5の構成例の概略を模式的に示す平面図である。この図に示すように、第5の実施形態に係るマイクロ波照射装置5は、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置4と同様であるが、一部のアンテナ40の向きが変更されており、そのアンテナ40の指向性照射軸45が搬送方向91に沿っていない点が第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置4と異なる。
【0046】
被照射物90の加熱においては、必ずしも均一に電力が供給されることが好ましいとは限らない。例えば、被照射物90内において、加熱されやすい領域と加熱されにくい領域とがあるときには、加熱されにくい領域により多くの電力が投入されることで被照射物90の全体が均一に加熱されることになる。
【0047】
図12に示す例は、被照射物90の図下側及び図上側が加熱されにくい領域となっている例である。供給装置84側の2つのアンテナ40の対向する指向性照射軸45が一つは搬送方向91に対して図下側に、一つは図上側に偏るようにアンテナ40が配置されていることで、それぞれ図下側と図上側に向かった電界が形成され、そこを通過する被照射物90に対し異なる方向から電力が投入される。その結果、被照射物90の全体が均一に加熱される。その他、第4の実施形態のマイクロ波照射装置4と同様の効果が得られる。
【0048】
[実験例1]
上述の実施形態に係るマイクロ波照射装置による加熱の均一性を、加熱対象物を容器詰めされたポテトサラダとして評価した。
【0049】
〈方法〉
評価には、図8を参照して説明した第3の実施形態に係るマイクロ波照射装置3と同様の構成を有する試験装置を用いた。この試験装置100の構成例の概略を図13に示す。試験装置100は、発振器110と、金属筐体182内に配置された2つのループアンテナ140及び食品保持台166とを有する。
【0050】
発振器110の発振周波数は450 MHzとした。ループアンテナ140には、アルミニウム製であり、周長が1波長(λ = 666 mm)に相当する方形のループアンテナを用いた。2つのループアンテナ140を、互いの開口面が対向し、かつ、指向性照射軸145が食品保持台166と平行になるように配置した。2つのループアンテナ140の間隔は、λ/4 = 166.5 mmとした。ループアンテナ140への給電は、同相給電とした。食品保持台166には、厚さ5 mmのポリエチレン(PE)製の板を用いた。食品保持台166を、2つのループアンテナ140を貫通するように配置した。
【0051】
加熱対象物190は、長さ115 mm、幅80 mm、深さ20 mmのポリプロピレン(PP)製のトレーに、150 gのポテトサラダを盛りつけたものとした。加熱対象物190を、食品保持台166上の2つのループアンテナ140間の中央に配置した。加熱対象物190の配置は、トレーの長さ方向が指向性照射軸145に対して垂直になるような配置(縦置)と、トレーの長さ方向が指向性照射軸145に対して平行になるような配置(横置)との2通りとした。温度計測は、複数のサーモラベル(登録商標)をポテトサラダ表面に貼付することで行った。温度計測は、出力150 Wで5分間加熱した後に行った。
【0052】
また、2つのループアンテナ140間に形成される電界強度の数値解析を行った。
【0053】
〈結果〉
電界強度の数値シミュレーションの結果、2つのループアンテナ140間では、図10に示したような均一な電界が得られた。
【0054】
加熱対象物190を縦置して加熱した試験結果を図14に示す。指向性照射軸145に沿って、すなわち、トレーの2つの長辺の中点を結ぶ線に沿って並べて配置したサーモラベル(a)、(b)、(c)は、何れも90℃を示した。一方、指向性照射軸145から離れた位置、すなわち、トレーの短辺中央近くに配置したサーモラベル(d)、(e)は、何れも50℃未満を示した。
【0055】
加熱対象物190を横置して加熱した試験結果を図15に示す。指向性照射軸145に沿って、すなわち、トレーの2つの短辺の中点を結ぶ線に沿って並べて配置したサーモラベル(f)、(g)、(h)は、何れも100℃を示した。一方、指向性照射軸145から離れた位置、すなわち、トレーの長辺中央近くに配置したサーモラベル(i)、(j)は、何れも80℃を示した。
【0056】
図14及び図15に示した何れの結果からも、指向性照射軸145に沿っては短時間で均一に加熱可能であることが明らかになった。何れの場合も指向性照射軸145から離れるに従い温度が低下するような温度勾配が生じており、指向性照射軸145上では拡散照射軸上よりも加熱効率は高かった。加熱効率の高い指向性照射軸145を食品保持台166等の構造物と交差しないように配置することによって、マイクロ波の反射による定在波の発生や吸収によるエネルギー損失を抑えた加熱が可能であることが明らかになった。
【0057】
[実験例2]
上述の実施形態に係るマイクロ波照射装置による加熱特性を、加熱対象物を食品モデルとしての熱インジケータゲルとして、さらに評価した。
【0058】
〈方法〉
図16は、評価に用いた試験装置200の構成例の概略を示す。この試験装置200は、図8を参照して説明した第3の実施形態のマイクロ波照射装置3の構成に相当する。また、この状況は、図11A及び図11Bを参照して説明した第4の実施形態において、搬送装置60によって被照射物90が2つのアンテナ40の中間に位置している状態に相当する。試験装置200の構成は、以下のとおりとした。
【0059】
試験装置200は、電磁波を遮蔽する金属筐体282を備える。金属筐体282は、アルミニウム材で形成し、その寸法は、幅500 mm、長さ350 mm、高さ400 mmとした。金属筐体282内には、載置台266を水平に設けた。載置台266は、ガラスエポキシ製であり、その寸法は、幅331 mm、厚さ5 mmとした。載置台266の幅方向一端には、第1のブラケット249aを介して第1のループアンテナ240aを設け、載置台266の幅方向他端には、第2のブラケット249bを介して第2のループアンテナ240bを設けた。第1のブラケット249a及び第2のブラケット249bは、それぞれポリエチレン(PE)製とした。第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bは、それぞれアルミニウム材で角形に形成し、その外寸は、長さ214 mm、高さ111 mm、厚み2 mmとした。第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bは、互いに対向するように配置し、放射されるマイクロ波の指向性照射軸が載置台266に対して平行となるように設置した。第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの間隔は、333 mmとした。
【0060】
なお、金属筐体282の材料は、アルミニウムに限らず、鉄、ステンレスなどの他の金属素材であってもよい。また、載置台266、第1のブラケット249a及び第2のブラケット249bの材料は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等といった樹脂素材など、他の低誘電率、低損失な素材であってもよい。
【0061】
図示しないマイクロ波発振器を、図示しない同軸ケーブルを介して金属筐体282に設けられた第1の給電ポート223a及び第2の給電ポート223bに接続した。この同軸ケーブルは、途中で分岐しており、発振器から出力された電力は、第1の給電ポート223a及び第2の給電ポート223bに並列に給電される。第1の給電ポート223aは、第1のループアンテナ240aの第1の給電点253aに接続されている。第2の給電ポート223bは、第2のループアンテナ240bの第2の給電点253bに接続されている。一つの発振器から途中分岐し、並列に各アンテナに給電することによって、一方のアンテナからの出力を他方のアンテナが反射として誤認識することなく同時照射が可能である。
【0062】
マイクロ波発振器の出力電力の周波数を450 MHzとした。マイクロ波発振器から出力されたマイクロ波電力は、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bへ、同相で給電される。第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bからは、マイクロ波が放射される。ここで、第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの間隔は、上述のとおり333 mmであり、これは出力波長λ = 666 mmの1/2波長分である。
【0063】
食品モデル290として、熱インジケータゲルを用いた。この熱インジケータゲルは、キシロースとグリシンを含み、それらによるメイラード反応によって、おおよそ70℃以上になったときに褐色に変色するように構成されている。熱インジケータゲルの誘電率、導電率などの電気特性は、添加する油、塩分等の濃度を調整することで、概して市販のポテトサラダの電気特性と等しくなるように調整した。食品モデル290は、150 gの熱インジケータゲルを、ポリプロピレン(PP)製のカップに充填して作製した。なお、充填後にシールはしていない。
【0064】
この食品モデル290を、載置台266上の第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置した。すなわち、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bから、食品モデル290の中心までの距離は、166.5 mmとした。出力150 Wとして、食品モデル290を加熱した。
【0065】
また、比較実験として、食品モデル290を業務用電子レンジ(パナソニック社製、出力250 W)で加熱した。
【0066】
〈結果〉
図17は、試験装置200を用いて出力150 Wとして加熱した後の食品モデル290の写真を示す。図17において、上段は加熱時間が4分の場合であり、下段は加熱時間が6分の場合である。図17において、左列は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。この図において、左右方向が第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの指向性照射軸の方向である。図17において、右列は、左列の一点鎖線で示す線で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。
【0067】
図17に示すように、食品モデル290の中央部分が均一に褐色に変色しており、中央部分が均一に加熱されたことがわかる。
【0068】
図18は、比較実験として、業務用電子レンジを用いて出力250 Wで加熱した後の食品モデル290の写真を示す。図18において、上段は加熱時間が3分の場合であり、下段は加熱時間が5分の場合である。図18において、左列は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。図18において、右列は、左列の一点鎖線で示す線で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。
【0069】
業務用電子レンジを用いた場合、食品モデル290の外周部が濃い褐色に変色しており、外周部で過加熱が生じたことがわかった。マイクロ波は、庫内で多重反射しながら食品モデル290の外周部に照射され続けたと考えられる。さらに、食品モデル290の外周部で生じた発熱は、容器周上に沿って等しいわけではなく、図において丸299で囲った部分において発熱していない発熱欠損が生じていた。これは、マイクロ波の金属筐体における反射によって形成された定在波分布に均一性が無いことを示している。このことから、加熱の再現性がないことが示唆された。
【0070】
これに対して、本実施形態に係る試験装置200を用いた場合、定在波を抑制した照射方式により、食品中心部を選択的に加熱可能であることが確認された。
【0071】
[実験例3]
上述の実験例2では、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bから等距離の位置における加熱状況について検討した。本実験例では、第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの何れか一方側に偏った位置における加熱状況について検討した。この状況は、図11A及び図11Bを参照して説明した第4の実施形態において、搬送装置60によって被照射物90が2つのアンテナ40に対して偏った位置に搬送された状態に相当する。
【0072】
〈方法〉
図19は、本実験例の実施状況の概略を示す図である。本実験例では、図16に示した試験装置200を用いた。食品モデル290を、第1のループアンテナ240aから食品モデル290の中心までの距離が56.5 mmになる位置に配置した。試験装置200の出力を150 Wとし、5分間加熱した。
【0073】
〈結果〉
図20は、加熱後の食品モデル290の写真を示す。図20において、左の写真は、食品モデル290を上から撮影した食品モデル290の表面の様子を示す。この図において、左右方向が第1のループアンテナ240a及び第2のループアンテナ240bの指向性照射軸の方向であり、左側が食品モデル290に近い第1のループアンテナ240a側であり、右側が食品モデル290から離れている第2のループアンテナ240b側である。図20において、右の写真は、左の写真に示した一点鎖線の位置で切断した食品モデル290の縦断面の様子を示す。同様に、左側が食品モデル290に近い第1のループアンテナ240a側であり、右側が食品モデル290から離れている第2のループアンテナ240b側である。
【0074】
図20より、この場合、食品モデル290の外周部が発熱していることがわかった。また、アンテナ近傍側の発熱範囲はアンテナ遠方側の発熱範囲より広く、発熱の程度も大きいことがわかった。加熱対象物を一対の対向するアンテナのうち一方側に寄せて一対のアンテナに対して非対称に配置して、それぞれのアンテナからの距離を異ならせて加熱対象物にマイクロ波を照射することによって、加熱対象物の外周部への電界の回り込みが増加し、発熱欠損を生じることなく外周部を効率よく加熱することができることが見出された。
【0075】
[実験例4]
上述の実験例2の状況について、数値シミュレーションによる解析を行った。
【0076】
〈方法〉
解析には、熱連成解析ソフトであるCST STUDIO SUITE(ダッソー・システムズ社製)を用い、熱と電磁界の連成解析を行った。図16に示した試験装置200の解析モデルを構築した。加熱対象物は、ポリプロピレン(PP)製のカップに詰めた市販のポテトサラダ150 gを模擬したものとした。加熱対象物の電気特性は、市販のポテトサラダの実測値に基づいて、比誘電率εr = 51、導電率ρ = 1.2 s/m、誘電正接tanδ = 0.95とした。
【0077】
解析結果を示す図21Aに示されるように、この加熱対象物390を、互いに対向する第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bの中間位置に配置した。すなわち、加熱対象物390の中心からそれぞれのアンテナまでの距離は166.5 mmとした。
【0078】
本解析実験例では、加熱対象物390が配置される載置台366は、第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bを貫通するように配置されている。この点において、このモデルは、図16に示した試験装置200よりも図8に示した第3の実施形態に係るマイクロ波照射装置3に近い。一方で、載置台366の物性値は低誘電率、低損失な樹脂を模して設定されているため、実質的にこのモデルは、図16に示した試験装置200の装置構成と図8に示した第3の実施形態に係るマイクロ波照射装置3の構成とを共に再現していると考えることができる。
【0079】
上記のモデルを用いて、出力を150 Wとし、5分間加熱した場合の温度分布を解析した。
【0080】
〈結果〉
図21A及び図21Bは、熱連成解析結果を示す。図21Aは、解析結果を斜視図で示し、図21Bは、加熱対象物390の中心を通り第1のループアンテナ340a及び第2のループアンテナ340bの指向性照射軸に対して垂直な断面を示す。図17に示した実験例2の結果と同様に、加熱対象物390の中心部が強く発熱して高温になった。本数値解析の結果は、実験結果とよく一致した。この数値解析には信頼性があることが確認された。
【0081】
[実験例5]
図1を参照して説明した第1の実施形態のマイクロ波照射装置1及び図4A等を参照して説明した第2の実施形態のマイクロ波照射装置2に相当する装置構成における、数値シミュレーションによる解析を行った。
【0082】
〈方法〉
実験例4と同様の解析を行った。解析結果を示す図22Aに示されるように、図1を参照して説明した第1の実施形態のマイクロ波照射装置1及び図4A等を参照して説明した第2の実施形態のマイクロ波照射装置2に相当するモデルを構築して解析を行った。すなわち、このモデルでは、載置台466上に配置した加熱対象物490の片側のみにループアンテナ440を配置した。加熱対象物490は、実験例4の加熱対象物390と同様とした。
【0083】
図22Aに結果が示されている解析では、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離を166.5 mmとした。図22Bに結果が示されている解析では、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離を56.5 mmとした。出力を150 Wとし、5分間加熱した場合の温度分布をそれぞれ解析した。
【0084】
〈結果〉
図22A及び図22Bは、熱連成解析結果を示す。図22Aに示すように、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離が166.5 mmであるとき、加熱対象物490の外周部のうち、特にループアンテナ440に近い側が発熱することがわかった。加熱対象物に対してアンテナを片側のみに配置し、加熱対象物に対して非対称にマイクロ波を照射することによって、アンテナ側の加熱対象物の外周部を選択的に加熱可能であることが明らかになった。
【0085】
図22Aの場合よりも加熱対象物490とループアンテナ440との距離を縮めて、ループアンテナ440から加熱対象物490の中心までの距離を56.5 mmとした場合の結果を図22Bに示す。加熱対象物490とループアンテナ440との距離を縮めることで、加熱対象物490の外周部のうち図22Aの場合よりも広い範囲の温度が上昇した。この結果は、図20に示した実験例3の結果と一致した。
【0086】
マイクロ波を非対称に照射し、さらに、加熱対象物とアンテナとの距離を調整することで、加熱対象物において発熱させる領域を調整可能であることが明らかになった。
【0087】
[実験例6]
加熱方法を検討する実験を行った。
【0088】
〈方法〉
図16に示した試験装置200を用いて、ポリプロピレン(PP)製のカップに市販のポテトサラダ140 gを充填して充填後シールしない試料を加熱対象物として、実験を行った。加熱条件を以下のようにした。まず、加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置して、出力150 Wで2.5分間加熱した。加熱後、インターバルとして1.5分間放置した。続いて、加熱対象物を第1のループアンテナ240aから加熱対象物の中心までの距離が56.5 mmとなる位置に配置して、出力150 Wで2.5分間加熱した。この間の加熱対象物の温度を、光ファイバー温度計を用いて測定した。
【0089】
〈結果〉
図23は、加熱対象物の中心部(実線)と外周部(破線)との温度測定の結果を示す。加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置した場合、加熱対象物の中心部が外周部よりもより加熱され、2.5分加熱後の温度は、中心部で70℃、外周部で45℃となった。1.5分間のインターバル期間での温度低下はあまりなく、インターバル期間終了時の温度は、中心部で67℃、外周部で45℃となった。その後、加熱対象物を第1のループアンテナ240a側に寄せて加熱したところ、加熱対象物の外周部が中心部よりもより加熱され、2.5分加熱後の温度は、中心部で73℃、外周部で100℃となった。
【0090】
加熱対象物を第1のループアンテナ240aと第2のループアンテナ240bとの中間位置に配置して両アンテナから均等にマイクロ波を照射することと、加熱対象物を第1のループアンテナ240aに寄せて配置して両アンテナから不均等にマイクロ波を照射することとを組み合わせることによって、中心部と外周部とをそれぞれ加熱することができ、加熱対象物の全体をまんべんなく加熱できることが明らかになった。すなわち、第2の実施形態のマイクロ波照射装置2や第4の実施形態のマイクロ波照射装置4のように、搬送装置60によって被照射物90を移動させて、アンテナ40と被照射物90との位置関係を変化させることで、被照射物90の中心部と外周部とをそれぞれ加熱することができ、被照射物90の全体をまんべんなく加熱できることが明らかになった。
【0091】
[実験例7]
第4の実施形態のマイクロ波照射装置4に相当する試験装置を作製して、加熱対象物を搬送しながら加熱した場合の加熱特性を評価した。
【0092】
〈方法〉
図24は、本実験例に係る試験装置500の構成例の概略を示す図である。試験装置500は、電磁波を遮蔽する第1の金属筐体582aと、第2の金属筐体582bと、第3の金属筐体582cとを備える。第1の金属筐体582aは、アルミニウム材で形成し、その寸法は、搬送方向に沿う長さ440 mm、搬送方向に直交する幅350 mm、高さ400 mmとした。第1の金属筐体582a内を通るように、幅140 mmの樹脂製のコンベア561を設けた。第1の金属筐体582aのコンベア561の入口部分に第1の金属筐体582aと接続するように第2の金属筐体582bを設け、第1の金属筐体582aのコンベア561の出口部分に第1の金属筐体582aと接続するように第3の金属筐体582cを設けた。第2の金属筐体582b及び第3の金属筐体582cのそれぞれは、アルミニウム材で形成し、その寸法は、長さ220 mm、幅248 mm、高さ80 mmとした。
【0093】
第1の金属筐体582a内には、コンベア561が貫通するように、円形の第1のループアンテナ540a及び第2のループアンテナ540bを設けた。第1のループアンテナ540a及び第2のループアンテナ540bは、それぞれアルミニウム材で形成し、その内径は232 mm、厚みは2 mmとした。第1のループアンテナ540a及び第2のループアンテナ540bは、互いに対向するように配置し、放射されるマイクロ波の指向性照射軸がコンベア561の載置面に対して平行となるように設置した。第1のループアンテナ540aと第2のループアンテナ540bとの間隔は、333 mmとした。
【0094】
第1のループアンテナ540a及び第2のループアンテナ540bに同軸ケーブル521を介して、発振器510を接続した。発振器510の出力電力の周波数は、450 MHzとした。発振器510の出力電力は、同軸ケーブル521を介して第1のループアンテナ540a及び第2のループアンテナ540bに並列かつ同相で給電される。第1のループアンテナ540a及び第2のループアンテナ540bの間隔は、上述のとおり333 mmであり、これは出力波長λ = 666 mmの1/2波長分である。一つの発振器から途中分岐し、並列に各アンテナに給電することによって、一方のアンテナからの出力を他方のアンテナが反射として誤認識することなく同時照射が可能である。
【0095】
ポリプロピレン(PP)製のカップにポテトサラダ140 gを充填して充填後シールしない試料を加熱対象物590とした。加熱対象物590として、第1の加熱対象物591、第2の加熱対象物592及び第3の加熱対象物593の3個を用意し、コンベア561上にそれらを所定の間隔で配置した。コンベア561の搬送速度を1 mm/秒とし、出力を300 Wとした。第3の金属筐体582cの出口に設置したサーモグラフィーで、加熱後のポテトサラダの表面温度を測定した。
【0096】
また、比較実験として、同様のカップ詰めポテトサラダを、業務用電子レンジを用いて出力150 Wで5分間加熱し、サーモグラフィーで表面温度を測定した。
【0097】
〈結果〉
図25は、試験装置500を用いて加熱した第1の加熱対象物591、第2の加熱対象物592及び第3の加熱対象物593のサーモグラフィーで得られた画像を示す。また、図26は、比較実験として、業務用電子レンジを用いて加熱した加熱対象物590のサーモグラフィーで得られた画像を示す。
【0098】
図26に示すように、電子レンジで加熱した場合、マイクロ波は庫内で多重反射しながら常に加熱対象物590の外周部から照射されていると考えられ、加熱対象物590の外周部において過加熱が生じていた。この比較実験では、外周部と中心部との温度差は33℃であった。さらに、加熱対象物590の外周部の発熱は、周上に沿って等しい温度分布を示しているわけではなく、図において丸599で囲った部分のように、低温部が生じていた。これは、マイクロ波の金属筐体における反射によって形成された定在波分布に均一性が無いことを示している。このことから、加熱の再現性がないことが示唆された。
【0099】
これに対して、図25に示すように、試験装置500を用いて加熱した第1の加熱対象物591、第2の加熱対象物592及び第3の加熱対象物593は、いずれも中心部に対して外周部が若干高温になっていたが、この温度差は7℃程度であり、均一性は高かった。以上のように、電子レンジに代表されるような電力反射を積極的に利用した加熱方式に対して、電力反射の抑制を図った本加熱方式は、均一性の高い加熱を実現できることが示された。
【0100】
[実験例8]
第4の実施形態のマイクロ波照射装置4について、数値シミュレーションによる解析を行った。
【0101】
〈方法〉
図27に示す第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置4のモデルを作製した。このモデルにおいて、金属筐体682は、アルミニウム製とし、その寸法は、長さ1320 mm、幅350 mm、高さ400 mmとした。金属筐体682内を通るように、樹脂製のコンベア661を設けた。金属筐体682内には、コンベア661が貫通するように、3つのループアンテナである第1のループアンテナ640a、第2のループアンテナ640b及び第3のループアンテナ640cを設けた。これらループアンテナは、いずれもアルミニウム製であり、外寸を214 mm×111 mmとした。第1のループアンテナ640aの第1の給電部653a、第2のループアンテナ640bの第2の給電部653b、及び第3のループアンテナ640cの第3の給電部653cのそれぞれに給電する電力の周波数は450 MHz(波長λ = 666 mm)とした。各ループアンテナ間の距離は、333 mm(λ/2)とした。
【0102】
中央に配置された第2のループアンテナ640bの位置を座標原点とし、各アンテナ間に形成される電界強度を解析した。
【0103】
比較解析として、導波管内において周波数450 MHz、出力電界1 v/mでマイクロ波発振をおこなったときの発振器からの照射距離に対する電界強度の算出を行った。
【0104】
また、図27に示すモデルを用いて、ポリプロピレン(PP)製のカップにポテトサラダ150 gを充填した試料を加熱対象物とした解析を行った。解析には、熱連成解析ソフトであるCST STUDIO SUITE(ダッソー・システムズ社製)を用い、熱と電磁界の連成解析を行った。加熱対象物であるポテトサラダの電気物性値は、実測値に基づいて、比誘電率εr = 51、導電率ρ = 1.2 s/m、誘電正接tanδ = 0.95とした。加熱対象物1個を搬送しながら出力150 W、加熱時間5分でマイクロ波加熱を行ったときの加熱対象物の発熱分布を解析した。
【0105】
〈結果〉
図28は、図27に示すモデルにおいて各アンテナ間に形成される電界強度を解析した結果を示す。この図において、破線で示す-333 mm、0 mm、333 mmの位置は、ループアンテナが配置されている位置を示す。また、図29は、比較解析として行った導波管内で発振器からの照射距離に対する電界強度の解析結果を示す。
【0106】
図29に示されるように、公知のとおり、導波管内には金属筐体との反射による定在波の腹と節が交互に形成される。腹位置において、電界強度は発振器出力の2倍となり、節位置において電界強度はゼロとなる。すなわち、場所に応じた電界強度の差は大きい。これに対して、図28に示されるように、第4の実施形態に係るマイクロ波照射装置では、電界強度分布は、節のない均一性の高いものであった。
【0107】
図30は、ポリプロピレン(PP)製のカップにポテトサラダ150 gを充填した加熱対象物690を加熱した際の、加熱対象物690の発熱分布の解析結果を示す。左図は、コンベア661による搬送方向に沿った断面を示し、右図は、コンベア661による搬送方向に直交する方向の断面を示す。加熱対象物690における均一な発熱分布が確認された。
【0108】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0109】
1,2,3,4,5 マイクロ波照射装置
10 発振器
20 給電器具
21 同軸ケーブル
30 アンテナ群
40 アンテナ
42 照射面
44 照射源
45 指向性照射軸
46 拡散照射軸
51 ループアンテナ
52 導線
53 給電点
54 開口面
60 搬送装置
61 ベルト
62 ローラ
66 保持具
82 金属筐体
84 供給装置
86 搬出装置
90 被照射物
91 搬送方向
100 試験装置
110 発振器
140 ループアンテナ
145 指向性照射軸
166 食品保持台
182 金属筐体
190 加熱対象物
200 試験装置
223a 第1の給電ポート
223b 第2の給電ポート
240a 第1のループアンテナ
240b 第2のループアンテナ
249a 第1のブラケット
249b 第2のブラケット
253a 第1の給電点
253b 第2の給電点
266 載置台
282 金属筐体
290 食品モデル
340a 第1のループアンテナ
340b 第2のループアンテナ
366 載置台
390 加熱対象物
440 ループアンテナ
466 載置台
490 加熱対象物
500 試験装置
510 発振器
521 同軸ケーブル
540a 第1のループアンテナ
540b 第2のループアンテナ
561 コンベア
582a 第1の金属筐体
582b 第2の金属筐体
582c 第3の金属筐体
590 加熱対象物
591 第1の加熱対象物
592 第2の加熱対象物
593 第3の加熱対象物
640a 第1のループアンテナ
640b 第2のループアンテナ
640c 第3のループアンテナ
653a 第1の給電部
653b 第2の給電部
653c 第3の給電部
661 コンベア
682 金属筐体
690 加熱対象物
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30