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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140349
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】スイッチモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20220915BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 301L
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033827
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】202110263916.6
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】洪守玉
(72)【発明者】
【氏名】葉益青
(72)【発明者】
【氏名】徐海濱
(72)【発明者】
【氏名】周偉成
(72)【発明者】
【氏名】王涛
(72)【発明者】
【氏名】周敏
(72)【発明者】
【氏名】謝毅聡
(72)【発明者】
【氏名】王増勝
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パワーループと制御ループ間の相互インダクタンスを低減し、制御ループの自己インダクタンスを低減するスイッチモジュールを提供する。
【解決手段】スイッチモジュール1は、基板2、スイッチデバイス3、第一制御部品4、第二制御部品5、第一パワー部品6及び第二パワー部品7を含む。スイッチデバイスは、基板に設置され、、第一制御端31、第二制御端及び第一パワー端32並びに第二パワー端を含む。第一制御部品は、対応するスイッチデバイスの第一制御端に接続される。第二制御部品は、対応するスイッチデバイスの第二制御端に接続され、第一制御部品の基準面への投影と第二制御部品の前記基準面への投影との両方の間に交差点Oを有する。第一パワー部品は、対応するスイッチデバイスの第一パワー端に接続される。第二パワー部品は、対応するスイッチデバイスの第二パワー端に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの基板と、
少なくとも一つのスイッチデバイスであって、前記基板に設置され、かつ各前記スイッチデバイスが第一制御端、第二制御端、第一パワー端及び第二パワー端を含む、少なくとも一つのスイッチデバイスと、
対応する前記スイッチデバイスの前記第一制御端に接続される少なくとも一つの第一制御部品と、
少なくとも一つの第二制御部品であって、対応する前記スイッチデバイスの前記第二制御端に接続され、前記第一制御部品の基準面への投影と前記第二制御部品の前記基準面への投影との両方の間に少なくとも一つの第一交差点を有する、少なくとも一つの第二制御部品と、
対応する前記スイッチデバイスの前記第一パワー端に接続される少なくとも一つの第一パワー部品と、
対応する前記スイッチデバイスの前記第二パワー端に接続される少なくとも一つの第二パワー部品と、
を含むことを特徴とする、スイッチモジュール。
【請求項2】
前記第一制御部品が第一制御ピン及び第一導体を含み、前記第一導体が前記第一制御ピンと対応する前記スイッチデバイスの前記第一制御端との間に接続され、前記第二制御部品が第二制御ピン及び第二導体を含み、前記第二導体が前記第二制御ピンと対応する前記スイッチデバイスの前記第二制御端との間に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチモジュール。
【請求項3】
前記第一導体の前記基準面への投影と前記第二導体の前記基準面への投影との両方の間に前記少なくとも一つの第一交差点を有することを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項4】
前記第一制御ピンの前記基準面への投影と前記第二導体の前記基準面への投影との両方の間に前記少なくとも一つの第一交差点を有することを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項5】
前記第一パワー部品が第一パワーピン及び第三導体を含み、前記第三導体が前記第一パワーピンと対応する前記スイッチデバイスの前記第一パワー端との間に接続され、前記第二パワー部品が第二パワーピン及び第四導体を含み、前記第四導体が前記第二パワーピンと対応する前記スイッチデバイスの前記第二パワー端との間に接続されることを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項6】
前記第一制御ピン、前記第二制御ピン、前記第一パワーピン及び前記第二パワーピンが、順次配列設置されていることを特徴とする、請求項5に記載のスイッチモジュール。
【請求項7】
前記第二制御部品と前記第一パワー部品が、同一の部品によって構成されることを特徴とする、請求項5に記載のスイッチモジュール。
【請求項8】
前記第一制御ピンが第一ピン素子及び第二ピン素子をさらに有し、前記第一ピン素子の一端が前記第二ピン素子の一端に接続され、かつ前記第一ピン素子と前記第二ピン素子がある角度で設置され、前記第一ピン素子の他端が前記第一導体に接続されることを特徴とする、前記第一ピン素子と前記第二ピン素子が一体的に形成された構造であることを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項9】
前記スイッチモジュールが複数の前記スイッチデバイス、複数の前記第一制御部品及び複数の前記第二制御部品を含み、各前記スイッチデバイスの前記第一制御端が、対応する前記第一導体を介して対応する前記第一制御ピンに接続され、各前記スイッチデバイスの前記第二制御端が、対応する前記第二導体を介して対応する前記第二制御ピンに接続され、
少なくとも一つの前記スイッチデバイスに対応する前記第一制御部品及び前記第二制御部品の前記基準面への投影の間に前記少なくとも一つの第一交差点を有することを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項10】
各前記スイッチデバイスに対応する前記第一制御部品と前記第二制御部品の前記基準面への投影の間に前記少なくとも一つの第一交差点を有することを特徴とする、請求項9に記載のスイッチモジュール。
【請求項11】
前記スイッチモジュールが第一スイッチデバイスと第二スイッチデバイスを含み、前記第一スイッチデバイスの前記第一制御端が、第七導体を介して前記第二スイッチデバイスの前記第一制御端に接続され、かつ前記第一スイッチデバイスの前記第一制御端が、さらに前記第一導体を介して前記第一制御ピンに接続され、
前記第一スイッチデバイスの前記第二制御端が、第六導体を介して前記第二スイッチデバイスの前記第二制御端に接続され、かつ前記第一スイッチデバイスの前記第二制御端が、さらに前記第二導体を介して前記第二制御ピンに接続されることを特徴とする、請求項2に記載のスイッチモジュール。
【請求項12】
前記第六導体の前記基準面への投影と前記第七導体の前記基準面への投影との間に少なくとも一つの第二交差点を有することを特徴とする、請求項11に記載のスイッチモジュール。
【請求項13】
前記第一スイッチデバイスの前記第二パワー端が、前記第二スイッチデバイスの前記第一パワー端に接続され、または、
前記第一スイッチデバイスの前記第一パワー端が、前記第二スイッチデバイスの前記第一パワー端に接続され、かつ前記第一スイッチデバイスの前記第二パワー端が、前記第二スイッチデバイスの前記第二パワー端に接続されることを特徴とする、請求項11に記載のスイッチモジュール。
【請求項14】
前記第一制御部品と前記第二制御部品の側面への投影によって形成された領域における磁束が、前記第一制御部品と前記第二制御部品の前記基準面への投影によって形成された領域における磁束を補償するために用いられることで、前記第一制御部品と前記第二制御部品によって形成された総磁束が低減し、前記側面が前記基準面と交差していることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチモジュール。
【請求項15】
前記第一制御部品と前記第二制御部品が非同一平面に設置され、かつ、
前記第一制御部品の前記側面への投影が、前記第二制御部品の前記側面への投影と前記第一パワー部品の前記側面への投影との間に位置し、または、
前記第一制御部品の前記側面への投影が、前記第二制御部品の前記側面への投影と前記第二パワー部品の前記側面への投影との間に位置することを特徴とする、請求項14に記載のスイッチモジュール。
【請求項16】
前記第一制御部品と前記第二制御部品が非同一平面に設置され、かつ、
前記第二制御部品の前記側面への投影が、前記第一制御部品の前記側面への投影と前記第一パワー部品の前記側面への投影との間に位置し、または、
前記第二制御部品の前記側面への投影が、前記第一制御部品の前記側面への投影と前記第二パワー部品の前記側面への投影との間に位置することを特徴とする、請求項14に記載のスイッチモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はスイッチモジュール、特にパワーループと制御ループ間の相互インダクタンスが小さく、かつ制御ループの自己インダクタンスが小さいスイッチモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力電子システムのスイッチモジュールでは通常、作動周波数を高めることにより高いパワー密度を達成する。しかし、作動周波数を高めると、スイッチ損失が増加し、さらにスイッチモジュールの効率が低下する。從って、高周波の場合、スイッチモジュールの制御端のスイッチ速度を向上させることにより、スイッチ損失を低減する。しかし、スイッチモジュールが高いスイッチ速度を有する場合、深刻な電磁干渉(Electro Magnetic Interference、EMI)の問題が発生する。
【0003】
特にスイッチモジュールが高いパワー密度の構造を有する場合、スイッチモジュール内のパワーループと制御ループとの間の距離が比較的近いため、パワーループにおける電流が変化すると、パワーループの周囲に誘導磁界が発生し、誘導磁界が制御ループを通過する際に、対応する誘導電圧が発生するため、パワーループと制御ループとの間に相互インダクタンスによる電磁干渉が生じ、スイッチモジュールのスイッチング過程に影響を及ぼす。従来のスイッチモジュールのパワーループと制御ループが、それぞれ独立して設置されかつ互いに接触していないため、パワーループの誘導磁界が制御ループを通過する際の方向が一致することで、さらにパワーループと制御ループ間の相互インダクタンスによる電磁干渉が大幅に増加する。相互インダクタンスによる電磁干渉が大きすぎて干渉電圧が高くなると、制御端の電圧が安全範囲を超え、さらにスイッチモジュールの信頼性が低下し、正常に動作しなくなる可能性がある。
【0004】
なお、パワーループと制御ループ間の相互インダクタンスによる電磁干渉に加えて、制御ループには自己インダクタンスによる電磁干渉があり、制御ループの電流が変化すると、制御ループの周囲に誘導磁界が発生し、さらに自己インダクタンスによる電磁干渉が生じる。制御ループの自己インダクタンスの大きさは、制御ループの面積の大きさに比例し、自己インダクタンスが大きい場合、スイッチング過程で発振が起こりやすく、スイッチモジュールの安全性能が低下する。
【0005】
そこで、上記の欠点を克服するスイッチモジュールをどのように開発するかは、現在の切迫する要求となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、パワーループと制御ループ間の相互インダクタンスを低減し、制御ループの自己インダクタンスを低減することができるスイッチモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一実施形態では、少なくとも一つの基板、少なくとも一つのスイッチデバイス、少なくとも一つの第一制御部品、少なくとも一つの第二制御部品、少なくとも一つの第一パワー部品及び少なくとも一つの第二パワー部品を含むスイッチモジュールを提供する。少なくとも一つのスイッチデバイスは基板に設置され、かつ各スイッチデバイスは第一制御端、第二制御端、第一パワー端及び第二パワー端を含む。少なくとも一つの第一制御部品は、対応するスイッチデバイスの第一制御端に接続される。少なくとも一つの第二制御部品は、対応するスイッチデバイスの第二制御端に接続され、第一制御部品の基準面への投影と第二制御部品の基準面への投影との両方の間に少なくとも一つの第一交差点を有する。少なくとも一つの第一パワー部品は、対応するスイッチデバイスの第一パワー端に接続される。少なくとも一つの第二パワー部品は、対応するスイッチデバイスの第二パワー端に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図2図1に示すスイッチモジュールの部分構造の側面図である。
図3図1に示すスイッチモジュールの制御ループが外磁界の相互インダクタンスをクロスキャンセルする原理図である。
図4図1に示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図5図1に示すスイッチモジュールに含まれる磁束方向の制御ループが外磁界の相互インダクタンスをクロスキャンセルする原理図である。
図6図1に示すスイッチモジュールの側面方向における制御ループが外磁界の相互インダクタンスをクロスキャンセルする原理図である。
図7A】本開示の第二実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図7B図7Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図8A】本開示の第三実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図8B図8Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図9A】本開示の第四実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図9B図9Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図10A】本開示の第五実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図10B図10Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図11A】本開示の第六実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図11B図11Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図12A】本開示の第七実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図12B図12Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図13A】本開示の第八実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図13B図13Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図14】本開示の第九実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図15A】本開示の第十実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図15B図15Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。
図16】本開示の第十一実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図17】本開示の第十二実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図18】本開示の第十三実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
図19】本開示の第十四実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本開示は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本開示の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本開示を限定する意図はないことを理解されたい。
【0010】
図1図2図3及び図4を参照し、図1は本開示の第一実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図2図1に示すスイッチモジュールの部分構造の側面図であり、図3図1に示すスイッチモジュールの制御ループが外磁界の相互インダクタンスをクロスキャンセルする原理図であり、図4図1に示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。本開示のスイッチモジュール1は、主回路基板(図示せず)に設置され、主回路基板に電気的に接続され、かつスイッチモジュール1は、基板2、スイッチデバイス3、第一制御部品4、第二制御部品5、第一パワー部品6及び第二パワー部品7を含む。
【0011】
一実施形態において、スイッチデバイス3は垂直型デバイスであり、かつ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)、バイポーラジャンクショントランジスタ(Bipolar Junction Transistor、BJT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFET)、接合型電界効果トランジスタ(Junction Field Effect Transistor、JFET)または窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(Gallium Nitrid High Electron Mobility Tansistor、GaN-HEMT)であってもよいが、これらに限定されない。スイッチデバイス3は、接続材料11を介して溶接されて基板2に設置され、かつスイッチデバイス3は第一制御端31、第二制御端と第一パワー端32及び第二パワー端33を含み、第一制御端31及び第二制御端と第一パワー端32は、スイッチデバイス3の第一面34に設置され、第二制御端と第一パワー端は、スイッチデバイス3の同じ領域に位置しており、いずれも符号32で示され、第二パワー端33はスイッチデバイス3の第二面35に設置され、第二パワー端33は、接続材料11を介して基板2に接続される。いくつかの実施形態では、スイッチデバイス3がIGBTである場合、第一制御端31はスイッチデバイス3のゲート(Gate)を構成し、第二制御端と第一パワー端32は共に、スイッチデバイス3のエミッタ(Emitter)を構成し、第二パワー端33はスイッチデバイス3のコレクタ(Collector)を構成する。別のいくつかの実施形態では、スイッチデバイス3がBJTである場合、第一制御端31はスイッチデバイス3のベース(Base)を構成し、第二制御端と第一パワー端32は共に、スイッチデバイス3のエミッタ(Emitter)を構成し、第二パワー端33はスイッチデバイス3のコレクタ(Collector)を構成する。別のいくつかの実施形態では、スイッチデバイス3がMOSFET、JFETまたはGaN-HEMTである場合、第一制御端31はスイッチデバイス3のゲート(Gate)を構成し、第二制御端と第一パワー端32は共に、スイッチデバイス3のソース(Source)を構成し、第二パワー端33はスイッチデバイス3のドレイン(Drain)を構成する。本実施形態では、スイッチデバイス3はMOSFETであり、図1に示すスイッチモジュール1の回路接続関係は図4に示される。
【0012】
第一制御部品4はスイッチデバイス3の第一制御端31に接続され、第一制御部品4は、第一制御ピン41及び第一導体42を含み、第一導体42は第一制御ピン41及び対応するスイッチデバイス3の第一制御端31に接続される。第二制御部品5はスイッチデバイス3の第二制御端32に接続され、第二制御部品5は第二制御ピン51及び第二導体52を含み、第二導体52は第二制御ピン51及び対応するスイッチデバイス3の第二制御端32に接続される。第二制御端32、第二導体52、第二制御ピン51、主回路基板、第一制御ピン41、第一導体42及び第一制御端31は、スイッチモジュール1の制御ループを構成する。
【0013】
第一制御部品4の基準面(例えば、基板2が位置する平面)への投影と第二制御部品5の前記基準面への投影との両方の間に少なくとも一つの交差点Oを有する。本実施形態では、第一制御部品4の第一導体42の基準面へ、例えば基板2が位置する平面への投影と第二制御部品5の第二導体52の前記基準面への投影との両方の間に交差点Oを有する。
【0014】
第一パワー部品6は、対応するスイッチデバイス3の第一パワー端32に接続され、第一パワー部品6は第一パワーピン61及び第三導体62を含み、第三導体62は第一パワーピン61及び対応するスイッチデバイス3の第一パワー端32に接続される。第二パワー部品7は基板2に接続され、基板2を介して対応するスイッチデバイス3の第二パワー端33に接続され、第二パワー部品7は、第二パワーピン71と第四導体72を含み、第四導体72は基板2と第二パワーピン71との間に接続され、かつ第四導体72は基板2を介して対応するスイッチデバイス3の第二パワー端33に接続される。第二パワー端33、基板2、第四導体72、第二パワーピン71、主回路基板、第一パワーピン61、第三導体62及び第一パワー端32は、スイッチモジュール1のパワーループを構成する。本実施形態では、第一制御ピン41、第二制御ピン51、第一パワーピン61及び第二パワーピン71は順次配列設置されている。
【0015】
図3を参照し、図3におけるA点及びD点は、それぞれ第一制御部品4の両端を表し、図3におけるB点及びC点は、それぞれ第二制御部品5の両端を表し、図3におけるP点は、スイッチデバイス3の第一制御端31及び第二制御端32によって構成された導電性接点を表し、図3におけるQ点は主回路基板によって構成された導電性接点を表し、図3におけるIはパワーループの電流を表す。本実施形態では、第一導体42と第二導体52との間に形成された交差点Oにより、スイッチモジュール1の制御ループは二つのサブ制御ループに区分され、第1のサブ制御ループは交差点O、B点、P点及びA点によって構成され、第2のサブ制御ループは交差点O、C点、Q点及びD点によって構成されている。制御ループの集積化が高い場合、第1のサブ制御ループの面積が第2のサブ制御ループの面積に等しいまたは近似していることで、二つのサブ制御ループを通過するパワーループの電流Iによって生成された磁界の磁束は等しいまたは近似しており、すなわち、第1のサブ制御ループの磁束Φ1の大きさは、第2のサブ制御ループの磁束Φ2の大きさに等しいまたはほぼ等しいため、パワーループの電流Iによる第1のサブ制御ループへの相互インダクタンスM1の大きさは、パワーループの電流Iによる第2のサブ制御ループへの相互インダクタンスM2の大きさに等しいまたはほぼ等しい。なお、第1のサブ制御ループの電流方向が第2のサブ制御ループの電流方向と反対であるため、パワーループの電流Iによる第1のサブ制御ループへの相互インダクタンスM1とパワーループの電流Iによる第2のサブ制御ループへの相互インダクタンスM2の正負の符号は反対である。好ましくは、相互インダクタンスM1の大きさが相互インダクタンスM2の大きさに等しい場合を例とすると、パワーループの電流Iによる第1のサブ制御ループへの相互インダクタンスM1に、電流Iによる第2のサブ制御ループへの相互インダクタンスM2を足して0となり、すなわち、パワーループの電流Iによる制御ループ全体への相互インダクタンスが0となるため、本実施形態のパワーループの電流Iによる制御ループへの相互インダクタンスは著しく低下する。
【0016】
なお、第一導体42と第二導体52との間に交差点Oがあるため、本実施形態の制御ループの面積は、第1のサブ制御ループの面積に第2のサブ制御ループの面積を足した面積であり、すなわち、交差点O、B点、P点及びA点を結ぶ線によって形成された面積に、交差点O、C点、Q点及びD点を結ぶ線によって形成された面積を足した面積である。したがって、非接触で交差点を有さない従来の制御ループに比べて、本実施形態の制御ループの面積が、A点、交差点O及びC点を結ぶ線によって形成された第一領域を減少させ、かつB点、交差点O及びD点を結ぶ線によって形成された第二領域を減少させることができるため、本実施形態の制御ループの面積は小さく、制御ループの自己インダクタンスも小さくなる。
【0017】
上記から分かるように、本開示のスイッチモジュール1の第一制御部品4の第一導体42の基準面への投影と第二制御部品5の第二導体52の基準面への投影との両方の間に交差点Oがあるため、従来のスイッチモジュールに比べて、本開示のスイッチモジュール1の制御ループの相互インダクタンスが小さく、かつ自己インダクタンスが小さいため、スイッチモジュール1の安全性能を向上させることができる。
【0018】
図3に示す制御ループとパワーループとの位置関係は、いずれも投影図、例えば基板2が位置する平面への投影である。図1における第一制御部品4及び第二制御部品5が完全に同一の平面にあるのではない可能性があり、特に第一導体42と第二導体52が完全に同一の平面にあるのではない可能性があり、すなわち、第一制御部品4の第一導体42及び第二制御部品5の第二導体52が非同一平面に設置されていることが理解される。このように、図1に示す構造の側面方向から見ると、例えば基板2が位置する平面に垂直な面への投影において、第一制御部品4及び第二制御部品5に囲まれた別の領域、例えば図6に示すPAOCQDOBに囲まれた領域が見える。図5は、図3に基づいて、パワーループの電流Iがゼロより大きい場合に二つのサブ制御ループを通過する磁束Φ1とΦ2の方向をさらに示している。二つのサブ制御ループの磁束Φ1とΦ2の方向は同じであるが、二つのサブ制御ループの電流方向が反対であるため、二つのサブ制御ループの磁束Φ1とΦ2に対応する二つのサブ制御ループの相互インダクタンスM1とM2の方向は反対であり、パワーループの電流Iによる二つのサブ制御ループへの総相互インダクタンスはM1+M2である。Φ1がΦ2に近いまたは等しい場合、M1の大きさもM2に近いまたは等しく、総相互インダクタンスM1+M2の値は0に近いまたは等しく、その効果は前記の通りである。しかし、磁束Φ1とΦ2の値の差が大きい、すなわち、Φ1>Φ2またはΦ1<Φ2の場合、M1+M2の値と0の差も大きくなり、第3の磁束Φ3を導入してさらに相殺・補償を行うことができる。図6は、パワーループの電流Iと制御ループの側面方向への投影を示しており、パワーループの電流Iの側面方向への投影は、制御ループの側面投影の上方に位置し、それに応じて、制御ループの側面投影(すなわち、PAOCQDOB領域)におけるパワーループの電流Iによる磁界の磁束はΦ3であり、かつ磁束Φ3の方向が示され、制御ループ全体における磁束Φ3の相互インダクタンスをM3と定義する。Φ1<Φ2を例とすると、M1+M2<0、しかし、Φ3の補償により、対応する総相互インダクタンスM1+M2+M3=0とすることができ、第一制御部品4と第二制御部品5の側面への投影によって形成された領域における磁束は、第一制御部品4と第二制御部品5の基準面への投影によって形成された領域における磁束を補償するために用いられ、これによって、第一制御部品4と第二制御部品5によって形成された制御ループにおける総磁束を低減させ、好ましくは、総磁束をゼロに低減させることで、パワーループの電流Iによる制御ループ全体への相互インダクタンスの低減を実現する。例えば、このとき、第一制御部品4の側面への投影が第二制御部品5の側面への投影とパワーループの電流Iの側面への投影との間に位置することによって得られ、換言すれば、第一制御部品4の側面への投影が第二制御部品5の側面への投影と第一パワー部品6の側面への投影との間に位置することによって得られ、または第一制御部品4の側面への投影が第二制御部品5の側面への投影と第二パワー部品7の側面への投影との間に位置することによって得られる。それ以外の場合も、同様に側面投影における磁束Φ3を導入することにより、M1+M2+M3=0を実現し、すなわち、さらに相互インダクタンスの低減を実現することができる。例えば、Φ1>Φ2の場合も、同様に第一制御部品4、第二制御部品5の側面投影における磁束Φ3により補償効果を実現する。例えば、第二制御部品5の側面への投影が第一制御部品4の側面投影とパワーループの電流Iの側面投影との間に位置することにより得られ、換言すれば、第二制御部品5の側面への投影が第一制御部品4の側面への投影と第一パワー部品6の側面への投影との間に位置することにより得られ、または第二制御部品5の側面への投影が第一制御部品4の側面への投影と第二パワー部品7の側面への投影との間に位置することにより得られる。本実施形態では、前記側面が基準面と交差しており、好ましくは、前記側面が基準面に垂直である。
【0019】
図7A及び図7Bを参照し、図7Aは本開示の第二実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図7B図7Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図7A及び図7Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1aの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1に示す実施形態との違いは、図1に示すスイッチモジュール1の第二パワーピン71が、本実施形態にかかるスイッチモジュール1aにおいて基板2の一部によって構成されることにあり、スイッチモジュール1aの基板2がスイッチデバイス3の第二パワー端33に直接接続可能であるため、スイッチモジュール1aの第二パワー部品は、スイッチデバイス3の第二パワー端33に接続するための第四導体を別途備える必要がない。かつ本実施形態では、スイッチモジュール1aのパワーループは、第二パワー端33、基板2、主回路基板、第一パワーピン61、第三導体62及び第一パワー端32からなる。さらに、第一制御ピン41、第二制御ピン51及び第一パワーピン61は順次配列設置されている。
【0020】
図8A及び図8Bを参照し、図8Aは本開示の第三実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図8B図8Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図8A及び図8Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1bの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1に示す実施形態との違いは、第一制御ピン41、第二制御ピン51、第一パワーピン61及び第二パワーピン71の配列位置が変更されることにあり、すなわち、本実施形態にかかるスイッチモジュール1bの第一制御ピン41、第二パワーピン71、第二制御ピン51及び第一パワーピン61は順次配列設置されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、第二制御部品及び第一パワー部品は同一の部品を共有する。図9A及び図9Bを参照し、図9Aは本開示の第四実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図9B図9Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図9A及び図9Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1cの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1に示す実施形態との違いは、図1に示すスイッチモジュール1の第二制御部品5と第一パワー部品6とが独立して設置されるのに対し、本実施形態にかかるスイッチモジュール1cにおいて、第二制御部品と第一パワー部品が一つの共通部品8によって構成されることにあり、共通部品8は、対応するスイッチデバイス3の第二制御端と第一パワー端32に接続され、かつ共通部品8は第五ピン81及び第五導体82を含む。第五ピン81は、第二制御部品の第二制御ピン及び第一パワー部品の第一パワーピンとして同時に機能することができる。第五導体82は対応するスイッチデバイス3の第二制御端及び第一パワー端32と第五ピン81との間に接続され、かつ第二制御部品の第二導体及び第一パワー部品の第三導体として同時に機能することができる。本実施形態では、第一制御部品4の第一導体42の基準面へ、例えば基板2が位置する平面への投影と共通部品8の第五導体82の基準面への投影との両方の間に交差点Oを有する。本実施形態では、第一制御ピン41、第五ピン81及び第二パワーピン71は順次配列設置されている。
【0022】
図10A及び図10Bを参照し、図10Aは本開示の第五実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図10B図10Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図10A及び図10Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1dの構造及び機能は、図9A及び図9Bに示すスイッチモジュール1cの構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図9A及び図9Bの実施形態との違いは、ピンの配列位置が変更されることにあり、すなわち、第五ピン81、第一制御ピン41及び第二パワーピン71は順次配列設置されている。
【0023】
図11A及び図11Bを参照し、図11Aは本開示の第六実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図11B図11Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図11A及び図11Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1eの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、図1に示すスイッチモジュール1の第二パワー端33がスイッチデバイス3の第二面35に設置されるのに対し、本実施形態にかかるスイッチモジュール1eのスイッチデバイス3の第一制御端31、第二制御端と第一パワー端32及び第二パワー端33が、いずれもスイッチデバイス3の第一面34に設置されて、平面型スイッチデバイス、例えば窒化ガリウムまたは低電圧金属酸化物半導体電界効果トランジスタを構成することにあり、第二パワー部品7は基板2を介さずに、スイッチデバイス3の第二パワー端33に直接接続される。
【0024】
図12A及び図12Bを参照し、図12Aは本開示の第七実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図12B図12Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図12A及び図12Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1fの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、本実施形態にかかるスイッチモジュール1fが、二つのスイッチデバイス(以下、図12Aの左側に位置するスイッチデバイスを第一スイッチデバイス3′と呼び、図12Aの右側に位置するスイッチデバイスを第二スイッチデバイス3″と呼ぶ)、二つの第一制御部品4、二つの第二制御部品5、二つの第一パワー部品6及び一つの第二パワー部品7を含み、第一スイッチデバイス3′と第二スイッチデバイス3″が並列に接続されていることにある。本実施形態では、第一スイッチデバイス3′に対応する第一制御部品4(すなわち、図12Aの左側に位置する第一制御部品4)の第一導体42の基準面への投影と第二制御部品5(すなわち、図12Aの左側に位置する第二制御部品5)の第二導体52の前記基準面への投影との両方の間に交差点Oを有する。第二スイッチデバイス3″に対応する別の第一制御部品4(すなわち、図12Aの右側に位置する第一制御部品4)の第一導体42の基準面への投影と別の第二制御部品5(すなわち、図12Aの右側に位置する第二制御部品5)の第二導体52の基準面への投影との両方の間に別の交差点Oを有する。本実施形態では、少なくとも一つのスイッチデバイスに対応する第一制御部品4と第二制御部品5の基準面(例えば基板2が位置する平面)への投影との間に交差点Oを有すればよいことに注意すべきである。
【0025】
本実施形態では、一方の第一制御部品4(すなわち、図12Aの左側に位置する第一制御部品4)の第一制御ピン41、一方の第二制御部品5(すなわち、図12Aの左側に位置する第二制御部品5)の第二制御ピン51、一方の第一パワー部品6(すなわち、図12Aの左側に位置する第一パワー部品6)の第一パワーピン61、他方の第一パワー部品6(すなわち、図12Aの右側に位置する第一パワー部品6)の第一パワーピン61、他方の第二制御部品5(すなわち、図12Aの右側に位置する第二制御部品5)の第二制御ピン51及び他方の第一制御部品4(すなわち、図12Aの右側に位置する第一制御部品4)の第一制御ピン41は順次配列設置されている。二つの第一制御ピン41、二つの第二制御ピン51、二つの第一パワーピン61及び一つの第二パワーピン71の間の配列設置方式は一意ではなく、本発明はこれに限定されないことに注意すべきである。もちろん、別のいくつかの実施形態では、一つの第一パワーピン61のみを保有し、すなわち、第一スイッチデバイス3′と第二スイッチデバイス3″は、同一の第一パワーピン61を共有することができる。
【0026】
図13A及び図13Bを参照し、図13Aは本開示の第八実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図13B図13Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図13A及び図13Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1gの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、本実施形態にかかるスイッチモジュール1gが、二つのスイッチデバイス(以下、図13Aの左側に位置するスイッチデバイスを第一スイッチデバイス3′と呼び、図13Aの右側に位置するスイッチデバイスを第二スイッチデバイス3″と呼ぶ)、単一の第一制御部品4、単一の第二制御部品5、二つの第一パワー部品6及び単一の第二パワー部品7を含み、第一スイッチデバイス3′及び第二スイッチデバイス3″が並列に接続されていることにある。本実施形態と図15の実施形態では、いずれも二つのスイッチデバイスが並列に接続され、その違いは、本実施形態における第二スイッチデバイス3″と第一スイッチデバイス3′が同一の第一制御ピン41と同一の第二制御ピン51を共有し、かつ、本実施形態にかかるスイッチモジュール1gが、第六導体91及び第七導体92をさらに含み、第六導体91が第一スイッチデバイス3′の第二制御端32と第二スイッチデバイス3″の第二制御端32との間に接続され、第七導体92が第一スイッチデバイス3′の第一制御端31と第二スイッチデバイス3″の第一制御端31との間に接続されることにある。もちろん、別のいくつかの実施形態では、一つの第一パワーピン61のみを保有し、すなわち、第一スイッチデバイス3′と第二スイッチデバイス3″は同一の第一パワーピン61を共有することができる。
【0027】
かつ本実施形態では、一方の第一パワー部品6(すなわち、図13Aの左側に位置する第一パワー部品6)の第一パワーピン61、第一制御ピン41、第二制御ピン51及び他方の第一パワー部品6(すなわち、図13Aの右側に位置する第一パワー部品6)の第一パワーピン61、第二パワー部品7の第二パワーピン71は、任意の順序で配列設置されることができる。
【0028】
別のいくつかの実施形態では、図14に示すように、本開示の第九実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。本実施形態と図13Aに示す実施形態との違いは、二つのスイッチデバイスの配置方向が異なることのみにある。本実施形態にかかるスイッチモジュール1hの第六導体91の基準面への投影と第七導体92の基準面への投影との両方の間に交差点Pを有し、例えば第六導体91の基板2が位置する平面への投影と第七導体92の基板2が位置する平面への投影との両方の間に交差点Pを有し、それによって、二つのサブ制御ループを通過するパワーループの電流によって生成された磁界の磁束が等しいまたは近似しており、さらに相互インダクタンス及び自己インダクタンスが低減する原理は、前記第一実施形態の第一導体と第二導体との間に形成された交差点Oと同じである。本実施形態における第六導体91の基準面への投影と第七導体92の基準面への投影との両方の間に交差点Pが存在することで、第二パワーループの電流による第二制御ループへの相互インダクタンスはより低減され、かつ第二制御ループの自己インダクタンスもより低減される。
【0029】
図15A及び図15Bを参照し、図15Aは本開示の第十実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図であり、図15B図15Aに示すスイッチモジュールの回路構造模式図である。図15A及び図15Bに示すように、本実施形態にかかるスイッチモジュール1iの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、本実施形態にかかるスイッチモジュール1iが、二つの基板(以下、図15Aの左側に位置する基板を第一基板2′と呼び、図15Aの右側に位置する基板を第二基板2″と呼ぶ)、二つのスイッチデバイス(以下、図15Aの左側に位置するスイッチデバイスを第一スイッチデバイス3′と呼び、図15Aの右側に位置するスイッチデバイスを第二スイッチデバイス3″と呼ぶ)、二つの第一制御部品4、二つの第二制御部品5、単一の第一パワー部品6及び二つの第二パワー部品7を含むことにある。第一スイッチデバイス3′及び第二スイッチデバイス3″は直列に接続され、第一スイッチデバイス3′は第一基板2′に設置され、第二スイッチデバイス3″は第二基板2″に設置される。本実施形態では、第一スイッチデバイス3′に対応する第一制御部品4(すなわち、図15Aの左側に位置する第一制御部品4)の第一導体42の基準面(例えば第一基板2′及び第二基板2″が位置する平面)への投影と一方の第二制御部品5(すなわち、図15Aの左側に位置する第二制御部品5)の第二導体52の基準面への投影との両方の間に交差点Oを有する。かつ第二スイッチデバイス3″に対応する他方の第一制御部品4(すなわち、図15Aの右側に位置する第一制御部品4)の第一導体42の基準面への投影と他方の第二制御部品5(すなわち、図15Aの右側に位置する第二制御部品5)の第二導体52の基準面への投影との両方の間に別の交差点Oを有する。
【0030】
本実施形態にかかるスイッチモジュール1iは、第八導体93をさらに含み、第八導体93は第一スイッチデバイス3′の基板2′と第二スイッチデバイス3″の第一パワー端32との間に接続される。
【0031】
図16を参照し、本開示の第十一実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。本実施形態にかかるスイッチモジュール1jの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、本実施形態にかかるスイッチモジュール1jの第一導体42の基準面への投影と第二導体52の基準面への投影との両方の間に複数の交差点O、例えば図16に示す三つの交差点Oを有することにあり、交差点Oの数はこれに限定されるものではなく、複数の交差点Oの設計により、本実施形態にかかるスイッチモジュール1jの制御ループの面積がより低減され、制御ループの自己インダクタンスが低減されることができる。
【0032】
図17を参照し、本開示の第十二実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。本実施形態にかかるスイッチモジュール1kの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、第一制御部品4の第一制御ピン41が、第一ピン素子411及び第二ピン素子412をさらに有することにあり、第一ピン素子411の一端は第二ピン素子412の一端に垂直に接続され、好ましくは、第一ピン素子411と第二ピン素子412が一体的に形成された構造であり、第一ピン素子411の他端が第一導体42に接続される。本実施形態では、第一制御部品4の第一制御ピン41の第一ピン素子411の基準面への投影と第二制御部品5の第二導体52の基準面への投影との両方の間に交差点Oを有し、例えば、第一制御部品4の第一制御ピン41の第一ピン素子411の基板2が位置する平面への投影と第二制御部品5の第二導体52の基板2が位置する平面への投影との両方の間に交差点Oを有する。別のいくつかの実施形態では、第一ピン素子411の一端と第二ピン素子412の一端は、任意の角度で接続されることができ、本発明はこれに限定されないことに注意すべきである。さらに、第一制御ピン41の基準面への投影と第二導体52の前記基準面への投影との両方の間に複数の交差点Oを有し得、交差点Oの数は特定の設計要求によって決定され、本発明はこれに限定されない。
【0033】
図18を参照し、本開示の第十三実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。本実施形態にかかるスイッチモジュール1lの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、第二制御部品5の第二制御ピン51が、第三ピン素子511及び第四ピン素子512をさらに有することにあり、第三ピン素子511の一端は第四ピン素子512の一端に接続され、かつ第三ピン素子511は第四ピン素子512と垂直に設置され、第三ピン素子511の他端は第二導体52に接続される。本実施形態では、第一制御部品4の第一導体42の基準面への投影と第二制御部品5の第二導体52の基準面への投影との両方の間に交差点Oを有し、第一制御部品4の第一導体42の基準面への投影と第二制御部品5の第二制御ピン51の第三ピン素子511の基準面への投影との両方の間にも別の交差点Oを有する。
【0034】
図19を参照し、本開示の第十四実施形態にかかるスイッチモジュールの構造模式図である。本実施形態にかかるスイッチモジュール1mの構造及び機能は、図1に示すスイッチモジュール1の構造及び機能と部分的に類似しているため、ここでは同一の符号で類似する構造及び機能を示し、その説明を省略する。本実施形態と図1の実施形態との違いは、図1に示すスイッチモジュール1の第二パワー部品の第二パワーピンが、本実施形態にかかるスイッチモジュール1mにおいて基板2の一部によって構成され、またはスイッチモジュール1mでは第二パワー部品の第二パワーピンを表面接合技術により基板2に直接設置されることにあり、スイッチモジュール1mの基板2がスイッチデバイス3の第二パワー端33に直接接続されることができるため、スイッチモジュール1mの第二パワー部品は、スイッチデバイス3の第二パワー端33に接続するための第四導体を別途備える必要がない。かつ本実施形態にかかるスイッチモジュール1mの第一制御部品4の第一制御ピン41は、第一ピン素子411及び第二ピン素子412をさらに有し、第一ピン素子411の一端は第二ピン素子412の一端に接続され、かつ第一ピン素子411と第二ピン素子412は、ある角度で、例えば垂直に設置され、第一ピン素子411の他端は第一導体42に接続される。
【0035】
本実施形態のスイッチデバイス3の第一制御端31は、基板2の一方側に位置し、第一制御ピン41、第二制御ピン51、第一パワーピン61は基板2の他方側に位置する。第一制御部品4の第一ピン素子411の基準面への投影と第二制御部品5の第二導体52の前記基準面への投影との両方の間に交差点Oを有する。図17図19に示す導体と制御ピンの投影が交差する実施形態について、図11A図15Bに示す実施形態にも同様に適用できることに注意すべきである。ここでは説明を省略する。
【0036】
上記のように、本開示はスイッチモジュールを提供し、スイッチモジュールの第一制御部品の基準面への投影と第二制御部品の基準面への投影との両方の間に交差点があるため、本開示のスイッチモジュールのパワーループの電流による制御ループ全体への相互インダクタンスが小さく、かつスイッチモジュールの制御ループの自己インダクタンスが小さいため、スイッチモジュールの安全性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i、1j、1k、1l、1m... スイッチモジュール
11... 接続材料
2... 基板
3... スイッチデバイス
31... 第一制御端
32... 第二制御端と第一パワー端
33... 第二パワー端
34... 第一面
35... 第二面
4... 第一制御部品
41... 第一制御ピン
42... 第一導体
5... 第二制御部品
51... 第二制御ピン
52... 第二導体
6... 第一パワー部品
61... 第一パワーピン
62... 第三導体
7... 第二パワー部品
71... 第二パワーピン
72... 第四導体
O、P... 交差点
I... 電流
Φ1、Φ2、Φ3... 磁束
M1、M2... 相互インダクタンス
2′... 第一基板
2″... 第二基板
3′... 第一スイッチデバイス
3″... 第二スイッチデバイス
411... 第一ピン素子
412... 第二ピン素子
511... 第三ピン素子
512... 第四ピン素子
8... 共通部品
81... 第五ピン
82... 第五導体
91... 第六導体
92... 第七導体
93... 第八導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19