(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140351
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ロジン変性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び積層物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/12 20060101AFI20220915BHJP
C08G 63/553 20060101ALI20220915BHJP
C08G 63/137 20060101ALI20220915BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20220915BHJP
【FI】
C08F290/12
C08G63/553
C08G63/137
C09D11/101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034013
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2021040534
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 倫幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸明
(72)【発明者】
【氏名】四方 亀
【テーマコード(参考)】
4J029
4J039
4J127
【Fターム(参考)】
4J029AA07
4J029AB01
4J029AC05
4J029AE17
4J029AE18
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4J127FA12
(57)【要約】
【課題】ロジン変性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び積層物を提供すること。
【解決手段】本開示は、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位、ポリオールに由来する構造単位及び多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位を含む樹脂と不均化ロジンとの反応物である、ロジン変性樹脂を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位、
ポリオールに由来する構造単位及び
多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位を含む樹脂と
不均化ロジンとの反応物である、ロジン変性樹脂。
【請求項2】
水素化ロジンに由来する構造単位を含む、請求項1に記載のロジン変性樹脂。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロジン変性樹脂及びポリ(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
オフセットインキ用である、請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項6】
請求項5に記載の硬化物を含む、積層物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロジン変性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及び積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化する樹脂組成物(以下、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物という)は、反応性希釈剤、樹脂、光重合開始剤及び添加剤を含み、省エネルギー型の工業材料としてコーティング剤や塗料、印刷インキ等様々な分野で利用されている。
【0003】
特に活性エネルギー線硬化型印刷インキでは、硬化性や皮膜硬度等が優れていることから、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートやジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等の多官能アクリレートが反応性希釈剤として汎用されている。多官能アクリレートとの相溶性や硬化性に優れているとの理由から、ジアリルフタレート樹脂がバインダー樹脂として広く用いられている(特許文献1の段落[0009]を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ジアリルフタレート樹脂は、ジアリルフタレートモノマーを重合させたものであり、重合性二重結合を有する一方、ヒドロキシル基やカルボキシル基等の極性官能基を有しないため、利用態様が限られる。また、樹脂中に残存する未反応のジアリルフタレートモノマーが変異原性の高懸念物質である(上記特許文献1の段落[0009]を参照)。また、近年バイオマス原料を多く用いた樹脂の需要が高まっている。
【0006】
発明が解決しようとする課題は良好な流動性、耐乳化性、耐ミスチング性を付与できるロジン変性樹脂を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の組成を有するロジン変性樹脂により、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位、
ポリオールに由来する構造単位及び
多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位を含む樹脂と
不均化ロジンとの反応物である、ロジン変性樹脂。
(項目2)
水素化ロジンに由来する構造単位を含む、上記項目に記載のロジン変性樹脂。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のロジン変性樹脂及びポリ(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目4)
オフセットインキ用である、上記項目に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目5)
上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
(項目6)
上記項目に記載の硬化物を含む、積層物。
【0009】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態のロジン変性樹脂は良好な流動性、耐乳化性、耐ミスチング性を付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA4、A3、A2、A1(A4>A3>A2>A1とする)等が例示される場合、数値αの範囲は、A4以下、A3以下、A2以下、A1以上、A2以上、A3以上、A1~A2、A1~A3、A1~A4、A2~A3、A2~A4、A3~A4等が例示される。
【0012】
[ロジン変性樹脂]
本開示は、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位、
ポリオールに由来する構造単位及び
多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位を含む樹脂(未変性樹脂ともいう)と
不均化ロジンとの反応物である、ロジン変性樹脂を提供する。
【0013】
<α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン>
α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0014】
本開示において、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンは、付加環化反応に付したロジンを意味する。
【0015】
(ロジン)
ロジンは、松から得られる琥珀色、無定形の樹脂である。ロジンは、混合物として得られる。
【0016】
ロジンの松種は、馬尾松(Pinus massoniana)、スラッシュ松(Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、思茅松(Pinus kesiya)、テーダ松(Pinus taeda)及び大王松(Pinus palustris)等が例示される。
【0017】
ロジンは、天然ロジン、精製ロジン等が例示される。なお、天然ロジン、精製ロジンをまとめて未変性ロジンともいう。
【0018】
(天然ロジン)
天然ロジンは、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が例示される。
【0019】
天然ロジンの産地は、中国、ベトナム、インドネシア、ブラジル等が例示される。
【0020】
(精製ロジン)
精製ロジンは、各種公知の精製手段を用いて得られ得る。精製手段は、蒸留法、抽出法、再結晶法、吸着法等が例示される。
【0021】
蒸留法は、上記天然ロジンを200~300℃の温度、0.01~3kPaの減圧下で蒸留する方法等が例示される。
【0022】
抽出法は、上記天然ロジンをアルカリ水溶液とし、不溶性の不ケン化物を各種の有機溶媒により抽出した後に水層を中和する方法等が例示される。
【0023】
再結晶法は、上記天然ロジンを良溶媒としての有機溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、更に貧溶媒としての有機溶媒を添加する方法等が例示される。
【0024】
良溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、クロロホルム等の塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等の酢酸エステル類等が例示される。
【0025】
貧溶媒は、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が例示される。
【0026】
吸着法は、溶融状態の未変性ロジン又は有機溶媒に溶解させた溶液状の未変性ロジンを、多孔質吸着剤に接触させる方法等が例示される。
【0027】
多孔質吸着剤は、活性炭、金属酸化物、アルミナ、ジルコニア、シリカ、モレキュラーシーブス、ゼオライト、微細孔の多孔質クレー等が例示される。
【0028】
ロジンは、ジテルペン樹脂酸という構成成分ごとに単離され得る。本開示では、ロジンから単離されるジテルペン樹脂酸それぞれもロジンと定義する。
【0029】
ジテルペン樹脂酸は、アビエタン型ジテルペン樹脂酸、ピマラン型ジテルペン樹脂酸、デヒドロ型ジテルペン樹脂酸、ラブダン型ジテルペン樹脂酸等が例示される。
【0030】
アビエタン型ジテルペン樹脂酸は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラスリトリン酸、レポピマル酸等が例示される。
【0031】
ピマラン型ジテルペン樹脂酸は、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸等が例示される。
【0032】
デヒドロ型ジテルペン樹脂酸は、デヒドロアビエチン酸等が例示される。
【0033】
ラブダン型ジテルペン樹脂酸は、コムン酸、ジヒドロアガチン酸等が例示される。
【0034】
(α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物)
α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ムコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ムコン酸、マレイン酸ハーフエステル、フマル酸ハーフエステル、イタコン酸ハーフエステル、3,4,5,6-テトラヒドロ無水フタル酸等が例示される。これらの中でも、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸が好ましい。
【0035】
α,β-不飽和カルボン酸の使用量は、乳化性の点から、ロジン100質量部に対して0.5~100質量部が好ましく、0~60質量部がより好ましい。
【0036】
上記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンは、加熱下で溶融させたロジンに、α,β-不飽和カルボン酸を加えて、温度160~240℃で、1~9時間で反応させることにより製造され得る。また、上記反応は、密閉した反応系内に窒素等の不活性ガスを吹き込みながら行っても良い。
【0037】
付加環化反応では、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化スズ等のルイス酸や、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のブレンステッド酸等の公知の触媒を使用してもよい。
【0038】
付加環化反応触媒の使用量は、ロジンに対して0~10質量%が好ましい。
【0039】
得られたα,β-不飽和カルボン酸変性ロジンには、未変性ロジン由来の樹脂酸が含まれてもよく、その含有量は、25質量%未満が好ましい。
【0040】
1つの実施形態において、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンは、マレイン化ロジンが好ましい。
【0041】
ロジン変性樹脂100質量%中のα,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、46、45、44、42、41、40、35、33、31、30、29、27、25、20、15、10、9、5、4、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は1~46質量%が好ましい。
【0042】
ロジン変性樹脂100モル%中のα,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、44、40、40、35、30、25、20、15、10、9、5、4、2、1、0.9モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0.9~44モル%が好ましい。
【0043】
<ポリオール>
本開示において、ポリオールは、水酸基を2個以上有する化合物を意味する。ポリオールは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0044】
ポリオールは、ジオール、トリオール、テトラオール等が例示される。
【0045】
ジオールは、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、ポリアルキレンジオール等が例示される。
【0046】
脂肪族ジオールは、エタンジオール(エチレングリコール)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、メチルオクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等が例示される。
【0047】
脂環族ジオールは、1,2-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘプタンジオール、アダマンタンジオール、トリシクロデカンジオール等が例示される。
【0048】
ポリアルキレンジオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示される。
【0049】
トリオールは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、アダマンタントリオール等が例示される。
【0050】
テトラオールは、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン等が例示される。
【0051】
上記以外のポリオールは、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等が例示される。
【0052】
ロジン変性樹脂100質量%中のポリオールに由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、44、40、40、35、30、29、28、27、25、24、23、21、20、17、15、14、13、12、10、9、5、4、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は1~44質量%が好ましい。
【0053】
ロジン変性樹脂100モル%中のポリオールに由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、55、50、45、40、40、35、30、25、20、15、14、13、12、10、9、5、4、3、2.5モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は2.5~55モル%が好ましい。
【0054】
<多塩基酸及び/又はその無水物>
多塩基酸及び/又はその無水物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0055】
多塩基酸は、脂肪族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等が例示される。
【0056】
脂肪族ポリカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等が例示される。
【0057】
脂環族ポリカルボン酸は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等が例示される。
【0058】
芳香族ポリカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,4-ナフタレンジカルボン酸等が例示される。
【0059】
多塩基酸の無水物は、上記多塩基酸の無水物等が例示される。
【0060】
ロジン変性樹脂100質量%中の多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、42、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、5、4、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は1~42質量%が好ましい。
【0061】
ロジン変性樹脂100モル%中の多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、5、4、2、1モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は1~50モル%が好ましい。
【0062】
<不均化ロジン>
不均化ロジンは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0063】
本開示において、不均化ロジンは、不均化反応に付したロジンを意味する。不均化は、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子となる変性である。
【0064】
上記不均化ロジンは、ロジンを不均化触媒の存在下に加熱する方法(不均化)により得られ得る。
【0065】
不均化触媒は、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等の担持触媒;ニッケル、白金等の金属粉末;ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物の各種公知のもの等が例示される。
【0066】
不均化触媒の使用量は、ロジン100質量部に対して0.01~5質量部が好ましく、0.01~1質量部がより好ましい。
【0067】
不均化反応の反応温度は100~300℃が好ましく、150~290℃がより好ましい。
【0068】
不均化ロジンは、不均化反応の後、上記精製を施す方法によっても製造され得る。
【0069】
ロジン変性樹脂100質量%中の不均化ロジンに由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、7、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は5~90質量%が好ましい。
【0070】
ロジン変性樹脂100モル%中の不均化ロジンに由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は5~80モル%が好ましい。
【0071】
ロジン変性樹脂における不均化ロジンに由来する構造単位とα,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位との質量比(不均化ロジンに由来する構造単位の質量/α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位の質量)の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、3.6、3.51、3.5、2、1.6、1.5、1、0.9、0.81、0.8、0.79、0.5、0.4、0.3、0.22等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は0.22~90が好ましい。
【0072】
<一塩基酸>
ロジン変性樹脂は、任意で、一塩基酸に由来する構成単位を含み得る。一塩基酸は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0073】
一塩基酸は、水素化ロジン、芳香族一塩基酸、飽和脂肪族一塩基酸、不飽和脂肪族一塩基酸等が例示される。
【0074】
本開示において、「水素化ロジン」は、水素付加反応に付したロジンを意味する。
【0075】
水素圧は、好ましくは、2MPa~20MPaが挙げられ、より好ましくは、5MPa~20MPaが挙げられる。
【0076】
水素化反応の温度は、好ましくは、100℃~300℃が挙げられ、より好ましくは、150℃~300℃が挙げられる。
【0077】
水素化触媒は、例えば、担持触媒、金属粉末等が挙げられる。
【0078】
担持触媒は、例えば、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。
【0079】
金属粉末は、例えば、ニッケル、白金等が挙げられる。1つの実施形態において、上記未変性ロジンの水素化率が高くなり、水素化時間が短くなる観点から、水素化触媒は、好ましくは、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金系触媒が挙げられる。
【0080】
ロジン100質量部に基づくと、水素化触媒の使用量は、好ましくは、0.01質量部~5質量部が挙げられ、より好ましくは、0.01質量部~2質量部が挙げられる。
【0081】
上記水素化は、必要に応じて、ロジンを溶媒に溶解した状態で行われ得る。水素化反応に使用する溶媒(水素化反応溶媒)は、反応に不活性で原料、生成物が溶解しやすい溶媒であればよい。水素化反応溶媒は、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。水素化反応溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0082】
ロジンに対する不揮発分に基づくと、水素化反応溶媒の使用量は、好ましくは、10質量%以上が挙げられ、より好ましくは、10質量%~70質量%が挙げられる。
【0083】
芳香族一塩基酸は、安息香酸、メチル安息香酸、ターシャリーブチル安息香酸、ナフトエ酸、オルトベンゾイル安息香酸等が例示される。
【0084】
飽和脂肪族一塩基酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が例示される。
【0085】
不飽和脂肪族一塩基酸は、クロトン酸、リンデル酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、ゴンドレン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸等が例示される。
【0086】
ロジン変性樹脂100質量%中の一塩基酸に由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~50%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
【0087】
ロジン変性樹脂100モル%中の一塩基酸に由来する構造単位の含有量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、5、4、2、1、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~50モル%が好ましく5~30モル%がより好ましい。
【0088】
<上記以外の構成単位:その他の構成単位ともいう>
上記ロジン変性樹脂は、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位、ポリオールに由来する構造単位、多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位、不均化ロジンに由来する構成単位、一塩基酸に由来する構成単位のいずれにも該当しない構成単位を含み得る。
【0089】
その他の構成単位は、重合ロジンに由来する構成単位、アルコール(モノオール)に由来する構成単位等が例示される。
【0090】
1つの実施形態において、その他の構成単位の含有量は、上記ロジン変性樹脂100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。また、その他の構成単位の含有量は、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに由来する構造単位、ポリオールに由来する構造単位、多塩基酸及び/又はその無水物に由来する構造単位、不均化ロジンに由来する構成単位、一塩基酸に由来する構成単位のいずれか100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0091】
<ロジン変性樹脂の物性等>
上記ロジン変性樹脂の酸価の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、5、4、2、1、0.9、0.5、0.1mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、上記酸価は0.1~50mgKOH/gが好ましい。
【0092】
酸価はJIS K5601に準拠する方法により測定される。
【0093】
上記ロジン変性樹脂の水酸基価の上限及び下限は、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、5、4、2、1、0.9、0.5、0.1mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、上記水酸基価は0.1~150mgKOH/gが好ましい。
【0094】
水酸基価はJIS K0070に準拠する方法により測定される。
【0095】
上記ロジン変性樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限及び下限は、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、35,000、34,000、33,000、32,000、31,000、30,000、29,000、28,000、27,000、26,000、25,000、24,000、23,000、22,000、21,000、20,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000等が例示される。1つの実施形態において、上記重量平均分子量(Mw)は1,000~100,000が好ましく、5,000~32,000がより好ましい。
【0096】
上記ロジン変性樹脂の数平均分子量(Mn)の上限及び下限は、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,750、1,500、1,450、1,400、1,300、1,200、1,100、1,050、1,000、900、700、500等が例示される。1つの実施形態において、上記数平均分子量(Mn)は500~10,000が好ましく、1,000~1,500がより好ましい。
【0097】
上記ロジン変性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)の上限及び下限は、60、55、50、45、40、35、30、25、24、23、22、21、20、15、10、9、8、7、6、5、4、2、1等が例示される。1つの実施形態において、上記分子量分布(Mw/Mn)は1~60が好ましく、5~25がより好ましい。
【0098】
重量平均分子量及び数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により適切な溶媒下で測定したポリスチレン換算値として求められ得る。詳細な条件は下記のようなもの等が例示される。
機種:製品名「HLC-8320」(東ソー(株)製)
カラム:製品名「TSK-GEL」(東ソー(株)製)
展開溶媒、流量:テトラヒドロフラン、1.0mL/分
標準:単分散ポリスチレン
測定温度:40℃
検出器:RI
ポリマー濃度:0.2%
【0099】
上記ロジン変性樹脂の軟化点の上限及び下限は、150、145、140、135、130、125、120、119、117、115、114、113、112、111、110、109、108、107、106、105、104、100、95、90、85、80℃等が例示される。1つの実施形態において、上記軟化点は80~150℃が好ましく、100~120℃がより好ましい。
【0100】
軟化点はJIS K5601に準拠する方法により測定される。
【0101】
上記ロジン変性樹脂は、
α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン、ポリオール、多塩基酸及び/又はその無水物を含む化合物群を反応させて未変性樹脂を得る未変性樹脂製造工程、
未変性樹脂と不均化ロジンとを反応させてロジン変性樹脂を得るロジン変性樹脂製造工程を含む製造方法により製造される。上記製造方法において、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(超音波分散装置等)を用いることができる。
【0102】
上記ロジン変性樹脂は、オフセットインキ用ロジン変性樹脂として使用され得る。
【0103】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物:組成物ともいう]
本開示は、上記ロジン変性樹脂及びポリ(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
【0104】
組成物固形分100質量%中のロジン変性樹脂の含有量の上限及び下限は、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は5~80質量%が好ましい。
【0105】
<ポリ(メタ)アクリレート>
本開示において、ポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を意味する。ポリ(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0106】
ポリ(メタ)アクリレートは、(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート等が例示される。
【0107】
<(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(A’)等で表される化合物である。
【化1】
[式中、nは0~2の整数であり、R
b1’~R
b6 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化2】
{式中、qはそれぞれ独立に0~16の整数であり、R
1’~R
3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
R
b4’、及びR
b5’は各構成単位ごとに基が異なっていてもよく、
式(A
’)中において
【化3】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0108】
なお、本開示において「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」は、例えば式(A’)において、nが2であるとき、
【化4】
R
b4AとR
b4Bとは異なる基であってよく、R
b5AとR
b5Bとは異なる基であってよいことを意味する。
【0109】
本開示において「(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0110】
ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0111】
ペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0112】
ペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジエポキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリエポキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0113】
ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0114】
ポリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールトリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールペンタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールトリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールペンタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールトリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールペンタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘキサ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘプタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールオクタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールトリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールペンタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘキサ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールヘプタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリペンタエリスリトールオクタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0115】
ポリペンタエリスリトールポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタエポキシ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタエポキシ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0116】
<(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは式(B’)等で表される化合物である。
【化5】
[式中、mは0~2の整数であり、R
b7’~R
b10 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化6】
{式中、qはそれぞれ独立に0~16の整数であり、R
1’~R
3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
R
b9’は各構成単位ごとに基が異なっていてもよく、
式(B
’)中において
【化7】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0117】
本開示において「(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ポリトリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリトリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0118】
トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0119】
トリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリメチロールプロパントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリメチロールプロパンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリメチロールプロパントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0120】
トリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジエポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0121】
ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0122】
ポリトリメチロールプロパンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジトリメチロールプロパンテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0123】
ポリトリメチロールプロパンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールプロパンジエポキシ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリエポキシ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0124】
<(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(C’)等で表される化合物である。
【化8】
[式中、pは0~7の整数であり、R
b11’~R
b14 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化9】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
R
b13’は各構成単位ごとに基が異なっていてもよく、
式(C
’)中において
【化10】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0125】
本開示において「(ポリ)グリセリンポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「グリセリンポリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリグリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0126】
グリセリンポリ(メタ)アクリレートは、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0127】
グリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、グリセリンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、グリセリントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、グリセリンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、グリセリントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0128】
グリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、グリセリンジエポキシ(メタ)アクリレート、グリセリントリエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0129】
ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンペンタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0130】
ポリグリセリンポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリンテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリントリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンテトラ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンペンタ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)ジグリセリンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジグリセリンテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリントリ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンテトラ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリグリセリンペンタ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0131】
ポリグリセリンポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジグリセリンジエポキシ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリエポキシ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラエポキシ(メタ)アクリレート、トリグリセリンペンタエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0132】
<イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(D’)等で表される化合物である。
【化11】
[式中、R
b15’~R
b17 ’は、それぞれ独立に水素原子、
【化12】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、式(D
’)中において
【化13】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
が2個以上含まれる。]
【0133】
本開示において「イソシアヌレート構造含有ポリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「イソシアヌレート構造含有ポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌレート構造含有ポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びイソシアヌレート構造含有ポリエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0134】
イソシアヌレート構造含有ポリ(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0135】
上記イソシアヌレート構造含有ポリアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、イソシアヌル酸トリ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0136】
上記イソシアヌレート構造含有ポリエポキシ変性(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジエポキシ変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリエポキシ変性(メタ)アクリレート等が例示される。
【0137】
<(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(E’)等で表される化合物である。
【化14】
[式中、R
b18’~R
b19 ’は、それぞれ独立に
【化15】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
であり、
R
b20’は、アルキレン基であり、rは1以上の整数である。]
【0138】
本開示において「(ポリ)アルキレンジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「アルキレンジ(メタ)アクリレート、アルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びポリアルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0139】
アルキレンジ(メタ)アクリレートは、1,2-エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0140】
アルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、1,2-エチレンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,3-プロパンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,4-ブタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,5-ペンタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,6-ヘキサンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,7-ヘプタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,8-オクタンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,9-ノナンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,10-デカンジオールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,2-エチレンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,3-プロパンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,4-ブタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,5-ペンタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,6-ヘキサンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,7-ヘプタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,8-オクタンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,9-ノナンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、1,10-デカンジオールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0141】
アルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレートは、1,2-エチレンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジエポキシ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0142】
ポリアルキレンジ(メタ)アクリレートは、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0143】
ポリアルキレンジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ジエチレングリコールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ジプロピレングリコールジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリエチレングリコール(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、トリプロピレングリコール(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0144】
ポリアルキレンジエポキシ変性(メタ)アクリレートは、ジエチレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジエポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0145】
<ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート>
ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレートは、式(F’)等で表される化合物である。
【化16】
[式中、R
b21’~R
b22 ’は、それぞれ独立に
【化17】
{式中、qは0~16の整数であり、R
1’~R
3 ’はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基であり、R
1’は各単位ごとに基が異なっていてもよい。}
である。]
【0146】
本開示において「ビスフェノールAジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びビスフェノールAジエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0147】
ビスフェノールAジアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、ビスフェノールAジ(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)、ビスフェノールAジ(プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート)等が例示される。
【0148】
組成物固形分100質量%中のポリ(メタ)アクリレートの含有量の上限及び下限は、99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は20~99質量%が好ましい。
【0149】
<光重合開始剤>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0150】
光重合開始剤は、特に限定されず、各種公知のものを使用され得る。光重合開始剤は、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、p-ジメチルアセトフェノン、チオキサントン、アルキルチオキサントン、アミン類等が例示される。
【0151】
光重合開始剤の市販品は、Omnirad1173、Omnirad651、Omnirad184、Omnirad907、Omnirad2959、Omnirad127、Omnirad369、Omnirad369E、Omnirad379、Omnirad379EG、OmniradTPO、Omnirad819(いずれもIGM Resins社製)等が例示される。
【0152】
組成物固形分100質量%中の光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~50質量%が好ましい。
【0153】
活性エネルギー線として、紫外線以外の電離放射線を使用する場合には、光重合開始剤を配合しなくてもよい。
【0154】
<増感剤>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、増感剤を含み得る。増感剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0155】
増感剤は、ベンゾフェノン類、カルコン類やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン類、ベンゾイン類、フルオレン類、ナフトキノン類、アントラキノン類、キサンテン類、チオキサンテン類、キサントン類、チオキサントン類、クマリン類、ケトクマリン類、シアニン類、メロシアニン類、オキソノ-ル類等のポリメチン色素、アクリジン類、アジン類、チアジン類、オキサジン類、インドリン類、アズレン類、アズレニウム類、スクアリリウム類、ポルフィリン類、テトラフェニルポルフィリン類、トリアリールメタン類、テトラベンゾポルフィリン類、テトラピラジノポルフィラジン類、フタロシアニン類、テトラアザポルフィラジン類、テトラキノキサリロポルフィラジン類、ナフタロシアニン類、サブフタロシアニン類、ピリリウム類、チオピリリウム類、テトラフィリン類、アヌレン類、スピロピラン類、スピロオキサジン類、チオスピロピラン類、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体等が例示される。
【0156】
増感剤の具体例は、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジメチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)-イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-カルボニル-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、N-フェニル-N-エチルエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、N-トリルジエタノールアミン;p-ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸ブチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等のp-ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル;p-ジエチルアミノ安息香酸メチルエステル、p-ジエチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ジエチルアミノ安息香酸イソアミル等のp-ジエチルアミノ安息香酸アルキルエステル等が例示される。また、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類等が例示される。
【0157】
増感剤の市販品は、OmniradEMK、OmniradDETX(いずれもIGM Resins社製)等が例示される。
【0158】
組成物固形分100質量%中の増感剤の含有量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~50質量%が好ましい。
【0159】
<顔料>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、顔料を含み得る。顔料は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0160】
顔料は、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトボン、酸化アンチモン等の白色顔料、アニリンブラック、鉄黒、カーボンブラック等の黒色顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ハンザイエロー(10G、5G、3G、その他)、ジスアゾイエロー、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料、クロームバーミリオン、パーマネントオレンジ、バルカンファーストオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジ等の橙色顔料、酸化鉄、パーマネントブラウン、パラブラウン等の褐色顔料、ベンガラ、カドミウムレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、チオインジゴレッド、PVカーミン、モノライトファーストレッド、キナクドリン系赤色顔料等の赤色顔料、コバルト紫、マンガン紫、ファーストバイオレット、メチルバイオレットレーキ、インダンスレンブリリアントバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、インジゴ等の青色顔料、クロムグリーン、酸化クロム、エメラルドグリーン、ナフトールグリーン、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ポリクロルブロム銅フタロシアニン等の緑色顔料の他、各種の蛍光顔料、金属粉顔料等が例示される。
【0161】
組成物固形分100質量%中の顔料の含有量の上限及び下限は、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~70質量%が好ましい。
【0162】
<ゲル化剤>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ゲル化剤を含み得る。ゲル化剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0163】
ゲル化剤は、アルミニウム系ゲル化剤、チタン系ゲル化剤、ジルコニウム系ゲル化剤等が例示される。
【0164】
アルミニウム系ゲル化剤は、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムジブトキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムトリアセチルアセテート等が例示される。
【0165】
チタン系ゲル化剤は、テトライソプロピルチタネート、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート等が例示される。
【0166】
ジルコニウム系ゲル化剤は、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド等が例示される。
【0167】
組成物固形分100質量%中のゲル化剤の含有量の上限及び下限は、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~20質量%が好ましい。
【0168】
<重合禁止剤>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含み得る。重合禁止剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0169】
重合禁止剤は、キノン系重合禁止剤、モノアルキルフェノール系重合禁止剤、アミン系重合禁止剤、ニトロソアミン系重合禁止剤等が例示される。
【0170】
キノン系重合禁止剤は、メトキノン、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン等が例示される。
【0171】
モノアルキルフェノール系重合禁止剤は、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,4-ジ-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール等が例示される。
【0172】
アミン系重合禁止剤は、アルキル化ジフェニルアミン、フェノチアジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等が例示される。
【0173】
ニトロソアミン系重合禁止剤は、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩;2,4-ジニトロフェノール、2-メチル-N-ニトロソアニリン等が例示される。
【0174】
組成物固形分100質量%中の重合禁止剤の含有量の上限及び下限は、5、4、3、2、1、0.9、0.7、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~5質量%が好ましく、0~3質量%がより好ましい。
【0175】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記組成物は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0176】
有機溶媒は、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート及びセロソルブアセテート等のエステル溶媒;ソルベッソ#100及びソルベッソ#150(いずれも商品名。エクソンモービル社製。)等の石油系溶媒;クロロホルム等のハロアルカン溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒等が例示される。
【0177】
組成物100質量%中の有機溶媒の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~90質量%が好ましい。
【0178】
<添加剤>
上記組成物は、上記ロジン変性樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、増感剤、顔料、ゲル化剤、重合禁止剤、有機溶媒のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。
【0179】
添加剤は、表面調整剤、消泡剤、光増感剤、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤等が例示される。
【0180】
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、組成物100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。また、上記ロジン変性樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、光重合開始剤、顔料、ゲル化剤、重合禁止剤、有機溶媒のいずれか100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0181】
上記組成物は、上記ロジン変性樹脂、及びポリ(メタ)アクリレート、並びに必要に応じて光重合開始剤、顔料、ゲル化剤、重合禁止剤、有機溶媒及び添加剤が、各種公知の手段により分散・混合されることにより製造され得る。
【0182】
各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(乳化分散機、超音波分散装置等)を用いることができる。
【0183】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、オフセットインキ用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として使用され得る。
【0184】
[硬化物]
本開示は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を提供する。
【0185】
硬化条件は後述のもの等が例示される。
【0186】
[積層物]
本開示は、上記硬化物を含む、積層物を提供する。
【0187】
1つの実施形態において、上記積層物は、基材の上に硬化物が積層しているものである。
【0188】
基材は、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。基材は、紙(アート紙、キャストコート紙、フォーム用紙、PPC紙、上質コート紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙等)の他、プラスチック基材(ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等が例示される。
【0189】
塗工方法(印刷方法)は、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工等が例示される。また、塗工量は特に限定されないが、乾燥後の質量が0.1~30g/m2程度が好ましく、1~20g/m2程度がより好ましい。
【0190】
硬化手段は、電子線又は紫外線が例示される。紫外線の光源は、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、UV-LED等が例示される。
【0191】
硬化条件(光量や光源配置、搬送速度)は、高圧水銀灯を使用する場合、80~160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して、搬送速度が5~50m/分程度が好ましい。
【実施例0192】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0193】
実施例1
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にロジン23部、マレイン酸7部入れ、180℃で1時間攪拌してマレイン化ロジン30部を得た。
その後、不均化ロジン50部、トリメチロールプロパン14部、コハク酸8部加えて撹拌しながら、270℃で24時間反応させ、ロジン変性樹脂を得た。
【0194】
特段言及がない限り、実施例1以外の実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0195】
【0196】
製造したロジン変性樹脂を下記のようにして評価した。
【0197】
実施例1のロジン変性樹脂20部、ポリ(メタ)アクリレートとしてジトリメチロールプロパンテトラアクリレート30部を混合させた。次いで、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート25部、光重合開始剤(製品名「Omnirad 369」、IGM Resins社IGM Resins B.V.社製製)8部、(製品名「Omnirad EMK」、IGM Resins社IGM Resins B.V.社製製)1部、光増感剤(製品名「Omnirad DETX」、IGM Resins社IGM Resins B.V.社製製)1部及び墨顔料(MA-100 三菱ケミカル製)15部を仕込み、3本ローラーで錬肉して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0198】
<流動性>
60°に傾けたガラス板の上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1.30mLをのせて、30分放置後の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の流れを計測した。評価基準は以下の通りである。
○:30mm以上
×:30mm未満
【0199】
<耐乳化性>
各インキ30.0gと水30.0gとを加えて、ホモディスパー(装置名:「T.K.HOMO DISPER」、プライミクス(株))製)を用いて、回転数3000rpmで乳化させた。インキ相(固体)と水相(液体)とに分離したサンプルから水相の水を採取し重量(g)を測定した。式1にて乳化率(%)を算出した。
(式1)乳化率(%)=[{(加えた水の量(30.0g))-(乳化後に採取した水の重量)}/(加えたインキの量(30.0g))]×100
○:55%以下
×:55%より大きい
【0200】
<耐ミスチング性>
13cm×21cm角に切り取ったOHPフィルムをインコメーターのローラー下の壁面に貼り付け、ローラー温度を40℃に調整後、ローラーの上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を2.6mLのせた。ローラーを1200rpm×2分回転させフィルムに付着した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の質量を秤量した。評価基準は以下の通りである。
○:100mg以下
×:100mgより大きい
【0201】
評価例 熱安定性
下記手法、基準で熱安定性を評価した。
攪拌装置、冷却管を備えた反応容器にロジン変性樹脂40部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート60部、メトキノン0.10部を仕込み、120℃で1時間攪拌し、ワニス組成物を調製した。密閉可能なガラス容器に移し、80℃で保管し、E型粘度が20%以上増加するまでの時間で評価した。
○:24時間以上
×:24時間未満
【表2】