(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140365
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ケーブルをハウジング部材に取り付けるためのコンポーネント
(51)【国際特許分類】
H02G 15/06 20060101AFI20220915BHJP
H01R 13/58 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
H02G15/06
H01R13/58
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022035114
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】10 2021 105 894.5
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】514095099
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ インディア プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TE CONNECTIVITY INDIA PRIVATE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムト リパー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィノス クマール エス
(72)【発明者】
【氏名】イーヤ アシュアー
【テーマコード(参考)】
5E021
5G375
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC02
5E021GB01
5E021GB08
5E021GB10
5G375AA02
5G375BA08
5G375BB05
5G375CA17
5G375CB06
5G375DA20
5G375DA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケーブルをハウジング部材に簡単かつ安全に取付けるためのコンポーネントを提供する。
【解決手段】接続組立体200において、ケーブル90をハウジング組立体100に取り付けるためのコンポーネント10は、少なくとも1つの取り付け要素21を有する取り付け部20と、取り付け部20に一体的につながり、ケーブル用トンネルを形成する管状のケーブルクランプ部30と、を備えている。ケーブルクランプ部30は、ケーブル用トンネル内へと偏向させることが可能な少なくとも1つのクランプ舌部を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(90)をハウジング部材(50)に取り付けるためのコンポーネント(10)であって、
少なくとも1つの取り付け要素(21)を有する取り付け部(20)と、
前記取り付け部(20)に一体的につながり、ケーブル用トンネル(35)を形成する管状のケーブルクランプ部(30)と、
を備え、
前記ケーブルクランプ部(30)は、前記ケーブル用トンネル(35)内へと偏向するように構成された少なくとも1つのクランプ舌部(31)を備えている、
コンポーネント(10)。
【請求項2】
前記クランプ舌部(31)は、内側を向いたクランプ突起(32)を備えている、
請求項1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項3】
前記クランプ舌部(31)は外側に、前記ケーブルクランプ部(30)の周方向(U)に沿って延びる案内溝(34)を備えている、
請求項1または2に記載のコンポーネント(10)。
【請求項4】
前記クランプ舌部(31)は外部から操作するように構成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項5】
前記クランプ舌部(31)の領域における前記クランプ部(30)の径方向断面は、クランプ要素(40)が取り付けられたときに前記クランプ舌部(31)が最大でも所定の値しか内側へ偏向しないように構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項6】
前記クランプ舌部(31)は、前記ケーブルクランプ部(30)の残りの部分と円形の外側周縁を形成するとき、最大でも所定の値しか内側へ偏向しない、
請求項1から5のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項7】
前記ケーブルクランプ部(30)は、前記クランプ舌部(31)を囲む貫通部(36)を備えている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項8】
前記クランプ舌部(31)は軸方向(A)に平行に延びている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項9】
前記クランプ舌部(31)は、自由端(39)を前記コンポーネント(10)のケーブル側の端部(19)に向けて配されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項10】
前記ケーブル用トンネル(35)は略円筒形の断面を有している、
請求項1から9のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項11】
前記取り付け要素(21)はラッチ要素である、
請求項1から10のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項12】
前記コンポーネント(10)は、軸方向(A)に垂直に延びる内側停止面(16)を有している、
請求項1から11のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項13】
ハウジング組立体(100)であって、
請求項1から12のいずれか一項に記載のコンポーネント(10)と、
チャンバ(55)および前記チャンバ(55)とつながったケーブルレセプタクル(59)を有するハウジング部材(50)と、
を備え、
前記ケーブルレセプタクル(59)は、前記コンポーネント(10)に接続するように構成されている、
ハウジング組立体(100)。
【請求項14】
接続組立体(200)であって、
請求項13に記載のハウジング組立体(100)と、
ケーブル(90)と、
を備え、
前記ケーブル(90)の一端は、ケーブルラグ(95)を備え、前記ハウジング組立体(100)に配置されている、
接続組立体(200)。
【請求項15】
前記ケーブルラグ(95)の開口部(96)が、前記チャンバ(55)の中央に配置され、
前記接続組立体(200)は、前記ケーブル(90)をクランプ舌部(31)によってクランプするクランプ要素(40)を備えている、
請求項14に記載の接続組立体(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルをハウジング部材に取り付けるためのコンポーネントに関する。ハウジング部材およびコンポーネントは、ケーブルを、例えば接地接続部(ground connection)などの外部要素に取り付けるために使用可能なハウジング組立体の一部とすることができる。そうしたシステムは、例えば自動車に用いられる。
【背景技術】
【0002】
しかしながら、これまでのシステムは組み立てることが難しく、組み立ての誤りが起こりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、組み立てを簡単かつ安全にする解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、本発明に従い、ケーブルをハウジング部材に取り付けるためのコンポーネントによってかなえられる。このコンポーネントは、少なくとも1つの取り付け要素を有する取り付け部と、取り付け部に一体的につながり、ケーブル用トンネルを形成する管状のケーブルクランプ部とを備え、ケーブルクランプ部は、ケーブル用トンネル内へと偏向させることが可能な少なくとも1つのクランプ舌部を備えている。
【0005】
取り付け部は、ハウジング部材への確実な取り付けを可能にする。ケーブルはケーブル用トンネルに案内され、ケーブル用トンネルでは、クランプ舌部がケーブル用トンネル内へと偏向していないときにケーブルを動かすことができる。これによって、ケーブルおよび接続部を調整することができる。調整が行われると、クランプ舌部をケーブル用トンネル内へと偏向させることができ、それによって、クランプ舌部がケーブルを適切な位置に固定する。この解決策により、簡単な組み立てが可能になる。
【0006】
本発明は、それぞれが単独でも有利であり、かつ互いに任意に組み合わせることが可能な以下の発展形態および構成によって、さらに改善することができる。
【0007】
クランプ舌部は、保持効果を高めるために、内側を向いたクランプ突起を備えることができる。クランプ突起は、ケーブルのケーブルシースを押す、またはケーブルシースに食い込むように構成され、それによって適切な保持効果を実現することができる。ケーブルシースの破壊は意図されておらず、ケーブルシースは塑性変形するだけである。クランプ突起が細い構成、例えばピンやストリップであると、ケーブルシースを小さい力で同時に適切に塑性変形させることができる。クランプ突起は、ケーブル用トンネルに突出することができる。
【0008】
製造が容易な実施形態では、クランプ突起をクランプ舌部の自由端に配置してもよい。
【0009】
クランプ力を加えるために、帯形(strap-shaped)またはベルト形(belt-shaped)のクランプ要素を用いることができる。クランプ要素は、クランプ状態において固定可能である。具体的には、クランプ要素としてケーブルタイ(cable tie)を用いることができる。ここでケーブルタイとは、特に、歯状突起のあるベルト形の部分と、ベルト形の部分につながった頭部とを有する要素のことであり、ベルト形の部分は、頭部にラチェット状(ratchet-like)に固定することができる。この固定は、繰り返し取り外しできる場合もあれば、非破壊的な取り外しができない場合もある。
【0010】
そうしたクランプ要素を受け、クランプ要素を所望される位置に保持することを可能にするために、クランプ舌部は外側に、ケーブルクランプ部の周方向に沿って延びる案内溝を有することができる。案内溝は、2つの案内ストリップによって画定または形成することができ、案内ストリップは、互いに間隔をおいて配置され、クランプ舌部の残りの部分から突出する。クランプ部の残りの部分には、そうした案内溝が存在する必要はない。
【0011】
例えば簡単な操作を可能にするために、クランプ舌部を外部から操作することができる。このために、クランプ舌部を、少なくとも部分的に、ケーブルクランプ部の外壁から突出させることができる。これは、特に調整状態(adjustment state)または静止状態(resting state)の場合であってもよく、静止状態は、クランプ舌部に力が作用していない無力状態であり得る。調整状態は、クランプ要素がまだ十分にクランプ舌部をクランプしておらず、依然としてケーブルの調整が可能な状態であり得る。
【0012】
有利な実施形態において、クランプ舌部の領域におけるクランプ部の径方向断面は、クランプ要素が取り付けられたときに、クランプ舌部が最大でも所定の値しか内側へ偏向しないように構成される。これにより、ケーブルシースの損傷または過剰なクランプ力を防止することができる。この所定の値は、突出の程度に対応しても、突出の程度との決められた関係になるようにしてもよい。例えば、所定の値は、案内ストリップの領域における突出の程度から案内溝の基部に対する案内ストリップの高さを引いたものに対応してもよい。
【0013】
具体的には、クランプ舌部は、クランプ部の残りの部分と円形の外側周縁を形成するとき、最大でも所定の値しか内側へ偏向しないようにすることができる。帯形またはベルト形のクランプ要素を用いる場合には、クランプ要素を完全に接触した状態になるまで縛りつけるだけでよい。その場合、クランプ舌部またはクランプ突起を、ケーブルのシースを損傷しない最大限まで自動的に偏向させることができる。
【0014】
クランプ部は、クランプ舌部を囲む貫通部(breakthrough)を備えることができる。これにより、クランプ部を安定させることができる。さらに、これによって保持効果を高め、最大のクランプ力を制限することができる。
【0015】
構成をコンパクトに保つために、クランプ舌部は軸方向に平行に延びてもよい。軸方向とは特に、ケーブル用トンネルがクランプ部を貫通して延びる方向とすることができる。
【0016】
適切な固定を得るために、クランプ舌部は、自由端をコンポーネントのケーブル側の端部に向けて配することができる。
【0017】
径方向に沿って互いに対向する2つのクランプ舌部が存在する場合には、クランプ力を適切に分散させることができる。別の構成では、クランプ舌部が2つより多く存在してもよい。その場合、クランプ舌部を、クランプ部の外周に沿って均等に分布させることが好ましい。
【0018】
適切な封止効果が得られ、かつ円筒形のケーブルを受けるように、ケーブル用トンネルは、略円筒形の断面を有することができる。
【0019】
簡単かつ確実な取り付けのために、取り付け要素はラッチ要素とすることができる。具体的には、取り付け要素はラッチタブまたはラッチフックとすることができる。
【0020】
ケーブルの簡単な挿入を可能にするために、静止状態では、クランプ舌部がケーブル用トンネルに突出しないようにすることができる。静止状態では、クランプ舌部に力がかからないようにすることができる。
【0021】
代替的実施形態において、クランプ舌部、特にクランプ突起は、ケーブルを簡単に挿入できるように構成することが可能である。例えば、クランプ突起は、丸みをもたせるか、または斜角をつけることができる。そうすることによって、ケーブルを挿入したときにクランプ舌部を自動的に偏向させることが可能になる。
【0022】
ハウジング部材に対して正確に調整するために、コンポーネントは、軸方向に垂直に延びる内側停止面を有することができる。
【0023】
本発明はさらに、ハウジング組立体に関する。本発明によるハウジング組立体は、本発明によるコンポーネントと、チャンバおよびチャンバとつながったケーブルレセプタクルを有するハウジング部材とを備えることができ、ケーブルレセプタクルは、コンポーネントに接続するように構成される。
【0024】
有利な実施形態において、チャンバはピンの受け入れ方向に沿って開いている。ケーブルレセプタクルは、ピンの受け入れ方向に垂直なケーブルの受け入れ方向に沿って開いていてもよい。ここで、開いているとは、特に、開口部が他のコンポーネントによってまだ塞がれていない未組み立ての状態のことである。垂直な配置によって、特に、好ましくはピンの受け入れ方向において、チャンバに挿入されるピンに対するケーブルの調整が容易になる。
【0025】
ハウジング部材は、コンポーネントの取り付け要素と相互作用する少なくとも1つの取り付け要素を備えることが好ましい。ハウジング部材の取り付け要素は、少なくとも部分的にコンポーネントの取り付け要素と相補的にすることができる。取り付け要素は、例えば、突起またはラッチ要素とすることができる。しかしながら、取り付け要素は、例えばねじと、それに対応する穴など、異なる形で構成されてもよい。
【0026】
有利な構成において、ケーブルレセプタクルおよび取り付け部は、互いに相補的な位置決め部を備えている。これにより、特に簡単かつ確実な相互の位置決めが可能になる。位置決め部は特に、環状、円筒状、および/または回転対称に構成することができる。
【0027】
本発明はまた、接続組立体に関する。本発明による接続組立体は、本発明によるハウジング組立体と、ケーブルとを備えることができ、ケーブルの一端は、ケーブルラグを備え、ハウジング組立体に配置される。
【0028】
本発明による解決策によって、特に、ケーブルラグとダミーピンの調整、およびその後のケーブルの固定が可能になる。接続組立体を組み合わせるときのそうした事前の調整および事前の組み立てによって、後で接続組立体を実際のピンで組み立てるとき、この組み立ての間の調整はもはや不要であるため、時間を節約することができる。
【0029】
したがって、事前に調整され、固定された接続組立体は、ケーブルラグの開口部がチャンバの中央に配置されており、接続組立体がケーブルをクランプ舌部によってクランプするクランプ要素を備えている場合に特に有利である。
【0030】
例えばピンなどの外部要素に取り付けるために、ハウジング組立体は、押し付け部材を備えることができる。押し付け部材は、ねじを備えることができる。さらに、押し付け部材は、好ましくは外部から押し付け部材を操作することができる操作部を備えることが可能である。押し付け部材は、チャンバの少なくとも一部に配置することができる。
【0031】
ハウジング組立体および接続組立体は、埃や液体の侵入を防ぐ封止用のシールを備えることもできる。このシールは、コンポーネントが取り付けられるとき、または押し付け部材が操作されるときのみ封止するように構成することができる。
【0032】
以下では、図面を参照しながら有利な構成に基づく例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。本明細書に示される有利なさらなる発展形態および構成は、それぞれ互いに独立したものであり、用途に対してどのように必要であるかに応じて、互いに任意に組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】コンポーネントの一実施形態を他の要素と共に示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図1のコンポーネントの実施形態の概略的な部分断面斜視図である。
【
図3】
図1のコンポーネントの実施形態の概略的な部分断面側面図である。
【
図4】
図1のコンポーネントを他の部品、具体的にはハウジング部材と共に示す概略的な斜視図である。
【
図5】調整状態における接続配置の概略的な部分断面斜視図である。
【
図6】
図5の接続組立体の細部の概略的な部分断面側面図である。
【
図7】
図5の接続組立体の細部の別の概略的な部分断面側面図である。
【
図8】クランプ状態における接続配置の概略的な部分斜視図である。
【
図9】
図8の接続組立体の細部の概略的な部分断面側面図である。
【
図10】
図8の接続組立体の細部の別の概略的な部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ケーブル90をハウジング部材50に取り付けるためのコンポーネント10が、各図に示されている。コンポーネント10は、複数の取り付け要素21を有する取り付け部20と、取り付け部20に一体的につながり、ケーブル用トンネル35を形成する管状のケーブルクランプ部30とを備えている。ケーブル用トンネル35は、円形-円筒形の形状を有するケーブル90のための略円形-円筒形のレセプタクルを形成している。ケーブル用トンネル35の大きさおよび形状は、ケーブル90の大きさおよび形状に適合しており、したがって、ケーブル用トンネル35は、ケーブル90を案内し、安定な形で保持する。ケーブル90は、特に国内規格もしくは国際規格に従って、または企業特有の規格もしくは独自の規格に従って標準化される場合がある。
【0035】
ケーブル90は、例えば、デバイスを接地電位または大地電位に接続するのに用いられる接地接続部とすることができる。その場合、ケーブル90は通常、単一の内部導体91と、導体91を囲み、絶縁性の材料、例えば弾性材料または塑性材料で作製されたシース92とを備えている。
【0036】
ケーブルラグ95は、例えば、導体91の露出した部分でケーブルラグ95を圧着部97に圧着することによって、ケーブル90の一端に取り付けることができる。ケーブルラグ95は、内部にピン70を挿入することができる開口部96をさらに備えている。ピン70には、接地電位または大地電位が印加されてもよい。
【0037】
図5、
図6、および
図7に示されている調整位置201では、ケーブル90を、ケーブルレセプタクル59内で、ケーブル用トンネル35の軸方向に平行に延びるケーブルの受け入れ方向Kに沿って動かし、それによって接続組立体200の残りの部分に対して調整することができる。特に、開口部96の位置を調整することができる。
図5では、ケーブル90がケーブルラグ95と共にハウジング組立体100のチャンバ55に挿入された後、ダミーピンの形のピン70が、ピンの受け入れ方向Sに沿って開口部96に挿入されている。
【0038】
ケーブル90をコンポーネント10に取り付け、位置を固定するために、ケーブルクランプ部30は、ケーブル用トンネル35内へと偏向させることが可能な少なくとも1つのクランプ舌部31を備えている。図示の例では、適切な力の配分と適切なクランプ効果を得るために、2つのクランプ舌部31が対向して配置されている。この場合、各クランプ舌部31を、軸方向Aに垂直に延びる径方向Rに偏向させることができ、かつ径方向Rと反対側に偏向させることができる。
【0039】
クランプ舌部31のそれぞれは、内側を向いたクランプ突起32を備え、クランプ突起32は、クランプ舌部31が操作されるとケーブル90のシース92に押し込まれ、それによってケーブル90が動かなくなる。クランプ舌部31を操作することによって、接続組立体200は、例えば
図8、
図9、および
図10に示されているクランプ状態202へ移行する。クランプ状態202において、クランプ舌部31の位置は、ここではケーブルタイの形の帯形クランプ要素40によって固定されている。
【0040】
軸方向Aに沿って変位しないようにクランプ要素40を固定するために、各クランプ舌部31は外側に、ケーブルクランプ部30の周方向Uに沿って延びる案内溝34を備えている。案内溝34はそれぞれ、両側で、周方向Uに沿って延び、かつ外側へ突出する案内ストリップ38によって画定される。
【0041】
簡単な操作のために、各クランプ舌部31を外部から操作することができる。
【0042】
クランプ突起32がケーブルシース92に深く入り込みすぎてケーブルシース92を損傷することを防止するために、クランプ舌部31の領域におけるケーブルクランプ部30の径方向断面は、クランプ要素40が取り付けられたときに、クランプ舌部31が最大でも所定の値しか内側へ偏向しないように構成される。これは、図示の実施形態では、クランプ舌部31がケーブルクランプ部30の残りの部分と円形の外側周縁を形成すると、クランプ舌部31が最大でも所定の値だけしか内側へ偏向しなくなることによって実現される。その結果、例えば
図9に示されている、クランプ突起32がケーブルシース92に入り込む深さ37が、効果的に制限される。帯形クランプ要素40が取り付けられ、最大限まで縛りつけられると、帯形クランプ要素40は、外側周縁に沿って円形に延びるようになる。
【0043】
ケーブル90の挿入および変位を容易にするために、クランプ突起32にはそれぞれ、軸方向Aに沿って斜角がつけられている(beveled)。クランプ突起32は、縁部がケーブル90の方を向いた先細のストリップとして構成される。
【0044】
ケーブルクランプ部30は、クランプ舌部31のそれぞれのまわりに、クランプ舌部31を囲む貫通部(breakthrough)36を有している。これにより、ケーブルクランプ部30およびクランプ舌部31が安定する。
【0045】
クランプ舌部31はそれぞれ、軸方向Aとほぼ平行に延びており、軸方向Aに対して垂直に、径方向Rに沿って偏向させることができる。
【0046】
適切な保持効果を得るために、クランプ舌部31はそれぞれ、自由端39をコンポーネント10のケーブル側の端部19に向けて配される。
【0047】
コンポーネント10の取り付け要素21はそれぞれ、ラッチ要素として形成される。取り付け要素21は、ハウジング部材50のラッチ突起52として構成された取り付け要素51と相互作用するラッチタブ22として構成される。ラッチされた状態では、コンポーネント10に配置され、軸方向Aに垂直に延びる内側停止面16が、ハウジング部材50の対応する停止面56に接触する。径方向Rに沿って正確に位置決めするために、コンポーネント10およびハウジング部材50はそれぞれ、互いに相補的なほぼ円形でリング形状の位置決め部17および位置決め部57を備えている。
【0048】
ハウジング部材50は、チャンバ55と、前記チャンバ55とつながったケーブルレセプタクル59とを備えている。チャンバ55は特に、ピン70およびケーブルラグ95を受けるように働き、ピンの受け入れ方向Sに沿って開いている。チャンバ55の内部は略円筒形である。ケーブルレセプタクル59は、コンポーネント10に接続するように構成され、ピンの受け入れ方向Sに垂直なケーブルの受け入れ方向Kに沿って開いている。ケーブルレセプタクル59は、チャンバ55と一体的に形成される。ハウジング部材50は、例えば、プラスチック材料から射出成形される。
【0049】
示された解決策を用いると、実際に組み立てる前に、接続組立体200の調整および固定が可能になり、したがって、後で1本のピン70をピンの受け入れ方向Sに沿って挿入し、接続組立体200を取り付けるだけでよい。これは特に、実際に組み立てる前にダミーピンを用いて開口部96の位置を調整し、その後でケーブル90を固定することによって行われる。この調整およびダミーピンの取り外しの後、ケーブルラグ95の開口部96が、チャンバ55の中央に配置され、ケーブル90がクランプ舌部31によってクランプされる。接続組立体200を組み合わせるときのそうした事前の調整および事前の組み立てによって、後で異なる場所で行われることがある最終的な組み立てが、きわめて簡単かつ確実になる。
【0050】
次いで、ケーブルラグ95が、ナット83と、ナット83に結合された操作部82とを備える押し付け部材60によってピン70に押し付けられる。このために、ピン70は、ナット83の雌ねじに適合する雄ねじを有することができる。
【0051】
例えば、機械による操作を可能にするために、操作部82は、例えば断面が六角形のレセプタクルを有する工具インターフェース84を有することができる。操作部82は、確実な操作を可能にするために、特に絶縁材料から構成することができる。ナット83は、例えば金属などの機械的に安定な材料から構成することができ、射出成形工程の間に操作部82に埋め込み、結合することができる。
【0052】
接続組立体は、埃や液体の侵入を防ぐ封止用のシール80、81、85を備えている。
【符号の説明】
【0053】
10 コンポーネント
15 ハウジング側の端部
16 停止面
17 コンポーネントの位置決め部
19 ケーブル側の端部
20 取り付け部
21 コンポーネントの取り付け要素
30 ケーブルクランプ部
31 クランプ舌部
32 クランプ突起
33 外壁
34 案内溝
35 ケーブル用トンネル
36 貫通部
37 深さ
38 案内ストリップ
39 自由端
40 クランプ要素
41 ケーブルタイ
50 ハウジング部材
51 ハウジング部材の取り付け要素
52 ラッチ突起
55 チャンバ
57 ハウジング部材の位置決め部
59 ケーブルレセプタクル
60 押し付け部材
70 ピン
80 シール
81 シール
82 操作部
83 ナット
84 工具レセプタクル
85 シール
90 ケーブル
91 導体
92 シース
95 ケーブルラグ
96 開口部
97 圧着部
100 ハウジング組立体
200 接続組立体
201 調整状態
202 クランプ状態
A 軸方向
K ケーブルの受け入れ方向
R 径方向
S ピンの受け入れ方向
U 周方向
【外国語明細書】