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特開2022-140377アルミニウム用ダイカストモールドのPVDコーティング
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  • 特開-アルミニウム用ダイカストモールドのPVDコーティング 図1A
  • 特開-アルミニウム用ダイカストモールドのPVDコーティング 図1B
  • 特開-アルミニウム用ダイカストモールドのPVDコーティング 図2
  • 特開-アルミニウム用ダイカストモールドのPVDコーティング 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140377
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】アルミニウム用ダイカストモールドのPVDコーティング
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/06 20060101AFI20220915BHJP
   B21D 37/20 20060101ALI20220915BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20220915BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B22C9/06 D
B21D37/20 A
B22D17/22 Q
C23C14/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022036048
(22)【出願日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】63/159,216
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521359944
【氏名又は名称】ベイパー テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライス ランドルフ アントン
(72)【発明者】
【氏名】アウグスト クンラス
【テーマコード(参考)】
4E050
4E093
4K029
【Fターム(参考)】
4E050JA02
4E050JB09
4E050JD04
4E093NA01
4K029BA02
4K029BA17
4K029BA41
4K029BA43
4K029BA54
4K029BA55
4K029BA58
4K029BB02
4K029CA01
4K029CA03
4K029CA05
4K029DD06
4K029EA01
(57)【要約】
【課題】経済的で容易にコーティングされる新しい離型層を有するアルミニウム用ダイカストモールドの提供。
【解決手段】アルミニウムダイカスト用のダイカストモールドは、第1のモールド表面を有する第1のダイと、第1のモールド表面上に配置された第1の多層コーティングと、第2のモールド表面を有する第2のダイと、第2のモールド表面上に配置された第2の多層コーティングとを含む。第1の多層コーティングは、第1のベース層を含み、第2の多層コーティングは、第2のベース層を含む。第1のダイと第2のダイは、合わされてモールドキャビティを形成する。特徴としては、第1のベース層および第2のベース層は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成されることである。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカストモールドであって、
第1のモールド表面を有する第1のダイと、
前記第1のモールド表面に設けられ、第1のベース層を含む、第1の多層コーティングと、
第2のモールド表面を有する第2のダイと、
前記第2のモールド表面に設けられされ、第2のベース層を含む、第2の多層コーティングと
を含み、前記第1のダイおよび前記第2のダイは合わされてモールドキャビティを画定し、前記第1のベース層および前記第2のベース層は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成される、ダイカストモールド。
【請求項2】
前記第1の多層コーティングおよび前記第2の多層コーティングはそれぞれ、物理的気相成長法によって形成される、請求項1に記載のダイカストモールド。
【請求項3】
前記第1の多層コーティングおよび前記第2の多層コーティングは、実質的にピンホールがない、請求項1に記載のダイカストモールド。
【請求項4】
前記第1の多層コーティングおよび前記第2の多層コーティングは、それぞれ独立して、約50ピンホール/mm未満のピンホール密度を有する、請求項3に記載のダイカストモールド。
【請求項5】
前記第1の多層コーティングおよび前記第2の多層コーティングは、それぞれ独立して、60nm未満の表面粗さを有する、請求項3に記載のダイカストモールド。
【請求項6】
前記第1のベース層および前記第2のベース層は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、オキシ炭化ジルコニウム(ZrOC)、窒化ジルコニウムアルミニウム(ZrAlN)、および炭窒化ジルコニウムケイ素(ZrSiCN)からなる群から選択される成分から構成される、請求項1に記載のダイカストモールド。
【請求項7】
前記第1のベース層および前記第2のベース層は、それぞれ独立して、約1ミクロン~5ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載のダイカストモールド。
【請求項8】
前記第1の多層コーティングは、前記第1のモールド表面と前記第1のベース層との間に挿入されて接触する第1の接着層と、前記第2のモールド表面と前記第2のベース層との間に挿入されて接触する第2の接着層とをさらに含む、請求項1に記載のダイカストモールド。
【請求項9】
前記第1の接着層および前記第2の接着層は、それぞれ独立して、金属から構成される、請求項8に記載のダイカストモールド。
【請求項10】
前記第1の接着層および前記第2の接着層は、それぞれ、チタンまたはジルコニウムから構成される、請求項9に記載のダイカストモールド。
【請求項11】
前記第1の接着層および前記第2の接着層は、それぞれ独立して、約0.05ミクロン~約0.5ミクロンの厚さを有する、請求項8に記載のダイカストモールド。
【請求項12】
前記第1の多層コーティングは、前記第1のベース層の上に接触して配置された第1の酸化ジルコニウム層と、前記第2のベース層の上に接触して配置された第2の酸化ジルコニウム層とをさらに含む、請求項1に記載のダイカストモールド。
【請求項13】
前記第1の酸化ジルコニウム層および前記第2の酸化ジルコニウム層は、それぞれ独立して、約0.1~1ミクロンの厚さを有する、請求項12に記載のダイカストモールド。
【請求項14】
ダイカストモールドであって、
第1のモールド表面を有する第1のダイと、
前記第1のモールド表面に設けられ、第1のベース層および該第1のベース層上に配置された第1の酸化ジルコニウム層を含む、第1の多層コーティングと、
第2のモールド表面を有する第2のダイと、
前記第2のモールド表面に設けられ、第2のベース層および該第2のベース層上に配置された第2の酸化ジルコニウム層を含む、第2の多層コーティングと
を含み、前記第1のダイおよび前記第2のダイは合わされてモールドキャビティを画定し、前記第1のベース層および前記第2のベース層はそれぞれ独立して窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成される、ダイカストモールド。
【請求項15】
前記第1の多層コーティングおよび前記第2の多層コーティングはそれぞれ、物理的気相成長法によって形成される、請求項14に記載のダイカストモールド。
【請求項16】
前記第1の多層コーティングおよび前記第2の多層コーティングはそれぞれ、陰極アーク蒸着、スパッタリング、または蒸着によって形成される、請求項14に記載のダイカストモールド。
【請求項17】
前記第1の酸化ジルコニウム層および前記第2の酸化ジルコニウム層は、それぞれ独立して、60nm未満の表面粗さを有する、請求項14に記載のダイカストモールド。
【請求項18】
前記第1のベース層および前記第2のベース層は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、オキシ炭化ジルコニウム(ZrOC)、窒化ジルコニウムアルミニウム(ZrAlN)、および炭窒化ジルコニウムケイ素(ZrSiCN)からなる群から選択される成分から構成される、請求項14に記載のダイカストモールド。
【請求項19】
前記第1のモールド表面と前記第1のベース層との間に挿入されて接触する第1の接着層と、前記第2のモールド表面と前記第2のベース層との間に挿入されて接触する第2の接着層とをさらに含む、請求項14に記載のダイカストモールド。
【請求項20】
前記第1の酸化ジルコニウム層および前記第2の酸化ジルコニウム層は、それぞれ独立して、約0.1~1ミクロンの厚さを有し、前記第1のベース層および前記第2のベース層は、それぞれ独立して、約1ミクロン~5ミクロンの厚さを有する、請求項14に記載のダイカストモールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも1つの観点によれば、ジルコニウムに基づく離型コーティングを有するアルミニウム用ダイカストモールドが提供される。
【背景技術】
【0002】
ダイカストは、溶融金属を圧力下でモールドキャビティに導入する鋳造プロセスである。ダイカストプロセスで使用できる金属の例には、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、鉛、ピューター、およびスズ合金が含まれる。モールドキャビティは、成形される部品の形状に一致するように機械加工された少なくとも2つの焼入れ鋼でできたダイの組み合わせによって形成される。成形部品が成形面に付着して、成形部品が損傷するのを防ぐために、モールドキャビティの表面は通常、離型層でコーティングされている。したがって、その離型層は化学的に不活性であることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、経済的でかつ、成形表面の上に容易にコーティングされる新しい離型層が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも1つの態様では、アルミニウムまたは別の金属または合金をダイカストするためのダイカストモールドが提供される。ダイカストモールドは、第1のモールド表面を有する第1のモールドと、第2のモールド表面を有する第2のモールドとを含む。第1の多層コーティングが第1のモールド表面上に配置され、第2の多層コーティングが第2のモールド表面上に配置される。第1の多層コーティングは、第1のベース層を含み、第2の多層コーティングは、第2のベース層を含む。第1のダイと第2のダイが合わされてモールドキャビティを形成することが特徴である。有利には、第1のベース層および第2のベース層は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成される。
【0005】
別の一態様では、アルミニウムまたは別の金属または金属合金をダイカストするためのダイカストモールドが提供される。ダイカストモールドは、第1のモールド表面を有する第1のモールドと、第2のモールド表面を有する第2のモールドとを含む。第1の多層コーティングが第1のモールド表面上に配置され、第2の多層コーティングが第2のモールド表面上に配置される。第1の多層コーティングは、第1のベース層と、第1のベース層の上に配置された第1の酸化ジルコニウム層とを含む。同様に、第2の多層コーティングは、第2のベース層と、第2のベース層上に配置された第2の酸化ジルコニウム層とを含む。第1のダイと第2のダイが合わされてモールドキャビティを形成することが特徴である。有利には、第1のベース層および第2のベース層は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成される。
【0006】
前述の概要は単なる例示であり、決して限定することを意図するものではない。上記の例示的な態様、実施形態、および構成に加えて、さらなる態様、実施形態、および構成が、図面および以下の説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0007】
本開示の性質、目的、および利点をさらに理解するために、以下の図面と併せて読まれる、以下の詳細な説明を参照する必要があり、ここで、同様の符号は、同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】ジルコニウム基の層でコーティングされた表面を有する型開きしたダイモールドの概略断面図。
図1B】モールドキャビティ内に溶融アルミニウムが封入されたジルコニウム基の層でコーティングされた表面を有する型閉じしたダイモールドの概略断面図。
図2】ダイ表面の上に配置された多層コーティングの概略断面図。
図3】上部の酸化ジルコニウム層を有するダイ表面の上に配置された多層コーティングの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明者に現在知られている本発明を実施するための最良の様式を構成する、本発明の現在における好ましい組成物、実施形態、および方法を詳細に参照する。図は必ずしも縮尺通りではない。しかしながら、開示された実施形態は、様々な代替の形態で具体化することができる本発明の単なる例示であることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される特定の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に本発明の任意の態様の代表的な基礎として、および/または当業者に本発明を様々に使用することを教えるための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0010】
実施例を除いて、または他に明示的に示された場合を除いて、材料の量または反応条件および/または使用条件を示す本説明のすべての数値は、本発明の最も広い範囲を説明する際に「約」という言葉によって修飾されると理解されるべきである。記載されている数値限度内での実施が一般的に推奨される。また、特に明記されていない限り、パーセント、「部」、および比の値は重量によるものである。「ポリマー」という用語は、「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」などを含む。任意のポリマーに提供される分子量は、特に明記されていない限り、重量平均分子量を指す。本発明に関連して所与の目的に適切または好ましい材料のグループまたはクラスに関する説明は、グループまたはクラスの任意の2つ以上の材料の混合物が等しく適切または好ましいことを意味する。化学的用語での構成要素の説明は、説明で指定された任意の組み合わせへの添加時の構成要素を指し、一度混合された混合物の構成要素間の化学的相互作用を必ずしも排除するものではない。頭字語または他の略語の最初の定義は、同じ略語の本明細書でのすべての使用に適用され、必要な変更を加えて、最初に定義された略語の通常の文法的変形例に適用される。特に明記されていない限り、特性の測定は、同じ特性について以前または後で参照されたのと同じ手法で決定される。
【0011】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含むことにも留意しなければならない。例えば、単数形の構成要素への参照は、複数の構成要素を含むことを意図している。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、問題となる量または値が、指定された特定の値またはその近隣の他の値とすることができることを意味する。一般的に、特定の値を示す「約」という用語は、値の±5%以内の範囲を示すことを意図している。一例として、「約100」という句は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般的に、「約」という用語を使用する場合、本発明に係る同様の結果または効果が、示された値の±5%の範囲内で得られることが期待できる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、前記群の要素のすべてまたは1つのみが存在し得ることを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」は、「Aのみ、またはBのみ、またはAとBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性、つまり、「Aのみで、Bは含まない」も網羅する。
【0014】
もちろん、特定の構成要素および/または条件は変化し得るので、本発明は、以下に記載される特定の実施形態および方法に限定されないことも理解すべきである。さらに、本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、いかなる方法でも限定することを意図するものではない。
【0015】
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である。これらの用語は包括的でオープンエンドであり、追加の、引用されていない要素または方法のステップを除外するものではない。
【0016】
「からなる(consisting of)」という句は、特許請求の範囲において、特定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。この語句が前文の直後ではなく、請求項の本文の節に現れる場合、その節に記載されている要素のみを限定し、その他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0017】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、特許請求の範囲を、特定された材料またはステップに加えて、特許請求された主題の基本的および新規の特性に実質的に影響を与えないものに限定する。
【0018】
「で構成される(composed of)」という句は、「含む(including)」または「からなる(consisting of)」を意味する。通常、この句は、対象物が材料から形成されていることを示すために使用される。
【0019】
「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「本質的にからなる(consisting essentially of)」という用語に関して、これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、現在開示され特許請求される主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含むことができる。
【0020】
「1つ以上の(one or more)」という用語は「少なくとも1つの(at least one)」を意味し、「少なくとも1つの(at least one)」という用語は「1つ以上の(one or more)」を意味する。「1つ以上の(one or more)」という用語は「少なくとも1つの(at least one)」を意味し、「少なくとも1つの(at least one)」という用語は「1つ以上の(one or more)」を意味する。「1つ以上の(one or more)」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語には、サブセットとして「複数(plurality)」および「複数(multiple)」が含まれる。一改良例では、「1つ以上(one or more)」には「2つ以上(two or more)」が含まれる。
【0021】
「実質的に(substantially)」、「概して(generally)」、または「約(about)」という用語は、本明細書において、開示または特許請求された実施形態を説明するために使用することができる。「実質的に(substantially)」という用語は、本開示において開示または特許請求される値または相対的特性を改変することができる。その場合、「実質的に(substantially)」は、それが改変する値または相対的特性が、値または相対的特性の±0%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、または10%以内であることを意味することができる。
【0022】
整数範囲には、介在するすべての整数が明示的に含まれることも理解すべきである。例えば、整数範囲1~10には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10が明示的に含まれる。同様に、1~100の範囲には、1、2、3、4・・・97、98、99、100が含まれる。同様に、任意の範囲が要求される場合、上限と下限の差を10で割った値を増分とする介在する数値を代替の上限または下限と見なすことができる。例えば、範囲が1.1~2.1の場合、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、および2.0の数値を下限または上限として選択できる。
【0023】
数量を指す場合、一改良例では、「未満」という用語には、「未満」の後に示される数値の5パーセントである非含有下限が含まれる。例えば、「20未満」には、一改良例では1の非含有下限が含まれる。したがって、「20未満」のこの改良例には、1と20の間の範囲が含まれる。別の一改良例では、「未満」という用語には、優先度の高い順に、「未満」の後に示される数値の20パーセント、10パーセント、5パーセント、または1パーセントである非含有下限が含まれる。
【0024】
本明細書に記載の実施例では、濃度、温度、および反応条件(例えば、圧力、pH、流量など)は、示される値のプラスまたはマイナス50パーセントを、実施例で提供される値の有効数字2桁に四捨五入または切り捨てて実施することができる。一改良例では、濃度、温度、および反応条件(例えば、圧力、pH、流量など)は、示される値のプラスまたはマイナス30パーセントを、実施例で提供される値の有効数字2桁に四捨五入または切り捨てて実施することができる。別の一改良例では、濃度、温度、および反応条件(例えば、圧力、pH、流量など)は、示される値のプラスまたはマイナス10パーセントを、実施例で提供される値の有効数字2桁に四捨五入または切り捨てて実施することができる。
【0025】
複数の文字と数字の下付き文字(CHOなど)を含む実験化学式として表されるすべての化合物の場合、下付き文字の値は、有効数字2桁に四捨五入または切り捨てて示される値のプラスまたはマイナス50%にすることができる。例えば、CHOが示されている場合、化学式C(0.8-1.2)H(1.6-2.4)O(0.8-1.2)の化合物となる。一改良例では、下付き文字の値は、有効数字2桁に四捨五入または切り捨てて示される値のプラスまたはマイナス30パーセントにすることができる。さらに別の一改良例では、下付き文字の値は、有効数字2桁に四捨五入または切り捨てて示される値のプラスまたはマイナス20パーセントにすることができる。
【0026】
刊行物が参照される本出願を通して、これらの刊行物の全体の開示は、本発明が関係する技術をより完全に説明するために、参照により本出願に援用される。
【0027】
略語
「PVD」は物理気相成長法を意味する。
【0028】
図1Aおよび図1Bを参照すると、アルミニウムまたは別の金属または金属合金をダイカストするためのダイカストモールドの概略図が提供される。図1Aは、モールドの半分が分離されたときの概略断面図であり、図1Bは、モールドが閉じられて液体のアルミニウムで満たされたときの概略断面図である。ダイカストモールド10は、第1のダイ12および第2のダイ14を含む。第1のダイ12は、第1のモールド表面16を画定し、第1のコーティング18は、第1のモールド表面16上に配置される。第2のダイ14は、第2のモールド表面20を画定する。第2の多層コーティング22は、第2のモールド表面20上に配置される。特徴として、第1のダイ12および第2のダイ14は、モールドキャビティ24を形成するために組み合わせることが可能である。第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成されるベース層を含むことが特徴である。
【0029】
図1Bを参照すると、溶融金属24は、入力チャネル26を介してモールドキャビティ22内に導入され得る。第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、モールド表面の離型層および保護層として機能する。熱力学的に、第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、多層コーティングが少なくとも1つのジルコニウム基の層を含むという事実のために、モールドキャビティに導入される溶融金属と比較して優先的に酸化物を形成する傾向がある。
【0030】
一変形例では、第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、それぞれ、物理気相成長法によって形成される。適切な物理気相成長法の例には、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸着などが含まれるが、これらに限定されない。したがって、第1の多層コーティングおよび第2の多層コーティングは、実質的にピンホールがない。一改良例では、第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、それぞれ独立して、約50ピンホール/mm未満のピンホール密度を有する。いくつかの改良例では、第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、それぞれ独立して、優先度の高い順に、100ピンホール/mm、70ピンホール/mm、60ピンホール/mm、50ピンホール/mm、40ピンホール/mm、30ピンホール/mm、20ピンホール/mm、10ピンホール/mm、または5ピンホール/mmよりも小さいピンホール密度を有する。いくつかの改良例では、形成されたときの第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は滑らかであり、表面粗さは60nm未満である。他の改良例では、第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング22は、それぞれ独立して、優先度の高い順に、100nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、または10nmよりも小さい表面粗さを有する。
【0031】
図2および図3は、第1の多層コーティング18および第2の多層コーティング用に使用することができる多層コーティングの概略断面図を提供する。少なくともモールドキャビティを画定する領域内で、第1のベース層30は、ダイ12の表面16上に配置され、第2のベース層30’は、ダイ14の表面20上に配置される。一改良例では、第1のベース層30および第2のベース層30’は、それぞれ独立して、約1ミクロン~5ミクロンの厚さを有する。いくつかの改良例では、第1のベース層30および第2のベース層30’は、それぞれ独立して、少なくとも、優先度の高い順に、0.5ミクロン、1ミクロン、1.2ミクロン、1.5ミクロン、1.7ミクロン、または2ミクロン、かつ、多くとも、優先度の高い順に、7ミクロン、5ミクロン、4ミクロン、3.5ミクロン、3ミクロン、2.8ミクロン、または2.5ミクロンの厚さを有する。
【0032】
上記のように、第1のベース層30および第2のベース層30’は、それぞれ独立して、窒化ジルコニウムまたは炭化ジルコニウムから構成される。一改良例では、ベース層は、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、オキシ炭化ジルコニウム(ZrOC)、窒化ジルコニウムアルミニウム(ZrAlN)、および炭窒化ジルコニウムケイ素(ZrSiCN)からなる群から選択された成分で独立して構成される。
【0033】
一改良例では、第1の接着層32は、第1のベース層30とダイ12との間に配置され、一方、第2の接着層32’は、第2のベース層30’とダイ14との間に配置される。第1の接着層32および第2の接着層32’は、それぞれ独立して、約0.05ミクロン~約0.5ミクロンの厚さを有する。典型的には、第1の接着層32および第2の接着層32’は、それぞれ独立して、金属から構成される。一改良例では、第1の接着層32および第2の接着層32’は、それぞれ独立して、チタンまたはジルコニウムから構成される。
【0034】
図3は、第1の酸化ジルコニウム層40が第1のベース層30上に接触して配置され、第2の酸化ジルコニウム層40’が第2のベース層30’上に接触して配置されている変形例を示す。典型的には、第1の酸化ジルコニウム層40および第2の酸化ジルコニウム層40’は、それぞれ独立して、約0.1~1ミクロンの厚さを有する。一変形例では、第1の酸化ジルコニウム層40および第2の酸化ジルコニウム層40’は、それぞれ独立して、60nm未満の表面粗さを有する。他の改良例では、第1の酸化ジルコニウム層40および第2の酸化ジルコニウム層40’は、それぞれ独立して、優先度の高い順に、100nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、または10nmよりも小さい表面粗さを有する。
【0035】
例示的な実施形態が上で説明されているが、これらの実施形態が本発明のすべての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用される単語は、限定ではなく説明の単語であり、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができると理解される。また、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成することができる。
図1A
図1B
図2
図3
【外国語明細書】