(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140381
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】光学センサおよび物理量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20220915BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20220915BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01D5/353 A
G02B6/26
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036296
(22)【出願日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2021040078
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲森 翔
(72)【発明者】
【氏名】坂本 歩
(72)【発明者】
【氏名】藤田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山手 勉
【テーマコード(参考)】
2F103
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2F103BA01
2F103BA02
2F103CA08
2F103EC09
2H036QA11
2H036QA17
2H036QA22
2H036QA23
2H137AA14
2H137AB15
2H137BA01
2H137BC53
2H137CA15A
2H137CA22E
2H137CA74
2H137CC01
2H137CC11
2H137HA05
(57)【要約】
【課題】高温や低温の環境下でも損傷を抑制することができる光学センサおよび物理量測定装置を提供する。
【解決手段】光学センサ1は、筒状に形成されるフェルール10と、フェルール10の内部に挿入され、フェルール10と線膨張係数が同じ材料を用いて形成される光ファイバ20と、光ファイバ20と光学的に接続され、光透過性の反射素子31を有して構成されるセンサヘッド30と、を備え、フェルール10と光ファイバ20とは接合されており、フェルール10の先端部に反射素子31が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されるフェルールと、
前記フェルールの内部に挿入され、前記フェルールと線膨張係数が同じ材料を用いて形成される光ファイバと、
前記光ファイバと光学的に接続され、光透過性の反射素子を有して構成されるセンサヘッドと、を備え、
前記フェルールと前記光ファイバとは接合されており、
前記フェルールの先端部に前記反射素子が設けられている
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学センサにおいて、
前記フェルールおよび前記光ファイバは、石英、または、サファイアを用いて形成されている
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学センサにおいて、
前記反射素子は、誘電体単層膜、または、誘電体多層膜により構成されている
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の光学センサにおいて、
前記反射素子は、誘電体単結晶により構成されている
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の光学センサにおいて、
前記反射素子は、前記光ファイバを介して光を入射して干渉光を出射するファブリペロー干渉膜として構成される
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光学センサにおいて、
前記センサヘッドは、前記反射素子と前記フェルールの先端部との間に介装され前記反射素子を支持する支持部を有する
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の光学センサにおいて、
前記支持部は、前記フェルールおよび前記光ファイバと線膨張係数が同じ材料を用いて形成されている
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学センサにおいて、
前記フェルールと前記光ファイバとは、先端部で溶着されている
ことを特徴とする光学センサ。
【請求項9】
光源と、
筒状に形成されるフェルールと、前記フェルールの内部に挿入され、前記フェルールと線膨張係数が同じ材料を用いて形成される光ファイバと、前記光ファイバと光学的に接続され、光透過性の反射素子を有して構成されるセンサヘッドと、を備える光学センサと、
前記光学センサから出力される干渉光から干渉信号を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出された前記干渉信号から、被測定流体の物理量を算出する演算部とを備え、
前記フェルールと前記光ファイバとは接合されており、
前記フェルールの先端部に前記反射素子が設けられている
ことを特徴とする物理量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサおよび物理量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェルールの端部に、外的条件の変化に応じて入射光に対する反射スペクトルがシフトする反射手段が形成された光反射センサが知られている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
特許文献1では、フェルールにおいて、反射手段が形成されていない側の端面が、光ファイバフェルールとの光学的接続が可能となるように研磨されている。これにより、このような光反射センサをアセンブリした後に、光反射センサと光ファイバフェルールとを接続することができるので、光反射センサのアセンブリを容易にすることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、フェルールと、当該フェルールの内部に収納される光ファイバとを固定し、フェルール端部に反射手段が設けられている。この場合、このような光反射センサが高温や低温の環境下に曝されると、フェルールと光ファイバとの接合箇所や反射手段がフェルールと光ファイバとの線膨張係数の違いにより損傷してしまうおそれがある。そのため、高温や低温の環境下での物理量の測定が困難であるとの問題があった。
【0006】
本発明の目的は、高温や低温の環境下でも損傷を抑制することができる光学センサおよび物理量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学センサは、筒状に形成されるフェルールと、前記フェルールの内部に挿入され、前記フェルールと線膨張係数が同じ材料を用いて形成される光ファイバと、前記光ファイバと光学的に接続され、光透過性の反射素子を有して構成されるセンサヘッドと、を備え、前記フェルールと前記光ファイバとは接合されており、前記フェルールの先端部に前記反射素子が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、フェルールと、当該フェルールに挿入される光ファイバとは、線膨張係数が同じ材料を用いて形成されている。そして、フェルールと光ファイバとは接合されている。そのため、光学センサが高温や低温の環境下に曝されたとしても、フェルールと光ファイバとは同様に膨張・収縮するので、フェルールと光ファイバとの接合部分が熱膨張差により損傷してしまうことを抑制できる。
【0009】
本発明の光学センサにおいて、前記フェルールおよび前記光ファイバは、石英、または、サファイアを用いて形成されていることが好ましい。
この構成では、フェルールおよび光ファイバが、物理的・化学的強度に優れる石英、または、サファイアを用いて形成されているので、高温や低温の環境下に曝されたとしても損傷することを抑制することができる。
【0010】
本発明の光学センサにおいて、前記反射素子は、誘電体単層膜、または、誘電体多層膜により構成されていることが好ましい。
この構成では、反射素子が誘電体単層膜、または、誘電体多層膜により構成されるので、フェルールの先端部に反射素子を容易に取り付けることができる。
【0011】
本発明の光学センサにおいて、前記反射素子は、誘電体単結晶により構成されていることが好ましい。
この構成では、反射素子が誘電体単結晶により構成されているので、反射素子の物理的・化学的強度を高くすることができる。
【0012】
本発明の光学センサにおいて、前記反射素子は、前記光ファイバを介して光を入射して干渉光を出射するファブリペロー干渉膜として構成されることが好ましい。
この構成では、反射素子が干渉光を出射するファブリペロー干渉膜として構成されるので、当該干渉光を解析することで反射素子に作用する物理量を高い精度で測定することができる。
【0013】
本発明の光学センサにおいて、前記センサヘッドは、前記反射素子と前記フェルールの先端部との間に介装され前記反射素子を支持する支持部を有することが好ましい。
この構成では、センサヘッドは、反射素子と当該反射素子を支持する支持部を有する。そのため、反射素子を支持部で支持させた状態で、当該支持部をフェルールに取り付けることができる。そのため、光学センサの組み立てを容易にすることができる。
【0014】
本発明の光学センサにおいて、前記支持部は、前記フェルールおよび前記光ファイバと線膨張係数が同じ材料を用いて形成されていることが好ましい。
この構成では、支持部がフェルールおよび光ファイバと線膨張係数が同じ材料を用いて形成される。そのため、光学センサが高温や低温の環境下に曝されたとしても、支持部はフェルールおよび光ファイバと同様に膨張・収縮するので、支持部とフェルールおよび光ファイバの接合部分において、熱膨張差に起因する損傷を抑制することができる。
【0015】
本発明の光学センサにおいて、前記フェルールと前記光ファイバとは、先端部で溶着されていることが好ましい。
この構成では、フェルールと光ファイバとは接着剤等を介して接合されているわけではなく先端部で溶着されているので、フェルールと光ファイバとの溶着部分が熱膨張差により損傷してしまうことを抑制できる。
【0016】
本発明の物理量測定装置は、光源と、筒状に形成されるフェルールと、前記フェルールの内部に挿入され、前記フェルールと線膨張係数が同じ材料を用いて形成される光ファイバと、前記光ファイバと光学的に接続され、光透過性の反射素子を有して構成されるセンサヘッドと、を備える光学センサと、前記光学センサから出力される干渉光から干渉信号を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された前記干渉信号から、被測定流体の物理量を算出する演算部とを備え、前記フェルールと前記光ファイバとは接合されており、前記フェルールの先端部に前記反射素子が設けられていることを特徴とする。
本発明では、上記した効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る物理量測定装置の概略構成を示す図。
【
図2】第1実施形態の光学センサの概略を示す断面図。
【
図3】第2実施形態の光学センサの概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の物理量測定装置100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、物理量測定装置100は、光学センサ1と、広帯域光源2と、光ケーブル3と、受光器4と、サーキュレータ7とを備える。
本実施形態では、光学センサ1は、被測定流体の温度を検出可能に構成されたセンサである。光学センサ1の詳細については後述する。
【0019】
[広帯域光源2]
広帯域光源2は、広帯域な波長の光を放出する。なお、広帯域光源2は、本発明の光源の一例である。
本実施形態では、広帯域光源2は、例えば、SC(Super Continuum)光源であり、1200nm~1600nm程度の波長領域の光を放出可能に構成されている。なお、広帯域光源2は、上記構成に限られるものではなく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源やSLD(Super luminescent diode)光源やLED(Light Emitting Diode)
光源等を組み合わせたものであってもよく、また、チューナブルレーザーのように広帯域を掃引する狭帯域光源であってもよい。さらに、広帯域光源2は、例示した波長領域よりも広い波長領域の光を放出可能に構成されていてもよく、あるいは、例示した波長領域よりも狭い波長領域の光を放出可能に構成されていてもよい。
【0020】
[光ケーブル3]
光ケーブル3は、所謂マルチモード光ファイバや保護部材等を備えて構成され、広帯域光源2から放出される光が入射される。そして、光ケーブル3は、広帯域光源2から放出された光を光学センサ1に伝送する。また、光ケーブル3は、光学センサ1から出力された干渉光を受光器4に伝送する。なお、光ケーブル3は、マルチモード光ファイバを備えて構成されるものに限られるものではなく、例えば、シングルモード光ファイバを備えて構成されていてもよい。
【0021】
[サーキュレータ7]
サーキュレータ7は、広帯域光源2から放出された光を入射して、光学センサ1に送る。また、サーキュレータ7は、光学センサ1から出力された干渉光を入射して、受光器4に送る。
なお、サーキュレータ7は、上記構成に限られず、例えば、ビームスプリッタから構成されていてもよい。
【0022】
[光学センサ1]
図2は、光学センサ1の概略を示す断面図である。
図2に示すように、光学センサ1は、フェルール10と、光ファイバ20と、センサヘッド30とを備える。
【0023】
[フェルール10]
フェルール10は、円筒状に形成され、内部に光ファイバ20および光ケーブル3が挿入されている。そして、フェルール10は、先端側にセンサヘッド30が設けられている。また、フェルール10の基端側は、接着剤Aにて光ケーブル3に接着され、かつ、封止されている。
本実施形態では、フェルール10は石英を用いて形成されている。
【0024】
[光ファイバ20]
光ファイバ20は、コアおよびクラッドを有する所謂光ファイバとして構成され、フェルール10の内部に挿入されている。本実施形態では、光ファイバ20は、基端側が光ケーブル3に光学的に接続され、先端側がセンサヘッド30に光学的に接続される。これにより、光ファイバ20は、光ケーブル3を介して入射される光をセンサヘッド30に伝送するとともに、センサヘッド30から出射された干渉光を光ケーブル3に伝送する。
また、本実施形態では、光ファイバ20は、フェルール10と同様に、石英を用いて形成されている。すなわち、光ファイバ20は、フェルール10と線膨張係数が同じ材料を用いて形成されている。そして、光ファイバ20とフェルール10とは、先端部の溶着部分Mで溶着されている。すなわち、光ファイバ20およびフェルール10は、溶融することで接合されている。そのため、例えば、光学センサ1が高温や低温の環境下に曝されたとしても、フェルール10と光ファイバ20とは同様に膨張・収縮する上、フェルール10と光ファイバ20とは接着剤等を介して接合されているわけではないので、フェルール10と光ファイバ20との溶着部分Mが損傷してしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態では、フェルール10および光ファイバ20は、物理的・化学的強度に優れる石英を用いて形成されているので、高温や低温の環境下に曝されたとしても損傷することを抑制することができる。
なお、フェルール10および光ファイバ20は、上記構成に限られるものではなく、例えば、フェルール10と光ファイバ20の溶着箇所は先端部に限られるものではない。また、フェルール10と光ファイバ20とが接着剤等を介して接合される場合も本発明に含まれる。
【0025】
[センサヘッド30]
センサヘッド30は、フェルール10および光ファイバ20の先端部に設けられており、前述したように、光ファイバ20と光学的に接続されている。本実施形態では、センサヘッド30は反射素子31を有している。
反射素子31は、入射された光の一部を透過する光透過性を有しており、入射された光の一部を反射する。本実施形態では、反射素子31は、誘電体の単層膜として構成されている。そのため、反射素子31をフェルール10の先端部に容易に取り付けることができる。
また、本実施形態では、反射素子31は、第1反射面311と、第2反射面312とを有する。
【0026】
第1反射面311は、光ファイバ20から入射された光の一部を反射する。また、第2反射面312は、光ファイバ20から入射された光の一部を反射する。そして、第1反射面311と第2反射面312とにより反射された光同士が干渉することにより、反射素子31から干渉光が出力される。
また、反射素子31は、上記構成に限られるものではなく、例えば、複数の誘電体層を重ねた誘電体多層膜として構成されていてもよい。
【0027】
図1に戻って、受光器4は、光学センサ1から出力された干渉光を入射して、当該干渉光に応じた物理量を演算する。受光器4は、光検出部5と、MPU6とを有する。
【0028】
光検出部5は、図示略の光検出素子、光電変換機、増幅器、AD変換器などを備えて構成され、入射された干渉光を検出して、干渉信号を出力する。
【0029】
MPU6は、所謂Micro Processing Unitであり、光検出部5から出力される干渉信号を入力して、当該干渉信号に応じた物理量を演算する。本実施形態では、MPU6は、公知の演算方法により、干渉信号から物理量を測定する。すなわち、MPU6は、干渉信号から干渉縞を求める。そして、MPU6は、干渉縞の周期的な強度変化から、位相変化を算出する。MPU6は、この位相変化と物理量との相関関係を予め求めておくことで、位相変化に応じた物理量を算出する。なお、MPU6は、本発明の演算部の一例である。
【0030】
以上のような第1実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、フェルール10と、当該フェルール10に挿入される光ファイバ20とは、線膨張係数が同じ材料を用いて形成されている。そして、フェルール10と光ファイバ20とは先端部で溶着されている。そのため、光学センサ1が高温や低温の環境下に曝されたとしても、フェルール10と光ファイバ20とは同様に膨張・収縮するので、フェルール10と光ファイバ20との溶着部分Mが熱膨張差により損傷してしまうことを抑制できる。
【0031】
(2)本実施形態では、フェルール10および光ファイバ20が、物理的・化学的強度に優れる石英を用いて形成されているので、高温や低温の環境下に曝されたとしても損傷することを抑制することができる。
【0032】
(3)本実施形態では、反射素子31が誘電体単層膜により構成されるので、フェルール10の先端部に反射素子31を容易に取り付けることができる。
【0033】
(4)本実施形態では、フェルール10と光ファイバ20とは接着剤等を介して接合されているわけではなく先端部で溶着されているので、フェルール10と光ファイバ20との溶着部分Mが熱膨張差により損傷してしまうことを抑制できる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、センサヘッド30Aは、反射素子31Aを支持する支持部32Aを有する点で第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0035】
図3は、本実施形態の光学センサ1Aの概略を示す断面図である。
図3に示すように、光学センサ1Aは、フェルール10と、光ファイバ20Aと、センサヘッド30Aとを備える。
【0036】
[光ファイバ20A]
光ファイバ20Aは、前述した第1実施形態の光ファイバ20と同様に、コアおよびクラッドを有する所謂光ファイバとして構成される。本実施形態では、光ファイバ20Aは、第1光ファイバ21Aと、第2光ファイバ22Aとを有している。
【0037】
第1光ファイバ21Aは、前述した第1実施形態の光ファイバ20と同様に、石英を用いて形成されている。すなわち、第1光ファイバ21Aは、フェルール10と線膨張係数が同じ材料を用いて形成されている。
本実施形態では、第1光ファイバ21Aは、フェルール10に挿入されており、基端側が光ケーブル3に光学的に接続され、先端側が第2光ファイバ22Aに光学的に接続される。そして、第1光ファイバ21Aとフェルール10とは、先端部の第1溶着部分M1で溶着されている。
【0038】
第2光ファイバ22Aは、前述した第1光ファイバ21Aと同様に、石英を用いて形成されている。
本実施形態では、第2光ファイバ22Aは、後述するセンサヘッド30Aの支持部32Aに挿入されており、基端側が第1光ファイバ21Aに光学的に接続され、先端側がセンサヘッド30Aの反射素子31Aに光学的に接続される。そして、第2光ファイバ22Aと支持部32Aとは、基端部の第2溶着部分M2および先端部の第3溶着部分M3で溶着されている。
【0039】
[センサヘッド30A]
センサヘッド30Aは、前述した第1実施形態のセンサヘッド30と同様に、フェルール10および光ファイバ20Aの先端部に設けられている。そして、センサヘッド30Aは、前述したように、光ファイバ20Aの第2光ファイバ22Aと光学的に接続されている。本実施形態では、センサヘッド30Aは、反射素子31Aと、支持部32Aとを有している。
【0040】
反射素子31Aは、前述した第1実施形態の反射素子31と同様に、誘電体の単層膜として構成されており、入射された光の一部を反射する。
本実施形態では、反射素子31Aは、支持部32Aの先端部に取り付けられている。そして、反射素子31Aは、第1反射面311Aと、第2反射面312Aとを有する。
第1反射面311Aは、第2光ファイバ22Aから入射された光の一部を反射する。また、第2反射面312Aは、第2光ファイバ22Aから入射された光の一部を反射する。そして、第1反射面311Aと第2反射面312Aとにより反射された光同士が干渉することにより、反射素子31Aから干渉光が出力される。
【0041】
支持部32Aは、フェルール10と同径の円筒状に形成され、内部に第2光ファイバ22Aが挿入されている。そして、支持部32Aは、先端側に反射素子31Aが設けられ、基端側がフェルール10に溶着されている。すなわち、支持部32Aは、反射素子31Aとフェルール10の先端部との間に介装され、反射素子31Aを支持している。
このように、本実施形態では、反射素子31Aは支持部32Aに支持されるので、反射素子31Aを支持部32Aで支持させた状態で、当該支持部32Aをフェルール10に取り付けることができる。これにより、光学センサ1Aの製造工程において、反射素子31A、支持部32A、および、第2光ファイバ22Aのアセンブリを予め大量に製造しておき、光学センサ1Aの需要に合わせて、当該アセンブリをフェルール10に取り付けることができる。そのため、光学センサ1Aの組み立てを容易にすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、支持部32Aは、フェルール10および光ファイバ20Aと同様に、石英を用いて形成されている。すなわち、支持部32Aは、フェルール10および光ファイバ20Aと線膨張係数が同じ材料を用いて形成されている。そして、前述したように、支持部32A、フェルール10、および、光ファイバ20Aは、第1溶着部分M1、第2溶着部分M2、および、第3溶着部分M3で溶着されている。そのため、例えば、光学センサ1Aが高温や低温の環境下に曝されたとしても、支持部32A、フェルール10、および、光ファイバ20Aは同様に膨張・収縮する上、支持部32A、フェルール10、および、光ファイバ20Aは接着剤等を介して接合されているわけではないので、第1溶着部分M1、第2溶着部分M2、および、第3溶着部分M3が損傷してしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態では、支持部32A、フェルール10、および、光ファイバ20Aは、物理的・化学的強度に優れる石英を用いて形成されているので、高温や低温の環境下に曝されたとしても損傷することを抑制することができる。
【0043】
以上のような第2実施形態では、次の効果を奏することができる。
(5)本実施形態では、センサヘッド30Aは、反射素子31Aと当該反射素子31Aを支持する支持部32Aを有する。そのため、反射素子31Aを支持部32Aで支持させた状態で、当該支持部32Aをフェルール10に取り付けることができる。そのため、光学センサ1Aの組み立てを容易にすることができる。
【0044】
(6)本実施形態では、支持部32Aがフェルール10および光ファイバ20Aと線膨張係数が同じ材料を用いて形成される。そのため、光学センサ1Aが高温や低温の環境下に曝されたとしても、支持部32Aはフェルール10および光ファイバ20Aと同様に膨張するので、支持部32Aとフェルール10および光ファイバ20の第1~第3溶着部分M1,M2,M3において、熱膨張差に起因する損傷を抑制することができる。
【0045】
[変形例]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、フェルール10および光ファイバ20は石英を用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、フェルールおよび光ファイバはサファイアを用いて形成されていてもよく、線膨張係数が同じ材料を用いて形成されていればよい。
同様に、前記第2実施形態では、支持部32A、フェルール10、および、光ファイバ20Aは、石英を用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、支持部、フェルール、および、光ファイバはサファイアを用いて形成されていてもよく、線膨張係数が同じ材料を用いて形成されていればよい。
【0046】
前記各実施形態では、反射素子31,31Aは、第1反射面311,311Aと第2反射面312,312Aとにより反射された光同士が干渉することにより干渉光を出力するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、反射素子は、第1反射面と第2反射面とにより光が多重反射され、多重反射された光同士が干渉するファブリペロー干渉膜として構成されていてもよい。このように構成することで、当該干渉光を解析することで反射素子に作用する物理量を高い精度で測定することができる。
【0047】
前記各実施形態では、光ケーブル3は、所謂光ファイバで構成されていたが、これに限定されない。例えば、光ケーブルは、結晶材料等から形成される光透過性を有する部材から構成されていてもよい。
【0048】
前記各実施形態では、フェルール10は円筒状に形成されていたが、これに限定されない。例えば、フェルール10は、四角筒や六角筒等の角筒状に形成されていてもよい。
同様に、前記第2実施形態では、支持部32Aは円筒状に形成されていたが、これに限定されない。例えば、支持部32Aは、四角筒や六角筒等の角筒状に形成されていてもよい。
【0049】
前記各実施形態では、反射素子31,31Aは誘電体膜として構成されていたが、これに限定されない。例えば、反射素子は、石英やサファイアを用いて形成される光学素子として構成されていてもよい。すなわち、反射素子は、誘電体単結晶膜により構成されていてもよい。このように構成することで、反射素子の物理的・化学的強度を高くすることができる。
【0050】
前記各実施形態では、光学センサ1,1Aは、被測定流体の温度を検出可能に構成されていたが、これに限定されない。例えば、光学センサは、被測定流体の圧力や歪み等の物理量を検出可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,1A…光学センサ、2…広帯域光源、3…光ケーブル、4…受光器、5…光検出部、6…MPU(演算部)、7…サーキュレータ、10…フェルール、20,20A…光ファイバ、21A…第1光ファイバ、22A…第2光ファイバ、30,30A…センサヘッド、31,31A…反射素子、32A…支持部、100…物理量測定装置、311,311A…第1反射面、312,312A…第2反射面、A…接着剤、M…溶着部分、M1…第1溶着部分、M2…第2溶着部分、M3…第3溶着部分。