(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014040
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】不動産賃貸借管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220112BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116174
(22)【出願日】2020-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】520246799
【氏名又は名称】株式会社SHIKITARI
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 登
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】賃貸借契約、更新、および解約の手続きを容易化する。
【解決手段】ユーザが使用するユーザ側端末3との間で情報送受可能な管理サーバ2を備える不動産賃貸借管理システム1であって、管理サーバ2は、ユーザ側端末3で手動入力されたユーザ署名画像データを受信し、当該ユーザ署名画像データをユーザに紐付けられたユーザ情報として記憶するユーザ管理データベース23と、ユーザのユーザ登録時にあらかじめユーザ管理データベース23に記憶しているユーザ署名画像データを登録署名画像データとし、賃貸借契約時にあらためてユーザ側端末3から受信したユーザ署名画像データを契約署名画像データとして、これら契約署名画像データと登録署名画像データとを比較することによりそれぞれ入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う署名認証部24と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ側端末との間で情報送受可能な管理サーバを備える不動産賃貸借管理システムであって、
前記管理サーバは、
前記ユーザ側端末で手動入力されたユーザ署名画像データを受信し、当該ユーザ署名画像データを前記ユーザに紐付けられたユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部、
を有することを特徴とする不動産賃貸借管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
前記ユーザのユーザ登録時にあらかじめ前記ユーザ情報記憶部に記憶している前記ユーザ署名画像データを登録署名画像データとし、賃貸借契約時にあらためて前記ユーザ側端末から受信したユーザ署名画像データを契約署名画像データとして、前記契約署名画像データと前記登録署名画像データとを比較することによりそれぞれ入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う署名認証部、
を有することを特徴とする請求項1記載の不動産賃貸借管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
前記署名認証部が、前記契約署名画像データと前記登録署名画像データそれぞれの入力ユーザが同一人物であるとして認証した場合に、賃貸借の契約、更新、解約、委任状発行の少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする請求項2記載の不動産賃貸借管理システム。
【請求項4】
前記ユーザ情報記憶部は、
前記ユーザが支払うべき費用と同等に扱うことが可能なポイントも前記ユーザ情報として記憶することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不動産賃貸借管理システム。
【請求項5】
前記ユーザ情報記憶部は、
前記ユーザの退去時に、当該ユーザが退去手続きの委託を、代物弁済としての債権譲渡にて行う場合に、システム運用者が独自に算定し、システムに入力した敷金返還請求権の残存価格を超えない範囲で、総付景品としてのポイントを加算付与するよう前記ユーザ情報を更新することを特徴とする請求項4記載の不動産賃貸借管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、不動産の賃貸借を管理する不動産賃貸借管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、コンピュータネットワークを介して入居希望者との間の不動産の賃貸借契約を管理するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アパートや賃貸マンションなどの不動産の賃貸借契約においては、借主と貸主(もしくは代理する仲介者)との間で正式な合意に基づく契約が必要であり、貸主によってはその契約の合意にあたって契約者本人であることの証明能力が高い署名までを要求する場合がある。しかしながら、上記従来技術ではテキストデータ形式の契約書ファイルをネットワークを介して送受するだけでしかなく、署名を必要とする場合には最終的に店舗等での立ち会いのもとで書面の契約書に実際に署名を行うか、もしくは署名した書面の契約書を郵送等で送受する必要があった。そのため、借主にとっては賃貸借契約、更新、および解約の手続きが煩雑となり、スムーズな取引を阻害する大きな要因となっていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、賃貸借契約、更新、および解約の手続きを容易化できる不動産賃貸借管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、ユーザが使用するユーザ側端末との間で情報送受可能な管理サーバを備える不動産賃貸借管理システムであって、前記管理サーバは、前記ユーザ側端末で手動入力されたユーザ署名画像データを受信し、当該ユーザ署名画像データを前記ユーザに紐付けられたユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、賃貸借契約、更新、および解約の手続きを容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る不動産賃貸借管理システムの概略的なシステム構成図である。
【
図2】不動産管理データベースの記録内容を模式的に表す図である。
【
図3】賃貸借契約管理データベースの記録内容を模式的に表す図である。
【
図4】ユーザ管理データベースの記録内容を模式的に表す図である。
【
図5】署名認証部による署名画像データの比較機能を説明する図である。
【
図7】タブレット型PCを用いて登録申請ファイルの記入と署名入力の操作を行う外観の一例を表す図である。
【
図10】変形例に係る不動産賃貸借管理システムの概略的なシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0010】
<概略的なシステム構成について>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態に係る不動産賃貸借管理システムの概略的なシステム構成について説明する。なお、
図1に示す本実施形態の不動産賃貸借管理システム1の例では、不動産を所有する全ての貸主からの直接的な委託を受けて、借主との間の賃貸借契約等の手続きの全てを一元的に代行する場合について説明する。貸主については、個人(自然人)であってもよいし、法人であってもよい。
【0011】
この
図1において、本実施形態の例の不動産賃貸借管理システム1は、管理サーバ2を有している。管理サーバ2は、例えばインターネットなどの通信ネットワークNWを介して、不動産物件の借主と成り得る一般的なユーザが所有、使用するユーザ側端末3と、上記貸主が所有、使用する貸主側端末4との間でも各種の情報を送受可能となっている。上記のユーザ側端末3及び貸主側端末4のいずれも、いわゆるスマートフォン、タブレット型PC、もしくはデスクトップ型またはノート型の汎用パーソナルコンピュータを利用できる。そして、スマートフォン及びタブレット型PCの場合は、あらかじめ上記管理サーバ2からダウンロードし、インストールした専用アプリケーションを利用することで管理サーバ2との間の情報送受を行う。また、汎用パーソナルコンピュータの場合は、同様にインストールした専用アプリケーション、もしくはWEBアプリケーションを利用して管理サーバ2との間の情報送受を行う。なお、ユーザ側端末3に限っては、手書き文字の入力機能を有することが必要であり、スマートフォンやタブレット型PCの場合は標準的に備えられている内蔵タッチパネルを利用すればよいが、汎用パーソナルコンピュータの場合にはいわゆる液晶タブレットなどの別途の外付けタッチパネル3aを接続する。
【0012】
<管理サーバについて>
管理サーバ2は、CPU、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリなどで構成されるコンピュータであり、不動産管理データベース21、賃貸借契約管理データベース22、ユーザ管理データベース23、及び署名認証部24の各機能部を有している。
【0013】
不動産管理データベース21は、賃貸借の対象となるアパートや賃貸マンションなどの物件情報を記憶するデータベースであり、例えば
図2に示すように個別の物件ごとに付与される物件IDに対応して、入居状況、貸主ID、借主ID、物件名、所在地、建物種別、間取り、世帯数、築年数などの情報や、他にも図示しないバス・トイレ情報、最寄り駅までの徒歩時間、物件の外観画像データ、内観画像データ、など多様な情報が記録されている。これらの物件情報は、例えばあらかじめ貸主側端末4からのアップロードや当該管理サーバ2の管理者による入力によって登録される。
【0014】
賃貸借契約管理データベース22は、借主と貸主との間で交わされた賃貸借契約の情報を記憶するデータベースであり、例えば
図3に示すように個別の契約ごとに付与される契約IDに対応して、物件ID、貸主ID、借主ID、共有人数、賃料、敷金、契約日、契約期間などの情報や、他にも図示しない多様な情報が記録されている。これらの契約情報は、例えば個別の物件ごとに賃貸借契約が新規に交わされる度に登録され、契約期間が延長される度に更新され、退居後の適宜のタイミングで消去される。
【0015】
ユーザ管理データベース23(ユーザ情報記憶部に相当)は、あらかじめ会員登録したユーザに関するユーザ情報を記憶するデータベースであり、例えば
図4に示すようにユーザ個人別に付与されるユーザIDに対応して、氏名、年齢、性別、職業、利用状況、物件ID、所有ポイント数、登録署名画像データなどの情報や、他にも図示しないメールアドレス、ログインネームやパスワードなどのログインアカウント、保証人の関連情報などの多様な情報が記録されている。これらユーザ情報は、例えば後述する
図6に示すようにあらかじめ新規登録申し込み時に所定の登録申請ファイルに記入、入力された内容に基づいて登録される。ここで、会員登録しただけのユーザの識別情報がユーザIDとして扱われ、実際に賃貸借契約して登録物件に入居したユーザのユーザIDがそのまま他のデータベースにおける借主IDとして扱われる。つまり、登録したユーザのうちその時点で登録物件に入居中のユーザが特に借主として扱われる。
【0016】
また、本実施形態の例における上記のポイントとは、賃貸借の契約やその手続きによりユーザが支払うべき費用、つまり不動産物件の賃料、敷金、礼金及び仲介手数料などの費用について実際の通貨と同等に扱うことが可能なシステム内の変数値である。ただし、このポイントは、当該不動産賃貸借管理システム1内だけで通用する仮想電子マネー的なものであり、一部は通貨に換金出来る。また、ユーザー管理データベース23のユーザー間でポイントや、換金した通貨を送受したり、通貨を出金指示出来る。更にこのポイントは、所定の運用会社と提携することで、一般的に利用されている他ポイントや電子マネーへの転換を可能としてもよい。
【0017】
また本実施形態の例では、後述するようにユーザの新規会員登録時と賃貸借契約時のそれぞれの時点で、ユーザがユーザ側端末3におけるタッチパネル等の入力機能を介して手書きで署名(名前の手動入力)を行い、それにより生成された例えばピクセルデータ形式のユーザ署名画像データをそれぞれ管理サーバ2に送信する必要がある。そのうち新規会員登録時に生成、送信されたユーザ署名画像データは、ユーザ情報の一つである上記の登録署名画像データとしてユーザ管理データベース23に登録される。また、賃貸借契約時に生成、送信されたユーザ署名画像データは、契約署名画像データとして扱われる。
【0018】
管理サーバ2の署名認証部24は、
図5に示すように、賃貸借契約時にユーザ側端末3から受信した契約署名画像データと、あらかじめユーザ管理データベース23に登録されている登録署名画像データとを比較することにより、それら2つの署名画像データをそれぞれ手動入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う。この署名認証部24における認証機能の実装手法について具体的には、例えば手書き文字画像データから筆跡の特徴量を抽出してパターンマッチングを行う公知の画像認識処理と比較処理の手法を用いてもよいし、もしくは例えばCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)などの深層学習(機械学習)の手法を用いてもよい。また図示する例では、同一人物として認証するか、同一人物ではないとして不認証するかを1出力の2値で判定出力する形態としているが、これに限られず他にも認証と不認証の2出力でそれぞれ多値の確率分布(Max-Out)で出力する形態としてもよい(以上、特に図示せず)。
【0019】
なお、一度でも会員登録したユーザのユーザ情報は、その時点の当該ユーザの利用状況や過去の賃貸借契約の有無にかかわらずユーザ管理データベース23で半永久的に保存し続ける。
【0020】
<処理フローについて>
次に、当該不動産賃貸借管理システム1において実行される各処理でのフローを、
図6、
図8、
図9を参照しつつ説明する。なお、これら各図中では処理を実行する主体として「ユーザ側端末」、「管理サーバ」、及び「貸主側端末」と記載しているが、システム中における機械的な処理以外の実際の手続きや行動を実行する場合には、「ユーザ側端末」をユーザに、「管理サーバ」をシステム運用者に、「貸主側端末」を貸主にそれぞれ置き換えて解釈するものとする。
【0021】
まず、管理サーバ2の不動産管理データベース21に登録されている物件情報のうちで利用状況が「空き」となっている物件情報が、別途のWEBサーバを介して一般的に広く検索・閲覧可能に公開される(特に図示せず)。そして、それら物件情報に興味を持ったユーザが当該システムを利用するための新規会員登録を行う場合には管理サーバ2へのアクセスに誘導され、
図6に示す例のユーザ登録時フローが実行される。
【0022】
まずステップST1で、ユーザ側端末3が、ユーザからの操作によって管理サーバ2に対し新規登録を申し込む申請情報を送信する。
【0023】
次にステップST2で、管理サーバ2は、上記申請情報の受信に応答して登録申請ファイルをユーザ側端末3に返信する。
【0024】
次にステップST3で、ユーザ側端末3は、受信した登録申請ファイルを例えば
図7に示すようにタッチパネルなどの表示部に表示し、ユーザからの入力操作によって各申請事項の記入と登録署名が行われる。この
図7において、登録申請ファイルの記入事項は、上記ユーザ管理データベース23におけるユーザ情報のうちユーザ自身によって登録すべき事項を列挙したものである。そのうち署名画像データ(登録署名画像データ)については、
図7に示すように、所定の記入欄(図示する例では「登録署名記入欄」の四角枠3b内)にユーザが手書きで自分の名前(図示する例では「借主 一夫」)を記入する。これによりユーザ側端末3は、当該ユーザ固有の特徴的な筆跡で記入された署名画像データを生成できる。なお、
図7ではタブレット型PCを用いた場合の例で図示しており、この図示する例ではユーザが自分の指先で記入しているが、いわゆるスタイラスペンを用いて記入してもよい(特に図示せず)。
【0025】
次にステップST4で、ユーザ側端末3は、上記ステップST3で記入、入力、署名された登録申請ファイルを管理サーバ2へ送信する。
【0026】
次にステップST5で、管理サーバ2は、受信した記入済み登録申請ファイルの記載内容と署名画像データを新規のユーザ情報としてユーザ管理データベース23に登録する。
【0027】
次にステップST6で、管理サーバ2は、上記ステップST5で新規登録したユーザ情報のうちの所有ポイント数に新規登録ポイントとして所定のポイント数を加算するよう付与し、記録する。このようにユーザ情報のポイントに対しては、上述した会員登録時や、例えば後述するような賃貸借契約時、入居後の定期的な賃料の支払時、所定期間での契約継続時などの所定の手続きや契機、サービスの利用時などに対して適宜のポイントを加算付与する。
【0028】
次にステップST7で、管理サーバ2は、新規のユーザに対して新たにログインアカウント(指定されたログインネームに対応するパスワードなど)を生成し送信する。
【0029】
以上のユーザ登録フローを経て会員登録されたユーザは、不動産管理データベース21に「空き」状態として登録されている物件の賃貸借契約の申請を行うことが可能となる。具体的に特定の物件に対して賃貸借契約を行い入居するためには、
図8に示す例の契約入居時フローを実行する。
【0030】
まずステップST11で、ユーザ側端末3が、ユーザによる上記ログインアカウントの入力操作によって管理サーバ2へログインする。
【0031】
次にステップST12で、ユーザ側端末3が、ユーザからの操作によって所定の物件を指定して入居するための賃貸借契約を申し込む申請情報を管理サーバ2へ送信する。
【0032】
次にステップST13で、管理サーバ2は、上記申請情報の受信に応答して指定物件に対応した契約申請ファイルをユーザ側端末3に返信する。
【0033】
次にステップST14で、ユーザ側端末3は、受信した契約申請ファイルに対し、ユーザからの入力操作によって各申請事項の記入と契約署名が行われる。このとき、特に図示しないが、上述したステップST3(
図7)と同様の表示と記入、入力を行えばよい。
【0034】
次にステップST15で、ユーザ側端末3は、上記ステップST14で記入、入力された契約申請ファイルを管理サーバ2へ送信する。
【0035】
次にステップST16で、管理サーバ2は、受信した記入済み契約申請ファイルの記載内容と署名画像データに基づいて、署名認証と入居審査を行う。署名認証については、上述したように上記ステップST15でユーザ側端末3から受信した契約署名画像データと、あらかじめユーザ管理データベース23に登録されている登録署名画像データとを署名認証部24に入力して比較させることにより、それら2つの署名画像データをそれぞれ手動入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う。また入居審査については、管理サーバ2の運用者が、特に図示しない適宜の手法による処理や手続きによって別途行えばよい。
【0036】
次にステップST17で、管理サーバ2は、上記ステップST16での署名認証で認証され、かつ、入居審査が通過したか否かを判定する。署名認証が不認証となったか、又は、入居審査が拒否されたかの少なくとも一方に該当する場合には、判定は満たされず(ST17:No)、ユーザ側端末3に当該契約の不通過通知を送信する。そして、このフローを終了するか、もしくは上記ステップST12へ戻り同様の手順を繰り返す。
【0037】
一方、署名認証が認証され、かつ、入居審査が通過した場合には、判定が満たされ(ST17:Yes)、ステップST18へ移る。
【0038】
ステップST18では、管理サーバ2は、契約内容に対応して各管理データベースに登録、更新する。本実施形態の例では、このときユーザ管理データベース23における当該ユーザの所有ポイント数に対して、契約内容に応じたポイントを契約ポイントとして加算付与する。なお、このステップST18の手順が、各請求項に記載の賃貸借契約の処理に相当する。
【0039】
次にステップST19で、管理サーバ2は、ユーザ側端末3と貸主側端末4のそれぞれに契約成立通知を送信する。なお、この契約成立通知や上記の不通過通知をユーザ側端末3に送信する際には、ユーザ情報のメールアドレスでの電子メールで通知するとよい。
【0040】
以上の契約入居時フローを経て賃貸借契約が成立したユーザは正式に借主となり、敷金、礼金、初月賃料などの初期費用や手数料からその時点の所有ポイント分を差し引いた金額で清算した後、貸主(またはシステム運用者)から物件の鍵が実際に引き渡される。なお、このときの清算で使用するポイントは、その時点の所有ポイント数を上限とした任意のポイント数でユーザが指定できるようにしてもよい。
【0041】
その後のステップST20で、ユーザ(ユーザ側端末3)は、物件へ入居できる。
【0042】
またステップST21で、管理サーバ2は、上記清算で使用したポイントを減少するようユーザ情報を更新する。
【0043】
なお、特に図示しないが、ユーザが契約の更新(契約継続)や解約、または各種委任状の発行を行う場合でも、上記ステップST11~ステップST15のように申請ファイルの記入と送受を経て行うことができる。
【0044】
次に、借主であるユーザが物件から退居する場合の退居時フローを、
図9を参照しつつ説明する。
【0045】
まずステップST101で、ユーザ側端末3が、ユーザによる上記ログインアカウントの入力操作によって管理サーバ2へログインする。
【0046】
次にステップST102で、ユーザ側端末3が、ユーザからの操作によって物件からの退居を申し込む申請情報を管理サーバ2へ送信する。このとき、上記契約入居時フローにおけるステップST13~ステップST15のように申請ファイルの記入と送受を経て退居手続きを行ってもよい。
【0047】
また、ユーザが敷金返還請求権を有する場合は、敷金返還請求権をシステム運用者に債権(敷金返還請求権)譲渡することによって、退去時に必要な貸主(または貸主の委託を受けた不動産管理会社)との立会い、退去精算書の受領、確認、承諾、および鍵の返却を委任することができる。そしてそれら手続き、および債権(敷金返還請求権)譲渡通知をシステム運用者に委任する委任状を、上記契約入居時フローにおけるステップST13~ステップST15のように申請ファイルの記入と送受を経て委任することが出来る。(以上、特に図示せず)
【0048】
その際にステップST103で、譲渡時点で、システム運用者が独自に算定し、システムに入力した敷金返還請求権の残存価格(通貨額)を超えない範囲で、総付景品としてのポイントとして、ユーザに加算付与される。これにより、ユーザが退居手続きの委託を、代物弁済としての債権(敷金返還請求権)譲渡にて行うことになる。
【0049】
また、その後の債権譲渡通知書も、賃貸借契約管理データベース22の情報を元に自動的に例えばPDFなどの電子書面データの形態で生成される。(以上、特に図示せず)
【0050】
その後のステップST104で、ユーザ(ユーザ側端末3)は、物件から退居できる。
【0051】
その後にユーザは、貸主(またはシステム運用者)に対して物件の鍵を実際に引き渡す。
【0052】
その後のステップST105で、システム運用者(または貸主)は、ユーザが退居した後の物件に対して現状回復の処置を行う。そしてこのときの現状回復には必ずいくらかの費用が発生するが、例えばユーザが退居した直後の物件の状態が良好であったために少ない費用で現状回復できた場合には、契約時にユーザから預かった敷金からその回復費用を差し引いた金額で貸主(またはシステム運用者)がユーザ(または上述した債権(敷金返還請求権)譲渡を行った場合は、その譲受人)へ返金すべき債権としての返還敷金が生じる場合がある。
【0053】
なお返還敷金は、回復費用以外にもさらに貸主等へのキックバック等のような適宜の名目費を差し引いた金額で算出してもよい。
【0054】
以上により本実施形態の不動産賃貸借管理システム1では、入居時(ステップST20)や退居時(ステップST103)及びそれに伴う鍵の引き渡しといった実際の処置が必要な場合を除いて、上記の各フローにおけるユーザの全ての手続きや処理を、ユーザ側端末3を介したオンラインで行うことができる。
【0055】
また、本実施形態の不動産賃貸借管理システム1では、一度でも会員登録したユーザに対してシステム内ポイントを適宜のタイミングで逐次付与することで新規の入居契約やその契約継続を促したり、また将来的に転居するなどの場合にもポイントが有効な当該不動産賃貸借管理システム1で扱う他の物件の選択を促す効果が期待できる。
【0056】
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態の不動産賃貸借管理システム1は、管理サーバ2が、ユーザ側端末3で手動入力されたユーザ署名画像データとしての登録署名画像データを受信し、当該登録署名画像データをユーザに紐付けられたユーザ情報として記憶するユーザ管理データベース23を有する。これにより、少なくともユーザ管理データベース23に記録されているユーザ情報が、登録署名画像データで認証されるユーザ本人の合意に基づいて登録された情報であることを証明できる。このため、管理サーバ2が登録されたユーザ情報に基づいて行う契約や手続きの各種処理を書面での署名によらず行うことができ、その結果、ユーザによる賃貸借契約、更新、および解約の手続きを容易化できる。
【0057】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2は、ユーザのユーザ登録時にあらかじめユーザ管理データベース23に記憶しているユーザ署名画像データを登録署名画像データとし、賃貸借契約時にあらためてユーザ側端末3から受信したユーザ署名画像データを契約署名画像データとして、契約署名画像データと登録署名画像データとを比較することによりそれぞれを入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う署名認証部24を有している。これにより、ユーザ側端末3から契約署名画像データとともに受信した契約申請が、すでに登録署名画像データとともに登録されているユーザ情報と同一人物のユーザによるものであることを容易に認証できる。
【0058】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2は、署名認証部24が、契約署名画像データと登録署名画像データそれぞれの入力ユーザが同一人物であるとして認証した場合に、賃貸借の契約、更新、解約、委任状発行の少なくとも1つの処理を実行する。これにより、ユーザ側端末3から受信した契約申請での賃貸借契約(ステップST18)が、登録署名画像データと同一人物のユーザとの合意に基づくものであると証明した上で確実に処理できる。
【0059】
また、本実施形態では特に、ユーザ管理データベース23は、ユーザが支払うべき費用と同等に扱うことが可能なポイントもユーザ情報として記憶する。これにより、一度でも会員登録したユーザに対してシステム内ポイントを逐次付与することで新規の入居契約やその契約継続を促したり、また転居するなどの場合にもポイントが有効な当該不動産賃貸借管理システム1で扱う他の物件の選択を促す効果が期待できる。
【0060】
また、本実施形態では特に、ユーザ管理データベース23は、ユーザの退去時に、ユーザが敷金返還請求権を有する場合、敷金返還請求権をシステム運用者に債権(敷金返還請求権)譲渡することによって、退去時に必要な貸主(または貸主の委託を受けた不動産管理会社)との立会い、退去精算書の受領、確認、承諾、および鍵の返却を委任することが出来、それら、および債権(敷金返還請求権)譲渡通知をシステム運用者に委任する委任状を、上記契約入居時フローにおけるステップST13~ステップST15のように申請ファイルの記入と送受を経て委任することが出来る。その際、譲渡時点で、システム運用者が独自に算定し、システムに入力した敷金返還請求権の残存価格(通貨額)を超えない範囲で、総付景品としてのポイントとして、ユーザに加算付与される。これにより、本来賃貸借契約が解約となり、ユーザが賃貸借契約していた物件を明け渡した後、相当の日数が経過しないと返還されなかった返還敷金の一部を、委任状生成時点でポイントとしてユーザに加算付与する事を可能とし、ユーザは加算付与されたポイントを、不動産管理データベース21上の物件の賃貸借契約時の費用の支払いの一部または全部に充当することができるため、それだけ当該不動産賃貸借管理システム1での次の賃貸借契約を促す効果が期待できる。
【0061】
なお、上記実施形態では、不動産を所有する全ての貸主からの直接的な委託を受けて、借主との間の賃貸借契約等の手続きの全てを一元的に代行する場合について説明したが、これに限られない。例えば、
図10に示すように、貸主からの委託を受けて不動産を管理するのは不動産管理会社や不動産仲介会社であり、管理サーバ2′はそれら不動産管理会社や不動産仲介会社が有する管理会社サーバ5や仲介会社サーバ6を介して間接的に貸主とユーザとの間の賃貸借契約を管理する形態であってもよい。この場合には、必ずしも管理サーバ2′自体で不動産管理データベース21を備える必要がなく、その代わりに管理会社や仲介会社の情報を記憶する仲介会社管理データベース25を備えればよい。具体的な各物件情報については、仲介会社管理データベース25で検索した各社サーバ5,6の不動産管理データベース21′を参照すればよい。
【0062】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0063】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 不動産賃貸借管理システム
2 管理サーバ
3 ユーザ側端末
4 貸主側端末
21 不動産管理データベース
22 賃貸借契約管理データベース
23 ユーザ管理データベース(ユーザ情報記憶部に相当)
24 署名認証部
【手続補正書】
【提出日】2020-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ側端末との間で情報送受可能な管理サーバを備える不動産賃貸借管理システムであって、
前記管理サーバは、
前記ユーザ側端末で手動入力されたユーザ署名画像データを受信し、当該ユーザ署名画像データを前記ユーザに紐付けられたユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部、
を有し、
前記ユーザ情報記憶部は、
前記ユーザが支払うべき費用と同等に扱うことが可能なポイントも前記ユーザ情報として記憶し、
前記管理サーバは、
前記ユーザの退去時に、当該ユーザが敷金返還請求権を債権譲渡することによって退去手続きを委託する場合に、システム運用者が独自に算定し、システムに入力した前記敷金返還請求権の残存価格を超えない範囲で、総付景品としての前記ポイントを加算付与するよう前記ユーザ情報を更新する
ことを特徴とする不動産賃貸借管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
前記ユーザのユーザ登録時にあらかじめ前記ユーザ情報記憶部に記憶している前記ユーザ署名画像データを登録署名画像データとし、賃貸借契約時にあらためて前記ユーザ側端末から受信したユーザ署名画像データを契約署名画像データとして、前記契約署名画像データと前記登録署名画像データとを比較することによりそれぞれ入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う署名認証部、
を有することを特徴とする請求項1記載の不動産賃貸借管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
前記署名認証部が、前記契約署名画像データと前記登録署名画像データそれぞれの入力ユーザが同一人物であるとして認証した場合に、賃貸借の契約、更新、解約、委任状発行の少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする請求項2記載の不動産賃貸借管理システム。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ側端末との間で情報送受可能な管理サーバを備える不動産賃貸借管理システムであって、
前記管理サーバは、
前記ユーザ側端末で手動入力されたユーザ署名画像データを受信し、当該ユーザ署名画像データを前記ユーザに紐付けられたユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部、
を有し、
前記ユーザ情報記憶部は、
前記ユーザが支払うべき費用と同等に扱うことが可能なポイントも前記ユーザ情報として記憶し、
前記管理サーバは、
前記ユーザの退去時に、当該ユーザが敷金返還請求権をシステム運用者に債権譲渡することによって退去手続きを前記システム運用者に委託するための申請ファイルを前記ユーザ側端末から受信した場合に、前記システム運用者が独自に算定し、システムに入力した前記敷金返還請求権の残存価格を超えない範囲で、総付景品としての前記ポイントを加算付与するよう前記ユーザ情報を更新する
ことを特徴とする不動産賃貸借管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
前記ユーザのユーザ登録時にあらかじめ前記ユーザ情報記憶部に記憶している前記ユーザ署名画像データを登録署名画像データとし、賃貸借契約時にあらためて前記ユーザ側端末から受信したユーザ署名画像データを契約署名画像データとして、前記契約署名画像データと前記登録署名画像データとを比較することによりそれぞれ入力したユーザが同一人物であるか否かの認証を行う署名認証部、
を有することを特徴とする請求項1記載の不動産賃貸借管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
前記署名認証部が、前記契約署名画像データと前記登録署名画像データそれぞれの入力ユーザが同一人物であるとして認証した場合に、賃貸借の契約、更新、解約、委任状発行の少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする請求項2記載の不動産賃貸借管理システム。