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特開2022-140402局所的な電源スイッチングを伴う加熱バンドル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140402
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】局所的な電源スイッチングを伴う加熱バンドル
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
H05B3/00 320Z
H05B3/00 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022037253
(22)【出願日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】17/197,542
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァリー、マーク
(72)【発明者】
【氏名】スミス、トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】スプーラー、ジェィコブ
【テーマコード(参考)】
3K058
【Fターム(参考)】
3K058AA22
3K058BA11
3K058CA23
3K058CE17
3K058CE23
(57)【要約】
【課題】加熱バンドルを含む加熱システムを提供する。
【解決手段】加熱システムは、加熱バンドルを含む。加熱バンドルは、少なくとも1つの加熱アセンブリを含み、加熱アセンブリは、複数の加熱ユニットを含み、加熱ユニットのうちの2つ以上は、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する。加熱バンドルは、独立して制御される加熱領域に電気的に接続された複数の電源導体を含む。加熱システムは、温度を決定するための手段と、加熱バンドルに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチとを含む。加熱システムは、加熱アセンブリの長さに沿って所望の電力出力を提供するために、決定された温度に基づいて電源導体を介して独立して制御される加熱領域への電力を変調するように構成された少なくとも1つのコントローラを含む。コントローラは、電源スイッチに電力を供給するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱システムであって、
加熱バンドルであって、
複数の加熱ユニットを備える少なくとも1つの加熱アセンブリであって、前記加熱ユニットのうちの2つ以上が、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する、少なくとも1つの加熱アセンブリと、
前記独立して制御される加熱領域に電気的に接続される複数の電源導体と、を含む、加熱バンドルと、
温度を決定する手段と、
前記加熱バンドルに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチと、
前記少なくとも1つの加熱アセンブリの長さに沿って所望の電力出力を提供するために、前記電源スイッチが、前記決定された温度に基づいて、前記電源導体を介して前記独立して制御される加熱領域への電力を変調するように、前記少なくとも1つの電源スイッチに制御信号を提供するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
を備える、加熱システム。
【請求項2】
エンクロージャをさらに備え、前記少なくとも1つの電源スイッチが前記エンクロージャ内に配置される、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項3】
前記エンクロージャを冷却する温度調節装置をさらに備える、請求項2に記載の加熱システム。
【請求項4】
前記温度調節装置は、液体冷却媒体を用いて前記エンクロージャを冷却する、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項5】
前記温度調節装置は、強制空気を用いて前記エンクロージャを冷却する、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項6】
前記強制空気が、前記エンクロージャの内側および前記エンクロージャの外側に提供される、請求項5に記載の加熱システム。
【請求項7】
前記エンクロージャは、外部雰囲気から封止される、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項8】
前記温度調節装置が、内部流体冷却流および外部流体冷却流を使用して前記エンクロージャを冷却し、前記冷却流の各々が熱交換器によって結合される、請求項7に記載の加熱システム。
【請求項9】
前記温度調節装置は、熱電素子および冷凍システムの少なくとも一方である、請求項3に記載の加熱システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記エンクロージャ内に配置される、請求項2に記載の加熱システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記加熱バンドルから離れており、無線および前記複数の電源導体の少なくとも一方を介して前記少なくとも1つの電源スイッチと通信する、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電源スイッチに近接して配置されたヒートシンクをさらに備える、請求項1に記載の加熱システム。
【請求項13】
加熱システムであって、
加熱バンドルであって、
複数の加熱ユニットを備える少なくとも1つの加熱アセンブリであって、前記加熱ユニットのうちの2つ以上が、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する、少なくとも1つの加熱アセンブリと、
前記独立して制御される加熱領域に電気的に接続される複数の電源導体と、を含む、加熱バンドルと、
加熱条件および加熱要件のうちの少なくとも1つを決定するための手段と、
前記加熱バンドルに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチと、
前記少なくとも1つの加熱アセンブリの長さに沿って所望の電力出力を提供するために、前記電源スイッチが、前記加熱条件および加熱要件のうちの前記少なくとも1つに基づいて、前記電源導体を介して前記独立して制御される加熱領域への電力を変調するように、前記少なくとも1つの電源スイッチに制御信号を提供するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
を備える、加熱システム。
【請求項14】
前記複数の加熱アセンブリに近接して配置されたエンクロージャをさらに備え、前記少なくとも1つの電源スイッチが前記エンクロージャ内に配置される、請求項13に記載の加熱システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記エンクロージャ内に配置される、請求項14に記載の加熱システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記加熱バンドルから離れており、無線および前記複数の電源導体の少なくとも一方を介して前記少なくとも1つの電源スイッチと通信する、請求項13に記載の加熱システム。
【請求項17】
加熱条件および加熱要件の前記少なくとも一方が、前記加熱ユニットの寿命、前記加熱ユニットの信頼性、前記加熱ユニットのサイズ、前記加熱ユニットのコスト、局所的な加熱器の流束、前記加熱ユニットの特性および動作、ならびに全出力からなる群から選択される、請求項13に記載の加熱アセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの電源スイッチに近接して配置されたヒートシンクをさらに備える、請求項13に記載の加熱システム。
【請求項19】
加熱システムであって、
複数の加熱ユニットを含む加熱アセンブリであって、2つ以上の加熱ユニットが少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する、加熱アセンブリと、
前記加熱ユニットに電気的に接続された複数の電源導体と、
前記加熱アセンブリに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチと、
前記加熱アセンブリの長さに沿って所望の電力出力を提供するために、加熱条件および加熱要件のうちの少なくとも1つに基づいて、前記電源スイッチが前記電源導体を介して前記独立して制御される加熱領域への電力を変調するように、前記少なくとも1つの電源スイッチに制御信号を提供するように構成された少なくとも1つのコントローラと、
を備える、加熱システム。
【請求項20】
温度を決定する手段をさらに備える、請求項19に記載の加熱システム。
【請求項21】
加熱条件または加熱要件を決定するための手段をさらに備える、請求項19に記載の加熱システム。
【請求項22】
流体を加熱するための装置であって、
内部チャンバを画定し、流体入口および流体出口を有する密閉されたハウジングと、
前記加熱アセンブリが、前記ハウジングの前記内部チャンバ内に配置された、請求項19に記載の加熱システムと、を備え、
前記加熱アセンブリは、前記ハウジング内の流体に所定の熱分布を提供するように適合されている、装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの電源スイッチに近接して配置されたヒートシンクをさらに備える、請求項19に記載の加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月2日に出願され、現在は米国特許第10,247,445号である米国特許出願第15/058,838号の継続出願である、2019年2月11日出願の、「適応制御のための加熱バンドル(Heater Bundle for Adaptive Control)」と題された米国特許第16/272,668号明細書の一部継続出願である。上記の開示の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電気加熱器に関し、より詳細には、熱交換器などの流体流を加熱するための加熱器に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションの記述は、本開示に関連する背景情報を提供するにすぎず、先行技術を構成し得ない。
【0004】
流体加熱器は、カートリッジ加熱器の外面に沿って、またはカートリッジ加熱器の外面を通過して流れる流体を加熱するためのロッド構成を有するカートリッジ加熱器の形態であってもよい。カートリッジ加熱器は、熱交換器を通って流れる流体を加熱するための熱交換器の内部に配置されてもよい。カートリッジ加熱器が適切に密封されていない場合、カートリッジ加熱器の金属シースから抵抗加熱素子を電気的に絶縁する絶縁材料を汚染するために、水分および流体がカートリッジ加熱器に入る可能性があり、絶縁破壊をもたらし、その結果、加熱器の故障をもたらす。水分はまた、電源導体と外側金属シースとの間の短絡を引き起こす可能性がある。カートリッジ加熱器の故障は、カートリッジ加熱器を使用する装置の費用のかかるダウンタイムを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、加熱バンドルを含む加熱システムを提供する。加熱バンドルは、少なくとも1つの加熱アセンブリを含み、加熱アセンブリのうちの2つ以上は、複数の加熱ユニットを含み、加熱ユニットのうちの2つ以上は、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する。加熱バンドルは、独立して制御される加熱領域に電気的に接続された複数の電源導体を含む。加熱システムは、温度を決定するための手段と、加熱バンドルに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチとを含む。加熱システムは、少なくとも1つの電源スイッチに制御信号を提供するように構成された少なくとも1つのコントローラを含み、電源スイッチは、決定された温度に基づいて電源導体を介して独立して制御された加熱領域に電力を変調して、加熱アセンブリの2つ以上の長さに沿って所望の電力出力を提供する。
【0007】
個別にまたは任意の組み合わせで実施することができる本開示の変形例では、少なくとも1つの電源スイッチは、エンクロージャ内に配置され、加熱システムは、エンクロージャを冷却する温度調節装置をさらに備え、温度調節装置は、液体を用いてエンクロージャを冷却し、温度調節装置は、強制空気を用いてエンクロージャを冷却し、強制空気は、エンクロージャの内側およびエンクロージャの外側に提供され、エンクロージャは、外部雰囲気から封止されており、温度調節装置は、内部流体冷却流および外部流体冷却流を使用してエンクロージャを冷却し、冷却流の各々は、熱交換器によって結合され、温度調節装置は、熱電素子および冷凍システムの少なくとも一方を用いてエンクロージャを冷却し、少なくとも1つのコントローラは、エンクロージャ内に配置され、少なくとも1つのコントローラは、加熱バンドルから離れており、無線および複数の電源導体の少なくとも一方を介して1つ以上の電源スイッチと通信し、ヒートシンクは、少なくとも1つの電源スイッチに近接して配置される。
【0008】
別の形態では、加熱システムは、加熱バンドルを含み、加熱バンドルは、少なくとも1つの加熱アセンブリを含み、加熱アセンブリのうちの2つ以上は、複数の加熱ユニットを含み、加熱ユニットのうちの2つ以上は、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する。加熱バンドルは、独立して制御される加熱領域に電気的に接続された複数の電源導体を含む。加熱システムは、加熱条件および加熱要件のうちの少なくとも1つを決定するための手段を含む。加熱システムは、加熱バンドルに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチを含む。加熱システムは、加熱アセンブリのうちの2つ以上の長さに沿って所望の電力出力を提供するために、電源スイッチが加熱条件および加熱要件のうちの少なくとも1つに基づいて電源導体を介して独立して制御される加熱領域への電力を変調するように、少なくとも1つの電源スイッチに制御信号を提供するように構成された少なくとも1つのコントローラを含む。
【0009】
個別にまたは任意の組み合わせで実施することができるこの形態の変形例では、加熱システムはエンクロージャを含み、少なくとも1つの電源スイッチはエンクロージャ内に配置され、少なくとも1つのコントローラは、エンクロージャ内に配置され、少なくとも1つのコントローラは、加熱バンドルから離れており、無線および複数の電源導体の少なくとも一方を介して1つ以上の電源スイッチと通信し、加熱条件および加熱要件の少なくとも1つは、加熱ユニットの寿命、加熱ユニットの信頼性、加熱ユニットのサイズ、加熱ユニットのコスト、局所的な加熱器の流束、加熱ユニットの特性および動作、ならびに電力出力全体からなる群から選択され、ヒートシンクは、少なくとも1つの電源スイッチに近接して配置される。
【0010】
さらに別の形態では、加熱システムは、複数の加熱ユニットを有する加熱アセンブリを含み、各加熱ユニットは、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する。加熱アセンブリは、加熱ユニットに電気的に接続された複数の電源導体を含む。加熱システムは、加熱アセンブリに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチを含む。加熱システムは、加熱アセンブリの長さに沿って所望の電力出力を提供するために、電源スイッチが加熱条件および加熱要件のうちの少なくとも1つに基づいて電源導体を介して独立して制御される加熱領域への電力を変調するように、少なくとも1つの電源スイッチに制御信号を提供するように構成された少なくとも1つのコントローラを含む。
【0011】
個別にまたは任意の組み合わせで実施され得るこの形態の変形形態では、加熱システムは、温度を決定するための手段を含み、加熱システムは、加熱条件または加熱要件を決定するための手段を含み、ヒートシンクは、少なくとも1つの電源スイッチに近接して配置される。
【0012】
本開示はまた、流体を加熱するための装置を提供する。装置は、内部チャンバを画定し、流体入口および流体出口を有する密閉されたハウジングを含む。装置は、加熱アセンブリを含む加熱システムを含む。加熱アセンブリは、複数の加熱ユニットを含み、各加熱ユニットは、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する。加熱アセンブリは、加熱ユニットに電気的に接続された複数の電源導体を含む。加熱システムは、加熱アセンブリに近接して配置された少なくとも1つの電源スイッチを含む。加熱システムは、加熱アセンブリの長さに沿って所望の電力出力を提供するために、加熱条件および加熱要件のうちの少なくとも1つに基づいて、電源導体を介して加熱ユニットの独立して制御された加熱領域への電力を変調するように構成された少なくとも1つのコントローラを含む。コントローラは、少なくとも1つの電源スイッチに電力を供給するように構成され、加熱アセンブリは、ハウジングの内部チャンバ内に配置され、加熱アセンブリは、ハウジング内の流体に所定の熱分布を提供するように適合される。
【0013】
さらなる適用領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。説明および特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
本開示が十分に理解され得るように、添付の図面を参照して、例として与えられるその様々な形態がここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の教示に従って構成された加熱バンドルの斜視図である。
図2】本開示の教示による図1の加熱バンドルの加熱アセンブリの斜視図である。
図3】本開示の教示による図1の加熱バンドルの加熱アセンブリの変形例の斜視図である。
図4】本開示の教示による図3の加熱アセンブリの斜視図であり、明確にするために加熱アセンブリの外側シースが除去されている。
図5】本開示の教示による図3の加熱アセンブリの芯体の斜視図である。
図6】本開示の教示による図1の加熱バンドルを含む熱交換器の斜視図であり、加熱バンドルは、例示目的のために加熱バンドルを露出させるために熱交換器から部分的に分解されている。
図7】本開示の教示に従って構成された加熱バンドルを含む加熱システムを動作させる方法のブロック図である。
図8】本開示の教示による、図1の加熱バンドル、エンクロージャ、および温度調節装置を含む熱交換器の斜視図である。
図9】本開示の教示によるエンクロージャおよび温度調節装置のブロック図である。
図10】本開示の教示による、エンクロージャ内に配置され、かつ1つまたは複数の加熱アセンブリに近接する複数の電源スイッチングネットワークのブロック図である。
図11】本開示の教示によるエンクロージャおよび温度調節装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載の図面は、例示のみを目的としており、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0017】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途、または使用を限定することを意図するものではない。
【0018】
図1を参照すると、本開示の教示に従って構成された加熱システムが全体的に参照番号10で示されている。加熱システム10は、加熱バンドル12と、加熱バンドル12に電気的に接続された電源装置14とを含む。電源装置14は、加熱バンドル12への電力供給を制御するためのコントローラ15を含む。本開示で使用される「加熱バンドル」は、独立して制御することができる2つ以上の物理的に別個の加熱装置を含む加熱装置を指す。したがって、加熱バンドル内の加熱装置のうちの1つが故障または劣化した場合、加熱バンドル12内の残りの加熱装置は動作し続けることができる。
【0019】
一形態では、加熱バンドル12は、取り付けフランジ16と、取り付けフランジ16に固定された複数の加熱アセンブリ18とを含む。取り付けフランジ16は、加熱アセンブリ18が貫通して延在する複数の開口部20を含む。加熱アセンブリ18は、この形態では平行になるように配置されているが、加熱アセンブリ18の代替の位置/配置は、本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0020】
さらに示すように、取り付けフランジ16は、複数の取り付け穴22を含む。取り付け穴22を通るねじまたはボルト(図示せず)を使用することによって、取り付けフランジ16は、加熱される流体を運ぶ容器またはパイプ(図示せず)の壁に組み付けることができる。加熱アセンブリ18の少なくとも一部は、本開示のこの形態の流体を加熱するために容器または管の内部の流体に浸漬される。
【0021】
図2を参照すると、一形態による加熱アセンブリ18は、カートリッジ加熱器30の形態であってもよい。カートリッジ加熱器30は、一般に、芯体32と、芯体32の周りに巻き付けられた抵抗発熱配線34と、芯体32および抵抗発熱配線34を内部に包囲する金属シース36と、金属シース36内の空間に充填され、抵抗発熱配線34を金属シース36から電気的に絶縁し、抵抗発熱配線34からの熱を金属シース36に熱伝導させる絶縁材料38とを含む管状加熱器である。芯体32は、セラミック製であってもよい。絶縁材料38は、圧縮された酸化マグネシウム(MgO)であってもよい。複数の電源導体42は、芯体32を長手方向に沿って貫通し、抵抗発熱配線34に電気的に接続されている。電源導体42はまた、金属シース36を封止するエンドピース44を通って延在する。電源導体42は、電源装置14(図1に示す)に接続され、電源装置14から抵抗発熱配線34に電力を供給する。図2は、エンドピース44を通って延在する2つの電源導体42のみを示しているが、3つ以上の電源導体42がエンドピース44を通って延在し得る。電源導体42は、導電性ピンの形態であってもよい。カートリッジ加熱器の様々な構造ならびにさらなる構造的および電気的詳細は、本出願と共通して譲渡され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,831,951号および第3,970,822号により詳細に記載されている。したがって、本明細書に示される形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0022】
あるいは、複数の抵抗発熱配線34および電源導体42の複数の対を使用して、カートリッジ加熱器30の信頼性を高めるために独立して制御することができる複数の加熱回路を形成することができる。したがって、抵抗発熱配線34のうちの1つが故障した場合、残りの抵抗配線34は、カートリッジ加熱器30全体を故障させることなく、かつ高価な機械のダウンタイムを引き起こすことなく、熱を生成し続けることができる。
【0023】
図3図5を参照すると、加熱アセンブリ50は、使用される芯体の数および電源導体の数を除いて、図2と同様の構成を有するカートリッジ加熱器の形態であってもよい。より具体的には、加熱アセンブリ50はそれぞれ、複数の電源導体56と共に、複数の加熱ユニット52と、複数の加熱ユニット52を内部に封入する外側金属シース54とを含む。複数の加熱ユニット52と外側金属シース54との間には、加熱ユニット52と外側金属シース54とを電気的に絶縁する絶縁材料(図3図5には示されていない)が設けられている。複数の加熱ユニット52は、それぞれ、芯体58と、芯体58を取り囲む抵抗加熱素子60とを含む。各加熱ユニット52の抵抗加熱素子60は、1つまたは複数の加熱領域62を画定するための1つまたは複数の加熱回路を画定することができる。
【0024】
本形態では、各加熱ユニット52は、1つの加熱領域62を画定し、各加熱アセンブリ50内の複数の加熱ユニット52は、長手方向Xに沿って整列している。したがって、各加熱アセンブリ50は、長手方向Xに沿って整列した複数の加熱領域62を画定する。各加熱ユニット52の芯体58は、電源導体56が貫通することを可能にするために複数の貫通孔/開口部64を画定する。加熱ユニット52の抵抗加熱素子60は電源導体56に接続され、電源導体は電源装置14に接続される。電源導体56は、電源装置14からの電力を複数の加熱ユニット52に供給する。電源導体56を抵抗加熱素子60に適切に接続することにより、複数の加熱ユニット52の抵抗加熱素子60は、電源装置14のコントローラ15によって独立して制御することができる。したがって、特定の加熱領域62に対する一方の抵抗加熱素子60の故障は、残りの加熱領域62に対する残りの抵抗加熱素子60の適切な機能に影響を及ぼさない。さらに、加熱ユニット52および加熱アセンブリ50は、修理または組み立てを容易にするために交換可能であってもよい。
【0025】
本形態では、各加熱アセンブリ50に対して6つの電源導体56が使用されて、5つの加熱ユニット52上の5つの独立した電気加熱回路に電力を供給する。あるいは、6つの電源導体56は、5つの加熱ユニット52上に3つの完全に独立した回路を画定するように抵抗加熱素子60に接続されてもよい。任意の数の独立して制御される加熱回路および独立して制御される加熱領域62を形成するために、任意の数の電源導体56を有することが可能である。例えば、7つの電源導体56を使用して、6つの加熱領域62を提供することができる。8つの電源導体56を使用して、7つの加熱領域62を提供することができる。
【0026】
電源導体56は、複数の電源および電源リターン導体、複数の電源リターン導体および単一の電源導体、または複数の電源導体および単一の電源リターン導体を含んでもよい。加熱領域の数がnである場合、電源導体およびリターン導体の数はn+1である。
【0027】
あるいは、電源装置14のコントローラ15による多重化(multiplexing)、極性感知スイッチング(polarity sensitive swithing)、および他の回路トポロジ(circuit topologies)によって、より多数の電気的に別個の加熱領域62を作成することができる。所与の数の電源導体(例えば、15または30領域用の6つの電源導体を有するカートリッジ加熱器)についてカートリッジ加熱器30内の加熱領域の数を増加させるための熱アレイの多重化または様々な配置の使用は、米国特許第9,123,755号、第9,123,756号、第9,177,840号、第9,196,513号、およびそれらの関連出願に開示されており、これらは本出願と共通に譲渡され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
この構造により、各加熱アセンブリ50は、加熱アセンブリ50の長さに沿って電力出力または熱分布を変化させるように独立して制御することができる複数の加熱領域62を含む。加熱バンドル12は、複数のこのような加熱アセンブリ50を含む。したがって、加熱バンドル12は、複数の加熱領域62と、特定の用途に適合するように加熱バンドル12を通って流れる流体を加熱するための調整された熱分布とを提供する。電源装置14は、独立して制御される加熱領域62の各々への電力を変調するように構成することができる。
【0029】
例えば、加熱アセンブリ50は、「m」個の加熱領域を画定することができ、加熱バンドルは、「k」個の加熱アセンブリ50を含み得る。したがって、加熱バンドル12は、m×k個の加熱領域を画定することができる。加熱バンドル12内の複数の加熱領域62は、個々の加熱ユニット52の寿命および信頼性、加熱ユニット52のサイズおよびコスト、局所的な加熱器の流束(flux)、加熱ユニット52の特性および動作、ならびに全電力出力を含むがこれらに限定されない加熱条件および/または加熱要件に応じて個別に動的に制御することができる。
【0030】
各回路、または選択された加熱領域は、温度および/または電力の分布がシステムパラメータ(例えば、製造のばらつき/公差、環境条件の変更、入口温度、入口温度分布、流速、速度分布、流体組成、流体熱容量などの入口流れ条件の変更)の変動に適合するように、所望の温度または所望の電力レベルで個別に制御される。より具体的には、加熱ユニット52は、製造ばらつきならびに経時的な加熱劣化の程度の変化に起因して、同じ電力レベルで動作するときに同じ熱出力を生成しない場合がある。加熱ユニット52は、所望の熱分布に応じて熱出力を調整するように独立して制御されてもよい。加熱システムの構成要素の個々の製造公差および加熱システムの組み立て公差は、電源の変調された電力の関数として増大され、言い換えれば、加熱制御の忠実度が高いため、個々の構成要素の製造公差は、それほど厳しく/狭い必要はない。
【0031】
加熱ユニット52は各々、加熱ユニット52の温度を測定するための温度センサ(図示せず)を含むことができる。加熱ユニット52内のホットスポットが検出された場合、電源装置14は、特定の加熱ユニット52の過熱または故障を回避するために、ホットスポットが検出された特定の加熱ユニット52への電力を低減またはオフにすることができる。電源装置14は、特定の加熱ユニット52からの減少した熱出力を補償するために、無効にされた加熱ユニット52に隣接する加熱ユニット52への電力を変調することができる。
【0032】
電源装置14は、任意の特定の領域に供給される電力レベルをオフまたは低減し、無効にされて熱出力が低減された特定の加熱領域に隣接する加熱領域への電力を増加させるためのマルチ領域アルゴリズムを含むことができる。各加熱領域への電力を慎重に変調することにより、システムの全体的な信頼性を向上させることができる。ホットスポットを検出し、それに応じて電源を制御することにより、加熱システム10の安全性が向上する。
【0033】
複数の独立して制御された加熱領域62を有する加熱バンドル12は、改善された加熱を達成することができる。例えば、加熱ユニット52上のいくつかの回路は、100%未満の公称(または「典型的な」)デューティサイクルで(または線電圧が印加された加熱によって生成される電力の一部である平均電力レベルで)動作することができる。より低いデューティサイクルは、より大きな直径を有する抵抗発熱配線の使用を可能にし、それによって信頼性を向上させる。
【0034】
通常、より小さい領域は、所与の抵抗を達成するためにより微細なワイヤサイズを使用する。可変電力制御は、より大きなワイヤサイズを使用することを可能にし、より低い抵抗値を収容することができる一方で、加熱の電力散逸能力に結び付けられたデューティサイクル制限によって加熱器を過負荷から保護することができる。
【0035】
スケーリングファクタの使用は、加熱ユニット52または加熱領域62の容量に関連してもよい。複数の加熱領域62は、加熱バンドル12のより正確な決定および制御を可能にする。特定の加熱回路/領域に特定のスケーリング係数を使用することにより、ほぼすべての領域でより積極的な(すなわち、より高い)温度(または電力レベル)が可能になり、ひいては加熱バンドル12のより小型で低コストの設計がもたらされる。そのようなスケーリング係数および方法は、本出願と共通に譲渡され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,257,464号に開示されている。
【0036】
個々の回路によって制御される加熱領域のサイズは、温度または電力の分布を所望の精度に制御するために必要な領域の総数を減らすために、等しくまたは異なってもよい。
【0037】
図1に戻って参照すると、加熱アセンブリ18は、シングル端部加熱器であるように示されており、すなわち、導電性ピンは、加熱アセンブリ18の長手方向一端のみを通って延在する。加熱アセンブリ18は、取り付けフランジ16または隔壁(図示せず)を通って延び、フランジ16または隔壁に封止されてもよい。したがって、加熱アセンブリ18は、取り付けフランジ16を容器またはチューブから取り外すことなく、個別に取り外して交換することができる。
【0038】
あるいは、加熱アセンブリ18は、「両端」加熱器であってもよい。両端加熱器では、金属シースはヘアピン形状に曲げられ、電源導体は金属シースの長手方向両端を通過し、それにより金属シースの長手方向両端はフランジまたは隔壁を通過して封止される。この構造では、個々の加熱アセンブリ18を交換することができる前に、フランジまたは隔壁をハウジングまたは容器から取り外す必要がある。
【0039】
図6を参照すると、加熱バンドル12が熱交換器70に組み込まれている。熱交換器70は、内部チャンバ(図示せず)を画定する密閉されたハウジング72と、ハウジング72の内部チャンバ内に配置された加熱バンドル12とを含む。密閉されたハウジング72は、流体が密閉されたハウジング72の内部チャンバの内外に導かれる流体入口76と流体出口78とを含む。流体は、密閉されたハウジング72内に配置された加熱バンドル12によって加熱される。加熱バンドル12は、クロスフローまたはそれらの長さに平行な流れのいずれかのために配置されてもよい。
【0040】
加熱バンドル12は、個別の領域に供給される電力を変調するために、スイッチング手段または可変トランスなどの電力を変調する手段を含むことができる電源装置14に接続される。電力変調は、時間の関数として、または各加熱領域の検出された温度に基づいて実行されてもよい。
【0041】
抵抗発熱配線はまた、抵抗配線の抵抗を使用して抵抗配線の温度を測定し、同じ電源導体を使用して温度測定情報を電源装置14に送信するセンサとして機能することができる。各領域の温度を検知する手段は、加熱バンドル12内の各加熱アセンブリ18の長さに沿って(個々の領域の分解能まで)温度を制御することを可能にする。したがって、追加の温度検知回路および検知手段を省くことができ、それによって製造コストを低減することができる。加熱回路温度の直接測定は、別個のセンサの使用に関連する測定誤差の多くを排除または最小化するので、システムの所望の信頼性レベルを維持しながら所与の回路内の熱流束を最大化しようとする場合に明確な利点である。発熱体温度は、加熱信頼性に最も強い影響を与える特性である。加熱およびセンサの両方として機能するために抵抗素子を使用することは、本出願と共通に譲渡され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,196,295号に開示されている。
【0042】
あるいは、電源導体56は、異種金属の電源導体56が抵抗加熱素子の温度を測定するための熱電対を形成することができるように、異種金属で作られてもよい。例えば、電源および電力リターン導体の少なくとも1つのセットは、異なる材料と加熱ユニットの抵抗加熱素子との間に接合部が形成され、1つまたは複数の領域の温度を決定するために使用されるように、異なる材料を含むことができる。加熱器に異なる金属を使用するなど、「統合された」および「高度に熱的に結合された」感知を使用すると、熱電対のような信号が生成される。温度測定のための一体化され結合された電源導体の使用は、本出願と共通に譲渡され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/725,537号に開示されている。
【0043】
各領域に供給される電力を変調するためのコントローラ15は、閉ループ自動制御システムであってもよい。閉ループ自動制御システムは、各領域から温度フィードバックを受け取り、各領域への電力の供給を自動的かつ動的に制御し、それにより、連続的または頻繁な人間の監視および調整なしに、加熱バンドル12内の各加熱アセンブリ18の長さに沿って電力分布および温度を自動的かつ動的に制御する。
【0044】
本明細書に開示される加熱ユニット52はまた、各加熱ユニット52を通電してサンプリングしてその抵抗を計算することを含むがこれに限定されない様々な方法を使用して較正されてもよい。次いで、計算された抵抗を較正された抵抗と比較して抵抗比を決定するか、または実際の加熱ユニット温度を決定する値を決定することができる。例示的な方法は、本出願と共通に譲渡され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,280,422号および第5,552,998号に開示されている。
【0045】
較正の一形態は、加熱システム10を少なくとも1つの動作モードで動作させることと、独立して制御される加熱領域62の少なくとも一方に対して所望の温度を生成するように加熱システム10を制御することと、動作モードに対して少なくとも1つの独立して制御される加熱領域62のデータを収集および記録することと、その後、記録されたデータにアクセスして、独立して制御される加熱領域の数が減少した加熱システムの動作仕様を決定することと、その後、独立して制御される加熱領域の数が減少した加熱システムを使用することとを含む。データは、例として、収集および記録されたデータを有する加熱システム10からの他の動作データの中でも、電力レベルおよび/または温度情報を含むことができる。
【0046】
本開示の変形例では、加熱システムは、加熱バンドル12内の複数の加熱アセンブリではなく、単一の加熱アセンブリ18を含むことができる。単一の加熱アセンブリ18は、複数の加熱ユニット52を備え、各加熱ユニット52は、少なくとも1つの独立して制御される加熱領域を画定する。同様に、電源導体56は、各加熱ユニット52内の独立して制御される加熱領域62の各々に電気的に接続され、電源装置は、電源導体56を介して加熱ユニットの独立して制御される加熱領域62の各々への電力を変調するように構成される。
【0047】
図7を参照すると、加熱システムを制御する方法100は、ステップ102において、複数の加熱アセンブリを含む加熱バンドルを提供することを含む。各加熱アセンブリは、複数の加熱ユニットを含む。各加熱ユニットは、少なくとも1つの独立して制御される加熱回路(ひいては加熱領域)を画定する。ステップ104において、各加熱ユニットへの電力は、各加熱ユニット内の独立して制御された加熱領域の各々に電気的に接続された電源導体を介して供給される。各領域内の温度は、ステップ106において検出される。温度は、少なくとも1つの加熱ユニットの抵抗加熱素子の抵抗の変化を使用して決定されてもよい。領域温度は、領域抵抗(または、回路電圧の測定により、適切な材料が使用されている場合は)を測定することによって最初に決定することができる。
【0048】
温度値はデジタル化されてもよい。信号は、マイクロプロセッサに通信されてもよい。測定された(検出された)温度値は、ステップ108において各領域の目標(所望の)温度と比較することができる。ステップ110において、目標温度を達成するために、測定された温度に基づいて各加熱ユニットに供給される電力を変調することができる。
【0049】
任意選択的に、本方法は、スケーリング係数を使用して変調電力を調整することをさらに含むことができる。スケーリング係数は、各加熱領域の加熱能力の関数であってもよい。コントローラ15は、次の更新までに各領域に供給(デューティサイクル、位相角発射、電圧変調、および類似の技術を介して)されるべき電力量を決定するために、システムの動的挙動のスケーリングファクタおよび/または数学的モデル(システムの更新時間の知識を含む)を潜在的に含むアルゴリズムを含むことができる。所望の電力は、個々の加熱領域への電力出力を制御するためのスイッチまたは他の電力変調装置に送信される信号に変換されてもよい。
【0050】
本形態では、少なくとも1つの加熱領域が異常状態のためにオフにされると、残りの領域は、故障することなく所望のワット数を提供し続ける。異常状態が少なくとも1つの加熱領域内で検出されたときに所望のワット数を提供するために、電力が機能加熱領域に変調される。少なくとも1つの加熱領域が決定された温度に基づいてオフにされると、残りの領域は所望のワット数を提供し続ける。電力は、受信信号、モデル、および時間の関数のうちの少なくとも1つの関数として加熱領域の各々に変調される。
【0051】
安全上またはプロセス制御上の理由から、典型的な加熱器は、一般に、燃焼/発火/酸化、コークス沸騰などの特定の位置での望ましくない化学反応または物理反応に起因して加熱器の特定の位置が所与の温度を超えるのを防止するために、最大許容温度未満になるように動作される。したがって、これは通常、控えめな加熱設計(例えば、電力密度が低く、表面積の大部分が可能であるよりもはるかに低い熱流束で負荷された大型加熱器)によって対応される。
【0052】
しかしながら、本開示の加熱バンドルを用いて、個々の加熱領域のサイズ程度の分解能まで加熱器内の任意の位置の温度を測定し、制限することが可能である。個々の回路の温度に影響を及ぼすのに十分な大きさのホットスポットを検出することができる。
【0053】
個々の加熱領域の温度を自動的に調整し、その結果制限することができるので、各領域の温度の動的かつ自動的な制限は、任意の領域の所望の温度制限を超える恐れなく、この領域および他のすべての領域を最適な電力/熱流束レベルで動作するように維持する。これは、バンドル内の要素のうちの1つのシースに別個の熱電対をクランプする現在の実施よりも高い限界温度測定精度において利点をもたらす。マージンの減少および個々の領域への電力を変調する能力は、加熱アセンブリ全体に適用するのではなく、選択的かつ個別に加熱領域に選択的に適用することができ、それによって所定の温度限界を超えるリスクを低減する。
【0054】
カートリッジ加熱器の特性は、時間と共に変化し得る。この時変特性は、そうでなければ、カートリッジ加熱器が単一の選択された(最悪の場合)流れ様式のために設計されること、したがって、カートリッジ加熱器が他の流れの状態に対して準最適な状態で動作することを必要とする。
【0055】
しかしながら、加熱アセンブリに設けられた複数の加熱ユニットによるコアサイズの分解能までのバンドル全体にわたる電力分布の動的制御により、典型的なカートリッジ加熱器におけるただ1つの流れ状態に対応するただ1つの電力分布とは対照的に、様々な流れ状態のための最適化された電力分布を達成することができる。したがって、本出願の加熱バンドルは、他のすべての流れの状態に対する総熱流束の増加を可能にする。
【0056】
さらに、可変電力制御は、加熱設計の柔軟性を高めることができる。電圧は、加熱設計において抵抗から(かなりの程度まで)分離することができ、加熱器は、加熱器に嵌合することができる最大線径で設計することができる。これは、所与の加熱サイズおよび信頼性レベル(または加熱器の寿命)のための電力散逸の容量を増加させることを可能にし、所与の全体的な電力レベルのためにバンドルのサイズを減少させることを可能にする。この構成における電力は、現在利用可能または開発中の可変ワット数コントローラの一部である可変デューティサイクルによって変調することができる。加熱バンドルは、加熱バンドルへの「過負荷」を防止するために、所与の領域のデューティサイクルに対するプログラム可能な(または必要に応じて予めプログラムされた)制限によって保護することができる。
【0057】
図8を参照すると、上述の加熱システム10は、熱交換器70の例示的な用途に組み込まれる。熱交換器70の用途は単なる例示であり、本開示の用途を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。図示するように、加熱システム10は、加熱バンドル12に近接して、またはその近くに配置された少なくとも1つの電源スイッチ120(概略的に示す)を含む。コントローラ15は、電源スイッチ120が決定された温度に基づいて電源導体56を介して独立して制御される加熱領域62(図4)への電力を変調して加熱アセンブリ50の少なくとも一方の長さに沿って所望の電力出力を提供するように、電源スイッチ120に制御信号を提供するように構成される。
【0058】
遠隔地/キャビネットにあるのとは対照的に、電源スイッチ120が加熱バンドル12に近接または近くにあると、遠隔地/キャビネットから加熱バンドル12に延在する個々に絶縁された/絶縁された導体の数を大幅に減らすことができる。さらに、加熱アセンブリ18のスイッチングを統合することにより、使用される電力の種類(例えば、とりわけ、DC、単相AC、3相AC、および共通および/または接地導体を有する3相AC)に応じて導体の数を減らすことができる。
【0059】
一形態では、電源スイッチ120はエンクロージャ200内に配置され、電源導体56は、電源スイッチ120に物理的に接続されるようにエンクロージャ200内に延在するように加熱アセンブリ18の境界の外側に延長されている。物理的接続の一変形例では、電源導体56はピンまたはレセプタクル形状を形成することができ、一方、嵌合電源スイッチは、「プラグイン」スタイルの接続のためのレセプタクルまたはピン形状をそれぞれ形成する。冷却は、任意選択の温度調節装置300(概略的にも示されている)を使用してエンクロージャ200に提供することができる。エンクロージャ200は、限定はしないが、とりわけ、電源スイッチ120、コントローラ15または他のコントローラ、関連する電子機器、および/または無線通信構成要素を含む、1つまたは複数の電子機器を囲むように構成された様々な設計/幾何学的形状(例えば、とりわけ、接続箱、終端エンクロージャ)で実装することができる。無線構成要素を用いて、コントローラ15は、加熱バンドル12から離れていてもよく、電源スイッチ120と遠隔で通信してもよい。コントローラ15はまた、遠隔にあってもよく、電源導体56を介して電源スイッチ120と通信してもよい。一形態では、エンクロージャ200は、内部の構成要素が水分侵入から保護され、外部雰囲気から密封されるように密封される。さらに、エンクロージャ200は、設置/動作/メンテナンス中の損傷から内部の構成要素を保護する。
【0060】
温度調節装置300は、エンクロージャ200の温度を制御するように構成された任意の装置/システムによって実施することができる。例えば、冷却は、液体(例えば、ラジエータ)または強制空気によって提供されてもよく、強制空気は、エンクロージャの内側またはエンクロージャの外側にあってもよい。一変形例では、エンクロージャは、内部流体冷却流および外部流体冷却流によって冷却され、冷却流の各々は熱交換器によって結合される。さらに別の変形例では、エンクロージャは、熱電素子および冷凍システムの少なくとも一方によって冷却される。さらに別の形態では、ヒートシンク(例えば、押出Al冷却フィン)は、単独で、または温度調節装置300と共に、電源スイッチ120の近くまたは付近で使用されてもよい。例示的な温度調節装置300のさらなる詳細は、以下により詳細に記載される。
【0061】
図9を参照すると、(温度調節装置300としての)補助熱交換器300-1、およびエンクロージャ200-1が概略的な形式で示されている。この形態では、補助熱交換器300-1は、ハウジング308と、開口部310と、ファンドライバ312と、ファン314と、チャンバ316とを含む。
【0062】
エンクロージャ200-1は、インターフェース面202と、ハウジング208の厚さを通って延在する導体開口群204(図示を容易にするために個々の開口として設けられる)と、ハウジング208によって画定されるチャンバ210と、通気開口214と、出口開口216とを含む。一形態では、エンクロージャ200-1は、チャンバ210内に配置された1つまたは複数の電源スイッチ212およびコントローラ213を含む。上述したように、任意選択のヒートシンク215は、電源スイッチ212から熱を奪うために電源スイッチ212に近接して配置される。一形態では、コントローラ213は、各領域に電源スイッチ212(デューティサイクル、位相角発射、電圧変調、および類似の技術を介して)に提供される制御信号を決定するときに、コントローラ15と同様に構成される。上述したように、エンクロージャ200-1(したがって、電源スイッチ212)は、加熱バンドル12の1つまたは複数の加熱アセンブリ18に近接して(例えば、隣接している、および/または近くにある)配置される。
【0063】
一形態では、1つまたは複数の電源スイッチ212は、コントローラ213に電気的に結合され、例えば、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、アドレス指定可能スイッチ、演算増幅器、トランジスタドライバ、集積回路、それらの組み合わせなどを含む。いくつかの形態では、電源スイッチ212の数は、それぞれの加熱アセンブリ18の加熱領域62の数に対応する。一例として、図10に示すように、加熱アセンブリ18の各々は、n個の加熱領域を含む。したがって、電源スイッチ212-1、212-2、212-3、212-4、212-5、212-6の各々は、加熱アセンブリ18のそれぞれの加熱領域62に選択的かつ独立して電力を供給するために並列に配置されたn個の電源スイッチをそれぞれ含む。他の形態では、電源スイッチ212-1、212-2、212-3、212-4、212-5、212-6の各々は、加熱アセンブリ18のそれぞれの加熱領域62に選択的かつ独立して電力を供給するための他の数および/またはタイプの電源スイッチを有することができ、本明細書に記載の例に限定されないことを理解されたい。
【0064】
図10も参照すると、コントローラ213は、1つまたは複数の電源スイッチ212を選択的に作動させ(または制御信号を送信し)、それによって少なくとも1つの加熱アセンブリ18の1つまたは複数の加熱領域62を選択的に作動させるように構成される。一形態では、コントローラ213は、電源装置14からの電力が加熱アセンブリ18に供給されることを可能にするために、1つまたは複数の電源スイッチ212を作動させるように構成される。一例として、電源スイッチ212(例えば、1つまたは複数のBJT)を作動させるために、コントローラ213は、バイアス電圧を1つまたは複数の電源スイッチ212に選択的に供給するように構成される。本明細書に記載の機能を実行するために、コントローラ213は、ランダムアクセスメモリ(RAM)回路および/または読み出し専用メモリ(ROM)回路などの1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された機械可読命令を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサ回路を含むマイクロコントローラによって実装されてもよい。さらに、コントローラ213は、バイアス電圧を1つまたは複数の電源スイッチ212に提供するための1つまたは複数の電圧ドライバを含むことができる。
【0065】
コントローラ213はチャンバ210内に配置されているように示されているが、他の形態では、コントローラ213はチャンバ210の外部に配置されてもよい。したがって、エンクロージャ200-1は、コントローラ213が1つまたは複数の電源スイッチ212を作動させることを可能にする無線通信回路を含むことができ、コントローラ213は、無線通信リンク(例えば、Bluetooth通信リンク、近距離無線通信(NFC)リンク、超広帯域(UWB)通信リンク、ワイヤレスフィデリティ(WiFi)通信リンク、Zigbee通信リンク、セルラ通信リンク、ロングタームエボリューション(LTE)通信リンク、5G通信リンク、および/または他の同様の無線通信リンク)を介して無線通信回路と通信することができる。さらに、一形態では、エンクロージャ200-1は、コントローラ213がエンクロージャ200-1から外部に配置され、1つまたは複数の電源スイッチ212が電源装置14に接続されていない場合に、無線通信回路および1つまたは複数の電源スイッチ212に電気的に結合された追加の電源システム(例えば、追加の電源および1つまたは複数の電力調整回路)を含む。したがって、追加の電源システムは、無線通信回路がコントローラ213から信号を受信して1つまたは複数の電源スイッチ212を選択的に作動させることに応答して、1つまたは複数の電源スイッチ212に電力を供給するように構成される。
【0066】
コントローラ213およびコントローラ15は別個の構成要素として図示および説明されているが、コントローラ213の機能はコントローラ15によって実行されてもよく、他の形態ではその逆であってもよいことを理解されたい。
【0067】
一形態では、図9を参照すると、補助熱交換器300-1は、強制空気を使用してエンクロージャ200-1およびその中の構成要素を冷却する空冷熱交換器であってもよい。補助熱交換器300-1は、エンクロージャ200-1およびその中の構成要素を冷却するために強制空気を使用するものとして示されているが、他の変形例では、補助熱交換器300-1は誘導空冷熱交換器であってもよいことを理解されたい。
【0068】
一形態では、空気がチャンバ316に流入する。ファン314は、ファンドライバ312によって作動されるのに応答して、図9の点線矢印によって示されるように、空気をハウジング308の外面に向かって押し出す。さらに、ファン314は、図9の点線矢印によって示されるように、通気開口214を介してチャンバ210内に空気を押し込んで、エンクロージャ200-1内の構成要素の温度を低下させる。通気開口214を介してチャンバ210内に押し込まれた空気は、出口開口216を介してエンクロージャ200-1から出ることができる。図9は、1つの通気開口214および1つの出口開口216を示しているが、任意の数の通気開口214および出口開口216が本開示の他の変形形態に含まれてもよいことを理解されたい。さらに、通気開口214および出口開口216は、ハウジング208の様々な位置に配置されてもよく、本明細書の特定の図に限定されない。
【0069】
一形態では、ファンドライバ312は、ファン314を動作させるように構成された1つまたは複数のコントローラ、集積回路、電力調整回路、および個別の電気部品を含む。一形態では、ファンドライバ312は、開口部310内に少なくとも部分的に配置されたハードワイヤリンク(例えば、ツイストペアケーブル)を介して電源装置14に電気的に結合される。一例として、ファンドライバ312は、電源装置14から電力の供給を受けてファン314を作動させる。
【0070】
図11を参照すると、温度調節装置300としての熱交換器300-2と、エンクロージャ200-2とが示されている。エンクロージャ200-2は、上述したエンクロージャ200-1と同様であるが、この形態では、エンクロージャ200-2は、通気開口214および出口開口216を含まない。したがって、エンクロージャ200-2は、熱交換器300-2から密封される。
【0071】
一形態では、熱交換器300-2は、内部流体システムおよび外部流体システムを画定し、熱交換器300-2は、外部流体入口320、外部流体出口322、内部流体入口326、内部流体出口328、入口プレナム330、出口プレナム332、チューブシート334、1つまたは複数の内部流体導管336、1つまたは複数のバッフル338、ハウジング340、およびチャンバ342を含む。一形態では、熱交換器300-2は、Uチューブ熱交換器として構成される。熱交換器300-2は、他の形態(例えば、とりわけ、浮動ヘッド熱交換器、直管熱交換器)の様々な他の構成を有してもよく、本明細書に記載の構成に限定されないことを理解されたい。
【0072】
熱交換器300-2は、内部流体システムおよび外部流体システムを通って流れる流体を介してエンクロージャ200-2の温度を低下させるように構成される。具体的には、熱交換器300-2を流れる流体(例えば、とりわけ、ガス、水、冷却剤)がエンクロージャ200-2から熱を吸収し、エンクロージャ200-2の温度を低下させる。
【0073】
一形態では、内部流体システムは、ハウジング340内のチャンバ342に設けられた内部流体導管336、入口プレナム330、内部流体入口326、およびチューブシート334の1つまたは複数の開口部によって提供される。動作中、流体は内部流体入口326および入口プレナム330を通って流れ、そこでチューブシート334の開口部を介して内部流体導管336に入る。内部流体と呼ぶことができる内部流体システムを通る流体は、次いで、チューブシート334、出口プレナム332、および内部流体出口328の1つまたは複数の開口部を介して熱交換器300-2を出る。
【0074】
一形態では、外部流体システムは、チャンバ342内の内部流体システムの周りに設けられ、チャンバ342内に延在するバッフル338、外部流体入口320、および外部流体出口322を含む。動作中、流体は、外部流体入口320を介してチャンバ342に入り、バッフル338の配置によって画定された流路に従ってチャンバ342を通って流れ、外部流体出口322を介して外部流体システムを出る。外部流体システムを通って流れる流体は、外部流体として参照され得る。一形態では、1つまたは複数のポンプ、導管、およびリザーバ(図示せず)が熱交換器300-2に流体的に結合されて、熱交換器300-2に出入りする内部および外部流体の流れを調整する。
【0075】
本明細書で特に明示的に示されない限り、機械的/熱的特性、組成百分率、寸法および/または公差、または他の特性を示すすべての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約」または「およそ」という語によって修飾されると理解されるべきである。この変更は、工業的実施、材料、製造、および組み立ての公差、ならびに試験能力を含む様々な理由で望まれる。
【0076】
要素間の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「隣に」、「上に」、「上に」、「上に」、「下に」、および「配置された」を含む様々な用語を使用して説明される。明示的に「直接的」であると記載されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が本開示に記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係とすることができ、第1の要素と第2の要素との間に(空間的または機能的に)1つまたは複数の介在要素が存在する間接的な関係とすることもできる。本明細書で使用される場合、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを使用して論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0077】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の内容から逸脱しない変形例は、本開示の範囲内であることが意図される。そのような変形は、本開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】