(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140416
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ワイヤグリッド偏光子ワイヤ側壁保護
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220915BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022038683
(22)【出願日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】63/160,047
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501218636
【氏名又は名称】モックステック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト, ボブ
(72)【発明者】
【氏名】ニールソン, アール. スチュワート
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AB05
2H149BA04
2H149BA23
2H149BB26
2H149BB28
2H149CA02
2H149FA42X
2H149FA43W
2H149FA43X
2H149FC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワイヤグリッド偏光子の水中での腐食、酸化、又はその両方に対する耐性が高いことが有益であり得る。
【解決手段】各ワイヤ12の側壁SW上に保護層PLを有することができる。保護層PLは、側壁SWを腐食、酸化、又はその両方から保護することができる。保護層PLは、基板からより遠い、ワイヤ12の遠位端DEには存在しないか、又はより薄くすることができる。保護層PLに由来する偏光子性能低下は、遠位端DEから保護層PLを除去することによって最小化又は排除することができる。本発明は、複数の層UL及びLLを有するワイヤグリッド偏光子に特に適用可能であり、遠位端DEの上層ULは、埋め込まれた下層LLよりも腐食及び酸化に対して耐性が高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するワイヤ間にチャネルを有する基板上のワイヤであって、各ワイヤが、基板により近い近位端と、基板からより遠い遠位端とを有する、ワイヤ、
各ワイヤの2つの対向する側面の各々上の側壁であって、各側壁がチャネルに面し、近位端から遠位端まで延在している、側壁、
ワイヤが一対の保護層の間に挟まれている各側壁上の保護層を含み、
一対の保護層が、保護層を含まない遠位端上の領域によって互いに分離されており、
保護層が、金属酸化物、アミノホスホネート、又はその両方を含み、
各保護層が、25nmの最大厚さを有し、厚さは、測定位置において側壁に対して垂直に測定され、
各ワイヤが、近位端に近い下層と、遠位端に近い上層とを有し、
上層が、下層よりも水中での腐食、酸化、又はその両方に対する耐性が高く、
基板、一対の保護層、及び上層が、下層を取り囲んでいる、
ワイヤグリッド偏光子。
【請求項2】
各保護層が、ワイヤのそれぞれの側壁に隣接する、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項3】
上層が、下層よりも水中での腐食に対する耐性が高い、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項4】
上層が、下層よりも酸化に対する耐性が高い、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項5】
上層が、下層よりも水中での腐食に対して耐性が高く、酸化に対して耐性が高い、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項6】
下層が、ゲルマニウム、アルミニウム、又はその両方を含む、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項7】
上層がケイ素を含む、請求項6に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項8】
チャネル内の基板が保護層を含まない、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項9】
各保護層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【請求項10】
ワイヤの遠位端上の疎水性層であって、化学式(1)、化学式(2):
又はそれらの組み合わせを含む疎水性層をさらに含み、
式中、rは正の整数であり、各R
1は独立して疎水性基であり、Xはリブとの結合であり、各R
3は独立して化学元素又は基であり;かつ
疎水性層が共形層であり、疎水性層がワイヤの遠位端に隣接し、各保護層が疎水性層とワイヤとの間に挟まれている、
請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ワイヤグリッド偏光子に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤグリッド偏光子は、光を2つの異なる偏光状態に分割することができる。一方の偏光状態は、主にワイヤグリッド偏光子を通過することができる。他方の偏光状態は、主に吸収又は反射され得る。ワイヤグリッド偏光子の効率又は性能は、(a)主に透過される偏光(Tpと呼ばれることもある)の高い透過率、及び(b)反対の偏光(Tsと呼ばれることもある)の最小透過率に基づく。
【0003】
高いコントラスト(Tp/Ts)を有することが有益であり得る。コントラストは、主に透過される偏光の透過率を増加させ(例えば、Tpの増加)、反対の偏光の透過率を減少させる(例えば、Tsを減少させる)ことによって、改善することができる。
【0004】
反射光ビームが使用される場合、反対の偏光の高い反射率(例えば、高いRs)を有することが役立ち得る。反射ワイヤグリッド偏光子の場合、効率(Tp*Rs)はワイヤグリッド偏光子性能の有用な指標である。反射光ビームが使用されず、反射光が光学系と干渉する場合、反対の偏光の低い反射率(例えば、低いRs)を有することが役立ち得る。したがって、反対の偏光の反射率(Rs)もまた、偏光子性能の有用な指標となり得る。
【発明の概要】
【0005】
ワイヤグリッド偏光子は、基板上にワイヤを含むことができる。各ワイヤは、基板により近い近位端と、基板からより遠い遠位端とを含むことができる。各ワイヤは、一対の保護層の間に挟まれ得る。各ワイヤの一対の保護層は、保護層を含まない遠位端上の領域によって互いに分離され得る。保護層は、金属酸化物、アミノホスホネート、又はその両方を含むことができる。各ワイヤは、近位端により近い下層と、遠位端により近い上層とを有することができる。上層は、下層よりも水中での腐食、酸化、又はその両方に対して耐性が高くなり得る。基板、一対の保護層、及び上層は、下層を取り囲むことができる。
【0006】
図面は縮尺通りに描かれていない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】基板11上にワイヤ12を有するワイヤグリッド偏光子10の断面側面図である。各ワイヤ12は、下層LL及び上層ULを有することができる。保護層PLは、各ワイヤ12の側壁SW上にあることができる。
【
図2】基板11上にワイヤ12を有するワイヤグリッド偏光子20の断面側面図である。保護層PLは、各ワイヤ12の側壁SW上にあることができる。疎水性層HLは、ワイヤ12の遠位端DE上にあることができる。
【
図3】基板11上にワイヤ12を有するワイヤグリッド偏光子30の断面側面図である。保護層PLは、各ワイヤ12の側壁SW上にあることができる。疎水性層HLは、ワイヤ12上の共形層とすることができる。保護層PLは、疎水性層HLとワイヤ12との間に挟まれ得る。
【
図4】基板11上にワイヤ12を有するワイヤグリッド偏光子40の断面側面図である。保護層PLは、(a)チャネル13内の基板11上及び(b)遠位端DE上よりもワイヤ12側壁SW上で厚い(TP>TS及びTP>TD)。
【
図5】ワイヤ12上の共形層に保護化学物質51を塗布することを含む、ワイヤグリッド偏光子を製造する方法における段50の断面側面図である。
【0008】
定義 複数の定義を含む以下の定義は、本特許出願を通して適用される。
【0009】
本明細書で使用される場合、「共形層」という用語は、形体トポロジー(feature topology)の輪郭に適合する連続薄膜を意味する。例えば、共形層全体にわたる最小厚さは1nmより大きくすることができ、共形層全体にわたる最大厚さは20nm以下とすることができる。別の例として、共形層全体にわたる最小厚さで割った、共形層全体にわたる最大厚さは、2以下、3以下、5以下、10以下、又は20以下であり得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「上に(on)」、「上に位置する(located on)」、「に位置する(located at)」、及び「上に位置する(located over)」という用語は、直接上に位置する、又は間に何らかの他の固体材料を挟んで上に位置することを意味する。「直接上に位置する」、「隣接する(adjoin)」、「隣接する(adjoins)」、及び「隣接する(adjoining)」という用語は、直接的かつすぐ隣の接触を意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「nm」という用語は、ナノメートルを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に可視光又は紫外光の偏光のためのワイヤグリッド偏光子のリブ又はワイヤは、ナノメートルサイズのピッチ、ワイヤ幅、及びワイヤ高さを有し、小さく繊細であり得る。ワイヤグリッド偏光子は、高い性能を必要とするシステム(例えば、コンピュータプロジェクタ、半導体検査ツールなど)で使用されている。腐食したワイヤは、システム性能を低下させる可能性がある。ワイヤの酸化はコントラストを低減する可能性がある。したがって、ワイヤを腐食及び酸化から保護することが有用であり得る。
【0013】
ワイヤグリッド偏光子は、従来、共形層に保護化学物質を用いて作製されてきた。例えば、米国特許第6,785,050号明細書、米国特許第9,995,864号明細書、及び米国特許第10,054,717号明細書を参照されたい。しかしながら、保護化学物質の材料は、偏光子性能を低下させる可能性がある。ワイヤグリッド偏光子製造業者は、ワイヤを腐食及び酸化から保護する必要性の方がより高いため、この性能の低下を不本意に受け入れてきた。したがって、高い性能とワイヤの保護との間にはトレードオフがあった。
【0014】
本発明は、このトレードオフなしに、ワイヤグリッド偏光子10、20、30、及び40、並びにワイヤグリッド偏光子を製造する方法を提供する。したがって、本発明は、ワイヤグリッド偏光子10、20、30、及び40のワイヤ12の保護を、性能低下なしに、又は性能低下が少ない状態で提供する。
【0015】
図1~
図4に示されるように、基板11にワイヤ12を備えるワイヤグリッド偏光子10、20、30、及び40が示される。ワイヤ12及びチャネル13は、隣接するワイヤ12の各対の間にチャネル13があるように、交互にすることができる。チャネル13は、空気又は他のガス、真空、液体、固体、又はそれらの組み合わせで充填され得る。チャネル13内の任意の固体は透明であり得る。
【0016】
各ワイヤ12は、基板11により近い近位端PE、基板11からより遠い遠位端DE、及び各ワイヤ12の2つの対向する側面の各々上の側壁SWを有することができる。各側壁SWは、近位端PEから遠位端DEまで延在することができる。各側壁SWは、チャネル13に面することができる。
【0017】
ワイヤグリッド偏光子10、20、30、及び40は、ワイヤ12を腐食、酸化、又はその両方から保護するために保護層PLを含むことができる。遠位端DEの保護層PLの材料は、偏光子性能を低下させる可能性がある。保護層PLは、大部分が、又は完全にワイヤ12の側壁SW上にあり得る。側壁SW上の保護層PLは、遠位端DE上の保護材料のような性能低下を引き起こさない。しかし、側壁SW上の保護層PLはワイヤ12を保護する。
【0018】
保護層PLは、各側壁SW上に配置することができる。各保護層PLは、ワイヤ12の側壁SWに隣接することができる。ワイヤ12は、一対の保護層PLの間に挟まれ得る。
【0019】
各保護層PLは、少なくとも0.1nm、0.5nm、又は1nmの最小厚さTPを有することができる。より厚い保護層PLは、より良好な腐食及び酸化保護を提供する。各保護層PLは、側壁SW上で4nm、5nm、10nm、又は20nm以下の最大厚さTPを有することができる。より厚い保護層PLは、より高価である。厚さTPは、測定位置において側壁SWに垂直に測定される。
【0020】
一対の保護層PLは、保護層PLを含まない遠位端DE上の領域によって互いに分離され得る。遠位端DEは、保護層PLを含まなくてもよい。
【0021】
チャネル13内の基板11上の領域は、保護層PLを含まなくてもよい。チャネル13内の基板11は、保護層PLを含まなくてもよい。したがって、各保護層PLは、隣接するワイヤ12上の保護層PLから分離され得る。
【0022】
あるいは、
図4に示されるように、チャネル13内の基板11上及び遠位端DE上に保護層PLの一部が存在し得るが、これらの領域では側壁SW上よりも薄い。酸化及び腐食保護には、ワイヤグリッド偏光子40が好ましいが、ワイヤグリッド偏光子の性能には、ワイヤグリッド偏光子10、20、及び30が好ましい。
【0023】
例えば、側壁SW上の保護層PLの厚さTPは、チャネル13内の基板11上の保護層PLの最大厚さTSの少なくとも5倍、25倍、又は100倍であり得る。別の例として、側壁SW上の保護層PLの厚さTPは、遠位端DE上の保護層PLの最大厚さTDの少なくとも5倍、25倍、又は100倍であり得る。
【0024】
ワイヤグリッド偏光子40の保護層PLは、
図1~
図3及び
図5のワイヤグリッド偏光子を含む、本明細書に記載の任意の他のワイヤグリッド偏光子の特徴と組み合わせることができる。
【0025】
保護層PLは、多層スタックを有し、スタック内でより低い保護を必要とする層を有するワイヤグリッド偏光子に特に有用である。例えば、ワイヤグリッド偏光子10の各ワイヤ12は、近位端PEにより近い下層LLと、遠位端DEにより近い上層ULとを含むことができる。基板11、一対の保護層PL、及び上層ULは、下層LLを取り囲むことができる。上層ULは、下層LLよりも、水中での腐食に対する耐性、酸化に対する耐性、又はその両方の耐性が高くなり得る。上層ULは、空気及び水にさらされる可能性があるが、下層LLよりも不活性であるため保護される。
【0026】
上層ULの例示的な材料はケイ素である。下層LLの例示的な材料としては、ゲルマニウム、アルミニウム、又はその両方が挙げられる。
【0027】
ワイヤグリッド偏光子10の下層LL及び上層ULは、
図2~
図5のワイヤグリッド偏光子を含む、本明細書に記載の任意の他のワイヤグリッド偏光子の特徴と組み合わせることができる。
【0028】
保護層PLは、ワイヤ12を酸化、腐食、又はその両方から保護するための材料を含むことができる。例えば、保護層PLは、アミノホスホネート、金属酸化物、半金属酸化物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。保護層PLは、遷移金属酸化物を含むことができる。保護層PLは、遷移後金属酸化物を含むことができる。
【0029】
保護層PLは、酸化アクチニドを含むことができる。保護層PLは、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、又はそれらの組み合わせの酸化物などの希土類酸化物を含むことができる。
【0030】
保護層PLは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0031】
保護層PLは、酸素バリア及び水分バリアを含むことができる。酸素バリアは、水分バリアと側壁SWとの間に挟まれ得る。酸素バリアは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、又はそれらの組み合わせを含むことができる。酸素バリアは、ワイヤ12を酸化から保護することができる。水分バリアは、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、又はそれらの組み合わせを含むことができる。水分バリアは、ワイヤ12を腐食から保護することができる。
【0032】
保護層PLは、側壁SWとは異なることができ、これは、(1)側壁SWと保護層PLとの間に境界線又は層が存在し得る、又は(2)保護層PLの材料に対して側壁SWの材料にいくらかの違いがあり得ることを意味する。例えば、天然酸化アルミニウムは、アルミニウムワイヤ12の側壁SWに形成することができる。次いで、酸化アルミニウムの層(保護層PL)を酸素バリアとしてワイヤ12上に塗布することができる。
【0033】
天然酸化アルミニウムの厚さ及び密度は、ワイヤ12のコアを酸化から保護するには不十分であり得るので、この酸化アルミニウムの追加の層は有用であり得る。この例では、保護層PL(Al2O3)はワイヤ12の表面(Al2O3)と同じ化学式を有し得るが、保護層PLは、(1)保護層PLとワイヤ12との間の境界層、及び/又は(2)材料特性の違い(例えば、保護層PLの密度の増加)に起因して依然として異なり得る。
【0034】
図2~
図3に示されるように、ワイヤグリッド偏光子20及び30はまた、ワイヤ12の遠位端DE上に疎水性層HLを有することができる。疎水性層HLは、ワイヤ12の遠位端DEに隣接することができる。疎水性層HLは、チャネル13への水の浸入を防止することができる。疎水性層HLは、
図2に示されるように、ワイヤ12の遠位端DE上にのみ存在することができる。しかしながら、疎水性層HLは、
図3に示されるように共形層であることが好ましい。これにより、各保護層PLは、疎水性層HLとワイヤ12との間に挟まれ得る。
【0035】
疎水性層HLの例示的な化学的性質は、化学式(1)、化学式(2):
又はその両方を含み、
式中、rは正の整数であり、各R
1は独立して疎水性基であり、Xはリブとの結合であり、各R
3は独立して化学元素又は基である。
【0036】
各R3は、シラン反応性基、-H、R1、R6、又はXであり得る。各シラン反応性基は、-Cl、-OR6、-OCOR6、-N(R6)2、又は-OHであり得る。各R6は、アルキル基、アリール基、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0037】
各疎水性基は、CF3(CF2)n又はCF3(CF2)n(CH2)mを含むことができる。n及びmは整数である。nの下限の例としては、1≦n、2≦n、又は3≦nが挙げられる。nの上限の例としては、n≦3、n≦4、n≦5、n≦6、n≦8、又はn≦20が挙げられる。mの下限の例としては、1≦m又は2≦mが挙げられる。mの上限の例としては、m≦2、m≦3、m≦4、m≦5、m≦8、又はm≦20が挙げられる。
【0038】
ワイヤグリッド偏光子20又は30の疎水性層HLは、
図1及び
図4~
図5のワイヤグリッド偏光子を含む、本明細書に記載の任意の他のワイヤグリッド偏光子の特徴と組み合わせることができる。
【0039】
本明細書に記載のすべてのワイヤグリッド偏光子では、ワイヤ12は平行で細長くすることができる。本明細書で使用される場合、「細長い」という用語は、(図のシート内への)ワイヤ12の長さがワイヤ幅W12及びワイヤ厚さT12(
図1参照)よりも実質的に大きいことを意味する。例えば、ワイヤ長さは、ワイヤ幅W12、ワイヤ厚さT12、又はその両方よりも10倍以上、100倍以上、1000倍以上、又は10,000倍以上大きいものであり得る。ワイヤ12のピッチは、所望の偏光範囲の最低波長の1/2未満であり得る。すべてのワイヤ12は、互いに対して同じ厚さT12、同じ幅W12、同じ長さ、又はそれらの組み合わせを有することができる。
【0040】
前の段落のワイヤグリッド偏光子の代替として、ワイヤは、複数の異なる方向に延在することができ、複数の異なる厚さT12を有することができ、複数の異なる幅W12を有することができ、複数の異なる長さを有することができ、又はそれらの組み合わせを有することができる。本明細書に記載のワイヤグリッド偏光子は、メタマテリアル偏光子であり得る。
【0041】
方法
ワイヤグリッド偏光子を製造する方法は、以下の工程の一部又は全部を含み得る。これらの工程は、以下の順序で、又は指定されている場合は他の順序で実行することができる。ワイヤグリッド偏光子及びワイヤグリッド偏光子の構成要素は、上述のような特性を有することができる。上述していない以下の方法におけるワイヤグリッド偏光子の特性の追加の説明はいずれも、上述したワイヤグリッド偏光子に適用可能である。
本方法の工程は、
(A)ワイヤ12上の共形層に保護化学物質51を塗布する工程(
図5参照)、
(B)保護化学物質51を異方的にエッチングして、各ワイヤの各側壁SW上に保護層PLを形成する工程(
図1及び
図4を参照)、及び
(C)ワイヤ12の遠位端DE上、一対の保護層PL上、又はその両方に疎水性層HLを塗布する工程(
図2~
図3参照)
を含む。
【0042】
工程(A)において、ワイヤ12は基板11上にあり得る。各ワイヤ12は、基板11により近い近位端PE、基板11からより遠い遠位端DE、及び2つの対向する側面の各々上の側壁SWを有することができる。各側壁SWは、チャネル13に面することができ、近位端PEから遠位端DEまで延在することができる。
【0043】
工程(B)は、保護化学物質51を異方的にエッチングして各ワイヤ12の遠位端DEから保護化学物質51を除去し、各側壁SW上の保護層PLとして保護化学物質51を残す工程を含むことができる。
【0044】
工程(B)は、保護化学物質51を異方的にエッチングしてチャネル13内の基板11から保護化学物質51を除去し、各側壁SW上の保護層PLとして保護化学物質51を残す工程を含むことができる。
【0045】
異方性エッチングの方向に起因して、遠位端DE及びチャネル13内の基板11から保護化学物質51の大部分又はすべてを除去するが、各側壁SW上に保護層PLとして保護化学物質51を残すことができることに留意されたい。
【0046】
工程(B)は、原子層堆積によって保護化学物質51を塗布する工程を含むことができる。工程(C)は、化学気相堆積によって疎水性層HLを塗布する工程を含むことができる。
【外国語明細書】