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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140570
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】保冷容器および冷媒受け
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20220915BHJP
   F25D 3/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65D81/38 A
F25D3/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118335
(22)【出願日】2022-07-26
(62)【分割の表示】P 2019040759の分割
【原出願日】2019-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2018184168
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
(72)【発明者】
【氏名】櫛間 信彦
(72)【発明者】
【氏名】早田 祐一郎
(57)【要約】
【課題】内容物に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物の保冷状態を保つことができる保冷容器を提供する。保冷容器に配置される冷媒を支持し、内容物に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物の保冷状態を保つことができる冷媒受けを提供する。
【解決手段】互いに組み付けられる底面パネル30A、側面パネル10および天井パネル30Bを有する組み立て式の保冷容器1であって、側面パネル10の内面に、上方の冷気を下方に送り込む通気路が上下方向に沿って形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の上面に第1空間および第2空間を区画する区画壁と、冷媒の冷気を前記本体部の上面から下側へ送り込む流路と、を有し、
前記第1空間および前記第2空間にて冷媒を支持することを特徴とする冷媒受け。
【請求項2】
保冷容器の上部に配置される冷媒受けであって、
前記冷媒受けの中央部と周縁部との間に凹状に設けられた冷媒支持部を備えることを特徴とする冷媒受け。
【請求項3】
前記周縁部は、複数の切欠き部と、前記冷媒支持部と前記切欠き部とを連通する複数の連通溝と、を有することを特徴とする請求項2に記載の冷媒受け。
【請求項4】
前記冷媒支持部は、冷媒を支持する傾斜支持面と、該傾斜支持面に設けられて前記切欠き部に連通する冷気溝と、前記周縁部に隣接する貫通孔と、を有することを特徴とする請求項3に記載の冷媒受け。
【請求項5】
前記傾斜支持面は、前記中央部から前記周縁部へ近づくほど前記冷媒受けの下面に近づくように傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の冷媒受け。
【請求項6】
前記傾斜支持面は、前記冷媒支持部の少なくとも一部を覆う被覆材の表面であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の冷媒受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷容器および冷媒受けに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、グローバル化に伴って、航空機による輸出の需要が増加している。航空貨物の輸送コストの関係から、積載効率、または資材重量、特に冷媒の軽量化が求められている。そのため、航空貨物で保冷が必要となる場合、集合包装が採用されている。集合包装としては、発泡プラスチック等の大型容器が検討されている。しかしながら、このような大型容器を製造するには、特殊な成型機が必要であるため、資材コストが高くなるという課題がある。また、空の大型容器を保管したり、輸送したりするにもコストがかかるという課題がある。
【0003】
そこで、従来、汎用の成型機で製造可能な発泡プラスチックを組み立てて、集合包装を実現していた。
集合包装としては、例えば、四角形状の発泡熱可塑性樹脂板からなる板部材であって、各辺に切欠溝を形成した第一の板部材と、各辺に上記切欠溝と嵌合する突出部を形成した第二の板部材と、対称な二辺に上記第一の板部材における切欠溝と嵌合する突出部を形成するとともに、他の対称な二辺に上記第二の板部材における突出部が嵌合する切欠溝を形成した第三の板部材とからなり、これら各板部材を、それぞれ複数枚用いて分解可能に組立てた組立式保温・保冷箱が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-120824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の組立式容器は、大型であるため、内容物に温度むらが生じる。そこで、従来、冷媒量を増やして、内容物の温度上昇が最も大きい箇所を規定の温度内に収まるように調整していた。すると、冷媒近傍に配置されている内容物の温度が下がりすぎて、凍結障害が生じるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、内容物に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物の保冷状態を保つことができる保冷容器を提供することを目的とする。また、本発明は、保冷容器に配置される冷媒を支持し、内容物に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物の保冷状態を保つことができる冷媒受けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る保冷容器は、互いに組み付けられる底面パネル、側面パネルおよび天井パネルを有する組み立て式の保冷容器であって、前記側面パネルの内面に、上方の冷気を下方に送り込む通気路が上下方向に沿って形成されている。
【0008】
前記側面パネルは、少なくとも上下方向に複数の単位パネルから構成され、前記複数の単位パネルの一方の面には前記通気路を構成する通気溝が上下方向に沿って形成され、前記単位パネルの上下方向の端縁にはそれぞれ嵌合部が設けられ、前記嵌合部には、前記通気溝に連通する連通部が形成され、上側の単位パネルの嵌合部と下側の単位パネルの嵌合部とが嵌合されると、上側の単位パネルの通気溝と下側の単位パネルの通気溝とが前記連通部を介して連通されていてもよい。
【0009】
前記嵌合部は、前記単位パネルの上下方向の端縁に形成された嵌合凹部と嵌合凸部とから構成され、前記連通部は前記嵌合凸部に設けられた縦溝と横溝とからなり、前記縦溝は前記通気溝と連通され、前記上側の単位パネルの嵌合部と前記下側の単位パネルの嵌合部とが嵌合されると、前記嵌合凸部に設けられた横溝同士が接続されて、前記上側の単位パネルの通気溝と前記下側の単位パネルの通気溝とが連通されていてもよい。
【0010】
前記嵌合部は、前記単位パネルの上下方向の端縁に形成された複数の嵌合凹部と複数の嵌合凸部とから構成され、前記上側の単位パネルの嵌合部と前記下側の単位パネルの嵌合部とが嵌合されるときに、当接される前記嵌合凸部同士の一方の嵌合凸部の端面に突起が形成され、他方の嵌合凸部の端面に前記突起を受け入れる窪みが形成されていてもよい。
【0011】
冷媒を支持する冷媒受けを備え、前記冷媒受けは、前記保冷容器に支持される本体部と、前記本体部の上面を第1空間と第2空間とに区画する区画壁部と、前記冷媒の冷気を前記本体部の上面から下側へ送り込む流路と、を有する貫通孔が形成されていてもよい。
【0012】
前記区画壁部には、前記第1空間と前記第2空間とを連通する通路が形成されていてもよい。
【0013】
前記保冷容器内に収容される内容物を上下方向に覆う保温シートを備えていてもよい。
【0014】
本発明に係る保冷容器は、底板、底板周縁を囲む側板、および該側板の上端部に形成される開口を塞ぐ天板からなる保冷容器であって、前記容器内の上部に配置される冷媒を支持する冷媒受けを備え、前記冷媒受けは前記容器側板の上部に設置され、前記冷媒受けは本体部と、該本体部の上面に第1空間および第2空間を区画する区画壁と、前記冷媒の冷気を前記本体部の上面から下側へ送り込む流路とを有し、前記第1空間には相対的に融点の低い冷媒が配置され、前記第2空間には相対的に融点の高い冷媒が配置される。
【0015】
少なくとも前記側板と天板との内側に保冷シートが覆われ、前記保冷シートは発泡樹脂シートの少なくとも一方の面に金属層を有し、前記保冷シートの金属層の面が前記冷媒受けの本体部の上面に向けられていてもよい。
【0016】
本発明に係る冷媒受けは、本体部の上面に第1空間および第2空間を区画する区画壁と、冷媒の冷気を前記本体部の上面から下側へ送り込む流路とを有し、前記第1空間および前記第2空間にて冷媒を支持する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内容物に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物の保冷状態を保つことができる保冷容器を提供することができる。本発明によれば、保冷容器に配置される冷媒を支持し、内容物に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物の保冷状態を保つことができる冷媒受けを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態の保冷容器を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの表面側を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの上下方向を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの裏面側を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの左右方向を示す側面図である。
図6】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの表面側を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの裏面側を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの裏面側を示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの表面側を示す平面図である。
図10】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの表面側を示す平面図である。
図11】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルを示す側面図である。
図12】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの裏面側を示す平面図である。
図13】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルを示す側面図である。
図14】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの表面側を示す斜視図である。
図15】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの裏面側を示す斜視図である。
図16】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けの表面側を示す平面図である。
図17】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けを示す側面図である。
図18】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けを示す側面図である。
図19】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けを示し、図16のA-A線に沿う断面図である。
図20】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けの裏面側を示す平面図である。
図21】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けの裏面側を示す斜視図である。
図22】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図23】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図24】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図25】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図26】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図27】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図28】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図29】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図30】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図31】本発明の変形例に係る保冷容器を示す斜視図である。
図32】本発明の変形例に係る保冷容器を示す正面図である。
図33】本発明の一実施形態の保冷容器の冷媒受けの斜視図である。
図34図33に示す冷媒受けを構成する部品の斜視図である。
図35図34に示す冷媒受けの部品を下方から見た斜視図である。
図36】本発明の一実施形態の保冷容器の底面パネルの斜視図である。
図37図36に示す底面パネルを構成する部品の斜視図である。
図38図37に示す底面パネルの部品を下方から見た斜視図である。
図39】本発明の一実施形態の保冷容器の使用方法を示す斜視図である。
図40】本発明の一実施形態の保冷容器の側面パネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の保冷容器および冷媒受けの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0020】
[保冷容器]
図1は、本実施形態の保冷容器を示す斜視図である。図2は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの表面側を示す平面図である。図3は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの上下方向を示す側面図である。図4は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの裏面側を示す平面図である。図5は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの左右方向を示す側面図である。図6は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの表面側を示す斜視図である。図7は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの裏面側を示す斜視図である。図8は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの裏面側を示す平面図である。図9は、本実施形態の保冷容器の側面パネルの表面側を示す平面図である。図10は、本実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの表面側を示す平面図である。図11は、本実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルを示す側面図である。図12は、本実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの裏面側を示す平面図である。図13は、本実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルを示す側面図である。図14は、本実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの表面側を示す斜視図である。図15は、本実施形態の保冷容器の底面パネルおよび天井パネルの裏面側を示す斜視図である。図16は、本実施形態の保冷容器の冷媒受けの表面側を示す平面図である。図17は、本実施形態の保冷容器の冷媒受けを示す側面図である。図18は、本実施形態の保冷容器の冷媒受けを示す側面図である。図19は、本実施形態の保冷容器の冷媒受けを示し、図16のA-A線に沿う断面図である。図20は、本実施形態の保冷容器の冷媒受けの裏面側を示す平面図である。図21は、本実施形態の保冷容器の冷媒受けの裏面側を示す斜視図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の保冷容器1は、側面パネル10と、底面パネル30Aと、天井パネル30Bと、を有する。保冷容器1は、側面パネル10と、底面パネル30Aと、天井パネル30Bとが互いに組み付けられてなる、組み立て式の容器である。本実施形態の保冷容器1は、立方体状をなしている。
保冷容器1は、内部に内容物を収容して、その内容物を保冷するためのものである。また、側面パネル10、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等からなる発泡体である。
【0022】
図1図8および図9に示すように、側面パネル10は平面視正方形状をなしている。また、側面パネル10は、図8に示すように、保冷容器1の上下方向に分割可能な平面視長方形状の単位パネル10Aと平面視長方形状の単位パネル10Bから構成されている。ここで、単位パネル10Aと単位パネル10Bとは同一形状を有しており、説明の都合上、上側の単位パネル10Aと下側の単位パネル10Bとに分けている。また、後述する単位パネル10A、10Bの端縁に形成される嵌合部を構成する凹凸形状は、向かい合う端縁が点対称に形成されている。
【0023】
図1図4図7および図8に示すように、側面パネル10の内面10aには、保冷容器1の上方の冷気を下方に送り込む通気路を構成する通気溝11が複数形成されている。詳細には、複数の通気溝11は、保冷容器1の上下方向(図1に示す保冷容器1の上下方向)に沿って、側面パネル10の上端から下端を貫くことなく、所定の間隔を置いて、並列に形成されている。すなわち、通気溝11は上端面および下端面を有している。これにより、通気溝11に入った冷気は側面パネル10の上端および下端から保冷容器1の外部に漏れ難くなっている。
【0024】
図8に示すように、単位パネル10A,10Bの上下方向(図1に示す保冷容器1の上下方向、図8では紙面の左右方向)の端縁には、嵌合部12,13が設けられている。嵌合部12は、交互に設けられた複数の嵌合凸部14(14A~14F)と複数の嵌合凹部15(15A~15F)とを含む。嵌合部13は、交互に設けられた複数の嵌合凸部16(16A~16F)と複数の嵌合凹部17(17A~17F)とを含む。
【0025】
図1図8および図9に示すように、上側の単位パネル10Aの嵌合部13と下側の単位パネル10Bの嵌合部12が、上下方向に嵌合する。詳細には、単位パネル10Aの嵌合凸部16Aが単位パネル10Bの嵌合凹部15Aに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部14Aが単位パネル10Aの嵌合凹部17Aに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部16Bが単位パネル10Bの嵌合凹部15Bに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部14Bが単位パネル10Aの嵌合凹部17Bに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部16Cが単位パネル10Bの嵌合凹部15Cに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部14Cが単位パネル10Aの嵌合凹部17Cに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部16Dが単位パネル10Bの嵌合凹部15Dに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部14Dが単位パネル10Aの嵌合凹部17Dに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部16Eが単位パネル10Bの嵌合凹部15Eに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部14Eが単位パネル10Aの嵌合凹部17Eに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部16Fが単位パネル10Bの嵌合凹部15Fに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部14Fが単位パネル10Aの嵌合凹部17Fに嵌合する。なお、嵌合凸部14(14A~14F)と嵌合凸部16(16A~16F)には、面取りがある。
【0026】
側面パネル10(単位パネル10A,10B)の内面10aにおいて、嵌合部12の嵌合凸部14、16(14A~14F、16A~16F)には、上側に配置される単位パネル10Aに形成された通気溝11と下側に配置される単位パネル10Bに形成された通気溝11とを連通するための連通部(連通溝)が形成されている。連通部により、単位パネル10Aと単位パネル10Bを上下に組み合わせたときに、上側の単位パネル10Aの通気溝11の冷気を、下側の単位パネル10Aの通気溝11に送ることができる。具体的には、連通部(連通溝)は、縦溝14aと横溝14bとからなる。嵌合凸部14(14A~14F)には通気溝11と連通する少なくとも一つの縦溝14aが形成されている。さらに、嵌合凸部14(14A~14F)には、縦溝14aと連通する横溝14bが形成されている。ここで、縦溝14aは嵌合凸部14(後述する嵌合凸部16)を貫くことなく(外側へ開通することなく)、すなわち、縦溝14aの一端は、通気溝11に連通し、他端は横溝14bと連通されている。また、横溝14bの少なくとも一端は、嵌合凸部14から嵌合凹部15に開通している。
側面パネル10(単位パネル10A,10B)の内面10aにおいて、嵌合部13の嵌合凸部16(16A~16F)も嵌合凸部14と同様に連通溝として縦溝16aと横溝16bとが形成されている。
【0027】
図1および図6に示すように、上側の単位パネル10Aの嵌合部13と下側の単位パネル10Bの嵌合部12が、上下方向に嵌合することにより、上側の単位パネル10Aの嵌合部13の嵌合凸部16(16A~16F)の横溝16bは、この嵌合凸部16(16A~16F)が並び合う、下側の単位パネル10Bの嵌合部12の嵌合凸部14(14A~14F)の横溝14bに接続される。
これにより、保冷容器1内において、保冷容器1内に収容される内容物の上方に配置される冷媒からの冷気を、上側の単位パネル10Aの内面10aから下側の単位パネル10Bの内面10aに沿って、上下の単位パネル10A,10Bが連結された境目から冷気が漏れることなく、冷気を流すことができる。
【0028】
図6および図7に示すように、単位パネル10A,10Bの嵌合部12,13の嵌合凸部14,16が嵌合するときに、隣接する嵌合凸部14,16の一方の嵌合凸部の端面に突起36が設けられ、他方の嵌合凸部の端面には突起を受け入れる窪み37が設けられている。すなわち、単位パネル10A,10Bを組み立てる際、嵌合凸部14と嵌合凸部16とを嵌合するときに当接される嵌合凸部14または嵌合凸部16の端面に突起36が設けられ、他方の嵌合凸部14または嵌合凸部16の端面に窪み37が設けられる。すなわち、嵌合凸部14と嵌合凸部16とが嵌め合うときに突起36が窪み37に入り込む。これにより、保冷容器1の組立作業時に、作業者が、パネルが隙間なく嵌り、隙間が生じていないことを感覚的に確認することができる。
図6および図7に示す突起36、窪み37に限られず、突起36および窪み37の嵌合凸部14,16への配置は組立作業を妨げられない範囲で所望の位置に設けられる。もちろん、突起36および窪み37は、後述する、側面パネル10の嵌合部18,19や底面パネル30Aおよび天井パネル30Bの端縁の凸部端面に設けることができる。
【0029】
図1に示すように、上側の単位パネル10Aの嵌合部12と、天井パネル30Bの端縁に設けられた凹凸部31が嵌合する。また、下側の単位パネル10Bの嵌合部13と、底面パネル30Aの端縁に設けられた凹凸部31が嵌合する。
【0030】
図1図2図4図8に示すように、単位パネル10A,10Bの左右方向(図1に示す保冷容器1の左右方向)の端縁には、嵌合部18,19が設けられている。嵌合部18は、交互に設けられた複数の嵌合凹部20(20A~20C)と複数の嵌合凸部21(21A~21C)とを含む。嵌合部19は、交互に設けられた複数の嵌合凸部22(22A~22C)と複数の嵌合凹部23(23A~23C)とを含む。
【0031】
図1図4図7および図8に示すように、側面パネル10の内面10aには、後述する冷媒受け50を保持する保持溝24,25が形成されている。詳細には、側面パネル10の内面10aには、保冷容器1の左右方向(図1に示す保冷容器1の左右方向)に沿って、嵌合部18の嵌合凸部21Aから嵌合部19の嵌合凹部23Aに延在する保持溝24と、保冷容器1の左右方向(図1に示す保冷容器1の左右方向)に沿って、嵌合部18の嵌合凹部20Cから嵌合部19の嵌合凸部22Cに延在する保持溝25とが形成されている。すなわち、保持溝24,25は、通気溝11に垂直に間隔を置いて並列に形成されている。保持溝24は、局所的に広がっている部分26を有する。保持溝25は、局所的に広がっている部分27を有する。
【0032】
図1に示すように、一方の側面パネル10の嵌合部18と他方の側面パネル10の嵌合部19が、左右方向に垂直に嵌合する。詳細には、一方の側面パネル10の嵌合凸部22Aが他方の側面パネル10の嵌合凹部20Aに嵌合し、他方の側面パネル10の嵌合凸部21Aが一方の側面パネル10の嵌合凹部23Aに嵌合し、一方の側面パネル10の嵌合凸部22Bが他方の側面パネル10の嵌合凹部20Bに嵌合し、他方の側面パネル10の嵌合凸部21Bが一方の側面パネル10の嵌合凹部23Bに嵌合し、一方の側面パネル10の嵌合凸部22Cが他方の側面パネル10の嵌合凹部20Cに嵌合し、他方の側面パネル10の嵌合凸部21Cが一方の側面パネル10の嵌合凹部23Cに嵌合する。なお、嵌合凸部21(21A~21C)と嵌合凸部22(22A~22C)には、面取りがある。
【0033】
図1図10図12図14および図15に示すように、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bは平面視正方形状をなしている。
底面パネル30Aと天井パネル30Bは同一の構成をなしている。
図1図10図15に示すように、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bの端縁には、凹凸部31(31A~31D)が設けられている。凹凸部31は、交互に設けられた複数の凸部32(32A~32F)と複数の凹部33(33A~33F)とを含む。
凹凸部31A,31B,31C,31Dは、同様の構造をなしている。
【0034】
図1に示すように、底面パネル30Aの凹凸部31と単位パネル10Bの嵌合部13が、上下方向に嵌合する。詳細には、単位パネル10Bの嵌合凸部16Aが底面パネル30Aの凹部33Aに嵌合し、底面パネル30Aの凸部32Aが単位パネル10Bの嵌合凹部17Aに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部16Bが底面パネル30Aの凹部33Bに嵌合し、底面パネル30Aの凸部32Bが単位パネル10Bの嵌合凹部17Bに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部16Cが底面パネル30Aの凹部33Cに嵌合し、底面パネル30Aの凸部32Cが単位パネル10Bの嵌合凹部17Cに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部16Dが底面パネル30Aの凹部33Dに嵌合し、底面パネル30Aの凸部32Dが単位パネル10Bの嵌合凹部17Dに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部16Eが底面パネル30Aの凹部33Eに嵌合し、底面パネル30Aの凸部32Eが単位パネル10Bの嵌合凹部17Eに嵌合し、単位パネル10Bの嵌合凸部16Fが底面パネル30Aの凹部33Fに嵌合し、底面パネル30Aの凸部32Fが単位パネル10Bの嵌合凹部17Fに嵌合する。なお、凸部32(32A~32F)には、面取りがある。
【0035】
図1に示すように、天井パネル30Bの凹凸部31と単位パネル10Aの嵌合部12が、上下方向に嵌合する。詳細には、単位パネル10Aの嵌合凸部14Fが天井パネル30Bの凹部33Aに嵌合し、天井パネル30Bの凸部32Aが単位パネル10Aの嵌合凹部15Fに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部14Eが天井パネル30Bの凹部33Bに嵌合し、天井パネル30Bの凸部32Bが単位パネル10Aの嵌合凹部15Eに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部14Dが天井パネル30Bの凹部33Cに嵌合し、天井パネル30Bの凸部32Cが単位パネル10Aの嵌合凹部15Dに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部14Cが天井パネル30Bの凹部33Dに嵌合し、天井パネル30Bの凸部32Dが単位パネル10Aの嵌合凹部15Cに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部14Bが天井パネル30Bの凹部33Eに嵌合し、天井パネル30Bの凸部32Eが単位パネル10Aの嵌合凹部15Bに嵌合し、単位パネル10Aの嵌合凸部14Aが天井パネル30Bの凹部33Fに嵌合し、天井パネル30Bの凸部32Fが単位パネル10Aの嵌合凹部15Aに嵌合する。
【0036】
図1図12および図15に示すように、底面パネル30Aと天井パネル30Bの内面30aには、内面30aの一方向に沿って、複数の溝34が、所定の間隔を置いて、並列に形成されている。
【0037】
図1図10および図14に示すように、底面パネル30の下面30b(内面30aとは反対側の面)に、保冷容器1を載置するパレットが嵌まる窪み部35が形成されている。
【0038】
本実施形態の保冷容器1は、図16図20に示す冷媒受け50を備える。冷媒受け50は、保冷容器1内に配置される冷媒を支持する。
図16および図20に示すように、冷媒受け50は平面視正方形状をなしている。また、冷媒受け50は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等からなる発泡体である。
冷媒受け50は、側面パネル10に支持される本体部51と、本体部51から上方(図1に示す保冷容器1の上方)に突出し、本体部51上を第1空間52と第2空間53とに区画する区画壁部54と、を有する。区画壁部54は、本体部51の平面視略中央において、略矩形状に配置されている。すなわち、本体部51の中央を第1空間52とし、第1空間52の周囲を第2空間として区分けされている。さらにいえば、第1空間52は、本体部51上において、区画壁部54に囲まれる空間(区画壁部54内の空間)であり、第2空間53は、本体部51上において、区画壁部54に囲まれていない空間である。
【0039】
本体部51に形成された区画壁部54による第1空間52の配置位置は、本体部51の平面視略中央でなくてもよく、平面視において本体部51の四隅に配置されていてもよい。この場合であっても、第1空間52は第2空間53の周囲を囲むように形成されていればよい。また、第1空間52を区分けする区画壁部54は平面視略矩形であるが、円形、四角形、五角形等、任意に定めることができる。
【0040】
第1空間52内には、相対的に融点の低い冷媒が配置され、第2空間53には相対的に融点の高い冷媒が配置される。これにより、第2空間53に配置された冷媒が、第1空間52に配置された冷媒に冷やされて、融解時間を遅らせることができる。すなわち、第2空間53に配置された冷媒を解け難い状態にすることができる。本実施態様では、第1空間52内には、ドライアイスが配置され、第2空間53には、氷が配置される。冷媒としては、ドライアイスや氷だけでなく、相対的に融点の異なる冷媒を組み合わせて使用することができる。
【0041】
本体部51は、その上面51aの冷気を本体裏側(下面側)に送り込む流路が形成されている。流路は本体部51の周縁に形成された切り欠き58および本体部51の中央よりも外側の貫通孔55により構成されている。この切り欠き58および貫通孔55を介して冷気は第2空間53から本体裏側へ移動する(流れる)。切り欠き58および貫通孔55が本体部51の中央よりも外側に設けられていることにより、保冷容器1の外側に冷気を送り、保冷容器1の外部からの熱に対応することができる。すなわち、冷気は第2空間53から流路を通り、側面パネル10の通気路を通って保冷容器1の底部へと流れることができる。
本実施形態の貫通孔55は、平面視略矩形の貫通孔であるが、その形状および大きさ、数は温度管理に適したものに定めることができる。また、貫通孔55の配置位置についても第2空間53に設けられていればよい。
【0042】
区画壁部54には、第1空間52と第2空間53とを連通する複数の通路56が形成されている。この通路56により、第1空間52内に配置されたドライアイスの冷気が、氷が配置される第2空間53に流れるようになっている。
【0043】
第2空間53には、本体部51の上面51a側に、複数の水受け部57が形成されている。水受け部57は、第2空間53に配置された氷が解けて生じた水を受けて、水が冷媒受け50の下方の空間に滴り落ちて、保冷容器1内に収容された内容物が濡れることを防止する。また、氷に代えて保冷剤を使用する場合であっても、保冷剤を収容する収納容器の周りに発生する結露水が保冷容器1に収容される内容物が濡れることを防止する。
【0044】
図16および図20に示すように、冷媒受け50の周縁部を、側面パネル10の内面10aに形成された保持溝24または保持溝25に嵌め入れることにより、冷媒受け50が側面パネル10に支持される。
【0045】
また、図21に示すように、冷媒受け50の本体部51の裏面51bには、冷媒受け50の端縁の一方向に平行に、長手方向と垂直な断面の形状がV字状の補強材60,60が設けられている。この補強材60を設けることにより、本体部51の上面51aに冷媒を配置しても、冷媒受け50の撓みが大きくなることを防止できる。
【0046】
次に、図22図30を参照して、本実施形態の保冷容器1の使用方法を説明する。
図22に示すように、保冷容器1を載置するパレット100を用意する。
【0047】
次いで、図23に示すように、パレット100上に底面パネル30Aを配置する。このとき、底面パネル30の下面30bに形成された窪み部35に、パレット100を嵌める。
その底面パネル30Aの隣接する二つの端縁の凹凸部31のそれぞれに、単位パネル10Bの嵌合部13を嵌合させて、底面パネル30Aの内面30a側において、底面パネル30Aの隣接する二つの端縁に、単位パネル10B,10Bを立設する。このとき、一方の単位パネル10Bの嵌合部18と他方の単位パネル10Bの嵌合部19とを嵌合させる。
【0048】
底面パネル30A上に立設した二つの単位パネル10Bの嵌合部12のそれぞれに、単位パネル10Aの嵌合部13を嵌合させて、単位パネル10Aと単位パネル10Bを接合する。このとき、一方の単位パネル10Aの嵌合部18と他方の単位パネル10Aの嵌合部19を嵌合させる。これにより、底面パネル30Aの内面30a上に、単位パネル10Aと単位パネル10Bからなる、二つの側面パネル10を立設する。
【0049】
図24に示すように、底面パネル30Aの外側から、底面パネル30Aの内面30aおよび側面パネル10の内面10aを経て、側面パネル10の外側まで延在するように、保温シート70を配置する。
【0050】
保温シート70は、発泡樹脂シートの少なくとも一方の面に金属層を有するものである。具体的には、保温シート70は、発泡樹脂シートと、その一方の面にアルミニウムを蒸着してなるアルミニウム層とを有するアルミ蒸着発泡シートである。
保温シート70は、側面パネル10の内面10aと底面パネル30Aの内面30aとは反対側に、アルミニウムを蒸着した面70aが現れるように配置される。すなわち、発泡樹脂シート側の面70bが、側面パネル10の内面10aと底面パネル30Aの内面30aとに対向するように、保温シート70が配置される。
【0051】
図25に示すように、底面パネル30Aの内面30a上に配置した保温シート70上に、複数の内容物200を積載する。
ここでは、側面パネル10の内面10aに沿って配置された保温シート70に近接するように、内容物200を配置する。また、図25に示すように、同一面上にある四つの内容物200の一部が互いに接触しない空間が、四つの内容物200からなる直方体の中央部に形成されるように、内容物200を配置する。これにより、内容物200の積載方向に沿って、内容物200からなる直方体の中央部に空洞300を形成する。
【0052】
次いで、図26に示すように、上述のように、さらに、底面パネル30A上に側面パネル10を立設する。
【0053】
図26に示すように、側面パネル10の内面10aに形成された保持溝24に、冷媒受け50の周縁を嵌め、水平方向にスライドさせて冷媒受け50を側面パネル10に支持させる。これにより、冷媒受け50の第1空間52が空洞300上に配置され、冷媒受け50の第2空間53が内容物200上に配置される。
【0054】
図27に示すように、冷媒受け50の第1空間52(区画壁部54内)に、ドライアイス400を配置する。
【0055】
次いで、図28に示すように、冷媒受け50の第1空間52に配置されたドライアイス400上、および、冷媒受け50の第2空間53に氷410を配置する。
【0056】
図29に示すように、底面パネル30A上に積載した内容物200、並びに、内容物200上に冷媒受け50を介して配置したドライアイス400および氷410を、それらの上下方向に保温シート70で覆う。すなわち、ドライアイス400および氷410は、アルミニウムで覆われて、遮熱効果が得られ、さらにその外側に発泡樹脂シートによる断熱効果を得られることにより保冷効果を高め、冷媒を長時間もたせることができる。
【0057】
次いで、図30に示すように、上述のように、さらに、底面パネル30A上に側面パネル10を立設する。これにより、底面パネル30A上に積載した内容物200の側面の全てを側面パネル10で囲む。
【0058】
図30に示すように、上述のように、側面パネル10の嵌合部12に、天井パネル30Bの凹凸部31を嵌合させて、保冷容器1を形成する。これにより、底面パネル30A上に積載した内容物200が、保冷容器1内に収容される。
さらに、内容物200を収容した保冷容器1の外周を、締結バンド500,500で締め付けることにより、より強固に側面パネル10と、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bとが接合し、保冷容器1内の冷気が外に漏れることを防止することができる。その結果、保冷容器1による内容物200の保冷状態を保つことができる。
【0059】
締結バンド500としては、特に制限されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)製のバンドが用いられる。
【0060】
本実施形態の保冷容器1によれば、互いに組み付けられる底面パネル30A、側面パネル10および天井パネル30Bを有する組み立て式の容器であって、側面パネル10の内面10aに、上方の冷気を下方に送り込む複数の通気溝(通気路)11が形成されているため、保冷容器1内に収容された内容物200上に配置されたドライアイス400や氷410の冷気を、保冷容器1内に拡散させることができる。その結果、保冷容器1による内容物200の保冷状態を保つことができる。また、内容物200に凍結障害が生じることを防止できる。
【0061】
本実施形態の保冷容器1によれば、側面パネル10を、上下方向に二つの単位パネル10A,10Bに分割することができるため、収容する内容物200の大きさに応じて、保冷容器1の高さを調整することができる。
【0062】
本実施形態の保冷容器1によれば、保冷容器1内に収容される内容物200を上下方向に覆う保温シート70を備えるため、ドライアイス400や氷410による保冷効果を高めることができる。
【0063】
<他の実施形態>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
【0064】
例えば、図31および図32に示すような変形例に係る保冷容器の各構成を採用してもよい。
【0065】
図31および図32に示す変形例に係る保冷容器600は、容器本体610と、容器本体610の内面610aから容器本体610の内側に突出する複数の突起620と、突起620上に載置されて、容器本体610内に配置される冷媒受け50と、を有する。
容器本体610は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のからなる発泡体からなり、上部が開口した立方体状または直方体状の容器である。
【0066】
本変形例の保冷容器600では、容器本体610内に上記に内容物200等を収容し、その内容物200上に、冷媒受け50を介して、上記のドライアイス400および氷410を配置することにより、ドライアイス400や氷410の冷気を、保冷容器600内に拡散させることができる。その結果、保冷容器600による内容物200の保冷状態を保つことができる。なお、保冷容器600内に、ドライアイス400や氷410とともに内容物200を収容した場合には、上記の天井パネル30Bと同様の構成のパネルにて、容器本体610の開口部に蓋をする。
【0067】
以下、図1から図32を援用し、図33から図40を参照して、本発明に係る保冷容器および冷媒受けのさらなる実施形態を説明する。
【0068】
本実施形態の保冷容器1および冷媒受け80は、前述の実施形態で説明した保冷容器1と同様に集合包装に用いられる。ここで、集合包装とは、複数の個別の包装を集合させて一つにまとめて包装することを意味する。すなわち、保冷容器1は、図25に示すように、個別に包装されて集積された複数の内容物200を収容する集合包装用保冷容器である。個別の包装である内容物200は、特に限定はされないが、たとえば、食肉や鮮魚など、凍結寸前の低温に維持して輸送するチルド輸送が必要な物品が収容された段ボール箱である。
【0069】
本実施形態の保冷容器1は、いくつかの点を除いて、前述の保冷容器1と同様の構成を備えている。そのため、本実施形態の保冷容器1において、前述の実施形態の保冷容器1と同様の部分には、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。一方、本実施形態の冷媒受け80は、前述の実施形態で説明した冷媒受け50とは異なる構成を備えている。以下では、主に、本実施形態の保冷容器1の前述の実施形態とは異なる部分と、本実施形態の冷媒受け80の構成とを説明するが、前述の実施形態の保冷容器1についても説明を補足する場合がある。
【0070】
図33は、本実施形態の冷媒受け80の斜視図である。冷媒受け80は、前述の冷媒受け50と同様に、上面に冷媒Cを支持して保冷容器1の内部で内容物200の上部に配置される発泡樹脂製の板状の部材である。具体的には、冷媒受け80は、矩形板状の部材である。図33に示す例において、冷媒受け80の平面形状はおおむね正方形であるが、長方形などの他の形状であってもよい。
【0071】
冷媒受け80は、たとえば、上面の中央部と周縁部との間に凹状に設けられた冷媒支持部81を有している。冷媒支持部81は、冷媒を支持するための部分である。図33に示す例において、冷媒受け80は、中央部と周縁部との間に延びる梁部82によって区画された複数の冷媒支持部81を有している。より具体的には、梁部82は、たとえば、冷媒受け80の中央部で直交する十字状に設けられ、冷媒受け80の中央部と周縁部との間に四つの冷媒支持部81を画定している。すなわち、冷媒支持部81は、たとえば、冷媒受け80の中央部と、冷媒受け80の周縁部と、梁部82とによって、冷媒受け80の上面に区画された凹部である。
【0072】
冷媒受け80の中央部は、たとえば、冷媒受け80の外形に対応する矩形または正方形の形状を有している。冷媒受け80の中央部は、たとえば、その中央に肉抜き用の矩形の凹部を有している。また、冷媒受け80の中央部は、たとえば、中央の肉抜き用の凹部の四つの角に隣接して、より浅い四つの矩形の肉抜き用の凹部が設けられている。冷媒受け80の中央部は、たとえば、この四つの浅い矩形の肉抜き用の凹部の外側を縁取るL字状の部分の外縁によって画定される矩形の部分である。
【0073】
冷媒受け80の周縁部は、たとえば、冷媒受け80の外形に対応する矩形または正方形の枠状または額縁状の形状を有している。冷媒受け80の周縁部の上端面は、凹状の冷媒支持部81よりも上方に設けられている。これにより、冷媒受け80の周縁部と冷媒支持部81との間には段差が設けられている。換言すると、冷媒受け80の周縁部は、冷媒支持部81よりも上方に突出するように設けられ、冷媒受け80の外縁側に冷媒支持部81の鉛直方向に沿う壁面を画定している。冷媒受け80の周縁部における外縁部は、たとえば、テーパ状に設けられている。より詳細には、冷媒受け80の周縁部は、たとえば、冷媒受け80の上面の周縁部に傾斜面を有している。この傾斜面は、たとえば、冷媒受け80の中央側から外縁に近づくにつれて、冷媒受け80の下面へ近づくように傾斜している。
【0074】
冷媒受け80の周縁部は、たとえば、複数の切欠き部83と、複数の連通溝84と、四つの角部85と、を有している。切欠き部83は、たとえば、冷媒受け80の周縁部の外縁が中央部に向けて内側に切り欠かれた部分である。切欠き部83は、たとえば、平面視でおおむね矩形溝状の形状を有し、冷媒受け80をその厚さ方向、すなわち保冷容器1の内部に配置されたときの上下方向に貫通している。切欠き部83は、冷媒受け80が保冷容器1の内部に配置されたときに、保冷容器1の側面パネル10との間に、冷媒によって冷却された空気すなわち冷気の流路を画定する。
【0075】
複数の切欠き部83は、たとえば、冷媒受け80の矩形の外縁の各辺に沿って、互いに間隔をあけて設けられている。より詳細には、たとえば、冷媒受け80の各辺の複数の切欠き部83のうち、両端部に配置されて角部85に隣接する一対の切欠き部83は、その内側に配置された切欠き部83よりも、冷媒受け80の外縁に沿う方向の幅が狭くなっている。換言すると、冷媒受け80の各辺の両端部に設けられた一対の切欠き部83の幅よりも、冷媒受け80の各辺の中間部に設けられた切欠き部83の幅が広くなっている。
【0076】
また、冷媒受け80の各辺の中間部に設けられた切欠き部83は、たとえば、拡張部83aを有している。拡張部83aは、たとえば、冷媒受け80の平面視で、切欠き部83の外側に設けられ、切欠き部83の開口部の幅を拡張させている。すなわち、冷媒受け80の矩形の外縁の各辺に沿う方向において、拡張部83aの幅は、切欠き部83の幅よりも広くなっている。拡張部83aは、たとえば、凹曲面状または部分円筒状の壁面を有し、冷媒受け80の平面視で内側から外側に向けて幅が漸次拡大している。
【0077】
複数の連通溝84は、たとえば、冷媒受け80の周縁部において、冷媒受け80の上面に凹状に設けられた溝である。連通溝84は、たとえば、冷媒受け80の周縁部を横断するように冷媒受け80の内側から外側へ向けて延び、冷媒支持部81と切欠き部83とを連通している。連通溝84は、たとえば、横断面における断面形状がおおむね矩形で上端が開放されている。連通溝84は、その内部を、冷媒支持部81に配置された冷媒によって冷却された空気、すなわち冷気が流れる流路を画定する。
【0078】
四つの角部85は、冷媒受け80の周縁部の上面から下面側へ向けて段差状に設けられている。各角部85の上面は、たとえば、冷媒受け80の周縁部の上面と平行であり、各角部85の両側に隣接する傾斜面の間に配置され、これらの傾斜面よりも冷媒受け80の厚さ方向における冷媒受け80の下面側に設けられている。各角部85の外周面は、たとえば、凸曲面状または部分円筒面状に設けられ、冷媒受け80の平面視で各角部85の両側の周縁部の外周面よりも内側に設けられている。各角部85の下面は、たとえば、冷媒受け80の下面と段差なく平坦に連続している。
【0079】
梁部82は、たとえば、冷媒受け80の中央部から周縁部へ放射状に延びている。図33に示す例において、梁部82の上面と、冷媒受け80の中央部の肉抜き用の凹部を除く部分の上面と、冷媒受け80の周縁部の切欠き部83、連通溝84および角部85を除く部分の上面とは、冷媒受け80の厚さ方向の段差がなく平坦である。すなわち、冷媒受け80において、梁部82の厚さと、中央部の肉抜き用の凹部を除く部分の厚さと、周縁部の切欠き部83、連通溝84および角部85を除く部分の厚さとが、最も厚くなっている。
【0080】
梁部82は、たとえば、冷媒受け80の中央において交差する縦方向と横方向の直交する二方向に延びている。これら二方向に延びる十字状の梁部82のうち、一方向に延びる梁部82は、その中央部に肉抜き用の凹部を有している。この一方向は、後述するように、冷媒受け80を二つの部品80aに分解する冷媒受け80の分解方向Dbであり、その二つの部品80aを組み合わせて冷媒受け80を組み立てる組立方向Daである。梁部82の肉抜き用の凹部は、その梁部82とともにその一方向に延びる溝状に形成されている。
【0081】
図34は、図33に示す冷媒受け80を構成する部品80aの斜視図である。図35は、図34に示す部品80aを下方から見た斜視図である。前述のように、冷媒受け80は、たとえば、平面視でおおむね長方形の二つの部品80aによって構成されている。すなわち、冷媒受け80の使用時には、二つの部品80aを組み立てて冷媒受け80を形成することができ、冷媒受け80の不使用時には、冷媒受け80を二つの部品80aに分解することができる。
【0082】
互いに組み合わされる二つの部品80aは同一の部品80aである。すなわち、互いに組み合わされる二つの部品80aの寸法、形状および材質は同一である。これら二つの部品80aを、互いに180度反転させた状態で対向させて組み合わせることで、図33に示す冷媒受け80を組み立てることができる。すなわち、冷媒受け80は、上記分解方向Dbおよび組立方向Daにおいて、組み合わせ可能な二つの同一形状の部品80aに分割されている。これら二つの部品80aは、互いに対向して組み合される端縁に嵌合部86を有している。
【0083】
部品80aの嵌合部86は、たとえば、複数の凸部86a,86bと、複数の凹部86c,86dと、を備えている。より具体的には、嵌合部86は、たとえば、四つの凸部86aと、一つの凸部86bと、四つの凹部86cと、一つの凹部86dと、を備えている。本実施形態では、長方形の部品80aの短手方向に平行で、二つの部品80aの互いに対向する嵌合部86を接近させて嵌合させる方向を、組立方向Daとする。また、長方形の部品80aの短手方向に平行で、二つの部品80aの互いの嵌合部86の嵌合を解除して二つの部品80aを分離させる方向を、分解方向Dbとする。
【0084】
凸部86aは、たとえば、平面視でおおむね矩形の形状を有し、組立方向Daに向けて突出している。凹部86cは、たとえば、平面視で凸部86aに対応するおおむね矩形の形状を有し、分解方向Dbに凹状に設けられている。凸部86aおよび凹部86cは、たとえば、二つの部品80aの嵌合部86を互いに対向させたときに、一方の部品80aの凸部86aと、他方の部品80aの凹部86cとが向かい合う位置に設けられている。これにより、二つの部品80aの嵌合部86を互いに対向させて組立方向Daに接近させたときに、一方の部品80aの凸部86aが、他方の部品80aの凹部86cに対して、組立方向Daに挿入されて嵌合するようになっている。
【0085】
凸部86bは、たとえば、平面視で先端側を上底とする台形の形状を有し、組立方向Daに向けて突出している。台形の凸部86bの一方の脚に相当する側縁は、たとえば組立方向Daに対しておおむね平行であり、台形の凸部86bの他方の脚に相当する側縁は、たとえば組立方向Daに対しておおむね45度の角度で傾斜している。凹部86dは、たとえば、平面視で凸部86bに対応する台形の形状を有し、分解方向Dbに凹状に設けられている。凸部86bおよび凹部86dの大部分は、たとえば、深い凹部が設けられた冷媒受け80の中央部の薄肉部によって形成されている。
【0086】
凸部86bおよび凹部86dは、たとえば、二つの部品80aの嵌合部86を互いに対向させたときに、一方の部品80aの凸部86bと、他方の部品80aの凹部86dとが向かい合う位置に設けられている。これにより、二つの部品80aの嵌合部86を互いに対向させて組立方向Daに接近させたときに、一方の部品80aの凸部86bが、他方の部品80aの凹部86dに対して、組立方向Daに挿入されて嵌合するようになっている。
【0087】
すなわち、冷媒受け80は、平面視で冷媒受け80の中心に点対称な切断曲線によって、同一形状の二つの部品80aに分割されている。また、図35に示すように、部品80aの下面には、複数の肉抜き用の凹部が設けられている。これら肉抜き用の凹部の形状は特に限定されないが、嵌合部86に隣接する凹部の形状は、たとえば五角形であり、部品80aの短辺に隣接する凹部の形状は、たとえば台形であり、他の凹部の形状は、たとえば六角形である。
【0088】
図33および図34に示すように、一つの部品80aは、たとえば、組立方向Daおよび分解方向Dbに直交する部品80aの長手方向に並んだ二つの冷媒支持部81を有している。これにより、図33に示すように、二つの部品80aを組み合わせた冷媒受け80は、たとえば前述のように、四つの冷媒支持部81を有している。以下、冷媒支持部81の構成について、詳細に説明する。
【0089】
冷媒支持部81は、前述のように、保冷容器1の内部を保冷するための冷媒Cを支持するための部分である。冷媒支持部81に配置する冷媒Cとしては、たとえば、ドライアイスを用いることができる。なお、冷媒支持部81に配置される冷媒Cは、ドライアイスに限定されず、容器に収容された氷や蓄冷材であってもよい。
【0090】
冷媒支持部81は、たとえば、図33に示す冷媒受け80の平面視において、冷媒受け80の矩形の中央部、矩形枠状の周縁部、および十字型の梁部82によって、冷媒受け80の上面に区画された、おおむねL字型の凹部である。L字型の冷媒支持部81は、たとえば、冷媒受け80の四隅に中央部の外縁および周縁部の内縁に沿って設けられている。冷媒支持部81は、たとえば、図34に示すように、冷媒Cを支持する傾斜支持面81a,81bと、冷気が流れる冷気溝81d,81eと、複数の貫通孔81gと、を有している。
【0091】
傾斜支持面81a,81bは、たとえば、第1の傾斜支持面81aと、第2の傾斜支持面81bとを含んでいる。また、冷気溝81d,81eは、たとえば、第1の冷気溝81dと第2の冷気溝81eとを含んでいる。第1の傾斜支持面81aと第2の傾斜支持面81bには、それぞれ、第1の冷気溝81dと第2の冷気溝81eと貫通孔81gとが設けられている。
【0092】
第1の傾斜支持面81aは、たとえば、平面視で長方形の部品80aの短手方向に平行である。また、第1の傾斜支持面81aは、たとえば、平面視で長方形の部品80aの長手方向において、冷媒受け80の中央部から周縁部へ近づくほど、冷媒受け80の下面に近づくように、下方へ傾斜している。
【0093】
第2の傾斜支持面81bは、たとえば、平面視で長方形の部品80aの長手方向に平行である。また、第1の傾斜支持面81aは、たとえば、平面視で長方形の部品80aの短手方向において、冷媒受け80の中央部から周縁部へ近づくほど、冷媒受け80の下面に近づくように、下方へ傾斜している。
【0094】
第1の傾斜支持面81aと第2の傾斜支持面81bとの間には、矩形の冷媒受け80の対角線に沿って、稜線81cが形成されている。稜線81cは、第1の傾斜支持面81aと第2の傾斜支持面81bとの間の交線である。稜線81cは、冷媒受け80の矩形の中央部の角から角部85へ向けて貫通孔81gまで、第1の冷気溝81dを跨いで直線状に延びている。
【0095】
第1の傾斜支持面81aに設けられた第1の冷気溝81dは、平面視で長方形の部品80aの長手方向において、冷媒受け80の中央部と周縁部との間で、貫通孔81gよりも中央部側に設けられている。第1の傾斜支持面81aの第1の冷気溝81dは、平面視で長方形の部品80aの短手方向において、梁部82から稜線81cまで延びている。なお、第1の冷気溝81dの底面は、冷媒受け80の下面と平行であってもよいが、第1の傾斜支持面81aと同様に傾斜していてもよい。
【0096】
第1の傾斜支持面81aに設けられた第2の冷気溝81eは、平面視で長方形の部品80aの長手方向において、第1の冷気溝81dから冷媒受け80の周縁部の拡張部83aを有する切欠き部83まで延びている。なお、第1の傾斜支持面81aの第2の冷気溝81eの底面は、冷媒受け80の下面と平行であってもよいが、第1の傾斜支持面81aと同様に傾斜していてもよい。
【0097】
第2の傾斜支持面81bに設けられた第1の冷気溝81dは、平面視で長方形の部品80aの短手方向において、冷媒受け80の中央部と周縁部との間で、貫通孔81gよりも中央部側に設けられている。第2の傾斜支持面81bの第1の冷気溝81dは、平面視で長方形の部品80aの長手方向において、梁部82から稜線81cまで延びている。なお、第2の傾斜支持面81bの第1の冷気溝81dの底面は、冷媒受け80の下面と平行であってもよいが、第2の傾斜支持面81bと同様に傾斜していてもよい。
【0098】
第2の傾斜支持面81bに設けられた第2の冷気溝81eは、平面視で長方形の部品80aの短手方向において、第1の冷気溝81dから冷媒受け80の周縁部の拡張部83aを有する切欠き部83まで延びている。なお、第2の傾斜支持面81bの第2の冷気溝81eの底面は、冷媒受け80の下面と平行であってもよいが、第2の傾斜支持面81bと同様に傾斜していてもよい。
【0099】
なお、傾斜支持面81a,81bは、たとえば、発泡樹脂製の冷媒受け80の表面を覆う被覆材の表面であってもよい。この場合、冷媒支持部81は、全体が被覆材によって覆われていてもよく、傾斜支持面81a,81bに対応する部分のみが被覆材によって覆われていてもよい。被覆材としては、たとえば、被覆材によって覆われる部分の形状に合わせて成形した非発泡樹脂シートを用いることができる。被覆材の表面は、冷媒受け80を構成する発泡樹脂の表面よりも平滑である。より具体的には、被覆材としては、たとえば、厚さが0.1mm程度のポリエチレンシートを用いることができる。また、被覆材として、たとえば、硬化性の樹脂を、冷媒支持部81の傾斜支持面81a,81bに対応する部分に塗布してもよい。
【0100】
貫通孔81gは、たとえば、平面視で矩形の形状を有し、冷媒受け80の矩形枠状の周縁部の内縁に沿って設けられている。より具体的には、冷媒支持部81は、冷媒受け80の矩形枠状の周縁部の角部の内側に貫通孔81gを有している。また、冷媒支持部81は、冷媒受け80の周縁部と部品80aの長手方向に延びる梁部82との間の角部の内側に、貫通孔81gを有している。さらに、冷媒支持部81は、冷媒受け80の周縁部と部品80aの短手方向に延びる梁部82との間の角部の内側に貫通孔81gを有している。梁部82に隣接する貫通孔81gは、梁部82の一部を切り欠くように設けられている。
【0101】
図36は、本実施形態の保冷容器1の底面パネル30Aの斜視図である。図37は、図36に示す底面パネル30Aを構成する部品30A1の斜視図である。図38は、図37に示す部品30A1を下方から見た斜視図である。
【0102】
本実施形態の保冷容器1の底面パネル30Aは、主に以下の点において、前述の実施形態の保冷容器1の底面パネル30Aと異なっている。第1に、底面パネル30Aが、二つの部品30A1によって分解可能に設けられている点である。第2に、底面パネル30Aが網目状の溝34を備える点である。第3に、底面パネル30Aが、締結バンド500を通す貫通孔を形成するための仮穴38を有する点である。本実施形態の保冷容器1の底面パネル30Aのその他の点は、前述の実施形態の保冷容器1の底面パネル30Aと同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0103】
本実施形態の保冷容器1において、底面パネル30Aは、冷媒受け80と同様に、平面視でおおむね長方形の二つの部品30A1によって構成されている。すなわち、保冷容器1の使用時には、二つの部品30A1を組み立てて底面パネル30Aを形成することができ、保冷容器1の不使用時には、底面パネル30Aを二つの部品30A1に分解することができる。
【0104】
互いに組み合わされる二つの部品30A1は同一の部品30A1である。すなわち、互いに組み合わされる二つの部品30A1の寸法、形状および材質は同一である。これら二つの部品30A1を、互いに180度反転させた状態で対向させて組み合わせることで、図36に示す底面パネル30Aを組み立てることができる。すなわち、底面パネル30Aは、分解方向Dbおよび組立方向Daにおいて、組み合わせ可能な二つの同一形状の部品30A1に分割されている。これら二つの部品30A1は、互いに対向して組み合される端縁に嵌合部39を有している。
【0105】
部品30A1の嵌合部39は、突片部39aと、受部39bとを備えている。ここで、図36に示す組み立てた状態の底面パネル30Aを二つの部品30A1に分解するときに各部品30A1を分離させる方向を分解方向Dbとする。また、二つの部品30A1の嵌合部39を対向させて底面パネル30Aを組み立てるときに、各部品30A1を嵌合させる方向を組立方向Daとする。
【0106】
突片部39aは、受部39bよりも組立方向Daに突出させて設けられた板状の部分である。突片部39aは、たとえば、底面パネル30Aの平面視でおおむね台形の形状を有し、底面パネル30Aの外縁側の台形の脚が組立方向Daとおおむね平行である。突片部39aは、図38に示すように、底面パネル30Aの下面30bに凹状の段差を有している。この突片部39aの段差面には、たとえば、ガイド用凸部39cが設けられている。
【0107】
ガイド用凸部39cは、たとえば、丸められた頂点を組立方向Daに向けたおおむね二等辺三角形の形状を有している。たとえば、底面パネル30Aの下面30bに平行で組立方向Daに直交する方向において、複数のガイド用凸部39cが等間隔に並んでいる。底面パネル30Aの厚さ方向において、ガイド用凸部39cの頂面は、底面パネル30Aの下面30bの窪み部35の底面よりも、底面パネル30Aの上面である内面30a側に位置している。すなわち、窪み部35の底面と、ガイド用凸部39cの頂面との間には、凹状の段差が設けられている。
【0108】
受部39bは、突片部39aを受け入れて嵌合させる凹状の部分である。具体的には、図37に示すように、受部39bは、底面パネル30Aの上面である内面30aに、突片部39aに対応する凹状に設けられている。より詳細には、受部39bは、たとえば、底面パネル30Aの平面視で、突片部39aの形状を180度の角度で反転させたおおむね台形の形状を有し、底面パネル30Aの外縁側の台形の脚が組立方向Daとおおむね平行である。
【0109】
受部39bは、たとえば、ガイド用凸部39cを受け入れて嵌合させるガイド用凹部39dを有している。具体的には、図37に示すように、ガイド用凹部39dは、底面パネル30Aの上面である内面30aに凹状に設けられた受部39bの段差面に凹状に設けられている。より詳細には、ガイド用凹部39dは、たとえば、底面パネル30Aの平面視で、ガイド用凸部39cの形状を180度の角度で反転させたおおむね二等辺三角形の形状を有している。
【0110】
本実施形態の底面パネル30Aは、前述のように、上面である内面30aに、網目状の溝34を有している。より具体的には、溝34は、底面パネル30Aの内面30aにおおむね六角形の複数の島状部を千鳥状に残すように規則的に形成されている。なお、底面パネル30Aの内面30aにおいて一部の島状部の形状を残りの島状部の形状と異ならせることで、組立時の目印としてもよい。
【0111】
図38に示すように、部品30A1は、底面パネル30Aが組立方向Daにおいて二分割されることで、おおむね長方形の平面形状を有している。部品30A1は、たとえば、下面30bの窪み部35の外縁に沿って、複数の仮穴38を有している。仮穴38は、部品30A1の下面30bに開口しているが、部品30A1を貫通せず、底面パネル30Aの上面である内面30aとの間に底壁を有している。仮穴38は、たとえば、窪み部35の外縁に沿って延びるスリット状の形状に設けられている。
【0112】
この仮穴38の形状は、内容物200を固縛する締結バンド500の断面形状に対応しており、締結バンド500を挿入することができる形状になっている。また、仮穴38の底壁は、仮穴38に締結バンド500の先端を挿入して押し込んだときに破断して、締結バンド500を貫通させることができる厚さに設定されている。
【0113】
図38に示すように、仮穴38は、平面視がおおむね長方形の部品30A1の長手方向において、たとえば、窪み部35の外縁の中間部に間隔をあけて二つ設けられている。また、仮穴38は、平面視がおおむね長方形の部品30A1の短手方向において、たとえば、窪み部35の外縁の中間部に一つ設けられている。すなわち、二つの部品30A1によって構成される底面パネル30Aは、下面30bの窪み部35の外縁の各辺の中間部に、仮穴38を二つずつ有している。これらの仮穴38の位置は、たとえば、図22に示すパレット100において、締結バンド500を通す位置に対応している。
【0114】
以下、本実施形態の保冷容器1および冷媒受け80の作用について説明する。
【0115】
図39は、本実施形態の保冷容器1による集合包装の一例を示す斜視図である。本実施形態の保冷容器1は、たとえば、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、図22に示すパレット100の上に底面パネル30Aが配置される。このとき、あらかじめパレット100の所定の位置に締結バンド500を通し、締結バンド500の先端を底面パネル30Aの仮穴38に挿入する。これにより、締結バンド500が仮穴38の底壁を貫通して、パレット100の所定の位置に通された締結バンド500が底面パネル30Aを貫通した状態になる。
【0116】
次に、図23に示すように底面パネル30Aに側面パネル10が取り付けられる。ここでは、底面パネル30Aを貫通した締結バンド500の図示を省略する。さらに、図24に示す前述の実施形態の保冷容器1と同様に、保温シート70が配置される。ここで、保温シート70は、内容物200の保冷を目的として配置される。そのため、以下では、前述の実施形態で説明した保温シート70を、「保冷シート70」と呼ぶこととする。図24に示す状態では、たとえば、保冷シート70に締結バンド500を通す貫通孔が設けられ、底面パネル30Aを貫通した締結バンド500が保冷シート70の貫通孔に通されていてもよい。
【0117】
次に、図25に示す前述の実施形態の保冷容器1と同様に、底面パネル30Aの内面30a上に配置した保冷シート70の上に、複数の内容物200を積載する。ここで、内容物200は、たとえば、段ボール箱に収容された食肉や鮮魚などの生鮮食品であり、それらを凍結させない範囲で、できるだけ低温にするように予冷されている。ここでも、底面パネル30Aを貫通した締結バンド500の図示は省略する。
【0118】
次に、図39に示すように、底面パネル30Aの上に集積された内容物200を、締結バンド500によって固縛して固定する。次に、図33に示すように、二つの部品80aからなる冷媒受け80を組み立てる。次に、図26に示す冷媒受け50と同様に、本実施形態の冷媒受け80を側面パネル10に支持させる。なお、冷媒受け80は、たとえば、底面パネル30Aの上に集積された内容物200の上に載せることで、保冷容器1の上部に配置してもよい。また、冷媒受け80は、保冷容器1の底面パネル30Aの上に立てた支柱によって支持することで、保冷容器1の上部に配置してもよい。次に、図33に示すように、冷媒受け80の冷媒支持部81に冷媒Cを配置する。
【0119】
より詳細には、冷媒支持部81の第1の傾斜支持面81aに、第1の冷気溝81d、第2の冷気溝81e、および角部85と反対側の貫通孔81gを覆うように、冷媒Cを配置する。この第1の傾斜支持面81aに配置される冷媒Cは、たとえば、矩形板状のドライアイスである。また、冷媒支持部81の第2の傾斜支持面81bに、第1の冷気溝81d、第2の冷気溝81e、および角部85と反対側の貫通孔81gを覆うように、冷媒Cを配置する。この第2の傾斜支持面81bに配置される冷媒Cは、たとえば、第1の傾斜支持面81aに配置されるドライアイスよりも大きい矩形板状のドライアイスである。
【0120】
このようにして、冷媒受け80の複数の冷媒支持部81のすべてに冷媒Cを配置する。なお、冷媒Cは、たとえば、冷媒受け80の中央部や梁部82の上に配置してもよい。冷媒受け80の中央部や梁部82の上に配置する冷媒Cは、たとえば、ドライアイスでも氷でもよい。
【0121】
次に、図29に示すように、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、底面パネル30Aの上に集積した複数の内容物200と、その上に配置されて冷媒Cを支持する冷媒受け80とを、保冷シート70によって覆う。次に、図30に示すように、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、側面パネル10の上端に天井パネル30Bを取り付けて、本実施形態の保冷容器1の組み立てを完了する。なお、本実施形態の保冷容器1において、保冷容器1の外側の締結バンド500は、省略することも可能である。
【0122】
このように、本実施形態の保冷容器1は、たとえばチルド輸送が必要な物品が収容された段ボール箱である内容物200の集合包装に用いられる。このような保冷容器1では、たとえば、次のような課題がある。
【0123】
前述のように、チルド輸送においては、内容物200が予冷されて保冷容器1の内部に集積されている。この場合、集積された複数の内容物200は、保冷容器1の側面パネル10に近い外側の部分の温度が外気温の影響を受けて上昇しやすい反面、側面パネル10から離れた部分の温度は外気温の影響を受けにくく上昇しにくい。また、冷媒Cに近い内容物200は、冷媒Cの冷気によって過剰に冷却されて内部の生鮮食品が凍結しやすい。このように、保冷容器1は、内部に集積された複数の内容物200の温度が不均一になりやすいという課題がある。
【0124】
ここで、図33に示す本実施形態の冷媒受け80は、図27に示す前述の実施形態の冷媒受け50と同様に、保冷容器1の側面パネル10に支持されて保冷容器1の上部に配置される。本実施形態の冷媒受け80は、その中央部と周縁部との間に設けられた凹状の冷媒支持部81を備えている。
【0125】
この構成により、冷媒受け80の中央部と周縁部との間の凹状の冷媒支持部81に冷媒Cを保持することができる。より詳細には、冷媒受け80の周縁部と凹状の冷媒支持部81との間の段差によって、冷媒支持部81に保持された冷媒Cが冷媒受け80の周縁部を超えて外側へ移動することが防止される。また、冷媒受け80の中央部と凹状の冷媒支持部81との間の段差によって、冷媒支持部81に保持された冷媒Cが冷媒受け80の中央部へ移動することが防止される。これにより、冷媒Cを冷媒受け80上の最適な位置に保持することができる。したがって、本実施形態によれば、保冷容器1に配置される冷媒Cを支持し、内容物200に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物200の保冷状態を保つことができる冷媒受け80を提供することができる。
【0126】
また、本実施形態において、冷媒受け80の周縁部は、複数の切欠き部83と、冷媒支持部81と切欠き部83とを連通する複数の連通溝84と、を有している。
【0127】
この構成により、冷媒受け80の周縁部の近傍に達した冷気は、冷媒支持部81から連通溝84を介して切欠き部83へ流入し、切欠き部83を通って冷媒受け80の下方へ流れる。これにより、冷媒支持部81から保冷容器1の側面パネル10の近傍に効率よく冷気を供給することができる。そのため、保冷容器1の内部に集積された複数の内容物200のうち、外気温の影響を受けて温度が上昇しやすい側面パネル10の近傍の内容物200が冷媒受け80から供給された冷気によって効率よく冷却され、複数の内容物200の温度をより均一にすることができる。
【0128】
また、本実施形態の冷媒受け80において、冷媒支持部81は、冷媒Cを支持する傾斜支持面81a,81bと、その傾斜支持面81a,81bに設けられて切欠き部83に連通する冷気溝81d,81eと、冷媒受け80の周縁部に隣接する貫通孔81gと、を有している。より具体的には、傾斜支持面81a,81bは、たとえば、冷媒受け80の中央部から周縁部へ近づくほど冷媒受け80の下面に近づくように傾斜している。
【0129】
この構成により、冷媒Cによって冷却された空気である冷気は、傾斜支持面81a,81bの傾斜により、傾斜支持面81a,81bに沿って冷媒受け80の中央部から周縁部へ流れる。傾斜支持面81a,81bに沿って流れて冷媒受け80の周縁部の近傍に達した冷気は、周縁部に隣接する貫通孔81gを通って冷媒受け80の下方へ流れる。また、一部の冷気は、傾斜支持面81a,81bに設けられた冷気溝81d,81eを流れ、切欠き部83を通って冷媒受け80の下方へ流れる。さらに、一部の冷気は、冷媒支持部81から連通溝84を介して切欠き部83へ流入し、切欠き部83を通って冷媒受け80の下方へ流れる。
【0130】
このように、本実施形態の冷媒受け80によれば、冷媒受け80の上面の冷媒支持部81によって冷媒Cを支持し、冷媒Cによって冷却された冷気を、冷媒受け80の中央部から周縁部へ導くことができる。さらに、冷媒受け80の周縁部に到達した冷気を、複数の貫通孔81gおよび複数の切欠き部83を通して、保冷容器1の側面パネル10の近傍に供給することができる。そのため、保冷容器1の内部に集積された複数の内容物200のうち、外気温の影響を受けて温度が上昇しやすい側面パネル10の近傍の内容物200が冷媒受け80から供給された冷気によって効率よく冷却され、複数の内容物200の温度をより均一にすることができる。
【0131】
また、傾斜支持面81a,81bに支持された冷媒Cは、冷媒受け80の周縁部の内側の貫通孔81gや、冷媒受け80の周縁部の切欠き部83において、温度が上昇した空気に接しやすくなる。そのため、冷媒Cは、冷媒受け80の中央部側よりも周縁部側がより短時間に昇華して消失する。すると、冷媒Cは、重力の作用によって、傾斜支持面81a,81b上を、冷媒受け80の中央部側から周縁部側へ滑り、周縁部側の端部が周縁部に当接する位置まで移動する。
【0132】
これにより、冷媒Cは、全体が消失するまで、貫通孔81gや連通溝84が設けられた傾斜支持面81a,81bの外縁部に位置した状態になる。したがって、冷媒Cが消失するまでの間、冷媒受け80の周縁部に隣接する貫通孔81gや、冷媒受け80の周縁部に設けられた切欠き部83により近い位置で、冷媒Cによって空気を冷却することができる。これにより、貫通孔81gや切欠き部83を介して、側面パネル10の内面10aの上部に、より低温の冷気をより効率よく供給することができる。
【0133】
さらに、本実施形態の冷媒受け80において、傾斜支持面81a,81bは、たとえば冷媒支持部81の少なくとも一部を覆う被覆材の表面である。この構成により、たとえば、冷媒受け80の素材が発泡樹脂である場合に、傾斜支持面81a,81bを発泡樹脂の表面よりも平滑にして、傾斜支持面81a,81bと冷媒Cとの間の静止摩擦係数を、冷媒受け80の素材の表面と冷媒Cとの間の静止摩擦係数よりも、低減することができる。これにより、傾斜支持面81a,81b上の冷媒Cの滑りを良くして、冷媒受け80の中央部側から周縁部側へ冷媒Cを移動しやすくすることができる。さらに、冷媒受け80の素材よりも硬度および耐久性に優れた被覆材によって、冷媒支持部81を保護することができる。
【0134】
また、本実施形態の保冷容器1は、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、互いに組み付けられる底面パネル30A、側面パネル10および天井パネル30Bを有する組み立て式の保冷容器である。また、本実施形態の保冷容器1は、側面パネル10の内面10aに、上方の冷気を下方に送り込む通気路である通気溝11が上下方向に沿って形成されている。
【0135】
換言すると、本実施形態の保冷容器1は、底面パネル30Aと、側面パネル10と、天井パネル30Bと、を備え、側面パネル10の嵌合部12,13に底面パネル30Aおよび天井パネル30Bの凹凸部31が取り外し可能に嵌合する組み立て式の保冷容器である。この保冷容器1が組み立てられた状態で、側面パネル10は、内面10aに底面パネル30Aに垂直な高さ方向に沿って延びる複数の通気溝11を有している。
【0136】
このような構成により、冷媒受け80に支持された冷媒Cによって冷却された冷気は、冷媒受け80の貫通孔81gおよび切欠き部83を通り、側面パネル10の上部において側面パネル10の内面10aに設けられた通気溝11へ流入する。通気溝11へ流入した冷気は、通気溝11を通って下方へ流れる。これにより、外気温の影響により温度が上昇しやすい側面パネル10の近傍に位置する内容物200を、側面パネル10の上部から下方へ流れる冷気によって効率よく冷却して、保冷することができる。
【0137】
図40は、本実施形態の保冷容器1の側面パネル10を構成する上側の単位パネル10Aの嵌合部13と下側の単位パネル10Bの嵌合部12とを嵌合させた状態を示す斜視図である。
【0138】
前述の実施形態の保冷容器1と同様に、本実施形態の保冷容器1において、側面パネル10は、少なくとも上下方向に複数の単位パネル10A,10Bから構成されている。複数の単位パネル10A,10Bの一方の面には通気路を構成する通気溝11が上下方向に沿って形成されている。単位パネル10A,10Bの上下方向の端縁にはそれぞれ嵌合部12,13が設けられている。嵌合部12,13には、通気溝11に連通する連通部が形成されている。上側の単位パネル10Aの嵌合部13と下側の単位パネル10Bの嵌合部12とが嵌合されると、上側の単位パネル10Aの通気溝11と下側の単位パネルの通気溝11とが連通部を介して連通される。
【0139】
すなわち、嵌合部12,13は、単位パネル10A,10Bの上下方向の端縁に形成された嵌合凹部15と嵌合凸部14とから構成されている。上記連通部は、嵌合凸部14に設けられた縦溝14aと横溝14bとからなる。縦溝14aは通気溝11と連通されている。上側の単位パネル10Aの嵌合部13と下側の単位パネル10Bの嵌合部12とが嵌合されると、嵌合凸部14に設けられた横溝14b同士が接続されて、上側の単位パネル10Aの通気溝11と下側の単位パネル10Bの通気溝11とが連通される。
【0140】
換言すると、本実施形態の保冷容器1において、側面パネル10は、複数の単位パネル10A,10Bによって分解可能に構成されている。各単位パネル10A,10Bは、高さ方向の一端と他端に嵌合部12,13を有し、高さ方向に並んだ一方の単位パネル10Aの嵌合部13と他方の単位パネル10Bの嵌合部12とが嵌合するように設けられている。嵌合部12,13は、一端が通気溝11に連通して単位パネル10A,10Bの内面10aに沿って保冷容器1の高さ方向に延びる縦溝14aと、その縦溝14aの他端に連通して単位パネル10A,10Bの内面10aに沿って保冷容器1の高さ方向に直交する横方向に延びる横溝14bとを有する。本実施形態の保冷容器1は、一方の単位パネル10Aの嵌合部13と、他方の単位パネル10Bの嵌合部12とが嵌合した状態で、一方の単位パネル10Aの嵌合部13に設けられた横溝14bと、他方の単位パネル10Bに設けられた横溝14bとが横方向に連通している。
【0141】
このような構成により、保冷容器1の不使用時には、側面パネル10を複数の単位パネル10A,10Bに分解することができ、保冷容器1をコンパクトに収納し、保管し、または、輸送することができる。また、保冷容器1の使用時には、複数の単位パネル10A,10Bを組み立てて側面パネル10を構成することができる。なお、側面パネル10は、一つの単位パネル10Aもしくは単位パネル10B、または、三つ以上の単位パネル10Aもしくは単位パネル10Bによって構成することも可能である。これにより、保冷容器1の内部に収容される内容物200の高さに応じて、側面パネル10の高さを変更することができる。
【0142】
また、図40に示すように、高さ方向に並んだ一方の単位パネル10Aの嵌合部13と他方の単位パネル10Bの嵌合部12とが嵌合する。すると、一方の単位パネル10Aの嵌合部13に設けられた横溝14bと、他方の単位パネル10Bに設けられた横溝14bとが横方向に連通する。これにより、一方の単位パネル10Aに設けられた複数の通気溝11と、他方の単位パネル10Bに設けられた複数の通気溝11とを、単位パネル10Aおよび単位パネル10Bの複数の縦溝14aおよび横溝14bを介して連通させることができる。
【0143】
これにより、冷媒受け80の周縁部から一方の単位パネル10Aに設けられた複数の通気溝11の上部に供給された冷気は、その単位パネル10Aに設けられた複数の通気溝11から、その単位パネル10Aに設けられた複数の縦溝14aに流入する。この一方の単位パネル10Aの複数の縦溝14aに流入した冷気は、その単位パネル10Aの横溝14bを流れ、他方の単位パネル10Bの横溝14bに流入する。この他方の単位パネル10Bの横溝14bに流入した冷気は、その単位パネル10Bの縦溝14aを流れて、その単位パネル10Bの通気溝11に流入して、底面パネル30Aに到達する。
【0144】
このように、上記の構成によれば、冷媒受け80の周縁部から一方の単位パネル10Aの上部に供給された冷気を、単位パネル10Aの通気溝11、縦溝14a、および横溝14b、ならびに単位パネル10Bの横溝14b、縦溝14a、および通気溝11を介して、底面パネル30Aまで導くことができる。したがって、本実施形態の保冷容器1によれば、外気温の影響により温度が上昇しやすい側面パネル10の近傍に位置する内容物200を、冷媒受け80の周縁部から底面パネル30Aへ流れる冷気によって効率よく冷却して、保冷することができる。
【0145】
また、上記の構成によれば、保冷容器1を組み立てたときに、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bと、側面パネル10との間に、保冷容器1の内部と外部とを連通する流路が形成されることを、防止できる。より具体的には、たとえば、単位パネル10Aおよび単位パネル10Bが、嵌合部12,13に縦溝14aおよび横溝14bを有しておらず、通気溝11が嵌合部12,13の端面まで延びている場合を想定する。この場合、通気溝11によって、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bと、側面パネル10との間に、保冷容器1の内部と外部とを連通する流路が形成される。
【0146】
これに対し、本実施形態の保冷容器1は、上記の構成を備えることで、次のような作用を生じる。一方の単位パネル10Aの嵌合部12と天井パネル30Bの凹凸部31とを嵌合させると、単位パネル10Aにおいて、縦溝14aを介して通気溝11に連通する横溝14bの両端部が、天井パネル30Bの凸部32の側面によって封鎖される。同様に、他方の単位パネル10Bの嵌合部13と、底面パネル30Aの凹凸部31とを嵌合させると、単位パネル10Bにおいて、縦溝14aを介して通気溝11に連通する横溝14bの両端部が、底面パネル30Aの凸部32の側面によって封鎖される。したがって、本実施形態の保冷容器1によれば、底面パネル30Aおよび天井パネル30Bと、側面パネル10との間に、保冷容器1の内部と外部とを連通する流路が形成されるのを防止して、組立式の保冷容器1の保冷性能を向上させることができる。
【0147】
また、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、本実施形態の保冷容器1において、嵌合部12,13は、単位パネル10A,10Bの上下方向の端縁に形成された複数の嵌合凹部15と複数の嵌合凸部14とから構成されている。上側の単位パネル10Aの嵌合部13と下側の単位パネル10Bの嵌合部12とが嵌合されるときに、当接される嵌合凹部15同士の一方の嵌合凹部15の端面に突起36が形成され、他方の嵌合凸部14の端面に突起36を受け入れる窪み37が形成されている。
【0148】
換言すると、本実施形態の保冷容器1において、単位パネル10A,10Bは、嵌合部12,13の嵌合凸部14,16の一方の側面と他方の側面に、それぞれ、突起36と窪み37を有している。この突起36と窪み37は、二つの単位パネル10A,10Bを組み合わせるときに、一方の単位パネル10Aの突起36と他方の単位パネル10Bの窪み37とが係合するように設けられている。また、この突起36と窪み37は、組み合わせた二つの単位パネル10A,10Bを分解するときに、一方の単位パネル10Aの突起36と他方の単位パネル10Bの窪み37との係合が解除されるように設けられている。
【0149】
このような構成により、保冷容器1を組み立てる作業者は、単位パネル10Aの嵌合部13と単位パネル10Bの嵌合部12の嵌合が適切に行われたことを、感覚的に確認することができる。具体的には、作業者が単位パネル10Aの嵌合部13と単位パネル10Bの嵌合部12とを適切に嵌合させると、一方の単位パネル10Aの突起36と他方の単位パネル10Bの37とが係合して、単位パネル10Aと単位パネル10Bとの相対的な移動が規制される。これにより、作業者は、単位パネル10Aの嵌合部13と単位パネル10Bの嵌合部12の嵌合が適切に行われたことを、感覚的に確認することができる。一方、単位パネル10Aと単位パネル10Bとを分離させるときには、一方の単位パネル10Aの突起36と他方の単位パネル10Bの窪み37との係合が解除されるため、側面パネル10の分解に支障を来すことはない。このような突起36と窪み37との係合は、窪み37に係合する突起36の高さを調整することで、実現することができる。
【0150】
また、前述の実施形態の保冷容器1は、図16から図21に示すように、冷媒を支持する冷媒受け50を備えている。この冷媒受け50は、側面パネル10に支持される本体部51と、その本体部51の上面51aを第1空間52と第2空間53とに区画する区画壁部54と、冷媒の冷気を本体部51の上面51aから下側へ送り込む流路と、を有している。また、区画壁部54には、第1空間52と第2空間53とを連通する通路56が形成されている
【0151】
すなわち、図16から図21に示す前述の実施形態の保冷容器1は、底板である底面パネル30Aと、底板周縁を囲む側板である側面パネル10、およびその側板の上端部に形成される開口を塞ぐ天板である単位パネル10Bからなる。この前述の実施形態の保冷容器1は、容器内の上部に配置される冷媒を支持する冷媒受け50を備える。冷媒受け50は側板の上部に設置される。冷媒受け50は、本体部51と、その本体部51の上面51aに第1空間52および第2空間53を区画する区画壁である区画壁部54と、冷媒の冷気を本体部51の上面51aから下側へ送り込む流路とを有する。第1空間52には、相対的に融点の低い冷媒が配置され、第2空間53には、相対的に融点の高い冷媒が配置される。
【0152】
すなわち、図16から図21に示す前述の実施形態の冷媒受け50は、本体部51の上面51aに第1空間52および第2空間53を区画する区画壁部54と、冷媒の冷気を本体部51の上面51aから下側へ送り込む流路と、を有し、第1空間52および第2空間53にて冷媒を支持する。
【0153】
換言すると、図16から図21に示す前述の実施形態の冷媒受け50は、保冷容器1の側面パネル10に支持されて、保冷容器1の上部に配置される。冷媒受け50は、その中央部と周縁部とを区画する区画壁部54と、その中央部と周縁部に設けられた冷媒支持部と、区画壁部54に設けられて中央部の冷媒支持部と周縁部の冷媒支持部とを連通する通路56と、周縁部の冷媒支持部に設けられた複数の貫通孔55と、周縁部の外縁に設けられた複数の切り欠き58と、を備えている。
【0154】
この構成により、冷媒受け50は、本体部51の上面51aの第1空間52である中央部に設けられた冷媒支持部と、本体部51の上面51aの第2空間53である周縁部に設けられた冷媒支持部とに、それぞれ冷媒を支持することができる。具体的には、前述のように、たとえば、冷媒受け50の中央部の冷媒支持部にドライアイスを配置し、冷媒受け50の周縁部の冷媒支持部に氷を配置することができる。この場合、ドライアイスによって冷却された冷気が、区画壁部54に設けられた通路56を通過して、冷媒受け50の周縁部の氷を冷却する。これにより、冷媒受け50の周縁部の冷媒支持部に配置された氷の融解を遅延させることができる。
【0155】
さらに、冷媒受け50の中央部の冷媒支持部に支持されたドライアイスによって冷却され、通路56を通過して氷を冷却した冷気は、冷媒受け50の周縁部の冷媒支持部に設けられた貫通孔55と、周縁部の外縁の切り欠き58とを通過する。また、冷媒受け50の周縁部の冷媒支持部に支持された氷によって冷却された冷気も、同様に貫通孔55と切り欠き58を通過する。これらの冷気は、冷媒受け50の周縁部から、保冷容器1の上部の側面パネル10の近傍に供給される。
【0156】
したがって、図16から図21に示す前述の実施形態の冷媒受け50においても、本実施形態の冷媒受け80と同様の効果を奏することができる。すなわち、保冷容器1の内部に集積された複数の内容物200のうち、外気温の影響を受けて温度が上昇しやすい側面パネル10の近傍の内容物200が、冷媒受け50から供給された冷気によって効率よく冷却され、複数の内容物200の温度をより均一にすることができる。
【0157】
また、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、本実施形態の保冷容器1は、その保冷容器1内に収容される内容物200を上下方向に覆う保冷シート70を備える。すなわち、前述の実施形態の保冷容器1と同様に、本実施形態の保冷容器1は、少なくとも側板である側面パネル10と天板である天井パネル30Bとの内側が、保冷シート70によって覆われている。保冷シート70は発泡樹脂シートの少なくとも一方の面70aに金属層を有し、保冷シート70の金属層の面70aが冷媒受け80の本体部の上面に向けられている。
【0158】
換言すると、本実施形態の保冷容器1は、冷媒受け80に支持される冷媒Cの少なくとも一部を覆うととともに、保冷容器1に収容される内容物200の少なくとも一部を覆う保冷シート70を備えている。保冷シート70は、冷媒Cおよび内容物200に対向する金属層と、天井パネル30Bおよび側面パネル10に対向する発泡樹脂層とを有している。
【0159】
このような構成により、保冷シート70の発泡樹脂層によって、天井パネル30Bおよび側面パネル10と冷媒Cとの間、ならびに側面パネル10と内容物200との間を断熱することができる。これにより、保冷容器1の外部から天井パネル30Bおよび側面パネル10を介して冷媒Cおよび内容物200に伝わる熱を低減することができる。また、保冷シート70の金属層が冷媒Cによって冷却されて、内容物200の熱を奪う。これにより、保冷容器1の内部に集積された複数の内容物200のうち、外気温の影響を受けて温度が上昇しやすい側面パネル10の近傍の内容物200を保冷シート70の金属層によって効率よく冷却して、複数の内容物200の温度をより均一にすることができる。
【0160】
また、本実施形態の保冷容器1において、底面パネル30Aは、前述のように、図38に示す複数の仮穴38を有している。仮穴38は、保冷容器1の内容物200を固縛するための締結バンド500を通すことによって破断される底壁を有する。
【0161】
この構成により、仮穴38に締結バンド500を通さない場合は、仮穴38を閉塞した状態に維持することができ、保冷容器1の内部の冷気が仮穴38から外部へ漏れるのを防止することができる。また、仮穴38に締結バンド500を通す場合は、図39に示すように、保冷容器1の内部で、内容物200をパレット100および底面パネル30Aに固定することができる。これにより、保冷容器1の内部の内容物200の安定性を向上させ、荷崩れを防止することができる。
【0162】
以上説明したように、本実施形態によれば、内容物200に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物200の保冷状態を保つことができる保冷容器1を提供することができる。また、本実施形態によれば、保冷容器1に配置される冷媒Cを支持し、内容物200に温度むらや凍結障害が生じることなく、内容物200の保冷状態を保つことができる冷媒受け80を提供することができる。
【0163】
また、保冷容器1によって内容物200の集合包装を行うことで、個々の内容物200の包装に発泡樹脂製の断熱容器を用いる必要が無くなり、単位体積当たりの物品の輸送量を向上させ、輸送効率を向上させることが可能になる。すなわち、本実施形態の保冷容器1は、輸送効率が高く、前述のように、軽量で高い保冷性能を有する。したがって、たとえば、他の輸送方法と比較して短時間に長距離を輸送可能で輸送コストが高い空輸に適している。
【符号の説明】
【0164】
1・・・保冷容器
10・・・側面パネル
10A,10B・・・単位パネル
11・・・通気溝
12,13,18,19・・・嵌合部
14,16,21,22・・・嵌合凸部
15,17,20,23・・・嵌合凹部
24,25・・・保持溝
30A・・・底面パネル
30B・・・天井パネル
31・・・凹凸部
32・・・凸部
33・・・凹部
35・・・窪み部
36・・・突起
37・・・窪み
38・・・仮穴
50・・・冷媒受け
51・・・本体部
52・・・第1空間
53・・・第2空間
54・・・区画壁部
55・・・貫通孔
56・・・通路
57・・・水受け部
58・・・切り欠き
60・・・補強材
70・・・保温シート
80・・・冷媒受け
81・・・冷媒支持部
83・・・切欠き部
84・・・連通溝
81a・・・傾斜支持面
81b・・・傾斜支持面
81d・・・冷気溝
81e・・・冷気溝
81g・・・貫通孔
100・・・パレット
200・・・内容物
300・・・空洞
400・・・ドライアイス
410・・・氷
500・・・締結バンド
図1
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