(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140703
(43)【公開日】2022-09-27
(54)【発明の名称】投光器用遮光カバー、投光器用バルーン、投光器、及び、投光器の遮光方法
(51)【国際特許分類】
F21V 3/02 20060101AFI20220916BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220916BHJP
F21S 6/00 20060101ALI20220916BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220916BHJP
F21V 31/03 20060101ALI20220916BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220916BHJP
F21Y 107/30 20160101ALN20220916BHJP
【FI】
F21V3/02 310
F21S2/00 390
F21S6/00 120
F21V17/00 153
F21V31/03
F21Y115:10
F21Y107:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040874
(22)【出願日】2021-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】392018595
【氏名又は名称】株式会社ライトボーイ
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】吉森 徳仁
(72)【発明者】
【氏名】石澤 博俊
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 祐樹
【テーマコード(参考)】
3K011
3K014
【Fターム(参考)】
3K011EL03
3K011GA08
3K014AA01
3K014NA09
(57)【要約】
【課題】全周囲を照明可能なバルーン型の投光器において、その照明範囲を制限する。
【解決手段】本発明に係る投光器用遮光カバーは、膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、遮光機能を有する遮光部と、前記バルーン形状部の上側に固定される上部固定部と、前記バルーン形状部の下側に固定される下部固定部と、を備え、前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上側に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下側に固定される下部固定部と、を備え、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される
投光器用遮光カバー。
【請求項2】
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定したとき、
前記遮光部は、前記バルーン形状部の上部から下部にわたる第1辺と、第2辺を形成し、前記第1辺と前記第2辺の間の領域を遮光する
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項3】
前記上部固定部、前記下部固定部の少なくとも一方は、前記バルーン形状部の内部に位置する内部フレームに固定される
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項4】
前記下部固定部は、前記投光器を支える支柱に固定される
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項5】
前記上部固定部、前記下部固定部の少なくとも一方は、前記バルーン形状部に固定される
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項6】
前記上部固定部と前記下部固定部の間に伸縮可能な弾性特性が設けられている
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項7】
遮光部は、第1の領域と、前記第1の領域よりも通気性の高い第2の領域を有する
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項8】
前記遮光部の裏面は、光を反射する特性を有する
請求項1に記載の投光器用遮光カバー。
【請求項9】
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、
前記バルーン形状部と、遮光カバーを備え、
前記遮光カバーは、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上側に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下側に固定される下部固定部と、を備え、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される
投光器用バルーン。
【請求項10】
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器であって、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上側に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下側に固定される下部固定部と、を備えた遮光カバーを備え、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される
投光器。
【請求項11】
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上側に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下側に固定される下部固定部と、を備えた遮光カバーを使用し、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面を、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着させることで、前記遮光部を前記バルーン形状部の周囲に固定する
投光器の遮光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事、建設工事、各種イベント等において周囲の照明を行う投光器であって、特に照明部によって内部が照明され、送風部によって膨張される投光器に用いられる投光器用遮光カバー、そして、バルーンと遮光カバーを備えた投光器用バルーン、遮光カバーを備えた投光器、及び、投光器の遮光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事、建設工事、各種イベントにおいて周囲を照明する投光器は、照明範囲を広範囲とする場合、広範囲を適切な明るさで照明することが好ましい。現在、投光器には各種事情を考慮した様々なタイプがある。
【0003】
特許文献1には、バルーンと、バルーンを膨らませる送風機と光源とを備え、光源からバルーンを介して外部に出射される光で周囲を照明するバルーン型照明装置が記載されている。このような、バルーン型照明装置は、スポットライト型の投光器とは異なり、周囲を均一に照明する点において有利である。
【0004】
ところで、投光器を使用する場合、近隣に住宅があると、住宅に対して過剰な照明を行い、迷惑になるすなわち、光害になることが考えられる。特許文献2には、このような状況を考慮し、相対的に高密度にLED素子を配置した高密度LED素子領域と、前記高密度LED素子領域に隣接して相対的に低密度にLED素子を配置した低密度LED素子領域を有するLEDパネルを投光器に使用することが開示されている。このような投光器を使用することで、投光器の近傍と、遠方とで明るさを異ならせることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-191690号公報
【特許文献2】特開2019-29155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の投光器によれば、投光器の近傍と遠方とで、照明の明るさを異ならせることが可能である。しかしながら、周囲をまんべんなく照明することのできるバルーン型の投光器では、照明する角度が重要になる。すなわち、工事を行う一方向に対しては照明を行いたいが、住宅が位置する他方向に対しては照明を行いたくないことが考えられる。しかしながら、特許文献2の投光器ではそれを実現することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る投光器用遮光カバーは、このような課題を解決することを一つの目的としている。そのため、以下の構成を採用するものである。
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上部に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下部に固定される下部固定部と、を備え、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される。
【0008】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーは、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定したとき、
前記遮光部は、前記バルーン形状部の上部から下部にわたる第1辺と、第2辺を形成し、前記第1辺と前記第2辺の間の領域を遮光する。
【0009】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーは、
前記上部固定部、前記下部固定部の少なくとも一方は、前記バルーン形状部の内部に位置する内部フレームに固定される。
【0010】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーは、
前記下部固定部は、前記投光器を支える支柱に固定される。
【0011】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーは、
前記上部固定部、前記下部固定部の少なくとも一方は、前記バルーン形状部に固定される。
【0012】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーは、
前記上部固定部、前記下部固定部の少なくとも一方は、前記上部固定部と前記下部固定部の間で伸縮可能な弾性を有する。
【0013】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーにおいて、
前記遮光部は、第1の領域と、前記第1の領域よりも通気性の高い第2の領域を有する。
【0014】
さらに、本発明に係る投光器用遮光カバーにおいて、
前記遮光部の裏面は、光を反射する特性を有する。
【0015】
また、本発明に係る投光器用バルーンは、
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、
前記バルーン形状部と、遮光カバーを備え、
前記遮光カバーは、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上部に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下部に固定される下部固定部と、を備え、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される。
【0016】
また、本発明に係る投光器は、
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器であって、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上部に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下部に固定される下部固定部と、を備えた遮光カバーを備え、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面が、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着することで、前記遮光部が前記バルーン形状部の周囲に固定される。
【0017】
また、本発明に係る投光器の遮光方法は、
膨張し、その内部が照明されるバルーン形状部を備えた投光器に使用され、
遮光機能を有する遮光部と、
前記バルーン形状部の上部に固定される上部固定部と、
前記バルーン形状部の下部に固定される下部固定部と、を備えた遮光カバーを使用し、
前記上部固定部と、前記下部固定部を固定し、前記バルーン形状部を膨張させたとき、前記バルーン形状部の表面を、少なくとも前記遮光部の一部領域に密着させることで、前記遮光部を前記バルーン形状部の周囲に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本実施形態に係るバルーン形状部の内部構成を示す図。
【
図5】本実施形態に係る遮光カバーの取り付けを説明するための図。
【
図6】本実施形態に係る遮光カバー使用時の投光器の照光の様子を示す図。
【
図7】本実施形態に係る遮光カバー使用時の遮光角度調整を説明するための図。
【
図8】本実施形態に係る投光器の収納の様子を示す図。
【
図9】他の実施形態に係るバルーン形状部の形状を示す図。
【
図10】他の実施形態に係るバルーン形状部の上部の各種固定方法を示した図。
【
図11】他の実施形態に係るバルーン形状部の下部の各種固定方法を示した図。
【
図12】他の実施形態に係るバルーン形状部の上部の各種固定方法を示した図。
【
図13】他の実施形態に係る遮光カバー使用の形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る投光器1は、工事現場や各種催し物が開かれる会場等で使用されるものであり、夜間等における暗闇を照明することを目的とする装置である。
【0020】
図1は、本実施形態に係る投光器1の全体を示す図である。本実施形態の投光器1は台車42で搬送可能なタイプであって、バルーン形状部10、内部フレーム20を備えて構成されている。
図1では、バルーン形状部10内に収容された内部フレーム20のフレーム下部21が見て取れる。投光器1の外部構成としては、台車42、発電機41、支柱30、発電機41から投光器1に給電を行う給電線43を備えて構成されている。支柱30は、単位支柱31a~31dで構成され、伸縮可能となっている。
図1は、投光器1の使用時の様子であって、支柱30が延長された状態となっている。投光器1は、工事現場、あるいは催し物の会場などに搬送され、
図1に示されるように支柱30を適切な高さに調整した後、投光が行われる。
【0021】
図2は、本実施形態に係るバルーン形状部10の内部構成を示す図である。
図1で説明したようにバルーン形状部10の内部には内部フレーム20が設けられている。内部フレーム20はバルーン形状部10を膨らませる送風部27、照明部28、を備えて構成されている。送風部27は、バルーン形状部10の下方からバルーン形状部10内部に空気を取り入れる。また、本実施形態の照明部28は、6枚のLEDパネルを使用しており、バルーン形状部10を内部から照明する。照明部28は、LEDのみならず、白熱球、メタルハライドランプ等、各種形態を採用することが可能である。
【0022】
内部フレーム20は、その上部をフレーム上部22、その下部をフレーム下部21としている。フレーム上部22の下面にはバルーン形状部10と同じ布素材で作られた上部取付部23が取り付けられている。上部取付部23の周囲には周囲固定部231(本実施形態では、ファスナー)が設けられており、バルーン形状部10の上部と互いに固定される。フレーム下部21の下面には、同様に下部取付部24が取り付けられている。下部取付部24の周囲には周囲固定部241(本実施形態では、ファスナー)が設けられており、バルーン形状部10の下部と互いに固定される。
【0023】
フレーム上部22の上面にはバルーン収納格納袋25が設けられている。バルーン収納格納袋25には、収納ファスナー251が設けられており、収納ファスナー251を開くことで、内部からバルーン収納袋を取り出すことが可能となっている。バルーン収納袋は、その一部がフレーム上部22に固定されており、投光器1の収納時、バルーン形状部10、および、内部フレーム20を覆うことが可能となっている。
【0024】
図3は、本実施形態に係る遮光カバー5の展開図である。遮光カバー5は上部遮光布51、側部遮光布52、下部遮光布53を有して構成されている。上部遮光布51、側部遮光布52、下部遮光布53は、扇形の形状をした遮光機能を備えた布である。本実施形態の遮光機能としては、上部遮光布51、側部遮光布52、下部遮光布53を黒色とし、光の透過を抑えている。遮光機能としては、このような形態のみならず、各種形態を採用することが可能である。例えば、遮光カバー5は、黒色のみならず、各種色を使用することが可能である。また、遮光カバー5の表面と裏面では、その色を変更することとしてもよい。例えば、遮光カバー5の裏面には、光を反射する特性を持たせる(例えば、銀色にする等)ことで、遮光性能の向上を図るとともに、裏面で反射した光を、バルーン形状部10の遮光しない部分に導くことが可能となり、投光器1の光量向上を図ることが可能となる。
【0025】
上部遮光布51において、扇形部分の外周が側部遮光布52の上辺に固定される(本実施形態では、縫合される)。上部遮光布51の中央は、円弧状に形成されており、中央円弧部分から外周まで延びる単位辺A1、B1を形成している。単位辺B1の一端には、上部固定部55が設けられている。上部固定部55は、片側に、ゴムベルト552と係止部551を備え、他の片側にベルト554と被係止部553を有して構成されている。遮光カバー5を投光器1に固定する際、係止部551は被係止部553に固定される。上部固定部55は、バルーン形状部10の上側に固定される。なお、バルーン形状部10の上側としては、バルーン形状部10自体の上側に固定する形態だけではなく、バルーン形状部10の上側に固定できる形態であればよい。本実施形態では、内部フレーム20の上部に固定することで、バルーン形状部10の上側に固定されることを可能としている。
【0026】
側部遮光布52の上部には収納袋54が設けられている。収納袋54は、遮光カバー5を取り外した際、遮光カバー5の他の構成(上部遮光布51、側部遮光布52、下部遮光布53等)を内部に収納し、持ち運びを容易にする。また、収納袋54は、側部遮光布52に固定されているため、紛失の恐れがない。また、投光器1への取付時、収納袋54は、バルーン形状部10と、上部遮光布51、あるいは、側部遮光布52の間に挟まれて位置する。そのため、収納袋54についても、上部遮光布51等と同様、遮光機能を備えた素材(布)を使用することが好ましい。
【0027】
下部遮光布53は、扇形を有しその中央部分にメッシュ布53aが設けられている。上部遮光布51と同様に中央の円弧上部には下部固定部56が設けられている。下部固定部56は、ゴムベルト562、係止部561、ベルト564、被係止部563を有して構成されている。下部固定部56の係止部561は、被係止部563と互いに結合可能である。下部固定部56は、バルーン形状部10の下側に固定される。なお、バルーン形状部10の下側としては、バルーン形状部10自体の下側に固定する形態だけではなく、バルーン形状部10の下側に固定できる形態であればよい。本実施形態では、支柱30に固定することで、バルーン形状部10の下側に固定されることを可能としている。
【0028】
図4は、遮光カバー5の組み立てを行い、立体的に示した斜視図となっている。上部遮光布51と、側部遮光布52、下部遮光布53で遮光部50を形成する。この遮光部50は、バルーン形状部10の表面に位置し、バルーン形状部10の表面から射出される光を外部に漏れないように遮光する。
【0029】
上部遮光布51と側部遮光布52と下部遮光布53の一端で第1の辺Aを形成する。また、これらの他端で第2の辺Bを形成する。
図4から分かるように、本実施形態の遮光カバー5は、最大、バルーン形状部10の2/3を覆うことが可能な形状となっている。メッシュ布53aは、固定した際、内部フレーム20の下方に位置し、送風部27の空気取り入れを阻害しないようになっている。このように、遮光部50には、第1の領域(上部遮光布51等)と、第1の領域よりも通気性の高い第2の領域(メッシュ布53a)が設けられており、送風が必要なバルーン型の投光器1には、送風、廃熱等の点において有効である。
【0030】
図5は、本実施形態に係る遮光カバー5の取り付けを説明するための頭である。
図5(B)は、本実施形態での遮光カバー5は、その上部と下部を内部フレーム20に固定することで取付が行われる。
図5(A)は、上部の取付の様子を示す図である。遮光カバー5の上部の取り付けは、フレーム上部22の下方に上部固定部55を配置し、係止部551と被係止部553を互いに結合することで行われる。
【0031】
一方、遮光カバー5の下部の固定については、
図5(B)に示されるように支柱30を挟んだ状態で、係止部561と被係止部563を互いに結合することで行われる。
図5(C)には、バルーン形状部10が膨張した状態で、遮光カバー5が取り付けられた状態が示されている。
図5(C)のように、遮光カバー5を取り付けた後、矢印で示す方向に遮光部50を広げることで、投光器1における自由な遮光角度を実現することが可能である。
【0032】
本実施形態における遮光カバー5の固定は、バルーン形状部10の膨張を利用したものである。バルーン形状部10が送風部27の送風によって膨張することで、バルーン形状部10の表面に位置する遮光部50がバルーン形状部10と密着し、遮光カバー5は、容易には移動できない状態となる。特に、上部固定部55と、下部固定部56で固定されているため、遮光部50が形成する第1の辺A、第2の辺B、及び、その近傍では、バルーン形状部10の表面と遮光部50の内面とは密着した状態となる。なお、バルーン形状部10の表面と遮光部50の内面を密着させるには、バルーン形状部10の表面における縦方向の長さが、遮光カバー5の縦方向の長さよりも同じ、もしくは、少し長くしておくことで、バルーン形状部10の膨らむ力を、遮光部50の固定に利用することが可能である。
【0033】
さらに、本実施形態では、上部固定部55、下部固定部56に、ゴムベルト552、562を使用することで、上下方向に作用する弾性力を作用させ、第1の辺A、第2の辺Bの近傍において、バルーン形状部10の表面と遮光部50の内面とは、密着した状態とさせることを可能としている。このように、本実施形態の上部固定部55、下部固定部56は、弾性力を持たせることで、密着を十分なものとしているが、上部固定部55、下部固定部56の弾性は、どちらか一方であってもよい。上部固定部55と下部固定部56の間には、伸縮可能な弾性特性が設けられていれば、各種形態を採用することが可能である。
【0034】
また、上部固定部55、下部固定部56の少なくとも一方の長さを調整可能とすることしてもよい。上部固定部55、下部固定部56の少なくとも一方の長さを調整することで、バルーン形状部10の表面に、遮光部50を密着させるよう調整することが可能となる。
【0035】
密着性の向上は、上部固定部55、下部固定部56のみならず、遮光部50で行うことも考えられる。例えば、遮光部50が形成する第1の辺A、第2の辺Bにゴムを縫い合わせること等により、弾性を持たせてもよい。第1の辺A、第2の辺Bが伸縮することで、バルーン形状部10の表面に密着することが可能となる。
【0036】
なお、遮光カバー5の取付は、
図5(C)のように、バルーン形状部10が膨らんだ状態のみならず、しぼんだ状態においても行うことは可能である。バルーン形状部10がしぼんだ状態で遮光カバー5を必要な大きさに広げ、その後、バルーン形状部10を膨らませることで、遮光角度の調整を楽に行うことが可能である。
【0037】
図6は、本実施形態に係る遮光カバー5を使用している時の投光器1の照光の様子を示す図である。支柱30の上部に固定されたバルーン形状部10は、その一部が遮光カバー5で覆われた状態となっている。遮光カバー5とバルーン形状部10の照明部分の境界には第1の辺Aが位置することになる。前述したようにこの第1の辺Aと、第2の辺B(図示せず)の近傍において、遮光部50の内面とバルーン形状部10の表面は密着し、遮光カバー5は、容易に移動しない状態となる。
【0038】
本実施形態のバルーン形状部10の表面には、サインシート44が設けられている。サインシート44は、歩行者等への注意書き「工事中、ご迷惑をおかけします。」等の表記が印字されたシートであって、面ファスナー等の固定部を使用してバルーン形状部10の表面に固定されている。なお、このサインシート44は、遮光カバー5と異なり、光をできるだけ透過する素材(布等)で形成されており、バルーン形状部10による照明をできるだけ妨げないようにしている。
【0039】
図7は、本実施形態に係る遮光カバー5の使用時における遮光角度調整を説明するための図である。
図7(A)~
図7(D)は、バルーン形状部10に遮光カバー5を取り付けた状態であって、バルーン形状部10の上部から眺めた平面図となっている。
図7(A)~
図7(D)において使用しているバルーン形状部10、遮光カバー5は、同じである。
【0040】
図7(A)は、遮光部50を最も広げた状態となっている。この場合、バルーン形状部10の2/3は遮光カバー5で覆われ、バルーン形状部10の残る1/3から光が照射されることになる。前述したように、バルーン形状部10と遮光カバー5は、第1の辺A、第2の辺Bの近傍で互いに密着した状態となっている。
【0041】
図7(B)は、バルーン形状部10の半分を遮光した状態である。例えば、
図7(A)の状態から第1の辺A、第2の辺Bを移動させることで、
図7(B)の状態にすることが可能である。
図7(B)の状態においても、バルーン形状部10と遮光カバー5は、第1の辺A、第2の辺Bの近傍でしっかり密着、固定されているため、遮光カバー5が風等で容易に移動することがない。
【0042】
図7(C)は、バルーン形状部10の約1/4を遮光カバー5で被った状態である。また、
図7(D)は、遮光カバー5を最も縮めた状態である。例えば、投光器1を使用する際、遮光する必要がない場合、
図7(D)のように遮光カバー5を最も縮めた状態にすることで、遮光カバー5を取り付けない状態と同様の広い照射角度を実現することが可能である。また、遮光カバー5の取り外しを行わなくてもよいため、遮光カバー5の脱着の面倒を抑制し、必要な際、迅速に遮光を行うことが可能となる。
【0043】
図7(A)~
図7(D)のように、本実施形態に係る遮光カバー5は、その遮光角度を自由に調整することが可能となっている。特に、遮光カバー5とバルーン形状部10は第1の辺A、第2の辺Bの近傍領域でしっかりと密着した状態となっており、風等で容易に移動することがない。
【0044】
図8は、本実施形態に係る投光器1の収納の様子を示す図である。本実施形態ではバルーン収納格納袋25に収納されたバルーン収納袋26で、内部フレーム20、バルーン形状部10を収納することが可能である。投光器1を使用しない場合、バルーン収納格納袋25からバルーン収納袋26を取り出し、バルーン収納袋26でバルーン形状部10を覆うことで、しっかりと雨やほこりから保護することが可能となっている。その際、本実施形態では、取り付けた状態の遮光カバー5も一緒に収納することが可能である。
図8は、収納途中の様子であって、
図8に示されるように、バルーン収納袋26内にバルーン形状部10、および、遮光カバー5を収納している様子である。バルーン収納袋26で、バルーン形状部10、及び、遮光カバー5を覆った後、バルーン収納袋26に設けられたファスナー26aを閉じることで、バルーン収納袋26内にバルーン形状部10、遮光カバー5を格納し、雨やほこりから保護することが可能となっている。
【0045】
以上、本実施形態に係る遮光カバー5によれば、全周囲を照明するバルーン型の投光器1において、その一部領域を遮光状態とし、住宅地等での作業で生じる光の害(光害)を抑えることが可能となる。更に、遮光する範囲(角度)も自在に調整することが可能であり、現場に応じた適切な照明を行うことが可能である。
【0046】
次に、本実施形態の各種変形例について説明を行う。
(第1変形例)
前述の実施形態では、バルーン形状部10を上部遮光布51、側部遮光布52、下部遮光布53で形成した、所謂、たる型の形状としていた。バルーン形状部10の形状は、このようなたる型のみならず、各種形状を採用することが可能である。
【0047】
図9は、バルーン形状部10の各種形状が示されている。
図9(A1)、
図9(A2)は、縦型に複数の布をつなぎ合わせた玉ねぎ型である。
図9(A2)は、
図9(A1)に対して横方向に扁平な形状となっている。
図9(B)は、側面から見た際、楕円形状を有するUFO型である。
図9(C)、は上部及び下部にギャザーを形成し、側部を直線状としたスリム型と呼ばれる形状である。これら、各種バルーン形状部に遮光カバー5を使用する場合、何れの形においてもその形状に即した遮光カバー5を使用することが好ましい。特に、第1の辺A、第2の辺Bは、バルーン形状部10とほぼ同じ長さにしておくことで、密着性を高めることが可能となる。
【0048】
(第2変形例)
前述の実施形態ではベルトタイプの上部固定部55を使用し、照明部28、送風部27が設けられた内部フレーム20のフレーム上部22に取り付けられることとしていた。遮光カバー5の上部位置での固定は、このような形態のみならず各種形態を採用することが可能である。
図10は、バルーン形状部10の上部における遮光カバー5の各種固定方法を示した図である。
【0049】
図10(A)は、遮光カバー5の上部を、バルーン収納格納袋25に固定した例である。この場合バルーン形状部10とバルーン収納格納袋25の固定方法としては、紐、テープ、ゴム、面ファスナー、バックル、カラビナ、クリップなど各種形態からなる上部固定部55を採用することが可能である。
【0050】
図10(B)は、バルーン形状部10と、遮光カバー5を直接固定する固定形態である。バルーン形状部10と遮光カバー5を固定する上部固定部55としては、紐、テープ、ゴム、面ファスナー、バックル、カラビナ、クリップ等、各種形態を採用することが可能である。
図10(C)は、内部フレーム20の上部に、遮光カバー5の上部をネジ部55aで固定した形態である。この例では、遮光カバー5の上部2か所をクリップ55bで固定することで、固定強度を高めている。
【0051】
図10(D)は、フレーム上部22の上面と、バルーン形状部10を固定する形態である。固定形態としては、紐、テープ、ゴム、面ファスナー、バックル、カラビナ、クリップ等、各種形態を採用することが可能である。
図10(D)の形態は、フレーム上部22の上面に設けられた環状部55cに対し、遮光カバー5側に設けられた紐55dを固定する形態となっている。
図10(E)は、遮光カバー5の上部に穴55fを設け、内部フレーム20の上面に設けられた突起55eに引っ掛けて固定する形態である。以上、バルーン形状部10と遮光カバー5の固定は、(1)遮光カバー5をバルーン形状部10自体に直接固定する、(2)遮光カバー5を内部フレーム20に固定する、(1)と(2)を組み合わせて固定する等、各種形態が考えられる。
【0052】
(第3変形例)
図11は下部固定部56に関する各種形態を示す図である。
図11(A)は、前述の実施形態と同様、支柱30に遮光カバー5を固定する形態である。支柱30をまたぐように下部固定部56(
図11(A)の場合、紐56a)が設けられる。下部固定部56としては、紐、テープ、ゴム、面ファスナー、バックル、カラナビ、クリップ等、各種形態を使用することが考えられる。
【0053】
図11(B)は、遮光カバー5をバルーン形状部10自体に固定する形態である。この場合、バルーン形状部10の表面と遮光カバー5は直接、互いに固定される。下部固定部56としては、前述のように、紐、テープ、ゴム、面ファスナー、バックル、カラナビ等、各種形態が考えられる。
図11(C)は、遮光カバー5の一部を、内部フレーム20に挟み込んで固定する形態である。
図11(C)の場合、2カ所をクリップ56bで固定することで、固定強度を更に高めている。
図11(D)は、内部フレーム20の下部と、遮光カバー5を固定する形態である。
図11(D)の場合、内部フレーム20の下部に設けた環状部56cと、遮光カバー5側の紐56dを互いに固定している。下部固定部56としては、紐、テープ、ゴム、面ファスナー、バックル、カラナビ等を使用することが可能である。
図11(E)は、遮光カバー5の下部に穴56fを設け、内部フレーム20の下面に設けられた突起56eに引っ掛けて固定する形態である。
【0054】
このように、バルーン形状部10の下部は、(1)支柱30に固定する、(2)バルーン形状部10自体に固定する、(3)内部フレーム20の下方に固定する、(1)~(3)を組み合わせて固定する等、各種形態を採用することが考えられる。
【0055】
図12は、バルーン形状部10の上部と、遮光カバー5の上部を縫い合わせた形態、すなわち、上部固定部55として縫合部55gを設けた形態が示されている。このように、バルーン形状部10と遮光カバー5を縫合することで、バルーン形状部10と遮光カバー5の取り外しは困難になるが、本実施形態では、
図7で説明したように、遮光カバー5は、自在にその遮光角度を調整することができるためこのような形態も実現可能である。なお、バルーン形状部10の下部についても、遮光カバー5の下部と縫い合わせた形態とすることも可能である。
【0056】
(第4変型例)
前述の実施形態では、1つのバルーン形状部10に対して、1つの遮光カバー5を使用することとしていた。このような形態のみならず、1つのバルーン形状部10に対し、複数の遮光カバー5を使用することとしてもよい。
図13は、1つのバルーン形状部10に対し、2つの遮光カバー5a、5bを取り付けた例である。このような形態においては2つの方向に対して遮光を行う、言い換えると、2つの方向に対して照明を行うことが可能である。例えば、細い路地等の工事現場において、2方向を適切に遮光することが可能となり、近隣にある住宅等に対しては光害を抑制することが可能となる。このように、2つの遮光カバー5a、5bを用いる例のみならず、3以上の遮光カバー5を設け、多数方向の遮光、照明を行うこととしてもよい。
【0057】
(第5変型例)
前述の実施形態のバルーン形状部10は、送風を行うことで膨張するタイプであるが、バルーン形状部10は、このようなタイプに限られるものではない。例えば、機械式の骨組みを内部に有するバルーン形状部10であってもよい。機械式の骨組みとは、傘の骨組みのように閉じた状態から開いた状態に機械的に変更できるものである。このような機械式の骨組みを利用したバルーン形状部10の場合、運搬時等、使用していない状態のときには機械式の骨組みを閉じた状態とする。一方、照明を行う場合には、機械式の骨組みを開いた状態とすることで、前述の実施形態のバルーン形状部10と同様、その表面を膨張させた状態にすることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:投光器 50:遮光部
5(5a、5b):遮光カバー 51:上部遮光布
10:バルーン形状部 52:側部遮光布
20:内部フレーム 53:下部遮光布
21:フレーム下部 53a:メッシュ布
22:フレーム上部 54:収納袋
23:上部取付部 55:上部固定部
24:下部取付部 56:下部固定部
25:バルーン収納格納袋 231:周囲固定部
26:バルーン収納袋 241:周囲固定部
26a:ファスナー 251:収納ファスナー
27:送風部 551:係止部
28:照明部 552:ゴムベルト
30:支柱 553:被係止部
31a~31d:単位支柱 554:ベルト
41:発電機 561:係止部
42:台車 562:ゴムベルト
43:給電線 563:被係止部
44:サインシート 564:ベルト