(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140710
(43)【公開日】2022-09-27
(54)【発明の名称】フランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩及びその製造方法と適用、ならびに医薬組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 491/22 20060101AFI20220916BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20220916BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220916BHJP
A61K 36/24 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
C07D491/22 CSP
A61K31/475
A61P37/02
A61K36/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039550
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】202110270901.2
(32)【優先日】2021-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510029841
【氏名又は名称】中国科学院昆明▲植▼物研究所
【氏名又は名称原語表記】KUNMING INSTITUTE OF BOTANY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】132# Lanhei Road,Kunming,Yunnan 650201 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 祥海
(72)【発明者】
【氏名】鐘 桂生
(72)【発明者】
【氏名】趙 思蒙
(72)【発明者】
【氏名】保 梅芬
(72)【発明者】
【氏名】郁 陽
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C050AA04
4C050AA08
4C050BB04
4C050CC04
4C050DD01
4C050EE04
4C050FF02
4C050FF03
4C050GG03
4C050HH01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB07
4C088AB31
4C088AC01
4C088BA08
4C088CA03
4C088NA14
4C088ZB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩ならびに医薬組成物を提供する。
【解決手段】下式に示す化合物又はその塩。
(R
1、R
1’、R
3、R
3’:H、OHなど。n:0-4。R
2、R
2’、R
2’’:Hなど。R
4:H、OH。R
5:=Oなど。A-B:CH
2-CH
2など。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩であって、式Iに示す構造を有し、
【化1】
ここで、前記R
1とR
1’は独立して水素、ヒドロキシル、またはC
1-6アルコキシであり、前記nは0~4の正の整数であり、
前記R
2、R
2’およびR
2''は独立して水素またはC
1-6アルキルであり、前記R
3およびR
3’は独立して水素、ヒドロキシルまたは=Oであり、
R
4は水素またはヒドロキシル、R
5は置換基なしまたは=Oであり、
前記A--Bは-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-HOCH-CHOH-、-CH
2-CHOH-又は
であり、
前記その薬学的に許容される塩は、R
2’およびR
2''の位置で置換された有機または無機の塩であることを特徴とするフランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記A--Bが
である場合、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-1~式I-4に示される構造を有し、
【化2】
前記式I-1では、R
1はH、R
3’はH、またはR
1はメトキシ、R
3’はH、またはR
1は水素、R
3’は=Oであり、
【化3】
前記式I-2では、R
1はヒドロキシ、またはR
1はメトキシであり、
【化4】
前記式I-3では、R
1は水素、R
5は置換基なし、またはR
1はメトキシ、R
5は置換基なし、またはR
1はメトキシ、R
5は=Oであり、
【化5】
前記式I-4では、R
1はOH、R
1'はH(化合物5と表記)、またはR
1はH、R
1'はOH(化合物6と表記)、またはR
1はOH、R
1'はメトキシ(化合物7と表記)であることを特徴とする請求項1に記載のフランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記A--Bが-CH
2-CHOH-である場合、前記-CH
2-CHOH-のヒドロキシル基はB位にあり、かつ前記ヒドロキシル基はβ-OHであり、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-5に示される構造を有し、
【化6】
前記式I-5では、R
3’は=Oであり、
前記A--Bが-HOCH-CHOH-である場合、前記-HOCH-CHOH-のA位にあるヒドロキシル基はα-OH、B位にあるヒドロキシル基はβ-OHであり、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-5に示される構造を有し、
【化7】
前記式I-5では、R
3’は水素であることを特徴とする請求項1に記載のフランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記A--Bが-CH=CH-である場合、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-6~式I-11に示される構造を有し、
【化8】
前記式I-6では、R
1はOH、R
2はH、またはR
1はメトキシ、R
2はH、またはR
1はメトキシ、R
2はメチルであり、
【化9】
前記式I-7では、R
1’はH、R
3’はH、またはR
1’はOH、R
3’はH、またはR
1’はH、R
3’は-OAcであり、
【化10】
前記式I-8では、R
3はH、R
3’は=O、R
4はH、またはR
3はH、R
3’は=O、R
4はヒドロキシルまたはR
3は=O、R
3’はH、R
4は水素であり、
【化11】
前記式I-9では、R
1はH、R
11はH、R
3’は水素、またはR
1はH、R
11はヒドロキシル、R
3’は水素、またはR
1はH、R
11はメトキシ、R
3’は水素、または、R
1はヒドロキシル、R
11は水素、R
3’は水素、またはR
1はメトキシ、R
11は水素、R
3’は水素、またはR
1はヒドロキシル、R
11はメトキシ、R
3’は=Oであることを特徴とする請求項1に記載のフランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記無機酸塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩またはリン酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のフランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記有機酸塩は、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩またはシュウ酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のフランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
エルウァタミア属植物またはMelodinus suaveolens属植物に対して、順次浸出、抽出、勾配溶離を行い、前記フランアスピドスペルミン二量体を得るステップを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のフランアスピドスペルミン二量体。
【請求項8】
免疫疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1~6のいずれか一項に記載のフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩の適用。
【請求項9】
医薬組成物であって、請求項1~4のいずれか一項に記載のフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物中の前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩の質量パーセントは、10%以上であることを特徴とする請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の技術分野、特にフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩及びその製造方法と適用、ならびに医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫不全や免疫欠乏によって引き起こされる腫瘍、エイズ、又はその他の病原性微生物による感染症などの病気は世界的な問題になり、この原因で中国では毎年数百万人の病人が亡くなる。化学療法、抗ウイルス薬、抗生物質などの現在臨床的に使用されている薬には特定の治療効果があり、薬は病変に直接作用することができるが、その高い毒性と強い薬剤耐性のために、患者に大きな肉体的苦痛と精神的圧力をもたらす。これらの病気のほとんどは、免疫力の低下または免疫系の欠陥の原因で、体の保護バリアの崩壊につながる。体の免疫力を向上させ維持することで、これらの病気を大幅に治療および予防することができ、これは、体の自然な耐病性の本能でもある。免疫細胞は体の免疫系の主要な武器であり、Tリンパ球は免疫細胞の主成分であり、その主な機能は外来の侵入者を貪食することであるため、体内のTリンパ球の割合を増やし、その機能を強化することが上記の免疫疾患の治療と予防のキーポイントである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、免疫応答を活性化し、Tリンパ球の割合を増加させることによりその機能を強化できるフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩、及びその製造方法と適用、ならびに医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術解決手段を提供する。
【0005】
本発明は、式Iに示される構造を有するフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
【0006】
ここで、前記R
1とR
1’は独立して水素、ヒドロキシル、またはC
1-6アルコキシであり、前記nは0~4の正の整数であり、
前記R
2、R
2’およびR
2''は独立して水素またはC
1-6アルキルであり、前記R
3およびR
3’は独立して水素、ヒドロキシルまたは=Oであり、
R
4は水素またはヒドロキシル、R
5は置換基なしまたは=Oであり、
前記A--Bは-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-HOCH-CHOH-、-CH
2-CHOH-又は
であり、
前記その薬学的に許容される塩は、R
2’およびR
2''の位置で置換された有機または無機の塩である。
【0007】
好ましくは、前記A--Bが
である場合、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-1~式I-4に示される構造を有し、
【化2】
前記式I-1では、R
1はH、R
3’はH、またはR
1はメトキシ、R
3’はH、またはR
1は水素、R
3’は=Oであり、
【化3】
前記式I-2では、R
1はヒドロキシ、またはR
1はメトキシであり、
【化4】
前記式I-3では、R
1は水素、R
5は置換基なし、またはR
1はメトキシ、R
5は置換基なし、またはR
1はメトキシ、R
5は=Oであり、
【化5】
前記式I-4では、R
1はOH、R
1’はH(化合物5と表記)、またはR
1はH、R
1’はヒドロキシル(化合物6と表記)、またはR
1はOH、R
1’はメトキシ(化合物7と表記)である。
【0008】
好ましくは、前記A--Bが-CH
2-CHOH-である場合、前記-CH
2-CHOH-のヒドロキシル基はB位にあり、かつ前記ヒドロキシル基はβ-OHであり、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-5に示される構造を有し、
【化6】
前記式I-5では、R
3’は=Oであり、
前記A--Bが-HOCH-CHOH-である場合、前記-HOCH-CHOH-のA位にあるヒドロキシル基はα-OH、B位にあるヒドロキシル基はβ-OHであり、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-5に示される構造を有し、
【化7】
前記式I-5では、R
3’は水素である。
【0009】
好ましくは、前記A--Bが-CH=CH-である場合、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-6~式I-9に示される構造を有し、
【化8】
前記式I-6では、R
1はOH、R
2はH、またはR
1はメトキシ、R
2はH、またはR
1はメトキシ、R
2はメチルであり、
【化9】
前記式I-7では、R
1’はH、R
3’はH、またはR
1’はOH、R
3’はH、またはR
1’はH、R
3’は-OAcであり、
【化10】
前記式I-8では、R
3はH、R
3’は=O、R
4はH、またはR
3はH、R
3’は=O、R
4はヒドロキシルまたはR
3は=O、R
3’はH、R
4は水素であり、
【化11】
前記式I-9では、R
1はH、R
11はH、R
3’は水素、またはR
1はH、R
11はヒドロキシル、R
3’は水素、またはR
1はH、R
11はメトキシ、R
3’は水素、または、R
1はヒドロキシル、R
11は水素、R
3’は水素、またはR
1はメトキシ、R
11は水素、R
3’は水素、またはR
1はヒドロキシル、R
11はメトキシ、R
3’は=Oである。
【0010】
好ましくは、前記無機酸塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩またはリン酸塩である。
【0011】
好ましくは、前記有機酸塩は、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩またはシュウ酸塩である。
【0012】
本発明はまた、上記の技術的解決手段に記載されたフランアスピドスペルミン二量体の製造方法を提供し、
エルウァタミア属植物またはMelodinus suaveolens属植物に対して、順次浸出、抽出、勾配溶離を行い、前記フランアスピドスペルミン二量体を得るステップを含む。
【0013】
本発明はまた、免疫疾患を治療するための医薬品を製造する際の上記の技術的解決手段による前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩の適用を提供する。
【0014】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載のフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
好ましくは、前記医薬組成物中の前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩の質量パーセントは、10%以上である。
【0016】
本発明は、式Iに示される構造を有するフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩を提供し、式Iに示す構造を有し、ここで、前記R
1とR
1’は独立して水素、ヒドロキシル、またはC
1-6アルコキシであり、前記nは0~4の正の整数であり、前記R
2、R
2’およびR
2''は独立して水素またはC
1-6アルキルであり、前記R
3およびR
3’は独立して水素、ヒドロキシルまたは=Oであり、R
4は水素またはヒドロキシル、R
5は置換基なしまたは=Oであり、前記A--Bは-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-HOCH-CHOH-、-CH
2-CHOH-又は
であり、前記その薬学的に許容される塩は、R
2’およびR
2''の位置で置換された有機または無機の塩である。本発明に記載の式Iは、フラン環を介して、2つのアスピドスペルミンモノマーが接続されて形成される二量体であり、フラン環が開いているが不活性であるアスピドスペルミン二量体tabernaemontinesA-Lと比較して、フラン環は活性重要な基であることを示している。また、フラン環アスピドスペルミン-コリナンテイン、フラン環アスピドスペルミン-イボガビスインドールは、どちらもマクロファージM2極性化の活性を阻害せず、これは、アスピドスペルミンモノマーも活性の必須単位であることを裏付け、つまり、アスピドスペルミンモノマーとフラン環の剛性接続方式は、活性の基本的な骨格である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、CPLD、CPLL、TBYA、MDK、およびHMDの活性化免疫テストデータ図である。
【
図2】
図2は、化合物1~3および5~7の活性化免疫テストデータ図である。
【
図3】
図3は、化合物1体内の活性化免疫活性データ図である。
【
図4】
図4は、化合物1がCD8
+T細胞機能を改善および強化することを示すデータ図である。
【
図5】
図5は、CPLDがCD8
+T細胞機能を改善および強化することを示すデータ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、式Iに示される構造を有するフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【化12】
ここで、前記R
1とR
1’は独立して水素、ヒドロキシル、またはC
1-6アルコキシであり、前記nは0~4の正の整数であり、
前記R
2、R
2’およびR
2''は独立して水素またはC
1-6アルキルであり、前記R
3およびR
3’は独立して水素、ヒドロキシルまたは=Oであり、
R
4は水素またはヒドロキシル、R
5は置換基なしまたは=Oであり、
前記A--Bは-CH
2-CH
2-、-CH=CH-、-HOCH-CHOH-、-CH
2-CHOH-又は
であり、
前記その薬学的に許容される塩は、R
2’およびR
2''の位置で置換された有機または無機の塩である。
【0019】
本発明において、前記A--Bが
である場合、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、好ましくは、式I-1~式I-4に示される構造を有し、
【化13】
前記式I-1では、R
1はH、R
3’はH(化合物1と表記)、またはR
1はメトキシ、R
3’はH(taberyunine A又はTBY Aと表記)、またはR
1は水素、R
3’は=O(化合物2と表記)であり、
【化14】
前記式I-2では、R
1はヒドロキシ(taberyunine Cと表記)、またはR
1はメトキシ(10-dehydroxyl-conophyllineと表記)であり、
【化15】
前記式I-3では、R
1は水素、R
5は置換基なし(化合物3と表記)、またはR
1はメトキシ、R
5は置換基なし(conophylline(CPLL)と表記)、またはR
1はメトキシ、R
5は=O(化合物4と表記)であり、
【化16】
前記式I-4では、R
1はOH、R
1'はH(化合物5と表記)、またはR
1はH、R
1'はOH(化合物6と表記)、またはR
1はOH、R
1'はメトキシ(化合物7と表記)である。
【0020】
本発明において、前記A--Bが-CH
2-CHOH-の場合、前記-CH
2-CHOH-のヒドロキシル基はB位にあり、かつ前記ヒドロキシル基はβ-OHであり、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、式I-5に示される構造を有し、
【化17】
前記式I-5では、R
3’は=O(化合物8と表記)であり、
前記A--Bが-HOCH-CHOH-の場合、前記-HOCH-CHOH-のA位にあるヒドロキシル基はα-OH、B位にあるヒドロキシル基はβ-OHであり、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、好ましくは、式I-5に示される構造を有し、
【化18】
前記式I-5では、R
3’は水素(conophyllinineと表記)である。
【0021】
本発明において、前記A--Bが-CH=CH-の場合、前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩は、好ましくは、式I-6~式I-9に示される構造を有し、
【化19】
前記式I-6では、R
1はOH、R
2はH(conophyllidine(CPLD)と表記)、またはR
1はメトキシ、R
2はH(10-O-methyl-conophyllidineと表記)、またはR
1はメトキシ、R
2はメチル(10,15-dimethyl-conophyllidine)であり、
【化20】
前記式I-7では、R
1’はH、R
3’はH(melodineine K(MD K)と表記)、またはR
1’はOH、R
3’はH(19’-hydroxymelodinineK(HMD K)と表記)、またはR
1’はH、R
3’は-OAc(3’-acetonyl-melodinine Kと表記)であり、
【化21】
前記式I-8では、R
3はH、R
3’は=O、R
4はH(化合物9と表記)、またはR
3はH、R
3’は=O、R
4はヒドロキシル(化合物10と表記)、またはR
3は=O、R
3’はH、R
4は水素(化合物11と表記)であり、
【化22】
前記式I-9では、R
1はH、R
11はH、R
3’は水素(taberyunine Bと表記)、またはR
1はH、R
11はヒドロキシル、R
3’は水素(化合物12と表記)、またはR
1はH、R
11はメトキシ、R
3’は水素(化合物13と表記)、または、R
1はヒドロキシル、R
11は水素、R
3’は水素(化合物14と表記)、またはR
1はメトキシ、R
11は水素、R
3’は水素(化合物15と表記)、またはR
1はヒドロキシル、R
11はメトキシ、R
3’は=O(化合物16と表記)である。
【0022】
本発明において、前記無機酸塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩またはリン酸塩であり、前記有機酸塩は、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩またはシュウ酸塩である。
【0023】
本発明はまた、上記の技術的解決手段に記載されたフランアスピドスペルミン二量体の製造方法を提供し、エルウァタミア属植物またはMelodinus suaveolens属植物に対して、順次浸出、抽出、勾配溶離を行い、前記フランアスピドスペルミン二量体を得るステップを含む。
【0024】
本発明において、前記エルウァタミア属植物は、好ましくは、Tabernaemontana bovina、Tabernaemontana divaricata、Tabernaemontana corymbosa、Tabernaemontana bufalina Lour、およびTabernaemontana pandacaquiであり、前記Melodinus suaveolens属植物は、好ましくはMelodinus suaveolens又はMelodinus tenuicaudatusである。
【0025】
本発明において、前記浸出は、好ましくは有機溶剤中で実施され、前記有機溶剤は、好ましくはアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤またはハロゲン化アルキル系溶剤、より好ましくはC1-6アルコール、C3-6ケトン、C3-6エステル、C2-6エーテルまたはC1-6ハロゲン化アルキルであり、前記C1-6アルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、シクロペンタノール、n-ヘキサノールまたはシクロヘキサノールであり、前記C3-6ケトンは、好ましくはアセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトンであり、前記C3-6エステルは、好ましくはギ酸エチルまたは酢酸エチルプロピオン酸エチルであり、前記C2-6エーテルは、好ましくはメチルエーテルまたはエーテルであり、前記C1-6ハロゲン化アルキルには、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、またはジクロロエタンが含まれる。
【0026】
前記浸出後、本発明はさらに、好ましくは得られた浸出液を減圧濃縮して総抽出物を得ることを含む。
【0027】
本発明において、前記抽出が採用する抽出剤は、好ましくは酢酸エチルである。そのプロセスは、好ましくは得られた総抽出物のpH値を1.0~4.5に調整した後、酢酸エチルで抽出した後、得られた酸性水層のpH値を7.0~11.0に調整し、酢酸エチルを用いて2回目の抽出を行うことである。
【0028】
本発明において、前記勾配溶離は、好ましくはシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて実施し、使用する溶離機は、好ましくはクロロホルム-メタノール系(1:0→0:1、v/v)である。
【0029】
本発明において、式I-1~式I-9で表される構造の化合物の抽出プロセスは具体的には以下のとおりである。
【0030】
75kgのTabernaemontana bovina(Tabernaemontana bovina)の乾燥した葉を粉砕した後にメタノールで3回(3×20L)浸出し、得られた抽出液を減圧濃縮した後、pH値を2~3に調整し、酢酸エチルで2回抽出し、抽出して得られた酸性水層のpH値を7~9に調整した後、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせて濃縮した後、総アルカロイド(875g)を得た。総アルカロイドをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム-メタノール(1:0~1:1、v/v)で溶離し、合わせて画分した後、成分I-Xを得た。246gの第III成分を、まずRP-18中圧クロマトグラフィーカラムによる勾配溶離(30~100%メタノール)により、小さな12段階(III-1~III-12)に分割した。III-10(45g)をRP-1中圧クロマトグラフィーカラムで50~90%メタノールを用いて溶離し、7つの小さな部分(III-10-1~III-10-7)を得て、その中で、III-10-7をゲル(メタノール)で2回精製した後、さらにHPLC調製(60~75%アセトニトリル)で精製して化合物6を得た。III-11(37g)を続いてRP-18-中圧クロマトグラフィーカラムにより50~100%メタノール溶液で勾配溶離し、8つの小さい部分(III-11-1~III-10-8)を得て、その中で、III-11-5をゲル(メタノール)で精製した後、さらにHPLC調製(70~85%アセトニトリル)で精製して化合物15を得て、III-11-8をゲル(メタノール)で精製した後、さらにHPLC調製(C18分取カラム、60~75%アセトニトリル)で精製して、化合物5を得た。III-12(20g)を続いてRP-18-中圧クロマトグラフィーカラムから勾配溶離(60~100%メタノール)で5つの小さい部分(III-12-1~III-12-5)を得て、その中で、III-12-4をゲル(メタノール)で2回精製した後、HPLC調製(C18分取カラム、65~80%アセトニトリル)でさらに精製して化合物16を得た。III-12-5をゲル(メタノール)で細分した後、さらにHPLC調製(C18分取カラム、65~80%アセトニトリル)で精製して、10-dehydroxyl-conophyllineを得た。第IV成分(79g)を最初にRP-18中圧クロマトグラフィーカラムにより、メタノール-水溶液勾配溶離(15~85%)で7段階(IV-1~IV-7)に分割した。IV-5(16g)を続いてRP-18中圧クロマトグラフィーカラムによりメタノール-水溶液で勾配溶離(30~80%)し、小さな5つの部分(IV-5-1~IV-5-5)を得て、その中で、IV-5-3をゲル(メタノール)で精製した後、HPLC調製(C18分取カラム、45~60%アセトニトリル)でさらに精製してconophyllinineを得て、IV-5-4をゲル(メタノール)で精製した後、HPLC調製(C18分取カラム、45~60%アセトニトリル)でさらに精製して化合物8を得た。
【0031】
Tabernaemontana divaricata(T.divaricata)の乾燥した葉(7.5kg)を粉砕し、常温でメタノールで3回浸出させ、減圧下で濃縮することによって総抽出物を得た。総抽出物をpH2~3に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酸性水層をpH7~9に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、総アルカロイド(68g)を得て、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、クロロホルム-メタノール系(1:0-0:1、v/v)で溶離し、合わせた後に化合物の5つの成分(Fr.I-V)を得た。Fr.II(25g)を中圧カラムクロマトグラフィーで段階に分画し、メタノール-水系(10~100%)で勾配溶離し、5段階(Fr.II-1~5)に分画した。Fr.II-2(2g)をさらに中圧で段階に分画し、メタノール-水系(30~55%)で勾配溶離し、5段階(Fr.II-2-1~5)に分画し、Fr.II-2-4(0.5g)をSephadex LH-20ゲルカラムで処理し、HPLC(50~65%アセトニトリル)で精製して化合物3を得た。Fr.II-3(8.5g)は白色の柱状結晶を析出させ、母液(5g)を中圧で分離し、10~80%のメタノールで4段階(Fr.II-3-1~4)に勾配溶離した。Fr.II-3-4をHPLC(C18分取カラム、45~60%アセトニトリル)で精製して、化合物4を得た。Fr.II-4(3.5g)を中圧で段階に分画し、メタノール-水系(45~65%)で勾配溶離し、7段階(Fr.II-4-1~7)に分画した。Fr.II-4-5(2.0g)をSephadex LH-20ゲルカラムで処理して4段階を得て、そのうち、Fr.II-4-5-3をHPLC(65~80%アセトニトリル)で精製して化合物7を得て、Fr.II-4-5-4をHPLC(C18分取カラム、65~80%アセトニトリル)で精製して、化合物12を得て、Fr.II-5(0.7g)を中圧で段階に分画し、45~65%のメタノールで勾配溶離して8段階(Fr.II-5-1~8)に分画し、Fr.II-5-8(0.1g)をSephadex LH-20ゲルカラムで処理し、HPLC(65~75%アセトニトリル)で精製して化合物13を得た。
【0032】
Tabernaemontana corymbosaの乾燥した茎と葉(15kg)を粉砕した後にメタノールで液を抽出して、減圧下で総抽出物を得た。総抽出物を0.5%HCl溶液で完全に溶解し、pHを2~3に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し酸性水部分を10%アンモニア水でpH9~10に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせて濃縮し、総アルカロイド(61.5g)を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、クロロホルム-アセトン勾配溶離(1:0~2:1)により、同じ画分を合わせて8つの部分を得た(Fr.I-VIII)。IV(11.3g)をC18中圧(MeOH-H2O:40%、50%、60%、70%、80%)で調製して、IV-1~IV-5という5つの部分を得た。IV-4(1.2g)をC18中圧調製(MeOH-H2O、40~65%)、および高圧調製(C18カラム)MeOH-H2O(60~70%)勾配溶離により、Taberyunine Cを得た。Fr.VIII(20.3g)を中圧(メタノール水:15~65%)で段階に分画し、VIII-IとVIII-IIの2つの成分を得た。VIII-I(8.2g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-アセトン5:1~0:1)にかけて、5つの成分を得た。VIII-I-2(1.5g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール20:1~9:1)にかけて、VIII-I-2-1を得て、次にHPLC(メタノール-水:40~55%)によりさらに精製した後、conophyllidine及びconophyllineを得た。VIII-I-5(0.42g)をHPLC(メタノール-水:60~75%)で精製して、10-dehydroxyl-conophyllineを得た。VIII-II(4.7g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール5:1~0:1)により、3つの成分VIII-II-1~VIII-II-3を得た。VIII-II-1(0.9g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール:10:1)により、VIII-II-1-1を得て、次にHPLC(メタノール-水:70~85%)で精製して、taberyunine A及びtaberyunine Bを得た。
【0033】
Melodinus suaveolens(M. suaveolens)の乾燥した茎(28kg)を粉砕し、メタノールで4回(4×75L)抽出し、抽出液を減圧下で回収して総抽出物を得た。総抽出物をpH2~3に調整した後、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酸性水部をpH7~9に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、得られた全アルカロイド(250g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム-アセトン勾配溶離して3つの段階(Fr.I-III)を得た。Fr.II(3.0g)を中圧(30~80%メタノール)で分離し、9つの成分II-1~II-9を得た。II-2を中圧(60~80%メタノール)で分離し、化合物melodinine Kを得た。II-9(1.1g)を中圧で段階に分割して5つの部分II-9-1~II-9-5を得て、II-9-1をSephadex LH-20デキストランゲル(100%メタノール)により2つの部分II-9-1-1~II-9-1-2に分割した。II-9-1-1をHPLC(50~65%アセトニトリル)で精製して化合物10を得て、II-9-1-2をそれぞれSephadex LH-20デキストランゲル(メタノール)を介して、次にHPLC(50~65%アセトニトリル)で精製して化合物2を得て、II-9-2をSephadex LH-20デキストランゲル(メタノール)で溶離した後、HPLC(45~60%アセトニトリル)で精製して化合物9を得て、II-9-3をHPLC(55~70%アセトニトリル)で精製して化合物11を得た。
【0034】
Melodinus suaveolens(M. suaveolens)の乾燥した茎と葉(3.0kg)を粉砕した後に毎回24時間に95%エタノールに3回浸し、抽出液を合わせ、溶剤を減圧下で蒸留除去し、粗抽出物を水に懸濁させた。1%塩酸水溶液を加えてpHを2~3に調整し且つ撹拌し、EtOAcで抽出し、水層のpHを10%アンモニア水溶液でpH9~10に調整し、次にEtOAcで抽出して、9.8gの総アルカロイド抽出物を得た。サンプルを10gシリカゲルと混合し、100gシリカゲルカラムクロマトグラフィー、石油エーテル-アセトン(40:1~2:1)で勾配溶離して、IV個成分を得た。第III成分(3.2g)をRP-18逆相カラムアセトニトリル-水5~40%で溶離してIII-1~III-3を得て、そのうちIII-3をHPLCで精製してmelodinine Kを得て、第IV成分(0.8g)をHPLC(70~80%メタノール)で精製して化合物3’-acetonyl-melodinine K及び19’-hydroxy-melodinine Kを得た。
【0035】
Melodinus tenuicaudatusの乾燥した茎と葉(14kg)を上記と同じ方法で処理して、総アルカロイド抽出物17gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、クロロホルム-メタノール勾配溶離して、類似成分を組み合わせて5つの部分を得た。4番目の画分(2g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム-メタノール(15:1~8:1)で溶離し、次にシリカゲル大気圧および中圧カラムクロマトグラフィーを実施し、石油エーテル/アセトン(4:1)、石油エーテル/酢酸エチル(3:1)、クロマトグラフィー/アセトン(9:1)、メタノール/水(60~80%)等の溶離システムで繰り返し精製して、化合物melodinine Kを得た。
【0036】
得られたmelodinine K、クロロホルム、過塩素酸、メタクロロ過安息香酸を混合し、0度の条件下で酸化反応を起こして化合物1を得て、反応式は
に示し、
得られたmelodinine Kを、まずメタクロロ過安息香酸、クロロホルム、次に無水トリフルオロ酢酸、アセトンと混合し、0度では、酸化および求核反応が起こり、3’-acetonyl-melodinine Kが得られ、反応式は
に示し、
conophyllidine、ヨードメタン、およびアセトニトリルを混合して、室温で置換反応が起こり、10-O-methyl-conophyllidineが得られ、反応式は
である。
conophyllidine、ヨードメタン、およびアセトニトリルを混合して、50度で置換反応が起こり、10,15-O-dimethyl-conophyllidineが得られ、反応式は
である。
【0037】
本発明はまた、免疫疾患を治療するための医薬品を製造する際の上記の技術的解決手段による前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩の適用を提供する。
【0038】
本発明はまた、医薬組成物を提供し、上記技術的解決手段に記載のフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む。
【0039】
本発明において、前記医薬組成物中の前記フランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩の質量パーセントは、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、最も好ましくは50%以上である。本発明は、前記薬学的に許容される担体の種類に特別な制限はなく、当業者に周知の種類を使用すればよい。
【0040】
本発明は、前記医薬組成物の投与剤形に特別な制限はなく、当業者に周知の投与剤形を使用すればよい。
【0041】
本発明において、前記医薬組成物の投与経路は、好ましくは経口投与または非経口投与である。1日投与量は、好ましくは1~1000mgである。前記投与経路が経口投与である場合、前記医薬組成物はまた、好ましくは、医薬補剤を含み、前記医薬補剤は、好ましくは賦形剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、芳香剤および界面活性剤のうちの1つまたは複数を含む。前記医薬組成物中の前記医薬補剤の質量パーセント含有量は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、最も好ましくは50%以上である。前記医薬組成物の投与剤形は、好ましくは、顆粒剤、カプセルまたは錠剤である。前記投与経路が非経口投与である場合、前記医薬組成物の投与剤型は、好ましくは注射液、注射剤または坐剤である。
【0042】
以下に、実施例に関連して、本発明によって提供されるフランアスピドスペルミン二量体またはその薬学的に許容される塩、及びその製造方法と適用、医薬組成物を詳細に説明するが、それらを本発明の保護範囲を制限するものとして解釈することはできない。
【0043】
実施例1
75kgの薬用Tabernaemontana bovina(Tabernaemontana bovina)の乾燥した葉を粉砕した後にメタノールで3回(3×20L)浸出し、得られた抽出液を減圧濃縮した後、pH値を2~3に調整し、酢酸エチルで2回抽出し、抽出して得られた酸性水層のpH値を7~9に調整した後、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせて濃縮した後、総アルカロイド(875g)を得た。総アルカロイドをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム-メタノール(1:0~1:1、v/v)で溶離し、合わせて画分した後、成分I-Xを得た。246gの第III成分を、まずRP-18中圧クロマトグラフィーカラムによる勾配溶離(30~100%メタノール)により、小さな12段階(III-1~III-12)に分割した。III-10(45g)をRP-1中圧クロマトグラフィーカラムで50~90%メタノールを用いて溶離し、7つの小さな部分(III-10-1~III-10-7)を得て、その中で、III-10-6をゲル(メタノール溶離)で分離した後、HPLC調製(C18分取カラム、70~85%アセトニトリル)でさらに精製して、化合物14を得た。III-10-7をゲル(メタノール)で2回精製した後、さらにHPLC調製(60~75%アセトニトリル)で精製して化合物6を得た。III-11(37g)を続いてRP-18-中圧クロマトグラフィーカラムにより50~100%メタノール溶液で勾配溶離し、8つの小さい部分(III-11-1~III-10-8)を得て、その中で、III-11-5をゲル(メタノール)で精製した後、さらにHPLC調製(70~85%アセトニトリル)で精製して化合物15を得て、III-11-8をゲル(メタノール)で精製した後、さらにHPLC調製(C18分取カラム、60~75%アセトニトリル)で精製して、化合物5を得た。III-12(20g)を続いてRP-18-中圧クロマトグラフィーカラムから勾配溶離(60~100%メタノール)で5つの小さい部分(III-12-1~III-12-5)を得て、その中で、III-12-4をゲル(メタノール)で2回精製した後、HPLC調製(C18分取カラム、65~80%アセトニトリル)でさらに精製して化合物16を得た。III-12-5をゲル(メタノール)で細分した後、さらにHPLC調製(C18分取カラム、65~80%アセトニトリル)で精製して、10-dehydroxyl-conophyllineを得た。第IV成分(79g)を最初にRP-18中圧クロマトグラフィーカラムにより、メタノール-水溶液勾配溶離(15~85%)で7段階(IV-1~IV-7)に分割した。IV-5(16g)を続いてRP-18中圧クロマトグラフィーカラムによりメタノール-水溶液で勾配溶離(30~80%)し、小さな5つの部分(IV-5-1~IV-5-5)を得て、その中で、IV-5-3をゲル(メタノール)で精製した後、HPLC調製(C18分取カラム、45~60%アセトニトリル)でさらに精製してconophyllinineを得て、IV-5-4をゲル(メタノール)で精製した後、HPLC調製(C18分取カラム、45~60%アセトニトリル)でさらに精製して化合物8を得た。
【0044】
Tabernaemontana divaricata(T.divaricata)の乾燥した葉(7.5kg)を粉砕し、常温でメタノールで3回浸出させ、減圧下で濃縮することによって総抽出物を得た。総抽出物をpH2~3に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酸性水層をpH7~9に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、総アルカロイド(68g)を得て、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、クロロホルム-メタノール系(1:0-0:1、v/v)で溶離し、合わせた後に化合物の5つの成分(Fr.I-V)を得た。Fr.II(25g)を中圧カラムクロマトグラフィーで段階に分画し、メタノール-水系(10~100%)で勾配溶離し、5段階(Fr.II-1~5)に分画した。Fr.II-2(2g)をさらに中圧で段階に分画し、メタノール-水系(30~55%)で勾配溶離し、5段階(Fr.II-2-1~5)に分画し、Fr.II-2-4(0.5g)をSephadex LH-20ゲルカラムで処理し、HPLC(50~65%アセトニトリル)で精製して化合物3を得た。Fr.II-3(8.5g)は白色の柱状結晶を析出させ、母液(5g)を中圧で分離し、10~80%のメタノールで4段階(Fr.II-3-1~4)に勾配溶離した。Fr.II-3-4をHPLC(C18分取カラム、45~60%アセトニトリル)で精製して、化合物4を得た。Fr.II-4(3.5g)を中圧で段階に分画し、メタノール-水系(45~65%)で勾配溶離し、7段階(Fr.II-4-1~7)に分画した。Fr.II-4-5(2.0g)をSephadex LH-20ゲルカラムで処理して4段階を得て、そのうち、Fr.II-4-5-3をHPLC(65~80%アセトニトリル)で精製して化合物7を得て、Fr.II-4-5-4をHPLC(C18分取カラム、65~80%アセトニトリル)で精製して、化合物12を得て、Fr.II-5(0.7g)を中圧で段階に分画し、45~65%のメタノールで勾配溶離して8段階(Fr.II-5-1~8)に分画し、Fr.II-5-8(0.1g)をSephadex LH-20ゲルカラムで処理し、HPLC(65~75%アセトニトリル)で精製して化合物13を得た。
【0045】
Tabernaemontana corymbosaの乾燥した茎と葉(15kg)を粉砕した後にメタノールで液を抽出して、減圧下で総抽出物を得た。総抽出物を0.5%HCl溶液で完全に溶解し、pHを2~3に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し酸性水部分を10%アンモニア水でpH9~10に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせて濃縮し、総アルカロイド(61.5g)を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、クロロホルム-アセトン勾配溶離(1:0~2:1)により、同じ画分を合わせて8つの部分を得た(Fr.I-VIII)。IV(11.3g)をC18中圧(MeOH-H2O:40%、50%、60%、70%、80%)で調製して、IV-1~IV-5という5つの部分を得た。IV-4(1.2g)をC18中圧調製(MeOH-H2O、40~65%)、および高圧調製(C18カラム)MeOH-H2O(60~70%)勾配溶離により、Taberyunine Cを得た。Fr.VIII(20.3g)を中圧(メタノール水:15~65%)で段階に分画し、VIII-IとVIII-IIの2つの成分を得た。VIII-I(8.2g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-アセトン5:1~0:1)にかけて、5つの成分を得た。VIII-I-2(1.5g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール20:1~9:1)にかけて、VIII-I-2-1を得て、次にHPLC(メタノール-水:40~55%)によりさらに精製した後、conophyllidine及びconophyllineを得た。VIII-I-5(0.42g)をHPLC(メタノール-水:60~75%)で精製して、10-dehydroxyl-conophyllineを得た。VIII-II(4.7g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール5:1~0:1)により、3つの成分VIII-II-1~VIII-II-3を得た。VIII-II-1(0.9g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール:10:1)により、VIII-II-1-1を得て、次にHPLC(メタノール-水:70~85%)で精製して、taberyunine A及びtaberyunine Bを得た。
【0046】
Melodinus suaveolens(M.suaveolens)の乾燥した茎(28kg)を粉砕し、メタノールで4回(4×75L)抽出し、抽出液を減圧下で回収して総抽出物を得た。総抽出物をpH2~3に調整した後、等量の酢酸エチルで3回抽出し、酸性水部をpH7~9に調整し、等量の酢酸エチルで3回抽出し、得られた全アルカロイド(250g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム-アセトン勾配溶離して3つの段階(Fr.I-III)を得た。Fr.II(3.0g)を中圧(30~80%メタノール)で分離し、9つの成分II-1~II-9を得た。II-2を中圧(60~80%メタノール)で分離し、化合物melodinine Kを得た。II-9(1.1g)を中圧で段階に分割して5つの部分II-9-1~II-9-5を得て、II-9-1をSephadex LH-20デキストランゲル(100%メタノール)により2つの部分II-9-1-1~II-9-1-2に分割した。II-9-1-1をHPLC(50~65%アセトニトリル)で精製して化合物10を得て、II-9-1-2をそれぞれSephadex LH-20デキストランゲル(メタノール)を介して、次にHPLC(50~65%アセトニトリル)で精製して化合物2を得て、II-9-2をSephadex LH-20デキストランゲル(メタノール)で溶離した後、HPLC(45~60%アセトニトリル)で精製して化合物9を得て、II-9-3をHPLC(55~70%アセトニトリル)で精製して化合物11を得た。
【0047】
Melodinus suaveolens(M. suaveolens)の乾燥した茎と葉(3.0kg)を粉砕した後に毎回24時間に95%エタノールに3回浸し、抽出液を合わせ、溶剤を減圧下で蒸留除去し、粗抽出物を水に懸濁させた。1%塩酸水溶液を加えてpHを2~3に調整し且つ撹拌し、EtOAcで抽出し、水層のpHを10%アンモニア水溶液でpH9~10に調整し、次にEtOAcで抽出して、9.8gの総アルカロイド抽出物を得た。サンプルを10gシリカゲルと混合し、100gシリカゲルカラムクロマトグラフィー、石油エーテル-アセトン(40:1~2:1)で勾配溶離して、IV個成分を得た。第III成分(3.2g)をRP-18逆相カラムアセトニトリル-水5~40%で溶離してIII-1~III-3を得て、そのうちIII-3をHPLCで精製してmelodinine Kを得て、第IV成分(0.8g)をHPLC(70~80%メタノール)で精製して化合物3’-acetonyl-melodinine K及び19’-hydroxy-melodinine Kを得た。
【0048】
Melodinus tenuicaudatusの乾燥した茎と葉(14kg)を上記と同じ方法で処理して、総アルカロイド抽出物17gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで、クロロホルム-メタノール勾配溶離して、類似な成分を合わせて5つの部分を得た。4番目の画分(2g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム-メタノール(15:1~8:1)で溶離し、次にシリカゲル大気圧および中圧カラムクロマトグラフィーを実施し、石油エーテル/アセトン(4:1)、石油エーテル/酢酸エチル(3:1)、クロマトグラフィー/アセトン(9:1)、メタノール/水(60~80%)等の溶離システムで繰り返し精製して、化合物melodinine Kを得た。
【0049】
得られたmelodinine K、クロロホルム、過塩素酸、メタクロロ過安息香酸を混合し、0度の条件下で酸化反応を起こして化合物1を得て、反応式は
に示し、
得られたmelodinine Kを、まずメタクロロ過安息香酸、クロロホルム、次に無水トリフルオロ酢酸及びアセトンと混合し、0度では、酸化および求核反応が起こり、3’-acetonyl-melodinine Kが得られ、反応式は
に示す。
conophyllidine、ヨードメタン、およびアセトニトリルを混合して、室温で置換反応が起こり、10-O-methyl-conophyllidineが得られ、反応式は
に示す。
conophyllidine、ヨードメタン、およびアセトニトリルを混合して、50度で置換反応が起こり、10,15-O-dimethyl-conophyllidineが得られ、反応式は
に示す。
【0050】
実施例1の抽出によって得られた一連のフランアスピドスペルミン二量体のスペクトルデータは以下のとおりである。
【0051】
化合物1:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):196、245、330nm。核磁気1H(800MHz)および13C(200MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESI-MS m/z:719([M+H]+)、分子式C42H46N4O7。
【0052】
化合物2:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):191、254、329nm。核磁気1H(800MHz)および13C(200MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESI-MS m/z:733([M+H]+)、分子式C42H44N4O8。
【0053】
化合物3:淡黄色の粉末:紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax:196、254、328nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:787[M+Na]+、分子式はC43H48N4O9である。
【0054】
化合物4:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):196、254、332nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:809.3405[M-H]、分子式C44H50N4O11。
【0055】
化合物5:黄色粉末:紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):196、248、330nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:765[M+H]+、分子式C43H48N4O9。
【0056】
化合物6:黄色粉末:紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):196、248、330nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:765[M+H]+、分子式C43H48N4O9。
【0057】
化合物7:黄色粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax:196、254、332nm、核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z795.3601[M+H]+、分子式C44H50N4O10。
【0058】
化合物8:黄色粉末:紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):196、240、320、340nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(CD3OD)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:810[M+H]+、分子式C44H50N4O11。
【0059】
化合物9:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):198、254、328nm。核磁気1H(800MHz)および13C(200MHz)NMR(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:717[M+H]+、分子式C42H44N4O7。
【0060】
化合物10:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):196、254、332nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)(acetone-d6)データを表1および2に示し、質量分析ESIMS m/z:733[M+H]+、分子式C42H44N4O8。
【0061】
化合物11:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):195、254、329nm。核磁気1H(800MHz)および13C(200MHz)NMR(acetone-d6)データを表3および4に示し、質量分析ESIMS m/z:717[M+H]+、分子式C42H44N4O7。
【0062】
化合物12:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax:196、243、331nm。核磁気1H(500MHz)および13C(125MHz)NMR(acetone-d6)データを表3および4に示し、ESIMS m/z:749[M+H]+。分子式はC43H48N4O8である。
【0063】
化合物13:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax:196、242、328nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)、データを表3および4に示し、質量分析ESIMS m/z785.3526[M+Na]+、分子式はC44H50N4O8である。
【0064】
化合物14:黄色粉末:紫外線スペクトルUV(MeOH)(max):198、250、326nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表3および4に示し、質量分析ESIMS m/z:749[M+H]+、分子式C43H48N4O8。
【0065】
化合物15:黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):198、250、330nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150hz)NMR(acetone-d6)データを表3および4に示し、質量分析ESIMS m/z:763[M+H]+、分子式C44H50N4O8。
【0066】
化合物16:黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):198、245、335nm。核磁気1H(600MHz)および13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表3および4に示し、質量スペクトルESIMS m/z:793[M+H]+、分子式C44H48N4O10。
【0067】
Taberyunine A:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):242、330nm、核磁気1H NMR(600MHz,acetone-d6)δ:7.40(1H,s,H-9’)、6.58(1H,s,H-12)、6.56(1H,s,H-12’)、5.99(1H,d,J=8.1Hz,H-9)、5.92(1H,d,J=8.1Hz,H-10)、4.97(1H,dd,J=8.0,4.8Hz,H-14)、4.88(1H,d,J=8.0Hz,H-3)、4.08(1H,brd,J=4.8Hz,H-15)、3.71(3H,s,CO2Me’)、3.69(3H,s,CO2Me)、3.65(3H,s,11-OMe)、0.90(3H,t,J=7.2Hz,H-18’)、0.66(3H,t,J=7.2Hz,H-18)。13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表5に示し、分子式はC43H48N4O8である。
【0068】
Taberyunine C:白色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):241、328nm、核磁気1H NMR(600MHz,acetone-d6)δ:8.88(1H,s,NH)、9.39(1H,s,NH’)、7.42(1H,s,H-9’)、6.57(1H,s,H-12’)、5.99(1H,d,J=8.4Hz,H-10)、5.64(1H,d,J=8.4Hz,H-9)、4.97(1H,dd,J=7.8,4.8Hz,H-14)、4.89(1H,d,J=7.8Hz,H-3)、4.08(1H,brd,J=4.8Hz,H-15)、3.72(6H,s,C’O2Me及びCO2Me)、3.73(3H,s,11-OMe)、0.92(3H,t,J=7.8Hz,H-18’)、0.68(3H,t,J=7.2Hz,H-18)。13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表5に示す。質量分析HRESIMS m/z 765.3480[M+H]+、分子式C43H49N4O9。
【0069】
10-Dehydroxyl-conophylline:白色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):248、329nm、核磁気1H(600MHz)NMR(acetone-d6)δ:8.88(1H,s,NH)、9.39(1H,s,NH’)、7.42(1H,s,H-9’)、6.57(1H,s,H-12’)、5.99(1H,d,J=8.4Hz,H-10)、5.64(1H,d,J=8.4Hz,H-9)、4.97(1H,dd,J=7.8,4.8Hz,H-14)、4.89(1H,d,J=7.8Hz,H-3)、4.08(1H,brd,J=4.8Hz,H-15)、3.72(6H,s,CO2Me’及びCO2Me)、3.65(3H,s,11-OMe)、0.92(3H,t,J=7.2Hz,H-18’)、0.66(3H,t,J=7.2Hz,H-18)。質量分析ESI-MS m/z 779.3623[M+H]+、分子式はC44H50N4O9である。
【0070】
Conophylline:白色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):243、330nm、核磁気1H NMR(acetone-d6,400MHz):δ 8.78(1H,s,NH)、4.84(1H,d,J=7.7Hz,H-3)、5.65(1H,s,H-9)、4.93(1H,dd,J=7.7,4.3Hz,H-14)、4.09(1H,m,H-15)、0.70(3H,t,J=7.1Hz,H-18)、2.56(1H,s,H-21)、3.70(3H,s,16-COOCH3)、9.37(1H,s,NH’)、7.19(1H,s,H-9’)、6.58(1H,s,H-12’)、3.16(1H,m,H-14’)、0.76(3H,t,J=7.2Hz,H-18’)、2.66(1H,s,H-21’)、3.71(3H,s,16’-COOCH3)、3.72(3H,s, 11’-OCH3)、3.86(3H,s,12’-OCH3)。13C(100MHz) NMR(acetone-d6)、データを表5に示す。
【0071】
Conophyllinine 黄色の粉末、核磁気1H NMR(500MHz acetone-d6,):δ 8.77(1H,s,NH)、5.75(1H,s,H-9)、4.91(1H,dd,J=7.6,3.5Hz,H-14)、4.83(1H,d,J=7.6Hz,H-3)、3.83(3H,s,12-OCH3)、3.72(3H,s,11-OCH3)、3.68(3H,s,16-COOCH3)、0.68(3H,t,J=7.5Hz,H-18)、9.26(1H,s,NH’)、7.38(1H,s,H-9’)、6.58(1H,s,H-12’)、3.70(3H,s,16’-COOCH3)、0.82(3H,t,J=7.5Hz,H-18’)。13C(125MHz)NMR(acetone-d6)データを表5に示す。
【0072】
Conophyllidine:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):242、330nm、核磁気1H NMR(acetone-d6,400MHz):δ:9.37(1H,s,NH’)、8.77(1H,s,NH)、7.40(1H,s,H-9’)、6.59(1H,s,H-12’)、5.62(1H,s,H-9)、4.93(1H,dd,J=7.6,3.6Hz,H-14)、4.82(1H,d,J=7.6Hz,H-3)、4.05(1H,d,J=3.6Hz,H-15)、3.86(3H,s,12’-OCH3)、3.72(3H,s,11’-OCH3)、3.71(3H,s,16’-COOCH3)、3.70(3H,s,16-COOCH3)、0.70(3H,t,J=7.4Hz,H-18)、0.69(3H,t,J=7.4Hz,H-18’)。13C(acetone-d6)NMR(100MHz)データを表5に示す。
【0073】
10-O-methyl-conophyllidine:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):242、330nm。核磁気1H(400MHz)NMR(acetone-d6)δ:9.29(1H,s,NH)、6.20(1H,d,J=7.2,H-9)、6.46(1H,d,J=7.2,H-9)、7.01(1H,d,J=7.2,H-11)、7.00(1H,d,J=7.2,H-12)、5.01(1H,dd,J=7.8,3.6Hz,H-14)、4.07(1H,dd,J=3.6Hz,H-15)、4.83(1H,s,H-3)、7.46(1H,s,H-9’)、6.56(1H,s,H-12’)、5.87(2H,overlap,H-14’/15’)、3.77(3H,s,COOCH3)、3.66(3H,s,C’OOC’H3)、2.08(3H,s,CH2COCH3)、0.84(3H,t,J=7.4Hz,H-18’)、0.67(3H,t,J=7.4Hz,H-18)。質量分析HRESIMS m/z:849.4075[M+H]+、分子式C48H56N4O10。
【0074】
10,15-O-dimethyl-conophyllidine:淡黄色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λ(max):242、330nm。質量分析HRESIMS m/z:863.4231[M+H]+、分子式C49H58N4O10。
【0075】
Melodinine K:白色の粉末、紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax:242、330nm。核磁気1H NMR(600MHz,acetone-d6)δ:9.27(1H,s,NH)、9.39(1H,s,NH’)、7.46(1H,s,H-9’)、6.99(1H,d,J=7.2Hz,H-11)、6.94(1H,d,J=7.2Hz,H-12)、6.58(1H,s,H-12’)、6.40(1H,d,J=7.2Hz,H-10)、6.11(1H,d,J=7.2Hz,H-9)、5.89(2H,overlap,H-14’/15’)、5.00(1H,dd,J=7.8,3.6Hz,H-14)、4.89(1H,d,J=7.6Hz,H-3)、4.07(1H,dd,J=3.6Hz,H-15)、3.72(3H,s,C’O2Me’)、3.71(3H,s,CO2Me)、0.82(3H,t,J=7.2Hz,H-18’)、0.67(3H,t,J=7.2Hz,H-18)。13C(150MHz)NMR (acetone-d6)データを表6に示す。質量分析ESI-MS m/z 703 [M+H]+、分子式C42H46N4O6。
【0076】
19’-Hydroxy-melodinine K:白色の粉末。紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax:242、330nm。核磁気1H NMR(acetone-d6,400MHz)δ:9.24(1H,s,NH)、9.33(1H,s,N’H)、7.43(1H,s,H-9’)、6.96(1H,t,J=7.3Hz,H-11)、6.91(1H,d,J=7.3Hz,H-12)、6.56(1H,s,H-12’)、6.54(1H,t,J=7.3Hz,H-10)、6.05(1H,d,J=7.3Hz,H-9)、5.85(2H,overlap,H-14’/15’)、4.93(1H,dd,J=7.8,3.6Hz,H-14)、4.83(1H,d,J=7.8Hz,H-3)、4.05(1H,d,J=3.6Hz,H-15)、3.77(3H,s,COOCH3)、3.69(3H,s,C’OOC’H3)、3.55(1H,q,J=6.5Hz)、1.00(3H,d,J=6.6Hz,H-18’)、0.65(3H,t,J=7.8Hz,H-18)。13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表6に示す。質量分析HR-ESI-MS m/z:719.3443[M+H]+、分子式C42H46N4O7。
【0077】
3’-acetonyl-melodinine K:白色の粉末。紫外線スペクトルUV(MeOH)λmax 330、247nm。核磁気1H(600MHz)NMR(acetone-d6)δ:9.49(1H,s,NH)、9.29(1H,s,NH)、7.46(1H,s,H-9’)、7.01(1H,t,J=7.2,H-11)、7.00(1H,d,J=7.2,H-12)、6.56(1H,s,H-12’)、6.46(1H,t,J=7.2,H-10)、6.20(1H,d,J=7.2,H-9)、5.87(2H,overlap,H-14’/15’)、4.98(1H,dd,J=7.8,3.6Hz,H-14)、4.83(1H,s,H-3)、4.07(1H,dd,J=3.6Hz,H-15)、3.77(3H,s,COOCH3)、3.66(3H,s,C’OOC’H3)、2.08(3H,s,CH2COCH3)、0.84(3H,t,J=7.4Hz,H-18’)、0.67(3H,t,J=7.4Hz,H-18)。13C(150MHz)NMR(acetone-d6)データを表6に示す。質量分析HRESIMS m/z 759.3761[M+H]+、分子式C45H50N4O7。
【0078】
Taberyunine B:淡黄色の粉末:紫外線スペクトルUV (MeOH)λmax:204、 242、 330nm。核磁気1H (600 MHz) NMR δ: 9.23(1H,s,NH)、9.39(1H,s,NH’)、7.44(1H,s,H-9’)、6.57(2H,s,H-12/12’)、5.99 (1H,d,J=8.0Hz,H-9)、5.91(1H,d,J=8.0Hz, H-10)、5.80(2H,overlap,H-14’/15’)、4.95 (1H,dd,J=7.8,4.8 Hz,H-14)、4.89(1H,d,J =7.8Hz,H-3)、4.06(1H,d,J=4.8Hz,H-15)、3.70(3H,s,C’OOC’H3)、3.69(3H,s,COOCH3)、3.63(3H,s,11-OMe)、0.84(3H,t,J=7.2Hz,H-18’)、0.66(3H,t,J=7.2Hz,H-18)。 13C (150MHz) NMR (acetone-d6)データを表6に示す。HRESIMS m/z 733.3612[M+H]+、分子式C43H49N4O7。
【0079】
表1~6は、実施例1の抽出により得られた一連のフランアスピドスペルミン二量体の核磁気データ帰属表である。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
テスト例
活性化免疫テスト:BMMsは骨髄から分離され、誘導して培養された初代細胞であり、マクロファージの機能を十分に反映することができ、マクロファージの機能を研究するために一般的に使用される細胞である。マウス大腿骨の骨髄を分離した後、mCSF因子を含む培地で6~7日間培養することによって成熟したBMMsが得られ、IL-4で12時間刺激すると、ARG1の高発現を伴う免疫抑制型のM2型に極性化するように誘導でき、タンパク質を抽出した後、体外でアルギニン加水分解を行い、さらにα-isonitrosopropiophenoneを使用して加水分解物尿素と反応させて発色させ、波長540nmで吸光度を測定し、ARG1活性のマーカーとした。具体的なプロセスは以下のとおりである。細胞を薬物(CPLD、CPLL、TBYA、MDK、HMD、化合物1~3および化合物5~7)で前処理(1μM)した後、IL-4を12時間刺激し、PBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む細胞溶解液で細胞を溶解し、総細胞タンパク質を取り、0.2~0.4mMのMn
2+を添加した後、55℃で10分間加熱して、アルギナーゼARG1を完全に活性化した。0.5mMアルギニンを添加し、37℃で1~2時間インキュベートして、アルギニンを完全に加水分解した。硫酸とリン酸を含む酸性溶液を加えて反応を停止し、9%α-isonitrosopropiophenoneエタノール溶液を加え、95℃で15~30分間加熱して発色できる。実験結果を
図1に示すように、
図1から、化合物CPLD、CPLL、TBYA、MDK、およびHMDが、マクロファージでIL-4によって誘導されるarginase発現を有意に阻害し、マクロファージのM2極性化を阻害できることがわかり、
図1(AはマクロファージM2極性化の抑制、BはCPLD、CPLL、TBYA、MDK、HMDの構造式、Cは化合物の濃度依存関係)から、CPLD、CPLL、TBYA、MDK、およびHMDは、マクロファージでのIL-4誘導arginase発現を有意に阻害でき、濃度依存的にマクロファージでのM2極性化を阻害できることがわかる。
図2から、化合物1~3および5~7もマクロファージM2の極性化を阻害できることがわかる。
【0087】
免疫に依存した活性の検証:マウス黒色腫モデルでは、化合物1を2mg/kgの用量で4回連続腹腔内投与し、テスト結果を
図3に示し、化合物1には明らかな抗腫瘍効果があり、その抗腫瘍活性は免疫系に依存し、正常なマウス黒色腫モデル(A)および乳がんモデル(B)では、化合物1は腫瘍の成長を有意に抑制し、乳がんの自然発生的な肺転移(CおよびD)を抑制した。Balb/cヌードマウスを用いて構築した黒色腫モデル(E)と乳がん細胞モデル(F)では、化合物1の抗腫瘍活性が消失した。
【0088】
CD8
+T細胞機能を改善および強化するための検証:FACS分析により、化合物1のテスト結果を
図3に示すように、化合物1は、腫瘍における免疫細胞の浸潤を促進し、CD8
+T細胞の割合をアップレギュレートし、骨髄細胞の割合をダウンレギュレートできるが、CD4
+T細胞、Treg細胞、NK細胞、B細胞等には有意な影響を与えない。さらなる研究により、化合物1はCD8
+T細胞の機能を促進し、IFNγ、Granzyme B、TNFαを増強し、PD1、LAG3、TIM3をアップレギュレートできることがわかった。また、化合物1は、CD206
+マクロファージの割合をダウンレギュレートできる(図-4)。そのうち、(A)は、化合物1が腫瘍免疫応答を活性化できることを示している。(B)微小環境における免疫細胞分類群の割合を調整した。(C~E)T細胞、特にCD8
+T細胞の割合をアップレギュレーションした。(F~H)はTreg比に有意な影響を与えなかった。(I,J)CD8
+T細胞の機能を促進し、IFNγ、Granzyme B、TNFαの発現をアップレギュレーションした。(K,L)PD1、LAG3、TIM3の発現を同時にアップレギュレーションした。(M,N)腫瘍微小環境における骨髄細胞(CD11b
+)の割合をダウンレギュレートした。(O,P)特にM2型のTAMs(CD206
hi)の割合.
*P<0.05、
**P<0.01。
【0089】
COLDのテスト結果を
図5に示すように、CPLD処理は、腫瘍内のCD8
+T細胞の割合を大幅に増加させることができるが、CD4
+T細胞には有意な影響を与えず(図-5 A~E)、Tregの割合(F~G)には影響を与えないことがわかった。細胞内染色は、CPLDがCD8
+T細胞の機能を促進し、IFNγ、Granzyme B、TNFαの発現を増強できることを示した(H~K)。さらなる免疫蛍光染色実験では、CPLDがCD8
+T細胞の割合を増加させ、Granzyme Bの発現を促進できることもわかった(L)。さらに、マウスにanti-CD8抗体を継続的に注入し、体内のCD8
+T細胞を削除して黒色腫モデルを構築し、化合物の抗腫瘍活性を調べた。結果は、CPLDの抗腫瘍効果がCD8
+T細胞削除腫瘍モデルおよびヌードマウス腫瘍モデルで有意に減少したことを示し、CPLDがTAMsの機能を調節することによってCD8
+T細胞の機能をさらに促進して抗腫瘍活性を発揮できることを確認した(M~N)。
【0090】
実施例2
硫酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度の硫酸エタノール溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させて硫酸塩を得た。
【0091】
実施例3
塩酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度の塩酸エタノール溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させて塩酸塩を得た。
【0092】
実施例4
リン酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度のリン酸溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させてリン酸塩を得た。
【0093】
実施例5
酒石酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度の酒石酸溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させて酒石酸塩を得た。
【0094】
実施例6
クエン酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度のクエン酸溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させてクエン酸塩を得た。
【0095】
実施例7
ギ酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度のギ酸溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させてギ酸塩を得た。
【0096】
実施例8
シュウ酸塩の調製:
実施例1で調製した28個の物質において、それぞれ4%質量濃度のシュウ酸溶液をpH=4まで加え、濾過し、乾燥させてシュウ酸塩を得た。
【0097】
実施例9
注射液の調製:
実施例2から8で調製された塩に、注射用の水を添加し、精密ろ過して、注型封止して滅菌して注射液を得た。
【0098】
実施例10
粉末注射剤の調製:
実施例2~8で調製された塩を、滅菌注射用水に溶解し、溶解するまで撹拌し、滅菌吸引フィルター漏斗でろ過し、次に滅菌精密ろ過し、アンプルに密封包装し、低温凍結乾燥した後、滅菌溶解および密封して粉末注射剤を得た。
【0099】
実施例11
粉剤の調製:
質量比9:1で、実施例2~8で調製した塩を賦形剤と混合して粉剤を得た。
【0100】
実施例12
錠剤の調製:
質量比1:(5~10)で、実施例2~8で調製した塩を賦形剤と混合し、錠剤に圧縮して錠剤を得た。
【0101】
実施例13
質量比5:1で、実施例2~8で調製した塩を賦形剤と混合してカプセル、顆粒剤または顆粒製剤に形成した。
【0102】
実施例14
質量比3:1で、実施例2~8で調製した塩を賦形剤と混合してカプセル、顆粒剤または顆粒製剤に形成した。
【0103】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎない。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善および修正を行うことができる。これらの改善および修正はまた、本発明の保護範囲と見なされるべきであることに留意されたい。