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特開2022-140716電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140716
(43)【公開日】2022-09-27
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/282 20060101AFI20220915BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20220915BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20220915BHJP
   G01S 13/34 20060101ALN20220915BHJP
【FI】
G01S7/282
G01S7/02 216
G01S13/931
G01S13/34
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123968
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2020548598の分割
【原出願日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2018182379
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】佐原 徹
(72)【発明者】
【氏名】錦戸 正光
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋平
(57)【要約】
【課題】電波を用いて物体を検出する技術の有用性を向上させる電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムを提供する。
【解決手段】電子機器は、送信部と、受信部と、制御部と、を備える。送信部は、送信波を送信する。受信部は、送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信する。制御部は、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つにて送信部を動作させる。制御部は、受信部において反射波を受信した場合に、送信波及び反射波に基づいて自装置と対象物との距離を判定する。制御部は、複数の動作モードのうち、対象物との距離が検出距離に含まれる動作モードであって、検出距離が最も短い動作モードにて、送信部を動作させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を送信する送信部と、
前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信する受信部と、
検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つにて前記送信部を動作させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記送信波及び前記反射波に基づいて自装置と前記対象物との距離を判定し、
前記複数の動作モードのうち、前記対象物との前記距離が前記検出距離に含まれる動作モードであって、前記検出距離が最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させる、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信部において前記反射波を受信しない場合に、前記複数の動作モードのうち、前記検出距離が最も長い動作モードにて、前記送信部を動作させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、所定のタイミングにて、前記受信部において前記反射波を受信したか否かを判定する、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記送信部は、複数の送信アンテナを備え、
前記制御部は、前記送信部の前記動作モードに応じて、前記複数の送信アンテナを制御して、前記送信部から送信される送信波の指向性を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記動作モードの前記検出距離が短いほど、水平方向に対して下方向に角度が大きくなるように、前記送信波の指向性を制御する、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数の送信アンテナは、垂直方向に並べて配置され、
前記制御部は、前記複数の送信アンテナから送信される送信波の少なくとも1つの位相を制御して、水平方向よりも下方向へのビームフォーミングを行うことによって、前記送信波の指向性を制御する、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数の送信アンテナは、それぞれ異なる送信波の指向性を持って配置され、
前記制御部は、前記複数の送信アンテナのうちいずれか1つから、水平方向よりも下方向への前記送信波の送信を行うことによって、前記送信波の指向性を制御する、請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
送信部と、受信部と、制御部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記制御部が、
前記送信部から、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つで送信波を送信するステップと、
前記受信部において、前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信したか否かを判定するステップと、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記送信波及び前記反射波に基づいて自装置と前記対象物との距離を判定するステップと、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記対象物との前記距離が前記検出距離に含まれる動作モードであって、前記検出距離が最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させるステップと、
を含む、電子機器の制御方法。
【請求項9】
送信部と、受信部と、制御部と、を備える電子機器に、
前記送信部から、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つで送信波を送信するステップと、
前記受信部において、前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信したか否かを判定するステップと、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記送信波及び前記反射波に基づいて自装置と前記対象物との距離を判定するステップと、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記対象物との前記距離が前記検出距離に含まれる動作モードであって、前記検出距離が最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させるステップと、
を実行させる、電子機器の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年9月27日に日本国に特許出願された特願2018-182379の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、電波を用いて対象物を検出し、対象物との距離或いは対象物との相対速度等を測定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、FMCWレーダ(周波数変調連続波レーダ、Frequency Modulated Continuous Wave radar)において、異なる2種類の変調帯域幅を有する送信波を用いることで、不検知領域を変化させて、不検知領域内の対象物を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-133144号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態に係る電子機器は、送信部と、受信部と、制御部とを備える。前記送信部は、送信波を送信する。前記受信部は、前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信する。前記制御部は、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つにて前記送信部を動作させる。前記制御部は、前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記送信波及び前記反射波に基づいて自装置と前記対象物との距離を判定する。前記制御部は、前記複数の動作モードのうち、前記対象物との前記距離が前記検出距離に含まれる動作モードであって、前記検出距離が最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させる。
【0006】
本開示の一実施形態に係る電子機器の制御方法は、送信部と、受信部と、制御部と、を備える電子機器の制御方法である。前記制御方法は、前記制御部が、前記送信部から、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つで送信波を送信するステップを含む。前記制御方法は、前記制御部が、前記受信部において、前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信したか否かを判定するステップを含む。前記制御方法は、前記制御部が、前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記送信波及び前記反射波に基づいて自装置と前記対象物との距離を判定するステップを含む。前記制御方法は、前記制御部が、前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記対象物との前記距離が前記検出距離に含まれる動作モードであって、前記検出距離が最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させるステップを含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る電子機器の制御プログラムは、送信部と、受信部と、制御部と、を備える電子機器の制御プログラムである。前記制御プログラムは、前記電子機器に、前記送信部から、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つで送信波を送信するステップを実行させる。前記制御プログラムは、前記電子機器に、前記受信部において、前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信したか否かを判定するステップを実行させる。前記制御プログラムは、前記電子機器に、前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記送信波及び前記反射波に基づいて自装置と前記対象物との距離を判定するステップを実行させる。前記制御プログラムは、前記電子機器に、前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記複数の動作モードのうち、前記対象物との前記距離が前記検出距離に含まれる動作モードであって、前記検出距離が最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させるステップを実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る電子機器の使用態様を説明する図である。
図2】本開示の一実施形態に係る電子機器の構成を示す概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係る電子機器が送信する送信波を示す図である。
図4】本開示の一実施形態に係る電子機器の動作を説明する図である。
図5】本開示の一実施形態に係る電子機器のアンテナの配置図である。
図6】本開示の一実施形態に係る電子機器の動作の流れを説明する図である。
図7】本開示の一実施形態に係る電子機器の動作の流れを説明する図である。
図8】本開示の一実施形態に係る電子機器の動作の流れを説明する図である。
図9】本開示の一実施形態に係る電子機器の動作の流れを説明する図である。
図10】本開示の一実施形態に係る電子機器の処理を表すフローチャートである。
図11】本開示の他の実施形態に係る電子機器の構成を示す概略図である。
図12】本開示の他の実施形態に係る電子機器のアンテナの配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電波を用いて物体を検出する技術の更なる有用性向上が望まれている。本開示の目的は、電波を用いて物体を検出する技術の有用性を向上させる電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムを提供することにある。本開示の実施形態に係る電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムによれば、電波を用いて物体を検出する技術の有用性が向上する。
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本開示の一実施形態に係る電子機器1は、例えば自動車などの車両2に搭載される。電子機器1は、送信波を送信する。図1において、送信波が送信される対象空間4を鎖線で模式的に示している。図1において、対象空間4は、電子機器1を中心として扇形状に広がっているが、この限りではない。対象空間4に対象物3が存在すると、送信波は、対象物3で反射される。対象物3には、他の車両、人間、或いは障害物等が含まれる。電子機器1は、送信波のうち対象物3によって反射された反射波を受信する。電子機器1は、反射波を受信することで、対象空間4に存在する対象物3を検出する。電子機器1は、更に、送信波と反射波とに基づいて、対象物3と電子機器1との距離等を測定する。対象物3は、例えば移動体2に隣接する車線を走行する対向車、移動体2に並走する自動車、及び移動体2と同じ車線を走行する前後の自動車などの少なくともいずれかであってもよい。また、対象物3は、オートバイ、自転車、ベビーカー、歩行者、ガードレール、中央分離帯、道路標識、歩道の段差、壁、及び障害物など、移動体2の周囲に存在する任意の物体であってもよい。さらに、対象物3は、移動していてもよいし、停止していてもよい。例えば、対象物3は、移動体2の周囲に駐車又は停車している自動車などであってもよい。本開示において、電子機器1が検出する対象物3には、無生物の他に、人及び動物などの生物も含まれる。本開示の電子機器1が検出する対象物4は、レーダ技術により検知される、人、物及び動物などを含む物標を含む。
【0012】
電子機器1は、検出距離の異なる複数の種類の送信波を送信可能であってもよい。本開示において、送信波によって、所定の対象物を所定の精度の範囲で検出できる距離の最大値を、その送信波の検出距離をいう。検出距離が長くなると、それに応じて、対象空間4も大きくなる。一般的に、電子機器1の検出距離と分解能とは、トレードオフの関係にあることが知られている。つまり、電子機器1の検出距離を長くすると、対象空間4が広くなるが、電子機器1の分解能は低くなる。一方で、電子機器1の検出距離を短くすると、対象空間4が狭くなるが、電子機器1の分解能は高くなる。
【0013】
電子機器1は、検出距離の異なる複数の種類の送信波のうち、いずれか1つの送信波を選択して送信する。電子機器1は、対象物3が検出された場合に、測定された対象物3との距離に応じて、送信する送信波を、複数の種類の送信波のうち、対象物3が検出距離に含まれて、かつ分解能が最も高い送信波に変更する。
【0014】
車両2は、電子機器1が搭載される移動体である。車両2には、自動車、バス、トラック、及びオートバイ等が含まれてもよい。本開示において、電子機器1が車両2に搭載される例を示すが、この限りではない。例えば、電子機器1は、自転車、ドローン、船舶、航空機、ロボット、及び歩行者等を含む、車両2以外の移動体に搭載されてもよい。さらに、電子機器1は、移動体に限られず、移動体ではない任意の物体に搭載されてもよく、或いは他の物体に搭載されずに任意の場所に設置されてもよい。また、一実施形態に係る電子機器1が搭載されるのは、必ずしも自らの動力で移動する移動体にも限定されない。例えば、一実施形態に係る電子機器が搭載される移動体は、トラクターにけん引されるトレーラー部分などであってもよい。また、一実施形態において、電子機器1は、車両2のバンパーの内部に設置して、車両2の外観に現れないようにしてもよい。また、電子機器1が車両2に設置される位置は、車両2の外部及び内部のいずれでもよい。車両2の内部は、たとえば、車両2のボディの内側、バンパーの内側、ヘッドライトの内部、車内の空間内又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。また、移動体に搭載される電子機器1の数は1つに限定されるものではなく、1以上の任意の個数とされてもよい。
【0015】
電子機器1は、典型的には、電波を送受信するレーダ(RADAR,Radio Detecting and Ranging)であってもよい。例えば、電子機器1は、時間の経過とともに周波数が連続的に変化する周波数変調連続波を用いたFMCWレーダであってもよい。本開示において、電子機器1は、FMCWレーダであるものとして説明する。しかしながら、電子機器1は、レーダに限定されない。一実施形態に係る電子機器1は、例えば光波によるライダ(LIDAR,Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)であってもよい。または、一実施形態に係る電子機器1は、例えば音波によるソナー(SONAR,Sound Navigation and Ranging)であってもよい。さらに、電子機器1は、これらの機器に限られず任意の機器であってもよい。例えば、電子機器1は、車載機器、カーナビゲーションシステム、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)等を含む、任意の情報処理装置であってもよい。
【0016】
以下、一実施形態に係る電子機器1の構成について説明する。図2は、一実施形態に係る電子機器1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図2に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、制御部10、記憶部20、送信部30、受信部40、通信部50、電源部60、報知部70、及び入力部80を備える。制御部10は、記憶部20、送信部30、受信部40、通信部50、電源部60、報知部70、及び入力部80のそれぞれに、電気的に接続される。
【0017】
制御部10は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを備える。制御部10は、後述する記憶部20、送信部30、受信部40、通信部50、電源部60、報知部70、及び入力部80の機能を実現させるために、それぞれを制御してもよい。プロセッサには、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用のプロセッサが含まれ得る。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。制御部10の処理は、さらに後述する。
【0018】
記憶部20は、電子機器1の各機能を制御するための処理に用いられる情報及びプログラム等を記憶する。記憶部20は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であってもよい。記憶部20は、例えば主記憶装置又は補助記憶装置として機能してもよい。記憶部20は、制御部10に含まれるキャッシュメモリ等であってもよい。記憶部20は、揮発性の記憶装置であってもよく、不揮発性の記憶装置であってもよい。本実施形態では、記憶部20は、例えば、詳細を後述するように、送信部30を検出距離の異なる複数の動作モードで動作させるために用いられる「動作モードに関する情報」、及び送信部30から外部に送信された「送信波を示す情報」等を記憶してもよい。
【0019】
送信部30は、送信波を送信する。送信部30は、動作モード選択部31、信号生成部32、シンセサイザ33、移相器34、送信増幅器35、及び送信アンテナ36を備える。以下に、送信部30によって、これらの機器を用いて行われる、送信波を送信するための処理を記載する。
【0020】
動作モード選択部31は、制御部10の制御に基づいて、複数の動作モードから送信部30の動作モードを選択する。複数の動作モードは、それぞれ検出距離の異なる動作モードであってもよい。本開示では、例えば、検出距離の異なる複数の動作モードに、検出距離の長い順に、中距離レーダ(MRR,middle range radar)、短距離レーダ(SRR,short range radar)、及び超短距離レーダ(USRR,ultra short range radar)の3つの動作モードが含まれる例を用いて説明する。それぞれの動作モードにおいて、検出距離の異なる送信波が送信部30から送信されてもよい。動作モード選択部31は、制御部10から、複数の動作モードのうちいずれか1つの動作モードを指定する信号を受信してもよい。動作モード選択部31は、制御部10から受信した信号に基づいて、送信部30が指定された動作モードで動作するように制御してもよい。動作モード選択部31は、例えば、送信部30に含まれる他の機能が指定された動作モードで動作する際に用いられる、動作モードに関する情報を記憶部20から取得してもよい。動作モード選択部31は、信号生成部32に、指定された動作モードと、記憶部20から取得した動作モードに関する情報と、を送信してもよい。
【0021】
上述した複数の動作モードのそれぞれの検出距離は、例えば、中距離レーダが略50m、短距離レーダが略25m、超短距離レーダが略10mであってもよい。電子機器1がFMCWレーダである場合、複数の動作モードにおける、検出距離と分解能とはトレードオフの関係にある。つまり、電子機器1の検出距離を長くすると、電子機器1の分解能は低くなり、電子機器1の検出距離を短くすると、電子機器1の分解能は高くなる。このため、中距離レーダ、短距離レーダ、及び超短距離レーダの順に、分解能が高くなる。なお、本開示において分解能には、距離分解能、速度分解能、及び、角度分解能のうちの少なくとも1つが含まれるとしてよい。受信電波は、検出距離が長くなるにつれてノイズの影響などを受けやすくなる場合がある。このノイズの影響が、分解能に影響を与える場合がある。
【0022】
信号生成部32は、動作モード選択部31から受信した動作モードに基づいて、送信信号を生成する。送信信号は、チャープ信号であってよい。チャープ信号は、時間の経過とともに周波数が連続的に変化する信号である。図3には、時間の経過とともに周波数が線形に増加するチャープ信号が示される。チャープ信号は、周波数変調連続波(FMCW)ともいう。チャープ信号の周波数の変化は、増加又は減少であってよく、或いは増加と減少との組み合わせであってもよい。チャープ信号には、周波数が時間に応じて線形で変化する線形チャープ信号、或いは周波数が時間に応じて指数関数的に変化する指数チャープ信号等が含まれてもよい。送信信号がチャープ信号である場合、それぞれの動作モードにおけるチャープ信号を生成するための情報として、開始周波数、終了波数、及び継続時間等のパラメータが、動作モードに関する情報として記憶部20に記憶されてもよい。一方、信号生成部32が生成する信号はFMCW方式の信号に限定されない。信号生成部32が生成する信号は、例えば、パルス方式、パルス圧縮方式(スペクトラム拡散方式)、又は周波CW(Continuous Wave)方式など、各種の方式の信号としてもよい。ミリ波方式のレーダによって距離などを測定する際、周波数変調連続波レーダ(以下、FMCWレーダ(Frequency Modulated Continuous Wave radar)と記す)が用いられることが多い。FMCWレーダは、送信する電波の周波数を掃引して送信信号が生成される。したがって、例えば79GHzの周波数帯の電波を用いるミリ波方式のFMCWレーダにおいて、使用する電波の周波数は、例えば77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を持つものとなる。79GHzの周波数帯のレーダは、例えば24GHz、60GHz、76GHzの周波数帯などの他のミリ波/準ミリ波レーダよりも、使用可能な周波数帯域幅が広いという特徴がある。以下、このような実施形態について説明する。なお、本開示で利用されるFMCWレーダレーダ方式は、通常より短い周期でチャープ信号を送信するFCM方式(Fast-Chirp Modulation)を含むとしてもよい。信号生成部32が生成する信号はFMCW方式の信号に限定されない。信号生成部32が生成する信号はFMCW方式以外の各種の方式の信号としてもよい。記憶部20に記憶される送信信号列は、これら各種の方式によって異なるものとしてよい。例えば、上述のFMCW方式のレーダ信号の場合、時間サンプルごとに周波数が増加する信号及び減少する信号を使用してよい。上述の各種の方式は、公知の技術を適宜適用することができるため、より詳細な説明は省略する。
【0023】
電子機器1が、例えば、79GHz帯のミリ波レーダを使用する場合、77GHzから81GHzまでの帯域に割り当てられた4GHz帯域を使用することが規定されている。この場合、信号生成部32は、ある動作モードでは、開始周波数を77GHzとし、終了周波数を81GHzとして、所定の時間で77GHzから81GHzまで線形に増加するチャープ信号を生成してもよい。また、信号生成部32は、他の動作モードでは、開始周波数を79GHzとし、終了周波数を81GHzとして、所定の時間で79GHzから81GHzまで線形に増加するチャープ信号を生成してもよい。信号生成部32によって生成された送信信号は、シンセサイザ33に供給される。
【0024】
再び図2を参照して、シンセサイザ33は、信号生成部32によって生成された送信信号に基づいて、交流信号を発生させる、電子的な高周波合成を用いた発振回路であってもよい。送信部30が複数の送信アンテナ36を備える場合、シンセサイザ33は、複数の送信アンテナ36のそれぞれに同一の交流信号を発生させてもよく、或いは異なる交流信号を発生させてもよい。シンセサイザ33は、複数の送信アンテナ36のうち、特定の送信アンテナ36を選択して交流信号を発生させてもよい。シンセサイザ33は、制御部10によって指定された動作モードに基づいて、送信波を送信させる送信アンテナ36、及び送信波の移相量等を判定してもよい。それぞれの動作モードにおける送信波を送信させる送信アンテナ36、及び送信波の移相量等の情報は、動作モードに関する情報として記憶部20に記憶されてもよい。
【0025】
シンセサイザ33は、発生させた交流信号を特定する情報を、送信波を示す情報として、後述する受信部40のミキサ43に送信してもよい。或いは、シンセサイザ33は、発生させた交流信号を特定する情報を、送信波を示す情報として、ミキサ43が参照可能なように記憶部20に記憶させてもよい。これにより、ミキサ43は、送信波を示す情報を利用することができる。
【0026】
移相器34は、シンセサイザ33によって発生された交流信号に対して、位相をシフトさせた交流信号を出力する。位相をシフトする量は、シンセサイザ33によって判定された移相量であってもよい。送信部30が複数の送信アンテナ36を備える場合、複数の送信アンテナ36のそれぞれに、移相器34が配置されてもよい。図2には、一例として、2つの移相器34A及び34Bが示されている。複数の移相器34の少なくとも1つにおいて位相をシフトさせた交流信号を出力させることによって、複数の送信アンテナ36による、ビームフォーミングが行われてもよい。
【0027】
送信増幅器35は、移相器34から出力された交流信号を増幅させ、送信アンテナ36に対して出力する。送信増幅器35は、パワーアンプ(PA,power amplifier)ともいう。送信部30が複数の送信アンテナ36を備える場合、複数の送信アンテナ36のそれぞれに、送信増幅器35が配置されてもよい。図2には、一例として、2つの送信増幅器35A及び35Bが示されている。送信増幅器35によって増幅された送信信号は、送信アンテナ36から送信波として送信される。
【0028】
送信アンテナ36は、送信増幅器35から入力された送信信号に基づいて、強度を制御した送信波を射出する。例えば、送信波は、波長が1~10mm、周波数が30~300GHzの電波である、ミリ波であってもよい。或いは、送信波は、周波数が20~30GHzの電波である、準ミリ波であってもよい。送信波は、ミリ波等の電波に限定されるものではなく、任意の波長及び周波数の、電波、光、電磁波又は超音波等を含みうる。送信アンテナ36は、複数あってもよい。図2には、送信部30が2つの送信アンテナ36A及び36Bを備える例を示す。送信アンテナ36A及び36Bは、同一種類のアンテナであってもよく、或いは異なる種類のアンテナであってもよい。本開示において、送信アンテナは、3つ以上であってもよい。例えば、下向きにビームを制御する場合には、2つ以上の任意の数のアンテナを垂直方向に並べ、それらを位相制御することにより、下向きのビーム方向の切り替えが実現されてもよい。2本のアンテナを垂直方向に配置して、ビーム制御を行うことは、3つ以上のアンテナを垂直方向に配置して、ビーム制御を行うことよりも、スペースの点で有利となり得る。
【0029】
送信部30は、複数の送信アンテナ36を備える場合、これらの送信アンテナ36からの送信波の送信を制御することによって、送信波の指向性を制御してもよい。例えば、送信部30は、複数の送信アンテナ36の少なくとも1つの位相を制御して、ビームフォーミングを行うことにより、送信波の指向性を制御してもよい。以下の説明において、送信アンテナ36A及び36Bを区別しない場合、単に「送信アンテナ36」と総称する。また、送信アンテナ36の数は、図2に示されたものに限られず、電子機器1の用途等に応じて任意に定められてもよい。
【0030】
受信部40は、送信部30から送信された送信波のうち対象物3によって反射された反射波を受信する。受信部40は、受信アンテナ41、受信増幅器42、ミキサ43、AD変換部(Analog Digital変換部)44、及びFFT処理部(Fast Fourier Transform処理部)45を備える。以下に、受信部40によって、これらの機器を用いて行われる、対象物3からの反射波を受信するための処理を記載する。
【0031】
受信アンテナ41は、受信した入射波の強度に応じた電圧又は電流を出力する。受信アンテナ41が出力する電圧又は電流によって生成される信号は、受信信号ともいう。受信アンテナ41は、入射波に基づく受信信号を受信増幅器42に出力する。入射波には、送信波のうち、対象物3で反射された反射波が含まれる。反射波は、電波、光、電磁波又は超音波等を含みうる。受信アンテナ41は、複数あってもよい。図2には、受信部40が4つの受信アンテナ41A、41B、41C及び41Dを備える例を示す。受信アンテナ41A、41B、41C及び41Dは、同一種類のアンテナであってもよく、或いは異なる種類のアンテナであってもよい。以下の説明において、受信アンテナ41A、41B、41C及び41Dを区別しない場合、単に「受信アンテナ41」と総称する。また、受信アンテナ41の数は、図2に示されたものに限られず、電子機器1の用途等に応じて任意に定められてもよい。
【0032】
受信増幅器42は、例えば、低雑音増幅器(LNA,low noise amplifier)であってもよい。受信増幅器42は、受信アンテナ41から受信した受信信号を低雑音で増幅する。受信部40が複数の受信アンテナ41を備える場合、複数の受信アンテナ41のそれぞれに、受信増幅器42が配置されてもよい。図2には、一例として、4つの受信増幅器42A、42B、42C及び42Dが示されている。受信増幅器42によって増幅された受信信号は、ミキサ43に供給される。
【0033】
ミキサ43は、受信増幅器42から供給される受信信号を、シンセサイザ33によって発生させられた送信信号と掛け合わせることにより、中間周波数(IF,Intermediate Frequency)信号を生成する。IF信号は、ビート信号ともいう。受信部40が複数の受信アンテナ41を備える場合、受信アンテナ41のそれぞれに、ミキサ43が配置されてもよい。図2には、一例として、4つのミキサ43A、43B、43C及び43Dが示されている。ミキサ43によって周波数変換されたIF信号は、AD変換部44に供給される。
【0034】
AD変換部44は、任意のアナログ-デジタル変換回路(ADC,Analog to Digital Converter)で構成されてもよい。AD変換部44は、ミキサ43から供給されたアナログのIF信号をデジタル化する。受信部40が複数の受信アンテナ41を備える場合、受信アンテナ41のそれぞれに、AD変換部44が配置されてもよい。図2には、一例として、4つのAD変換部44A、44B、44C及び44Dが示されている。AD変換部44によってデジタル化されたIF信号は、FFT処理部45に供給される。
【0035】
FFT処理部45は、高速フーリエ変換(FFT,Fast Fourier Transform)処理を行う任意の回路又はチップ等で構成されてもよい。FFT処理部45は、AD変換部44によってデジタル化されたIF信号に対してFFT処理を行う。FFT処理部45によってIF信号をFFT処理した結果として、周波数スペクトルが得られる。FFT処理部45は、得られた周波数スペクトルに基づいて、電子機器1が送信する送信波の検出距離の範囲内に対象物3が存在するか否かを判定することができる。FFT処理部45は、高速フーリエ変換以外のフーリエ変換を行うとしてもよい。
【0036】
FFT処理部45は、対象物3と電子機器1との距離を判定してもよい。FFT処理部45は、上述した周波数スペクトルに含まれるピークが所定の閾値以上の場合、そのピークに対応する距離に、対象物3があると判定してもよい。FFT処理部45は、更に、対象物3の電子機器1に対する相対速度を判定してもよい。FFT処理部45は、算出された周波数スペクトルに対して、更にFFT処理をして位相スペクトルを算出してもよい。FFT処理部45は、位相スペクトルのピークが所定の閾値以上の場合、そのピークに対応する速度が、対象物3の電子機器1に対する相対速度であると判定してもよい。
【0037】
FFT処理部45は、対象物3の電子機器1に対する角度を判定してもよい。FFT処理部45は、設置位置の異なる複数の受信アンテナ41のそれぞれからの受信信号をFFT処理することによって得られた結果の違いに基づいて、対象物3からの反射波の到来角を判定してもよい。例えば、図5に、電子機器1の前方から見た、アンテナの配置図の一例を示す。図5において、受信アンテナ41は、それぞれλ/2間隔で横方向(X軸方向)に並んで配置されている。これらの受信アンテナ41のそれぞれにおいて受信した反射波に基づいてFFT処理をした結果の違いにより、FFT処理部45は、反射波の到来角を判定してもよい。これにより、FFT処理部45は、自装置から反射波の到来角の方向に、対象物3が存在すると判定することができる。
【0038】
再び図2を参照して、通信部50は、制御部10の制御に基づき、電子機器1の各機器及び外部機器と通信を行う。通信部50は、例えば、有線LAN(Local Area Network)通信モジュール、無線LAN通信モジュール、CAN(Controller Area Network)通信モジュール、又はBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信モジュールを備えてもよい。通信部50による、外部機器と電子機器1との間の通信は、有線若しくは無線による通信、又はこれらの組み合わせによる通信であってもよい。外部機器は、例えば、車載機器、カーナビゲーションシステム、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)等を含む、任意の情報処理装置であってもよい。通信部50は、例えば、検出動作の開始指示、又は動作モード等の情報を含む信号を外部機器から受信してもよい。
【0039】
電源部60は、電子機器1の動作に用いられる電力を供給する。電源部60は、例えば、乾電池、又は蓄電池等であってもよい。また、電源部60は、例えば、外部電源より電力供給を受けるためのアダプタ等を備え、外部電源から電力が供給されるとしてもよい。
【0040】
報知部70は、制御部10の制御に基づき、音、振動、光、又は画像等で情報を報知する。報知部70は、例えばスピーカ、振動子、ライト、及び表示デバイス等の少なくとも1つを含んでもよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等とすることができる。報知部70は、制御部10の制御に基づいて、電子機器1の動作モード、対象物3の有無、自装置と対象物3との距離、並びに対象物3の自装置に対する相対速度及び角度等の情報を報知してもよい。例えば、報知部70は、電子機器1の検出距離の範囲内に対象物3が存在すると判定された場合に、音の発生或いはライトの点灯等により、対象物3の検出をユーザに報知してもよい。
【0041】
入力部80は、ユーザからの入力操作を受け付ける。入力部80は、例えば電源ボタン等の物理キー、報知部70の表示デバイスと一体的に設けられたタッチパネル等の入力デバイス、及びマウス等のポインティングデバイス等の少なくとも1つを含んでもよい。入力部80は、ユーザによって操作されると、その入力操作を電子情報として制御部10に送信する。入力操作には、例えば、検出動作の開始指示が含まれてもよい。
【0042】
以下に、制御部10による、上述した送信部30及び受信部40の制御について、説明する。制御部10は、フレーム単位で、送信部30及び受信部40の制御を繰り返してもよい。制御部10は、制御を繰り返すフレームの数を所定のフレーム数として予め記憶部20に記憶しておいてもよい。かかる場合、制御部10は、送信波の送信を開始してから、所定のフレーム数に到達するまで、送信波の送信を繰り返し、所定のフレームに到達したのちに、送信波の送信を終了してもよい。1つのフレームの長さは、所定の時間であってよい。フレームの開始時点又は終了時点は、所定の間隔で設定される時刻に対応づけられてよい。各フレームは、所定の期間内で連続して設けられてよい。各フレームは、所定の期間内で離散的に設けられてよい。各フレームは、所定の間隔をあけて設けられてよい。制御部10は、例えば、1フレームごと、或いは複数のフレームごとに繰り返して、送信部30から送信波を送信し、受信部40にて反射波を受信するように制御してもよい。
【0043】
制御部10は、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つにて送信部30を動作させる。制御部10は、例えば、中距離レーダ、短距離レーダ、及び超短距離レーダの、3つの動作モードうちいずれか1つの動作モードを指定する信号を動作モード選択部31に送信することで、送信部30を指定した動作モードで動作させてもよい。これによって、送信部30は、指定された動作モードで動作し、送信波を送信する。
【0044】
制御部10は、送信部30から送信した送信波のうち、対象物3によって反射された反射波を受信部40にて受信したか否かを判定してもよい。制御部10は、判定した結果に応じて、複数の動作モードのうちいずれか1つにて送信部30を動作させてもよい。制御部10は、受信部40において対象物3からの反射波を受信した場合に、受信部40を制御して、送信波及び反射波に基づいて、電子機器1と対象物3との距離を判定する。制御部10は、判定された対象物3との距離に応じて、送信部30を動作させる動作モードを選択してもよい。制御部10は、受信部40において対象物3からの反射波を受信した場合に、複数の動作モードのうち、対象物との距離が検出距離に含まれる動作モードであって、検出距離が最も短い動作モードにて、送信部30を動作させてもよい。例えば、上述のとおり、3つの動作モードである、中距離レーダ、短距離レーダ、超短距離レーダの検出距離が、それぞれ略50m、略25m、及び略10mであるとする。制御部10は、自装置と対象物3との距離が30mであると判定した場合、検出距離が30m以上の動作モードのうち、最も検出距離が短い中距離レーダの動作モードにて、送信部30を動作させてもよい。また、その後、制御部10は、自装置と対象物3との距離が11mであると判定した場合、検出距離が11m以上の動作モードのうち、最も検出距離が短い短距離レーダの動作モードにて、送信部30を動作させてもよい。
【0045】
制御部10は、例えば、図1に示すように、受信部40において複数の対象物3からの反射波を受信した場合には、電子機器1と複数の対象物3のそれぞれとの距離のうち、1つ以上の任意の距離を用いて、電子機器1と対象物3との距離を判定してもよい。例えば、制御部10は、電子機器1と複数の対象物3のそれぞれとの距離のうち、最も短いものを、電子機器1と対象物3との距離と判定してもよい。
【0046】
制御部10は、受信部40において対象物3からの反射波を受信しない場合に、複数の動作モードのうち、検出距離が最も長い動作モードにて、送信部30を動作させてもよい。例えば、制御部10は、中距離レーダ、短距離レーダ、及び超短距離レーダの動作モードのうち、検出距離が最も長い中距離レーダの動作モードにて、送信部30を動作させてもよい。
【0047】
制御部10は、所定のタイミングにて、受信部40において対象物3からの反射波を受信したか否かを判定してもよい。制御部10によって、反射波を受信したか否かの判定は、1回だけ実施されてもよく、周期的に実施されてもよい。例えば、制御部10によって、反射波を受信したか否かの判定が行われるタイミングは、所定の時間間隔ごとであってもよく、或いは所定の処理が実行されるごとであってもよい。例えば、制御部10は、上述した1以上のフレームごとに判定を行ってもよい。或いは、制御部10は、送信部30から送信波が送信されるごとに判定を行ってもよい。例えば、制御部10は、1フレームごとに、送信部30から所定の動作モードにて信号波を送信し、受信部40において対象物3からの反射波を受信したか否かを判定してもよい。制御部10は、判定結果に応じて、次のフレームにおける送信部30から信号波を送信する動作モードを判定してもよい。
【0048】
制御部10は、送信部30の動作モードに応じて、複数の送信アンテナ36を制御して、送信部30から送信される送信波の指向性を制御してもよい。制御部10は、送信部30を検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つで動作させる際に、動作モードの検出距離に応じて、送信部30から送信される送信波の指向性を制御してもよい。制御部10は、動作モードの検出距離が短いほど、水平方向に対して下方向に角度が大きくなるように、送信波の指向性を制御してもよい。制御部10は、例えば、それぞれの動作モードにおいて、電子機器1から水平方向に検出距離だけ離れた地点で地面に到達するように、水平方向よりも下方向に送信波を送信させてもよい。
【0049】
図4は、図1に示した車両2の前方に設置された電子機器1から送信される送信波の指向性を模式的に示す図である。超短距離レーダ、短距離レーダ、及び中距離レーダの3つの動作モードにおける検出距離が、それぞれL1、L2、及びL3であるとする。図4において、超短距離レーダ、短距離レーダ、及び中距離レーダにおける送信波は、それぞれ電子機器1から水平方向(Y軸方向)にL1、L2、及びL3だけ離れた地点で地面に到達するように送信されている。そのために、超短距離レーダ、短距離レーダ、及び中距離レーダにおける送信波は、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3を向くように指向性を制御されている。なお、超短距離レーダ、短距離レーダ、及び中距離レーダにおける送信波は、地面に対してほぼ水平に送信されるとしてもよい。すなわち、本開示において、送信波は、地面と水平な方向に対して地面方向を下として、下方向、水平方向、上方向の方向に送信されるとしてもよい。また、これらの方向を任意に組み合わせた方向に送信波が送信されるとしてもよい。
【0050】
本開示の一実施形態における電子機器1において、複数の送信アンテナ36が垂直方向に並べて配置されてもよい。制御部10は、複数の送信アンテナ36から送信される送信波の少なくとも1つの位相を制御して、水平方向よりも下方向へのビームフォーミングを行ことによって、送信波の指向性を制御してもよい。複数の送信アンテナ36は2つ以上の送信アンテナでよい。
【0051】
図5に、電子機器1の前方から見た、アンテナの配置図を示す。図5には、図2に示した電子機器1が備える2つの送信アンテナ36及び4つの受信アンテナ41が示されている。2つの送信アンテナ36A及び36Bは垂直方向(Z軸方向)に所定の距離を離して配置されている。制御部10は、垂直方向に並べて配置された複数の送信アンテナ36から送信される送信波の少なくとも1つの位相を制御して、ビームフォーミングを行う。制御部10は、ビームフォーミングによって、図4に示すように、送信波の送信方向の、水平方向に対する角度θを制御することができる。これにより、制御部10は、送信波を第1方向D1、第2方向D2、又は第3方向D3のうちいずれか1つを向くように制御してもよい。複数の送信アンテナ36は、それぞれ垂直方向にλ/2の距離を離して配置されてもよい。これにより、送信アンテナ36は、垂直方向におけるサイドローブを低減させ、所望のビームを形成することができる。図5には、2つの送信アンテナが示さているが、ビームフォーミングに用いられるアンテナの数は、2つ以上の任意の数であってもよい。
【0052】
図6図9を参照して、本開示の一実施形態に係る電子機器1が実行する動作の一例を説明する。
【0053】
図6図9において、電子機器1は、図1に示した車両2の前方に設置されている。電子機器1は、例えば、ユーザ操作等によって動作を開始する。電子機器1は、動作を開始すると、フレームごとに送信波を送信する。電子機器1は、はじめに、中距離レーダ、短距離レーダ、及び超短距離レーダの3つの動作モードのうち、検出距離が最も長い、中距離レーダの動作モードで動作する。図6に示すように、電子機器1は、第1の時点において、中距離レーダの動作モードで、送信部30から、第3方向D3に向けて、送信波を送信する。電子機器1は、受信部40にて、対象物3からの反射波を受信するか否かを判定する。図6において、電子機器1から水平方向(Y軸方向)に検出距離L3の範囲内に対象物3が存在しない。このため、電子機器1は、受信部40にて、対象物3からの反射波を受信しない。かかる場合には、電子機器1は、動作モードを中距離レーダのままとして、次のフレーム以降においても、送信部30から、第3方向D3に向けて、送信波を送信する。
【0054】
電子機器1は、第2の時点において、図7に示すように、送信部30から、第3方向D3に向けて、送信波を送信している。図7において、検出距離L3の範囲内に対象物3が存在するため、電子機器1は、受信部40にて、対象物3からの反射波を受信する。電子機器1は、対象物3との距離を判定する。電子機器1は、対象物3との距離が検出距離に含まれる動作モードであって、検出距離が最も短い動作モードを判定する。図7において、対象物3は、短距離レーダ及び中距離レーダの検出距離内に含まれる位置にある。このため、電子機器1は、これらのうち検出距離が最も短い短距離レーダに動作モードを変更して、次のフレーム以降において、送信部30から、第2方向D2に向けて、送信波を送信する。
【0055】
電子機器1は、第3の時点において、図8に示すように、送信部30から、第2方向D2に向けて、送信波を送信している。その際に、図8に示す位置に対象物3が移動しているとする。図8において、検出距離L2の範囲内に対象物3が存在するため、電子機器1は、受信部40にて、対象物3からの反射波を受信する。電子機器1は、対象物3との距離を判定する。電子機器1は、対象物3との距離が検出距離に含まれる動作モードであって、検出距離が最も短い動作モードを判定する。図8において、対象物3は、超短距離レーダ、短距離レーダ、及び中距離レーダの検出距離内に含まれる位置にある。このため、電子機器1は、これらのうち検出距離が最も短い超短距離レーダに動作モードを変更して、次のフレーム以降において、送信部30から、第1方向D1に向けて、送信波を送信する。
【0056】
電子機器1は、第4の時点において、図9に示すように、送信部30から、第1方向D1に向けて、送信波を送信している。その際に、図9に示す位置に対象物3が移動しているとする。図9において、検出距離L1の範囲内に対象物3が存在しない。このため、電子機器1は、受信部40にて、対象物3からの反射波を受信しない。かかる場合、電子機器1は、動作モードを検出距離が最も長い中距離レーダとして、次のフレーム以降において、送信部30から、第3方向D3に向けて、送信波を送信する。
【0057】
電子機器1は、以降のフレームにおいても、前フレームにおける対象物3が存在するか否かの判定に基づいて、送信部30から、複数の動作モードのうち、いずれか1つの動作モードにて、送信波を送信する。電子機器1は、フレーム数が所定回数に到達したら、送信波の送信を終了してもよい。
【0058】
(電子機器の処理例)
図10を参照して、本開示の一実施形態に係る電子機器1の処理の流れを説明する。図10に示す処理は、例えば入力部80にてユーザ操作を受け付ける、或いは電子機器1が起動される等の任意の条件によって、開始されてもよい。
【0059】
ステップS101:制御部10は、検出距離が最も長い動作モードで、送信部30を動作させる。
【0060】
ステップS102:制御部10は、受信部40にて対象物3からの反射波を受信したか否かを判定する。
【0061】
ステップS103:受信部40にて対象物3からの反射波を受信したと判定された場合(ステップS102-Yes)、制御部10は、自装置と対象物3との距離を判定する。
【0062】
ステップS104:制御部10は、対象物3との距離が検出距離に含まれる動作モードであって、検出距離が最も短い動作モードで、送信部30を動作させる。
【0063】
ステップS105:受信部40にて対象物3からの反射波を受信しないと判定された場合(ステップS102-No)、制御部10は、検出距離が最も長い動作モードで、送信部30を動作させる。
【0064】
ステップS106:制御部10は、処理を継続させるか否かを判定する。処理を継続させる場合(ステップS106-Yes)、制御部10は、ステップS102の処理を繰り返す。処理を継続させない場合(ステップS106-No)、制御部10は、処理を終了させる。
【0065】
以上述べたように、本実施形態に係る電子機器1は、送信部30と、受信部40と、制御部10と、を備える。送信部30は、送信波を送信する。受信部40は、送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信する。制御部10は、検出距離の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つにて送信部30を動作させる。制御部10は、受信部40において反射波を受信した場合に、送信波及び反射波に基づいて自装置と対象物3との距離を判定する。制御部10は、受信部40において反射波を受信した場合に、複数の動作モードのうち、対象物3との距離が検出距離に含まれる動作モードであって、検出距離が最も短い動作モードにて、送信部30を動作させる。かかる構成によれば、電子機器1は、対象物3との距離に応じて選択した動作モードにて送信部30を動作させて、送信波を送信することができる。これによって、対象物3を検出可能な検出距離を持つ動作モードのうち、より分解能が高い動作モードにて電子機器1を動作させることができ、電波を用いて物体を検出する技術の有用性が向上する。
【0066】
本実施形態に係る電子機器1の制御部10は、受信部40において反射波を受信しない場合に、複数の動作モードのうち、検出距離が最も長い動作モードにて、送信部30を動作させてもよい。これによって、現在の動作モードにおいて対象物3が検出されない場合には、より広い範囲で対象物3を検出可能な動作モードにて電子機器1を動作させることができ、電波を用いて物体を検出する技術の有用性が向上する。
【0067】
本実施形態に係る電子機器1の制御部10は、所定のタイミングにて、受信部40において反射波を受信したか否かを判定してもよい。これによって、制御部10は、送信部30を動作させたのち、現在の動作モードが、対象物3を検知するために適切か否かを判定することができ、電波を用いて物体を検出する技術の有用性が向上する。
【0068】
本実施形態に係る電子機器1の送信部30は、複数の送信アンテナ36を備えてもよい。制御部10は、送信部30の動作モードに応じて、複数の送信アンテナ36を制御して、送信部30から送信される送信波の指向性を制御してもよい。これによって、制御部10は、送信部30の複数の動作モードのそれぞれにおいて異なる、送信波の指向性を制御することができる。例えば、制御部10は、送信部30の異なる動作モードのそれぞれにおいて、対象物3の検出精度を向上させるように、送信波の指向性を制御することができる。また、制御部10は、送信部30の異なる動作モードのそれぞれにおいて、送信波を送信するための電力を低減させるように、送信波の指向性を制御することができる。
【0069】
本実施形態に係る電子機器1の制御部10は、動作モードの検出距離が短いほど、水平方向に対して下方向に角度が大きくなるように、送信波の指向性を制御してもよい。これによって、制御部10は、電子機器1よりも下に存在する対象物3を検出する精度を向上させることができる。
【0070】
本実施形態に係る電子機器1の複数の送信アンテナ36は、垂直方向に並べて配置されてもよい。制御部10は、複数の送信アンテナ36から送信される送信波の少なくとも1つの位相を制御して、水平方向よりも下方向へのビームフォーミングを行うことによって、送信波の指向性を制御してもよい。これによって、送信アンテナ36の設置位置又は向き等の、物理的な変更を行わずに、ビームフォーミングの処理に用いられる情報及びプログラム等を変更することによって、送信部30から送信される送信波の指向性を変更することができる。
【0071】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことができる。したがって、これらの変形および修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0072】
例えば、本開示において、電子機器1は2つの送信アンテナを備えるものとして説明したが、この限りではない。例えば、図11及び図12には、電子機器1が3つの送信アンテナ36A、36B、及び36Cを備える場合の、電子機器1の構成図及び、アンテナの配置図を示す。3つの送信アンテナ36A、36B、及び36Cは、それぞれ超短距離レーダ、短距離レーダ、及び中距離レーダの動作モードに対応付けられた送信波の指向性を持って配置されてもよい。具体的には、3つの送信アンテナ36A、36B及び36Cは、それぞれ図4に示される第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3に、送信波の指向性を持って配置されてもよい。
【0073】
かかる構成を有する電子機器1において、制御部10は、超短距離レーダにて送信波を送信する場合には送信アンテナ36Aから第1方向D1に送信する。制御部10は、短距離レーダにて送信波を送信する場合には送信アンテナ36Bから第2方向D2に送信する。制御部10は、中距離レーダにて送信波を送信する場合には送信アンテナ36Cから第3方向D3に送信する。
【0074】
このように電子機器1の複数の送信アンテナ36は、それぞれ異なる送信波の指向性を持って配置されてもよい。制御部10は、複数の送信アンテナ36のうちいずれか1つから、水平方向よりも下方向への送信波の送信を行うことによって、送信波の指向性を制御してもよい。このように、物理的に異なる送信波の指向性を設定された複数の送信アンテナ36を用いることによって、制御部10によって送信波の指向性を変更するための処理に掛かる処理量及び処理時間を少なくすることができる。
【0075】
例えば、本開示において、検出距離の異なる複数の動作モードで送信部30を動作させる電子機器1について説明したが、この限りではない。電子機器1は、送信波の送信角度の異なる複数の動作モードで送信部30を動作させてもよい。送信角度は、送信された送信波が水平方向に広がる角度であってもよい。例えば、送信角度は、図1において、扇形状に広がる対象空間4の中心角で表されてもよい。かかる場合、制御部10は、検出角度の異なる複数の動作モードのうちいずれか1つにて送信部30を動作させる。制御部10は、受信部40において反射波を受信した場合に、送信波及び反射波に基づいて自装置と対象物との角度を判定する。制御部10は、複数の動作モードのうち、対象物との角度が検出角度に含まれる動作モードであって、検出角度が最も狭い動作モードにて、送信部を動作させる。制御部10は、受信部40において反射波を受信しない場合に、複数の動作モードのうち、検出角度が最も広い動作モードにて、送信部30を動作させる。
【0076】
上述した実施形態は、電子機器1としての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、電子機器1のような機器の制御方法として実施してもよい。さらに、例えば、上述した実施形態は、電子機器1のような機器の制御プログラムとして実施してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 電子機器
2 車両
3 対象物
4 対象空間
10 制御部
20 記憶部
30 送信部
31 動作モード選択部
32 信号生成部
33 シンセサイザ
34 移相器
35 送信増幅器
36 送信アンテナ
40 受信部
41 受信アンテナ
42 受信増幅器
43 ミキサ
44 AD変換部
45 FFT処理部
50 通信部
60 電源部
70 報知部
80 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を送信する送信アンテナを備えた送信部と、
前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信する受信部と、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、前記反射波と前記送信波とに基づいて前記対象物との距離を算出する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、検出距離が前記対象物との前記距離以上で最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させ、
前記送信アンテナを制御して前記検出距離が短いほど、水平方向に対して下方向に角度が大きくなるように前記送信波の指向性を制御する、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信部において前記反射波を受信しない場合に、前記検出距離が最も長い動作モードにて、前記送信部を動作させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、所定のタイミングにて、前記受信部において前記反射波を受信したか否かを判定する、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
送信部と、受信部と、制御部と、を備える電子機器の制御方法であって、
前記制御部が、
前記送信部の送信アンテナから、送信波を送信するステップと、
前記受信部において前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信した場合に、前記反射波と前記送信波とに基づいて前記対象物との距離を算出するステップと、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、検出距離が前記対象物との前記距離以上で最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させるステップと
前記送信アンテナを制御して、前記検出距離が短いほど、水平方向に対して下方向に角度が大きくなるように前記送信波の指向性を制御するステップと、
を実行する、電子機器の制御方法。
【請求項5】
送信部と、受信部と、制御部と、を備える電子機器に、
前記送信部の送信アンテナから、送信波を送信するステップと、
前記受信部において前記送信波のうち対象物によって反射された反射波を受信した場合に、前記反射波と前記送信波とに基づいて前記対象物との距離を算出するステップと、
前記受信部において前記反射波を受信した場合に、検出距離が前記対象物との前記距離以上で最も短い動作モードにて、前記送信部を動作させるステップと
前記送信アンテナを制御して、前記検出距離が短いほど、水平方向に対して下方向に角度が大きくなるように前記送信波の指向性を制御するステップと、
を実行させる、電子機器の制御プログラム。