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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140717
(43)【公開日】2022-09-27
(54)【発明の名称】O/Wエマルションの形態の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20220915BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220915BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/44
A61K8/39
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022123972
(22)【出願日】2022-08-03
(62)【分割の表示】P 2017192482の分割
【原出願日】2017-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・マイドゥル・アラム
(72)【発明者】
【氏名】リテシュ・シンハ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラヴ・アガルワル
(57)【要約】
【課題】強化された水和効果をもたらすことができるO/Wエマルションの形態の組成物を提供すること。
【解決手段】(a)少なくとも1種の油と、(b)少なくとも1種のポリオールと、(c)少なくとも1種の、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と、(d)水とを含む、水性相中に分散した油相を有するO/Wエマルションの形態の組成物であって、組成物中の油相の油滴が、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の粒径を有する、組成物を提供する。本発明による組成物は、より良好な水和効果をもたらすことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性相中に分散された油相を有するO/Wエマルションの形態の組成物を調製する方法であって、組成物中の前記油相の油滴が、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の粒径を有し、
(i)(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリオールと、
(c)少なくとも1種の、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と
を混合して、等方相を調製する工程と、
(ii)前記等方相を(d)水で希釈する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、O/Wエマルションの形態の組成物、詳細には皮膚用の化粧用組成物、並びに同組成物を使用する美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体の皮膚、より具体的には顔の皮膚は、風、寒冷又はほこり等による環境上の攻撃に常にさらされており、皮膚からかなりの水分が消失し、これは持続的に補われなければならない。皮膚が脱水すると、皮膚はしばしばしわが寄って、粗く、荒れた状態になり、このような皮膚は落屑しやすく、弾力性を失う。そのうえ、皮膚疾患の場合を除いて、脱水は、老化した皮膚と同義であることが多い。しかしながら、若々しく見え、しわの少ない皮膚に対する要望が高まっている。
【0003】
水和効果をもたらすことができる従来の化粧料が存在してきた。しかしながら、強化された水和効果をもたらすことができる化粧用組成物を提供する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US-A-5364633
【特許文献2】US-A-5411744
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Walter Noll、「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、Vol.91、1976年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献3】ASTM規格445付録C
【非特許文献4】「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版社(Glasgow及びLondon)、1991、116~178頁
【非特許文献5】D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH. P. Kleber、Adv Biochem.Eng./Biotechnol.(1986)33、53~90頁
【非特許文献6】F. Wagner、H. Bock及びA. Kretschmar、Fermentation(R. M. Lafferty編)(1981)、181~192頁、Springer Verlag、Vienna
【非特許文献7】M. Schmidt、Ph.D.論文(1990)、Technical University of Braunschweig
【非特許文献8】Schulzら、(1991)Z. Naturforsch 46C、197~203頁
【非特許文献9】A. P. Tulloch、J. F. T. Spencer及びP. A. J. Gorin、Can.J Chem(1962)40 1326頁
【非特許文献10】U. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters(1984)6 (4)、225頁
【非特許文献11】Ishigamiら、(1987)J. Jpn Oil Chem Soc 36 847~851頁
【非特許文献12】Passeriら、(1991)Z. Naturforsch 46C 204~209頁
【非特許文献13】Frautz、Lang及びWagner(1986) Biotech Letts 8 757~762頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、強化された水和効果をもたらすことができるO/Wエマルションの形態の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリオールと、
(c)少なくとも1種の、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と、
(d)水と
を含む、水性相中に分散された油相を有するO/Wエマルションの形態の組成物であって、
組成物中の油相の油滴が、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の粒径を有する、
組成物によって、達成することができる。
【0008】
(a)油は、天然油から選択することができる。
【0009】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01~20質量%、好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%とすることができる。
【0010】
(b)ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択することができる。
【0011】
本発明による組成物中の(b)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01~20質量%、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは1~10質量%とすることができる。
【0012】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。
【0013】
アニオン性界面活性剤は、アミノ酸誘導体から選択することができる。
【0014】
(c)界面活性剤は、バイオサーファクタントから選択することができる。
【0015】
本発明による組成物中の(c)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%とすることができる。
【0016】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60~99質量%、好ましくは70~97質量%、より好ましくは80~95質量%とすることができる。
【0017】
本発明による組成物が、組成物の総質量に対して、1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以下のシリコーンを含むことが好ましいことがある。
【0018】
本発明による組成物が、化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物、更により好ましくは皮膚保湿性化粧用組成物であることが好ましいことがある。
【0019】
本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法にも関し、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む。
【0020】
本発明は、ケラチン物質、好ましくは皮膚を水和する又は保湿する美容方法に関することができ、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む。
【0021】
本発明はまた、組成物中の油相の油滴が、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の粒径を有する、水性相中に分散された油相を有するO/Wエマルションの形態の組成物を調製する方法にも関し、
(i)(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリオールと、
(c)少なくとも1種の、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と
を混合して等方相を調製する工程と、
(ii)該等方相を(d)水で希釈する工程と
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討の結果、本発明者らは、強化された水和効果をもたらすことができるO/Wエマルションの形態の組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
そのため、本発明による組成物は、水性相中に分散された油相を有するO/Wエマルションの形態であり、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリオールと、
(c)少なくとも1種の、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と、
(d)水と
を含み、
組成物中の油相の油滴は、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の粒径を有する。
【0024】
本発明による組成物は、優れた水和効果及び保湿効果をもたらすことができる。したがって、本発明による組成物は、好ましくは皮膚を水和する又は保湿するために、使用することができる。
【0025】
本発明による組成物中の超微細な油滴は、皮膚輪郭上の粗い/窪んだ部分に均質に分散されて皮膚の表面からの水の消失を効果的に防ぐことができると考えられる。
【0026】
知覚される水和効果をもたらすために、従来の化粧料は、典型的には、保湿性活性成分、例えばポリオール(具体的にはグリセロール)を、大量に(例えば20質量%超)含有している。しかしながら、それらは、残念ながら、従来の化粧料へ粘着感を付与することが多い。
【0027】
他方、本発明による組成物は、強化された水和効果をもたらすことができる。したがって、その効果で組成物中の保湿性活性成分の量が減り、それにより粘着感をより少なくすることができる。
【0028】
具体的には、本発明による組成物は、粘着性を生じさせうる(b)ポリオールの量を減らすことができる。したがって、本発明による組成物は、粘着感をより少なくすることができる。
【0029】
更に、本発明による組成物中の油滴は粒径が小さいため、本発明による組成物は、透明な又は半透明な態様を有することができる。
【0030】
加えて、本発明による組成物は、高温下でさえ安定となることができる。したがって、例えば、本発明による組成物は、温度制御なしの条件下で保管することができる。
【0031】
以下では、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0032】
[組成物]
本発明による組成物は、水性相中に分散した油相を有するO/Wエマルションの形態であり、該油相は、200nm未満の直径を有するナノサイズの油滴を形成する。本発明による組成物が、化粧用組成物、詳細には皮膚等のケラチン物質のための保湿性又は水和性化粧用組成物、即ち皮膚化粧用組成物であることが好ましい。
【0033】
本発明による組成物は、改善された保湿効果又は水和効果を呈することができる。更に、本発明による組成物は、小さいサイズの油相に起因して透明又は半透明の外観を有することができ、このことは、皮膚等のケラチン物質のための局所用化粧用組成物のための使用において好ましい。
【0034】
油相
本発明によるO/Wエマルションの油相は、少なくとも1種の(a)油を含む。油相は、ナノサイズの液滴の形態である。油相の直径、即ち油相の油滴の直径は、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満である。一般に、油相の油滴の直径は、好ましくは1nm超、より好ましくは5nm超、更により好ましくは10nm超、特定すると20nm超である。
【0035】
{油}
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)油を含む。2種以上の(a)油が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下の室温(25℃)で、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料中に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0037】
(a)油が、植物又は動物由来の油、合成油、シリコーン油及び炭化水素油、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0038】
(a)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0039】
植物油の例として挙げることができるのは、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、紅花油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、ココナツ油、及びこれらの混合物である。
【0040】
合成油の例として挙げることができるのは、アルカン油、例えばイソデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドである。
【0041】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C1~C26脂肪族一酸又はポリ酸の液体エステル、及び飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールの液体エステルであり、これらのエステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0042】
好ましくは、モノアルコールのエステルでは、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸のうちの少なくとも1種は、分枝状である。
【0043】
一酸及びモノアルコールのモノエステルの中で挙げることができるのは、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、カルボン酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルである。
【0044】
C4~C22のジカルボン酸又はトリカルボン酸と、C1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0045】
特に挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、及びジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0046】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、幾つかのアルコール官能基を含んで、アルデヒド官能基又はケトン官能基を含み又は含まず、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0047】
挙げることができる好適な糖の例としては、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0048】
脂肪酸の糖エステルは、先に記載した糖と、直鎖状又は分岐状で飽和又は不飽和のC6~C30好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から、特に選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0049】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択することができる。
【0050】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオパルミチン酸エステルとオレオステアリン酸エステルとパルミトステアリン酸エステルとの混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルでもよい。
【0051】
より詳細には、使用されるのは、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルである。
【0052】
挙げることができる例は、Amerchol社によって名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0053】
好ましいエステル油の例として挙げることができるのは、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物である。
【0054】
人工トリグリセリドの例として挙げることができるのは、例えば、カプリルカプリル酸グリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルである。
【0055】
シリコーン油の例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状のオルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロゲンポリシロキサン等;環状のオルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びこれらの混合物である。
【0056】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、特に少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び液体ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0057】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明により使用されうる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合される1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0058】
オルガノポリシロキサンは、Walter Nollの「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Pressに更に詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0059】
それらが揮発性であるとき、シリコーンは、より具体的には60℃から260℃の間の沸点を有するものから選ばれ、更により具体的には以下から選ばれる。
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特に、Union Carbide社によって名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社によって名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によって名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社によって名称Silbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によって名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。更に挙げることができるのは、Union Carbide社によって販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109等の、式:
【0060】
【化1】
【0061】
の、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマーである。
更に挙げることができるのは、環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物である。
並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社によって名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、Vol.91、1976年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsで刊行された論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って、25℃で測定される。
【0062】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた、使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より特定すると、ポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中で主に挙げることができるのは、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンである。
【0063】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で非限定的に挙げることができるのは、以下の市販製品である。
- Rhodia社によって販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ、又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社からの200シリーズの油、例えば粘度が60000mm2/秒であるDC200、並びに
- General Electric社からのViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社からのSFシリーズの一定の油(SF 96、SF 18)。
【0064】
更に挙げることができるのは、ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社からの48シリーズの油である。
【0065】
アリール基を含有するシリコーンの中で挙げることができるのは、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油である。
【0066】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選ぶことができる:
【0067】
【化2】
【0068】
(式中、
R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、両端値を含む0~900、好ましくは両端値を含む0~500、より好ましくは両端値を含む0~100の整数であり、
但し、和n+m+qは0以外である。
【0069】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある。
- Rhodia社からのSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社からのRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社からのDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidの油、
- Bayer社からのPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社からのSFシリーズの一定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0070】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中のR1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0071】
有機修飾液状シリコーンは、特に、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有することができる。そのため、挙げることができるのは、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社からのSilwet(登録商標)L722油及びL77油である。
【0072】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状の、C6~C16低級アルカン。挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカン、並びに
- 16個超の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0073】
炭化水素油の好ましい例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物である。
【0074】
脂肪アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的多数の炭素原子が含まれるものを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0075】
脂肪アルコールは、R-OH構造(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有していてもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ぶことができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0076】
脂肪アルコールの例として挙げることができるのは、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物である。
【0077】
脂肪アルコールが飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0078】
そのため、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30アルコール、更に好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和のC12~C20アルコールから選択することができる。
【0079】
用語「飽和脂肪アルコール」は、本明細書では、長鎖の飽和脂肪族炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールが任意の直鎖状又は分枝状の飽和のC6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30脂肪アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の、飽和のC12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のC16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用されうる。分枝状のC16~C20脂肪アルコールが、更により好ましくは使用されうる。
【0080】
飽和脂肪アルコールの例として挙げることができるのは、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物である。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)並びにベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0081】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から好ましくは選ばれる。
【0082】
(a)油は、エステル油から、より好ましくは短鎖エステル油、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル及びパルミチン酸エチルヘキシル;トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル等のトリグリセリド;並びにラウロイルサルコシン酸イソプロピル等のサルコシネートから選ばれることが好ましいことがある。
【0083】
(a)油が、天然油から、より好ましくは植物又は動物起源の油から、更により好ましくはココナツ油から選ばれることが好ましいことがある。
【0084】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.5質量%以上とすることができる。
【0085】
他方、本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更により好ましくは3質量%以下とすることができる。
【0086】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%、更により好ましくは0.5質量%~3質量%の範囲とすることができる。
【0087】
しかしながら、本発明による組成物が、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下のシリコーン油を含むことが好ましいことがある。
【0088】
(a)油は、本発明による組成物の脂肪相又は油相を形成することができる。
【0089】
本発明による組成物中の(a)油は、O/Wエマルション中で、分散された脂肪相又は油相を形成することができる。
【0090】
本発明による組成物中の脂肪相又は油相の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%、更により好ましくは0.5質量%~3質量%の範囲とすることができる。
【0091】
{ポリオール}
本発明による組成物は、少なくとも1種の(b)ポリオールを含む。2種以上のポリオールを、組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのポリオール、又は異なるタイプのポリオールの組合せを使用することができる。
【0092】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖又はその誘導体を包含しない。糖の誘導体には、糖の1つ又は複数のカルボニル基を還元することにより得られる糖アルコール、並びに1つ又は複数のそれらのヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖又は糖アルコールが挙げられる。
【0093】
本発明中で使用される(b)ポリオールは、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、25℃等の周囲温度にて液体の形態であってもよい。
【0094】
(b)ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含む、C2~24ポリオール、好ましくはC2~9ポリオールとすることができる。
【0095】
(b)ポリオールは、天然のポリオールであっても合成のポリオールであってもよい。(b)ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有することができる。
【0096】
(b)ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、C6~C24ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択することができる。
【0097】
本発明による組成物中の(b)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更により好ましくは5質量%以上とすることができる。
【0098】
他方、本発明による組成物中の(b)ポリオールの量は、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下とすることができる。
【0099】
本発明による組成物中の(b)ポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%、更により好ましくは5質量%~10質量%の範囲とすることができる。
【0100】
{界面活性剤}
本発明による組成物は、少なくとも1種の(c)界面活性剤を含む。2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0101】
好ましくは、組成物中で使用される(c)界面活性剤は、HLB(親水性親油性バランス)値が、8~22、好ましくは9~18、より好ましくは10~14である。2種以上の界面活性剤が使用される場合、HLB値は、全ての界面活性剤のHLB値の質量平均によって求めることができる。
【0102】
(c)界面活性剤は、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される。
【0103】
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤は、元来よく知られている化合物である[例えばこの点に関しては、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版社(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい]。そのため、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば少なくとも1つの、8~30個の炭素原子を含む脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であり、グリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた、挙げることができる。非限定的に挙げることもできるのは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5個のグリセロール基、例えば1.5~4個を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2~30molのエチレンオキシドを含む、ソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物由来のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;シリコーン界面活性剤;並びにこれらの混合物である。
【0104】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化された非イオン性界面活性剤から選ぶことができる。オキシアルキレン単位は、より詳細には、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0105】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化された非イオン性界面活性剤の例としては、
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C8~C30酸とポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C8~C30酸とソルビトールとのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、
とりわけ単独又は混合物としての、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0106】
界面活性剤は、好ましくは、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。有利には、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
【0107】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル)、及びポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)から選ばれる。
【0108】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例としては、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ7~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より具体的には6~12個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではラウレス-6からラウレス-12);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ5~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-5からベヘネス-50);セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ7~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテアレス-7からセテアレス-30)、セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ7~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテス-7からセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ7~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではステアレス-7からステアレス-30)、イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ8~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-8からイソステアレス-50)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0109】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0110】
詳細には、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、次式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
(式中、
Rは、直鎖状又は分枝状C8~C40、好ましくはC8~C30アルキル基又はアルケニル基を表し、
mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に相当する。
【0111】
本発明との関連で好適な化合物の例として挙げることができるのは、4モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6モルのグリセロールを含有するオクタデカノールである。
【0112】
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールは、アルコールの混合物を表してもよく、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存してもよいことを意味する。
【0113】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中で、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0114】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪酸エステルは、次式:
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
(式中、
R'、R''及びR'''のそれぞれは、独立に、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-基若しくはアルケニル-CO-基を表し、但しR'、R''及びR'''のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、
mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に相当することができる。
【0115】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物、及びこれらの混合物、特に9~100個のオキシエチレン単位を含むもの、例えばラウレートPEG-9からPEG-50のラウレート(CTFA名としては:PEG-9ラウレートからPEG-50ラウレート);PEG-9からPEG-50のパルミテート(CTFA名としては:PEG-9パルミテートからPEG-50パルミテート);PEG-9からPEG-50のステアレート(CTFA名としては:PEG-9ステアレートからPEG-50ステアレート);PEG-9からPEG-50のパルミトステアレート; PEG-9からPEG-50のベヘネート(CTFA名としては:PEG-9ベヘネートからPEG-50ベヘネート);ポリエチレングリコール100 EOモノステアレート(CTFA名:PEG-100ステアレート);及びこれらの混合物がある。
【0116】
本発明による実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含むそのポリオキシアルキレン化誘導体、例えば、C8~C24、好ましくはC12~C22の1種又は複数の脂肪酸のモノグリセリルエステル又はポリグリセリルエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含むそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の1種又は複数の脂肪酸のソルビトールエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含むそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の1種又は複数の脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース及び/又はアルキルグリコース)エステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含むそのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖と、C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪アルコールとのエーテル;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0117】
脂肪酸のモノグリセリルエステルとして、好ましくはC12~C22脂肪酸、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)又はリシノール酸グリセリル及びこれらの混合物を引用することができ、且つそれらのポリオキシアルキレン化誘導体として、脂肪酸の、ポリオキシアルキレン化グリセロールとのモノ-、ジ-又はトリエステル(脂肪酸の、グリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとのモノ-、ジ-又はトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化ステアリン酸(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸)グリセリル、例えばPEG-20ステアリン酸(モノ-、ジ-、トリステアリン酸及び/又はトリイソステアリン酸)グリセリルを引用することができる。好ましくは、脂肪酸のモノグリセリルエステルのポリオキシアルキレン化誘導体は、10~40個のオキシエチレン単位を含み、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリルである。
【0118】
これらの界面活性剤の混合物、例えばUniqema社によって名称ARLACEL 165で市販されているステアリン酸グリセリル及びPEG-100ステアレートを含有する製品、並びにGoldschmidt社によって名称TEGINで市販されているステアリン酸グリセリル(モノステアリン酸グリセリル及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE)等もまた使用することができる。
【0119】
(a)脂肪酸、好ましくはC8~C22脂肪酸、より好ましくはC10~C20脂肪酸のポリグリセリルエステル(脂肪酸の、ポリグリセロールとのモノ-、ジ-又はトリエステル)として挙げることができるのは、2~10個のグリセロール単位、好ましくは2~6個のグリセロール単位を含有する製品、例えばラウリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含む、オレイン酸エステル、ミリスチン酸エステル、カプリル酸エステル若しくはステアリン酸エステル、例えば、2~10個のグリセロール単位を含むモノラウリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むモノ(イソ)スレアリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むジオレイン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むジラウリン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むジミリスチン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むトリミリスチン酸ポリグリセリル、2~10個のグリセロール単位を含むトリオレイン酸ポリグリセリル、及び2~10個のグリセロール単位を含むトリカプリル酸ポリグリセリルである。
【0120】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、及び脂肪酸と、例えば20~100個のEOを含むアルコキシル化ソルビタンとのエステル、例えばICI社によって名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社によって名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社によって名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又はUniqema社によって商品名Tween 20若しくはTween 60で市販されている化合物から選択することができる。
【0121】
脂肪酸と、グルコース又はアルキルグルコースとのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシド脂肪酸エステル、メチルグルコシドとオレイン酸とのジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドと、オレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとラウリン酸とのエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸との、モノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキイソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとステアリン酸との、モノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、及び特にAMERCHOL社によって名称Glucate SSで市販されている製品、並びにこれらの混合物を引用することができる。
【0122】
脂肪酸と、グルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルとして、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、特にAMERCHOL社によって名称Glucam E-20 distearateで市販されている製品等の、メチルグルコースとステアリン酸とのジエステルの、約20モルのエチレンオキシドとのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20ジステアリン酸メチルグルコース)、メチル-グルコースとステアリン酸とのモノエステルとジエステルとの混合物の、約20モルのエチレンオキシドとのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコース)、具体的には、AMERCHOL社によって名称Glucamate SSE-20で市販されている製品、及びGOLDSCHMIDT社によって名称Grillocose PSE-20で市販されている製品、並びにこれらの混合物を、例えば、引用することができる。
【0123】
スクロースエステルとして、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを、例えば引用することができる。
【0124】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、花王ケミカル社によって名称MYDOL 10で市販されている製品、Henkel社によって名称PLANTAREN 2000で市販されている製品、及びSeppic社によって名称ORAMIX NS 10で市販されている製品等の、デシルグルコシドを含む、糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、Seppic社によって名称ORAMIX CG 110で、又はBASF社によって名称LUTENSOL GD 70で市販されている製品等のカプリリル/カプリルグルコシド、Henkel社によって名称PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200で市販されている製品等のラウリルグルコシド、Henkel社によって名称PLANTACARE 818/UPで市販されている製品等のココ-グルコシド、例えばSeppic社によって名称MONTANOV 68で、Goldschmidt社によって名称TEGO-CARE CG90で、及びHenkel社によって名称EMULGADE KE3302で市販されている、場合によりセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシド、Seppic社によって名称MONTANOV 202で市販されている、例えばアラキジル及びベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態のアラキジルグルコシド、Seppic社によって名称MONTANOV 82で市販されている、例えばセチル及びステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態のココイルエチルグルコシド、並びにこれらの混合物を、特に引用することができる。
【0125】
アルコキシル化植物油のグリセリド混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パームグリセリドとコプラ(7 EO)グリセリドとの混合物もまた、引用することができる。
【0126】
本発明による非イオン性界面活性剤は、アルケニル又は分枝状のC12~C22アシル鎖、例えばオレイル基又はイソステアリル基を好ましくは含有する。
【0127】
本発明による実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、特に次式:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
(式中、
a、b及びcは、a+cが2~100の範囲であり、bが14~60の範囲であるような整数である)
のコポリマー、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0128】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。非限定的に挙げられるのは、特許文献、US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されているものである。
【0129】
シリコーン界面活性剤は、好ましくは、次式(I):
【0130】
【化3】
【0131】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、R1、R2又はR3のうちの少なくとも1つの基はアルキル基ではなく、
R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり;
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但しAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり;
zは、0~5の範囲の整数である]
の化合物とすることができる。
【0132】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中で、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0133】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、次式(II):
【0134】
【化4】
【0135】
(式中、
Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0136】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として更に挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、
A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0137】
使用されてもよい本発明の化合物は、Dow Corning社によって名称DC5329、DC7439-146、DC2-5695及びQ4-3667で販売されているものである。化合物DC5329、DC7439-146及びDC2-5695は、式(III)の化合物であり、式中、それぞれ、Aは22であり、Bは2であり、yは12である;Aは103であり、Bは10であり、yは12である;Aは27であり、Bは3であり、yは12である。化合物Q4-3667は、式(III)の化合物であり、式中、Aは15であり、yは13である。
【0138】
好ましくは、本発明による組成物中で使用される非イオン性界面活性剤は、糖とC8~C24脂肪アルコールとのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド;6~12個のオキシエチレン単位を含有するポリオキシエチレン化脂肪アルコール、例えばオレス-10及びセテス-10;脂肪酸のモノグリセリルエステルのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリル;脂肪酸のポリグリセリルエステル、例えばオレイン酸ポリグリセリル-2及びラウリン酸ポリグリセリル-5;及びC8~C24脂肪酸のソルビトールエステルのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばポリソルベート60及びポリソルベート80;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0139】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤は、具体的には、リン酸塩及びアルキルリン酸塩、カルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸誘導体、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩、イセチオン酸塩、タウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、アルキルスルホ酢酸塩、ポリペプチド、及びこれらの混合物から選ぶことができる。
【0140】
1)リン酸塩及びアルキルリン酸塩として挙げることができるのは、例えばモノアルキルリン酸塩及びジアルキルリン酸塩であり、例えば花王ケミカル株式会社によって名称MAP 20(登録商標)で販売されているラウリル一リン酸塩、Cognis社によって名称Crafol AP-31(登録商標)で販売されているモノエステルとジエステルとの混合物(主としてジエステル)としてのリン酸ドデシルのカリウム塩、Cognis社によって名称Crafol AP-20(登録商標)で販売されているリン酸オクチルのモノエステルとジエステルとの混合物、Condea社によって名称Isofol 12 7 EO-Phosphate Ester(登録商標)で販売されているエトキシル化(7molのEO)リン酸2-ブチルオクチルのモノエステルとジエステルとの混合物、Uniqema社によって参照番号Arlatone MAP 230K-40(登録商標)及びArlatone MAP 230T-60(登録商標)で販売されているモノ(C12~C13)リン酸アルキルのカリウム塩又はトリエタノールアミン塩、Rhodia Chimie社によって名称Dermalcare MAP XC-99/09(登録商標)で販売されているラウリルリン酸カリウム、及びUniqema社によって名称Arlatone MAP 160Kで販売されているセチルリン酸カリウムである。
【0141】
2)カルボン酸塩として、以下のものを挙げることができる:
- アミドエーテルカルボン酸塩(AEC)、例えば花王ケミカル社によって名称Akypo Foam 30(登録商標)で販売されているラウリルアミドエーテルカルボン酸ナトリウム(3 EO)、
- ポリオキシエチレン化カルボン酸塩、例えば花王ケミカル社によって名称Akypo Soft 45 NV(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(6 EO)ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム(65/25/10、C12~C14~C16)、Biologia E Tecnologia社によって名称Olivem 400(登録商標)で販売されているオリーブ油起源のポリオキシエチレン化脂肪酸及びカルボキシメチル化脂肪酸、又は日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol ECTD-6 NEX(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(6 EO)トリデシルエーテルカルボン酸ナトリウム、並びに
- 有機塩基又は無機塩基、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、リジン及びアルギニンで中和された、C6~C22アルキル鎖を有する脂肪酸の塩(石けん)。
【0142】
3)アミノ酸のアルカリ塩のアミノ酸誘導体として、具体的に、例えば以下のものを挙げることができる:
- サルコシン酸塩、例えばCiba社によって名称Sarkosyl NL 97(登録商標)で、又はSeppic社によって名称Oramix L30(登録商標)で販売されているラウロイルサルコシン酸ナトリウム、日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol Sarcosinate MN(登録商標)で販売されているミリストイルサルコシン酸ナトリウム、又は日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol Sarcosinate PN(登録商標)で販売されているパルミトイルサルコシン酸ナトリウム、
- アラニン酸塩、例えば日光ケミカルズ株式会社によって名称Sodium Nikkol Alaninate LN 30(登録商標)で、又は川研ファインケミカル株式会社によって名称Alanone ALE(登録商標)で販売されているN-ラウロイル-N-メチルアミドプロピオン酸ナトリウム、又は川研ファインケミカル株式会社によって名称Alanone ALTA(登録商標)で販売されているトリエタノールアミンN-ラウロイル-N-メチルアラニン、
- グルタミン酸塩、例えば味の素株式会社によって名称Acylglutamate CT-12(登録商標)で販売されているモノココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、味の素株式会社によって名称Acylglutamate LT-12(登録商標)で販売されているラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、
- アスパラギン酸塩、例えば三菱化学株式会社によって名称Asparack(登録商標)で販売されているN-ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミンとN-ミリストイルアスパラギン酸トリエタノールアミンとの混合物、
- グリシン誘導体(グリシン酸塩)、例えば味の素株式会社によって名称Amilite GCS-12(登録商標)及びAmilite GCK 12で販売されているN-ココイルグリシン酸ナトリウム、
- クエン酸塩、例えばGoldschmidt社によって名称Witconol EC 1129で販売されているオキシエチレン化(9mol)ココアルコールのクエン酸モノエステル、
- ガラクツロン酸塩、例えばSoliance社によって販売されているドデシルD-ガラクトシドウロン酸ナトリウム。
【0143】
4)スルホコハク酸塩として挙げることができるのは、例えば、Witco社によって名称Setacin 103 Special(登録商標)及びRewopol SB-FA 30 K 4(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(3 EO)ラウリル(70/30、C12/C14)アルコールモノスルホコハク酸塩、Zschimmer Schwarz社によって名称Setacin F Special Paste(登録商標)で販売されているC12~C14アルコールのヘミスルホコハク酸の二ナトリウム塩、Cognis社によって名称Standapol SH 135(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(2 EO)オレアミドスルホコハク酸二ナトリウム、三洋化成工業株式会社によって名称Lebon A-5000(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(5 EO)ラウラミドモノスルホコハク酸塩、Witco社によって名称Rewopol SB CS 50(登録商標)で販売されているオキシエチレン化(10 EO)ラウリルクエン酸モノスルホコハク酸の二ナトリウム塩、又はWitco社によって名称Rewoderm S 1333(登録商標)で販売されているリシノール酸モノエタノールアミドモノスルホコハク酸塩である。更に使用できるのは、MacIntyre社によって名称Mackanate-DC 30で販売されているPEG-12ジメチコンスルホコハク酸二ナトリウム等のポリジメチルシロキサンスルホコハク酸塩である。
【0144】
5)アルキル硫酸塩として挙げることができるのは、例えばラウリル硫酸トリエタノールアミン(CTFA名:ラウリル硫酸TEA)、例えばHuntsman社によって名称Empicol TL40 FLで販売されている製品、又はCognis社によって名称Texapon T42で販売されている製品であり、これらの製品は40%水性溶液である。更に挙げることができるのは、Huntsman社によって名称Empicol AL 30FLで販売されている製品等のラウリル硫酸アンモニウム(CTFA名:ラウリル硫酸アンモニウム)であり、これは30%水性溶液である。
【0145】
6)アルキルエーテル硫酸塩として挙げることができるのは、例えば、Cognis社によって名称Texapon N40及びTexapon AOS 225 UPで販売されているもの等のラウリルエーテル硫酸ナトリウム(CTFA名:ラウレス硫酸ナトリウム)、又はCognis社によって名称Standapol EA-2で販売されているもの等のラウリルエーテル硫酸アンモニウム(CTFA名:ラウレス硫酸アンモニウム)である。
【0146】
7)スルホン酸塩として挙げることができるのは、例えばα-オレフィンスルホン酸塩、例えば、Stepan社によって名称Bio-Terge AS-40(登録商標)で販売されている、Witco社によって名称Witconate AOS Protege(登録商標)及びSulframine AOS PH 12(登録商標)で販売されている、若しくはStepan社によって名称Bio-Terge AS-40 CG(登録商標)で販売されているα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14~C16)、Clariant社によって名称Hostapur SAS 30(登録商標)で販売されている第二級オレフィンスルホン酸ナトリウムであり;又は直鎖状アルキルアリールスルホン酸塩、例えばManro社によって名称Manrosol SXS30(登録商標)、Manrosol SXS40(登録商標)及びManrosol SXS93(登録商標)で販売されているキシレンスルホン酸ナトリウムである。
【0147】
8)イセチオン酸塩として挙げることができるのは、アシルイセチオン酸塩、例えばJordan社によって名称Jordapon CI P(登録商標)で販売されている製品等のココイルイセチオン酸ナトリウムである。
【0148】
9)タウリン酸塩として挙げることができるのは、Clariant社によって名称Hostapon CT Pate(登録商標)で販売されているパーム核油メチルタウレートのナトリウム塩;N-アシル-N-メチルタウレート、例えばClariant社によって名称Hostapon LT-SF(登録商標)で販売されている、若しくは日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol CMT-30-T(登録商標)で販売されているN-ココイル-N-メチルタウリン酸ナトリウム、日光ケミカルズ株式会社によって名称Nikkol PMT(登録商標)で販売されているパルミトイルメチルタウリン酸ナトリウム、又は太陽化学株式会社によって名称Sunsoft O-30Sで販売されているステアロイルメチルタウリン酸ナトリウムである。
【0149】
10)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸を挙げることができ、例えば式(IV):
RO[CH2O]u[(CH2)xCH(R')(CH2)y(CH2)zO]v[CH2CH2O]wCH2COOH (IV)
(式中、
Rは、6~40個の炭素原子を含む炭化水素基であり、
u、v及びwは、互いに独立して、0~60の範囲の数を表し、
x、y及びzは、互いに独立して、0~13の数を表し、
R'は、水素、アルキル、好ましくはC1~C12アルキルを表し;
x+y+zの和は、0以上である)
に相当する化合物である。
【0150】
式(IV)中、Rは、直鎖状又は分枝状であり、非環状又は環状であり、飽和又は不飽和であり、脂肪族又は芳香族であり、置換又は非置換である。置換基の例として挙げることができるのは、一価の官能基、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1~C6アルコキシ基、アミノ基、C1~C6アルキルアミノ基、C1~C6ジアルキルアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基等である。典型的には、Rは、直鎖状又は分枝状の、非環状のC6~C40アルキル基若しくはアルケニル基、又はC1~C40アルキルフェニル基であり、より典型的にはC8~C24アルキル基若しくはアルケニル基、又はC4~C20アルキルフェニル基であり、更により典型的にはC10~C18アルキル基若しくはアルケニル基、又はC6~C16アルキルフェニル基であり、これは、置換されていてもよく;u、v、wは、互いに独立に、典型的には2~20の数、より典型的には3~17の数、最も典型的には5~15の数であり;x、y、zは、互いに独立に、典型的には2~13の数、より典型的には1~10の数、最も典型的には0~8の数である。
【0151】
式(IV)に相当するポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸は、アルコールROHの、単一のアルコキシドとしてのエチレンオキシドとのアルコキシル化によって、又は幾つかのアルコキシドとのアルコキシル化及びそれに続く酸化によって、得ることができる。数u、v及びwは、それぞれ、アルコキシル化度を表す。分子レベルでは、数u、v及びw、並びに総アルコキシル化度は、ゼロを含む整数にしかなり得ないが、巨視的レベルでは、それらは分数の形態の平均値である。脂肪エーテルカルボン酸としては、ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸及びこれらの塩、より特定するとポリオキシエチレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸及びこれらの塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸及びこれらの塩;並びにポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸を挙げることができる。好ましくは、脂肪エーテルカルボン酸は、ポリオキシエチレン(3)~(17)ラウリルエーテルカルボン酸である。
【0152】
好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸としては、それらのINCI名で称される以下の代表例が挙げられるがこれらに限定されない:ブトキシノール-5~19カルボン酸、カプリレス-4~25カルボン酸、コセス-7カルボン酸、C9~15パレス-6~8カルボン酸、デセス-7カルボン酸、ラウレス-3~17カルボン酸、特定するとラウレス-5カルボン酸、例えば花王ケミカル社によって名称「Akypo RLM 45 CA」で市販されている製品、PPG-6-ラウレス-6カルボン酸、PPG-8-ステアレス-7カルボン酸、ミレス-3~5カルボン酸、ノンオキシノール-5~10カルボン酸、オクテス-3カルボン酸、オクトキシノール-20カルボン酸、オレス-3~10カルボン酸、PPG-3-デセス-2カルボン酸、カプリレス-2カルボン酸、セテス-13カルボン酸、デセス-2カルボン酸、ヘキセス-4カルボン酸、イソステアレス-6~11カルボン酸、トルデセス-3~12カルボン酸、トリデセス-3~19カルボン酸、ウンデセス-5カルボン酸、及びこれらの混合物。
【0153】
好ましくは、本発明による組成物中で使用されるアニオン性界面活性剤は、サルコシネート、例えばラウロイルサルコシン酸ナトリウム;ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、例えばポリオキシエチレン(3)~(17)ラウリルエーテルカルボン酸、特定するとラウレス-5カルボン酸;グルタメート、例えばラウロイルグルタミン酸ナトリウム;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0154】
(バイオサーファクタント)
(c)界面活性剤は、バイオサーファクタントであってもよい。
【0155】
用語「バイオサーファクタント」は、本明細書では、界面活性剤として機能することができて真菌及び細菌等の微生物によって産生されうる任意の物質を意味する。バイオサーファクタントは、天然の界面活性剤のタイプである。
【0156】
一実施形態では、(c)バイオサーファクタントは、グリコリピドから選択することができる。
【0157】
グリコリピドバイオサーファクタントは、ラムノリピド、グルコースリピド、トレハロースリピド、及びこれらの混合物から好適に選択することができる。今や、それぞれを以下に、より詳細に説明する。
【0158】
(ラムノリピド)
これらのバイオサーファクタントは、式(I)を有する
【0159】
【化5】
【0160】
(式中、
aは、1又は2であり、
bは、1又は2であり、
nは、4~10、好ましくは6であり、
R1は、H又はカチオン、好ましくはH、又は一価の可溶性カチオンであり、
R2は、H又は基
【0161】
【化6】
【0162】
、好ましくは、Hであり、
mは、4~10であり、
mの値とnの値とは、それぞれの出現において同一である必要はない)。
【0163】
ラムノリピドは、細菌発酵により産生することができる。これは、細菌発酵の製品が、一般に更新可能な原料から誘導されることが可能であって使用後に生分解性でありそうなことにおいて、本来的に有利である。式(I)の界面活性剤の別の利点は、それらが、酵素製造の副産物として産生されうることである。
【0164】
ラムノリピドは、シュードモナス属(genus Pseudomonas)の細菌によって産生することができる。細菌発酵は、基質として、糖又はグリセロール又はアルカン又はこれらの混合物を典型的に利用する。
【0165】
適切な発酵方法は、D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH. P. KleberのAdv Biochem.Eng./Biotechnol.(1986)33、53~90頁で、又はF. Wagner、H. Bock及びA. KretschmarのFermentation(R. M. Lafferty編)(1981)、181~192頁、Springer Verlag、Viennaにより概観される。
【0166】
ラムノリピドの任意のサンプルは、一般に、一般式(I)内の多様な個々の化合物を含有することになる。個々の化合物の割合は、微生物の種、及び発酵のために採用される特定の株、発酵に供給される基質材料、並びに他の発酵条件によって統制される。
【0167】
細菌発酵は、化合物を一般に産生し、式中、R1は、水素又は可溶性カチオンである。こうした化合物は、水性溶液中で、該溶液のpHに応じて塩の形態と酸の形態との間で変換を受けることができる。一般の可溶性カチオンは、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンである。
【0168】
(グルコースリピド)
本発明によるグリコリピドバイオサーファクタントの第2のクラスは、式(II)のグルコースリピドを含む
【0169】
【化7】
【0170】
(式中、
R1は、H又はカチオンであり、
pは、1~4であり、
qは、4~10、好ましくは6である)。
【0171】
グルコースリピドは、アルカリゲネス菌(bacterium Alcaligenes)Sp.MM1によって産生することができる。適切な発酵方法は、M. Schmidt、彼のPh.D.論文(1990)、Technical University of Braunschweigにより、及びSchulzら、(1991)Z. Naturforsch 46C、197~203頁により概観される。グルコースリピドは、エチルエーテル、又はジクロロメタン:メタノール、若しくはクロロホルム:メタノールのいずれかの混合物を用いる溶媒抽出を介する発酵ブロスから回収される。
【0172】
(ソホロースリピド)
本発明によるグリコリピドバイオサーファクタントの第3のクラスは、式(III)のソホロースリピドを含む
【0173】
【化8】
【0174】
(式中、
R3及びR4は、それぞれ独立に、H又はアセチル基であり、
R5は、1~9個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化の炭化水素基であり、好ましくはメチル基であり、
R6は、1~19個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化の炭化水素基であり、
但し、R5基とR6基における炭素原子の総数は20を超えず、好ましくは14~18個である)。
【0175】
ソホロースリピドは、鎖式遊離酸形態(ここで、R7はHであり、R8はOHである)又はそのラクトン形態(ここで、ラクトン環は、R7とR8との間で形成される)のいずれかとして、本発明の洗浄性組成物中に組み入れられてもよく、式(IV)に示す通りである
【0176】
【化9】
【0177】
(式中、
R3、R4及びR6は、上で定義されたものであり、
但し、R3基及びR4基のうちの少なくとも1つはアセチル基である)
【0178】
ソホロースリピドは、酵母細胞、例えばトルロプシスアピコラ(Torulopsis apicola)及びトルロプシスボンビコラ(Torulopsis bombicola)によって産生することができる。発酵方法は、基質として、糖及びアルカンを典型的に利用する。適切な発酵方法は、A. P. Tulloch、J. F. T. Spencer及びP. A. J. Gorin、Can. J Chem(1962)40 1326頁、及びU. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters(1984)6 (4)、225頁において概観される。得られた産生物は、種々の鎖式ソホロースリピドとソホロースリピドラクトンとの混合物であり、これは混合物として利用することができ、又は必要とされる形態を単離することができる。グリコリピドバイオサーファクタントがソホロースリピドを含むとき、ソホロースリピド:追加の界面活性剤の質量比は、好ましくは4:1~3:2、より好ましくは4:1の範囲内にある。
【0179】
(トレハロースリピド)
本発明によるグリコリピドバイオサーファクタントの第4のクラスは、一般式(V)のトレハロースリピドを含む
【0180】
【化10】
【0181】
(式中、
R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、5~13個の炭素原子の、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化の炭化水素である)。
【0182】
トレハロースリピドは、海洋バクテリア、アースロバクターエスピー(Arthrobacter sp.)Ek 1又は淡水バクテリア、ロドコッカスエリスポリス(Rhodococcus erythropolis)を用いる細菌発酵によって産生することができる。適切な発酵方法は、Ishigamiら、(1987)J. Jpn Oil Chem Soc 36 847~851頁、Schultzら、(1991)、Z. Naturforsch 46C 197~203頁;及びPasseriら、(1991)Z. Naturforsch 46C 204~209頁により提供されている。
【0183】
(セロビオースリピド)
本発明によるグリコリピドバイオサーファクタントの第5のクラスは、一般式(VI)のセロビオースリピドを含む
【0184】
【化11】
【0185】
(式中、
R1は、H又はカチオンであり、
R12は、9~15個の炭素原子、好ましくは13個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化の炭化水素であり、
R13は、H又はアセチル基であり、R14は、4~16個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化の炭化水素である)。
【0186】
セロビオースリピドは、ウスチラゴ属(genus ustilago)からの真菌細胞によって産生することができる。適切な発酵方法は、Frautz、Lang及びWagner(1986) Biotech Letts 8 757~762頁により提供される。
【0187】
グリコリピドバイオサーファクタントがセロビオースリピドを含むとき、セロビオースリピド:追加の界面活性剤の質量比は、好ましくは4:1~2:3の範囲である。
【0188】
(b)バイオサーファクタントがラムノリピドから選択されることが好ましいことがある。
【0189】
別の実施形態では、(b)バイオサーファクタントは、界面活性剤及びその塩から選択することができる。
【0190】
界面活性剤は、バチルススブチリス(Bacillus subtilis)IMA 1213、IAM 1069、IAM 1259、IAM 1260、IFO 3035及びATCC 21332等のバチルス属(genus Bacillus)からの微生物によって産生される天然の界面活性剤である。
【0191】
界面活性剤の塩として挙げることができるのは、サーファクチンを形成するアミノ酸のカルボン酸基の、金属塩(例えばアルカリ金属を有する塩、例えばナトリウム、カリウム及びリチウム、又はアルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウム)、及び有機アンモニウム塩(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リジン及びアルギニンを有する塩)である。
【0192】
本発明による組成物中の(c)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは1質量%以上とすることができる。
【0193】
他方、本発明による組成物中の(c)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更により好ましくは3質量%以下とすることができる。
【0194】
本発明による組成物中の(c)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%、更により好ましくは1質量%~3質量%の範囲とすることができる。
【0195】
しかしながら、本発明による組成物が、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下のシリコーン界面活性剤を含むことが好ましいことがある。
【0196】
{水}
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0197】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%~99質量%、好ましくは70質量%~97質量%、より好ましくは80質量%~95質量%、更により好ましくは80質量%~90質量%、なおも更により好ましくは80質量%~85質量%の範囲とすることができる。
【0198】
(d)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができる。
【0199】
本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、60質量%~99質量%、好ましくは70質量%~97質量%、より好ましくは80質量%~95質量%、更により好ましくは80質量%~90質量%、なおも更により好ましくは80質量%~85質量%の範囲とすることができる。
【0200】
{乳化剤}
本発明による組成物は、(c)界面活性剤を除き、少なくとも1種の追加の乳化剤を含む。2種以上の乳化剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0201】
追加の乳化剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下とすることができ、但し、追加の乳化剤の量はゼロではない。追加の乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上とすることができる。
【0202】
そのため、本発明による組成物中の追加の乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%の範囲とすることができる。
【0203】
本発明において使用される追加の乳化剤は、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0204】
{他の成分}
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の他の任意選択の成分又は追加の成分も含んでもよい。
【0205】
他の任意選択の又は追加の成分の量は、限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%とすることができる。
【0206】
任意選択の又は追加の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリマー;増粘剤;有機又は無機UV遮蔽剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;脱毛に有効な薬剤;ふけ防止剤;天然又は合成の増粘剤;懸濁剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;日焼け止め剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、共保存剤、安定剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0207】
本発明による組成物は、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい、1種又は数種の美容的に許容される有機溶媒を含むことができる。
【0208】
このとき、有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の濃度で存在することができる。
【0209】
しかしながら、組成物が、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下のエタノールを含むことが好ましいことがある。
【0210】
本発明による組成物のpHは、制御することができる。pHは、例えば、3~11、好ましくは4~9、より好ましくは5~7とすることができる。pHは、少なくとも1種の酸性化剤及び/又は少なくとも1種の塩基性化剤を用いて所望の値に調整することができる。
【0211】
酸性化剤は、例えば、無機若しくは有機酸、例としては塩酸、オルトリン酸、カルボン酸、例としては酒石酸、クエン酸、乳酸又はスルホン酸とすることができる。
【0212】
塩基性化剤は、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸塩、アルカリ土類金属水酸塩、アルカリ金属炭酸塩、モノ-、ジ-及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、更にはこれらの誘導体、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、並びに以下の式:
【0213】
【化12】
【0214】
(式中、
Rは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基によって任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示されうる)
の化合物とすることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましいことがある。
【0215】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、5質量%未満、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の範囲の量で存在することができる。
【0216】
{形態}
本発明による組成物は、O/Wエマルションの形態である。
【0217】
水性相に分散された油相(又は脂肪相)からなるO/Wエマルションは、外部水性相を有し、したがって、O/Wエマルションに基づく製品は、それらが付与することができる新鮮さの感触のために、使用感がより快適である。
【0218】
本発明による組成物が、微細なエマルション、より好ましくはナノエマルション又はマイクロエマルション、更により好ましくはナノエマルションの形態であることが好ましい。
【0219】
本発明による組成物は、連続水性相中に分散された油相又は脂肪相を含む。分散された油相又は脂肪相は、水性相中の油滴として認めることができる。
【0220】
本発明による組成物中で、組成物中の油滴は、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満、更により好ましくは50nmの粒径を有する。粒径は、従来の粒径アナライザーによって求めることができる。粒径は、体積平均の又は数平均の粒子直径に、好ましくは動的光散乱に基づく体積平均の粒子直径(平均体積粒子直径)に基づくことができる。
【0221】
本発明による組成物は、透明な又はわずかに半透明な外観、好ましくは透明な外観を有することができる。
【0222】
「ナノエマルション」は、本明細書では、サイズが200nm未満の分散相を特徴とするエマルションを意味し、この分散相は、分散相/連続相の界面で、薄板状タイプの液晶相を任意選択で形成することができる界面活性剤(b)及び(c)のクラウンによって安定化される。特定の乳白剤の非存在下では、ナノエマルションの透明性が、小さいサイズの分散相により生じる。
【0223】
透明度は、濁度[例えば、濁度は、丸型セル(直径25mm×高さ60mm)、及び可視光(400から800nmの間、好ましくは400から500nmの間)を発することができるタングステン電球を備えた2100Q(HACH社により市販されている)で測定されうる]を測定することによって、測定することができる。測定は、不希釈組成物において行なうことができる。ブランクは、蒸留水を用いて求めることができる。
【0224】
本発明による組成物は、好ましくは、200NTU未満、好ましくは150NTU未満、より好ましくは100NTU未満、更により好ましくは50NTU未満の濁度を有することができる。
【0225】
[調製]
水性相中に分散された油相を有するO/Wエマルションの形態である、組成物中の油相の油滴が200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の粒径を有する、本発明による組成物は、
(i)(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリオールと、
(c)少なくとも1種の、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と
を混合して等方相を調製する工程と、
(ii)該等方相を(d)水で希釈する工程と
を含む方法によって調製することができる。
【0226】
混合する工程は、任意の従来技術の方法によって実施することができる。
【0227】
希釈する工程はまた、任意の従来技術の手段によっても実施することができる。しかしながら、希釈の工程を実施するのに、大きい機械的エネルギーは必要ではない。例えば、単純な、等方相への水の添加で十分であり得、激しい撹拌は必要でないことがある。
【0228】
本発明による組成物を調製する方法が等方相の希釈を採用しているため、より小さいサイズの油滴を容易に生成することができる。
【0229】
等方相が水で希釈される場合、(a)油と水との界面の張力は小さく、したがって、(a)油の可溶性又は分散性は増大されうる。
【0230】
本発明による組成物は、25℃にて1rad/秒で5000Pa.s未満の粘度を有することができる。
【0231】
[使用及び方法]
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として、皮膚美白又は抗老化のために使用することができる。化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、例えば皮膚保湿性化粧用組成物とすることができる。本明細書での皮膚は、顔の皮膚、首の皮膚、及び頭皮を包含する。本発明による組成物はまた、唇等の粘膜にも使用することができる。
【0232】
本発明による組成物は、そのままで使用することができ(局所用製品として)、又はセルロース繊維から作製されることが好ましい不織繊維等の多孔質の基質中へしみ込ませて美容マスク等の化粧料を調製するのに使用することもできる。
【0233】
詳細には、本発明による組成物は、皮膚又は唇、好ましくは皮膚等のケラチン物質への塗布を意図することができる。そのため、本発明による組成物は、皮膚又は唇の美容方法、好ましくは皮膚の美容方法のために使用することができる。本発明による組成物は、ケラチン物質を水和する又は保湿するために好ましくは使用することができる。
【0234】
本発明による、皮膚等のケラチン物質のための美容方法は、少なくとも、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含むことができる。
【0235】
本発明による化粧料の使用は、皮膚等のケラチン物質を水和する又は保湿するための本発明による組成物の使用、又は皮膚等のケラチン物質を水和する又は保湿するための化粧料の製造のための本発明による組成物の使用に関することができる。
【0236】
本発明による美容方法又は化粧料の使用は、優れた水和効果又は保湿効果をもたらすことができる。一実施形態では、本発明は、ケラチン物質、好ましくは皮膚を水和する又は保湿するための美容方法に関し、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む。
【実施例0237】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これら実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。以下の実施例は、本発明の技術分野の非限定的な例示として提示される。
【0238】
[実施例1並びに比較例1及び2]
表1に示す実施例1並びに比較例1及び2による以下のO/Wエマルション組成物を、表1に示す成分を以下の通り混合して調製した。表1に示す成分の量の数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0239】
(実施例1)
油と界面活性剤と水の一部との、等方相としての混合物を、残りの水で、室温(25℃)にて穏やかに混合しながら希釈した。
【0240】
(比較例1)
比較例1による組成物のための成分(油なし)を、オーバーヘッド撹拌機で室温にて穏やかに混合した。
【0241】
(比較例2)
比較例2による組成物のための成分を、プラスチックビーカーへ装入し、スピードミキサで、25℃にて2700rpmで10分間激しく混合した。
【0242】
【表1】
【0243】
[評価]
実施例1及び比較例1及び2によるO/Wエマルション組成物を、以下の通り評価した。
【0244】
(外観)
実施例1並びに比較例1及び2による組成物の外観もまた、目視の観察によって決定した。
【0245】
結果を表1で「外観」として示す。
【0246】
(油滴のサイズ)
粒径アナライザー(Vasco、Cordouan Technologies社)を用いて、25℃にて、実施例1並びに比較例1及び2によるO/Wエマルション組成物の油相の油滴のサイズを求めた。
【0247】
結果を表1で「油滴のサイズ」として示す。
【0248】
表1中のN.D.は、油がないために、油滴のサイズが、比較例1による組成物では可能でなかったことを意味する。
【0249】
(NTU)
実施例1並びに比較例1及び2によるO/Wエマルション組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を用いて室温にて測定した。
【0250】
結果を表1で「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物は透明である。
【0251】
表1中のN.D.は、比較例2による組成物の濁度が、高い濁度(>1000NTU)に起因して測定不能であったことを意味する。
【0252】
(水和効果)
実施例1並びに比較例1及び2による組成物の水和効果を、以下の通り評価した。
(1)10名のパネリストの前腕内側の4つの部位(それぞれ3*5cm)における皮膚の水和を、Corneometer(登録商標)CM825(Courage+Khazaka Electronic GmbH社製)で測定した。測定値の平均を、水和レベル初期(T0)として求めた。
(2)組成物のそれぞれを、4つの部位に、2mg/cm2の量で塗布した。1時間後、組成物を塗布した皮膚の水和状態を、同じCorneometer(登録商標)CM825で再度測定した。測定値の平均を、水和レベル1時間後(T1)として求めた。
(3)組成物の塗布前と塗布後との水和状態の変化、即ち「水和レベル1時間後(T1)」-「水和レベル初期(T0)」を水和効果として求め(標準偏差で)、表1中で「水和効果」として示す。
【0253】
表1から、実施例1による組成物が、組成物中の油滴が200nm未満の粒径を有するO/Wナノエマルションの形態であることが明らかである。
【0254】
表1から、実施例1による組成物が、in vivoで、より良好な水和効果をもたらすことができることが明らかである。
【0255】
表1から更に、油を欠いている比較例1による組成物は、透明となり得るがO/Wナノエマルションの形態となり得ないこと、及び実施例1と比較例1による組成物中のグリセリンの量が同一であるにもかかわらず、比較例1による組成物での水和効果は実施例1による組成物での水和効果よりも劣ることも明らかである。
【0256】
比較例2による組成物は、実施例1による組成物とは異なり、それは、前者はナノエマルションではなく、したがって前者における油相の粒径は200nm超であり、一方、後者はナノエマルションであり、ここで後者における油相の粒径は200nm未満であるという点においてである。
【0257】
表1から、実施例1による組成物中のグリセリンの量と比較例2による組成物中のグリセリンの量とが同一であるにもかかわらず、粒径の違いに起因して、実施例1による組成物が、比較例2による組成物よりも良好な水和効果をもたらすことができることが明らかである。
【0258】
[実施例2]
表2に示す、以下の、実施例2によるO/Wエマルション組成物を、表2に示す成分を以下の通り混合して調製した。表2に示す成分の量についての数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0259】
【表2】
【0260】
(実施例2)
油と界面活性剤と水の一部との、等方相としての混合物を、残りの水で、室温(25℃)にて穏やかに混合しながら希釈した。
【0261】
実施例2による組成物を、組成物の質量がセルロース不織材料の質量よりも20倍大きいという条件下でセルロース不織材料にしみ込ませ、それにより美容マスクを調製した。水和効果を、上に説明した通り求めた。求めた値は200であった。
【外国語明細書】