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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140759
(43)【公開日】2022-09-27
(54)【発明の名称】表示構造
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20220915BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G09F13/04 D
G09F13/18 Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124849
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2017230661の分割
【原出願日】2017-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲濱▼ 詩帆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宗雄
(57)【要約】
【課題】近接配置された複数の押し釦部等の突出部を有するシリコーンゴムキーパッドを用いても、近接する突出部同士において、光を透過して発光する一方から他方への光漏れを防止する表示構造を提供すること。
【解決手段】光源と、光源の上に配置される光透過性を有するベースシート及びベースシートの表面から突出して設けられた光透過性を有する複数の突出部を有し、複数の突出部のうち少なくとも一つの突出部が光源からの光を透過して発光するパッドと、パッドを覆うように配置され、複数の突出部の頂部の光のそれぞれを通す窓を有するベゼル部と、を備え、ベゼル部は、ベースシート上で複数の突出部のうち一つの突出部と他の突出部との間に配置される壁部を有し、ベースシートには、一つの突出部と他の突出部との間に、一つの突出部側から他の突出部側への光源の光の透過を遮る遮光部が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有する基板と、
裏面側に凹状に開口して設けられた複数の光導入部を有し、前記光導入部内に前記光源を囲むように位置させて、前記基板上に重ねて配置される光透過性を有するベースシートと、前記ベースシートに一体に設けられ、前記光導入部の真上で前記ベースシートの表面から突出して設けられた光透過性を有する複数の突出部とを有し、前記複数の突出部のうち少なくとも一つの突出部が対応する光源からの光を透過して発光するパッドと、
を備え、
前記一つの突出部と前記他の突出部との間には、前記一つの突出部側から前記他の突出部側への前記光源の光の透過を遮る遮光部が設けられている、
ことを特徴とする表示構造。
【請求項2】
前記遮光部は、前記パッドを覆うように配置されるベゼルの壁部、または、前記ベースシートに設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の表示構造。
【請求項3】
前記パッドを覆うように配置されるベゼル部を有し、
前記ベゼル部は、前記複数の突出部の頂部の光のそれぞれを通す窓と、前記ベースシート上で前記複数の突出部のうち前記一つの突出部と他の突出部との間に配置される壁部と、を有し、
前記遮光部は、
前記ベースシートに設けられ、前記ベースシートにおいて前記一つの突出部と前記他の突出部との間に形成される孔部と、
前記壁部に設けられ、前記孔部の内部に配置された光透過性を有しない介在部と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示構造。
【請求項4】
前記ベゼル部の表面と、前記窓内の前記頂部の表面とは面一である、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を透過して表示する表示構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、携帯電話又はPHS等の通信端末、リモートコントローラー、パソコンの入力用キーボード等の操作部には、例えば、複数の押し釦部を有するシリコーンゴムキーパッドが使用されている。
【0003】
シリコーンゴムキーパッドは、耐熱性、耐寒性に優れたシリコーンゴム組成物を圧縮加熱成形して硬化させた成形品であり、押し釦部は、薄肉で弾性変形可能な中空メーサ状のスカート部を有し、スカート部を介してベースシート上に設けられる(例えば、特許文献1参照)。シリコーンゴムキーパッドでは、押し釦部がユーザにより押圧されると、スカート部の座屈変形により、ユーザに対して、押し圧感及びクリック感を付与する。
【0004】
ゴムキーパッドとしては、押し釦部とベースシートとが光透過性を有し、機器内部からの光で照光するいわゆる照光式キーパッドが知られている。
【0005】
シリコーンゴムキーパッドを用いた照光式キーパッドでは、押し釦部を押圧操作することにより、シリコーンゴムキーパッドの裏側にあるプリント基板上に配置された固定接点が導通し、スイッチ機能を発揮するとともに、機器筐体内に配置されたチップLEDなどの照光源によって押し釦部を下方から照光するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-115070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のシリコーンゴムキーパッドを用いた表示器の構造では、光を透過する押し釦部が複数近接して配置される場合、光を透過する押し釦部から、この押し釦部に近接する別の押し釦部側に光が漏れて、別の押し釦部を光が透過し、別の押し釦部が発光しているように視認されるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、近接配置された複数の押し釦部等の突出部を有するシリコーンゴムキーパッドを用いても、近接する突出部同士において、光を透過して発光する一方から他方への光漏れを防止する表示構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る表示構造の一態様は、
複数の光源を有する基板と、
裏面側に凹状に開口して設けられた複数の光導入部を有し、前記光導入部内に前記光源を囲むように位置させて、前記基板上に重ねて配置される光透過性を有するベースシートと、前記ベースシートに一体に設けられ、前記光導入部の真上で前記ベースシートの表面から突出して設けられた光透過性を有する複数の突出部とを有し、前記複数の突出部のうち少なくとも一つの突出部が対応する光源からの光を透過して発光するパッドと、
を備え、
前記一つの突出部と前記他の突出部との間には、前記一つの突出部側から前記他の突出部側への前記光源の光の透過を遮る遮光部が設けられている構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、近接する突出部同士において、光を透過して発光する一方から他方への光漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る表示構造を有する生体情報表示装置を示す全体図である。
図2】表示構造を適用した同生体情報表示装置の操作パネルの要部構成を示す分解斜視図である。
図3図2の操作パネルを下方から見た図である。
図4】キーパッドの要部構成を示す斜視図である。
図5】上筐体の裏面の要部構成を示す斜視図である。
図6】キーパッドの要部構成を示す断面図である。
図7】変形例1としてのキーパッドの要部構成を示す操作パネルの平面図である。
図8図7に示すキーパッドの要部構成を示す操作パネルの断面図である。
図9】変形例2としてのキーパッドの要部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
表示構造は、例えば、図1に示すような医療分野における生体情報表示装置1に適用される。生体情報表示装置1は、心電図及び心音図波形等の生体情報を収集し、該心電図及び心音図波形の表示及び解析等を行う心電図心音図解析装置等である。本実施の形態の表示構造は、例えば学童において心臓検診及び心音検診等を行う集団検診に適した、被検者毎に装着可能な複数の電極及び複数の心音マイクを備えて複数の被検者の生体情報を同時に取得可能な心電計としての生体情報表示装置1に適用されている。表示構造は、生体情報表示装置1として用いられる場合、心電図心音図解析装置等の生体情報表示装置に限定されるものではなく、生体情報であれば任意の情報処理装置に応用可能なことは勿論である。
【0013】
具体的には、生体情報表示装置1は、表示構造を適用した操作パネル100を有する装置本体2と、装置本体2に開閉自在に取り付けられ、収集した生体情報を表示する表示画面4を有する表示部3とを備える。
【0014】
装置本体2は、図示しない接続部に被検者毎に装着される複数の電極及び複数の心音マイクが接続されている。装置本体2は、操作パネル100のキー(特にキー24)を操作して、装置本体2に入力される被検者の生体情報を選択して、表示部3の表示画面4に表示できるように、構成されている。
【0015】
操作パネル100は、装置本体2の上面部分に、プリンタ5に隣接して配置される。操作パネル100はプリンタ5とともに、箱状の下筐体2aを覆うように下筐体2aに取り付けられている。操作パネル100は、パネル上面から押圧可能に設けられる複数のキー24と、突出表示部26(26A~26F)を有する。
【0016】
本発明の実施の形態に係る表示構造は、基板上に配置されるパッド(本実施の形態ではキーパッド)におけるベースシートの表面に突出して設けられた光透過性を有し、且つ、基板の光源の光を透過する複数の突出部を有する。表示構造の突出部は、本実施の形態では、突出表示部26(26A~26F)に相当する。なお、本実施の形態の操作パネル100において、キー24のうち後述する発光キーを突出部としてもよい。
【0017】
キー24は、生体情報表示装置を操作するためのものであり、押圧された際に、発光する発光キーである第1切替キー24A、第2切替キー24B及びスタートストップキー24Cと、照光キー(24D~24G)とを含む。
【0018】
発光キー(24A~24C)は、押圧によりキートップが発光するように構成されるキーである。
第1切替キー24Aは、複数の被検者のそれぞれに装着される電極からの生体情報を被検者毎に切り替えて表示する。具体的には、第1切替キー24Aは、装置本体2に接続される第1電極(図示省略)からの第1の被検者の生体情報と、装置本体2に接続される第2電極(図示省略)からの第2の被検者の生体情報とを切り替えて表示部3の表示画面4に表示する操作キーである。
第1切替キー24Aは、第1電極に対応するキー240Aと、第2電極に対応するキー240Bとを有する。これらキー240A、240Bのうち何れかのキーが押下されることにより、押圧されるキー自体が発光し、表示画面4の表示対象が、押下されるキーに対応する被検者の生体情報に切り替わる。
【0019】
第2切替キー24Bは、第1切替キー24Aにより選択されて表示された方の被検者の生体情報のうち異なる種類の生体情報を切り替えて表示する。
第2切替キー24Bは、例えば、測定対象を心電図と心音図との間で切り替えるための操作キーであり、心電図に対応するキー240Cと、心音図に対応するキー240Dとを有する。キー240C、240Dの何れかのキーが押下されることにより、キー自体が発光し、表示画面4には、押下されたキーに対応する測定対象に切り替えて表示される。例えば、キー240Cが押圧されると、第1切替キー24Aで押圧されたキー(キー240A、240Bの何れか)に対応する被検者の心電図が表示画面4に表示される。また、キー240Dが押圧されると第1切替キー24Aで押圧されたキー(キー240A、240Bの何れか)に対応する被検者の心音図が表示画面4に表示される。
【0020】
スタートストップキー24Cは、生体情報の収録の開始/停止を行う操作キーである。なお、スタートストップキー24Cは、表示された生体情報の安定状態(安静状態)が確認されるとユーザにより一度押圧され、これにより生体情報の収録(例えばプリンタ5による印字)が開始され、一定時間(一般に5~10秒程度)にわたり生体情報が収録されるとユーザにより再度押圧され、これにより収録が停止される。
【0021】
照光キー(24D~24G)は、押圧により対応する突出表示部26(26A~26F)を発光させるキーである。照光キー(24D~24G)は、それぞれ対応する突出表示部26(26A~26F)の近傍に配置される。操作者に押圧されると照光キー(24D~24G)は、それぞれ近傍に配置される突出表示部26(26A~26F)を発光体40により照光して発光(詳細には、発光状態に)させる。特定の突出表示部26(26A~26F)が光ることにより、その特定の突出表示部に対応して近傍配置された照光キー(24D~24G)が押圧されたことを表示する。
【0022】
本実施の形態では、突出表示部26A~26Fを照光させる照光キー(24D~24G)は、誘導キー24D、24E、STDキー24F及びスペアキー24Gである。誘導キー24D、24Eは、表示画面4に表示される誘導を切り替えるキーである。誘導キー24D、24Eが押圧されると、突出表示部26A~26Dは、発光して表示画面4に表示されている誘導を示す。突出表示部26A~26Dで表示される誘導は、例えば、「I-III」、「aVR-aVF」、「V1-V3」、「V4-V6」であり、これらは、誘導キー24D、24Eを押圧することにより、順次切り替えられる。本実施の形態では、誘導キーは、「←」を示す誘導キー24Dと、「→」を示す誘導キー24Eである。誘導キー24D、24Eが押圧されると、キーに表示される矢印の向きに従い、「I-III」、「aVR-aVF」、「V1-V3」、「V4-V6」の誘導をそれぞれ示す突出表示部26A~26Dが順に発光する。これら突出表示部26A~26Dの発光の変更とともに、表示画面4に表示される誘導が変更される。STDキー24Fは、突出表示部26A~26Dで表示画面4に表示されている誘導に基線(例えば、P波の始まりから次の始まりまでを結んだ線)を表示するキーである。STDキー24Fが押圧されることにより、突出表示部26Eが発光して、表示画面4に基線が表示される。スペアキー24Gは、設定したスペア誘導に切り替えるキーであり、押圧されることにより、表示画面4にスペア誘導が表示されるとともに、スペアキー24Gに対応する突出部が光る。このように、表示構造を適用した本実施の形態の生体情報表示装置1では、選択された誘導に応じて、操作パネル100の誘導キー24D、24E、STDキー24F及びスペアキー24Gの突出表示部26A~26Fが適宜点灯する。
【0023】
[操作パネル100の要部構成]
図2は、表示構造を適用した生体情報表示装置1の操作パネル100の要部構成を示す分解斜視図であり、図3は、図2に示す操作パネル100を下方から見た図である。また、図4は、キーパッド20の要部構成を示す斜視図であり、図5は、上筐体30の裏面の要部構成を示す斜視図である。
【0024】
図2及び図3に示すように、操作パネル100は、基板10、基板10に実装される発光体40、キーパッド20、図柄シート50、操作パネル100の本体となるベゼル部としての上筐体30、表面シート60、電源スイッチ部70を有する。
【0025】
操作パネル100では、基板10の主表面上に、キーパッド20が配置されている。図2図4に示すように、キーパッド20のキー24のキートップ241には、図柄シート50のキーカバー52が被せられる。キーカバー付きのキー24と突出表示部26は、上筐体30に、キートップ241及び突出表示部26の配列と同一に形成されたそれぞれの窓孔33に挿入されている。これら基板10、キーパッド20及び図柄シート50は、装置本体2の下筐体2a内に順に積層され、下筐体2aと上筐体30との間に配置されている。
【0026】
基板10は、操作パネル100の各キー24を押圧することによりそれぞれ導通させるとともに、発光キー(24A~24C)及び照光キー(24D~24G)の押圧により、対応する発光体40を発光させる回路42を有する。
【0027】
基板10の主表面には、例えば、プリント配線された所定の電気回路(回路42を含む)が形成されている。この電気回路において、発光体40は、実装されている。すなわち、基板10は、発光体40の実装部であり、基板10の主表面は、発光体40の実装面である。
【0028】
発光体40は、光源であり、例えば、LEDである。発光体40は発光して発光キー及び突出表示部26を照光して発光状態にするものであれば、どのように構成されてもよい。
発光体40は、本実施の形態では、基板10の電気回路において、基板10上に接して積層されるキーパッド20のキー24のうちの発光キー(24A~24C)、突出表示部26(26A~26F)等の配列に対応する位置に実装されている。なお、発光体40は基板10に直接実装されていなくてもよい。
【0029】
上筐体30は、基板10を覆うように設けられた面状の表面部32に、キー24及び突出表示部26の配列に対応する位置に複数の窓孔33を有する。
窓孔33のうち、発光キーのキートップ241及び突出表示部26の頂部261が挿入される窓孔33は、発光キーのキートップ241及び突出表示部26の頂部261の光をそれぞれ通す窓であればよく、発光キーのキートップ241及び突出表示部26の頂部261が挿入されなくてもよい。例えば、表面部32に穿孔してなる窓孔内に透明部材を配置し、この透明部材を介して、発光キーのキートップ241及び突出表示部26の頂部261の光を外部に通す構成としてもよい。なお、上筐体30の表面部32の表面には、キー24及び突出表示部26の配列に対応する位置に複数の孔部が設けられ、且つ、孔部の周辺に各キーを表示する印刷が施された表面シート60が取り付けられている。
【0030】
上筐体30は、表面部32の裏面に、少なくとも突出表示部26が挿入される窓孔33を囲むように、下方に突出してリブ状の仕切り壁部34が設けられている(図3及び図5参照)。
【0031】
仕切り壁部34は、ベースシート22と上筐体30の表面部32との間の空間に配置され、隣接する突出表示部26をそれぞれ収容する空間36A、36Bで仕切るものである(図3図5参照)。仕切り壁部34は、表面部32の裏面から突出して設けられる壁部340の一部を構成する。壁部340は、ベースシート22と上筐体30の表面部32との間の空間に配置される。壁部340の下端部はベースシート22の表面に当接することが望ましい。壁部340は、突出表示部26のそれぞれとともに、発光キーのそれぞれを囲むように配置されている。
【0032】
なお、本実施の形態では、仕切り壁部34を含む壁部340により、上筐体30の表面部32は補強され、上筐体30自体の強度の向上が図られている。
【0033】
図2図4に示すキーパッド20は、光透過性を有し、一面(ここでは裏面)で対向する発光体40からの光を透過する。キーパッド20は、本実施の形態では、可撓性を有し、天然ゴム各種合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマー等に代表される絶縁性のゴム状弾性材を原料とし、圧縮成形、射出成形等の様々な方法で加工することにより製造されたゴム状弾性体である。キーパッド20に使用されるゴム状弾性材としては、例えば、電気絶縁性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性、精密成形性、反撥弾性等、接点キースイッチに要求される特性を有するシリコーンゴムであることが好ましい。
【0034】
キーパッド20は、光透過性のゴム状弾性体であるベースシート22と、ベースシート22から突出して設けられる複数のキー24と突出表示部26と,ベースシート22に形成されるスリット27とを有する。
【0035】
本実施の形態では、キー24及び突出表示部26は、ベースシート22と同材料からなる光透過性のゴム状弾性体であり、ベースシート22と一体に成形されている。なお、キーパッド20は、本実施の形態では、ベースシート22と、キー24及び突出表示部26とを一体としたが、これに限らず光透過性のゴム状弾性体であるベースシート22に、光透過性を有する樹脂等によりキー24及び突出表示部26のうち少なくとも一方を設けた構成としてもよい。
【0036】
ベースシート22は、基板10の主表面上に配置され、本実施の形態では、基板10の主表面の全主表面を覆うように重ねて配置される。
【0037】
ベースシート22は、基板10の発光体40に対応して基板10側に凹状に開口して形成され、発光体40を囲むように配置される光導入部28(図3及び図6参照)を有する。光導入部28は、ベースシート22の裏面側において、ベースシート22の表面から突出する突出表示部26の下方(ここでは直下)に設けられている。光導入部28内の発光体40は、真上の突出表示部26の近傍に配置される照光キー24D~24Gが押圧されることにより発光する。光導入部28内の発光体40が発光することにより、光導入部28を介して、突出表示部26(26A~26F)は照光される。
【0038】
ベースシート22には、キー24が配列される部位の裏面には開口が形成され、この開口を閉塞するようにキー24のスカート部243とキー本体242が設けられている(図2及び図3参照)。
【0039】
発光キー(24A~24C)、照光キー(24D~24G)を含むキー24は、それぞれ窓孔33から上方に露出するキートップ241を有するキー本体242と、キー本体242の基端部に設けられる薄肉のスカート部243と、を有する。スカート部243は、弾性変形する中空メーサ状をなしており、弾性変形してキー24自体を基板側に進退移動させる。また、スカート部243内のキー本体242の底面には、基板10の固定接点同士を接続する導通部245が設けられている。
【0040】
キー24では、キートップ241が押圧されることにより、キー本体242がスカート部243を弾性変形させつつ基板10側に移動し、導通部245が、基板10における回路42が有する固定接点同士を接続し、固定接点部を導通させる。
【0041】
キー24のうち発光キー(24A~24C)は、スカート部の内側に、発光体40が配置され、キー本体242が上方から押圧されることにより、スカート部243が変形することによって、導通部245が基板10の固定接点同士を接続するとともに、発光体40を発光させる。これにより、キー本体242は透光し、発光キーのキートップ241が光る。
【0042】
突出表示部26(26A~26D)は、ベースシート22上に複数並べて互いに近接又は隣接して配置されている。
【0043】
図6は、キーパッド20の要部構成を示す概略断面図であり、図6では、隣接して配置される突出表示部26A、26Bを示す。
【0044】
突出部としての突出表示部26A~26Fは同様に構成されるので、突出部として突出表示部26Aの構成を説明し、他の突出表示部26B~26Fの説明は、省略する。
【0045】
突出表示部26Aは、窓孔33から上部に露出する頂部261と、透光してベースシート22から頂部261に導光する突出表示部本体262とを有する。
【0046】
突出表示部本体262は、ベースシート22の光導入部28の真上に配置される。突出表示部本体262は、光導入部28を介して光導入部28内の発光体40からの光を透過して、頂部261に導光する。
【0047】
光導入部28内の発光体40(40A、40B)は、誘導キー24Dの押圧により発光する。よって、誘導キー24Dの押圧に応じて、発光体40Aが発光することで、突出表示部26Aの頂部261は光り、発光体40Bが発光することで、突出表示部26Bの頂部261が光る。
【0048】
スリット27は、隣接する突出表示部26において、一方の突出表示部(例えば26A)の光源である発光体40の光が、他方の突出表示部(例えば26B)側に透過することを防止する、つまり、一方側から他方側へ光の漏れを遮断するように設けられる。
スリット27は、本実施の形態では、光透過性を有しない遮光部材38とともに、一方の突出表示部である一つの突出部と、他方の突出表示部である他の突出部との間に形成され、一つの突出部側から他の突出部側への発光体40の光の透過を遮る遮光部を構成する。なお、遮光部は、光源である発光体40の光を透過して発光する一つの突出部側から他の突出部側への発光体40の光の透過を遮るものであれば、ベースシート22にどのように設けられてもよい。遮光部による光の通過を遮ることは、望ましくは、光の透過を完全になくすことであるが、視認困難な程度にまで光の透過量を減衰することも含んでよい。つまり、遮光部は、光を遮断して光の漏れを防止する他、一つの突出部側から他方の突出部側への光を漏れにくくする機能を有する。
【0049】
スリット27は、近接配置された突出表示部26A、26B間のベースシート22に、隣り合う突出表示部26A、26B同士の最短距離での連続を遮断するように形成されている。スリット27は、隣接する突出表示部26の一方から他方への光の透過(光の漏れ)を遮断するように設けられるものであれば、どのような形状に形成されていてもよい。本実施の形態では、スリット27は、ベースシート22を貫通して、突出表示部26A、26Bが並ぶ方向と直交する方向に延在する細長穴状に形成されているが、これに限らず、例えば曲線形状など矩形以外の形状で形成された孔部或いは切欠部としてもよい。要するに、スリット27などの孔部或いは切欠部は、ベースシート22において突出表示部26A、26B間を最短距離で結ぶ直線状の光伝達路を断つように設けられていればよい。キーパッド20が半透明であれば、ベースシート22における最短距離の光伝達路が断たれることで、一定程度の減光効果を実現することができる。また、スリット27などの孔部或いは切欠部を設けることにより、光透過性を有しない遮光部材38の配置スペースをベースシート22に確保することができる。
【0050】
スリット27内には、本実施の形態では、介在部としての遮光部材38が嵌合している。遮光部材38は、光透過性を有せず、また、スリット27内に配置されることで一対の隣接する突出表示部26間に介在することになるため、一対の隣接する突出表示部26の間における一方から他方へ漏れる光を確実に遮断することができる。
【0051】
遮光部材38は、本実施の形態では、図3図5及び図6に示すように、上筐体30の表面部32の裏面側から突出する仕切り壁部34の先端に当該先端から基板10側に突出して形成されている。これにより、スリット27内に内嵌して遮光部38を成す仕切り壁部34は、基板10に当接するよう延在する。
遮光部材38は、本実施の形態では、仕切り壁部34に一体に成形、つまり、仕切り壁部34を有する上筐体30に一体に成形されている。
【0052】
仕切り壁部34の先端の遮光部材38が、スリット27に内嵌して、基板10の主表面に当接している(図6参照)。これにより、遮光部材38は、スリット27を完全に閉塞し、基板10の主表面と、キーパッド20の表面側の空間とは完全に仕切った状態となっている。よって、遮光部材38は、仕切り壁部34とともに、スリット27を挟み配置される突出表示部26A、26Bの一から他方への光の漏れを防止できるとともに、キーパッド20上に外部から水が侵入する場合でも基板10に到達することがなく、防水性の向上が図られている。
【0053】
なお、図柄シート50は、キー24の機能などを示す文字を含む図柄が表示されている。図柄シート50は、キー24配列に対応して配列され、且つ、それぞれのキー24のキートップ241を覆う複数のキーカバー52と、これらキーカバー52を繋ぐランナー部54とで構成されている。ランナー部54を介して複数のキーカバー52が一体に設けられているので、操作パネル100を組み立てる際に、キーパッド20のキー24のキートップ241に一度に容易に被せることができる。図柄シート50は、薄肉厚であることが好ましく、例えば、シート状のPC(ポリカーボネート)を成形してなる。図柄シート50は、キー24を表面側から覆うように設けられているので、上筐体30側から内部への水の浸入を防ぐことができ、基板10の一層の防水性を高めている。
【0054】
[操作パネル100における表示構造による効果]
このように、本実施の形態では、主表面に光源である発光体40が設けられる基板10の表面にキーパッド20が配置されている。キーパッド20は、基板の主表面上に配置される光透過性を有するベースシート22と、ベースシート22から突出して設けられた光透過性を有する複数の突出表示部26とを有し、複数の突出表示部26のうち少なくとも一つ(26A~26D等)が真下の発光体40からの光を透過する。ベゼル部である上筐体30は、キーパッド20を覆うように配置され、複数の突出表示部26の先端部である頂部261がそれぞれ挿入し操作パネル100の外側に臨む窓孔33を有する。
【0055】
上筐体30は、ベースシート22上で、且つ、複数の突出表示部26A、26B間に配置される仕切り壁部34を有し、ベースシート22には、複数の突出表示部26A、26B間にスリット27が形成されており、スリット27内には、複数の突出表示部26A、26Bの一方から他方への光の透過を遮断する遮光部材38が挿入して嵌合されている。
【0056】
これにより、隣接する突出表示部26同士において、一方の突出表示部(例えば、突出表示部26A)が、光源である発光体40からの光を透過して、頂部261で光っても、光らない他方の突出表面部(例えば突出表面部26B)側に光が漏れることがなく、好適に点灯できる。
このように、本実施の形態によれば、近接する突出表示部26(例えば、26A、26B)同士において、光を透過して発光する一方から他方への光漏れを防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、遮光部材38は、仕切り壁部34の下端から突出して設けられているため、遮光部材38のスリット27内への挿入を、上筐体30の組み付けとともに行うことができ、組立作業性の向上を図ることができる。
【0058】
基板10と上筐体30とが基板10上のキーパッド20により完全に遮断されるので、上筐体30の窓孔33を介して装置本体2の内部に水が入り基板10まで侵入することがなく生体情報表示装置1の耐水性、ひいては防水性を確保することができる。
【0059】
なお、キートップ241は、図柄シート50のキーカバー52を介して上筐体30の窓孔33からがそれぞれ被せられており、このため、更に内部に水が浸入しにくくなっている。また、キーパッド20の外周には、表面側から突出する周壁部が設けられている。これにより、キーパッド20の表面側に水が侵入した場合でもキーパッド20の外周から基板10側に至ることがない。
【0060】
また、本実施の形態では、キーパッド20において、ベースシート22上の突出表示部26A、26B同士は、互い間の間隔の長さに関係無く、ベースシート22のスリット27に、上筐体30の仕切り壁部34Bの下端の遮光部材38Bが挿入されることにより、互いの光の漏れが遮断される。
【0061】
例えば、図7及び図8に示す表示器の操作パネル100Bは、生体情報表示装置の操作パネル100に代えて用いられるものであり、間隔を短くした複数の突出表示部26Hを有するキーパッド20Bと、表面部32Bに複数の突出表示部26Hの頂部261がそれぞれ臨む窓孔33Bが設けられたベゼル部30Bとを有する。なお、図7及び図8において、操作パネル100の構成と同様の機能を有する構成については、操作パネル100での名称に付した符号と同符号或いは同符号にBを付して説明は省略する。
【0062】
この操作パネル100Bは、キーパッド20Bのベースシート22Bにおいて、ベースシート22Bの表面から突出する突出表示部26Hの間に、スリット27Bが形成されている。これにより、短い間隔で並ぶ突出表示部26H同士において一方の突出表示部26Hから他の突出表示部26Hを透光させることなく好適に透光させることができる。このように間隔を詰めて突出表示部26Hを配置できるため、発光して表示する情報量の多い表示器に適用できる。また、マトリクス状に突出表示部を互いに光漏れを防止した状態で複数配置できる。
【0063】
また、本実施の形態では、スリット27に挿入して嵌合する遮光部材38を仕切り壁部34に設けた構成としたが、これに限らず、ベースシート22のスリット27に挿入して、複数の突出表示部26A~26Fの下方のベースシート22において、突出表示部26A~26F同士の光の伝達を遮断するものであれば、どのように構成されてもよい。例えば、図9に示すように、操作パネル100の構成において基板10を、裏面側で部品80を実装する基板10Cとした操作パネル100Cの構成としてもよい。
【0064】
この場合、基板10Cにスリット27に連続する貫通孔15を設け、基板10Cの裏面側に実装する部品80の底面から突出する遮光部材38Cを設ける。図9に示す変形例2において基板10C側から突出して形成されている遮光部38Cは、上筐体30Aにおいて表面部32Cの裏面から突出する仕切り壁部34Cに当接するよう延在する。
【0065】
この構成によれば、上記操作パネル100と同様の作用効果を有するとともに、操作パネル100Cの組立において、基板10Cに部品80を実装した後、基板10Cの表面側にキーパッド20を配置する際に、スリット27を基板10Cの表面から突出する遮光部材38Cに嵌合させることで、キーパッド20を容易に位置決めして配置できる。
【0066】
基板10C側から突出する遮光部38Cは、スリット27を閉塞し、仕切り壁部34Cに当接するよう延在しているため、ベースシート22上で仕切り壁部34Cとともにベースシート22と表面部32C間の空間を水密的に仕切ることができる。よって、近接する突出表示部26A、26B同士において、光を透過して発光する一方から他方への光漏れを防止できるとともに、上筐体30Aの表面部32C側から基板10Cへの水が浸入しにくく、防水性の向上を図ることができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、操作パネル100において、ベースシート22のスリット27を、突出表示部26A~26D間の部位に設けたがこれに限らず、発光キー間に設けても良い。例えば、図2及び図3に想像線27Aで示すように、第1切替キー24Aのキー241、242間にスリットを設け、このスリットに、第1切替キー24Aのキー241、242間を仕切る上筐体30の仕切り壁部の下端に設けた遮光部材を挿入する構成としてもよい。これにより隣接する発光キー同士間の光の漏れを防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、孔部としてのスリット27とともに遮光部を構成する遮断部としての遮光部材38、38B、38Cを、仕切り壁部34、34Bあるいは部品80の一部としたが、これに限らず、遮光性を有する塗膜から構成され、ベースシート22において孔部を形成する周面に設けた構成としてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る表示構造は、近接配置された複数の押し釦部等の突出部を有するシリコーンゴムキーパッドを備える表示装置において、近接する押し釦部への光漏れを防止するものとして有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 生体情報表示装置
2 装置本体
3 表示部
4 表示画面
5 プリンタ
10、10B、10C 基板(実装部)
15 貫通孔
20、20B キーパッド
22、22B ベースシート
24、240A、240B、240C、240D キー
241 キートップ
242 キー本体
243 スカート部
245 導通部
26、26A、26B、26C、26D、26E、26F、26H 突出表示部(突出部)
261 頂部
262 突出表示部本体
27、27A、27B スリット(孔部)
28 光導入部
2a 下筐体
30、30A 上筐体(ベゼル部)
30B ベゼル部
32、32B、32C 表面部
33、33B 窓孔(窓)
34、34B、34C 仕切り壁部(壁部)
38、38B、38C 遮光部材(介在部)
40、40A、40B 発光体(光源)
42 回路
50 図柄シート
52 キーカバー
54 ランナー部
80 部品
60 表面シート
70 電源スイッチ部
100、100B、100C 操作パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9