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  • 特開-免振及び制振を行う基礎装置 図1
  • 特開-免振及び制振を行う基礎装置 図2
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  • 特開-免振及び制振を行う基礎装置 図4
  • 特開-免振及び制振を行う基礎装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140855
(43)【公開日】2022-09-28
(54)【発明の名称】免振及び制振を行う基礎装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/34 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
E02D27/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021076795
(22)【出願日】2021-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】504211142
【氏名又は名称】森重 晴雄
(71)【出願人】
【識別番号】520086209
【氏名又は名称】森重 茂美
(71)【出願人】
【識別番号】520086210
【氏名又は名称】北村 康文
(71)【出願人】
【識別番号】520086221
【氏名又は名称】千代谷 晴菜
(71)【出願人】
【識別番号】515186770
【氏名又は名称】森重 晴貴
(71)【出願人】
【識別番号】520086232
【氏名又は名称】梅津 晴賀
(71)【出願人】
【識別番号】520086243
【氏名又は名称】小牧 晴絵
(71)【出願人】
【識別番号】520086254
【氏名又は名称】森重 はるみ
(71)【出願人】
【識別番号】521184346
【氏名又は名称】青木 伸一
(72)【発明者】
【氏名】森重 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】森重 茂美
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造物、タンク、建物、機械装置、電気装置など固定対象構造の制振及び免振基礎構造を提供する。
【解決手段】基礎鉄筋コンクリート予定部の上面に格子鋼製床版をコンクリート打設前に覆い、格子鋼製床版の底板部に穴を開け、その穴に頭付きスタッドを通した後にコンクリートを打ち基礎鉄筋コンクリートと格子鋼製床版とを一体とさせる。コンクリート養生後、格子間に格子より背の高い硬化前の樹脂材の入った二液のチューブ2本を配置し、固定対象物の設置時にチューブを固定構造物の自重で押しつぶし、格子間に樹脂を満たし樹液を硬化させる。固定対象物から地震時に発生する地震力が格子鋼製床版の上板部と固定対象物の底板との間に生ずる摩擦力を超過すると固定対象物が滑る免振機構をもたせる。同時に格子間の樹脂のばね効果により地震力が減衰させる制振機構をもたせ合わせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎鉄筋コンクリート予定部の上面に型鋼または板材を格子状に配置した格子鋼製床版或いは波型デッキプレートをコンクリート打設前に設置し、格子鋼製床版あるいは波型デッキプレートの底板部に穴を開け、その穴に頭付きスタッドを通した後にコンクリートを打ち基礎鉄筋コンクリートと格子鋼製床版或いは波型デッキプレートを一体となす基礎構造
【請求項2】
基礎鉄筋コンクリート上面に埋め込まれた格子鋼製床版の格子或いは波型デッキプレートの溝の間に格子或いは溝より背の高い硬化前の樹脂材の入った二液のチューブ2本を配置し、構造物やタンクや建物又は機械基礎の固定対象物を吊り降ろしながらチューブを押しつぶし、格子或いは溝の間に樹脂を満たし硬化させ、基礎鉄筋コンクリートと格子鋼製床版或いは波型デッキプレートと固定対象物の3体を一体となす基礎構造
【請求項3】
基礎鉄筋コンクリート上面に埋め込まれた格子鋼製床版或いは波型デッキプレートに設置した構造物やタンクや建物又は機械基礎の固定対象物が地震時に発生する地震力が格子鋼製床版あるいは波型デッキプレートの上面板と固定対象物の底板との間に生ずる摩擦力を超過すると固定対象物が滑る免振機構の装置
【請求項4】
基礎鉄筋コンクリート上面に埋め込まれた格子鋼製床版或いは波型デッキプレートに設置した構造物やタンクや建物又は機械基礎の固定対象物が地震時に発生する地震力が格子鋼製床版或いは波型デッキプレートの格子或いは溝の間に注入された樹脂のばね効果により減衰する制振機構の装置
【請求項5】
基礎鉄筋コンクリート上面に埋め込まれた型鋼または板材を格子状に配置した格子鋼製床版或いは波型デッキプレートに構造物やタンクや建物又は機械基礎の固定対象物を設置した後、格子鋼製床版或いは波型デッキプレートの縁から基礎鉄筋コンクリートを取り囲む金属板を取り付け、その内部に樹脂材を注入し、基礎の防錆及び制振機構に加えて津波時の浸水を阻み構造物の浮き上がり防止を図る構造
【請求項6】
固定対象物を樹脂材で固定した境界面に設定当初から電気ヒーターを設置し、固定対象物撤去時に電気ヒーターを通電し樹脂材を軟化させ、樹脂材を含めて固定対象物を撤去する。
【請求項7】
制御盤、電気品、機械品の固定対象物を硬質ウレタンフォームと鋼板とでサンドイッチしたパネルに設置し、パネル下面と床面との境界面及びパネル上面と固定対象物との境界面を接着剤で固定する制振基礎構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物やタンクや建物又は機械装置、電気装置などの固定対象構造の制振及び免振関する装置である。
【背景技術】
【0002】
基礎ボルトの有するタンクは基礎ボルトを介して地震力をコンクリート床版に伝える。基礎ボルトを有しないタンクはタンク底板とコンクリート床版との間に発生する摩擦力を介してその地震力を床版に伝える。
【先行技術文献】
【0003】
タンクや建物又は機械は通常基礎ボルトを介して地震力をコンクリ-ト床版に伝える。
【特許文献】
【0004】
樹脂を用いた基礎については当方から令和2年2月21日に当方から「接着型基礎」を特許申請している。さらに令和3年8月31日に「接着型アンカー」を申請している。今回申請分は制振及び免振に加え津波対策、防錆を同時に行う基礎を申請していることに特徴がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は固定対象物を固定する基礎鉄筋コンクリ―ト予定部の上面に格子鋼製床版あるいは波型デッキプレートを覆い、格子鋼製床版或いはデッキプレートの底板部に穴をあけ頭付きスタッドを挿入し、その後コンクリートを打設し基礎鉄筋コンクリ―トと格子鋼製床版あるいは波型デッキプレートを一体化し、打設養生後、格子鋼製床版の格子間に格子より背の高い樹脂を注入したチューブを設置した上に建物、タンク、機械品、電気品などの固定対象物を吊り降ろし、固定対象物の底板でチューブを押し潰し、格子内を樹脂で満たし、樹脂を硬化させ、固定対象物と格子鋼製床版と基礎鉄筋コンクリ―トとを一体化させ格子上部の上板部と固定対象物の底板との摩擦力を利用した免振構造及び格子間に注入した樹脂を利用した制振構造を採用した装置である。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、耐震基準が高まり、地震時の想定加速度が増大し、現状の耐震設計ではタンクや建物が基礎部と締結する基礎ボルトや基礎部の鉄筋が太径化と密集が進み、施工が困難となっている。
【0007】
現状の工法ではタンクや建物又は機械装置、電気装置などの固定対象物は基礎ボルトにボルト穴にはめ込む必要がある。その隙間の設計基準は1mmと厳しく、施工を困難にしている。
【0008】
大型の石油タンクは基礎ボルトを設置すると、巨大になり構造的にも経済的にも成立しないために基礎ボルトを設置しなくてよいことが認められている。このようなタンクは地震時に発生する水平力をタンク底板とコンクリ―トの摩擦力を介して、床版に伝えている。
しかしこれを上回る地震力が発生した場合にはタンクは床版から滑落し崩壊する。
また津波が襲来した東日本地震では、タンク下に水が侵入しタンクに浮力が生じ、タンクが浮き上がり石油を流出する事故も多く発生している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
固定対象物と基礎との間に免振機構と制振機構を持つ構造体を設置する。具体的にはその構造体は基礎鉄筋コンクリート予定部の上面に格子鋼製床版を覆い、格子鋼製床版の底板部に穴を開け、その穴に頭付きスタッドを通した後にコンクリートを打ち基礎鉄筋コンクリートと格子鋼製床版とを一体とさせる。コンクリート養生後、格子鋼製床版の格子間に格子より背の高い硬化前の樹脂材が入った二液のチューブ2本を配置する。その後固定対象物を設置する時にチューブを固定構造物の自重で押しつぶし、チューブから樹脂を噴出させ格子間に樹脂を満たし樹脂を硬化させ、固定対象物と格子鋼製床版或いは波型デッキプレートと基礎鉄筋コンクリ―トを一体化させる。固定対象物から地震時に発生する地震力が格子鋼製床版あるいは波型デッキプレートと固定対象物の底板との間に生ずる摩擦力を超過すると固定対象物が滑る免振機構をもたせる。同時に格子間の樹脂がばね効果により地震力を減衰させる制振機構をもつこと。
加えて、制御盤、電気品、機械品など比較的軽い固定対象物に対して硬質ウレタンフォームのサンドイッチパネルに設置する制振構造も発案した。
【発明の効果】
【0010】
固定対象物の地震力が免振機構と制振機構により減衰し基礎に伝わることができる。
【0011】
固定対象物に伝わる地震力が軽減されるために固定対象物の耐震設計が緩和され固定対象物のコストダウンにつながる
【0012】
基礎ボルトがなくなり、ボルトとボルト穴の合わせ作業がなくなり、鉄筋と基礎ボルトの煩わしい調整が解消される。
【0013】
アンカーの必要設置精度は1mmから数cmとなりコストダウンにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は型鋼格子状に配置した格子鋼製床版のイメージである。格子鋼製床版1は鋼板2と型鋼3からなる。型鋼2の上面は上板部11と呼び、鋼板2の上面を底板部12と呼ぶ。
図2図2は格子鋼製床版を基礎鉄筋コンクリートに設置したイメージ図である。格子鋼製床版1を基礎鉄筋5の上に上架し底板部12に穴を開け、頭付きスタッド4を基礎鉄筋5内に挿入する。
図3図3はコンクリート打設後、固定対象物を設置する前にまだ固まらない樹脂を注入したチューブを格子鋼製床版に配置したイメージ図である。固定対象物を設置する前に、上板部11より背の高い樹脂入りチューブ6を底板部12に設置する。
図4図4は固定対象物を格子鋼製床版に設置したイメージ図である。固定対象物8は制免振基礎装置17に設置される。固定対象物の底板13は免振及び制振を行う基礎装置17の上板部11と樹脂9と接している。固定対象物8の撤去を容易にする為に底板13の裏に電気ヒーター18を設置する。撤去の時に電気ヒーター18に通電し、底板13を加温し樹脂9を軟化、強度を低下させ、固定対象物8を吊り上げ樹脂9を剥離させる。
図5図5は本発明の制振機構及び免振機構のイメージ図である。制免振基礎装置17は格子鋼製床版1内にある。格子鋼製床版1内の上板部11は免振機構を持ち格子鋼製床版1内の樹脂9が制振機構を持つ。固定対象部8から地震時に発生する地震力14は免振及び制振を行う基礎装置17の上板部11と固定対象物の底板13との間に生じる摩擦力15を越えると固定対象物8は滑動し、免振となる。その移動量によって免振及び制振を行う基礎装置17の樹脂9がばね力を発揮し固定対象物8は制振される。
図6図6は制御盤、電気品、機械品など比較的軽い固定対象物8が硬質ウレタンフォーム19を鋼板フランジ20で挟みこんだサンドイッチパネル21上に設置された制振基礎のイメージ図である。サンドイッチパネル21下面と床面23との境界面及びサンドイッチパネル21上面と固定対象物の底板13との境界面を接着剤22で固定する。
【産業上の利用可能性】
タンク、建物、機械設備、電気設備などの固定対象物の基礎
【符号の説明】
【0016】
1. 格子鋼製床版 13. 固定対象物の底板
2. 鋼板 14. 地震力
3. 型鋼 15. 摩擦力
4. 頭付きスタッド 16. ばね力
5. 鉄筋 17. 免振及び制振を行う基礎装置
6. 樹脂入チューブ 18. 電気ヒーター
7. コンクリート 19. 硬質ウレタンフォーム
8. 固定対象物 20. フランジ鋼板
9. 樹脂 21. サンドイッチパネル
10. 基礎鉄筋 22. 接着剤
11. 上板部 23. 床面
12. 底板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6