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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140866
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20220921BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220921BHJP
   H02G 11/00 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
E05B85/16 D
B60J5/04 H
H02G11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040894
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 玲貴
【テーマコード(参考)】
2E250
5G371
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ45
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP12
2E250SS12
5G371AA01
5G371BA07
5G371CA07
(57)【要約】
【課題】ハンドルグリップの移動に伴うハーネスの過負荷を低減する。
【解決手段】ドアハンドル装置10では、ハーネス42の被保持部42Aが、ハーネス保持部36によって保持されている。また、基端側ハーネス部42Bが、近接センサ40のハーネス導出部40Bから車幅方向外側へ延出され、ハーネス掛部30Eに掛けられて、ループ状に形成されている。すなわち、基端側ハーネス部42Bにおける基端部と中間部との間の部位及び中間部と被保持部42Aとの間の部位を、弛んだ状態にして、基端側ハーネス部42Bを配策することができる。これにより、移動アーム30の移動時において、ハーネス導出部40Bとハーネス掛部30Eとの間の相対距離が変動しても、当該相対距離の変動を基端側ハーネス部42Bの弛みによって吸収することができる。したがって、ハンドルグリップ20の移動時におけるハーネス42の過負荷を低減させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア内に格納される格納位置と前記格納位置から前記ドアの厚み方向外側へ展開する展開位置との間を移動可能に構成されたハンドルグリップと、
一端部が前記ドアに回転可能に連結され、他端部が前記ハンドルグリップ内において前記ハンドルグリップに回転可能に連結され、一端部を中心に回転することで前記ハンドルグリップを前記格納位置又は前記展開位置に移動させる移動アームと、
前記移動アームの中間部に設けられたハーネス保持部と、
前記移動アームに設けられ、前記ハーネス保持部よりも前記ドアの厚み方向外側に配置されたハーネス掛部と、
前記ハンドルグリップ内に設けられた電気部品と、
前記電気部品から延出され、前記ハーネス保持部によって保持された被保持部を有すると共に、前記被保持部よりも基端側部分が基端側ハーネス部として構成され且つ前記被保持部よりも先端側部分が先端側ハーネス部として構成されたハーネスと、
を備え、
前記基端側ハーネス部は、前記電気部品から前記ドアの厚み方向外側へ延出されると共に、中間部が前記ハーネス掛部に掛けられてループ状に形成されているドアハンドル装置。
【請求項2】
前記ハンドルグリップの前記格納位置から前記展開位置への移動時に、前記ハーネス保持部が前記基端側ハーネス部の基端部に接近する請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
前記移動アームの他端部は、上下方向を軸方向とする回転軸によって、前記ハンドルグリップに連結されており、
前記ハーネス掛部が、前記移動アームの他端部に設けられている請求項1又は請求項2に記載のドアハンドル装置。
【請求項4】
前記電気部品は、ハーネス導出部を有しており、
前記基端側ハーネス部の基端部が、前記ハーネス導出部に巻回された状態で保持されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載のドアハンドル装置。
【請求項5】
前記ハンドルグリップは、上側から見て前記ドアの厚み方向と直交する直交方向に延在され、
前記移動アームが、前記電気部品の前記直交方向の一方側に配置され、前記ハンドルグリップの格納位置から展開位置への移動時に前記ハーネス保持部が前記直交方向の他方側へ変位する請求項1~請求項4の何れか1項に記載のドアハンドル装置。
【請求項6】
前記ハーネス掛部は、前記移動アームの他端部から前記直交方向の他方側へ延出された掛本体部を有している請求項5に記載のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両のドアハンドル装置では、不使用時に車両の外表面から突出しない格納位置にハンドルグリップを格納し、使用時に車両の外表面から突出させた展開位置へハンドルグリップを展開させる。ハンドルグリップにはリクエストスイッチが配置されている。リクエストスイッチはハーネスを介して車体側の電子制御装置(ECU:Electrical Control Unit)に電気的に接続されている。
【0003】
このように構成されるドアハンドル装置では、操作者が格納状態にあるハンドルグリップのリクエストスイッチを操作すると、電子制御装置においてリクエストスイッチの操作が検出される。電子制御装置は、アクチュエータを作動させて、格納位置から展開位置へハンドルグリップを移動させる。
【0004】
また、操作者が車両室内へ搭乗している状態、車両が走行している状態等はセンサにより検知され、この検知情報に基づいて、電子制御装置は、アクチュエータを反転作動させ、展開位置から格納位置へハンドルグリップを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-157424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ドアハンドル装置では、ハンドルグリップの格納位置、展開位置のそれぞれへの繰り返しの移動に伴い、ハーネスに、繰返しの伸縮、繰返しの折曲がり等の過負荷が生じる。このため、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、ハンドルグリップの移動に伴うハーネスの過負荷を低減することができるドアハンドル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、ドア内に格納される格納位置と前記格納位置から前記ドアの厚み方向外側へ展開する展開位置との間を移動可能に構成されたハンドルグリップと、一端部が前記ドアに回転可能に連結され、他端部が前記ハンドルグリップ内において前記ハンドルグリップに回転可能に連結され、一端部を中心に回転することで前記ハンドルグリップを前記格納位置又は前記展開位置に移動させる移動アームと、前記移動アームの中間部に設けられたハーネス保持部と、前記移動アームに設けられ、前記ハーネス保持部よりも前記ドアの厚み方向外側に配置されたハーネス掛部と、前記ハンドルグリップ内に設けられた電気部品と、前記電気部品から延出され、前記ハーネス保持部によって保持された被保持部を有すると共に、前記被保持部よりも基端側部分が基端側ハーネス部として構成され且つ前記被保持部よりも先端側部分が先端側ハーネス部として構成されたハーネスと、を備え、前記基端側ハーネス部は、前記電気部品から前記ドアの厚み方向外側へ延出されると共に、中間部が前記ハーネス掛部に掛けられてループ状に形成されているドアハンドル装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルグリップの前記格納位置から前記展開位置への移動時に、前記ハーネス保持部が前記基端側ハーネス部の基端部に接近するドアハンドル装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記移動アームの他端部は、上下方向を軸方向とする回転軸によって、前記ハンドルグリップに連結されており、前記ハーネス掛部が、前記移動アームの他端部に設けられているドアハンドル装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電気部品は、ハーネス導出部を有しており、前記基端側ハーネス部の基端部が、前記ハーネス導出部に巻回された状態で保持されているドアハンドル装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルグリップは、上側から見て前記ドアの厚み方向と直交する直交方向に延在され、前記移動アームが、前記電気部品の前記直交方向の一方側に配置され、前記ハンドルグリップの格納位置から展開位置への移動時に前記ハーネス保持部が前記直交方向の他方側へ変位するドアハンドル装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハーネス掛部は、前記移動アームの他端部から前記直交方向の他方側へ延出された掛本体部を有しているドアハンドル装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、ハンドルグリップの移動に伴うハーネスの過負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は、本実施の形態に係るドアハンドル装置を示す上側から見た平面図であり、(B)は、(A)の移動アームが作動してハンドルグリップが展開位置に移動した状態を示す平面図である。
図2図1(A)に示されるドアハンドル装置の車幅方向内側から見た側面図である。
図3図2に示されるリヤグリップ部の内部を示す上側から見た断面図(図2の3-3線断面図)である。
図4図3に示される移動アームが作動してハンドルグリップが展開位置に移動した状態を示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るドアハンドル装置10について説明する。ドアハンドル装置10は、各種のドアに適用されるハンドル装置として構成されており、本実施の形態では、ドアハンドル装置10を、車両(自動車)における左側のドアとしてのフロントドアFDに適用した例として説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、ドアハンドル装置10が適用された車両の車両前側を示し、矢印UPは車両上側を示し、矢印Wは車両の車幅方向外側を示している。以下の説明において、上下、前後の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向を示すものとする。また、フロントドアFDの厚み方向が、車幅方向に一致しており、前後方向が本発明の直交方向に対応している。
【0017】
(ドアハンドル装置10の全体構成)
図1図4に示されるように、ドアハンドル装置10は、乗員(使用者)に把持されるハンドルグリップ20と、ハンドルグリップ20をフロントドアFDに連結する移動アーム30と、ハンドルグリップ20内に配置された電気部品としての近接センサ40と、を含んで構成されている。そして、フロントドアFDの非開閉時には、ハンドルグリップ20が、格納位置(図1(A)に示される位置)に配置されて、フロントドアFD内に格納される。一方、フロントドアFDの開閉時には、ハンドルグリップ20が、格納位置から展開位置(図1(B)に示される位置)に移動して、フロントドアFDの厚み方向外側(車幅方向外側)へ突出する構成になっている。すなわち、ドアハンドル装置10は、所謂格納式ドアハンドル装置(フラッシュハンドル装置)として構成されている。以下、ドアハンドル装置10の各構成を、ハンドルグリップ20の格納位置の配置状態で説明する。
【0018】
(ハンドルグリップ20について)
ハンドルグリップ20は、グリップ本体22と、グリップカバー24と、を含んで構成されており、グリップカバー24が、グリップ本体22に組付けられて、ハンドルグリップ20が形成されている。ハンドルグリップ20は、全体として上下方向を厚み方向とし且つ前後方向に延在された略長尺板状に形成されると共に、上側から見た平面視で、車幅方向内側へ開放された中空の略U字形状に形成されている。具体的には、ハンドルグリップ20は、ハンドルグリップ20の前端部を構成するフロントグリップ部20Aと、ハンドルグリップ20の後端部を構成するリヤグリップ部20Bと、前後方向に延在され且つフロントグリップ部20A及びリヤグリップ部20Bの車幅方向外側端部を連結する中間グリップ部20Cと、を含んで構成されている。そして、中間グリップ部20Cが、乗員が把持する把持部として構成されている。また、フロントグリップ部20A及びリヤグリップ部20Bの車幅方向内側端部は、車幅方向内側へ開放されている。さらに、ハンドルグリップ20の後壁における車幅方向内側端部には、車幅方向内側へ開放された切欠部20Dが形成されている。これにより、切欠部20Dによって、ハンドルグリップ20の後端部の内部と外部とが前後方向に連通している。また、リヤグリップ部20Bは、平面視で、車幅方向外側へ向かうに従い後側へ若干傾斜しており(図1の矢印A方向及び矢印B方向を参照)、以下この方向を傾斜方向と称する。
【0019】
(移動アーム30について)
移動アーム30は、上下方向を厚み方向とする略長尺板状に形成されると共に、平面視で、車幅方向外側へ開放された略V字形板状に形成されている。具体的には、移動アーム30は、車幅方向内側へ向かうに従い後側へ傾斜する方向に延在されたフロントアーム部30Aと、フロントアーム部30Aの車幅方向内側端部から後側へ延出した中間アーム部30Bと、中間アーム部30Bの後端部から車幅方向外側へ向かうに従い後側へ傾斜する方向に延出されたリヤアーム部30Cと、を含んで構成されている。また、フロントアーム部30Aと中間アーム部30Bとの接続部は、屈曲部30Dとして構成されている。
【0020】
移動アーム30は、ハンドルグリップ20の後壁を跨るように配置されている。具体的には、フロントアーム部30Aが、ハンドルグリップ20におけるリヤグリップ部20Bの後部内に配置され、リヤアーム部30Cが、ハンドルグリップ20の後側で且つフロントドアFD内に配置され、中間アーム部30Bがハンドルグリップ20の切欠部20D内に配置されている。
【0021】
移動アーム30の後端部(一端部)は、フロントドアFDに固定された図示しないベースに設けられた回転軸32に回転可能に支持されており、回転軸32は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。移動アーム30の前端部(他端部)は、移動アーム30の後端部の前側に配置され、ハンドルグリップ20に設けられた回転軸34に回転可能に支持されており、回転軸34は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。これにより、ハンドルグリップ20のリヤグリップ部20Bが、移動アーム30によって、フロントドアFDに回転可能に連結されている。また、図示は省略するが、ハンドルグリップ20のフロントグリップ部20Aも、移動アーム30と同様に構成されたアームによって、フロントドアFDに固定されたベースに回転可能に連結されている。
【0022】
移動アーム30は、図示しないアクチュエータに連結されており、アクチュエータは、車両の制御部(図示省略)に電気的に接続されている。そして、制御部の制御によってアクチュエータが駆動することで、移動アーム30が作動して、ハンドルグリップ20が、格納位置から展開位置へ移動するようになっている。具体的には、平面視で、移動アーム30が、回転軸32を中心に反時計回りに回転し、移動アーム30の前端部(回転軸34)が、車幅方向外側へ変位して、ハンドルグリップ20が展開位置に移動するようになっている(図4参照)。より詳しくは、移動アーム30の前端部が、傾斜方向一方側(図3の矢印A方向側)へ変位し、ハンドルグリップ20が、傾斜方向一方側へスライドして、展開位置に配置される構成になっている。また、ハンドルグリップ20の展開位置へのスライド時には、移動アーム30の中間アーム部30Bが、前方側へ変位するようになっている。さらに、ハンドルグリップ20の展開位置では、フロントアーム部30Aが、略傾斜方向に沿って配置されるように、フロントアーム部30Aの車幅方向に対する傾斜が設定されている。
【0023】
移動アーム30の前端部の外周部には、上下方向中央部において、後述するハーネス42を掛けるハーネス掛部30Eが形成されている。ハーネス掛部30Eは、回転軸34の前側に配置されると共に、平面視で、車幅方向外側へ開放された略L字形状に形成されている。具体的には、ハーネス掛部30Eは、回転軸34の前側において移動アーム30から前側へ延出した掛本体部としての第1掛部30E1と、第1掛部30E1の前端部から車幅方向外側へ延出された第2掛部30E2と、を含んで構成されている。そして、ハンドルグリップ20の格納位置から展開位置への移動時には、ハーネス掛部30Eが、回転軸34を中心として反時計回りに回転し、略傾斜方向一方側へ相対変位するようになっている。また、本実施の形態では、移動アーム30の移動時おけるハーネス掛部30Eの相対変位量を少なくするように、回転軸34とハーネス掛部30Eとの間の距離及び移動アーム30の回転量が設定されている。より詳しくは、ハンドルグリップ20の展開位置においても、ハーネス掛部30Eの全体が、回転軸34に対して前側に配置されるように、ハーネス掛部30Eの位置が設定されている。
【0024】
移動アーム30の中間アーム部30Bには、後述するハーネス42を保持するハーネス保持部36が設けられている。すなわち、ハーネス保持部36は、ハーネス掛部30Eに対して車幅方向内側で且つ後側に配置されている。ハーネス保持部36は、前後方向から見て、車幅方向外側へ開放された略U字形板状に形成されている。そして、ハーネス保持部36が車幅方向内側から中間アーム部30Bに組付けられている。具体的には、ハーネス保持部36の上下両端部が、中間アーム部30Bを上下方向から挟み込むようにして、ハーネス保持部36が移動アーム30に固定されている。
【0025】
(近接センサ40について)
近接センサ40は、静電容量センサとして構成されており、乗員のハンドルグリップ20への接近又は接触を、近接センサ40によって検出するようになっている。近接センサ40は、上下方向を厚み方向とし且つ車幅方向に延在された略矩形板状に形成されている。そして、近接センサ40が、ハンドルグリップ20のリヤグリップ部20B内で且つ移動アーム30のフロントアーム部30Aの前側に配置されて、ハンドルグリップ20に固定されている。具体的には、近接センサ40が、移動アーム30のハーネス掛部30Eの前側に近接して配置されている。
【0026】
近接センサ40の後面は、段差状に形成されて、近接センサ40の後面における車幅方向内側端部が、近接センサ40の後面における車幅方向外側端部よりも前側に配置されている。具体的には、近接センサ40の後面における車幅方向内側部分には、前方側へ抉られた抉り部40Aが形成されている。そして、移動アーム30と近接センサ40との間の空間が、隙間Gとされており、抉り部40Aによって隙間Gが前後方向に拡大されている。また、前述のハーネス掛部30Eは、抉り部40Aの車幅方向外側端部の後側に配置されている。
【0027】
近接センサ40における車幅方向内側面の後端部には、ハーネス導出部40Bが設けられている。ハーネス導出部40Bは、近接センサ40から車幅方向内側へ突出して、ハーネス掛部30Eに対して傾斜方向他方側に配置されている。ハーネス導出部40Bには、上下方向中央部において、挿通孔40Cが前後方向に貫通形成されており、挿通孔40Cは、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されている。
【0028】
近接センサ40は、2本のハーネス42を有しており、ハーネス42は、ハーネス導出部40Bから延出されている。ハーネス42の長手方向中間部は、被保持部42Aとして構成されている。被保持部42Aには、チューブ44が設けられており、2本のハーネス42がチューブ44によって結束されている。また、ハーネス42における被保持部42Aよりも基端側の部分は、基端側ハーネス部42Bとして構成され、ハーネス42における被保持部42Aよりも先端側の部分は、先端側ハーネス部42Cとして構成されている。そして、被保持部42A(チューブ44)がハーネス保持部36に保持されて、ハーネス42がハンドルグリップ20内及びフロントドアFD内に配策されている。
【0029】
具体的には、基端側ハーネス部42Bの基端部がハーネス導出部40Bに保持されて、基端側ハーネス部42Bがハーネス導出部40Bから延出されている。より詳しくは、近接センサ40の車幅方向内側端部から引き出された基端側ハーネス部42Bの基端部が、ハーネス導出部40Bの挿通孔40C内に後側から挿入されると共に、ハーネス導出部40Bの先端部に巻回されている。また、ハーネス導出部40Bの先端部に巻回された基端側ハーネス部42Bは、ハーネス導出部40Bから車幅方向外側(ハーネス掛部30E側)へ延出されて、移動アーム30と近接センサ40との間の隙間G内に配策されている。
【0030】
そして、ハーネス導出部40Bから車幅方向外側へ延出された基端側ハーネス部42Bの中間部が、移動アーム30のハーネス掛部30Eに掛けられて、基端側ハーネス部42Bが、車幅方向内側へ折り返されている。ハーネス掛部30Eから車幅方向内側へ折り返された基端側ハーネス部42Bは、フロントアーム部30Aに沿うように配策されると共に、移動アーム30の屈曲部30Dの部位において後側へ曲げられている。そして、ハーネス42の被保持部42A(チューブ44)が、中間アーム部30Bの車幅方向内側に隣接配置されると共に、ハーネス保持部36によって中間アーム部30Bに保持されている。これにより、基端側ハーネス部42Bが、ハンドルグリップ20内において配策されている。
【0031】
基端側ハーネス部42Bの配策状態では、基端側ハーネス部42Bが、前側から見て、車幅方向を長手方向とし上下方向を短手方向とする略楕円ループ状に形成されている(図3参照)。さらに、基端側ハーネス部42Bの基端部と中間部(ハーネス掛部30Eに掛けられた部分)との間の長さが、ハーネス導出部40Bとハーネス掛部30Eとの間の長さと比べて長くなるように、基端側ハーネス部42Bの基端部と中間部との間の部分が、弛んだ状態で、隙間G内に配策されている。より詳しくは、ハンドルグリップ20の格納位置から展開位置への移動時には、ハーネス掛部30Eがハーネス導出部40Bに対して傾斜方向一方側へ相対変位して、ハーネス導出部40Bとハーネス掛部30Eとの間の長さが若干長くなるが、ハンドルグリップ20の展開位置においても、基端側ハーネス部42Bのループ形状が維持されるように(図4参照)、基端側ハーネス部42Bの基端部と中間部との間の部分が、弛んだ状態で、隙間G内に配策されている。
【0032】
先端側ハーネス部42Cは、チューブ44から後側へ延出し、フロントドアFD内に配策されている。そして、ハーネス42の先端部が制御部に電気的に接続されている。これにより、近接センサ40から制御部へ出力された検出信号に基づいて、制御部がアクチュエータを駆動する構成になっている。
【0033】
また、ハンドルグリップ20の格納位置から展開位置への移動時には、移動アーム30のハーネス保持部36が、前側へ変位して、近接センサ40のハーネス導出部40Bに近づくように構成されている。すなわち、ハーネス保持部36によって保持されたハーネス42の被保持部42A(チューブ44)が、ハーネス42(基端側ハーネス部42B)の基端部に接近するように構成されている。
【0034】
(作用効果)
次に、本実施の形態に係るドアハンドル装置10の作用及び効果について説明する。
【0035】
上記のように構成されたドアハンドル装置10では、フロントドアFDの非開閉時に、ハンドルグリップ20が、格納位置に配置されて、フロントドアFD内に格納されている。そして、近接センサ40によって、乗員のフロントドアFDへの接近又は接触を検出すると、制御部の制御によってアクチュエータが駆動して、移動アーム30が作動する。具体的には、移動アーム30が、平面視で、回転軸32を中心として反時計回りに回転する。これにより、移動アーム30の前端部(回転軸34)が、車幅方向外側(傾斜方向一方側)へ変位して、ハンドルグリップ20及び近接センサ40が格納位置から展開位置に移動する。
【0036】
また、移動アーム30の前端部には、ハーネス掛部30Eが設けられ、移動アーム30の中間アーム部30Bには、ハーネス保持部36が設けられており、ハーネス掛部30Eが、ハーネス保持部36に対して車幅方向外側に配置されている。さらに、移動アーム30の前側に近接センサ40が設けられている。
【0037】
ここで、ハーネス42の被保持部42Aが、ハーネス保持部36によって保持されている。また、ハーネス42(基端側ハーネス部42B)が、近接センサ40のハーネス導出部40Bから車幅方向外側へ延出され、ハーネス掛部30Eに掛けられて、ループ状に形成されている。すなわち、基端側ハーネス部42Bにおける基端部と中間部との間の部位及び中間部と被保持部42Aとの間の部位を、弛んだ状態にして、基端側ハーネス部42Bをハンドルグリップ20内に配策することができる。これにより、移動アーム30の移動時において、ハーネス導出部40Bとハーネス掛部30Eとの間の相対距離が変動しても、当該相対距離の変動を基端側ハーネス部42Bの弛みによって吸収することができる。本実施の形態では、ハンドルグリップ20の格納位置から展開位置への移動時に、ハーネス掛部30Eが回転軸34に対して車幅方向外側(傾斜方向一方側)へ若干移動する。すなわち、ハーネス掛部30Eとハーネス導出部40Bとの間の相対距離が、若干長くなるように変動するが、基端側ハーネス部42Bの弛みによって当該変動量を吸収することができる。したがって、ハンドルグリップ20の移動時におけるハーネス42の過負荷を低減させることができる。
【0038】
また、ハンドルグリップ20の格納位置から展開位置への移動時には、ハーネス保持部36が、前方側へ変位して、ハーネス導出部40Bに接近する。これにより、ハンドルグリップ20が移動しても、ループ状に形成された基端側ハーネス部42Bの配策状態を良好に維持することができる。
【0039】
また、近接センサ40は、ハーネス導出部40Bを有しており、ハーネス42(基端側ハーネス部42B)の基端部が、ハーネス導出部40Bに巻回された状態で保持されている。具体的には、ハーネス42の基端部が、ハーネス導出部40Bの挿通孔40C内に後側から挿入されて、ハーネス導出部40Bに巻回されている。そして、ハーネス導出部40Bに巻回されたハーネス42が車幅方向外側へ延出している。これにより、ハーネス導出部40Bによって、ハーネス42の基端部を保持しつつ、基端側ハーネス部42Bをハーネス掛部30E側へ延出させるように、ハーネス42の基端部をフォーミングすることができる。その結果、ハンドルグリップ20が格納位置と展開位置との間を移動するときに、ハーネス42の基端部が過度に屈曲されることを抑制できる。したがって、ハーネス42の基端部における過負荷を低減することができる。
【0040】
また、移動アーム30の前端部は、上下方向を軸方向とする回転軸34によって、ハンドルグリップ20に連結されている。さらに、ハーネス掛部30Eが、移動アーム30の前端部の外周部に形成されている。これにより、ハーネス掛部30Eを移動アーム30の前端部以外の部位に形成した場合と比べて、ハーネス掛部30Eを回転軸34の近傍に配置することができる。その結果、ハンドルグリップ20の格納位置と展開位置との間の移動時にける、ハーネス掛部30Eとハーネス導出部40Bとの間の相対距離の変動を抑制することができる。したがって、ハーネス42の過負荷を効果的に抑制することができる。
【0041】
また、ハーネス掛部30Eは、移動アーム30の前端部から前側へ延出した第1掛部30E1を有しており、近接センサ40から車幅方向外側へ延出されたハーネス42が第1掛部30E1に掛け回されている。これにより、ハーネス42の基端部と中間部との間の部分を、前後方向から見て、ループ状にして、移動アーム30と近接センサ40との間に配策することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、近接センサ40が、ハーネス導出部40Bを有しており、ハーネス42の基端部がハーネス導出部40Bによって保持され、ハーネス42がハーネス導出部40Bから延出されている。これに代えて、近接センサ40においてハーネス導出部40Bを省略して、例えば、ハーネス42を近接センサ40の車幅方向内側端部から直接から延出させるように構成してもよい。
【0043】
また、本発明では、電気部品は、スイッチ装置、照明装置、アンテナ装置、その他、ハンドルグリップ2内に収納が必要なワイヤーハーネスを備える電気部品であればよく、電気部品の機能及び用途は限定されない。
さらに、本発明は、車両に限定されず、一般住宅、オフィス等の建物のドアの開閉を行うドアハンドル装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 ドアハンドル装置
20 ハンドルグリップ
30 移動アーム
30E ハーネス掛部
30E1 第1掛部(掛本体部)
34 回転軸
36 ハーネス保持部
40 近接センサ(電気部品)
40B ハーネス導出部
42 ハーネス
42A 被保持部
42B 基端側ハーネス部
42C 先端側ハーネス部
FD フロントドア(ドア)
図1
図2
図3
図4