(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140945
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/06 20150101AFI20220921BHJP
A63B 53/04 20150101ALI20220921BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220921BHJP
【FI】
A63B53/06 B
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041039
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH06
2C002LL01
2C002MM04
(57)【要約】
【課題】新構造の重心位置調整機構を備えたゴルフクラブヘッドを提供すること。
【解決手段】フェース部4、クラウン部6及びソール部8を有するゴルフクラブヘッド2である。ゴルフクラブヘッド2は、巻回されることが可能なウェイト部材wtと、ウェイト部材wtの第1部分wt1を巻き付けうる第1巻回部b1と、第1巻回部b1から離れて配置されており、ウェイト部材wtの第2部分wt2を巻き付けうる第2巻回部b2と、を有している。ゴルフクラブヘッド2では、第1部分wt1と第2部分wt2との重量比率を変えることで、ゴルフクラブヘッド2の重心位置が調整される。第1巻回部b1及び第2巻回部b2の少なくとも1つが、巻き取り方向及び送り出し方向に回転可能であってもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部、クラウン部及びソール部を有するゴルフクラブヘッドであって、
巻回されることが可能なウェイト部材と、
前記ウェイト部材の第1部分を巻き付けうる第1巻回部と、
前記第1巻回部から離れて配置されており、前記ウェイト部材の第2部分を巻き付けうる第2巻回部と、
を有しており、
前記第1部分と前記第2部分との重量比率を変えることで、前記ヘッドの重心位置が調整されるゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部の少なくとも1つが、巻き取り方向及び送り出し方向に回転可能である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、巻き取り方向及び送り出し方向に回転可能である請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、前記送り出し方向への回転を規制する回転規制機構を有する請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1部分を含む前記第1巻回部を収容する第1ポートと、
前記第2部分を含む前記第2巻回部を収容する第2ポートと、
前記ウェイト部分における前記第1部分及び前記第2部分を除いた部分である第3部分を収容する収容凹部と、
を有している請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、前記ソール部に配置されている請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、前記クラウン部に配置されている請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記第1巻回部が、前記ソール部に配置されており、
前記第2巻回部が、前記クラウン部に配置されている請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド
【請求項9】
次の(a)及び/又は(b)を満たす請求項1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
(a)前記第1巻回部に巻き取られている前記第1部分が外部から視認できるように構成されている。
(b)前記第2巻回部に巻き取られている前記第2部分が外部から視認できるように構成されている。
【請求項10】
フェース部、クラウン部及びソール部を有するゴルフクラブヘッドであって、
巻回されることが可能なウェイト部材と、
前記ウェイト部材の第1部分を巻き付けうる第1巻回部と、
前記第1巻回部から離れて配置されており、前記ウェイト部材の第2部分を巻き付けうる第2巻回部と、
を有しており、
少なくとも前記第1部分と前記第2部分のいずれか一方のウェイト巻き付け量を変えることで、前記ヘッドの重心位置が調整されるゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドの重心位置を調整することが可能なヘッドが知られている。特開2011-010722号公報は、案内溝を移動しうる重量体を備えたゴルフクラブヘッドを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ヘッドの重心位置を調整することが可能な新構造を見いだすに至った。この新構造は、当該構造に起因する新たな効果を奏する。
【0005】
本開示は、新構造の重心位置調整機構を備えたゴルフクラブヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、本開示のゴルフクラブヘッドは、フェース部、クラウン部及びソール部を有している。このヘッドは、巻回されることが可能なウェイト部材と、前記ウェイト部材の第1部分を巻き付けうる第1巻回部と、前記第1巻回部から離れて配置されており、前記ウェイト部材の第2部分を巻き付けうる第2巻回部と、を有している。前記第1部分と前記第2部分との重量比率を変えることで、前記ヘッドの重心位置が調整される。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面として、新構造の重心位置調整機構を備えたゴルフクラブヘッドが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態のヘッドの平面図である。
【
図3】
図3(a)は
図2のA-A線に沿った断面図であり、
図3(b)は
図2のB-B線に沿った断面図であり、
図3(c)は
図3(a)及び
図3(b)のC-C線に沿った断面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1変形例における第1巻回部b1近傍の断面図であり、
図4(b)はその第2巻回部b2近傍の断面図であり、
図4(c)は
図4(a)及び
図4(b)のC-C線に沿った断面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第2変形例における第1巻回部b1及び第2巻回部b2の近傍の断面図及びそのA-A線に沿った断面図である。
図5(a)では第1巻回部b1(第2巻回部b2)は押し込み位置にあり、
図5(b)では第1巻回部b1(第2巻回部b2)は飛び出し位置にある。
【
図6】
図6は、第2変形例のオルタネイト機構の断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態のヘッドの底面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態のヘッドの底面図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態のヘッドの底面図である。
【
図13】
図13(a)は第8実施形態のヘッドの平面図であり、
図13(b)はその底面図である。
【
図15】
図15(a)は第10実施形態のヘッドの平面図であり、
図15(b)はその底面図である。
【
図16】
図16(a)は第11実施形態のヘッドの平面図であり、
図16(b)はその底面図である。
【
図19】
図19は、回転規制機構の一例である回り止め締結機構を構成する凹凸面の斜視図である。
【
図21】
図21は、トウ-ヒール方向及びフェース-バック方向を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0010】
本願では、基準状態、基準垂直面、フェース-バック方向、トウ-ヒール方向及び上下方向が定義される。所定のライ角及びリアルロフト角で水平面HP上にヘッドが載置された状態が、基準状態とされる。
図21が示すように、この基準状態では、水平面HPに対して垂直な平面VPに、ホーゼル孔の中心線Zが含まれている。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0011】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記水平面HPとの交線NLの方向である(
図21参照)。
【0012】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記水平面HPに対して平行な方向である。
【0013】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記水平面HPに対して垂直な方向である。
【0014】
本願において、フェースセンターFcが定義される。フェースセンターFcは、次のように決定される。まず、上下方向およびトウ-ヒール方向において、フェース面の概ね中央付近の任意の点Prが選択される。次に、この点Prを通り、当該点Prにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが決定される。次に、この中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが決定される。次に、この中点Pyを通り、当該点Pyにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pxが新たに決定される。次に、この新たな中点Pxを通り、当該点Pxにおけるフェース面の法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面とフェース面との交線を引き、その中点Pyが新たに決定される。この工程を繰り返して、Px及びPyが順次決定される。この工程の繰り返しの中で、新たな中点Pyとその直前の中点Pyとの間の距離が最初に0.5mm以下となったときの当該新たな位置Py(最後の位置Py)が、フェースセンターFcである。
【0015】
図1は、第1実施形態のゴルフクラブヘッド2をクラウン側から見た平面図である。
図2は、ヘッド2をソール側から見た底面図である。
図3(a)は
図2のA-A線に沿った断面図である。
図3(b)は
図2のB-B線に沿った断面図である。
図3(c)は
図3(a)及び
図3(b)のC-C線に沿った断面図である。
【0016】
ヘッド2(ヘッド本体h1)は、フェース部4、クラウン部6、ソール部8、及びホーゼル部10を有する。フェース部4は、フェース外面4aとフェース内面4b(図示されず)とを有する。フェース外面4aは、打撃面である。フェース外面4aは、フェースセンターFcを有する。クラウン部6は、クラウン外面6aとクラウン内面(図示されず)とを有する。ソール部8は、ソール外面8aとソール内面8bとを有する。(
図3(a)参照)。ホーゼル部10はホーゼル孔12を有する。ヘッド2は、ウッド型ヘッドである。
【0017】
ヘッド2は、第1巻回部b1と、第2巻回部b2と、ウェイト部材wtとを有する。ヘッド本体h1に第1巻回部b1及び第2巻回部b2が取り付けられ、第1巻回部b1と第2巻回部b2との間にウェイト部材wtが渡されている。本実施形態では、ソール部8が、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有する。第1巻回部b1と第2巻回部b2とは、ウェイト部材wtで繋がっている。第1巻回部b1は、第2巻回部b2よりもトウ側に設けられている。第1巻回部b1は、フェースセンターFcよりもトウ側に設けられている。第2巻回部b2は、フェースセンターFcよりもヒール側に設けられている。
【0018】
ウェイト部材wtは、細長い部材である。ウェイト部材wtは、第1巻回部b1と第2巻回部b2とを繋ぎ、且つ、第1巻回部b1に巻き付けられる第1部分wt1又は第2巻回部b2に巻き付けられる第2部分wt2を確保できる長さを有している。ウェイト部材wtの形態として、線状及びベルト状の部材が例示される。線状のウェイト部材wtとして、紐、針金、金属線及びワイヤが例示される。ワイヤは、針金及び針金を撚ったワイヤロープを含む概念である。ウェイト部材wtは、例えばチェーンであってもよい。ウェイト部材wtの材質は限定されない。ウェイト部材wtの材質は、比重が大きいのが好ましい。比重及び巻回性の観点から、ウェイト部材wtの材質として、金属及び金属粉末を含有する樹脂が好ましい。好ましい具体例として、ステンレス鋼、タングステンニッケル合金、ステンレス鋼を含有する樹脂材料、及び、タングステンニッケル合金を含有する樹脂材料が例示される。
【0019】
1本のウェイト部材wtにおいて、単位長さ当たりの重量は、一定であってもよいし、変動していてもよい。
【0020】
図3(a)が示すように、第1巻回部b1は、巻き取り部20と、中心軸22とを有する。巻き取り部20は、巻き軸(スプール)を構成している。巻き取り部20は、中心軸22に固定されている。中心軸22を回転中心として、巻き取り部20は回転しうる。第1巻回部b1(巻き取り部20)に、ウェイト部材wtが巻き取られている。ウェイト部材wtのうち、第1巻回部b1に巻き取られている部分が、第1部分wt1と称される。第1巻回部b1による巻き取り量によって、第1部分wt1の長さ(長手方向長さ)は変動する。第1巻回部b1による巻き取り量によって、第1部分wt1の重量は変動する。
【0021】
第1巻回部b1は、係合孔24を有する。係合孔24の形状は、第1巻回部b1を回転させる工具の先端部が係合する。この工具は、例えば、スクリュードライバーである。この工具により、第1巻回部b1を回転させることができる。
【0022】
第1巻回部b1は、巻き取り方向及び送り出し方向に回転しうる。第1巻回部b1が巻き取り方向に回転すると、ウェイト部材wtが第1巻回部b1に巻き取られ、第1部分wt1の長さが増加する。第1巻回部b1が送り出し方向に回転すると、ウェイト部材wtが第1巻回部b1から送り出され、第1部分wt1の長さが減少する。
【0023】
第2巻回部b2の構成は、第1巻回部b1と同じである。
図3(b)が示すように、第2巻回部b2は、巻き取り部20と、中心軸22とを有する。巻き取り部20は、巻き軸(スプール)を構成している。巻き取り部20は、中心軸22に固定されている。中心軸22を回転中心として、巻き取り部20は回転しうる。第2巻回部b2(巻き取り部20)に、ウェイト部材wtが巻き取られている。ウェイト部材wtのうち、第2巻回部b2に巻き取られている部分が、第2部分wt2と称される。第2巻回部b2による巻き取り量によって、第2部分wt2の長さ(長手方向長さ)は変動する。第2巻回部b2による巻き取り量によって、第2部分wt2の重量は変動する。
【0024】
第2巻回部b2は、巻き取り方向及び送り出し方向に回転しうる。第2巻回部b2が巻き取り方向に回転すると、ウェイト部材wtが第2巻回部b2に巻き取られ、第2部分wt2の長さが増加する。第2巻回部b2が送り出し方向に回転すると、ウェイト部材wt第2巻回部b2から送り出され、第2部分wt2の長さが減少する。
【0025】
ウェイト部材wtにより、第1巻回部b1の回転と第2巻回部b2の回転とは互いに連動しうる。回転力を付加して第1巻回部b1を巻き取り方向に回転させると、これに従動して、第2巻回部b2が送り出し方向に回転されうる。回転力を付加して第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させると、これに従動して、第1巻回部b1が送り出し方向に回転されうる。この連動は、ヘッド重心位置の調整の容易性を高める。
【0026】
ウェイト部材wtは、第3部分wt3を有する。第3部分wt3は、あらゆる巻回体b1,b2に巻きつれられていない部分である。本実施形態では、第3部分wt3は、第1部分wt1と第2部分wt2との間の部分である。
【0027】
第1巻回部b1及び第2巻回部b2に引っ張られることで、第3部分wt3には張力が作用しうる。張力が作用した状態では、第3部分wt3の長さは実質的に一定である。張力が作用しない状態では、第3部分wt3に弛みが生じうる。
【0028】
第2巻回部b2は、係合孔24を有する。係合孔24の形状は、第2巻回部b2を回転させる工具の先端部が係合する。この工具は、例えば、スクリュードライバーである。この工具は、第1巻回部b1を回転しうる工具と共通とされうる。
【0029】
図3(c)が示すように、第1巻回部b1は、回転抵抗機構30を有する。回転抵抗機構30は、回転ギア32と、ギア係合部34とを有している。回転ギア32は、中心軸22に固定されており、巻き取り部20と一体で回転する。ギア係合部34は、回転ギア32の歯32aに係合している。この係合により、回転ギア32の回転が阻止されている。回転ギア32が回転しようとすると、ギア係合部34に応力が作用する。回転ギア32からの力により、ギア係合部34は弾性的に変形する。回転ギア32からの力が所定値を超えると、ギア係合部34の弾性変形が大きくなり、ギア係合部34が歯32aを乗り越える。この弾性変形が繰り返されることで、回転ギア32は回転抵抗を受けつつ回転する。回転抵抗機構30は、巻き取り方向の回転及び送り出し方向の回転に対して同一の抵抗力を付与する。
【0030】
第2巻回部b2も、第1巻回部b1と同じ回転抵抗機構30を備えている。
【0031】
第1巻回部b1を巻き取り方向に回転させることで、第1部分wt1の重量が増加し、且つ、第2部分wt2の重量が減少する。すなわち、ウェイト部材wtの重量は、第1部分wt1に多く配分される。この結果、ヘッド2の重心が第1巻回部b1側に移動する。本実施形態では、ヘッド2の重心がトウ側に移動する。
【0032】
第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させることで、第2部分wt2の重量が増加し、且つ、第1部分wt1の重量が減少する。すなわち、ウェイト部材wtの重量は、第2部分wt2に多く配分される。この結果、ヘッド2の重心が第2巻回部b2側に移動する。本実施形態では、ヘッド2の重心がヒール側に移動する。
【0033】
回転抵抗機構30は、第3部分wt3における張力を維持するのに寄与している。
【0034】
ヘッド2は、第1ポートp1と、第2ポートp2とを有する。ヘッド2のヘッド本体h1が、第1ポートp1及び第2ポートp2を有する。本実施形態では、第1ポートp1及び第2ポートp2はソール部8に設けられている。
図3(a)が示すように、第1ポートp1は、第1巻回部b1を収容している。第1巻回部b1は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。
図3(b)が示すように、第2ポートp2は、第2巻回部b2を収容している。第2巻回部b2は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。
【0035】
ヘッド2は、収容凹部p3を有する。収容凹部p3は、第1ポートp1と第2ポートp2との間に延びている。収容凹部p3は、溝を形成している。収容凹部p3は、第3部分wt3を収容している。張力が作用している限り、第3部分wt3は収容凹部p3に収容されている。収容凹部p3に収容されることで、第3部分wt3はソール外面8aよりも内側に収まっている。
【0036】
図4(a)は、第1変形例における第1巻回部b1近傍を示す拡大断面図であり、
図4(b)はこの第1変形例の第2巻回部b2近傍を示す拡大断面図である。
図4(c)は
図4(a)及び
図4(b)のC-C線に沿った断面図である。以下に説明される点を除き、この第1変形例は、第1実施形態のヘッド2と同じである。
【0037】
この第1変形例では、回転抵抗機構30に代えて、ラチェット機構40が設けられている。第1巻回部b1及び第2巻回部b2は、ラチェット機構40を有する。
【0038】
ラチェット機構40は、回転ギア42と、ギア係合部44とを有する。回転ギア42は、巻き取り部20と一体で回転する。ギア係合部44は、切替カムを構成している。ギア係合部44は、第1係合部44aと第2係合部44bとを有する。第1係合部44aと第2係合部44bとを有する。ギア係合部44は、第1係合部44aが回転ギア42に係合している第1状態と、第2係合部44bが回転ギア42に係合している第2状態との相互移行が可能である。すなわちギア係合部44は、前記第1状態と前記第2状態とに切り替えられうる。
図4(c)は第1状態を示している。第1状態では、回転ギア42は、第1方向R1への回転が許容され、第2方向R2への回転は規制される。第2状態では、回転ギア42は、第2方向R2への回転は許容され、第1方向R1への回転は規制される。第1方向R1が巻き取り方向であり、第2方向R2が送り出し方向である。このラチェット機構は、回転方向を巻き取り方向と送り出し方向とに切り替えることができる。このラチェット機構は、例えば、ナットやボルトを締め付けるためのラチェットハンドルに用いられている。
【0039】
第1巻回部b1を巻き取り方向に回転させる際には、第1巻回部b1を第1状態とし、第2巻回部b2を第2状態として、第1巻回部b1を巻き取り方向に回転させる。第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させる際には、第2巻回部b2を第1状態とし、第1巻回部b1を第2状態として、第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させる。第3部分wt3の緩みは、第1巻回部b1及び第2巻回部b2の両方を第1状態とし、第1巻回部b1又は第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させることで、解消されうる。
【0040】
図5(a)及び
図5(b)は、第2変形例における第1巻回部b1近傍を示す拡大断面図である。
図5(a)では、第1巻回部b1が押し込み位置にある。押し込み位置では、第1巻回部b1は第1ポートp1に収容されている。
図5(a)には、A-A線に沿った断面図が付記されている。
図5(b)では、第1巻回部b1が飛び出し位置にある。
図5(b)には、B-B線に沿った断面図が付記されている。
【0041】
この第2変形例では、第2巻回部b2の構成は第1巻回部b1と同じである。
図5(a)及び
図5(b)は、第2変形例における第2巻回部b2近傍を示す拡大断面図でもある。
【0042】
この第2変形例では、回転抵抗機構30に代えて、回転阻止機構50と、オルタネイト機構60とを有する。また、この変形例では、巻き取り部20に代えて、巻き取り部70が設けられている。第1巻回部b1は、回転阻止機構50と、オルタネイト機構60と、巻き取り部70とを有する。第2巻回部b2は、回転阻止機構50と、オルタネイト機構60と、巻き取り部70とを有する。以下に説明される点を除き、この第2変形例は、第1実施形態のヘッド2と同じである。
【0043】
巻き取り部70は、回転支持軸72に固定されていない。巻き取り部70は、回転支持軸72に、回転可能に支持されている。巻き取り部70は、回転支持軸72に対して回転しうる。巻き取り部70は、軸受け74を介して、回転支持軸72に固定されている。
【0044】
回転阻止機構50は、回転ギア52と、ギア係合部54とを有する。ギア係合部54は、回転ギア52の歯52aと係合して回転ギア52の回転を阻止する回転阻止部を構成している。回転ギア52は、巻き取り部70に設けられている。
【0045】
図5(a)が示すように、第1巻回部b1が押し込み位置にあるとき、回転ギア52はギア係合部54に係合し、第1巻回部b1の回転が阻止される。
図5(b)が示すように、第1巻回部b1が飛び出し位置にあるとき、回転ギア52はギア係合部54に係合せず、第1巻回部b1の回転が許容される。
【0046】
押し込み位置にある第1巻回部b1を押圧すると、第1巻回部b1は飛び出し位置に移動し、この押圧が解除されても飛び出し位置が維持される。飛び出し位置にある第1巻回部b1を押圧すると、第1巻回部b1は押し込み位置に移動し、この押圧が解除されても押し込み位置が維持される。このような第1巻回部b1の動作は、オルタネイト動作とも称される。オルタネイト機構60は、第1巻回部b1のオルタネイト動作を可能とする。オルタネイト機構60は、前記押し込み位置と前記飛び出し位置との相互移行を可能とする。押し込み位置では、第1巻回部b1はソール外面8aよりも外側に突出していない。飛び出し位置では、第1巻回部b1はソール外面8aよりも外側に突出している。
【0047】
なお、第1巻回部b1の押圧は、例えば、第1巻回部b1を指で押すことで達成されうる。指で押すだけで、第1巻回部b1は、押し込み位置と飛び出し位置とに相互移行することができる。第1巻回部b1を押す毎に、押し込み位置と飛び出し位置とが切り替えられる。
【0048】
図6は、オルタネイト機構60の断面図である。
図6の上図は、第1巻回部b1(第2巻回部b2)が押し込み位置にあるときの断面図である。
図6の下図は、第1巻回部b1(第2巻回部b2)が飛び出し位置にあるときの断面図である。
【0049】
オルタネイト機構60は、ハート状のカム62と、ピン64と、付勢部材66と、移動部68とを有する。カム62は、移動部68に固定されている。ピン64は金属製であり、棒状の部材である。
【0050】
ピン64は、カム62から遠い側の端部(
図6における下端部)が支持された片持ち状態で固定されている。カム62に近い方の端部64a(
図6における上端部)が自由端とされている。この自由端64aには、カム62と係合する係合部64bが設けられている。
図6における円内は、自由端64aを別の角度から見た図であり、係合部64bが示されている。係合部64bは、ピン64の端部64aが折れ曲がることで形成されている。ピン64の主部64cは、外力により曲げられると、自然状態(真っ直ぐに延びた状態)に戻ろうとする。
【0051】
付勢部材66は、圧縮コイルバネである。付勢部材66は、移動部68を常に上側に付勢している。付勢部材66は、カム62がピン64から離れる方向に、移動部68を常に付勢している。
【0052】
移動部68には、回転支持軸72が固定されている。移動部68の移動に伴い第1巻回部b1は移動する。第1巻回部b1は、移動部68と一体で移動する。
【0053】
カム62は、第1案内面62aと、凹部62bと、第2案内面62cとを有している。また、カム62の近傍に、ピン誘導部63が設けられている。
【0054】
ピン64がカム62に係合すると、付勢部材66の付勢力に抗して、第1巻回部b1の押し込み位置が維持される(
図6の上図参照)。ピン64とカム62との係合が解除されると、付勢部材66の付勢力に起因して、第1巻回部b1は飛び出し位置となる(
図6の下図参照)。
【0055】
飛び出し位置にある第1巻回部b1を押圧すると、ピン64から離れていたカム62が、ピン64に近づく。ピン64の係合部64bは、カム62の第1案内面62aに当接し、第1案内面62aに誘導され、更にピン誘導部63に誘導されて、凹部62bに至る。係合部64bが凹部62bに係合することで、第1巻回部b1は押し込み位置で保持される(
図6の上図参照)。
【0056】
押し込み位置にある第1巻回部b1を押圧すると、係合部64bは、ピン64が弾性変形を解消しようとするために凹部62bを外れ、第2案内面62cに沿って動き、カム62から離れる。この結果、第1巻回部b1は飛び出し位置に戻る。
【0057】
このように、本実施形態では、オルタネイト機構60として、ハート状カム方式が採用されている。オルタネイト機構60として、ハート状カム方式の他、回転カム方式、ラチェットカム方式など、公知の機構が採用されうる。
【0058】
図7は、第2実施形態のヘッド100をソール側から見た底面図である。ヘッド100では、第1巻回部b1及び第2巻回部b2において、巻き取り部20は透明性を有している。ヘッド100では、第1巻回部b1に巻き取られている第1部分wt1が外部から視認される。ヘッド100では、第2巻回部b2に巻き取られている第2部分wt2が外部から視認されうる。以上に説明された点を除き、ヘッド100はヘッド2と同じである。ヘッド100は、クラウン部に、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有さない。
【0059】
図8は、第3実施形態のヘッド110をソール側から見た底面図である。ヘッド110では、第1巻回部b1及び第2巻回部b2において、巻き取り部20に切り欠き20aが設けられている。切り欠き20aを通じて、第1巻回部b1に巻き取られている第1部分wt1が外部から視認される。切り欠き20aを通じて、第2巻回部b2に巻き取られている第2部分wt2が外部から視認されうる。以上に説明された点を除き、ヘッド110はヘッド2と同じである。ヘッド110は、クラウン部に、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有さない。
【0060】
図9は、第4実施形態のヘッド120をソール側から見た底面図である。ヘッド120(ソール部8)は、第1巻回部b1と、第1巻回部b1を収容する第1ポートp1と、第2巻回部b2と、第2巻回部b2を収容する第2ポートp2とを有する。更に、ヘッド120(ソール8)は、突起t1及び突起t2を有する。突起t1及び突起t2は、第1巻回部b1よりもヒール側に配置されている。突起t1及び突起t2は、第2巻回部b2よりもトウ側に配置されている。突起t1及び突起t2は、立設された柱である。突起は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。
【0061】
ウェイト部材wtは、突起t1に巻き付けられうる。ウェイト部材wtは、突起t2に巻き付けられうる。突起t1及び突起t2のそれぞれは比較的細いため、突起t1及び突起t2のそれぞれにウェイト部材wtを巻き付けた場合、巻き付けられた部分の長さは、効率的に長くならない。
図9に示されるように、本実施形態では、ウェイト部材wtは、突起t1と突起t2との間を渡される形で、突起t1及び突起t2に巻き付けられている。この形での巻き付けでは、突起t1、t2に巻き付けられている突起巻回部wt31が長くされうる。様々な形態で巻き付けることが可能である。
【0062】
ヘッド120(ソール部8)では、ウェイト部材wtは、第1巻回部b1に巻き付けられた第1部分(図示されず)と、第2巻回部b2に巻き付けられた第2部分(図示されず)と、前記第1部分でなく且つ前記第2部分でもない第3部分wt3を有する。第3部分wt3は、突起t1、t2に巻き付けられている突起巻回部wt31と、突起巻回部wt31から第1巻回部b1(第1部分wt1)に延びる延在部wt32と、突起巻回部wt31から第2巻回部b2(第2部分wt2)に延びる延在部wt33とを有する。
【0063】
収容凹部p3は、第3部分wt3(の全体)を収容している。収容凹部p3は、突起t1,t2と共に突起巻回部wt31を収容する第1凹部p31と、延在部wt32を収容する第2凹部p32と、延在部wt33を収容する第3凹部p33とを有する。突起t1,t2は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。第3部分wt3は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。
【0064】
以上に説明された点を除き、ヘッド120はヘッド2と同じである。ヘッド120は、クラウン部に、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有さない。
【0065】
図10は、第5実施形態のヘッド130をソール側から見た底面図である。ヘッド130(ソール部8)は、第1巻回部b1と、第1巻回部b1を収容する第1ポートp1と、第2巻回部b2と、第2巻回部b2を収容する第2ポートp2とを有する。更に、ヘッド130(ソール8)は、突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4を有する。突起t1及び突起t2は、突起t3及び突起t4よりもトウ側に配置されている。突起t1及び突起t2は、第1巻回部b1のフェース側に配置されている。突起t3及び突起t4は、第2巻回部b2のフェース側に配置されている。
【0066】
ヘッド130(ソール部8)では、ウェイト部材wtは、第1巻回部b1に巻き付けられた第1部分(図示されず)と、第2巻回部b2に巻き付けられた第2部分(図示されず)と、前記第1部分でなく且つ前記第2部分でもない第3部分wt3を有する。第3部分wt3は、突起t1、t2に巻き付けられている突起巻回部wt31と、突起t3、t4に巻き付けられている突起巻回部wt32と、第1巻回部b1(第1部分wt1)から第2巻回部b2(第2部分wt2)にまで延びる延在部wt33とを有する。更に、第3部分wt3は、突起t1、t2から第1巻回部b1に延びる延在部wt34と、突起t3、t4から第2巻回部b2に延びる延在部wt35とを有する。
【0067】
収容凹部p3は、第3部分wt3(の全体)を収容している。収容凹部p3は、突起t1,t2と共に突起巻回部wt31を収容する第1凹部p31と、突起t3、t4と共に突起巻回部wt32を収容する第2凹部p32と、延在部wt33を収容する第3凹部p33とを有する。更に、収容凹部p3は、延在部wt34を収容する第4部分p34と、延在部wt35を収容する第5部分p35とを有する。
【0068】
突起t1、t2は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。突起t3、t4は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。第3部分wt3は、ソール外面8aよりも外側に突出していない。
【0069】
以上に説明された点を除き、ヘッド130はヘッド2と同じである。ヘッド130は、クラウン部に、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有さない。
【0070】
図11は、第6実施形態のヘッド140をソール側から見た底面図である。ヘッド140(ソール部8)は、第1巻回部b1と、第2巻回部b2とを有する。ヘッド140(ソール部8)は、第1ポートp1を有さない。第1巻回部b1は、ソール外面8aよりも外側に露出している。ヘッド140(ソール部8)は、第2ポートp2を有さない。第2巻回部b2は、ソール外面8aよりも外側に露出している。
【0071】
ヘッド140(ソール8)は、突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4を有する。突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4は、第1巻回部b1よりもヒール側に配置されている。突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4は、第2巻回部b2よりもトウ側に配置されている。
【0072】
ヘッド140(ソール8)は、第3部分wt3を収容する収容凹部p3を有さない。第3部分wt3は、ソール外面8aよりも外側に突出している。突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4は、ソール外面8aよりも外側に突出している。
【0073】
第3部分wt3は、第1巻回部b1(第1部分wt1)と第2巻回部b2(第2部分wt2)との間において、突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4の少なくともいずれかに巻き付けられうる。また、突起t1、突起t2、突起t3及び突起t4からなる群から選ばれた2以上の突起間を渡すように、第3部分wt3が巻き付けられうる。複数の突起を利用して、様々な形態で第3部分wt3を巻き付けることができる。
【0074】
以上に説明された点を除き、ヘッド140はヘッド2と同じである。ヘッド140は、クラウン部に、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有さない。
【0075】
図12は、第7実施形態のヘッド150をソール側から見た底面図である。ヘッド150(ソール部8)は、第1巻回部b1と、第2巻回部b2とを有する。ヘッド150(ソール部8)は、第1ポートp1を有さない。第1巻回部b1は、ソール外面8aよりも外側に露出している。ヘッド150(ソール部8)は、第2ポートp2を有さない。第2巻回部b2は、ソール外面8aよりも外側に露出している。ヘッド150(ソール部8)は、収容凹部p3を有さない。第1巻回部b1から第2巻回部b2まで延びるウェイト部材wt(第3部分wt3)は、ソール外面8aよりも外側に突出している。ヘッド150(ソール部8)は、ウェイト部材wtが巻き付けられうる突起を有さない。第1巻回部b1及び第2巻回部b2は、係合孔24を有さない。第1巻回部b1及び第2巻回部b2は、回転不能である。例えば指で、第1巻回部b1及び第2巻回部b2にウェイト部材wtを巻き付けることができる。
【0076】
図13(a)は第8実施形態のヘッド160をクラウン側から見た平面図であり、
図13(b)はヘッド160をソール側から見た底面図である。ヘッド160では、クラウン部6が、第1巻回部b1と第2巻回部b2とを有する。更に、クラウン部6が、第1巻回部b1を収容する第1ポートp1と、第2巻回部b2を収容する第2ポートp2と、第1ポートp1と第2ポートp2との間に延びておりウェイト部材wtの第3部分wt3を収容する収容凹部p3とを有している。ソール部8は、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有していない。以上に説明された点を除き、ヘッド160はヘッド2と同じである。
【0077】
図14は第9実施形態のヘッド170をクラウン側から見た平面図である。ヘッド170では、第1ポートp1、第2ポートp2及び収容凹部p3を覆う蓋部材172が取り付けられている。蓋部材172は、嵌め込み、ネジ止め等の公知の方法で取り付けられる。蓋部材172は、第1ポートp1、第2ポートp2及び収容凹部p3の少なくとも一部を覆っていてもよい。例えば、第1ポートp1を覆う第1の蓋部材と、第2ポートp2を覆う第2の蓋部材とが設けられてもよい。蓋部材172の存在を除き、ヘッド170はヘッド160と同じである。
【0078】
図15(a)は第10実施形態のヘッド180をクラウン側から見た平面図であり、
図15(b)はヘッド180をソール側から見た底面図である。ヘッド180では、クラウン部6が、第1巻回部b1と第2巻回部b2とを有している。更に、クラウン部6は、第1巻回部b1を収容する第1ポートp1と、第2巻回部b2を収容する第2ポートp2と、第1ポートp1と第2ポートp2との間に延びておりウェイト部材wtの第3部分wt3を収容する収容凹部p3とを有している。加えて、ソール部8は、第1巻回部b1と第2巻回部b2とを有している。更に、ソール部8は、第1巻回部b1を収容する第1ポートp1と、第2巻回部b2を収容する第2ポートp2と、第1ポートp1と第2ポートp2との間に延びておりウェイト部材wtの第3部分wt3を収容する収容凹部p3とを有している。
【0079】
図16(a)は第11実施形態のヘッド190をクラウン側から見た平面図であり、
図16(b)はヘッド190をソール側から見た底面図である。ヘッド190では、クラウン部6が第1巻回部b1を有しており、ソール部8が第2巻回部b2を有している。クラウン部6は、第1巻回部b1を収容する第2ポートp2を有している。ソール部8は、第2巻回部b2を収容する第2ポートp2を有している。収容凹部p3は、クラウン部6からソール部8にかけて延びている。収容凹部p3は、クラウン部6に位置する第1ポートp1とソール部8に位置する第2ポートp2との間に延びている。収容凹部p3は、ウェイト部材wtの第3部分wt3を収容する溝である。
【0080】
図17は、第12実施形態のゴルフクラブヘッド200をソール側から見た底面図である。
図18(a)は
図17のA-A線に沿った断面図である。
図18(b)は
図17のB-B線に沿った断面図である。
図18(c)は
図18(a)及び
図18(b)のC-C線に沿った断面図である。
【0081】
ヘッド200(ヘッド本体h1)は、フェース部4、クラウン部6、ソール部8、及びホーゼル部10を有する。ヘッド200をクラウン側から見た平面図は、
図1と同じである。ソール部8は、ソール外面8aとソール内面8bとを有する。(
図18(a)及び
図18(b)参照)。
【0082】
ヘッド200は、第1巻回部b1と、第2巻回部b2と、ウェイト部材wtとを有する。ヘッド本体h1に第1巻回部b1及び第2巻回部b2が取り付けられ、第1巻回部b1と第2巻回部b2との間にウェイト部材wtが渡されている。本実施形態では、ソール部8が、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を有する。第1巻回部b1と第2巻回部b2とは、ウェイト部材wtで繋がっている。第1巻回部b1は、第2巻回部b2よりもトウ側に設けられている。第1巻回部b1は、フェースセンターFcよりもトウ側に設けられている。第2巻回部b2は、フェースセンターFcよりもヒール側に設けられている。
【0083】
ウェイト部材wtは、細長い部材である。ウェイト部材wtは、第1巻回部b1と第2巻回部b2とを繋ぎ、且つ、第1巻回部b1に巻き付けられる第1部分wt1又は第2巻回部b2に巻き付けられる第2部分wt2を確保できる長さを有している。
【0084】
図18(a)が示すように、第1巻回部b1は、巻き取り部20と、ネジ23とを有する。巻き取り部20は、巻き軸(スプール)を構成している。ネジ23は、巻き取り部20の中心に設けられた貫通孔20bを貫通している。更に、ネジ23は、第1ポートp1の底部p11に設けられた雌ネジ孔25にねじ込まれている。巻き取り部20は、ネジ23に対して自由に回転しうる。
【0085】
第1巻回部b1(巻き取り部20)に、ウェイト部材wtが巻き取られている。ウェイト部材wtのうち、第1巻回部b1に巻き取られている部分が、第1部分wt1である。第1巻回部b1による巻き取り量によって、第1部分wt1の長さ(長手方向長さ)は変動する。第1巻回部b1による巻き取り量によって、第1部分wt1の重量は変動する。
【0086】
第1巻回部b1は、係合孔24を有する。係合孔24の形状は、第1巻回部b1を回転させる工具の先端部が係合する。この工具は、例えば、スクリュードライバーである。この工具により、第1巻回部b1を回転させることができる。
【0087】
ネジ23の頭部は、ネジ孔27を有する。ネジ孔27の形状は、ネジ23を回転させる工具の先端部が係合する。この工具は、例えば、スクリュードライバーである。この工具により、ネジ23を締め付けたり緩めたりすることができる。
【0088】
第2巻回部b2の構成は、第1巻回部b1と同じである。
図18(b)が示すように、第2巻回部b2は、巻き取り部20と、ネジ23とを有する。巻き取り部20は、巻き軸(スプール)を構成している。巻き取り部20は、ネジ23に対して自由に回転しうる。ネジ23を回転中心として、巻き取り部20は回転しうる。第2巻回部b2(巻き取り部20)に、ウェイト部材wtが巻き取られている。ウェイト部材wtのうち、第2巻回部b2に巻き取られている部分が、第2部分wt2である。第2巻回部b2による巻き取り量によって、第2部分wt2の長さ(長手方向長さ)は変動する。第2巻回部b2による巻き取り量によって、第2部分wt2の重量は変動する。
【0089】
ウェイト部材wtにより、第1巻回部b1の回転と第2巻回部b2の回転とは互いに連動しうる。回転力を付加して第1巻回部b1を巻き取り方向に回転させると、これに従動して、第2巻回部b2が送り出し方向に回転されうる。回転力を付加して第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させると、これに従動して、第1巻回部b1が送り出し方向に回転されうる。この連動は、ヘッド重心位置の調整の容易性を高める。
【0090】
ウェイト部材wtは、第3部分wt3を有する。第3部分wt3は、あらゆる巻回体b1,b2に巻きつれられていない部分である。本実施形態では、第3部分wt3は、第1部分wt1と第2部分wt2との間の部分である。
【0091】
第2巻回部b2は、係合孔24を有する。係合孔24の形状は、第2巻回部b2を回転させる工具の先端部が係合する。この工具は、例えば、スクリュードライバーである。この工具は、第1巻回部b1を回転しうる工具と共通である。
【0092】
図18(c)が示すように、第1巻回部b1は、回転抵抗機構30を有する。回転抵抗機構30は、回転ギア32と、ギア係合部34とを有している。回転ギア32は、巻き取り部20と一体である。回転ギア32は、巻き取り部20と一体で回転する。ギア係合部34は、回転ギア32の歯32aに係合している。この係合により、回転ギア32の回転が阻止されている。回転ギア32が回転しようとすると、ギア係合部34に応力が作用する。回転ギア32からの力により、ギア係合部34は弾性的に変形する。回転ギア32からの力が所定値を超えると、ギア係合部34の弾性変形が大きくなり、ギア係合部34が歯32aを乗り越える。この弾性変形が繰り返されることで、回転ギア32は回転抵抗を受けつつ回転する。回転抵抗機構30は、巻き取り方向の回転及び送り出し方向の回転に対して同一の抵抗力を付与する。
【0093】
第2巻回部b2も、第1巻回部b1と同じ回転抵抗機構30を備えている。
【0094】
第1巻回部b1を巻き取り方向に回転させることで、第1部分wt1の重量が増加し、且つ、第2部分wt2の重量が減少する。すなわち、ウェイト部材wtの重量は、第1部分wt1に多く配分される。この結果、ヘッド2の重心が第1巻回部b1側に移動する。本実施形態では、ヘッド2の重心がトウ側に移動する。
【0095】
第2巻回部b2を巻き取り方向に回転させることで、第2部分wt2の重量が増加し、且つ、第1部分wt1の重量が減少する。すなわち、ウェイト部材wtの重量は、第2部分wt2に多く配分される。この結果、ヘッド2の重心が第2巻回部b2側に移動する。本実施形態では、ヘッド2の重心がヒール側に移動する。
【0096】
回転抵抗機構30は、第3部分wt3における張力を維持するのに寄与している。
【0097】
図18(a)では、ネジ23を締め付けた状態とネジ23を緩めた状態とが示されている。
図18(a)の左側の図がネジ23を締め付けた状態を示し、
図18(a)の右側の図がネジ23を緩めた状態を示す。
【0098】
同様に、
図18(b)では、ネジ23を締め付けた状態とネジ23を緩めた状態とが示されている。
図18(b)の左側の図がネジ23を締め付けた状態を示し、
図18(b)の右側の図がネジ23を緩めた状態を示す。
【0099】
図18(a)が示すように、ネジ23を締め付けることで、回転ギア32が第1ポートp1の底部p11に押し付けられる。ネジ23を締め付けることで、第1巻回部b1(巻き取り部20)の回転を止めることができる。第1巻回部b1の回転が阻止されることで、第3部分wt3の緩みが防止されうる。ネジ23を緩めることで、第1巻回部b1の回転が許容される。
【0100】
図18(b)が示すように、ネジ23を締め付けることで、回転ギア32が第2ポートp2の底部p21に押し付けられる。ネジ23を締め付けることで、第2巻回部b2(巻き取り部20)の回転を止めることができる。第2巻回部b2の回転が阻止されることで、第3部分wt3の緩みが防止されうる。ネジ23を緩めることで、第2巻回部b2の回転が許容される。
【0101】
このように、本実施形態は、巻回部b1,b2の回転を阻止する回り止め機構を有する。この回り止め機構は、ネジ23を操作することで、回り止めと回転許容とを切り換えることができる。
【0102】
図19は、巻き取り部20の回り止めを可能とする凹凸面210を示す斜視図である。上述の第12実施形態(
図18)では、ポートの底部p11,p21と回転ギア32とを当接させることで、巻き取り部20の回り止めを達成している。この回り止めを確実とする観点から、ポートの底部p11,p21及び回転ギア32に凹凸面を設けることができる。これらの凹凸面同士が係合することで、回り止めの効果を高めることができる。凹凸面210は、この凹凸面の一例である。凹凸面210は、周方向の所定角度毎に設けられた第1面212と、第1面212同士の間に設けられた第2面214とを有する。周方向において、第1面212と第2面214とが交互に配置されている。複数の第1面212が、周方向において等間隔で配置されている。複数の第2面214が、周方向において等間隔で配置されている。第1面212は傾斜面である。第1面212は、軸方向に対して傾斜しており、且つ、周方向に対して傾斜している。第2面214は、軸方向に対して平行であり、且つ、周方向に対して直角である。
【0103】
図20は、凹凸面210が相手の面と噛み合った状態を示す側面図である。この相手の面は、凹凸面220である。凹凸面220は、凹凸面210を転写して得られる。凹凸面220は、第1面222と第2面224とを有する。周方向において、第1面222と第2面224とが交互に配置されている。複数の第1面222が、周方向において等間隔で配置されている。複数の第2面224が、周方向において等間隔で配置されている。第1面222は傾斜面である。第1面222は、軸方向に対して傾斜しており、且つ、周方向に対して傾斜している。第2面224は、軸方向に対して平行であり、且つ、周方向に対して直角である。
【0104】
図20が示すように、凹凸面210と凹凸面220との噛み合い状態では、第1面212と第1面222とが面接触しており、第2面214と第2面224とが面接触している。
【0105】
例えば、
図18の実施形態で、ポートの底部p11,p21の上面に凹凸面210を設け、回転ギア32の下面には凹凸面220を設けることができる。凹凸面210と凹凸面220との当接により、巻き取り部20が巻き取り方向に回転するように構成されている。すなわち、凹凸面210と凹凸面220とが、噛み合い状態とは異なる位相関係で当接したとき、傾斜面同士(第1面212と第1面222)の当接に起因して、噛み合い状態に向かって巻き取り部20を回転させる回転モーメントが生ずる。この回転モーメントは、巻き取り部20を巻き取り方向に回転させる。凹凸面210と凹凸面220とで、巻き取り方向への回転と共に回り止めがなされる回り止め締結機構226が構成されている。この回り止め締結機構226により、第3部分wt3の緩みを防止する効果が高まる。
【0106】
[効果]
以上の各実施形態で示される本開示のゴルフクラブヘッドは、以下の効果を奏する。
【0107】
第1巻回部b1での巻き付け量と第2巻回部b2での巻き付け量との比率を変えることで、ウェイト部材wtの重量配分を変えることができる。第1巻回部b1に巻き付けられている部分すなわち第1部分wt1を多くすることで、ヘッドの重心位置を第1巻回部b1側に移動させることができる。第2巻回部b2に巻き付けられている部分すなわち第2部分wt2を多くすることで、ヘッドの重心位置を第2巻回部b2側に移動させることができる。なお、第1巻回部b1及び第2巻回部b2における巻き付け量が、ウェイト巻き付け量とも称される。少なくとも第1部分wt1と第2部分wt2のいずれか一方のウェイト巻き付け量を変えることで、ヘッドの重心位置が調整される。
【0108】
第1巻回部b1及び第2巻回部b2の位置は自由に設定されうる。このため、所望の重心位置調整が実現されうる。例えば、
図2のヘッド2のように、第1巻回部b1をトウ側に配置し、第2巻回部b2をヒール側に配置することで、ヘッドの重心位置がトウ-ヒール方向で調整されうる。例えば、
図16のヘッド190のように、第1巻回部b1をクラウン部6に配置し、第2巻回部b2をソール部8に配置することで、ヘッドの重心位置が上下方向で調整されうる。第1巻回部b1の位置と第2巻回部b2の位置とはそれぞれ独立して設定することができるので、様々な調整が可能となる。第1巻回部b1及び第2巻回部b2に加えて突起も配置することで、調整の自由度が一層高まる。
【0109】
第1巻回部b1及び第2巻回部b2、更には突起の配置の自由度により、ヘッドの重心位置は様々な方向に変動しうる。
図2のような実施形態では、ヘッドの重心位置はトウ-ヒール方向に変動しうる。
図16(a),(b)の実施形態では、ヘッドの重心位置は上下方向に変動しうる。
図10の実施形態では、ヘッドの重心位置はフェース-バック方向及びトウ-ヒール方向に変動しうる。例えば
図2の実施形態において、第1巻回部b1のフェース-バック方向位置と第2巻回部b2のフェース-バック方向位置とを相違させることができる。この場合、ヘッドの重心位置はトウ-ヒール方向及びフェース-バック方向に変動しうる。例えば
図16の実施形態において、第1巻回部b1のトウ-ヒール方向位置と第2巻回部b2のトウ-ヒール方向位置とを相違させることができる。この場合、ヘッドの重心位置は上下方向及びトウ-ヒール方向に変動しうる。このように、様々な調整が可能である。巻回されることが可能なウェイト部材wtは、その柔軟性により、ヘッドにおける様々な重量配分を可能とする。
【0110】
第1巻回部b1と第2巻回部b2とのペアを2つ以上設けることもできる。2以上のペアにより、ヘッドの重心位置の調整の自由度を更に高めることができる。例えば
図15のヘッド180では、第1のペアがクラウン部6に配置され、第2のペアがソール部8に配置されており、より自由度の高い調整が可能となる。
【0111】
ウェイト部材wtが交換可能であってもよい。例えば、単位長さ当たりの重量が異なるウェイト部材wtに交換されてもよい。また、束ねられた2本以上のウェイト部材wtが用いられてもよい。これらの構成は、調整の自由度を高める。
【0112】
第1ポートp1を設けることで、第1巻回部b1をヘッドの外面から突出しない状態とすることができる。第2ポートp2を設けることで、第2巻回部b2をヘッドの外面から突出しない状態とすることができる。収容凹部p3を設けることで、ウェイト部材wtの第3部分wt3をヘッドの外面から突出しない状態とすることができる。これらの突出しない状態は、ヘッドの美観を高め、空気抵抗を低減させる。またソール部8においては、接地抵抗が低減される。
【0113】
図3の実施形態では、第1巻回部b1及び第2巻回部b2のそれぞれは、巻き取り方向及び送り出し方向に回転しうる。第1巻回部b1及び第2巻回部b2のそれぞれは、巻き取り方向及び送り出し方向の両方において、回転抵抗を有している。第1巻回部b1及び第2巻回部b2は、所定の閾値未満の回転力(モーメント)では回転せず、当該閾値以上の回転力で回転する。この構成により、第3部分wt3に張力を与えた状態で第1巻回部b1及び第2巻回部b2の回転が停止したウェイト固定状態が容易に達成される。
【0114】
図4の実施形態では、第1巻回部b1及び第2巻回部b2のそれぞれは、巻き取り方向及び送り出し方向に回転しうる。第1巻回部b1及び第2巻回部b2のそれぞれは、ラチェット機構を有する。このラチェット機構は、回転方向を巻き取り方向と送り出し方向とに切り替えることができる。この構成により、第3部分wt3に張力を与えた状態で第1巻回部b1及び第2巻回部b2の回転が停止したウェイト固定状態が容易に達成される。
【0115】
図5の実施形態では、第1巻回部b1及び第2巻回部b2のそれぞれは、押す毎に飛び出し位置と押し込み位置とに切り替わるオルタネイト動作をするように構成されている。飛び出し位置では、第1巻回部b1、第2巻回部b2の回転が許容され、押し込み位置では第1巻回部b1、第2巻回部b2の回転が規制されている。この構成により、第3部分wt3に張力を与えた状態で第1巻回部b1及び第2巻回部b2の回転が停止したウェイト固定状態が容易に達成される。また、飛び出し位置では、第1巻回部b1、第2巻回部b2を指で回すことも可能となりうる。
【0116】
図5の実施形態に限らず、第1巻回部b1及び第2巻回部b2のそれぞれが、回転許容状態と回転規制状態とを切り替える切替機構を有していてもよい。この場合、ヘッドの重心位置を調整する際には第1巻回部b1及び第2巻回部b2を回転許容状態とし、ウェイト固定状態とする際には第1巻回部b1及び第2巻回部b2を回転規制状態とすることができる。
【0117】
図3、
図4、
図5及び
図18の実施形態では、第1巻回部b1及び第2巻回部b2は、送り出し方向への回転を規制する回転規制機構を有する。回転抵抗機構30(
図3(c))、ラチェット機構40(
図4(c))、回転阻止機構50(
図5(a),(b))及び回り止め機構(
図18(a),(b))は、回転規制機構の例である。この回転規制機構により、第3部分wt3を弛んでいない前記ウェイト固定状態が容易に達成される。また、
図18(a),(b)の実施形態では、2つの回転規制機構が設けられているため、第3部分wt3の緩みが効果的に抑制されうる。
【0118】
図19及び
図20に示される回り止め締結機構226は、上述の通り、例えば、
図18(a),(b)の実施形態に適用されうる。また、この回り止め締結機構226は、
図5の実施形態において、回転阻止機構50の代わりに適用されうる。この回り止め締結機構226は、第3部分wt3の緩みを効果的に抑制しうる。
【0119】
図7のヘッド100のように、第1巻回部b1、第2巻回部b2に透明性を付与することで、第1部分wt1及び第2部分wt2を外部から視認することができる。
図8のヘッド110では、切り欠き20aを通して、第1部分wt1及び第2部分wt2を外部から視認することができる。この場合、第1部分wt1及び第2部分wt2の巻き付け量を確認することができる。
【0120】
第1部分wt1及び第2部分wt2は、いずれか一方だけでも視認できれば、他方の巻き付け量が想定されうる。この観点から、次の(a)又は(b)を満たすヘッドが好ましい。より好ましくは、
図7及び
図8の実施形態のように、次の(a)及び(b)を満たすヘッドとされうる。
(a)前記第1巻回部に巻き取られている前記第1部分が外部から視認できるように構成されている。
(b)前記第2巻回部に巻き取られている前記第2部分が外部から視認できるように構成されている。
【0121】
第1部分wt1、第2部分wt2が外部から視認されうる構成としては、上述の透明性及び切り欠きの他、巻回部b1、b2をヘッド外面から突出させること、巻回部b1、b2とポートp1、p2との間の隙間を拡げること、等でも達成されうる。
【0122】
図9-11のヘッド120、130、140のように、第1巻回部b1及び第2巻回部b2の他に、ウェイト部材wtの第3部分wt3が巻き付けられうる1又は2以上の突起が設けられてもよい。第1巻回部b1及び第2巻回部b2に加えて、1又は2以上の突起にもウェイト部材wtを巻き付けることで、調整の自由度が更に高まる。
【0123】
図11のヘッド140のように、第1巻回部b1、第2巻回部b2及びウェイト部材wtの第3部分wt3がヘッド外面から突出していてもよい。ヘッド140では、第1ポートp1、第2ポートp2及び収容凹部p3が不要とされる。このため、ヘッド本体h1の成形が容易となり、且つ、ヘッド本体h1の設計自由度が高められる。また、
図12のヘッド150のように、第1巻回部b1及び第2巻回部b2がヘッド外面から突出している場合、第1巻回部b1及び第2巻回部b2を、工具を用いずに指で回転させることができる。
【0124】
図12のヘッド150のように、第1巻回部b1及び第2巻回部b2は回転不能であってもよい。この場合、例えば指でウェイト部材wtを第1巻回部b1及び第2巻回部b2に巻き付けることができる。第1巻回部b1及び第2巻回部b2のうちの一方が回転可能であり、他方が回転不能であってもよい。ヘッド重心位置の調整性の観点から、第1巻回部b1及び第2巻回部b2は、巻き取り方向及び送り出し方向に回転可能であるのが好ましい。
【0125】
図14のヘッド140では、蓋部材172が設けられている。この構成により、異物の侵入から第1巻回部b1、第2巻回部b2及び第3部分wt3が保護されうる。また、第1巻回部b1、第2巻回部b2及び第3部分wt3に芝等が引っかかることが防止される。蓋部材172が透明性を有していてもよい。この透明性により、蓋部材172で覆われた第1巻回部b1、第2巻回部b2及び/又は第3部分wt3を外部から視認することが可能となる。
【0126】
ヘッド体積が大きいヘッドでは、第1巻回部b1と第2巻回部b2とを離すことができ、第1巻回部b1及び第2巻回部b2の配置の自由度が高まる。よって、ヘッドの重心位置の調整幅及び調整の自由度が高まる。これらの観点から、ヘッドは中空部を有する中空ヘッドが好ましい。同じ観点から、ヘッドの体積は、100cc以上が好ましく、200cc以上がより好ましく、300cc以上がより好ましく、350cc以上がより好ましく、400cc以上がより好ましく、420cc以上がより好ましい。ゴルフルールの観点から、ヘッド体積は470cc以下が好ましく、460cc以下がより好ましい。
【0127】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
フェース部、クラウン部及びソール部を有するゴルフクラブヘッドであって、
巻回されることが可能なウェイト部材と、
前記ウェイト部材の第1部分を巻き付けうる第1巻回部と、
前記第1巻回部から離れて配置されており、前記ウェイト部材の第2部分を巻き付けうる第2巻回部と、
を有しており、
前記第1部分と前記第2部分との重量比率を変えることで、前記ヘッドの重心位置が調整されるゴルフクラブヘッド。
[付記2]
前記第1巻回部及び前記第2巻回部の少なくとも1つが、巻き取り方向及び送り出し方向に回転可能である付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記3]
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、巻き取り方向及び送り出し方向に回転可能である付記1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、前記送り出し方向への回転を規制する回転規制機構を有する付記3に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記5]
前記第1部分を含む前記第1巻回部を収容する第1ポートと、
前記第2部分を含む前記第2巻回部を収容する第2ポートと、
前記ウェイト部分における前記第1部分及び前記第2部分を除いた部分である第3部分を収容する収容凹部と、
を有している付記1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、前記ソール部に配置されている付記1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記7]
前記第1巻回部及び前記第2巻回部が、前記クラウン部に配置されている付記1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記8]
前記第1巻回部が、前記ソール部に配置されており、
前記第2巻回部が、前記クラウン部に配置されている付記1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド
[付記9]
次の(a)及び/又は(b)を満たす付記1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
(a)前記第1巻回部に巻き取られている前記第1部分が外部から視認できるように構成されている。
(b)前記第2巻回部に巻き取られている前記第2部分が外部から視認できるように構成されている。
[付記10]
フェース部、クラウン部及びソール部を有するゴルフクラブヘッドであって、
巻回されることが可能なウェイト部材と、
前記ウェイト部材の第1部分を巻き付けうる第1巻回部と、
前記第1巻回部から離れて配置されており、前記ウェイト部材の第2部分を巻き付けうる第2巻回部と、
を有しており、
少なくとも前記第1部分と前記第2部分のいずれか一方のウェイト巻き付け量を変えることで、前記ヘッドの重心位置が調整されるゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0128】
2、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200・・・ヘッド
4・・・フェース部
4a・・・打撃面
6・・・クラウン部
6a・・・クラウン外面
8・・・ソール部
8a・・・ソール外面
8b・・・ソール内面
10・・・ホーゼル部
20・・・巻き取り部
20a・・・切り欠き
23・・・ネジ
24・・・係合孔
30・・・回転抵抗機構
40・・・ラチェット機構
50・・・回転阻止機構
60・・・オルタネイト機構
70・・・巻き取り部
172・・・蓋部材
b1・・・第1巻回部
b2・・・第2巻回部
p1・・・第1ポート
p2・・・第2ポート
wt・・・ウェイト部材
wt1・・・第1部分
wt2・・・第2部分
wt3・・・第3部分