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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140985
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】挿し穂の発根装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 2/10 20180101AFI20220921BHJP
【FI】
A01G2/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041092
(22)【出願日】2021-03-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター、イノベー ション創出強化研究推進事業「用土を用いない空中さし木法による、コスト3割削減で2倍の生産量を実現するスギさし木苗生産方法の確立」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501186173
【氏名又は名称】国立研究開発法人森林研究・整備機構
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(71)【出願人】
【識別番号】521108593
【氏名又は名称】株式会社林田樹苗農園
(71)【出願人】
【識別番号】391011700
【氏名又は名称】宮崎県
(71)【出願人】
【識別番号】515034286
【氏名又は名称】株式会社長倉樹苗園
(71)【出願人】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(71)【出願人】
【識別番号】591224788
【氏名又は名称】大分県
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】栗田 学
(72)【発明者】
【氏名】倉本 哲嗣
(72)【発明者】
【氏名】久保田 正裕
(72)【発明者】
【氏名】近藤 禎二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敦史
(72)【発明者】
【氏名】林田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】林田 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】三樹 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】上杉 基
(72)【発明者】
【氏名】長倉 良守
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】平田 令子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太一郎
(57)【要約】
【課題】
本発明の他の目的は、簡単な構造で低コストで製造でき、さらに、挿し穂育成時の空間利用効率を向上させ、量産化を実現し得る挿し穂の発根装置を提供する。
【解決手段】
挿し穂の発根装置10は、閉鎖空間12と、閉鎖空間内において有用樹種の樹木から葉を有した枝部分を切断して形成した挿し穂pを発根させるべく挿し穂を支持する支持手段14と、支持手段で支持した挿し穂の葉及び枝を含む略全体に水が付着している状態を生成する水付着手段16と、を含む。さらに、支持手段14は、挿し穂全体に水が付着するように全体が空気中露出、又は保湿空間で該挿し穂を空中支持する空中支持装置18を含む。挿し穂の切口部分を着底させて支持することなく空中支持状態で挿し穂全体に水を付着させ 簡単構造で低コストの装置を用い、軽易作業、作業時間短縮を達成しつつスペース当たりの生産効率を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間と、
閉鎖空間内において有用樹種の樹木から葉を有した枝部分を切断して形成した挿し穂を発根させるべく挿し穂を支持する支持手段と、
支持手段で支持した挿し穂の葉及び枝を含む略全体に水が付着している状態を生成する水付着手段と、を含み、
支持手段は、挿し穂全体に水が付着するように全体が空気中露出、又は保湿空間で該挿し穂を空中支持する空中支持装置を含むことを特徴とする挿し穂の発根装置。
【請求項2】
空中支持装置は、平面状に張設し網目孔を利用して挿し穂を通係保持させる複数の可撓ネットを有する可撓ネット体であって、可撓ネットどうしが密接又は間隔を空けて層状に組み立てられた可撓ネット体と、
可撓ネット体の面部を横方向又は鉛直方向又は斜め上方向に向けるように配置させるネット支持機構と、を含むことを特徴とする請求項1記載の挿し穂の発根装置。
【請求項3】
可撓ネット体は、可撓ネットを平面状に張設支持する複数のネット枠を含み、
ネット支持機構は、少なくとも2つの可撓ネット体を拝み合わせ状に配置したその頂部に設けられネット枠の下端側を開閉自在に枢支する枢支部を含むことを特徴とする請求項2記載の挿し穂の発根装置。
【請求項4】
可撓ネット体は、可撓ネットを平面状に張設支持する複数のネット枠を含み、
ネット支持機構は、可撓ネット体を一端側が高位で他端側を低位とする傾斜状態で支持する傾斜支持体を有することを特徴とする請求項2記載の挿し穂の発根装置。
【請求項5】
空中支持装置は、網目孔を利用して挿し穂を通係保持させるネット筒体であり、剛性ネット枠又は剛性ネット枠と可撓ネット体との組合せネット筒体を含むネット筒体を含み、
これらのネット筒体は地面に対して安定載置可能な基部を含むことを特徴とする請求項1記載の挿し穂の発根装置。
【請求項6】
空中支持装置は、一面から他面側へ挿し穂の枝部を通係させる切込みを有する可撓性シートと、
該可撓性シートに重畳させて可撓性シートとともに挿し穂を空中支持する押さえシートと、を含み、
可撓性シートと押さえシートを重畳させた状態でロール状に丸めて形成される立位設置姿勢と、を有することを特徴とする請求項1記載の挿し穂の発根装置。
【請求項7】
空中支持装置は、発泡プラスチック系厚板シートと、
発泡プラスチック系厚板シートの厚み方向に打ち抜いた複数の挿し穂の貫挿孔と、を備えた厚板シート支持器を含むことを特徴とする請求項1記載の挿し穂の発根装置。
【請求項8】
空中支持装置は、支持機構と、
下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように支持機構に支持される平置きの多孔枠体と、を含むことを特徴とする請求項1記載の挿し穂の発根装置。
【請求項9】
空中支持装置は、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように吊支する吊支用索体と、
吊支用索体を支持する索体支持部と、を含み、
吊支用索体は、下端側に挿し穂を連結させる連結端を有することを特徴とする請求項1記載の挿し穂の発根装置。
【請求項10】
水付着手段は、閉鎖空間内に微細水滴を供給する微細水滴供給装置であって、圧電振動子の振動エネルギーを介して閉鎖空間内に霧状水滴を供給する微細水滴供給装置を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の挿し穂の発根装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿し木栽培を行う際に樹木の枝を切断して形成した挿し穂から発根させるのに好適な挿し穂の発根装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植林の管理において、例えば、30~40cm程度の長さで樹木から葉付きの枝を切断して形成した挿し穂を、培土が入れられた挿し床に植えて、40~70cm程度まで成長させて規格化した規格苗を育て、規格苗を植林地に運搬し植えて植林を行う有用樹種の挿し木栽培が知られている。そして、出願人らは、根系栽培による発根状態の確認の困難性や発根後の掘り起こし作業、野外環境下での育成管理の困難さ等を解消し、さらに発根率の良好なさし穂の発根装置を特許第6709449号において提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6709449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、閉鎖空間内において複数の挿し穂を隣接して立てて支持させる支持手段と、支持手段で支持した挿し穂の葉及び枝を含む略全体に常に水が付着している状態を保持するように挿し穂全体にわたって散水する散水手段と、を有するものであり、樹木の葉部分からの水分吸収をも考慮して空気中に露出した状態で支持しつつ挿し穂の発根の促進と生産効率向上を行わせることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、平置き型の多孔ネットにより複数の挿し穂を隣接して立てて支持させているから、空間当たりの利用効率がそれほど高くないと共に、挿し穂の下端切口部分を着底して支持させるから発根時の生育に若干の妨げになる懸念があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単な設備構成でありながら挿し穂発根生育作業時の空間利用効率を向上させ限られたスペースでの量産化を実現し得るとともに、作業の段取りや発根済みの挿し穂の回収等を軽易な労力で済ませることのできる実用性に優れたさし穂の発根装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、簡単な構造で低コストで製造できる挿し穂の発根装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、閉鎖空間12と、閉鎖空間内において有用樹種の樹木から葉を有した枝部分を切断して形成した挿し穂pを発根させるべく挿し穂を支持する支持手段14と、支持手段14で支持した挿し穂pの葉及び枝を含む略全体に水が付着している状態を生成する水付着手段16と、を含み、支持手段14は、挿し穂全体に水が付着するように全体が空気中露出、又は保湿空間で該挿し穂を空中支持する空中支持装置18を含む挿し穂の発根装置10から構成される。なお、本発明では基部が着底している挿し穂を含む空中支持装置の場合をすべて除外するものではなく、ネットの面部の下端外縁部分などで着底している挿し穂を有する場合でも基部が非着底で発根誘導が有効に機能している挿し穂を付けている装置の場合は本発明に含まれる。
【0008】
その際、空中支持装置18は、平面状に張設し網目孔312を利用して挿し穂pを通係保持させる複数の可撓ネット301a~301cを有する可撓ネット体30であって、可撓ネットどうしが密接又は間隔を空けて層状に組み立てられた可撓ネット体30と、可撓ネット体30の面部を横方向又は鉛直方向又は斜め上方向に向けるように配置させるネット支持機構32と、を含むとよい。
【0009】
また、可撓ネット体30は、可撓ネット301a~301cを平面状に張設支持する複数のネット枠302を含み、ネット支持機構32は、少なくとも2つの可撓ネット体30を拝み合わせ状に配置したその頂部に設けられネット枠302の下端側を開閉自在に枢支する枢支部304を含むこととするとよい。
【0010】
また、可撓ネット体30は、可撓ネット301a~301cを平面状に張設支持する複数のネット枠302を含み、ネット支持機構32は、可撓ネット体30を一端側が高位で他端側を低位とする傾斜状態で支持する傾斜支持台322を有するとよい。
【0011】
さらに、空中支持装置18は、網目孔312を利用して挿し穂pを通係保持させるネット筒体であり、剛性ネット枠42又は剛性ネット枠42と可撓ネット体43との組合せネット筒体を含むネット筒体40を含み、これらのネット筒体40は地面に対して安定載置可能な基部44を含むこととしてもよい。
【0012】
また、空中支持装置18は、一面から他面側へ挿し穂の枝部を通係させる切込み502を有する可撓性シート50と、該可撓性シート50に重畳させて可撓性シートとともに挿し穂pを空中支持する押さえシート52と、を含み、可撓性シート50と押さえシート52を重畳させた状態でロール状に丸めて形成される立位設置姿勢54と、を有するとよい。
【0013】
さらに、空中支持装置18は、発泡プラスチック系厚板シート62と、発泡プラスチック系厚板シート62の厚み方向に打ち抜いた複数の挿し穂の貫挿孔622と、を備えた厚板シート支持器60を含むこととしてもよい。
【0014】
また、空中支持装置18は、支持機構70と、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙70sを有するように支持機構70に支持される平置きの多孔枠体72と、を含むとよい。
【0015】
また、空中支持装置18は、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように吊支する吊支用索体80と、吊支用索体を支持する索体支持部82と、を含み、吊支用索体80は、下端側に挿し穂を連結させる連結端802を有するようにしてもよい。
【0016】
また、水付着手段16は、閉鎖空間12内に微細水滴を供給する微細水滴供給装置90であって、圧電振動子の振動エネルギーを介して閉鎖空間内に霧状水滴を供給する微細水滴供給装置90を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の挿し穂の発根装置によれば、簡単な設備構成でありながら挿し穂発根生育作業時の空間利用効率を向上させ限られたスペースでの量産化を実現し得るとともに、作業の段取りや発根済みの挿し穂の回収等を軽易な労力で済ませることが可能である。また、簡単な構造で低コストで製造できる挿し穂の発根装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る挿し穂の発根装置の説明図である。
図2】(a)は、図1の装置の空中支持装置の2枚の可撓ネット体で斜め方向から網目を貫通させて挿し穂を保持させた側面説明図である。(b)は、図1の装置の空中支持装置の2枚の可撓ネット体で斜め方向から網目を貫通させて挿し穂を保持させた他の例の側面説明図である。
図3】(a)は、図1の空中支持装置のネット支持機構の枢支部の拡大図である。(b)は、複数の可撓ネット体によるネット支持機構の種々の支持形態を示す説明図である。
図4】は、図1の空中支持装置のネット支持機構の他の例を示す側面説明図である。
図5】(a)は、挿し穂の発根装置の第2実施形態に係る空中支持装置の概略構成説明図である。(b)は、(a)の装置のネット筒体の網目孔を貫通して筒体の裏面側の枠部分に係合固定させた例を示す断面説明図である。
図6】は、挿し穂の発根装置の第2実施形態の他の例のネット筒体を示す説明図である。
図7】挿し穂の発根装置の第3実施形態に係る空中支持装置の概略構成説明図であり、(a)は、2枚のシートを示す説明図、(b)は、可撓性シートの切込みに挿し穂の枝部を挿入させる状態を示す説明図、(c)は、全ての切込みに挿し穂の枝部を挿入させた可撓性シートと押さえシートを重畳させた状態を示す説明図、(d)は、挿し穂の挿入端側の枝部の配置を示す説明図である。
図8】(a)は、図6(d)の状態から重畳した2枚のシートをロール状に巻いて立てた状態を示す説明図、(b)は、重畳した2枚のシートをロール状に巻いて立てた状態の平面図、(c)は、(a)のロール状に巻いて立てた立体設置姿勢で上面開口に合成樹脂袋を被覆させた状態を示す説明図である。
図9】挿し穂の発根装置の第4実施形態に係る空中支持装置の概略構成説明図であり、(a)は、厚板シートに複数の貫挿孔を設けた状態を示す説明図、(b)は、厚板シートに挿し穂を取り付けた厚板シート支持器の例を示す説明図である。
図10】挿し穂の発根装置の第5実施形態に係る空中支持装置の概略構成説明図であり、(a)は、支持機構の孔に複数の挿し穂を縦方向で挿し入れた状態を示す概略構成説明図、(b)は、多孔枠体の下部空間側を示す説明図である。
図11】挿し穂の発根装置の第6実施形態に係る空中支持装置の概略構成説明図である。
図12】挿し穂の発根装置の第7実施形態に係る空中支持装置の概略構成説明図であり、(a)は、微細水滴供給装置の概略構成説明図、(b)は、微細水滴供給装置に隣接設置した空中支持装置を示す説明図である。
図13図12(a)は、第1実施形態の挿し穂の発根装置を用いて挿し穂を挿し付けした場合特許文献1の装置を用いて育成した場合の比較説明図、(b)は、そのグラフ図を示している
図14】挿し穂への水付着状態と発根特性との関係を示す実施例グラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下添付図面を参照しつつ本発明の挿し穂の発根装置の実施形態について説明する。本発明に係る挿し穂の発根装置は、種々の有用樹種を挿し木して苗を栽培する方法において、挿し穂から発根させる工程を、土に植え付けることなく空気中に露出した状態で良好に発根を誘導させることができる挿し穂の発根装置である。有用樹種は、例えば、スギ、ヒノキ、マツ、コウヨウザン等の針葉樹、ポプラ、ユーカリ等の広葉樹を含む林業用樹種、並びに緑化樹、機能性樹木、果樹等を含む。特に、本発明では、切断した挿し穂の基部が着底しない状態で空中支持させつつ閉鎖空間内の水付着に向けた水の供給下で十分な発根を誘導させる発根装置を提供するものである。
【0020】
図1ないし図3は、本発明の挿し穂の発根装置10の第1実施形態を示しており、図1において、挿し穂の発根装置10は、閉鎖空間12と、閉鎖空間12内において挿し穂pを発根させるべく支持する支持手段14と、支持手段で支持した挿し穂全体に水が付着している状態を生成する水付着手段16と、を含む。さらに、支持手段14は、挿し穂を空中支持装置18を含む。本実施形態による支持手段14では挿し穂pの切断部が受部に着底しない空中支持状態で支持する。
【0021】
本実施形態では、挿し穂の発根装置で発根操作する対象の挿し穂pは、例えば、林業用として植林、造林に利用されるスギ、ヒノキ、マツ、コウヨウザン等の有用樹種であり、親木である樹木から葉を有した枝部分を切断して形成されており、挿し穂の長さが例えば10~40cm程度、主軸となる軸枝部p2の太さは例えば3~10mm程度である。なお、樹木の種類やその他栽培状況等に応じて対象の挿し穂のサイズは適宜設定されることとしてもよい。
【0022】
閉鎖空間12は、例えば、ビニルハウス20や温室等によって形成され、外気から閉鎖された屋内の栽培空間である。図1に示すように、閉鎖空間12は、例えば、複数の挿し穂pを隣接して設置できる栽培空間があればよい。水付着手段16の構成により閉鎖空間12内に配置する場合にはそれに対応した大きさが必要であるが、閉鎖空間内に外部から水付着用の水分を供給する構成とする場合には挿し穂の支持手段14を収容可能な大きさであればよい。本実施形態では、水付着手段16として散水装置162を用いており、挿し穂の支持手段14と散水装置162の少なくとも散水部分等の構成設備を設置できうる大きさとしてある。なお、後述するように、閉鎖空間12は一定又は所要間隔で散水又は水滴が供給されるので保湿空間ともいえる。
【0023】
閉鎖空間12は、例えば、太陽光をある程度遮光して栽培空間内を暗く保持できるように、天面側に遮光率50%程度の遮光膜19が設けられている。閉鎖空間12は、気密されていなくてもよいが、風雨をさえぎるとともに、温度や湿度等をある程度管理できる程度に外気から隔成されていると好適である。
【0024】
水付着手段16は、閉鎖空間12内で支持手段14で支持した挿し穂pの葉及び枝を含む略全体に常に水が付着している状態を生成する手段であり、例えば閉鎖空間内を常時一定の温湿度状態に保持したり、所定の時間間隔で該挿し穂全体にわたって散水したり、微細水滴を閉鎖空間内に供給する等の方法が考えられる。
【0025】
本実施形態では、所要時間間隔で挿し穂の上方から散水して挿し穂全体に水を付着させる散水装置17を用いている。散水装置17は、例えば、給水圧送装置172によって水に高圧をかけて圧送し、パイプ174を介して接続された複数の散水ノズル176からミスト状の水を挿し穂pに向けて散布する周知のスプリンクラー装置からなる。散水装置17は、挿し穂全体に散水し、かつ支持手段14は常に挿し穂の略全体に水を付着させやすい構成となっている。単に挿し穂の発根部分のみに散水するよりも挿し穂全体に散水すると、葉部分にも水を付着させることにより蒸散を防止し、挿し穂中の水分を常時保持することができ、挿し穂が枯死するのを防止しながら良好に発根を促進できると考えられる。なお、挿し穂の略全体とは、例えば、挿し穂の表面積の3分の2以上の部分であり、挿し穂の表面積の3分の2以上に水が付着している状態を保持するように、散水手段により散水すると好適である。散水装置17による詳細な散水の例としては、例えば、散水装置であるスプリンクラー装置は、各散水ノズル176が散布するミスト状の水の粒径が0.05m以上~5mm以下の大きさに設定されており、毎分0.5リットル以上から6リットル以下の容量の水を散水して、1つの散水ノズル176により散水可能な範囲の複数の挿し穂に散水できるように設定される。散水装置17の散水ノズル176は、支持手段14により支持される挿し穂pの上方に30cm以上、500cm以下の高さ位置に設置されている。なお、散水ノズル176は、地上側に設置し、横方向又は上方向等に噴射して挿し穂に散水することとしてもよい。散水装置17による散水は、例えば、1日4回以上、1回当たり1分以上30分以内の時間で、間欠的に散水する。このようにして挿し穂の略全体に水が付着している状態を保持すると良い。なお、閉鎖空間内の温度、湿度を含む環境条件やその他の環境状況によって、散水量や散水回数を適宜調整して、挿し穂の水の付着状態を保持することとしてもよい。
【0026】
支持手段14は、栽培空間である閉鎖空間12内に設けられ、挿し穂pを発根させるべく挿し穂を支持する。図1図3に示すように本実施形態の支持手段は切断した挿し穂pの基部が着底しない完全空中支持の状態で挿し穂を支持する。なお、図1図3による本発明の実施形態で、図示されないが閉鎖空間12と、挿し穂全体に水が付着している状態を生成する水付着手段16と、を挿し穂の発根装置が含むことを前提としている。
【0027】
図1図3において支持手段14は、空中支持装置18を含む。空中支持装置18は、挿し穂の葉、枝部分を含む全体に水が付着するように全体が空気中露出、又は保湿空間で該挿し穂を空中支持する空中支持手段である。空中支持装置18は、挿し穂全体を空気中露出させるか、又は保湿空間で挿し穂を空中支持させる手段である。
【0028】
第1実施形態の空中支持装置18は、可撓ネット体30と、可撓ネット体を立てて配置させるネット支持機構32と、を含む。可撓ネット体30は、後述するネット枠302に矩形平面状に張設され、網目孔を有する可撓ネットであって相互に密接または間隔を空けて層状に組み立てられた複数の可撓ネット301を含む。可撓ネットは、繊維や合成樹脂製のネット製品を用いることができる。図2(a)、(b)は、平面状に張設された可撓ネット301a、301b、301cの一部断面を示しており、(a)の可撓ネット表側21Aの301aと裏側21Bの301bは例えば10mm程度離間して面が略平行となるように張設されている。そして、301aと301bの可撓ネットのネット孔は共に、例えば35mm~40mmのサイズで同じ孔サイズに設定されている。また、(b)の可撓ネット301aと301cは(a)と同じネット間隔であるが、表側22Aの301aの可撓ネットに対して裏側22Bの301cの可撓ネットの網目孔サイズは、表側の7分の1~8分の1のサイズである5mmに小さく設定されている。挿し穂pを可撓ネット体30に挿しつけて支持させる際、図2(a)のように可撓ネット301aの網目孔312を通し、裏面側の可撓ネット301bの網目孔312を例えば少許長さ貫くと可撓ネットの面を斜めに挿しつけた状態となり、挿し穂の例えば中間の枝部等が表裏の可撓ネットの網目に掛かって下端の切口部分を底などに着けることなく挿し穂全体を空中に支持させた状態を保持する。また、(b)のように裏面側の網目孔が小さい場合には、表面側の可撓ネット301aの網目孔312のみを挿し穂の下端部が貫通し可撓ネット301cは貫通せずに両可撓ネット301a、301cで挟みつけられて空中支持状態で保持される。
【0029】
実施形態において、空中支持装置18は、さらにネット支持機構32を含む。ネット支持機構32は、可撓ネット体30の面部を横方向又は斜め上方向に向けるように立てて配置させる支持手段であり、図1図3に示すように頂部が拝み合わせ状に設置された2つの可撓ネット体30や片側のみを示した図2の可撓ネット体30はそれぞれ面部を斜め上方に向けて立てて配置されている。また、図3(b)では後述する枢支部を介して2つの可撓ネット体を平行状態、ハ字状、中間位置の各態様で立てて支持させるようになっている。
【0030】
可撓ネット体30は、詳細には例えば四角形その他任意形状の剛性枠体として組付けられたネット枠302を有し、ネット枠302に支持させてその内側に可撓ネット301を面状に張設している。ネット枠302は例えばアルミニウム枠材等の軽金属や塩化ビニル管等の合成樹脂管を用いて枠状に組み立てて利用できる。
【0031】
図3において、ネット支持機構32は、ネット枠302の下端側を開閉自在に枢支する枢支部304を含む。枢支部304は、この実施形態では、2つのネット枠302を拝み合わせ状に配置したその頂部に設けられている。なお、ネット支持機構32は実施形態のように2つのネット枠を枢支部で枢支連結する態様の他に、相対向して立てて配置されたネット枠の下部や下端側をそれらの間に渡した横杆の端部に枢着させ、上部側の任意の角度で係止用横杆で係止させて立位姿勢を保持させるようにしてもよい。
【0032】
図3の実施形態において、可撓ネット体30の各ネット枠302は、鉛直方向から数度~45度程度斜めに傾けた状態で設置される。そして、ネット支持機構32は、ハ字状に対向して立てて配置された2つのネット枠302の上端寄り位置において各ネット枠302の両縦枠から対向方向に短アーム306がそれぞれ延設されており、それらの延設端どうしを枢支ピン307で縫い刺し連結して枢支部304を形成している。これによって、両可撓ネット体30はそれらの下端側を開閉自在に位置決めすることができ、所望の可撓ネット体の斜めの面部を形成しながら、最良の発根生産効率を得る支持状態で挿し穂を支持させることができる。なお、ネット枠302は斜めに傾けることなく鉛直方向に立てて配置して設置支持してもよい。
【0033】
尚、図3(b)において、可撓ネット体30を立てて配置させるべく補助の支持アーム308を補助すべき可撓ネット体のさらに背面側に設置すると対向する片側の可撓ネットの立設角度を任意の角度に設定して最適の挿し穂の支持角度を得ることができる。
【0034】
第1実施形態の空中支持装置において、面部を横方向又は斜め上方向に向けるように立てて配置する可撓ネット体は実施態様の構成に限らず、閉鎖空間内において、複数組みを配置して栽培することができる。また、空中支持装置の組み立てや挿し穂の挿し付け、回収作業も簡単で、それらの作業に大きな労力負荷がかからない。
【0035】
空中支持装置18が含む可撓ネット体30は、上述したようにその面部を横方向又は斜め上方向に設置するだけでなく、垂直方向に向けて設置してもよい。この場合、ネット支持機構32は、可撓ネット体30の下面側で受ける複数の支柱や基台、梁部材、吊支部材等を用いて可撓ネット体の支持を行うことができる。また、水平に対して垂直以外の斜め支持については、ネット体の面を斜め状態にして支持する架台等により支持させるようにしてもよい。
【0036】
すなわち、図4に示すように可撓ネット体30は、可撓ネット301を平面状に張設支持する複数のネット枠302を含み、ネット支持機構32は、可撓ネット体30を一端側が高位で他端側を低位とする傾斜状態で支持する傾斜支持台322を有するとよい。図4において、傾斜支持台322は、高脚部324と低脚部326とをベース板328で接合した変形コ字状の台である。高脚部324と低脚部326のそれぞれの上端には図示しない締結部材が取り付けられており、それぞれの脚部上端に跨って傾斜配置させたネット枠302の適宜の位置を締結して傾斜状態で固定させる。また、単に位置決め用のストッパ等を各脚部の上端部に設けてもよい。なお、高脚部や低脚部に上下伸縮部材等を付設してそれぞれの高さ調節を可能にして傾斜角度を任意の角度に設定できるようにしてもよい。
【0037】
第1実施形態の挿し穂の発根装置において、挿し穂を空中支持装置18に挿し付ける際の具体的な例について説明する。例えば、有用樹種であるスギの樹木から葉を有した枝部分を、長さ30~40cm程度の長さで切断して挿し穂を形成する。なお、挿し穂の切断面を薬剤処理したり基部側の側枝等を適宜処理しておいてもよい。ビニルハウス等により形成した閉鎖空間12に設置した空中支持装置18は、可撓ネット体30の斜めに傾いたネット枠302の可撓ネットの網目孔312から挿し穂の軸枝部p2を挿入すると、可撓ネットどうしが例えば1cm程度の間隔で保持されている場合、挿し穂の枝表面の凹凸や小さな枝や芽等により挿し穂は引っかかって係止されその状態で保持される。なお、可撓ネットどうしは密着していてもあるいは1cmより大きな幅間隔で設置されていても挿し穂はネットに係止される。これらの作業は簡単で労力を要せずかつ短時間で完了させることができる。また、挿し穂を傷つけることがない。空中支持装置18により、挿し穂を支持させた状態で、散水装置17により、常に挿し穂の略全体に水が付着した状態が保持されるように、所定の時間間隔での散水を繰り返して、発根を誘導させる。常時、挿し穂全体への水の付着状態を保持することにより、例えば、2~4ヶ月程度で、挿し穂pの下部側切口部分から発根する。挿し穂全体は空気中に露出しているので、発根状態を目視で簡単に、しかも確実に確認することができる。本実施形態の発根装置により発根させた挿し穂は、網目孔312から引き抜かれて、例えば、所定の育苗容器に土が入れられた栽培空間に植え付けられて根鉢状態の規定苗を製造する工程に移行される。特に本実施形態では、図3(a)、(b)に示すように可動式で可撓ネット301を保持するネット枠302の角度を変えることができ、散水装置からの水滴の付着具合や採光、作業しやすさ等に合わせて自在に調整することができる。本実施形態では、可撓ネット体30に挿し付けられる挿し穂は、下端の行並びの挿し穂は着底しない程度の高さ位置に基部が位置するように挿し付けられており、可撓ネット301の全面にわたり、挿し穂が着底しない状態で空中支持される。
【0038】
次に、図5,6により本発明の第2実施形態に係る挿し穂の発根装置について説明するが、第1実施形態と同一部材には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。また、後述する第3実施形態以降のすべての実施形態における挿し穂の発根装置を含めて、図示されていなくとも、挿し穂の発根装置10は、閉鎖空間12と、閉鎖空間12内に配置した支持手段14と、支持手段で支持した挿し穂全体に水が付着している状態を生成する水付着手段16と、を有している。第2実施形態では、支持手段としての空中支持装置18はその本体部分がネット筒体40で構成されている。なお、図4は構成を把握しやすいように模式的に表示している。すなわち、この実施形態ではネット筒体40は剛性ネット枠42を含み、それ自体が地面に対して安定載置可能となっている。
【0039】
図5の挿し穂の発根装置の空中支持装置18は、ネット筒体40を含み、該ネット筒体40は、複数の網目孔422を形成する剛性ネット枠42を含む。実施形態において、例えば合成樹脂を一体成型で複数の網目孔422を形成する剛性ネット枠42を形成し、さらにこの剛性ネット枠42の外形を円筒体形状に構成している。これによって、挿し穂を挿し付ける際には、円筒の外周の1つの網目孔422から挿し穂の枝部分を挿入し、挿し穂の挿入端側の枝部分を対向する反対側の外周側の網目孔422に通し、この部分を例えばファスナテープその他の簡易結着部材424により固定して挿し穂を支持させる。また、ファスナテープ等の固定部材を用いなくても挿し穂を一方の網目孔422から挿し通し挿し穂の切口部分が対向する周面側の網目枠に係止される場合もある。また、挿し穂を挿し通した場合、さらに小枝や葉をつけている部分が最初に挿し通した側の網目孔部分に引っ掛かって係止される場合もある。いずれも、簡単で労力を要せずかつ短時間で完了させることができる。本実施形態では、ネット筒体40に挿し付けられる挿し穂は、筒体の下端部分において挿し付けられる挿し穂は着底しない程度の高さ位置に基部が位置するように挿し付けられており、ネット筒体40の表面全面にわたり、挿し穂が着底しない状態で空中支持される。なお、散水装置17による散水方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0040】
さらに、第2実施形態の空中支持装置18において、ネット筒体40は、地面に対して安定載置可能な基部44を有している。この第2実施形態ではネット筒体構成のために空中支持装置18自体の安定設置が可能である。また、別途に安定載置用の支持台や支持装置を用いてもよい。
【0041】
図6の例では、図5と同様の剛性ネット枠42の表面に可撓ネット体43を被着させて剛性ネット枠と可撓ネット体との組合せネット筒体46を構成している。この図6の例では、表面側の可撓ネット体43の一部を切り開いてその開口431から挿し穂を挿入させて支持させると外周のその箇所だけで挿し穂を空中支持させることができる。
【0042】
次に、図7、8により本発明の第3実施形態に係る挿し穂の発根装置について説明するが、第1実施形態と同一部材には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。第3実施形態では、空中支持装置18は少なくとも1つの可撓性シートを用いてこれをロール巻きにして構成されている。すなわち、第3実施形態において、空中支持装置18は、可撓性シート50と、押さえシート52と、を含む。
【0043】
可撓性シート50は、実施形態において、多数の気泡を包含するポリエチレンシートが用いられている。その他、可撓性シートとして、多数の気泡を含む柔らかな素材の例えば矩形のシートや発泡性の合成樹脂を好適に用いることができる。さらに、気泡入りの気泡緩衝材シートや包装用合成樹脂シート、不織布シート、その他の合成樹脂シートを用いることができる。可撓性シート50は、複数あるいは多数か所に挿し穂pの枝部を挿し入れて通係させる切込み502が設けられている。本実施形態の可撓性シート50及び押さえシート52は、片面側に多数並列凸条を設けてロール状に巻き込んだ際にシート間に隙間を生じるようにさせ、さらに挿し穂を軽く押し付けて空間支持を行わせるようにしている。
【0044】
図7(b)に示すように可撓性シート50に適宜の間隔を空けて門形状あるいはコ字状の切込み502が設けられており、この切込み502の内側の短冊部分504を引き起こして挿し穂の軸枝部p2からシートの裏面側に向けて貫通状に挿し通し挿し穂の葉部が見える程度の挿し込み位置で係止させて再び短冊部分を戻して保持される。切込み502は、可撓性シート50が立てられた際の下端寄り位置に挿し付けられる挿し穂の基部が着底しない程度で、下端部より上位に設けられた切込み502を最下端の切込みとして、相互に適宜の間隔を空けて可撓性シート50の全面に設けられている。これによって、可撓性シート50のほぼ全面にわたり、後述の押さえシート52と協働して挿し穂が着底しない状態で空中支持される。なお、散水装置17による散水方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0045】
押さえシート52は、可撓性シート50の裏面側に軽く重畳されて挿し穂pの軸枝部p2を軽く押さえ保持する。押し付けるのではなく挿し穂が反転して表側に離脱するのを防止する程度に押さえ保持するものである。
【0046】
そして、可撓性シート50と押さえシート52とを重畳させた状態でロール状に丸めた立位設置姿勢54が維持される。ここに、第3実施形態の空中支持装置18は、可撓性シート50と、押さえシート52と、立位設置姿勢54と、を含む。ロール状に丸めて筒状とした立位設置姿勢54では、図8(b)に示すように、それぞれの上位に位置した挿し穂の密集した葉部分が筒体の上端開放部分に露出する(図示では挿し穂をまばらに表示しているが、実際にはロール巻きした中心部分には挿し穂が束ねられている。したがって、この状態で上方から水や水滴が放散されると挿し穂自体や挿し穂間の隙間等を伝って流下し挿し穂の葉及び枝を含むほぼ全体に水が付着している状態を生成する。散水装置17による散水方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0047】
第3実施形態の空中支持装置18は、シートを地面に横たえた平面状態で挿し穂の挿し付け位置を決めることができ、生産管理上高い効率を期待できる上に、挿し付け作業も簡単で労力負荷も小さい。また、回収作業も簡単に完了させることができる。また、シートを丸めて端部を固定すれば自立するから、設置作業が簡単でありさらに閉鎖空間内で場所をとることがなく空間の利用効率が高い。
【0048】
さらに、図8(c)のように、空中支持装置の立位設置姿勢54においては散水後に装置個別に上端開放部分を被覆するように雰囲気遮断用のビニルシート等の被覆膜56を被着することにより、装置18内の湿度保持を個別装置について実現することができ、発根の促進に寄与し得る。
【0049】
次に、図9により本発明の第4実施形態に係る挿し穂の発根装置について説明するが、第1実施形態と同一部材には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。第4実施形態では、空中支持装置18は厚板シート支持器60を含む。厚板シート支持器60は、発泡プラスチック系厚板シート62と、発泡プラスチック系厚板シート62に設けた複数の貫挿孔622を含む。
【0050】
発泡プラスチック系厚板シート62は、実施形態において例えば910mm正方の発泡ポリエチレンシート厚板材から構成されている。発泡プラスチック系厚板材料としてはポリエチレンに限ることなく、発泡ポリプロピレン、ポリカーボネート板その他のポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン系発泡プラスチック系材料の厚板材を用いることができる。実施形態において図9(a)に示すように、発泡プラスチック系厚板シート62には、厚み方向に板面に対して斜め方向に打ち抜いた複数の貫挿孔622が行列位置に設けられている。発泡プラスチック系厚板シート62は、素材の密度が小さく可削性、加工性にすぐれている。実施形態では、16行、17列の配列で孔間隔を縦横に5cm設ける状態で計272個の貫挿孔622が設けられている。また、1行目よりさらに厚板シート62の端部寄り位置に吊下げ索条通係用の孔624が2個設けられている。貫挿孔622は、挿し穂に滴下したり付着する水や水滴の移動等を考慮して厚板シート622を立てた状態で斜め方向に挿し付けさせるべく、斜め方向に貫挿されているのが好ましい。本発明の第4実施形態の装置の空中支持装置18は、発泡プラスチック系厚板シート62と、発泡プラスチック系厚板シート62の厚み方向に打ち抜いた複数の挿し穂の貫挿孔622を含むものであり、具体的には複数の挿し穂枝を複数の貫挿孔622に挿通して保持させる。本実施形態では、厚板シート62の厚さ、各貫挿孔622の孔径サイズ、孔の深さ、厚板シート上での孔の配置、孔の板面に対する貫挿角度等を限定するものではなく、任意に設定することができる。また、孔の貫挿角度は板面に対して直交方向であってもよい。さらに、例えば孔を50,75,100mm間隔で千鳥状の配置で穿孔し、厚板シートの厚さも50,75,100mmと複数種類のものを用いることができる。特に厚板100mmの厚板シートに対し斜めに貫挿孔を穿孔させる場合には孔の深さが例えば200mm近くなり、40cm以上の通常穂、大型穂でも挿し付けることが可能となる。発泡プラスチック系厚板シート62の下端部よりやや上位に最下端部の貫挿孔622を設け、挿し穂を通係させた場合に挿し穂の切り口部分を含む基部が着底しない程度の位置で空中支持させることができる。これによって、発泡プラスチック系厚板シート62のほぼ全面にわたり、挿し穂が着底しない状態で空中支持させることができる。
【0051】
第4実施形態の厚板シート支持器60は、図9(b)に示すように、具体的には、閉鎖空間12内であって、発泡プラスチック系厚板シート62を立てたときの上端高さより高い位置に支持棒や支持索体等の吊架体625を横方向に張架して固定し、これに紐や金属線条等の吊下げ具626の一端を連結すると共に他端側を厚板シートの索条通係用の孔624に通して吊下げ支持される。この場合、貫挿孔622を貫通した挿し穂の切口面を互いに対向させ挿し穂の葉の部分が外側に配置されるようにして背面合わせ状に吊支させることにより、発根部位が陰となり水分の蒸発を抑制して水付着時間を持続させることができる。また、空中支持装置である厚板シート支持器60全体が計量なので吊るすことができ、また挿し付け作業や装置の組み立て作業労力も軽易であり労力負荷も小さい。さらに、この実施例においても挿し穂の大きさに応じて孔間隔と孔径を変えることができるので挿し穂の生産効率向上に寄与し得る。なお、第4実施形態の厚板シート支持器60は必ずしも吊下げて使用することに限らず、下部側に支持用のL型部材や挿し込み保持台、その他の支持部材を用いて下部側で支持させるようにしてもよい。散水装置17による散水方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0052】
次に、図10により本発明の第5実施形態に係る挿し穂の発根装置について説明するが、第1実施形態と同一部材には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。第5実施形態では、空中支持装置18は支持機構70と、平置きの多孔枠体72と、を含む。
【0053】
図10において、第5実施形態に係る挿し穂の発根装置の空中支持装置18の支持機構70は、平置きの多孔枠体72をその下面側に所要の高さ空隙70sを設けるように平置き状態で支持させる手段である。実施形態において、多孔枠体70は、例えば縦90cm、横180cmの矩形枠体で網目孔サイズが10cm正方程度の金属や合成樹脂製の網目枠からなり、この多孔枠体72の四隅位置に下面側に高さ20cm程度の高さ空隙を形成するように支持台702を設置して多孔枠体全体を平置き状態で空中支持している。なお、図示しないが、多孔枠体72の上面隅部等に他の受台等を載置してその上に他の多孔枠体を載置し、挿し穂を異なる高さ位置での網目孔で拘束して保持させてもよい。
【0054】
第5実施形態に係る装置の空中支持装置では、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように平置きの多孔枠体72を支持機構70に支持させるだけで図10(b)のように挿し穂を空中支持させることができるので、簡単な設備と低コストにより挿し穂の発根装置を実現することができる。なお、散水装置17による散水方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。下面側に所要高さの空隙70sを設けた平置きの多孔枠体72により挿し穂の発根栽培を行った結果、従来技術の挿し穂の切口部分を着底させて栽培する方法では挿し付けた全体の挿し穂の90%に対して、本実施形態による切口部分を非接地とする栽培方法では100%の発根率を得ることが実験上確認されている。
【0055】
次に、図11により本発明の第6実施形態に係る挿し穂の発根装置について説明するが、第1実施形態と同一部材には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。第6実施形態では、空中支持装置18は吊支用索体80と、索体支持部82と、を含む。吊支用索体80は、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように吊支する吊支手段であり、本実施形態では、1つの吊支用索体80により1本の挿し穂を吊支する。吊支用索体80は針金、布やビニル紐等であり1本の挿し穂を吊支できればよいので軽量の金属細線などでもよい。さらに、吊支用索体80は下端側に挿し穂を連結させる連結端802を有している。連結端802は、上端側を閉鎖空間12内に横架させた支持棒804に例えば結び付け、下端側を挿し穂pの軸枝部p2その他の適宜の個所に結び付け、引っ掛け等適宜の方法で連結させる部位である。なお、乾燥防止のため下端の切口部分を間隔を空けて被覆するように各挿し穂の下端部分にプラスチック製等の円筒状保護環806が取り付けられている。散水装置17による散水方法は、第1実施形態と同様に行うことができる。第6実施形態の挿し穂の発根装置では、設備が簡単、設備コストが低廉、空中支持操作が軽作業で済む等の効果を奏し得る。第6実施形態の吊支用索体により挿し穂を個別に吊支させて栽培する方法では、切口を着底させる栽培方式とほぼ同等の発根率(37本/40本=92.5%)を得ることができることが確認された。
【0056】
次に、図12により本発明の第7実施形態に係る挿し穂の発根装置について説明するが、第1実施形態と同一部材には同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。第7実施形態では、上記の各実施形態における水付着手段16の他の実施態様を示している。
【0057】
第7実施形態に係る挿し穂の発根装置において、水付着手段16は、微細水滴供給装置90を含む。この第7実施形態において、挿し穂の発根装置10は、閉鎖空間12と、閉鎖空間12内において挿し穂pを発根させるべく支持する支持手段14と、支持手段で支持した挿し穂全体に水が付着している状態を生成する水付着手段16と、を含み、さらに、支持手段14は、挿し穂の空中支持装置18を含む。本実施形態において、微細水滴供給装置90は、閉鎖空間12内に微細水滴を供給する手段であり、圧電振動子の振動エネルギーを介して閉鎖空間内に霧状水滴を供給する。
【0058】
図12(a)において、閉鎖膜91としての例えばビニル等合成樹脂シートを立体的に張架して閉鎖空間12を形成し、その中に水を貯留した水槽902と、水槽902に隣接して第5実施形態と同様の、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有する平置きの多孔枠体72が基枠904に支持されて設置されている。なお、図12(b)は閉鎖空間12の形成手段としてのビニル樹脂シートの図示は省略しているが、水槽902や支持手段14は閉鎖空間内に配置されていることを前提としている。そして、水槽902内に微細水滴供給装置90が設置されている。水槽902内には図示しない給水タンクから供給パイプを介して水が給水され、フロートスイッチにより一定水位を保つようになっている。水槽902内の微細水滴供給装置90には圧電振動子が設置されており、駆動回路から印加される高周波電圧により圧電振動子を超音波振動させ、その振動エネルギーで水面に生じた水の微粒子を支持手段により支持された挿し穂の上空へ送風ファンにより送給させる。閉鎖空間12内で所要の温湿度条件で微細水滴を供給しつつ葉及び枝を含む挿し穂の略全体に水を付着した状態を生成させる。なお、水槽902や微細水滴供給装置90は閉鎖空間外部に設置し外部で微細水滴を製造して供給管等を介して閉鎖空間内に供給させるようにしてもよい。第7実施形態の微細水滴供給装置90を用いた水付着状態の生成方法では、切口を着底させる従来の栽培方法とほぼ同等の発根率(17本/20本=85%)を得ることができることが確認された。
【0059】
以上説明した本願発明に係る挿し穂の発根装置によれば、閉鎖空間と、閉鎖空間内において有用樹種の樹木から葉を有した枝部分を切断して形成した挿し穂を発根させるべく挿し穂を支持する支持手段と、支持手段で支持した挿し穂の葉及び枝を含む略全体に水が付着している状態を生成する水付着手段と、を含み、支持手段は、挿し穂全体に水が付着するように全体が空気中露出、又は保湿空間で該挿し穂を空中支持する空中支持装置を含むことにより、挿し穂の切口部分を着底させて支持することなく空中支持状態で挿し穂全体に水を付着させるから、挿し穂の葉、小枝、粗面状枝肌等を利用して軽い押さえ、押し当て、引っ掛け等の係止方法を用いた簡単な構造の装置を用いて、低コスト、軽易作業、作業時間短縮を達成しつつスペース当たりの生産効率を向上させることができる。
【0060】
また、空中支持装置は、平面状に張設し網目孔を利用して挿し穂を通係保持させる複数の可撓ネットを有する可撓ネット体であって、可撓ネットどうしが密接又は間隔を空けて層状に組み立てられた可撓ネット体と、可撓ネット体の面部を横方向又は斜め上方向に向けるように立てて配置させるネット支持機構と、を含むから、例えば複数の可撓ネット体を併設して配置し、横方向又は斜め上方向に向けるように立てて配置させることにより、層状に組み立てられた可撓ネットの網目孔に挿し穂を挿通させるだけで挿し穂を空中支持させることができ、簡単な構造の装置を用いて、低コスト、軽易作業、作業時間短縮を達成しつつスペース当たりの生産効率を向上させることができる。
【0061】
また、可撓ネット体は、可撓ネットを平面状に張設支持する複数のネット枠を含み、ネット支持機構は、少なくとも2つの可撓ネット体を拝み合わせ状に配置したその頂部に設けられネット枠の下端側を開閉自在に枢支する枢支部を含むことにより、可撓ネット体の斜面の角度を水付着手段からの水の供給角度や供給方式、採光、設置スペース等を考慮した調整が必要な場合に簡単、かつ自在に角度調節して挿し穂の空中支持姿勢を保持することが可能である。
【0062】
また、可撓ネット体は、可撓ネットを平面状に張設支持する複数のネット枠を含み、
ネット支持機構は、可撓ネット体を一端側が高位で他端側を低位とする傾斜状態で支持する傾斜支持体を有することにより、傾斜支持台上に可撓ネット体を載置して固定させるだけで可撓ネット体の面を傾斜状態で支持することができるから、簡単な構造の装置を用いて、低コスト、軽易作業、作業時間短縮を達成しつつスペース当たりの生産効率を向上させることができる。
【0063】
また、空中支持装置は、網目孔を利用して挿し穂を通係保持させるネット筒体であり、剛性ネット枠又は剛性ネット枠と可撓ネット体との組合せネット筒体を含むネット筒体を含み、これらのネット筒体は地面に対して安定載置可能な基部を含む構成とすることにより、挿し穂を網目孔から通係させて周方向の対向位置で挿通を止めるだけで、挿し穂の空中支持を実現でき、低コスト、軽易作業、作業時間短縮を達成しつつ単位スペース当たりの生産効率を向上させることができる。
【0064】
また、空中支持装置は、一面から他面側へ挿し穂の枝部を通係させる切込みを有する可撓性シートと、該可撓性シートに重畳させて可撓性シートとともに挿し穂を空中支持する押さえシートと、を含み、可撓性シートと押さえシートを重畳させた状態でロール状に丸めて形成される立位設置姿勢と、を有するから、平置きした可撓性シートの切込み部分を開いて挿し穂を挿通状態で配置させ、押さえシートを重畳させた状態でロール状に丸めて立位設置姿勢とするだけで、挿し穂を空中支持させることができ、複数のシートだけの簡単な構造の装置を用いて、低コスト、軽易作業、作業時間短縮を達成しつつスペース当たりの生産効率を向上させることができる。また、空中支持装置をさらに軽量、コンパクトに構成できるから、生産効率を大幅に向上させることが可能である。さらに、被覆カバー等を用いて簡単な構成、低コストで湿度保持調整を行うことができる。
【0065】
また、空中支持装置は、発泡プラスチック系厚板シートと、発泡プラスチック系厚板シートの厚み方向に打ち抜いた複数の挿し穂枝の貫挿孔と、を備えた厚板シート支持器を含むから、発泡プラスチック系厚板シートに簡単な加工を施すだけで、空中支持装置を構成することができ。これにより、低コスト、軽易作業、作業時間短縮を達成できる。また、空中支持装置を軽量、コンパクトに構成できるから、生産効率を向上させることが可能である。
【0066】
空中支持装置は、支持機構と、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように支持機構に支持される平置きの多孔枠体と、を含む構成とすることにより、挿し穂の切口部分を着底させて支持することなく挿し穂の葉、小枝、粗面状枝肌等を利用して空中支持状態で挿し穂全体に水を付着させるから、低コスト、軽易な管理作業、作業時間短縮を達成しつつ挿し穂の発根を実現させることができる。
【0067】
空中支持装置は、下面に挿し穂の発根が十分に生育し得る高さ空隙を有するように吊支する吊支用索体と、吊支用索体を支持する索体支持部と、を含み、吊支用索体は、下端側に挿し穂を連結させる連結端を有する構成とすることにより、吊支用索体と、索体支持部の身の構成で空中支持装置を構成できるから、簡単な構造の装置を用いて、低コスト、軽易作業による挿し穂の発根装置を実現させることができる。
【0068】
また、水付着手段は、閉鎖空間内に微細水滴を供給する微細水滴供給装置であって、圧電振動子の振動エネルギーを介して閉鎖空間内に霧状水滴を供給する微細水滴供給装置を含む構成とすることにより、水槽内に微細水滴供給装置を配置し電源のみを用いて閉鎖空間内の挿し穂に水を供給することができる。これによって、給水圧送装置、パイプ、散水ノズル等の大掛かりな設備を必要とすることなく、閉鎖空間内の挿し穂全体の水付着を実現させることができる。したがって、設備コストが大幅に低廉となるばかりでなく、メンテナンスコストを低廉に維持し得る。
【0069】
次に、上記の本実施形態に係る挿し穂の発根装置を用いて挿し穂を発根した実施例について説明する。図12(a)は、図1の空中支持装置18の片面側の可撓ネット30について、4個の挿し付け区分を設定し、それぞれ各区において挿し穂の挿し付け密度を異ならせた状態を模式的に表示したものであり、同図(b)は、挿し穂の挿し付け密度と発根率との関係をそれぞれの区分について示したグラフ図である。図12(b)に示すように、406本区の発根率は75%、305本区の発根率71.7%、203本区が83.3%、152本区が82.5%であった。第1実施形態の斜め挿し付けの生産効率は、406本区×0.75=304.5本/m2、305本区×0.717=218.7本/m2、203本区×0.833=169.1本/m2、152本区×0.825=125.4本/m2である。なお、各区の挿し穂の本数は、塗りつぶしに反転したセルの密度で挿し穂を挿し付けた場合の表面と裏面ぶんの本数を挿し穂の張り出し位置を加味した平面投影面積で除した本数である。一方、特許文献1の図2の平置き着底支持形式のパレット状育成装置を用いて育成した場合は、150本/m2が適しており、この場合の発根率は90%であることが実験上証明されている。したがって、従来のパレット状育成装置の場合の生産効率は150×0.9=135本/m2となる。これより、第1実施形態で最も生産効率が良い406本区で考えると、特許文献1の装置に比較して発根穂の単位面積当たり生産効率は304.5/135=2.3となり、第1実施形態による斜め挿し式の装置は、従来パレット式に比べて1m2当たりで得られる発根した穂の数が2.3倍になることが判る。
【0070】
次に、上記の本実施形態に係る挿し穂への水付着手段を用いて挿し穂を発根した実施例について説明する。図13は、挿し穂への水付着状態と発根特性との関係を示す実施例グラフ図である。この実施例では、挿し穂の挿し付け時(0週後)を1とした時の穂の重さ(相対重量)の推移を58日間追跡した結果を示す。穂の重さを計測するときは穂の表面についている水を落として穂重量を計測したものである。グラフより、挿し穂重量が挿しつけ時の穂の重さの60%を下回ると枯損が生じることが判る。これから、挿し付け時の穂の重さの60%以上の穂の重量を維持するように、水付着手段による穂への水の付着を生じさせる必要があると考えられる。
【0071】
以上説明した本発明の挿し穂の発根装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の挿し穂の発根装置は、スギ、ヒノキ、マツ、コウヨウザン等の針葉樹、ポプラ、ユーカリ等の広葉樹等を含む有用樹種を挿し木して利用する際に挿し木苗の製造時の発根工程で好適に利用できる。
【符号の説明】
【0073】
p 挿し穂
p2 挿し穂の軸枝部
10 挿し穂の発根装置
12 閉鎖空間
14 支持手段
16 水付着手段
17 散水装置
18 空中支持装置
30、39A~30D 可撓ネット体
301a,b,c 可撓ネット
302 ネット枠
312 網目孔
32 ネット支持機構
40 ネット筒体
42 剛性ネット枠
422 網目孔
43 可撓ネット体
50 可撓性シート
52 押さえシート
54 立位設置姿勢
60 厚板シート支持器
62 発泡プラスチック系厚板シート
622 貫挿孔
70 支持機構
70s 高さ空隙
72 多孔枠体
80 吊支用索体
90 微細水滴供給装置
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