(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141000
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】飲料容器、および、ラベル
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20220921BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B65D25/20 K
B65D25/20 Q
G09F3/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041110
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】591036996
【氏名又は名称】フジテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】古市 弘
(72)【発明者】
【氏名】山岸 正則
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA04
3E062AA08
3E062AA09
3E062AB02
3E062DA07
(57)【要約】
【課題】飲料容器等が、適温上限と適温下限との間の適温範囲にあるか否かを容易に把握することを可能にする技術を提供する。
【解決手段】飲料容器は、開口部を有し、飲料を収容する容器本体部と、前記開口部を閉鎖する閉鎖部と、飲料容器外表面に貼付されるラベルとを具備する。前記ラベルは、適温可視化領域と、前記適温可視化領域の周囲に配置される背景領域と、を備える。前記飲料容器外表面の温度が適温上限を上回るとき、前記背景領域と前記適温可視化領域とは、第1色に同色化され、前記飲料容器外表面の温度が適温下限を下回るとき、前記背景領域と前記適温可視化領域とは、前記第1色とは異なる第2色に同色化される。前記飲料容器外表面の温度が適温範囲にあるとき、前記背景領域の色が前記第2色で前記適温可視化領域の色が前記第1色とされるか、あるいは、前記背景領域の色が前記第1色で前記適温可視化領域の色が前記第2色とされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、飲料を収容する容器本体部と、
前記開口部を閉鎖する閉鎖部と、
飲料容器外表面に貼付されるラベルと
を具備し、
前記ラベルは、
適温可視化領域と、
前記適温可視化領域の周囲に配置される背景領域と
を備え、
前記飲料容器外表面の温度が適温上限を上回るとき、前記背景領域と前記適温可視化領域とは、第1色に同色化され、
前記飲料容器外表面の温度が適温下限を下回るとき、前記背景領域と前記適温可視化領域とは、前記第1色とは異なる第2色に同色化され、
前記飲料容器外表面の温度が適温範囲にあるとき、前記背景領域の色が前記第2色で前記適温可視化領域の色が前記第1色とされるか、あるいは、前記背景領域の色が前記第1色で前記適温可視化領域の色が前記第2色とされる
飲料容器。
【請求項2】
前記ラベルは、
ベース層と、
カバー層と、
前記ベース層と前記カバー層との間に配置される中間層と
を含み、
前記中間層は、前記適温可視化領域を形成する第1インクと、前記背景領域を形成する第2インクとを含み、
前記第1インクおよび前記第2インクは、同一の前記ベース層の上面に接触配置されている
請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記カバー層の厚さは、前記第1インクと前記第2インクとを含む前記中間層の厚さよりも厚い
請求項2に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記容器本体部は、麦芽系発泡飲料を収容しており、
前記適温上限は、摂氏6度以上摂氏8度以下の範囲内のいずれかの値であり、
前記適温下限は、摂氏3度以上摂氏5度以下の範囲内のいずれかの値であり、
前記適温範囲では、前記麦芽系発泡飲料の状態が最適化される
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の飲料容器。
【請求項5】
前記第1色は暖色または白色であり、前記第2色は寒色であり、
前記飲料容器外表面の温度が前記適温範囲にあるとき、前記背景領域の色が前記寒色で、前記適温可視化領域の色が前記暖色または前記白色である
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の飲料容器。
【請求項6】
適温上限および適温下限を有する貼付対象物に貼付されるラベルであって、
適温可視化領域と、
前記適温可視化領域の周囲に配置される背景領域と
を備え、
前記貼付対象物の温度が前記適温上限を上回るとき、前記背景領域と前記適温可視化領域とは、第1色に同色化され、
前記貼付対象物の温度が前記適温下限を下回るとき、前記背景領域と前記適温可視化領域とは、前記第1色とは異なる第2色に同色化され、
前記貼付対象物の温度が適温範囲にあるとき、前記背景領域の色が前記第2色で前記適温可視化領域の色が前記第1色とされるか、あるいは、前記背景領域の色が前記第1色で前記適温可視化領域の色が前記第2色とされる
ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器、および、ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
温度に応じて色が変化する可変色ラベルを飲料容器に貼付して、飲料容器の温度を把握可能にする技術が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、変色ラベルが開示されている。特許文献1には、液晶を混入したインキを用いて印刷されたラベルをビール瓶に貼付することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭47-129269号(実開昭49-85091号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、飲料容器等が、適温上限と適温下限との間の適温範囲にあるか否かを容易に把握することを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0007】
いくつかの実施形態における飲料容器は、開口部(11)を有し、飲料を収容する容器本体部(10)と、前記開口部(11)を閉鎖する閉鎖部(20)と、飲料容器外表面(1s)に貼付されるラベル(30)と、を具備する。前記ラベル(30)は、適温可視化領域(AR1)と、前記適温可視化領域(AR1)の周囲に配置される背景領域(AR2)と、を備える。前記飲料容器外表面(1s)の温度が適温上限を上回るとき、前記背景領域(AR2)と前記適温可視化領域(AR1)とは、第1色に同色化される。前記飲料容器外表面(1s)の温度が適温下限を下回るとき、前記背景領域(AR2)と前記適温可視化領域(AR1)とは、前記第1色とは異なる第2色に同色化される。前記飲料容器外表面(1s)の温度が適温範囲にあるとき、前記背景領域(AR2)の色が前記第2色で前記適温可視化領域(AR1)の色が前記第1色とされるか、あるいは、前記背景領域(AR2)の色が前記第1色で前記適温可視化領域(AR1)の色が前記第2色とされる。
【0008】
上記飲料容器において、前記ラベル(30)は、ベース層(31)と、カバー層(35)と、前記ベース層(31)と前記カバー層(35)との間に配置される中間層(33)と、を含んでいてもよい。前記中間層(33)は、前記適温可視化領域(AR1)を形成する第1インク(N1)と、前記背景領域(AR2)を形成する第2インク(N2)とを含んでいてもよい。前記第1インク(N1)および前記第2インク(N2)は、同一の前記ベース層(31)の上面(31u)に接触配置されていてもよい。
【0009】
上記飲料容器において、前記カバー層(35)の厚さ(H1)は、前記第1インク(N1)と前記第2インク(N2)とを含む前記中間層(33)の厚さ(H2)よりも厚くてもよい。
【0010】
上記飲料容器において、前記容器本体部(10)は、麦芽系発泡飲料を収容していてもよい。前記適温上限は、摂氏6度以上摂氏8度以下の範囲内のいずれかの値であってもよい。前記適温下限は、摂氏3度以上摂氏5度以下の範囲内のいずれかの値であってもよい。前記適温範囲では、前記麦芽系発泡飲料の状態が最適化されてもよい。
【0011】
上記飲料容器において、前記第1色は暖色または白色であり、前記第2色は寒色であってもよい。前記飲料容器外表面(1s)の温度が前記適温範囲にあるとき、前記背景領域(AR2)の色が前記寒色で、前記適温可視化領域(AR1)の色が前記暖色または前記白色であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態におけるラベルは、適温上限および適温下限を有する貼付対象物に貼付されるラベルである。当該ラベルは、適温可視化領域(AR1)と、前記適温可視化領域(AR1)の周囲に配置される背景領域(AR2)と、を備える。前記貼付対象物の温度が前記適温上限を上回るとき、前記背景領域(AR2)と前記適温可視化領域(AR1)とは、第1色に同色化される。前記貼付対象物の温度が前記適温下限を下回るとき、前記背景領域(AR2)と前記適温可視化領域(AR1)とは、前記第1色とは異なる第2色に同色化される。前記貼付対象物の温度が適温範囲にあるとき、前記背景領域(AR2)の色が前記第2色で前記適温可視化領域(AR1)の色が前記第1色とされるか、あるいは、前記背景領域(AR2)の色が前記第1色で前記適温可視化領域(AR1)の色が前記第2色とされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、飲料容器等が、適温上限と適温下限との間の適温範囲にあるか否かを容易に把握することを可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における飲料容器を模式的に示す概略2面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の第1変形例における飲料容器を模式的に示す概略2面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の第2変形例における飲料容器を模式的に示す概略側面図である。
【
図4】
図4は、容器本体部の一部を拡大して示す概略側面図である。
【
図5】
図5は、容器本体部の一部を拡大して示す概略側面図である。
【
図6】
図6は、ラベルの温度に応じて、第1インクの色と第2インクの色とが変化する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態における飲料容器1、および、ラベル30に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0016】
(第1の実施形態)
図1乃至
図7を参照して、第1の実施形態における飲料容器1について説明する。
図1は、第1の実施形態における飲料容器1Aを模式的に示す概略2面図である。
図1の上側には概略平面図が記載され、
図1の下側の左半分には概略側面図が記載され、
図1の下側の右半分には概略縦断面図が記載されている。
図2は、第1の実施形態の第1変形例における飲料容器1Bを模式的に示す概略2面図である。
図2の上側には概略平面図が記載され、
図2の下側には概略側面図が記載されている。
図3は、第1の実施形態の第2変形例における飲料容器1Cを模式的に示す概略側面図である。
図4および
図5は、容器本体部10の一部を拡大して示す概略側面図である。
図6は、ラベル30の温度に応じて、第1インクN1の色と第2インクN2の色とが変化する様子を示す図である。
図7は、ラベル30の概略断面図である。
【0017】
図1に記載の例では、飲料容器1Aは、ステンレス鋼製のビール樽である。飲料容器1Aが、金属製である場合、飲料容器外表面1sに貼付されるラベル30の温度と、飲料容器1A内の飲料(例えば、ビールの温度)との差を小さくすることができる。ただし、第1の実施形態における飲料容器1は、金属製の容器に限定されない。飲料容器1は、ガラス製の容器であってもよいし、樹脂製の容器であってもよい。
【0018】
飲料容器1は、容器本体部10と、閉鎖部20と、ラベル30とを具備する。
【0019】
容器本体部10は、飲料を収容可能な部分である。容器本体部10は、開口部11を有する。開口部11からは飲料が取り出される。容器本体部10は、底部13および胴部14を有していてもよい。また、容器本体部10は、口金部12、上板部15、および/または、胴部14から上方に向かうにつれて外径が縮小する肩部16(
図3を参照。)を有していてもよい。
【0020】
閉鎖部20は、開口部11を閉鎖する部分である。
図1に記載の例では、閉鎖部20は、開口部11を開閉可能な弁部材である。当該弁部材は、容器本体部10内に配置される飲料取出管192によって規定される飲料流路を開閉する。代替的に、
図2に例示されるように、閉鎖部20は、容器本体部10の開口部11に対して破断可能に接続されたタブ(例えば、ステイオンタブ)であってもよい。代替的に、
図3に例示されるように、閉鎖部20は、容器本体部10の開口部11を開閉可能なキャップであってもよい。更に代替的に、閉鎖部20は、開口部を閉鎖する王冠であってもよいし、開口部を閉鎖する栓であってもよい。
【0021】
ラベル30は、飲料容器外表面1sに貼付される。ラベル30は、容器本体部10の外表面に貼付されることが好ましい。ラベル30は、適温可視化領域AR1と、適温可視化領域AR1の周囲に配置される背景領域AR2とを備える。ラベル30を正対視したときに、適温可視化領域AR1は、背景領域AR2によって囲まれていることが好ましい。
【0022】
適温可視化領域AR1は、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にあるとき、背景領域AR2に対して可視化される(
図4(b)を参照。)。他方、適温可視化領域AR1は、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲外にあるとき、背景領域AR2に対して非可視化される(
図4(a)あるいは
図4(c)を参照。)。なお、「背景領域AR2に対して非可視化される」ことには、背景領域AR2に対して完全に非可視化されることに加え、背景領域AR2に対する区別が一見しただけでは容易にできない状態にされることが包含される。
【0023】
続いて、飲料容器外表面1sの温度(換言すれば、容器本体部10内の飲料の温度)の変化に応じた、ラベル30の色の変化について説明する。
【0024】
(飲料容器外表面1sの温度が適温上限を上回る場合)
図4(a)には、飲料容器外表面1sの温度が適温上限を上回る場合(換言すれば、飲料容器外表面1sの温度が適温よりも高い場合)のラベル30の色の状態が示されている。
図4(a)に記載の例では、ラベル30の背景領域AR2の色は第1色であり、適温可視化領域AR1の色も第1色である。この場合、適温可視化領域AR1の色は、背景領域AR2の色に同色化されており、適温可視化領域AR1は、背景領域AR2に対して非可視化されている。適温可視化領域AR1が、背景領域AR2に対して非可視化されていることにより、ユーザは、飲料の温度が適温でないことを認識することができる。
【0025】
(飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にある場合)
図4(b)には、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にある場合(換言すれば、飲料容器外表面1sの温度が適温である場合)のラベル30の色の状態が示されている。
図4(b)に記載の例では、ラベル30の背景領域AR2の色は第2色であり、適温可視化領域AR1の色は第1色である。この場合、適温可視化領域AR1の色は、背景領域AR2の色と異なるため、適温可視化領域AR1は、背景領域AR2に対して可視化されている。適温可視化領域AR1が、背景領域AR2に対して可視化されていることにより、ユーザは、飲料の温度が適温であることを認識することができる。
【0026】
図4(a)および
図4(b)に記載の例では、飲料容器外表面1sの温度が、適温上限より高い温度から適温範囲の温度に下がるにつれて、背景領域AR2の色が変化する。こうして、色が変化しない適温可視化領域AR1の外形が背景領域AR2から差別化される。
【0027】
図4(a)および
図4(b)に記載の例では、色が変化する背景領域AR2の面積が、色が変化しない適温可視化領域AR1の面積よりも大きい。この場合、ユーザは、飲料の温度が、適温上限より高い温度から適温範囲の温度になったことをより視覚的に認識し易い。
【0028】
(飲料容器外表面1sの温度が適温下限を下回る場合)
図4(c)には、飲料容器外表面1sの温度が適温下限を下回る場合(換言すれば、飲料容器外表面1sの温度が適温よりも低い場合)のラベル30の色の状態が示されている。
図4(c)に記載の例では、ラベル30の背景領域AR2の色は第2色であり、適温可視化領域AR1の色も第2色である。この場合、適温可視化領域AR1の色は、背景領域AR2の色に同色化されており、適温可視化領域AR1は、背景領域AR2に対して非可視化されている。適温可視化領域AR1が、背景領域AR2に対して非可視化されていることにより、ユーザは、飲料の温度が適温でないことを認識することができる。
【0029】
図4(a)および
図4(c)に記載の例では、飲料容器外表面1sの温度が適温上限を上回る場合の背景領域AR2の色(換言すれば、第1色)と、飲料容器外表面1sの温度が適温下限を下回る場合の背景領域AR2の色(換言すれば、第2色)とが互いに異なる色である。よって、ユーザは、飲料の温度が適温よりも高すぎるのか、あるいは、低すぎるのかを容易に認識することができる。また、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲外にあるときには、適温可視化領域AR1と背景領域AR2とが同一色となるため、ユーザに目障り感を与えることがない。
【0030】
以上のとおり、第1の実施形態では、飲料容器外表面1sが、適温上限と適温下限との間の適温範囲にあるか否かを、ユーザは容易に把握することができる。
【0031】
(変形例)
図4(b)に記載の例では、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にある場合、ラベル30の背景領域AR2の色は第2色であり、適温可視化領域AR1の色は第1色である。これに対し、
図5(b)に記載の例では、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にある場合、ラベル30の背景領域AR2の色は第1色であり、適温可視化領域AR1の色は第2色である。その他の点では、
図5に記載の変形例は、
図4に記載の例と同様である。
【0032】
図5(a)および
図5(b)に記載の例では、飲料容器外表面1sの温度が、適温上限より高い温度から適温範囲の温度に下がるにつれて、適温可視化領域AR1の色が変化する。こうして、適温可視化領域AR1の外形が、色が変化しない背景領域AR2から差別化される。
【0033】
続いて、
図1乃至
図7を参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0034】
(第1インクN1、第2インクN2)
図1に記載の例では、ラベル30は、適温可視化領域AR1を形成する第1インクN1と、背景領域AR2を形成する第2インクN2とを含む。
【0035】
図6に例示されるように、第1インクN1は、第1閾値温度TH1付近(例えば、第1閾値温度-2℃から第1閾値温度+2℃までの範囲)で、第1インクN1の色が第1色と第2色との間で変化する第1示温材料によって構成される。例えば、第1インクN1の温度が低下されるとき、第1閾値温度TH1付近において、第1インクN1の色は第1色から第2色に変化する。また、第1インクN1の温度が上昇されるとき、第1閾値温度TH1付近において、第1インクN1の色は第2色から第1色に変化する。
【0036】
図6に記載の例では、第1閾値温度TH1は、摂氏4度であるが、第1閾値温度TH1は、摂氏4度に限定されない。第1閾値温度TH1は、摂氏5度、摂氏3度、あるいは、それ以外の温度であってもよい。
【0037】
図6に例示されるように、第2インクN2は、第2閾値温度TH2付近(例えば、第2閾値温度-2℃から第2閾値温度+2℃までの範囲)で、第2インクN2の色が第1色と第2色との間で変化する第2示温材料によって構成される。例えば、第2インクN2の温度が低下されるとき、第2閾値温度TH2付近において、第2インクN2の色は第1色から第2色に変化する。また、第2インクN2の温度が上昇されるとき、第2閾値温度TH2付近において、第2インクN2の色は第2色から第1色に変化する。
【0038】
図6に記載の例では、第2閾値温度TH2は、摂氏8度であるが、第2閾値温度TH2は、摂氏8度に限定されない。第2閾値温度TH2は、摂氏7度、摂氏6度、あるいは、それ以外の温度であってもよい。
【0039】
図6に記載の例では、第1閾値温度TH1は、第2閾値温度TH2よりも低い。この場合、当該第1インクN1および第2インクN2を用いることにより、
図4に示される実施形態を実現することができる。
【0040】
代替的に、第1閾値温度TH1は、第2閾値温度TH2より高くてもよい。この場合、当該第1インクN1および第2インクN2を用いることにより、
図5に示される実施形態を実現することができる。この場合、第1閾値温度TH1が、摂氏8度、摂氏7度、あるいは、摂氏6度であってもよい。また、第2閾値温度TH2が、摂氏5度、摂氏4度、あるいは、摂氏3度であってもよい。
【0041】
(ラベル30の層構造)
図7に記載の例では、ラベル30は、ベース層31と、カバー層35と、ベース層31とカバー層35との間に配置される中間層33とを含む。
【0042】
ベース層31は、中間層33を支持する層である。ベース層31は、複数の層によって構成されることが好ましい。
図7に記載の例では、ベース層31は、飲料容器外表面1s(より具体的には、容器本体部10の外表面)に接着可能な第1接着層31aと、第1樹脂フィルム層31bとを含む。
【0043】
カバー層35は、中間層33を覆うことにより中間層33を保護する。カバー層35は、透明材料によって構成されることが好ましい。
図7に記載の例では、カバー層35は、中間層33に接着可能な第2接着層35aと、第2樹脂フィルム層35bとを含む。
【0044】
図7に記載の例では、中間層33は、適温可視化領域AR1を形成する第1インクN1と、背景領域AR2を形成する第2インクN2とを含む。
【0045】
図7に記載の例では、第1インクN1および第2インクN2は、同一のベース層31の上面31u(より具体的には、第1樹脂フィルム層31bの上面)に接触配置されている。この場合、第1インクN1と第2インクN2とが上下方向に重なるように配置される場合と比較して、ラベル30全体の構造をシンプルにすることができる。
図7に記載の例では、第1インクN1とベース層31との間の接面と、第2インクN2とベース層31との間の接面とが、実質的に同一平面上にある。
【0046】
図7に例示されるように、第1インクN1および第2インクN2は、同一のカバー層35の下面35d(より具体的には、第2接着層35aの下面)に接触配置されるようにしてもよい。
【0047】
図7に記載の例では、カバー層35の厚さH1は、中間層33の厚さH2(換言すれば、第1インクN1または第2インクN2の厚さ)よりも厚い。この場合、ラベル30の周囲の環境から第1インクN1および第2インクN2への熱伝達が抑制され、第1インクN1および第2インクN2の色は、飲料容器外表面1sの温度をより的確に反映することとなる。
【0048】
なお、カバー層35の厚さH1は、例えば、20μm程度(10μm以上30μm以下)あるいは40μm程度(30μm以上50μm以下)である。また、中間層33の厚さH2は、例えば、10μm程度(5μm以上20μm以下)あるいは30μm程度(20μm以上50μm以下)である。
【0049】
(適温可視化領域AR1)
適温可視化領域AR1は、適温であることを示す文字、記号、図柄、あるいは、これらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0050】
(背景領域AR2)
背景領域AR2は、例えば、適温可視化領域AR1を囲む円形状、楕円形状、矩形形状等の規則的な幾何学形状であることが好ましい。この場合、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲外であるときに、ユーザは、円形状、楕円形状、矩形形状等の規則的な幾何学形状を視認し、適温可視化領域AR1の形状を実質的に視認しない。背景領域AR2の形状が規則的な幾何学形状である場合、ユーザに目障り感を与えることがない。
【0051】
(飲料の種類)
容器本体部10が収容する飲料は、例えば、麦芽系発泡飲料(より具体的には、ビール、ノンアルコールビール、あるいは、ビール以外の麦芽系発泡酒)である。麦芽系発泡飲料の温度が高すぎると、容器本体部10の開口部11が開放されたとき、飲料が過剰に泡立ち、泡が容器本体部10の頂部からあふれ出る可能性がある。また、麦芽系発泡飲料の温度が低すぎると、冷たすぎて、ユーザが麦芽系発泡飲料の味、舌触りを十分に堪能できない可能性がある。
【0052】
そこで、容器本体部10が収容する飲料が麦芽系発泡飲料の場合には、飲料容器外表面1sの適温上限が摂氏6度以上摂氏8度以下の範囲内のいずれかの値に設定され、飲料容器外表面1sの適温下限が摂氏3度以上摂氏5度以下の範囲内のいずれかの値に設定され、飲料容器外表面1sの適温範囲では、麦芽系発泡飲料の状態が最適化されるように構成されることが好ましい。
【0053】
なお、容器本体部10が収容する飲料が麦芽系発泡飲料の場合には、適温可視化領域AR1は、麦芽系発泡飲料の状態が最適化されていることを示す文字(例えば、「良」、「美味」等の文字)、記号(丸、二重丸等の記号)、図柄(グッドマーク、ニッコリマーク等の図柄)、あるいは、これらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0054】
(第1色、第2色の色)
第1色(換言すれば、飲料容器外表面1sの温度が適温上限を上回るときの第1インクN1および第2インクN2の色)は、暖色または白色であることが好ましい。第1色が暖色あるいは白色である場合、ユーザは、飲料の温度が高すぎることを直感的に認識できる。なお、本明細書において、暖色には、赤色、黄色、オレンジ色、ピンク色が含まれる。
【0055】
第2色(換言すれば、飲料容器外表面1sの温度が適温下限を下回るときの第1インクN1および第2インクN2の色)は、寒色であることが好ましい。第2色が寒色である場合、ユーザは、飲料の温度が低すぎることを直感的に認識できる。なお、本明細書において、寒色には、青色、藍色、水色が含まれる。
【0056】
また、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にあるとき、背景領域AR2の色が寒色で、適温可視化領域AR1の色が暖色または白色であることが好ましい。適温可視化領域AR1の色が暖色または白色であることにより、ユーザは、適温可視化領域AR1から冷淡な印象を受けることがない。ただし、実施形態において、飲料容器外表面1sの温度が適温範囲にあるとき、背景領域AR2の色を暖色または白色とし、適温可視化領域AR1の色を寒色とする態様も排除されない。また、実施形態において、第1色あるいは第2色が、暖色、寒色以外の色であることも排除されない。
【0057】
(飲料容器1)
図1に記載の例では、飲料容器1Aは、ステンレス鋼製のビール樽である。飲料容器1Aは、飲料容器1Aの口金部12は、飲料容器1Aから飲料を取り出すディスペンスヘッド(
図1には、図示されず。)に接続可能である。
【0058】
図1に記載の例では、飲料容器1Aは、口金部12と、上板部15(より具体的には、上鏡)と、底部13(より具体的には、下鏡)と、上板部15と底部13とを連結する胴部14と、上部プロテクタ175と、下部プロテクタ176と、を具備する。
【0059】
図1に記載の例では、口金部12と、上板部15と、底部13と、胴部14とによって、容器本体部10が構成される。ラベル30は、容器本体部10のうちの上板部15あるいは胴部14に貼付されることが好ましい。
図1に記載の例では、容器本体部10はステンレス鋼製であり、熱伝導率が高い。
【0060】
上部プロテクタ175は、上板部15および口金部12を保護する環状の部材である。上部プロテクタ175の上縁の高さは、口金部12の上縁の高さよりも高いことが好ましい。上部プロテクタ175がステンレス鋼製である場合、上部プロテクタ175の熱伝導率は高い。この場合、ラベル30は、上部プロテクタ175の外表面に貼付されてもよい。
【0061】
下部プロテクタ176は、底部13を保護する環状の部材である。下部プロテクタ176の下縁の高さは、底部13の下縁の高さよりも低いことが好ましい。下部プロテクタ176がステンレス鋼製である場合、下部プロテクタ176の熱伝導率は高い。この場合、ラベル30は、下部プロテクタ176の外表面に貼付されてもよい。
【0062】
図2に記載の例では、飲料容器1Bは、ビール缶等の飲料缶である。飲料容器1Bは、アルミ等の金属製である。飲料容器1Bの容器本体部10が金属製である場合、容器本体部10の熱伝導率が高い。この場合、飲料容器外表面1s(例えば、胴部14の外表面)に貼付されるラベル30の温度と、飲料容器1B内の飲料(例えば、ビールの温度)との差を小さくすることができる。
【0063】
図3に記載の例では、飲料容器1Cは、ボトルである。飲料容器1Cは、ボトル本体部として機能する容器本体部10と、閉鎖部20として機能するキャップとを備える。容器本体部10は、アルミ等の金属製であることが好ましい。容器本体部10が金属製である場合、容器本体部10の熱伝導率が高い。この場合、飲料容器外表面1s(例えば、胴部14の外表面)に貼付されるラベル30の温度と、飲料容器1C内の飲料との差を小さくすることができる。代替的に、飲料容器1Cは、樹脂製であってもよい(より具体的には、飲料容器1Cは、ペットボトルであってもよい。)。
【0064】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【0065】
第1の実施形態では、ラベル30が、飲料容器1の飲料容器外表面1sに貼付される例について説明された。代替的に、ラベル30は、飲料容器1の飲料容器外表面1s以外の貼付対象物に貼付されてもよい。この場合、第1の実施形態における「飲料容器外表面1s」、「容器本体部10」の記載を、それぞれ、「貼付対象物表面」、「貼付対象物」に読み替えることにより、第1の実施形態における説明は、ラベル30が任意の貼付対象物に貼付される場合の説明となる。
【符号の説明】
【0066】
1、1A、1B、1C:飲料容器
1s :飲料容器外表面
10 :容器本体部
11 :開口部
12 :口金部
13 :底部
14 :胴部
15 :上板部
16 :肩部
20 :閉鎖部
30 :ラベル
31 :ベース層
31a :第1接着層
31b :第1樹脂フィルム層
31u :上面
33 :中間層
35 :カバー層
35a :第2接着層
35b :第2樹脂フィルム層
35d :下面
175 :上部プロテクタ
176 :下部プロテクタ
192 :飲料取出管
AR1 :適温可視化領域
AR2 :背景領域
N1 :第1インク
N2 :第2インク