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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141011
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041122
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田上 宣昭
(72)【発明者】
【氏名】川田 歩
(72)【発明者】
【氏名】永田 英記
(72)【発明者】
【氏名】橋本 拡昌
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC27
5H181DD01
5H181FF04
5H181FF27
5H181GG09
5H181LL07
5H181LL20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サイン音やメッセージなどの通知音による案内通知を運転手の状況により適切に行う。
【解決手段】運転手に対して出力される通知音の特性を決定する際に、運転手の精神状態を示す指標を取得し、取得された指標に基づいて、通知音の特性を決定する。この指標は値が大きいほど精神状態が緊張状態であることを示し、第1の閾値以上であるときに出力される通知音のピッチが、第1の閾値より小さいときに出力される通知音のピッチよりも低くなるように、第1の閾値より小さい第2の閾値以下であるときに出力される前記通知音のピッチが、第2の閾値より小さいときに出力される通知音のピッチよりも高くなるように、通知音の特性を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手に対して出力される通知音の特性を決定する情報処理装置であって、
前記運転手の精神状態を示す指標を取得する指標取得部と、
前記取得された指標に基づいて、前記通知音の特性を決定する通知音特性決定部と、を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記指標は、値が大きいほど精神状態が緊張状態であることを示す指標であり、
前記音声特性決定部は、前記指標が第1の閾値以上であるときに出力される前記通知音のピッチが、前記指標が第1の閾値より小さいときに出力される前記通知音のピッチよりも低くなるように、前記通知音の特性を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記音声特性決定部は、前記指標が、前記第1の閾値より小さい第2の閾値以下であるときに出力される前記通知音のピッチが、前記指標が第2の閾値より小さいときにときに出力される前記通知音のピッチよりも高くなるように、前記通知音の特性を決定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知音は、前記指標が前記第1の閾値以上であるならば、音声メッセージを含む、請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知音は、前記指標が前記第2の閾値以下であるならば、音声メッセージを含む、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知音は、前記指標が前記第1の閾値以上であるならば、前記音声メッセージを含み、
前記通知音特性決定部は、前記指標が前記第1の閾値以上であるならば、前記音声メッセージの再生速度を第1の速度に決定し、前記指標が前記第2の閾値以下であるならば、前記音声メッセージの再生速度を前記第1の速度より遅い第2の速度に決定し、
前記第1の速度は、前記第2の速度より遅い、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記運転手の生体情報を取得する生体情報取得部をさらに有し、
前記指標取得部は、前記生体情報に基づいて前記指標を導出することで、前記指標を取得する、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記運転手を撮影した画像を取得する画像取得部をさらに有し、
前記指標取得部は、前記画像に基づいて前記指標を導出することで、前記指標を取得する、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記指標の変化を予測する指標変化予測部をさらに有し、
前記音声特性決定部は、前記指標と前記指標の変化とに基づいて、前記通知音の特性を決定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記運転手が運転する車両の走行状態に関する情報を含む走行情報情報を取得する走行状態情報取得部をさらに有し、
前記指標変化予測部は、前記走行状態情報に基づいて、前記指標の変化を予測する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
運転手に対して出力される通知音の特性を決定するために、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
前記運転手の精神状態を示す指標を取得する指標取得工程と、
前記取得された指標に基づいて、前記通知音の特性を決定する通知音特性決定工程と、を有する情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理方法を、コンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理プログラムを記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムでは、画面表示での案内に加え、サイン音やメッセージなどの通知音による案内も行われる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/116637号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような通知音は、運転手の精神状態によっては、運転手をより混乱させることや、運転手に無視されてしまうことがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、運転手により適切に通知を行うことが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、運転手に対して出力される通知音の特性を決定する情報処理装置であって、前記運転手の精神状態を示す指標を取得する指標取得部と、前記取得された指標に基づいて、前記通知音の特性を決定する通知音特性決定部と、を有する。
【0007】
請求項11に記載の発明は、運転手に対して出力される通知音の特性を決定するために、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、前記運転手の精神状態を示す指標を取得する指標取得工程と、前記取得された指標に基づいて、前記通知音の特性を決定する通知音特性決定工程と、を有する。
【0008】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させる。
【0009】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の情報処理プログラムを記憶している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る情報処理装置100を示す図である。
図2】本発明の一実施例に係る制御部110を示す図である。
図3】通知音の特性を決定する際に情報処理装置100において行われる処理動作の一例を示す図である。
図4】通知音特性決定部113における処理動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、運転手に対して出力される通知音の特性を決定する情報処理装置であって、前記運転手の精神状態を示す指標を取得する指標取得部と、前記取得された指標に基づいて、前記通知音の特性を決定する通知音特性決定部と、を有する。このように、本実施形態では、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能である。よって、本実施形態では、運転手により適切に通知を行うことが可能である。
【0012】
前記指標は、値が大きいほど精神状態が緊張状態であることを示す指標であり、前記音声特性決定部は、前記指標が第1の閾値以上であるときに出力される前記通知音のピッチが、前記指標が第1の閾値より小さいときに出力される前記通知音のピッチよりも低くなるように、前記通知音の特性を決定するようにしても良い。このようにすることで、運転手が極度に緊張状態にあるときには、運転手の精神的な負荷を上げることなく、通知音を出力することが可能になる。結果、通知音により運転手を混乱させることを防ぐことが可能になる。
【0013】
前記音声特性決定部は、前記指標が、前記第1の閾値より小さい第2の閾値以下であるときに出力される前記通知音のピッチが、前記指標が第2の閾値より小さいときにときに出力される前記通知音のピッチよりも高くなるように、前記通知音の特性を決定するようにしても良い。このようにすることで、運転手が極度にリラックスし、注意力散漫な状態であったとしても、運転手に通知音をより確実に気付かせることが可能になる。結果、通知音が運転手により無視されることを防ぐことが可能になる。
【0014】
前記通知音は、前記指標が前記第1の閾値以上であるならば、音声メッセージを含むようにしても良い。このようにすることで、通知音の内容を理解するための精神的な負荷を下げることが可能になり、運転手が極度な緊張状態であっても、運転手に通知内容をより確実に伝えることが可能になる。
【0015】
前記通知音は、前記指標が前記第2の閾値以下であるならば、音声メッセージを含むようにしても良い。このようにすることで、サイン音と音声メッセージの両方で通知することが可能になり、運転手が極度なリラックス状態であっても、運転手に通知内容をより確実に伝えることが可能になる。
【0016】
前記通知音は、前記指標が前記第1の閾値以上であるならば、前記音声メッセージを含み、前記通知音特性決定部は、前記指標が前記第1の閾値以上であるならば、前記音声メッセージの再生速度を第1の速度に決定し、前記指標が前記第2の閾値以下であるならば、前記音声メッセージの再生速度を第2の速度に決定し、前記第1の速度は、前記第2の速度より遅くするようにしても良い。このようにすることで、通知音の内容を理解するための精神的な負荷をより下げることが可能になり、運転手が極度な緊張状態であっても、運転手に通知内容をより確実に伝えることが可能になる。
【0017】
前記情報処理装置は、前記運転手の生体情報を取得する生体情報取得部をさらに有し、前記指標取得部は、前記生体情報に基づいて前記指標を導出することで、前記指標を取得するようにしても良い。このようにすることで、運転手の精神状態指標をリアルタイムに取得することが可能になる。
【0018】
前記情報処理装置は、前記運転手を撮影した画像を取得する画像取得部をさらに有し、前記指標取得部は、前記画像に基づいて前記指標を導出することで、前記指標を取得するようにしても良い。このようにすることでも、運転手の精神状態指標をリアルタイムに取得することが可能になる。
【0019】
前記情報処理装置は、前記指標の変化を予測する指標変化予測部をさらに有し、前記音声特性決定部は、前記指標と前記指標の変化とに基づいて、前記通知音の特性を決定するようにしても良い。このようにすることで、通知音の認知による精神的負荷を軽減することができ、通知音が出力により、運転手の精神状態が極度に緊張させることを防ぐことが可能になる。
【0020】
前記情報処理装置は、前記運転手が運転する車両の走行状態に関する情報を含む走行情報情報を取得する走行状態情報取得部をさらに有し、前記指標変化予測部は、前記走行状態情報に基づいて、前記指標の変化を予測するようにしても良い。このようにすることで、走行状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0021】
また、本発明の一実施形態にかかる情報処理方法は、運転手に対して出力される通知音の特性を決定するために、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、前記運転手の精神状態を示す指標を取得する指標取得工程と、前記取得された指標に基づいて、前記通知音の特性を決定する通知音特性決定工程と、を有する。このように、本実施形態では、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能である。よって、本実施形態では、運転手により適切に通知を行うことが可能である。
【0022】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理プログラムは、上記の情報処理方法を、コンピュータに実行させる。このため、本実施形態では、コンピュータを用いて、運転手により適切に通知を行うことが可能である。
【0023】
また、本発明の一実施形態に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記の情報処理プログラムを記憶している。このため、本実施形態では、上記の情報処理プログラムを、機器に組み込む以外にも単体で流通することが可能であり、バージョンアップ等を容易に行うことが可能である。
【実施例0024】
<情報処理装置100>
図1は、本発明の一実施例に係る情報処理装置100を示す図である。情報処理装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、スピーカ140と、を有する。制御部110は、コンピュータにより構成される。記憶部120は、情報を記憶する記憶する記憶装置であり、例えば、ハードディスクやメモリである。通信部130は、他の装置との間で情報の送受信を行うための通信装置である。
【0025】
情報処理装置100は、例えば、ナビゲーションシステムやドライブレコーダなどの、自動車の運転手に対して、道案内等のメッセージや、メッセージ前のサイン音、警告音などの通知音を出力する装置である。この通知音を出力する際に、本実施例に係る情報処理装置100は、運転手の精神状態に合わせ、出力される通知音の特性を変化させる。
【0026】
図2は、本発明の一実施例に係る制御部110を示す図である。制御部110は、音声出力処理部111と、指標取得部112と、通知音特性決定部113と、を有する。
【0027】
通知音出力部111は、ナビゲーションシステムやドライブレコーダなどの機能を有した他のユニットや装置からの通知音の出力指示を取得し、この取得した出力指示に基づいて、通知音をスピーカ140により出力する。通知音の出力指示は、通知音の種別、通知音を出力するタイミングなどの情報を含んでいる。例えば、通知音の音源データは、記憶部120に記憶されており、音声出力処理部112は、この記憶部120から、出力指示に基づいた種別の通知音の音源データを取得し、この取得した音源データを出力指示に基づいたタイミングで再生する。
【0028】
通知音の種別としては、例えば、ナビゲーションシステムからのサイン音やメッセージ(例えば、道案内、渋滞情報、天気情報、おすすめスポット、運転評価、休憩推奨等のメッセージ)や、ドライブレコーダのサイン音(例えば、衝撃検知時に録画を開始したことを通知するサイン音、障害物や歩行者を検知した際の警報音や注意喚起のサイン音、あおり運転を検知したことを通知するサイン音、眠気・よそ見検知した際のサイン音)がある。
【0029】
指標取得部112は、運転手の精神状態を示す指標である精神状態指標を取得する。
【0030】
精神状態指標は、例えば、メンタルワークロードである。メンタルワークロードは、運転手にかかる精神的負荷に関する指標であり、メンタルワークロードが大きいほど、運転手にかかる精神的負荷が大きいことを示す。一般に、運転手にかかる精神的負荷が大きいほど、運転手は緊張状態になり、運転手にかかる精神的負荷が小さいほど、運転手はリラックス状態になる。つまり、メンタルワークロードは、値が大きいほど精神状態が緊張状態であることを示し、値が小さいほど精神状態がリラックス状態であることを示す指標である。
【0031】
また、精神状態指標は、心拍数、心拍変動であっても良い。一般に、心拍数は、精神状態が緊張状態にあるほど、心拍数は大きくなる。よって、心拍数は、値が大きいほど精神状態が緊張状態にあることを示す指標である。また、心拍変動のうちのHF(High Frequency)成分は、精神状態がリラックス状態にあるほど大きくなる。よって、心拍変動のうちのLF成分の大きさは、値が大きいほど精神状態がリラックス状態にあることを示す指標である。一方、心拍変動のうちのLF(Low Frequency)成分は、リラックス状態であっても緊張状態であっても大きく変わらない。よって、LF成分とHF成分との比(LF/HF)は、値が小さいほど精神状態がリラックス状態にあることを示す指標である。
【0032】
指標取得部112は、通信部130により他の装置と通信することにより、精神状態指標を他の装置から取得するようにしても良いし、情報処理装置100が生体情報取得部114や画像取得部115を備え、下記に詳述するように、これらにより取得された情報に基づいて精神状態指標を導出することで、精神状態指標を取得するようにしても良い。
【0033】
また、指標取得部112は、所定の時間間隔で、精神状態指標を取得するようにしても良いし、通知音の出力指示があったときに、つまり、通知音出力部111が通知音の出力指示を取得したときに、精神状態指標を取得するようにしても良い。
【0034】
通知音特性決定部113は、指標取得部112により取得された精神状態指標に基づいて、スピーカ140から出力される通知音の特性(例えば、ピッチ)を決定する。つまり、通知音特性決定部113は、運転手の精神状態に応じて、通知音の特性を決定する。このとき、例えば、通知音特性決定部113は、通知音のピッチを、運転手が極度に緊張状態であるときは、運転手をよりリラックスさせるようなピッチに決定し、運転手が極度にリラックスしているときは、運転手をより緊張させるようなピッチに決定する。
【0035】
そして、本実施例では、音声出力処理部111は、他のユニットや装置からの通知音の出力指示に基づいて通知音を出力する際に、通知音特性決定部113により決定された特性で、通知音をスピーカ140から出力する。このとき、例えば、音声出力処理部112は、記憶部120から取得した通知音の音源データを再生する際に、通知音のピッチを、通知音特性決定部113により決定されたピッチに変化させて再生する。
【0036】
このように、本実施例では、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能である。よって、本実施例では、運転手により適切に通知を行うことが可能である。
【0037】
通知音特性決定部113は、通知音の特性として、通知音の周波数を決定するようにしても良い。このとき、例えば、通知音特性決定部113は、運転手が極度に緊張状態であるときは、通知音を落ち着いた印象にするために、低域成分が多めになるように通知音の周波数を決定し、運転手が極度にリラックスしているときは、通知音を明るい印象にするために、高域成分が多めになるように通知音の周波数を決定すると良い。このようにすることでも、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0038】
また、通知音特性決定部113は、通知音の特性として、通知音のリズムを決定するようにしても良い。このとき、例えば、通知音特性決定部113は、運転手が極度に緊張状態であるときは、運転手の緊張を和らげるために、通知音のリズムを単調にし、運転手が極度にリラックスしているときは、運転手を緊張させるために、通知音のリズムに変化を与えると良い。このようにすることでも、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0039】
また、通知音特性決定部113は、通知音の特性として、通知音のテンポ(通知音の再生の時間間隔)を決定するようにしても良い。このとき、例えば、通知音特性決定部113は、運転手が極度に緊張状態であるときは、運転手の緊張を和らげるために、通知音の再生の時間間隔を長くし、運転手が極度にリラックスしているときは、運転手を緊張させるために、通知音の再生の時間間隔を短くすると良い。このようにすることでも、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0040】
また、通知音特性決定部113は、通知音の特性として、通知音の繰り返し数を決定するようにしても良い。このとき、例えば、通知音特性決定部113は、運転手が極度に緊張状態であるときは、運転手の緊張を和らげるために、通知音の繰り返し数を減らし、運転手が極度にリラックスしているときは、運転手を緊張させるために、通知音の繰り返し数を増やすと良い。このようにすることでも、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0041】
また、通知音特性決定部113は、通知音の特性として、通知音の1音の継続時間を決定するようにしても良い。このとき、例えば、通知音特性決定部113は、運転手が極度に緊張状態であるときは、運転手の緊張を和らげるために、通知音の1音の継続時間を短くし、運転手が極度にリラックスしているときは、運転手を緊張させるために、通知音の1音の継続時間を長くすると良い。このようにすることでも、運転手の精神状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0042】
図3は、通知音の特性を決定する際に情報処理装置100において行われる処理動作の一例を示す図である。指標取得部112は、運転手の精神状態に示す精神状態指標を取得する(ステップS301)。通知音特性決定部113は、取得された精神状態指標に基づいて、スピーカ140から出力される通知音の特性を決定する(ステップS302)。
【0043】
<通知音の特性の決定>
精神状態指標が、値が大きいほど精神状態が緊張状態であることを示す指標である場合、閾値を設け、通知音特性決定部113は、この閾値に基づいて、通知音の特性を決定するようにすると良い。例えば、メンタルワークロードや心拍数は、上述したように、値が大きいほど精神状態が緊張状態であることを示す指標である。
【0044】
例えば、通知音特性決定部113は、精神状態指標が第1の閾値以上であるときに出力される通知音のピッチが、精神状態指標が第1の閾値より小さいときに出力される通知音のピッチよりも低くなるように、通知音の特性を決定すると良い。第1の閾値は、例えば、精神状態指標が第1の閾値以上であるときの運転手の精神状態が極度に緊張した状態であり、精神状態指標が第1の閾値より小さいときの運転手の精神状態が適切な緊張状態であるように設定すると良い。
【0045】
このようにすることで、運転手が極度に緊張状態にあるときには、運転手の精神的な負荷を上げることなく、通知音を出力することが可能になる。結果、通知音により運転手を混乱させることを防ぐことが可能になる。
【0046】
また、通知音特性決定部113は、精神状態指標が第2の閾値以下であるときに出力される通知音のピッチが、精神状態指標が第2の閾値より小さいときにときに出力される通知音のピッチよりも高くなるように、通知音の特性を決定するようにしても良い。第2の閾値は、第1の閾値より小さい値である。第2の閾値は、例えば、精神状態指標が第2の閾値以下であるときの運転手の精神状態が極度にリラックスした状態であり、精神状態指標が第2の閾値より大きいときの運転手の精神状態が適切なリラックス状態であるように設定すると良い。
【0047】
このようにすることで、運転手が極度にリラックスし、注意力散漫な状態であったとしても、運転手に通知音をより確実に気付かせることが可能になる。結果、通知音が運転手により無視されることを防ぐことが可能になる。
【0048】
図4は、通知音特性決定部113における処理動作の一例を示す図である。精神状態指標が第1の閾値より小さく(ステップS401、NO)、第2の閾値より大きいならば(ステップS402、NO)、記憶部120に記憶された通知音のピッチのままで通知音を出力することに決定する(ステップS403)。精神状態指標が第1の閾値以上であるならば(ステップS401、YES)、記憶部120に記憶された通知音のピッチより低いピッチで通知音を出力することに決定する(ステップS404)。精神状態指標が第2の閾値以下であるならば(ステップS402、YES)、記憶部120に記憶された通知音のピッチより高いピッチで通知音を出力することに決定する(ステップS406)。
【0049】
<音声メッセージ>
様々な種類のサイン音を用意し、通知の内容ごとに異なるサイン音に割り当てることで、音声メッセージを伴うことなく、サイン音のみで様々な内容の通知を行うことが可能である。しかしながら、運転手が極度に緊張しているときは、運転手がサイン音の種別を判定することができず、通知内容が運転手に伝わらないことがある。また、運転手が極度にリラックスしており、運転手が注意力散漫な状態であるときは、運転手がサイン音を聞き逃してしまい、通知内容が運転手に伝わらないことがある。
【0050】
そこで、通知音は、精神状態指標が第1の閾値以上であるならば、音声メッセージを含むようにすると良い。また、通知音は、精神状態指標が第2の閾値以下であるときも、音声メッセージを含むようにすると良い。
【0051】
このようにすることで、通知音の内容を理解するための精神的な負荷を下げることが可能になり、運転手が極度な緊張状態であっても、運転手に通知内容をより確実に伝えることが可能になる。また、サイン音と音声メッセージの両方で通知することが可能になり、運転手が極度なリラックス状態であっても、運転手に通知内容をより確実に伝えることが可能になる。
【0052】
また、通知音特性決定部113は、精神状態指標が第1の閾値以上であるならば、音声メッセージの再生速度を第1の速度に決定し、精神状態指標が第2の閾値以下であるならば、音声メッセージの再生速度を第2の速度に決定すると良い。このとき、第1の速度を、第2の速度より遅い速度にすると良い。
【0053】
このようにすることで、通知音の内容を理解するための精神的な負荷をより下げることが可能になり、運転手が極度な緊張状態であっても、運転手に通知内容をより確実に伝えることが可能になる。
【0054】
<精神状態指標の取得>
制御部110は、運転手の生体情報を取得する生体情報取得部114を有するようにしても良い。そして、指標取得部112は、生体情報取得部114により取得された運転手の生体情報に基づいて、精神状態指標を導出することで、精神状態指標を取得するようにしても良い。このようにすることで、運転手の精神状態指標をリアルタイムに取得することが可能になる。このとき、例えば、生体情報取得部114は、運転手に装着された心拍数測定機能を有した端末装置から心拍数や心拍変動を取得し、指標取得部112は、精神状態指標として、生体情報取得部114により取得された心拍数や心拍変動を取得するようにすると良い。
【0055】
また、制御部110は、運転手を撮影した画像を取得する画像取得部115を有するようにしても良い。そして、指標取得部112は、画像取得部115により取得された画像に基づいて、精神状態指標を導出することで、精神状態指標を取得するようにしても良い。このようにすることでも、運転手の精神状態指標をリアルタイムに取得することが可能になる。このとき、例えば、画像取得部115は、自動車内を撮影するためのカメラから運転手を撮影した画像を取得するようにする良い。
【0056】
<指標の変化の予測>
通知音の認識は、運転手に精神的な負荷を与える作業である。このため、通知音が出力ことにより、運転手の精神状態指標が上がる。よって、たとえ通知音の出力前の運転手の精神状態指標が運転手の精神状態が極度な緊張状態を示していなくても、通知音の出力により運転手の精神状態が極度な緊張状態に変化することがある。例えば、複雑な道の走行は、運転手に大きな精神的負荷を与えており、このようなときに、通知音を出力した場合、運転手の精神状態が極度な緊張状態に変化することが予測される。
【0057】
そこで、制御部110は、精神状態指標の変化を予測する指標変化予測部116を有するようにしても良い。そして、音声特性決定部112は、精神状態指標と、精神状態指標の変化、とに基づいて、前記通知音の特性を決定するようにしても良い。音声特性決定部112は、例えば、精神状態指標が第1の閾値より小さいときであっても、通知音の出力により精神状態指標が第1の閾値を超えることが予測されるならば、通知音のピッチを、精神状態指標が第1の閾値より小さいときに出力される通知音のピッチよりも低いピッチに決定するようにすると良い。
【0058】
このようにすることで、通知音の認知による精神的負荷を軽減することができ、通知音が出力により、運転手の精神状態が極度に緊張させることを防ぐことが可能になる。
【0059】
運転手にかかる精神的な負荷は、例えば、運転する車両の走行状態によって変わる。そこで、制御部110は、運転手が運転する車両の走行状態に関する情報を含む走行情報情報を取得する走行状態情報取得部117を有するようにすると良い。そして、指標変化予測部116は、走行状態情報に基づいて、前記指標の変化を予測するようにすると良い。走行状態情報は、例えば、車両に関する情報(速度、加速度)、走行予定の経路に関する情報、走行中の道路状況に関する情報(道路の幅や車線数、制限速度、渋滞状態、天候)を含む。
【0060】
このようにすることで、走行状態に応じた通知音を出力することが可能になる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
100 情報処理装置
110 制御部
111 音声出力処理部
112 指標取得部
113 通知音特性決定部
114 生体情報取得部
115 画像取得部
116 指標変化予測部
117 走行状態情報取得部
120 記憶部
130 通信部
140 スピーカ
図1
図2
図3
図4