(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141053
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】表示修正機構、情報表示機構、ムーブメント及び時計
(51)【国際特許分類】
G04B 19/25 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
G04B19/25 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041183
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】502366745
【氏名又は名称】セイコーウオッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】木村 怜次
(72)【発明者】
【氏名】早川 和樹
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えながらでも表示修正を適切に行うことができると共に、小型化及び薄型化を図ること。
【解決手段】揺動軸線N回りに揺動可能とされ、第1修正位置と第2修正位置との間を変位する揺動レバー60と、第1回転軸線O1回りに回転可能とされ、揺動レバーが第1修正位置に揺動したときに、第1情報が表示された第1表示車50に噛み合う第1修正車70と、第2回転軸線O2回りに回転可能とされ、揺動レバーが第2修正位置に揺動したときに、第2情報が表示された第2表示車40に噛み合う第2修正車80と、第1修正車及び第2修正車に対して噛み合った状態で揺動軸線回りに回転可能に配置され、外部から伝達された動力を第1修正車及び第2修正車に伝達する修正伝え車90と、を備えている表示修正機構13を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動軸線回りに揺動可能とされ、第1修正位置と第2修正位置との間を変位する揺動レバーと、
前記揺動軸線とは非同軸の第1回転軸線回りに回転可能とされていると共に、第1情報が表示された第1表示車に対して接近離間可能に配置され、前記揺動レバーが前記第1修正位置に揺動したときに、前記揺動レバーによって前記第1表示車に接近して前記第1表示車に噛み合う第1修正車と、
前記揺動軸線及び前記第1回転軸線とは非同軸の第2回転軸線回りに回転可能とされていると共に、第2情報が表示された第2表示車に対して接近離間可能に配置され、前記揺動レバーが前記第2修正位置に揺動したときに、前記揺動レバーによって前記第2表示車に接近して前記第2表示車に噛み合う第2修正車と、
前記第1修正車及び前記第2修正車に対して噛み合った状態で前記揺動軸線回りに回転可能に配置され、外部から伝達された動力を前記第1修正車及び前記第2修正車に伝達する修正伝え車と、を備え、
前記修正伝え車、前記第1修正車及び前記第2修正車のうちの少なくともいずれか1つの車は、前記揺動レバーとの間に所定の回転抵抗を有した状態で前記揺動レバーに組み合わされ、
前記揺動レバーは、前記修正伝え車の回転に伴って前記揺動軸線回りを揺動すると共に、前記第1修正位置及び前記第2修正位置に位置決めされ、且つ前記回転抵抗を超える抵抗を受けたときに、前記揺動レバーに対する前記いずれか1つの車の相対回転を許容することを特徴とする表示修正機構。
【請求項2】
請求項1に記載の表示修正機構において、
前記第1修正車は、前記揺動レバーに前記第1回転軸線回りに回転可能に支持されている、表示修正機構。
【請求項3】
請求項1に記載の表示修正機構において、
前記第1修正車は、案内溝に沿って前記第1表示車に対して接近離間するように案内され、
前記揺動レバーは、前記第1修正位置に向けて揺動するときに、前記第1修正車を前記第1表示車に接近するように押圧する、表示修正機構。
【請求項4】
請求項3に記載の表示修正機構において、
前記揺動レバーには、前記第1修正車の車軸を挿通させる挿通孔が形成され、
前記揺動レバーは、前記第1修正位置に向けて揺動するときに、前記挿通孔における内縁部を利用して前記第1修正車を前記第1表示車に接近するように押圧し、且つ前記第2修正位置に向けて揺動するときに、前記挿通孔における内縁部を利用して前記第1修正車を前記第1表示車から離間するように押圧する、表示修正機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示修正機構において、
前記第2修正車は、前記揺動レバーに前記第2回転軸線回りに回転可能に支持されている、表示修正機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の表示修正機構において、
前記修正伝え車は、巻真の回転に伴って前記揺動軸線回りを第1方向又は第2方向に回転可能とされ、
前記揺動レバーは、前記修正伝え車が前記第1方向に回転したときに前記第1修正位置に向けて揺動し、且つ前記修正伝え車が前記第2方向に回転したときに前記第2修正位置に向けて揺動する、表示修正機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の表示修正機構と、
前記第1表示車と、
前記第2表示車と、を備えていることを特徴とする情報表示機構。
【請求項8】
請求項7に記載の情報表示機構において、
前記第1表示車は、前記第1情報として日文字を表示する日車とされ、
前記第2表示車は、前記第2情報として第2時間帯を表示する24時針が取り付けられた24時筒車とされている、情報表示機構。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の情報表示機構を備えていることを特徴とするムーブメント。
【請求項10】
請求項9に記載のムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示修正機構、情報表示機構、ムーブメント及び時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、時刻以外の情報、例えば曜日、日付、月齢等を表示するための情報表示機構を具備する時計が知られている。この種の情報表示機構を具備する時計では、一般的に、表示している各種の情報を必要に応じて修正する修正機構を具備している。
例えば、下記特許文献1には、日付が表示された日車、及び月齢が表示された月車を修正するための修正機構(補正機構)が開示されている。
【0003】
修正機構は、りゅうずを介した巻真の回転に伴って揺動軸線回りを揺動する揺動プレートと、揺動プレートに軸支された修正車と、揺動プレートに設けられ、修正車に対して巻真からの動力(回転トルク)を伝達する複数の伝達車と、を主に備えている。
揺動プレートは、巻真の回転方向に応じて、第1位置又は第2位置のいずれかに移動するように揺動軸線回りを回転する。修正車は、揺動プレートが第1位置に位置したときに、日車の内歯に噛み合い可能とされ、揺動プレートが第2位置に位置したときに、月車に噛み合う中間車に噛み合い可能とされている。
【0004】
これにより、巻真を一方向に回転させることで、揺動プレートを第1位置に移動させることができ、複数の伝達車から伝達された動力を利用して修正車を回転させ、日車を修正することが可能となる。さらに巻真を他方向に回転させることで、揺動プレートを第2位置に移動させることができ、複数の伝達車から伝達された動力を利用して修正車を回転させ、中間車を介して月車を修正することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の修正機構では、日車及び月車を修正するための修正車と、修正車に動力を伝達するための複数の伝達車とを揺動プレートにそれぞれ組み付ける必要があるので、部品点数が多く、改善の余地がある。
さらに、揺動プレートに設けた1つの修正車を利用して、日車及び月車のそれぞれの修正を行う構成であるために、日車に対しては修正車を利用して直接的に回転させることができるものの、月車に対して中間車(1つ或いは複数)を介在させなければ回転させることが難しい。そのため、この点においても部品点数が多くなってしまう。
それに加えて、中間車を組み込む必要があるため、ムーブメントが厚さ方向に厚くなり易く、時計としての薄型化、小型化の妨げに繋がってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、部品点数を抑えながらでも表示修正を適切に行うことができると共に、小型化及び薄型化を図ることができる表示修正機構、情報表示機構、ムーブメント及び時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る表示修正機構は、揺動軸線回りに揺動可能とされ、第1修正位置と第2修正位置との間を変位する揺動レバーと、前記揺動軸線とは非同軸の第1回転軸線回りに回転可能とされていると共に、第1情報が表示された第1表示車に対して接近離間可能に配置され、前記揺動レバーが前記第1修正位置に揺動したときに、前記揺動レバーによって前記第1表示車に接近して前記第1表示車に噛み合う第1修正車と、前記揺動軸線及び前記第1回転軸線とは非同軸の第2回転軸線回りに回転可能とされていると共に、第2情報が表示された第2表示車に対して接近離間可能に配置され、前記揺動レバーが前記第2修正位置に揺動したときに、前記揺動レバーによって前記第2表示車に接近して前記第2表示車に噛み合う第2修正車と、前記第1修正車及び前記第2修正車に対して噛み合った状態で前記揺動軸線回りに回転可能に配置され、外部から伝達された動力を前記第1修正車及び前記第2修正車に伝達する修正伝え車と、を備え、前記修正伝え車、前記第1修正車及び前記第2修正車のうちの少なくともいずれか1つの車は、前記揺動レバーとの間に所定の回転抵抗を有した状態で前記揺動レバーに組み合わされ、前記揺動レバーは、前記修正伝え車の回転に伴って前記揺動軸線回りを揺動すると共に、前記第1修正位置及び前記第2修正位置に位置決めされ、且つ前記回転抵抗を超える抵抗を受けたときに、前記揺動レバーに対する前記いずれか1つの車の相対回転を許容することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表示修正機構によれば、外部から伝達された動力によって修正伝え車を回転させることで、修正伝え車の回転に伴って揺動レバーを揺動軸線回りに揺動させることができ、第1修正位置又は第2修正位置に変位させることができる。
【0010】
揺動レバーを第1修正位置に向けて揺動させることで、第1修正車を第1表示車に接近させることができ、第1修正車に噛み合わせることができる。なお、揺動レバーが第1修正位置に移動するまでの間は、第1修正車は第1表示車に噛み合うことなく、修正伝え車の回転に伴って回転しながら移動する。
そして第1修正車は、第1表示車に噛み合うことで、修正伝え車から伝達された動力を第1表示車に伝達することができるので、第1表示車を回転させることができる。これにより、第1情報が表示された第1表示車を表示修正することができる。なお、揺動レバーは、第1修正位置に移動すると、該第1修正位置に位置決めされるので、それ以上の移動が規制される。そのため揺動レバーは、回転抵抗を超える抵抗を受けることになり、揺動レバーの位置をそのままに、修正伝え車及び第1修正車を回転させることができる。これにより、第1表示車の表示修正を適切に行うことができる。
【0011】
上述した場合とは逆に、揺動レバーを第2修正位置に向けて揺動させることで、第2修正車を第2表示車に接近させることができ、第2修正車に噛み合わせることができる。なお、揺動レバーが第2修正位置に移動するまでの間は、第2修正車は第2表示車に噛み合うことなく、修正伝え車の回転に伴って回転しながら移動する。
そして第2修正車は、第2表示車に噛み合うことで、修正伝え車から伝達された動力を第2表示車に伝達することができるので、第2表示車を回転させることができる。これにより、第2情報が表示された第2表示車を表示修正することができる。なお、揺動レバーは、第2修正位置に移動すると、該第2修正位置に位置決めされるので、それ以上の移動が規制される。そのため揺動レバーは、回転抵抗を超える抵抗を受けることになり、揺動レバーの位置をそのままに、修正伝え車及び第2修正車を回転させることができる。これにより、第2表示車の表示修正を適切に行うことができる。
【0012】
このように、揺動レバーを揺動させることで、異なる回転軸線を有する2つの修正車、すなわち第1修正車及び第2修正車を連動して移動させることができ、第1表示車又は第2表示車に直接的に噛合わせてそれぞれ表示修正を行うことができる。従って、従来のように、中間車等を介して第1表示車又は第2表示車を表示修正する必要がなく、部品点数を抑えることができる。そのため、表示修正機構を簡略に構成することができるうえ、低コスト化を図ることもできる。
【0013】
さらに、外部から動力が伝達される修正伝え車を利用して、揺動レバーを揺動することができることに加え、修正伝え車を第1修正車及び第2修正車に噛み合わせているので、修正伝え車から第1修正車及び第2修正車に対して直接的に動力を伝達することができる。従って、この点においても部品点数を効果的に抑制することができる。
さらには、先に述べたように中間車等を介して第1表示車又は第2表示車を修正する必要がないので、中間車を配置するスペースを確保する必要がない。従って、小型化及び薄型化を図り易い。
さらには、第1修正車及び第2修正車を、第1表示車及び第2表示車に直接的に噛合わせることができるので、第1修正車及び第2修正車を設計し易い。つまり、第1修正車に関しては、修正伝え車と第1表示車とにだけ噛み合う形になるので、噛み合い箇所を2箇所にすることができ、歯形等を容易且つ自由に設計し易い。第2修正車に関しても同様に、修正伝え車と第2表示車とにだけ噛み合う形になるので、噛み合い箇所を2箇所にすることができ、歯形等を容易且つ自由に設計し易い。従って、第1修正車及び第2修正車の設計自由度を向上することができる。
【0014】
(2)前記第1修正車は、前記揺動レバーに前記第1回転軸線回りに回転可能に支持されても良い。
【0015】
この場合には、揺動レバーの揺動に伴って第1修正車を移動させることができるので、揺動レバーの揺動に対応して、第1修正車を第1表示車に対して適切に接近離間させることができる。従って、揺動レバーを第1修正位置に位置させたときに、第1修正車を第1表示車に対して適切に噛み合わせることができる。従って、第1表示車の表示修正をより確実に行い易い。さらに、揺動レバーと第1修正車とを一体に組み合わせておくことができるので、表示修正機構の組み付け作業を容易且つ効率良く行い易い。
【0016】
(3)前記第1修正車は、案内溝に沿って前記第1表示車に対して接近離間するように案内され、前記揺動レバーは、前記第1修正位置に向けて揺動するときに、前記第1修正車を前記第1表示車に接近するように押圧しても良い。
【0017】
この場合には、例えば地板等に形成された案内溝に沿って第1修正車を案内できるので、第1修正車の姿勢を安定させ易いうえ、第1修正位置への揺動レバーの揺動に伴って、第1修正車を第1表示車に向けて安定に移動させることができる。従って、第1表示車に対して第1修正車をより確実に噛合わせることができ、表示修正を行い易い。
【0018】
(4)前記揺動レバーには、前記第1修正車の車軸を挿通させる挿通孔が形成され、前記揺動レバーは、前記第1修正位置に向けて揺動するときに、前記挿通孔における内縁部を利用して前記第1修正車を前記第1表示車に接近するように押圧し、且つ前記第2修正位置に向けて揺動するときに、前記挿通孔における内縁部を利用して前記第1修正車を前記第1表示車から離間するように押圧しても良い。
【0019】
この場合には、揺動レバーを第1修正位置及び第2修正位置のいずれに向けて揺動する場合であっても、挿通孔を利用して第1修正車を押圧できるので、第1表示車に対して接近させて噛合わせることや、第1表示車から離間させて噛み合いを解除することを、より確実に行える。
【0020】
(5)前記第2修正車は、前記揺動レバーに前記第2回転軸線回りに回転可能に支持されても良い。
【0021】
この場合には、揺動レバーの揺動に伴って第2修正車を移動させることができるので、揺動レバーの揺動に対応して、第2修正車を第2表示車に対して適切に接近離間させることができる。従って、揺動レバーを第2修正位置に位置させたときに、第2修正車を第2表示車に対して適切に噛み合わせることができる。従って、第2表示車の表示修正をより確実に行い易い。さらに、揺動レバーと第2修正車とを一体に組み合わせておくことができるので、表示修正機構の組み付け作業を容易且つ効率良く行い易い。特に、揺動レバーに対して第1修正車が一体に組み合わされている場合には、表示修正機構の組み付け作業をさらに効率良く行うことができる。
【0022】
(6)前記修正伝え車は、巻真の回転に伴って前記揺動軸線回りを第1方向又は第2方向に回転可能とされ、前記揺動レバーは、前記修正伝え車が前記第1方向に回転したときに前記第1修正位置に向けて揺動し、且つ前記修正伝え車が前記第2方向に回転したときに前記第2修正位置に向けて揺動しても良い。
【0023】
この場合には、巻真を回転操作することで、第1表示車又は第2表示車の表示修正を任意に選択しながら別個に行うことができるので、修正作業を容易に行うことができ、使い易い。
【0024】
(7)本発明に係る情報表示機構は、前記表示修正機構と、前記第1表示車と、前記第2表示車と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る情報表示機構によれば、上述した表示修正機構を備えているので、必要に応じて第1表示車及び第2表示車の表示修正を適切に行うことができる。さらに、小型化及び薄型化を図ることができ、ムーブメント等に組み込み易い情報表示機構とすることができる。
【0026】
(8)前記第1表示車は、前記第1情報として日文字を表示する日車とされ、前記第2表示車は、前記第2情報として第2時間帯を表示する24時針が取り付けられた24時筒車とされても良い。
【0027】
本発明に係る情報表示機構によれば、日文字を適切に表示することができるうえ、24時針を利用して、第2時間帯を適切に表示することができる。従って、例えば時差によって異なる2つの国(都市)の日付、時間等をそれぞれ適切に表示することが可能である。
【0028】
(9)本発明に係るムーブメントは、前記情報表示機構を備えていることを特徴とする。
(10)本発明に係る時計は、前記ムーブメントを備えていることを特徴とする。
【0029】
この場合には、上述した情報表示機構を備えているので、第1情報及び第2情報を適切に表示することができ、高品質且つ高性能で、さらに小型化及び薄型化を図ることができるムーブメント及び時計とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、部品点数を抑えながらでも第1表示車及び第2表示車の表示修正を適切に行うことができると共に、小型化及び薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る第1実施形態を示す図であって、時計の平面図である。
【
図5】
図3に示す24時筒車及び24時中間車の斜視図である。
【
図6】
図5に示す状態から24時歯車を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図2に示す状態から揺動レバーを第1修正位置に揺動させた状態を示す平面図である。
【
図8】
図2に示す状態から揺動レバーを第2修正位置に揺動させた状態を示す平面図である。
【
図10】
図9に示す状態から第2修正伝え車を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図11】
図3に示す状態における揺動レバーに着目した斜視図である。
【
図12】
図3に示す状態から日車及び裏物押さえ等を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図3に示す状態における裏物押さえに着目した状態を示す斜視図である。
【
図14】
図3に示す状態における修正輪列に着目した状態を示す斜視図である。
【
図15】本発明に係る第2実施形態を示す図であって、表示修正機構の斜視図である。
【
図16】
図15に示す状態における揺動レバーに着目した斜視図である。
【
図17】
図15に示す状態からカレンダ修正車及び裏物押さえを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図18】
図15に示す状態から揺動レバーを第1修正位置に揺動させた状態を示す平面図である。
【
図19】
図15に示す状態から揺動レバーを第2修正位置に揺動させた状態を示す平面図である。
【
図20】第2実施形態の変形例を示す図であって、揺動レバーを第1修正位置に揺動させた状態を示す平面図である。
【
図21】
図20に示す揺動レバーを第2修正位置に揺動させた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、時計の一例として、時針、分針及び秒針に加え、24時針(副時針)がムーブメントの中心に配置された中四針の秒針ダイレクト構造とされた機械式時計を例に挙げて説明する。なお、本実施形態の各図では、図面を見易くするために、時計用部品の一部の図示を省略している場合があると共に、各時計用部品を簡略化して図示している場合がある。
【0033】
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
【0034】
実施形態では、ケース裏蓋側(表側)から文字板に向かう方向を上側、その反対側を下側として説明する。従って、地板の厚さ方向が上下方向となる。さらに本実施形態では、各軸線を中心として、上方から見て時計回りに回転する方向を時計方向といい、上方から見て反時計回りに回転する方向を反時計方向という。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント(時計用ムーブメント)10と、少なくとも時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板4と、文字板4の目盛りを指示する各種指針と、を備えている。
指針は、24時間で1回転して時を24時制で指示する24時針5と、12時間で1回転して時を12時制で指示する時針6と、60分で1回転して分を指示する分針7と、60秒で1回転して秒を指示する秒針8とを備えている。
文字板4には、後述する日車50に表示された日文字9を明示させる日窓4aが開口している。これにより、本実施形態の時計1は、時刻に加えて、日付を表示することができる。
【0036】
図1~
図4に示すように、ムーブメント10は、該ムーブメント10の基板を構成する地板11を有している。
地板11の表側には、表輪列、表輪列の回転を制御する脱進機、及び脱進機を調速する調速機が少なくとも配置されている。なお、各図面では、脱進機及び調速機の図示を省略している。
地板11の裏側には、文字板4(
図1参照)が配置されていると共に、文字板4と地板11との間に、筒かな21、図示しない日の裏車、筒車24及び24時筒車40を含む裏輪列と、情報表示機構12と、表示修正機構13と、が少なくとも配置されている。なお、文字板4はガラス2を通じて視認可能に配置されている。
【0037】
表輪列は、地板11よりも表側に配置された図示しない輪列受と地板11の間に配置され、図示しないぜんまいの巻き解けに伴う出力トルクによって回転し、24時針5、時針6、分針7及び秒針8を運針させる役割を果たしている。表輪列は、香箱車、二番車17(
図4参照)、三番車及び四番車20を主に備えている。なお、各図面では、香箱車及び三番車の図示を省略している。
香箱車の内部には、
図1に示すりゅうず14及び巻真15を介して巻き上げられる図示しないぜんまいが収容されている。香箱車は、ぜんまいの巻き解きに伴う弾性復元力によって回転する。二番車17、三番車及び四番車20は、香箱車の回転に伴って順に回転する。
【0038】
四番車20は、ムーブメント10の中心を貫く中心軸線Cと同軸に配置されている。四番車20の車軸は、文字板4よりもガラス2側に突出しており、その上端部には秒針8が取り付けられている。これにより、四番車20の回転によって秒針8を直接的に運針させるダイレクト駆動方式とされている。従って、
図1に示す秒針8は、四番車20の回転に基づいて中心軸線C回りを回転すると共に、脱進機及び調速機によって調速された回転速度、すなわち60秒間で1回転する。
【0039】
なお、脱進機は、四番車20に噛み合うと共にぜんまいから伝達される動力によって回転するがんぎ車、及びがんぎ車を脱進させて規則正しく回転させるアンクルを備え、てんぷからの規則正しい振動で表輪列を制御する。調速機は、主に図示しないひげぜんまいを動力源として、香箱車の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)するてんぷを備えている。
【0040】
図4に示すように、裏輪列を構成する筒かな21は、地板11の裏側(上方)において中心軸線Cと同軸に配置されていると共に、中心軸線C回りに回転可能とされている。筒かな21は、筒かな本体22を備え、二番車17に所定の圧接力(摩擦力)を維持した状態で組み合わされている。これにより、筒かな21は、二番車17の回転に伴って中心軸線C回りを回転可能とされている。
なお、例えば時刻合わせ時等、筒かな本体22と二番車17との間に上記圧接力(摩擦力)を超える相対的な回転力が作用したときに、二番車17に対して筒かな21をスリップさせることが可能とされている。
【0041】
筒かな本体22の上端部は、筒車24よりも上方に突出し、且つ四番車20における車軸の上端部よりも下方に配置されている。そして、筒かな本体22の上端部に分針7が取り付けられている。従って、分針7は四番車20に取り付けられる秒針8よりも文字板4側に位置している。これにより、筒かな21の回転によって分針7を直接的に運針させることが可能とされている。なお、分針7は、脱進機及び調速機によって調速された回転速度、すなわち60分間で1回転する。
【0042】
裏輪列を構成する筒車24は、地板11の裏側において中心軸線Cと同軸に配置されていると共に、中心軸線C回りに回転可能とされている。筒車24は、筒かな本体22を囲む円筒状の筒車本体25と、筒車本体25の下端部に一体に形成され、日の裏かなに噛み合う筒歯車26と、を備えている。
【0043】
図示しない日の裏車は、文字板4と地板11との間に配置された裏物押さえ16と地板11との間に軸支されている。日の裏車は、筒歯車26に噛み合う日の裏かなと、筒かな21に噛み合う日の裏歯車とを備えている。従って、日の裏車は、筒かな21及び筒車24の両方に噛み合っている。
これにより、筒車24は、筒かな21及び日の裏車の回転に伴って中心軸線C回りを回転可能とされている。さらに筒車本体25の上端部は、文字板4よりも上方に突出し、且つ筒かな本体22の上端部よりも下方に配置されている。そして、筒車本体25の上端部に時針6が取り付けられている。
【0044】
従って、時針6は、筒かな21に取り付けられる分針7よりも文字板4側に位置している。これにより、筒車24の回転によって時針6を直接的に運針させることが可能とされている。なお、時針6は、脱進機及び調速機によって調速された回転速度、すなわち12時間で1回転する。
【0045】
なお、日の裏車は、
図1に示す巻真15が後述する2段位置に位置する状態において、巻真15に連係する。これにより、日の裏車は、巻真15が2段位置に位置する状態において、巻真15の回転に応じて連続的に回転される。
【0046】
上述した筒歯車26には、
図2及び
図3に示す24時中間車30が噛み合っている。
24時中間車30は、主に地板11によって軸線M回りを回転可能に支持されている。
図5に示すように24時中間車30は、筒歯車26に噛み合う24時中間歯車31と、24時中間かな32と、を備えている。これにより、24時中間車30は、筒車24の回転に伴って軸線M回りを回転する。
【0047】
(24時筒車)
図3~
図6に示すように、24時筒車40は、中心軸線Cと同軸に配置されていると共に、中心軸線C回りを回転可能とされている。
24時筒車40は、円筒状に形成され、筒車本体25を囲む24時筒かな41と、24時筒かな41に一体的に組み合わされた24時歯車42と、24時筒かな41を囲む24時筒歯車43と、を備えている。
【0048】
24時筒かな41は、上端部が文字板4よりも上方に突出し、且つ筒車本体25の上端部よりも下方に配置されている。そして、24時筒かな41の上端部に24時針5が取り付けられている。
従って、24時針5は、時針6よりも文字板4側に位置している。これにより、24時筒車40の回転によって24時針5を直接的に運針させることが可能とされている。なお、24時針5は、脱進機及び調速機によって調速された回転速度、すなわち24時間で1回転する。
【0049】
図6に示すように、24時筒かな41の下端部には、24時歯車42の下方において、径方向に向けて突出した複数のジャンパ歯45aを有する時ジャンパかな45が形成されている。複数のジャンパ歯45aは、24時筒かな41の全周に亘って等間隔に形成されている。図示の例では、複数のジャンパ歯45aは、24歯とされている。
【0050】
図5及び
図6に示すように、24時歯車42は、24時筒かな41に対して例えば圧入等によって一体に組み合わされている。これにより、24時筒かな41と24時歯車42は、常に同期して中心軸線C回りを回転可能とされている。
【0051】
図6に示すように、24時筒歯車43は、中心軸線Cと同軸に配置され、その中央部分には、時ジャンパかな45を含む24時筒かな41の全体を挿通させる挿通孔46が形成されている。これにより、24時筒歯車43は、挿通孔46内に24時筒かな41を挿通させた状態で、時ジャンパかな45を囲むように配置されている。
なお、複数のジャンパ歯45aは、挿通孔46の内周面に対して摺接している。これにより、24時筒かな41と24時筒歯車43は、互いに中心軸線C回りに相対回転可能、且つ互いに径方向に相対変位不能に組み合わされている。
【0052】
24時筒歯車43には、該24時筒歯車43を貫通すると共に、内側に時ジャンパ47を収納する収納孔48がさらに形成されている。収納孔48は、挿通孔46に連通するように形成されている。
時ジャンパ47は、径方向に弾性変形可能とされ、基端部47aが挿通孔46の内周面に接続された片持ちのレバー状に形成されている。時ジャンパ47は、収納孔48の内側に配置され、複数のジャンパ歯45aと同じ平面内に位置している。
【0053】
時ジャンパ47は、基端部47aから24時筒かな41の周方向に沿うように延びており、その先端部には、ジャンパ歯45aに対して径方向の外側から離脱可能に係合する躍制爪部47bが形成されている。躍制爪部47bは、時ジャンパ47の弾性復元変形に伴う復元力によって、時ジャンパかな45に対して押し付けられ、ジャンパ歯45aに対して係合している。
【0054】
これにより、24時筒歯車43は、時ジャンパ47の躍制爪部47bをジャンパ歯45aに係合させた状態で、24時筒かな41に対して組み合わされている。これにより、時ジャンパかな45のジャンパ歯45aに対する躍制爪部47bの係合によって、24時筒歯車43の回転力を24時筒かな41に伝達することができ、24時筒歯車43と24時筒かな41とを連動して回転させることが可能とされている。
【0055】
図5及び
図6に示すように、24時筒歯車43は、24時中間かな32に噛み合っている。これにより、24時筒車40は、24時中間車30を介した筒車24の回転に伴って回転する。特に、24時筒車40は、筒車24に対して例えば歯数比が1/2となるように、24時中間車30を介して筒車24に繋がっている。これにより、先に述べたように、24時筒車40及び24時針5を、24時間で1回転させることが可能とされている。
【0056】
なお、24時筒かな41と24時筒歯車43との間に所定のトルクが作用すると、時ジャンパ47が時ジャンパかな45から離脱するように弾性変形して、ジャンパ歯45aに対する躍制爪部47bの係合が解除される。これにより、時ジャンパかな45に対して時ジャンパ47をスリップさせながら、24時筒かな41と24時筒歯車43とを相対回転させることが可能とされている。
【0057】
ただし、24時筒歯車43に対する一方向への24時筒かな41の相対回転を許容し、且つ他方向への24時筒かな41の回転を規制するように、躍制爪部47bがジャンパ歯45aに対して係合しても良い。従って、時ジャンパ47は、一方向への回転のみを規制するいわゆるラチェット機能を有しても良い。この場合には、時ジャンパ47は、通常運針によって24時筒車40が回転する方向に向けて、24時筒歯車43に対して24時筒かな41が相対回転することを許容する。これにより、24時歯車42及び24時筒かな41を回転させて、24時針5の修正を単独で行うことが可能とされている。
【0058】
(情報表示機構)
図2及び
図3に示すように、情報表示機構12は、時刻以外の情報を表示する機構であって、第1情報として日文字9を表示する日車(本発明に係る第1表示車)50と、第2情報として第2時間帯を表示する24時針5が取り付けられた24時筒車(本発明に係る第2表示車)40と、これら日車50及び24時筒車40を修正する表示修正機構13を備えている。
従って、先に述べた24時筒車40は、時計1としての裏輪列を構成すると共に、本実施形態における情報表示機構12としても機能する。
【0059】
日車50は、地板11の上面に回転可能に配置されたリング状部材であり、その上面には周方向に沿って、1~31の日を表す日文字9(日付情報)が順番に明示されている。なお、日文字9の明示方法としては、例えば印刷、刻印、シール添付等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
なお、
図2以外の各図面では、日文字9の図示を省略している場合がある。
【0060】
日車50は、上方(文字板4側)から見て、
図2に示す矢印Kの如く時計方向に回転可能とされている。従って、日車50が時計方向に回転することで、日送りを行うことが可能とされている。
ただし、日車50の回転方向は上述した場合に限定されるものではなく、例えば日車50が反時計方向に回転することで、日送りを行うように構成しても構わない。
【0061】
日車50の内周縁部には、全周に亘って複数の内歯51が周方向に等間隔をあけて形成されている。内歯51の数は、例えば31歯とされている。従って、内歯51の1歯分だけ、日車50を回転させることによって、日窓4aを通じて表示する日文字9を1日分だけ日送りすることが可能とされている。
ただし、内歯51の数は31歯に限定されるものではなく、例えば62歯にする等、適宜変更して構わない。この場合には、内歯51の数に対応して、日付1日分における日車50の回転量を適宜変更すれば良い。
【0062】
上述のように構成された日車50は、図示しない日回し輪列を介して筒車24に連係され、筒車24の回転に伴って回転する。すなわち、筒車24が12時間で1回転する場合、日車50は1日(24時間)で1歯分だけ回転し、31日で中心軸線C回りを1回転する。さらに、日車50は、図示しない日ジャンパ(規正部材)によって回転位置が規正されており、1歯分だけ回転することで、日文字9を1日分だけ日送りすることが可能とされている。
【0063】
(表示修正機構)
表示修正機構13は、日車50と24時筒車40との間に配置されている。
表示修正機構13は、揺動軸線N回りに揺動可能とされ、
図2及び
図3に示す待機位置P0と、
図7に示す第1修正位置P1と、
図8に示す第2修正位置P2との間を変位する揺動レバー60と、揺動レバー60によって日車50に接近して日車50の内歯51に噛み合うカレンダ修正車(本発明に係る第1修正車)70と、揺動レバー60によって24時筒車40に接近して24時歯車42に噛み合う24時修正車(本発明に係る第2修正車)80と、外部から伝達された動力をカレンダ修正車70及び24時修正車80に伝達する修正伝え車90と、を備えている。
【0064】
カレンダ修正車70は、揺動軸線Nとは非同軸の第1回転軸線O1回りに回転可能とされていると共に、日車50に対して接近離間可能に配置され、
図7に示すように、揺動レバー60が第1修正位置P1に揺動したときに、揺動レバー60によって日車50に接近して日車50の内歯51に噛み合い可能とされている。
24時修正車80は、揺動軸線N及び第1回転軸線O1とは非同軸の第2回転軸線O2回りに回転可能とされていると共に、24時歯車42に対して接近離間可能に配置され、
図8に示すように、揺動レバー60が第2修正位置P2に揺動したときに、揺動レバー60によって24時歯車42に接近して24時歯車42に噛み合い可能とされている。
【0065】
なお、カレンダ修正車70は、揺動レバー60が待機位置P0及び第2修正位置P2に位置している場合には、日車50から離間して、内歯51との噛み合いが解除されている。また24時修正車80は、揺動レバー60が待機位置P0及び第1修正位置P1に位置している場合には、24時歯車42から離間して、24時歯車42との噛み合いが解除されている。
なお、待機位置P0とは、
図2及び
図3に示すように、カレンダ修正車70及び24時修正車80のいずれもが、日車50及び24時歯車42から離間して、噛み合いがフリー状態となっている位置である。
【0066】
修正伝え車90は、カレンダ修正車70及び24時修正車80に対してそれぞれ噛み合った状態で揺動軸線N回りに回転可能に配置され、外部から伝達された動力をカレンダ修正車70及び24時修正車80に伝達する役割を果たしている。
図9及び
図10に示すように、修正伝え車90は、揺動レバー60の下方に配置された第1修正伝え車91と、揺動レバー60の上方に配置され、第1修正伝え車91と一体に組み合わされた第2修正伝え車92と、を備えている。
【0067】
表示修正機構13について、詳細に説明する。
図11及び
図12に示すように、揺動レバー60は、裏物押さえ16の上方に配置され、薄いプレート状に形成されている。揺動レバー60は、24時筒車40側に位置する内端部61aと、日車50側に位置する外端部61bとを有する揺動レバー本体61と、揺動レバー本体61に一体に形成されたレバーばね62と、を備えている。
【0068】
揺動レバー本体61における外端部61bは、カレンダ修正車70を取り付けるための第1連結孔63が形成されている。第1連結孔63には、第1固定ピン64が圧入等によって固定されている。カレンダ修正車70は、揺動レバー本体61の上面に重なった状態で、第1固定ピン64に対して回転自在に組み付けられている。これにより、カレンダ修正車70は、第1固定ピン64によって抜け止めがされた状態で、第1回転軸線O1回りに回転可能とされている。
従って、本実施形態では、カレンダ修正車70は、揺動レバー60に組み付けられ、揺動レバー60によって回転可能に支持されている。
【0069】
揺動レバー本体61における内端部61aには、24時修正車80を取り付けるための第2連結孔65が形成されている。第2連結孔65には、第2固定ピン66が圧入等によって固定されている。24時修正車80は、揺動レバー本体61の上面に重なった状態で、第2固定ピン66に対して回転自在に組み付けられている。これにより、24時修正車80は、第2固定ピン66によって抜け止めがされた状態で、第2回転軸線O2回りに回転可能とされている。
従って、本実施形態では、24時修正車80は、揺動レバー60に組み付けられ、揺動レバー60によって回転可能に支持されている。
【0070】
レバーばね62は、揺動レバー本体61の内端部61aに接続された片持ち状に形成されている。レバーばね62は、基端部が揺動レバー本体61の内端部61aに接続され、基端部から先端部に向かって形成されている。レバーばね62は、弾性変形可能とされ、弾性復元変形によって先端部が揺動レバー本体61側に向けて常に接近するように付勢されている。
【0071】
上述のように構成された揺動レバー60は、揺動レバー本体61とレバーばね62の先端部との間で修正伝え車90を構成する連結軸93を挟み込むように(クリップするように)、連結軸93に取り付けられている。なお、連結軸93の中心軸線が揺動軸線Nとされている。
従って、本実施形態では、揺動レバー60と修正伝え車90とは、所定の回転抵抗を有した状態で組み合わされている。これにより、揺動レバー60は、上記回転抵抗を超える抵抗を受けない限り、修正伝え車90の回転に伴って揺動軸線N回りを揺動可能とされている。その一方、揺動レバー60は、上記回転抵抗を超える抵抗を受けた場合には、揺動レバー60に対する修正伝え車90の相対回転を許容する。
【0072】
なお、揺動レバー60に対して24時修正車80を取り付けている第2固定ピン66は、揺動レバー60より下方に延びるように形成され、
図11及び
図13に示すように、裏物押さえ16に形成された案内溝100内に挿入されている。なお、
図13では、揺動レバー60及び24時修正車80の図示を省略している。
案内溝100は、揺動軸線Nを中心とした周方向に延びるように形成されたメイン案内溝101と、メイン案内溝101に連通すると共に揺動軸線Nを中心とした径方向に延びるように形成された補助案内溝102とを備えている。図示の例では、案内溝100は、平面視L字状となるように、メイン案内溝101と補助案内溝102とが繋がっている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば案内溝100が平面視T字状となるように、メイン案内溝101と補助案内溝102とが繋がっていても構わない。いずれにしても、案内溝100は、特定の形状に限定されるものではない。
【0073】
第2固定ピン66は、揺動レバー60の揺動に伴ってメイン案内溝101内を移動する。これにより、揺動軸線Nを中心とした揺動レバー60の揺動を安定させることができると共に、24時修正車80をがたつき少なく安定にすることができる。
なお、第2固定ピン66は、揺動レバー60が第1修正位置P1に位置したときに、メイン案内溝101の周端部のうち補助案内溝102が繋がっている第1周端部に接触する。これにより、揺動レバー60を第1修正位置P1に位置決めし易い。また、第2固定ピン66は、揺動レバー60が第2修正位置P2に位置したときに、メイン案内溝101の周端部のうち24時筒車40側に位置する第2周端部に接触する。これにより、揺動レバー60を第2修正位置P2に位置決めし易い。
【0074】
なお、補助案内溝102は、修正伝え車90における連結軸93を挟み込むように揺動レバー60を組み付けるときに、第2固定ピン66を入り込ませるための組付用の溝部とされている。ただし、揺動レバー60を組み付けるときに、第2固定ピン66をメイン案内溝101内に直接入り込ませることができれば、補助案内溝102を省略しても構わない。従って、補助案内溝102は、必ずしも必要なものではなく、具備しなくても構わない。
【0075】
図9及び
図10に示すように、修正伝え車90は、揺動レバー60の下方に配置された第1修正伝え車91と、揺動レバー60の上方に配置され、第1修正伝え車91と一体に組み合わされた第2修正伝え車92とを備えている。
第1修正伝え車91は、揺動レバー60及び裏物押さえ16の下方に配置されている。第1修正伝え車91は、揺動軸線Nと同軸に配置され、上方に向けて突設された連結軸93を有している。先に述べたように、揺動レバー60は、この連結軸93を介して組み合わされている。
第2修正伝え車92は、揺動レバー60の上方に配置され、連結軸93に対して圧入等によって固定されている。これにより、修正伝え車90は、第1修正伝え車91及び第2修正伝え車92が一体となって揺動軸線N回りを回転可能とされている。
【0076】
上述のように構成された修正伝え車90は、
図12及び
図14に示すように、修正輪列110を介して巻真15に連係されており、巻真15の回転に伴って揺動軸線N回りを第1方向L1又は第2方向L2に回転可能とされている。
【0077】
(巻真)
図12及び
図14に示すように、巻真15は、地板11に形成された巻真案内穴11aに回転可能に組み込まれている。巻真15には、
図1に示すりゅうず14が連結されている。従って、りゅうず14を介して巻真15を回転操作することが可能とされている。
【0078】
巻真15を0段位置から、例えば1段階引き出した1段位置においては、巻真15と第1伝達車111とを連結させることができ、巻真15の回転に同期して第1伝達車111を回転させることが可能とされている。
なお、巻真15を2段階引き出した2段位置においては、例えば図示しないつづみ車等を介して日の裏車に連係することができ、時刻修正を行うことが可能とされている。
【0079】
(修正輪列)
図12及び
図14に示すように、修正輪列110は、巻真15を1段位置に位置させたときに、巻真15に連係した第1伝達車111と、第1伝達車111の回転に伴って回転する第2伝達車112と、第2伝達車112の回転に伴って回転する第3伝達車113と、第3伝達車113の回転に伴って回転する第4伝達車114と、第4伝達車114の回転に伴って回転する第5伝達車115と、第5伝達車115と同軸に配置され、第5伝達車115と同期して回転する第6伝達車116と、を備えている。
【0080】
これら第2伝達車112、第3伝達車113、第4伝達車114、第5伝達車115及び第6伝達車116は、主に地板11の上面側に配置されていると共に、それぞれ回転可能に支持されている。第6伝達車116は、第5伝達車115の上方に配置され、第1修正伝え車91に噛み合っている。
【0081】
従って、巻真15を1段位置に位置させた状態で回転操作することで、修正輪列110を介して修正伝え車90に動力(回転トルク)を伝達することができ、修正伝え車90を揺動軸線N回りに回転させることが可能とされている。
本実施形態では、巻真15を
図12に示す第1操作方向F1に回転させることで、修正伝え車90を第1方向L1に回転させることができ、これによって揺動レバー60を第1修正位置P1に向けて揺動させることができる。また、これとは逆に、巻真15を
図12に示す第2操作方向F2に回転させることで、修正伝え車90を第2方向L2に回転させることができ、これによって揺動レバー60を第2修正位置P2に向けて揺動させることができる。
【0082】
(時計の作用)
次に、上述のように構成された時計1の作用について説明する。
本実施形態の時計1によれば、ぜんまいからの動力、及び脱進機、調速機によって表輪列及び裏輪列が規則正しく駆動されることで、二番車17及び三番車が回転し、四番車20が60秒間に1回転する。これにより秒針8を60秒間に1回転させることができる。同時に筒かな21が60分間に1回転し、筒車24が例えば12時間に1回転するので、これによって分針7を60分間に1回転させ、時針6を12時間に1回転させることができる。さらに24時筒車40が24時間に1回転するので、24時針5を24時間に1回転させることができる。
その結果、時刻表示を適切に行うことができると共に、24時針5を利用して第2時間帯を適切に表示することができる。
【0083】
さらに、筒車24の回転に伴って日回し輪列を介して日車50を回転させることができるので、例えば午前0時に達するタイミングで、日ジャンパに抗する力で日車50を1歯分だけ回転させることができる。これにより、日文字9を1日分だけ日送りすることができ、日付を適切に表示することができる。
【0084】
このように、情報表示機構12が日車50及び24時筒車40を具備しているので、時刻表示に加えて、第2時間帯の情報や、日付の情報を同時に表示することができ、多機能表示機能を有する時計1とすることができる。
【0085】
次いで、日車50及び24時筒車40の修正を行う場合について説明する。
この場合には、りゅうず14を1段階引き出して、巻真15を0段位置から1段位置に移行させる。これにより、巻真15と第1伝達車111とを連結させることができ、巻真15の回転に同期して第1伝達車111を回転させることができる。従って、
図12に示すように、巻真15を回転操作することで、修正輪列110を介して修正伝え車90に動力を伝達することができ、修正伝え車90を揺動軸線N回りに回転させることができる。
【0086】
修正伝え車90と揺動レバー60とは、所定の回転抵抗を有した状態で組み合わされているので、修正伝え車90を回転させることで、修正伝え車90の回転に伴って揺動レバー60を揺動軸線N回りに揺動させることができ、第1修正位置P1又は第2修正位置P2に変位させることができる。
【0087】
例えば巻真15を
図12に示す第1操作方向F1に回転させることで、修正伝え車90を第1方向L1に回転させることができ、これによって揺動レバー60を、
図2に示す待機位置P0から
図7に示す第1修正位置P1に向けて揺動させることができる。そのため、カレンダ修正車70を日車50に向けて接近させることができ、日車50の内歯51に噛み合わせることができる。
なお、揺動レバー60が待機位置P0から第1修正位置P1に移動するまでの間は、カレンダ修正車70は日車50から離間しているので、日車50の内歯51に噛み合うことなく、修正伝え車90の回転に伴って回転しながら移動する。
【0088】
そして、カレンダ修正車70は、日車50の内歯51に噛み合うことで、修正伝え車90から伝達された動力を日車50に伝えることができ、日車50を回転させることができる。これにより、日車50を表示修正することができ、日付を修正することができる。
なお、揺動レバー60は、第1修正位置P1に移動すると、該第1修正位置P1に位置決めされる。具体的には、揺動レバー60が第1修正位置P1に位置すると、24時修正車80側の第2固定ピン66が、メイン案内溝101の周端部のうち補助案内溝102が繋がっている第1周端部に接触する。これにより、揺動レバー60は第1修正位置P1に位置決めされる。従って、揺動レバー60は、第1修正位置P1に移動すると、それ以上の移動が規制される。そのため揺動レバー60は、回転抵抗を超える抵抗を受けることになり、揺動レバー60の位置をそのままに修正伝え車90だけを回転させることができる。これにより、日車50の表示修正を適切に行うことができる。
【0089】
上述した場合とは逆に、例えば巻真15を
図12に示す第2操作方向F2に回転させることで、修正伝え車90を第2方向L2に回転させることができ、これによって揺動レバー60を、
図2に示す待機位置P0から
図8に示す第2修正位置P2に向けて揺動させることができる。そのため、24時修正車80を24時歯車42に接近させることができ、24時歯車42に噛み合わせることができる。
なお、揺動レバー60が第2修正位置P2に移動するまでの間は、24時修正車80は24時歯車42から離間しているので、24日歯車42に噛み合うことなく、修正伝え車90の回転に伴って回転しながら移動する。
【0090】
そして、24時修正車80は、24時歯車42に噛み合うことで、修正伝え車90から伝達された動力を24時歯車42に伝達することができ、24時歯車42を回転させることができる。これにより、24時歯車42を表示修正することができ、24時針5を修正することができる。
なお、揺動レバー60は、第2修正位置P2に移動すると、該第2修正位置P2に位置決めされる。具体的には、揺動レバー60が第2修正位置P2に位置すると、24時修正車80側の第2固定ピン66が、メイン案内溝101の周端部のうち24時筒車40側に位置する第2周端部に接触する。これにより、揺動レバー60は第2修正位置P2に位置決めされる。従って、揺動レバー60は、第2修正位置P2に移動すると、それ以上の移動が規制される。そのため揺動レバー60は、回転抵抗を超える抵抗を受けることになり、揺動レバー60の位置をそのままに修正伝え車90だけを回転させることができる。これにより、24時針5の表示修正を適切に行うことができる。
【0091】
このように、揺動レバー60を揺動させることで、異なる回転軸線を有する2つの修正車、すなわちカレンダ修正車70及び24時修正車80を連動して移動させることができ、日車50又は24時歯車42に直接的に噛合わせてそれぞれ表示修正を行うことができる。従って、従来のように、中間車等を介して日車50又は24時歯車42を表示修正する必要がなく、部品点数を抑えることができる。そのため、表示修正機構13を簡略に構成することができるうえ、低コスト化を図ることもできる。
【0092】
さらに、巻真15を通じて動力が伝達される修正伝え車90を利用して、揺動レバー60を揺動することができることに加え、修正伝え車90をカレンダ修正車70及び24時修正車80に噛み合わせているので、修正伝え車90からカレンダ修正車70及び24時修正車80に対して直接的に動力を伝達することができる。従って、この点においても部品点数を効果的に抑制することができる。
【0093】
さらには、先に述べたように中間車等を介して日車50又は24時歯車42を修正する必要がないので、中間車等を配置するスペースを確保する必要がない。従って、小型化及び薄型化を図り易い。
【0094】
さらには、カレンダ修正車70及び24時修正車80を、日車50及び24時歯車42に直接的に噛合わせることができるので、カレンダ修正車70及び24時修正車80を設計し易い。つまり、カレンダ修正車70に関しては、修正伝え車90と日車50とにだけ噛み合う形になるので、噛み合い箇所を2箇所にすることができ、歯形等を容易且つ自由に設計し易い。24時修正車80に関しても同様に、修正伝え車90と24時歯車42とにだけ噛み合う形になるので、噛み合い箇所を2箇所にすることができ、歯形等を容易且つ自由に設計し易い。従って、カレンダ修正車70及び24時修正車80の設計自由度を向上することができる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の表示修正機構13によれば、部品点数を抑えながらでも日車50及び24時歯車42(24時筒車40)の表示修正を適切に行うことができると共に、小型化及び薄型化を図ることができる。
【0096】
さらに、情報表示機構12によれば、上述した表示修正機構13を備えているので、必要に応じて日車50及び24時歯車42(24時筒車40)の表示修正を適切に行うことができ、日文字9を適切に表示することができるうえ、24時針5を利用して第2時間帯を適切に表示することができる。従って、例えば時差によって異なる2つの国(都市)の日付、時間等をそれぞれ適切に表示することが可能である。
従って、高品質且つ高性能で、さらに小型化及び薄型化を図ることができるムーブメント10及び時計1とすることができる。
【0097】
さらに、本実施形態によれば、巻真15の回転操作によって、日車50又は24時歯車42(24時筒車40)の表示修正を任意に選択しながら別個に行うことができるので、修正作業を容易に行うことができ、使い易い。
【0098】
さらに、揺動レバー60にカレンダ修正車70を組み合わせているので、揺動レバー60の揺動に伴ってカレンダ修正車70を移動させることができる。従って、揺動レバー60の揺動に対応して、カレンダ修正車70を日車50に対して適切に接近離間させることができる。従って、揺動レバー60を第1修正位置P1に位置させたときに、カレンダ修正車70を日車50の内歯51に対して適切に噛み合わせることができる。従って、日車50の表示修正をより確実に行い易い。
同様に、揺動レバー60に24時修正車80を組み合わせているので、揺動レバー60の揺動に伴って24時修正車80を移動させることができる。従って、揺動レバー60の揺動に対応して、24時修正車80を24時歯車42に対して適切に接近離間させることができる。従って、揺動レバー60を第2修正位置P2に位置させたときに、24時修正車80を24時歯車42対して適切に噛み合わせることができる。従って、24時針5の表示修正をより確実に行い易い。
【0099】
さらに、揺動レバー60とカレンダ修正車70及び24時修正車80とを一体に組み合わせておくことができるので、表示修正機構13の組み付け作業を容易且つ効率良く行い易い。
【0100】
なお、時刻修正を行う場合には、りゅうず14を2段階引き出して巻真15を0段位置から2段位置に移行させる。これにより、例えば図示しないつづみ車等を介して日の裏車に連係することができ、巻真15を回転操作することで、分針7、時針6及び24時針5のそれぞれの時刻修正と、日車50の修正とを行うことができる。
【0101】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0102】
図15及び
図16に示すように、本実施形態の表示修正機構130は、カレンダ修正車70が揺動レバー60とは別に配置され、地板11と裏物押さえ16との間に配置されている。
カレンダ修正車70は、上方及び下方に向けて延びた車軸71を備えている。車軸71は、地板11に形成された
図17に示す下部案内溝(本発明に係る案内溝)131内に下端部が挿入され、
図15及び
図16に示すように、裏物押さえ16に形成された上部案内溝(本発明に係る案内溝)132内に上端部が挿入されている。
下部案内溝131及び上部案内溝132は、上下方向に対向するように配置され、揺動軸線Nを中心として周方向に延びる平面視円弧状に形成されている。これにより、カレンダ修正車70は、下部案内溝131及び上部案内溝132に沿って、日車50に対して接近離間するように移動可能に案内されている。
【0103】
図15及び
図16に示すように、本実施形態の揺動レバー60は、揺動レバー本体61がカレンダ修正車70における車軸71の上端部に対して、車軸71を挟んで日車50とは反対側から接触している。これにより、揺動レバー60は、第1修正位置P1に向けて揺動するときに、カレンダ修正車70を日車50に接近するように押圧することができる。従って、
図18に示すように、揺動レバー60を第1修正位置P1に移動させたときに、カレンダ修正車70を日車50の内歯51に噛み合わせることができる。
この際、カレンダ修正車70の車軸71は、例えば下部案内溝131及び上部案内溝132の周端部に接触することで、適切に位置決めされる。
【0104】
さらに本実施形態では、カレンダ修正車70が裏物押さえ16の下方に配置されているので、
図16に示すように、修正伝え車90を構成する第1修正伝え車91とカレンダ修正車70とが噛み合っている。従って、第1修正伝え車91を通じてカレンダ修正車70に動力を直接的に伝えることができると共に、第2修正伝え車92を通じて24時修正車80に動力を直接的に伝えることができる。
【0105】
このように構成された表示修正機構130を具備する本実施形態の時計1であっても、
図18に示すように、揺動レバー60を第1修正位置P1に移動させたときに、カレンダ修正車70を日車50の内歯51に噛み合わせることができるので、日車50の表示修正を適切に行うことができる。従って、本実施形態の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【0106】
なお、本実施形態の場合であっても、揺動レバー60を第1修正位置P1及び第2修正位置P2に位置決めすることができる。
具体的には、揺動レバー60は、第1修正位置P1に移動すると、カレンダ修正車70の車軸71が、下部案内溝131の周端部のうち日車50側に位置する第1周端部、及び上部案内溝132の周端部のうち日車50側に位置する第1周端部のうちの、少なくともいずれか一方の第1周端部に接触する。これにより、揺動レバー60を第1修正位置P1に位置決めすることができ、それ以上の移動を規制することができる。
さらに揺動レバー60が第2修正位置P2に移動した場合には、第1実施形態と同様に、24時修正車80側の第2固定ピン66が、メイン案内溝101の周端部のうち24時筒車40側に位置する第2周端部に接触する。これにより、揺動レバー60を第1修正位置P2に位置決めすることができ、それ以上の移動を規制することができる。
【0107】
なお、本実施形態において、
図19に示すように、揺動レバー60を第2修正位置P2に揺動させた場合には、揺動レバー60とカレンダ修正車70とが非接触になる場合がある。ただし、この場合であっても、揺動レバー60を再度第1修正位置P1に揺動させることで、カレンダ修正車70を日車50の内歯51に適切に噛み合わせることができる。
【0108】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態において、例えば
図20及び
図21に示すように、揺動レバー本体61にカレンダ修正車70の車軸71を挿通させる挿通孔140を形成しても構わない。
このようにすることで、揺動レバー60は、
図20に示すように、第1修正位置P1に向けて揺動するときに、挿通孔140における内縁部を利用してカレンダ修正車70を日車50に接近するように押圧することができる。さらに、揺動レバー60は、
図21に示すように、第2修正位置P2に向けて揺動するときに、挿通孔140における内縁部を利用してカレンダ修正車70を日車50から離間するように押圧することができる。
【0109】
従って、揺動レバー60を第1修正位置P1及び第2修正位置P2のいずれに向けて揺動する場合であっても、挿通孔140を利用してカレンダ修正車70を押圧できるので、日車50に対して接近させて噛合わせることや、日車50から離間させて噛み合いを解除することを、より確実に行うことができる。
【0110】
なお、このように構成した場合であっても、揺動レバー60を第1修正位置P1及び第2修正位置P2に位置決めすることができる。
具体的には、揺動レバー60は、第1修正位置P1に移動すると、カレンダ修正車70の車軸71が、下部案内溝131の周端部のうち日車50側に位置する第1周端部、及び上部案内溝132の周端部のうち日車50側に位置する第1周端部のうちの、少なくともいずれか一方の第1周端部に接触した状態で、当該第1周端部と挿通孔140の内縁部との間に挟まれる。これにより、揺動レバー60を第1修正位置P1に位置決めすることができ、それ以上の移動を規制することができる。
さらに揺動レバー60が第2修正位置P2に移動した場合には、カレンダ修正車70の車軸71が、下部案内溝131の周端部のうち24時筒車40側に位置する第2周端部、及び上部案内溝132の周端部のうち24時筒車40側に位置する第2周端部のうちの、少なくともいずれか一方の第2周端部に接触した状態で、当該第2周端部と挿通孔140の内縁部との間に挟まれる。これにより、揺動レバー60を第2修正位置P2に位置決めすることができ、それ以上の移動を規制することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0112】
例えば、上記各実施形態では、機械式の時計を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばクォーツ式の時計に適用しても構わない。この場合には、例えばステップモータの駆動力を利用して、各車を回転させるように構成すれば良い。
【0113】
さらに上記各実施形態では、第1情報を表示する第1表示車として日車を採用し、第2情報を表示する第2表示車として、24時針を有する24時筒車を採用したが、これらの場合に限定されるものではない。例えば、曜日を表示する曜車を第1表示車として適用しても構わないし、その他の情報を表示する各種の表示車を、第1表示車及び第2表示車に適用しても構わない。
【0114】
さらに上記各実施形態では、揺動レバー本体とレバーばねの先端部との間で修正伝え車を構成する連結軸を挟み込むように(クリップするように)、揺動レバーを取り付けることで、揺動レバーと修正伝え車とを、所定の回転抵抗を有した状態で組み合わせた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、カレンダ修正車に対して揺動レバーをクリップするように取り付け、且つ24時修正車に対して揺動レバーをクリップするように取り付けることで、揺動レバーとカレンダ修正車及び24時修正車とを、所定の回転抵抗を有した状態で組み合わせても構わない。この場合であっても、揺動レバーを、上記回転抵抗を超える抵抗を受けない限り、修正伝え車の回転に伴って揺動軸線回りを揺動させることができると共に、上記回転抵抗を超える抵抗を受けた場合には、揺動レバーの位置をそのままに、修正伝え車の回転に伴ってカレンダ修正車及び24時修正車をそれぞれ回転させることができる。
従って、この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
【符号の説明】
【0115】
N…揺動軸線
O1…第1回転軸線
O2…第2回転軸線
P1…第1修正位置
P2…第2修正位置
1…時計
5…24時針(第2情報)
9…日文字(第1情報)
10…ムーブメント
12…情報表示機構
13、130…表示修正機構
15…巻真
40…24時筒車(第2表示車)
50…日車(第1表示車)
60…揺動レバー
70…カレンダ修正車(第1修正車)
80…24時修正車(第2修正車)
90…修正伝え車
131…下部案内溝(案内溝)
132…上部案内溝(案内溝)
140…挿通孔