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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141058
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】表示切替装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041190
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森 裕都
(72)【発明者】
【氏名】倉田 剛大
(72)【発明者】
【氏名】荒井 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇人
(57)【要約】
【課題】画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置(10)を提供する。
【解決手段】表示切替装置(10)に備えられたレンズアレイ(3)は、マイクロレンズ(L0~L4)が配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置(マイクロレンズL2)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値が大きくなる部分を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部とを備え、
前記表示部は、
複数の前記光源群から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域と、
を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズは球面レンズであり、
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記レンズの曲率半径の平均値が大きくなる部分を含む表示切替装置。
【請求項2】
複数の前記光源が配置されている光源平面における所定の位置を光源基準位置とし、
前記光源基準位置と前記レンズの球面による球の中心とを結ぶ直線と、前記光源平面に垂直な方向とがなす角をθ、
前記光源基準位置と、前記レンズアレイとの距離をL、
前記レンズアレイを構成する材料の屈折率をn、
前記レンズアレイの厚みをTとするとき、
前記曲率半径は、
cosθ/L+ncosθ/(T-R(1-cosθ))=(n-1)/R
という式を満たすR以上の値である請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項3】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部とを備え、
前記表示部は、
複数の前記光源群から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域と、
を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズは非球面レンズを含む表示切替装置。
【請求項4】
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記非球面レンズの焦点距離の平均値が長くなる部分を含む請求項3に記載の表示切替装置。
【請求項5】
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記非球面レンズの球面形状からのずれの平均値が大きくなる部分を含む請求項3または4に記載の表示切替装置。
【請求項6】
複数の前記光源が配置されている光源平面における所定の位置を光源基準位置とすると、
前記非球面レンズの形状は、前記光源基準位置と当該非球面レンズの所定位置とを結ぶ直線を中心軸とする線対称な曲面を含む請求項3から5の何れか1項に記載の表示切替装置。
【請求項7】
前記線対称な曲面が回転楕円体の面である請求項6に記載の表示切替装置。
【請求項8】
前記レンズ基準位置は、前記レンズアレイの重心の位置である請求項1、2、4、5の何れか1項に記載の表示切替装置。
【請求項9】
前記レンズ基準位置は、複数の前記光源の重心の位置から前記レンズアレイ面へ下した垂線と、当該レンズアレイ面との交点である請求項1、2、4、5の何れか1項に記載の表示切替装置。
【請求項10】
前記光源基準位置は、複数の前記光源の重心の位置である請求項2、6、7の何れか1項に記載の表示切替装置。
【請求項11】
それぞれの前記レンズに対応する前記光源基準位置は、当該レンズから最も遠い位置にある前記光源の位置である請求項2、6、7の何れか1項に記載の表示切替装置。
【請求項12】
前記レンズアレイの厚みが一定である請求項1から11の何れか1項に記載の表示切替装置。
【請求項13】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部とを備え、
前記表示部は、
複数の前記光源群から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域と、
を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記レンズの厚みが小さくなる部分を含む表示切替装置。
【請求項14】
前記レンズアレイの複数の前記光源から遠い方の面が平面である請求項13に記載の表示切替装置。
【請求項15】
複数の前記レンズの頂点が同一平面上にある請求項13に記載の表示切替装置。
【請求項16】
請求項1から15の何れか1項に記載の表示切替装置を複数備え、
前記表示切替装置の前記表示部が隣接して並べて配置される表示切替システム。
【請求項17】
請求項1から15の何れか1項に記載の表示切替装置を備え、前記表示切替装置に対するユーザの操作を検知するスイッチ。
【請求項18】
請求項17に記載のスイッチを備え、前記スイッチにより動作が行われる電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示切替装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図33は、特許文献1に記載されている従来の表示切替装置の概略構成を示す図である。図33に示すように、表示部100は複数の画素を備えており、各画素は2つの画素領域(△と○)を備えている。一つの光源102から出た光103は、複数の微小レンズからなるレンチキュラーレンズ101を介して、縦方向の7つの画素のそれぞれに入射されるようになっている。そして、光源102からの光103のレンチキュラーレンズ101に対する入射角度を変え、レンチキュラーレンズ101により集光する光の集光位置を変更し、表示する画素領域(△と○)を選択できるようになっている。すなわち、複数の画素領域△が選択された時に第1の図柄が表示され、複数の画素領域○が選択された時に第2の図柄が表示されるようになっている。なお、光源102は、図中のC方向に移動可能になっている。
【0003】
図34は、基板202と、表示部204に第1の図柄の表示を行うための第1光源201Aと、表示部204に第2の図柄の表示を行うための第2光源201Bと、複数のレンズを備えたレンズアレイ203と、表示部204とを備えた従来の表示切替装置200の概略構成を示す図である。表示切替装置200は、第1光源201Aを点灯させるか、第2光源201Bを点灯させるかによって、表示部204における第1の図柄の表示と第2の図柄の表示を切り替えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-195216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の表示切替装置の場合、一つの光源102から出た光103が、レンチキュラーレンズ101を介して縦方向の7つの画素に入射されるので、光103のレンチキュラーレンズ101に対する入射角度が広角になるにつれ、収差の影響で集光性が悪くなり画像のクロストーク発生してしまうという問題がある。特に、縦方向の7つの画素のうち上端部及び下端部に配置された画素における画素領域(△)と画素領域(○)との間の画像のクロストークは特に酷い。ここで、クロストークとは、画素領域(△)を表示する際に画素領域(○)が表示されたり、画素領域(○)を表示する際に画素領域(△)が表示されたりして、画質が低下することである。このような問題は、光源102を図中のC方向に移動させても改善できない。
【0006】
図34に示す従来の表示切替装置200の場合も、同様に、一つの第1光源201Aから出た光がレンズアレイ203を介して表示部204の第1画素領域205A・205A’と、一つの第2光源201Bから出た光がレンズアレイ203を介して表示部204の第2画素領域205B・205B’とに入射される。第2画素領域205Bの場合、第2光源201Bからの光のレンズアレイ203に対する入射角度が狭角であるので、集光性が良好であり、表示部204の上面(図中のS1)で集光するので、画像のクロストークの問題は生じない。第1画素領域205Aの場合も、第1光源201Aからの光のレンズアレイ203に対する入射角度が狭角であるので、集光性が良好であり、表示部204の上面(図中のS2)で集光するので、画像のクロストークの問題は生じない。また、第2画素領域205B’の場合も、第2光源201Bからの光のレンズアレイ203に対する入射角度が比較的に狭角であるので、集光性が良好であり、レンズアレイ203と表示部204との境界付近(図中のS3)で集光するので、大きな画像のクロストークの問題は生じない。一方、第1画素領域205A’の場合、第1光源201Aからの光のレンズアレイ203に対する入射角度が広角であるので、集光性が悪く、表示部204から大きく離れたレンズアレイ203の位置(図中のS4)で集光するので、画像のクロストークが問題となる。ここで、クロストークとは、第1画素領域205A・205A’を表示する際に第2画素領域205B・205B’が表示されたり、第2画素領域205B・205B’を表示する際に第1画素領域205A・205A’が表示されたりして、画質が低下することである。
【0007】
本開示は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示切替装置は、
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部とを備え、
前記表示部は、
複数の前記光源群から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域と、
を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズは球面レンズであり、
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記レンズの曲率半径の平均値が大きくなる部分を含む。
【0009】
前記構成によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置を実現できる。
【0010】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、
複数の前記光源が配置されている光源平面における所定の位置を光源基準位置とし、
前記光源基準位置と前記レンズの球面による球の中心とを結ぶ直線と、前記光源平面に垂直な方向とがなす角をθ、
前記光源基準位置と、前記レンズアレイとの距離をL、
前記レンズアレイを構成する材料の屈折率をn、
前記レンズアレイの厚みをTとするとき、
前記曲率半径は、
cosθ/L+ncosθ/(T-R(1-cosθ))=(n-1)/R
という式を満たすR以上の値である。
【0011】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示切替装置は、
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部とを備え、
前記表示部は、
複数の前記光源群から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域と、
を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズは非球面レンズを含む。
【0012】
前記構成によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置を実現できる。
【0013】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記非球面レンズの焦点距離の平均値が長くなる部分を含む。
【0014】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記非球面レンズの球面形状からのずれの平均値が大きくなる部分を含む。
【0015】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、
複数の前記光源が配置されている光源平面における所定の位置を光源基準位置とすると、
前記非球面レンズの形状は、前記光源基準位置と当該非球面レンズの所定位置とを結ぶ直線を中心軸とする線対称な曲面を含む。
【0016】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、前記線対称な曲面が回転楕円体の面である。
【0017】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、前記レンズ基準位置は、前記レンズアレイの重心の位置である。
【0018】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、前記レンズ基準位置は、複数の前記光源の重心の位置から前記レンズアレイ面へ下した垂線と、当該レンズアレイ面との交点である。
【0019】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、前記光源基準位置は、複数の前記光源の重心の位置である。
【0020】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、それぞれの前記レンズに対応する前記光源基準位置は、当該レンズから最も遠い位置にある前記光源の位置である。
【0021】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、前記レンズアレイの厚みが一定である。
【0022】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示切替装置は、
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
表示部とを備え、
前記表示部は、
複数の前記光源群から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域と、
を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されており、
前記レンズアレイは、前記レンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記レンズの厚みが小さくなる部分を含む。
【0023】
前記構成によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置を実現できる。
【0024】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、前記レンズアレイの複数の前記光源から遠い方の面が平面である。
【0025】
また、前記一側面に係る表示切替装置において、複数の前記レンズの頂点が同一平面上にある。
【0026】
また、前記一側面に係る表示切替システムは、前記表示切替装置を複数備え、前記表示切替装置の前記表示部が隣接して並べて配置される。
【0027】
前記構成によれば、大きい表示や、任意形状の表示が可能な表示切替システムを実現できる。
【0028】
また、前記一側面に係るスイッチは、前記表示切替装置を備え、前記表示切替装置に対するユーザの操作を検知する。
【0029】
前記構成によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善したスイッチを実現することができる。
【0030】
また、前記一側面に係る電気機器は、前記スイッチを備え、前記スイッチにより動作が行われる。
【0031】
前記構成によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善したスイッチを備えた電気機器を実現することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示の一態様によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、実施形態1の表示切替装置の概略的な構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1の表示切替装置に備えられた表示部の概略的な構成を示す図である。
図3図3は、実施形態1の表示切替装置に備えられた表示部の切替表示例を示す図である。
図4図4は、実施形態1の表示切替装置に備えることができる表示部及びレンズアレイと、光源との対応関係を示す図である。
図5図5は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置の光学的な効果を説明するための図である。
図6図6は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置に備えられたレンズアレイの構成を説明するための図である。
図7図7は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置に備えられたレンズアレイの特徴を説明するための図である。
図8図8は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置に備えることができる他のレンズアレイの特徴を説明するための図である。
図9図9は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置に備えられたレンズアレイのマイクロレンズの曲率半径を決定する方法の一例を示す図である。
図10図10は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置に備えられたレンズアレイのマイクロレンズの曲率半径を決定する方法の他の一例を示す図である。
図11図11は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置に備えられたレンズアレイのマイクロレンズの曲率半径を決定する方法のさらに他の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態2の表示切替装置に備えられた非球面レンズを含むレンズアレイの概略的な構成を示す図である。
図13図13は、実施形態2の表示切替装置に備えられたレンズアレイにおける非球面レンズの形状の一例を示す図である。
図14図14は、実施形態2の表示切替装置に備えることができる楕円形状の非球面レンズを含むレンズアレイの概略的な構成を示す図である。
図15図15は、図14に図示した楕円形状の非球面レンズの形状を決定する方法の一例を示す図である。
図16図16は、図14に図示した楕円形状の非球面レンズの形状を決定する方法の他の一例を示す図である。
図17図17は、非球面レンズの形状毎の画像のクロストークの改善効果を示す図である。
図18図18は、実施形態2の表示切替装置に備えることができる他の非球面レンズを含むレンズアレイの概略的な構成を示す図である。
図19図19は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの一例を示す平面図である。
図20図20は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができる他のレンズアレイの一例を示す平面図である。
図21図21は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるさらに他のレンズアレイの一例を示す平面図である。
図22図22は、実施形態1及び2の表示切替装置に備えられたレンズアレイにおいて光源基準位置を決定する方法の一例を示す図である。
図23図23は、実施形態1及び2の表示切替装置に備えられたレンズアレイにおいて光源基準位置を決定する方法の他の一例を示す図である。
図24図24は、実施形態1及び2の表示切替装置に備えられたレンズアレイにおいて光源基準位置を決定する方法のさらに他の一例を示す図である。
図25図25は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第1変形例を示す断面図である。
図26図26は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第2変形例を示す断面図である。
図27図27は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第3変形例を示す断面図である。
図28図28は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第4変形例を示す断面図である。
図29図29は、実施形態3の表示切替システムの概略的な構成を示す図である。
図30図30は、実施形態3の表示切替システムの変形例の概略的な構成を示す図である。
図31図31は、実施形態3の表示切替システムの他の変形例の概略的な構成を示す図である。
図32図32は、表示切替装置を備えた実施形態4のスイッチの概略的な構成を示す図である。
図33図33は、特許文献1に記載されている従来の表示切替装置の概略構成を示す図である。
図34図34は、従来の表示切替装置200の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の実施形態について図1から図32に基づいて説明すれば、次の通りである。以下、説明の便宜上、特定の実施形態にて説明した構成と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付記し、その説明を省略する場合がある。
【0035】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1の表示切替装置10の概略的な構成を示す図である。図1に示すように、表示切替装置10は、図面における下から上の順に、基板9と、複数の光源1A・1Bと、複数のマイクロレンズL0~L4を含むレンズアレイ3と、第1の図柄(静止図柄)の表示を行うための複数の画素領域4A・4A’・4A’’及び第2の図柄(静止図柄)の表示を行うための複数の画素領域4B・4B’・4B’’を含む表示部4と、光拡散部材5とを備えている。レンズアレイ3と、表示部4と、光拡散部材5とは、筐体6により支持されており、複数の光源1A・1Bが取付けられた基板9に筐体6を取付けることにより表示切替装置10となる。表示切替装置10は、光拡散部材5の上方に損傷防止用の保護層をさらに備えていてもよい。
【0036】
筐体6及び基板9の少なくとも一方は、光吸収材料で形成されていることが好ましい。このような構成とした場合、レンズアレイ3または表示部4で反射された光が再度レンズアレイ3及び表示部4を通過してユーザに視認されることを抑制することができる。また、複数の光源1A・1Bが発光していない状態で、外乱光の内部反射によって表示部4の画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’による画像が薄く見えてしまうことを抑制することができる。
【0037】
本実施形態においては、表示切替装置10が、光源1A・1Bとして、点状光源であるLED(例えば、RGBLED)を備えている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、光源1A・1Bとしては、棒形状の導光棒または、後述するような所定領域のみが発光する導光体などを用いてもよい。さらには、光源として、レーザー光を用いてもよい。なお、RGBLEDとは、赤色を発光するLEDと、緑色を発光するLEDと、青色を発光するLEDとが一つの光源としてパッケージされた光源であり、各色のLEDの明るさを個別に制御できる。また、本実施形態においては、表示切替装置10が、光源1Aを含む第1光源群に属する光源4個と、光源1Bを含む第2光源群に属する光源4個とを備えている場合を一例に挙げて説明するが、これに限定されることはなく、光源の数や光源と光源の間の距離や光源の大きさなどは、必要に応じて適宜設定することができる。
【0038】
本実施形態においては、レンズアレイ3が備えている複数のマイクロレンズL0~L4のレンズピッチLPは、マイクロレンズL0~L4それぞれの曲率半径が異なるため、一定ではない。また、複数のマイクロレンズL0~L4を含むレンズアレイ3の厚さは、複数のマイクロレンズL0~L4それぞれにおいて厚さが最も厚くなる部分Tが一定(例えば、0.5mm)となるようにした。さらに、レンズアレイ3の屈折率が1.5となるようにし、光源1A・1BとマイクロレンズL0~L4との間の最短距離LDが30mmとなるようにしたが、これに限定されることはない。レンズアレイ3に備えられるマイクロレンズの数、マイクロレンズのレンズピッチLP、レンズアレイ3の厚さ、レンズアレイ3の屈折率、光源とマイクロレンズとの間の最短距離LDなどは、必要に応じて適宜設定することができる。なお、光拡散部材5は、適宜省いてもよい。
【0039】
図2は、表示切替装置10に備えられた表示部4の概略的な構成を示す図である。
【0040】
図3は、表示切替装置10に備えられた表示部4の切替表示例を示す図である。
【0041】
図2に示すように、表示部4には、第1の図柄や第2の図柄などの所定の図柄が切り替わりながら表示される。なお、図2は、表示部4のA部の拡大図と表示部4のA部の拡大図のB部の拡大図とを含む。表示部4は、図3に示す第1の図柄P1(例示では平仮名「き」)の表示を行うための複数の画素領域4A・4A’・4A’’と、図3に示す第2の図柄P2(例示では図柄「△」)の表示を行うための複数の画素領域4B・4B’・4B’’と、画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’以外の部分4Sとで構成される。複数の画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’は、光源1A・1Bからの光を通し、第1の図柄P1または第2の図柄P2を表示するための開口である。画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’以外の部分4Sは、光源1A・1Bからの光の透過率を画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’よりも低くするマスクの役割をする部分である。画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’以外の部分4Sは、例えば、遮光性の高いブラックマトリクスなどで形成することが好ましいが、光源1A・1Bからの光の透過率を画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’よりも低くできる材料であれば、特に限定されない。表示部4は、可視光を透過する基板に設けられていてもよい。本実施形態においては、表示部4が、一つの層、例えば、ブラックマトリクスで形成される場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。例えば、表示部4は、2つの層で形成されてもよい。この場合、光源1A・1Bから近い下層として配置される第1層は、上層である第2層に含まれる画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’に光を通すための複数の開口や所定の透過率を有する透過領域が形成された層で構成することができる。光源1A・1Bから遠い上層として配置される第2層は、画素領域4A・4A’・4A’’・4B・4B’・4B’’を含む。
【0042】
図4は、実施形態1の表示切替装置に備えることができる表示部及びレンズアレイと、光源との対応関係を示す図である。
【0043】
上述したように、本実施形態においては、複数の画素領域4A・4A’・4A’’によって図3に示す第1の図柄P1が表示され、複数の画素領域4B・4B’・4B’’によって図3に示す第2の図柄P2が表示される場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。図4に示すように、第1光源群に属する光源1Aと、第2光源群に属する光源1B以外に、第3光源群に属する光源1Cと第4光源群に属する光源1Dとをさらに備えているとともに、第3光源群に属する光源1Cからの光が照射される画素領域及び第4光源群に属する光源1Dからの光が照射される画素領域を備えている場合には、図3に示す第1の図柄P1及び第2の図柄P2以外に、第3の図柄P3と第4の図柄P4とを含めて表示の切り替えを行うことができる。
【0044】
図5は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10の光学的な効果を説明するための図である。
【0045】
表示切替装置10は、光源1Aを含む第1光源群からの光の照射と、光源1Bを含む第2光源群からの光の照射とを、光源群ごとに切り替えることによって、表示画像を切り替える。
【0046】
図5に示す表示切替装置10の場合、光源1Aから出た光がレンズアレイ3のマイクロレンズL2~L4を介して表示部4の第1画素領域4A・4A’・4A’’と、光源1Bから出た光がレンズアレイ3のマイクロレンズL2~L4を介して表示部4の第2画素領域4B・4B’・4B’’とに入射される。
【0047】
第1画素領域4Aの場合、光源1Aからの光のレンズアレイ3に対する入射角度が狭角であり、第1画素領域4A’の場合、光源1Aからの光のレンズアレイ3に対する入射角度が中間角であり、第1画素領域4A’’の場合、光源1Aからの光のレンズアレイ3に対する入射角度が広角であるので、従来のレンズアレイを使用した場合、光が集光する集光点は、第1画素領域4A、第1画素領域4A’、第1画素領域4A’’の順に基板9から近くなる。したがって、従来のレンズアレイを使用した場合、第1画素領域4A’及び第1画素領域4A’’では、画像のクロストークの問題は生じ得る。そこで、表示切替装置10は、マイクロレンズL0~L4を含むレンズアレイ3を備えており、マイクロレンズL0~L4のそれぞれは、球面レンズである。そして、レンズアレイ3は、マイクロレンズL0~L4が配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置(ここではマイクロレンズL2(レンズ基準位置であるマイクロレンズL2は、レンズアレイ3の重心の位置である))からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値が大きくなる部分を含む。前記構成とすることで、光源1Aからの光の集光点S2・S4・S6をそれぞれ、表示部4の下面に揃えることができるので、第1画素領域4A・4A’・4A’’における画像のクロストークの問題は生じず、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置10を実現できる。
【0048】
第2画素領域4Bの場合、光源1Bからの光のレンズアレイ3に対する入射角度が狭角であり、第2画素領域4B’の場合、光源1Bからの光のレンズアレイ3に対する入射角度が狭角であり、第2画素領域4B’’の場合、光源1Bからの光のレンズアレイ3に対する入射角度が広角であるので、従来のレンズアレイを使用した場合、光が集光する集光点は、第2画素領域4B’’の場合が、第2画素領域4B及び第2画素領域4B’の場合よりも基板9から近くなる。したがって、従来のレンズアレイを使用した場合、第2画素領域4B’’では、画像のクロストークの問題は生じ得る。そこで、表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3は、マイクロレンズL0~L4が配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置(ここではマイクロレンズL2)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値が大きくなる部分を含む。前記構成とすることで、光源1Bからの光の集光点S1・S3・S5をそれぞれ、表示部4の下面に揃えることができるので、第2画素領域4B・4B’・4B’’における画像のクロストークの問題は生じず、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置10を実現できる。
【0049】
図6は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3の構成を説明するための図である。
【0050】
ここでは、図6に基づいて、所定のレンズ基準位置(図6ではマイクロレンズr0)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値が大きくなることの意味について説明する。なお、ここでは、一例として、マイクロレンズの曲率半径の平均値は、隣接する3つのマイクロレンズの曲率半径の平均値であるとするが、これに限定されることはなく、マイクロレンズの曲率半径の平均値は、隣接する2つ以上のマイクロレンズの曲率半径の平均値であればよい。例えば、R(-2)は、隣接する3つのマイクロレンズr(-3)・r(-2)・r(-1)の曲率半径の平均値であり、R(-1)は、隣接する3つのマイクロレンズr(-2)・r(-1)・r0の曲率半径の平均値であり、R0は、隣接する3つのマイクロレンズr(-1)・r0・r1の曲率半径の平均値であり、R1は、隣接する3つのマイクロレンズr0・r1・r2の曲率半径の平均値であり、R2は、隣接する3つのマイクロレンズr1・r2・r3の曲率半径の平均値である。所定のレンズ基準位置(図6ではマイクロレンズr0)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値が大きくなるので、R0<R1<R2<・・・・Rn-1<Rnを満たし、R0<R(-1)<R(-2)<・・・・R(-n)を満たす。
【0051】
図7は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3の特徴を説明するための図である。
【0052】
図7に示すように、表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3の場合、所定のレンズ基準位置(マイクロレンズr0)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値(隣接する3つのマイクロレンズの曲率半径の平均値)が大きくなる。すなわち、レンズアレイ3のマイクロレンズの曲率半径の平均値は外周部に近づく程、大きくなる。このような構成とすることで、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置10を実現できる。
【0053】
図8は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10に備えることができる他のレンズアレイ3aの特徴を説明するための図である。
【0054】
図8に示すように、表示切替装置10に備えることができるレンズアレイ3aの場合、所定のレンズ基準位置(マイクロレンズr0)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの曲率半径の平均値(隣接する3つのマイクロレンズの曲率半径の平均値)が大きくなる。すなわち、レンズアレイ3aのマイクロレンズの曲率半径の平均値は、中央付近では一定であるが、外周部に近づく程、大きくなる。このような構成とすることで、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置10を実現できる。
【0055】
図9は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3のマイクロレンズLnの曲率半径Rを決定する方法の一例を示す図である。
【0056】
図9に示すように、複数の光源1A・1Bが配置されている基板9の面(上面)、すなわち、光源平面における所定の位置を光源基準位置Cとし、光源基準位置CとマイクロレンズLnの球面による球の中心とを結ぶ直線と、前記光源平面に垂直な方向とがなす角をθ、光源基準位置Cと、レンズアレイ3との距離をL、レンズアレイ3を構成する材料の屈折率をn、レンズアレイ3の厚みをTとするとき、曲率半径Rは、cosθ/L+ncosθ/(T-R(1-cosθ))=(n-1)/Rという式を満たすR以上の値であることが好ましい。
【0057】
図10は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3のマイクロレンズLnの曲率半径Rを決定する方法の他の一例を示す図である。
【0058】
図10に示すように、複数の光源1A・1Bが配置されている基板9の面(上面)、すなわち、光源平面における光源1Aからの距離と光源1Bからの距離が同じである位置を光源基準位置Cとし、光源基準位置CとマイクロレンズLnの球面による球の中心とを結ぶ直線と、前記光源平面に垂直な方向とがなす角をθ、光源基準位置Cと、レンズアレイ3との距離をL、レンズアレイ3を構成する材料の屈折率をn、レンズアレイ3の厚みをTとするとき、曲率半径Rは、cosθ/L+ncosθ/(T-R(1-cosθ))=(n-1)/Rという式を満たすR以上の値であることが好ましい。
【0059】
図11は、図1に図示した実施形態1の表示切替装置10に備えられたレンズアレイ3のマイクロレンズLnの曲率半径Rを決定する方法のさらに他の一例を示す図である。
【0060】
図11に示すように、複数の光源1A・1Bが配置されている基板9の面(上面)、すなわち、光源平面における光源1A及び光源1BのうちマイクロレンズLnから遠い方の光源1Aの中心位置を光源基準位置Cとし、光源基準位置CとマイクロレンズLnの球面による球の中心とを結ぶ直線と、前記光源平面に垂直な方向とがなす角をθ、光源基準位置Cと、レンズアレイ3との距離をL、レンズアレイ3を構成する材料の屈折率をn、レンズアレイ3の厚みをTとするとき、曲率半径Rは、cosθ/L+ncosθ/(T-R(1-cosθ))=(n-1)/Rという式を満たすR以上の値であることが好ましい。
【0061】
〔実施形態2〕
次に、図12から図28に基づき、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態の表示切替装置は、レンズアレイのマイクロレンズとして非球面レンズを含む点において、上述した実施形成1とは異なる。その他については実施形態1において説明したとおりである。説明の便宜上、実施形態1の図面に示した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図12は、実施形態2の表示切替装置に備えられた非球面レンズを含むレンズアレイ3bの概略的な構成を示す図である。
【0063】
図12に示すように、レンズアレイ3bにおいては、収差が少ない中央部のマイクロレンズL3~L5は球面レンズで、収差が大きくなる周辺部のマイクロレンズL0~L2・L6~L8は非球面レンズで構成されている。
【0064】
さらに、レンズアレイ3bにおいては、マイクロレンズL0~L8が配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置(ここではマイクロレンズL4)からの距離が大きくなるにしたがって、非球面レンズの焦点距離の平均値が長くなる部分を含むことが好ましい。
【0065】
前記構成により、画像のクロストークによる画質の低下を改善した表示切替装置を実現できる。
【0066】
図13は、実施形態2の表示切替装置に備えられたレンズアレイにおける非球面レンズの形状の一例を示す図である。
【0067】
図13に示すように、レンズアレイ3bにおける非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状は、複数の光源1A・1Bが配置されている基板9の面(上面)、すなわち、光源平面における所定の位置を光源基準位置Cとすると、光源基準位置Cと当該非球面レンズであるマイクロレンズLnの所定位置とを結ぶ直線を中心軸とする線対称な曲面を含む形状であってもよい。
【0068】
図14は、実施形態2の表示切替装置に備えることができる楕円形状の非球面レンズを含むレンズアレイ3b’の概略的な構成を示す図である。
【0069】
図14に示すように、表示切替装置は、楕円形状の非球面レンズであるマイクロレンズLn-1~Ln+1を含むレンズアレイ3b’を備えていてもよい。楕円形状の非球面レンズは、線対称な曲面が回転楕円体の面である。
【0070】
図15は、図14に図示した楕円形状の非球面レンズの形状を決定する方法の一例を示す図である。
【0071】
図15に示すように、レンズアレイ3b’における楕円形状の非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状は、複数の光源1A・1Bが配置されている基板9の面(上面)、すなわち、光源平面における光源1Aからの距離と光源1Bからの距離が同じである位置を光源基準位置Cとすると、光源基準位置Cと当該楕円形状の非球面レンズであるマイクロレンズLnの所定位置とを結ぶ直線を中心軸とする線対称な曲面を含む形状であってもよい。
【0072】
図16は、図14に図示した楕円形状の非球面レンズの形状を決定する方法の他の一例を示す図である。
【0073】
図16に示すように、レンズアレイ3b’における楕円形状の非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状は、複数の光源1A・1Bが配置されている基板9の面(上面)、すなわち、光源平面における光源1A及び光源1BのうちマイクロレンズLnから遠い方の光源1Aの中心位置を光源基準位置Cとすると、光源基準位置Cと当該楕円形状の非球面レンズであるマイクロレンズLnの所定位置とを結ぶ直線を中心軸とする線対称な曲面を含む形状であってもよい。
【0074】
図17は、非球面レンズの形状毎の画像のクロストークの改善効果を示す図である。
【0075】
図17に示すように、サンプル1は、非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状が、光源から近い方は球面(図中点線で示す)から+の量でずらし球面に対して膨らむ形状を有し、光源から遠い方は球面形状を有する。サンプル2は、非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状が、光源から近い方は球面(図中点線で示す)から-の量でずらし球面に対して凹む形状を有し、光源から遠い方は球面形状を有する。サンプル3は、参考例としての球面レンズである。サンプル4は、非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状が、光源から近い方は球面形状を有し、光源から遠い方は球面(図中点線で示す)から+の量でずらし球面に対して膨らむ形状を有する。サンプル5は、非球面レンズであるマイクロレンズLnの形状が、光源から近い方は球面形状を有し、光源から遠い方は球面(図中点線で示す)から-の量でずらし球面に対して凹む形状を有する。
【0076】
サンプル1とサンプル5では、画像のクロストークの改善効果は得られず、悪化したが、サンプル2とサンプル4では、画像のクロストークの改善効果が得られた。
【0077】
図18は、実施形態2の表示切替装置に備えることができる他の非球面レンズを含むレンズアレイ3cの概略的な構成を示す図である。
【0078】
図18に示す非球面レンズを含むレンズアレイ3cの場合、光源から近い方は球面(図中点線で示す)から-の量でずらし球面に対して凹む形状を有し、光源から遠い方は球面(図中点線で示す)から+の量でずらし球面に対して膨らむ形状を有する。このような形状を有する非球面レンズを含むレンズアレイ3cの場合、図17の結果からも予測できるように、画像のクロストークのより大きい改善効果を得ることができる。
【0079】
なお、非球面レンズを含むレンズアレイは、マイクロレンズが配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置からの距離が大きくなるにしたがって、前記非球面レンズの球面形状からのずれの平均値が大きくなる部分を含むことが好ましい。
【0080】
図19は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイを示す平面図である。
【0081】
図19に示すように、レンズアレイ3は、マイクロレンズL0~L4として、1次元(1D)シリンドリカルレンズを備えていてもよい。
【0082】
図20は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができる他のレンズアレイの一例を示す平面図である。
【0083】
図20に示すように、レンズアレイ3dは、2次元(2D)ハニカム形状のマイクロレンズL1~L7を備えていてもよい。
【0084】
図21は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるさらに他のレンズアレイの一例を示す平面図である。
【0085】
図21に示すように、レンズアレイ3aは、2次元(2D)マトリクス形状のマイクロレンズL1~L9を備えていてもよい。
【0086】
図22は、実施形態1及び2の表示切替装置に備えられたレンズアレイ3fにおいて光源基準位置Cを決定する方法の一例を示す図である。
【0087】
図22に示すように、光源基準位置Cは、複数の光源G1~G4の重心の位置であってもよく、レンズ基準位置は、複数の光源G1~G4の重心の位置(光源基準位置C)からレンズアレイ面へ下した垂線と、当該レンズアレイ面との交点であってもよい。さらには、図16に図示するように、それぞれのマイクロレンズLnに対応する光源基準位置Cは、当該マイクロレンズLnから最も遠い位置にある光源の位置であってもよい。
【0088】
図23は、実施形態1及び2の表示切替装置に備えられたレンズアレイ3gにおいて光源基準位置Cを決定する方法の他の一例を示す図である。
【0089】
図23に示すように、光源基準位置Cは、複数の光源G1~G8の重心の位置であってもよく、レンズ基準位置は、複数の光源G1~G8の重心の位置(光源基準位置C)からレンズアレイ面へ下した垂線と、当該レンズアレイ面との交点であってもよい。さらには、図16に図示するように、それぞれのマイクロレンズLnに対応する光源基準位置Cは、当該マイクロレンズLnから最も遠い位置にある光源の位置であってもよい。
【0090】
図24は、実施形態1及び2の表示切替装置に備えられたレンズアレイ3hにおいて光源基準位置Cを決定する方法のさらに他の一例を示す図である。
【0091】
図24に示すように、光源基準位置Cは、複数の光源G1~G9の重心の位置であってもよく、レンズ基準位置は、複数の光源G1~G9の重心の位置(光源基準位置C)からレンズアレイ面へ下した垂線と、当該レンズアレイ面との交点であってもよい。さらには、図16に図示するように、それぞれのマイクロレンズLnに対応する光源基準位置Cは、当該マイクロレンズLnから最も遠い位置にある光源の位置であってもよい。
【0092】
図25は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第1変形例を示す断面図である。
【0093】
図25に示すレンズアレイ3iは、マイクロレンズL0~L4が配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置(ここではマイクロレンズL2)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの厚みが小さくなる部分を含む。
【0094】
図26は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第2変形例を示す断面図である。
【0095】
図26に示すレンズアレイ3jは、マイクロレンズL0~L4が配列されるレンズアレイ面における所定のレンズ基準位置(ここではマイクロレンズL0)からの距離が大きくなるにしたがって、マイクロレンズの厚みが小さくなる部分を含む。
【0096】
図27は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第3変形例を示す断面図である。
【0097】
図27に示すレンズアレイ3kは、図示していない複数の光源から遠い方の面が平面である。
【0098】
図28は、実施形態1及び2の表示切替装置に用いることができるレンズアレイの第4変形例を示す断面図である。
【0099】
図28に示すレンズアレイ3lは、複数のマイクロレンズL0~L4の頂点が同一平面上にある。
【0100】
〔実施形態3〕
次に、図29から図31に基づき、本発明の実施形態3について説明する。本実施形態の表示切替システム60・60a・60bは、上述した実施形態1から3における表示切替装置を複数備えている。説明の便宜上、実施形態1から3の図面に示した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
図29は、実施形態3の表示切替システム60の概略的な構成を示す図である。
【0102】
図29に示す表示切替システム60においては、複数の表示切替装置10が左右方向または上下方向に連結され、表示切替装置10の表示部が隣接して並べて配置されている。
【0103】
図30は、実施形態3の表示切替システムの変形例の概略的な構成を示す図である。
【0104】
図30に示す表示切替システム60aにおいては、複数の表示切替装置10b・10c・10d・10eが2次元的に連結され、各表示切替装置の表示部が隣接して並べて配置されている。
【0105】
図31は、実施形態4の表示切替システムの他の変形例の概略的な構成を示す図である。
【0106】
図31に示す表示切替システム60bにおいては、複数の表示切替装置10f・10g・10h・10i・10jが任意形状に連結され、各表示切替装置の表示部が隣接して並べて配置されている。
【0107】
前記構成によれば、大きい表示や、任意形状の表示が可能な表示切替システム60・60a・60bを実現できる。
【0108】
〔実施形態4〕
次に、図32に基づき、本発明の実施形態4について説明する。本実施形態においては、表示切替装置10を備えたスイッチ70について説明する。説明の便宜上、実施形態1から3の図面に示した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
図32は、表示切替装置10を備えた実施形態4のスイッチ70の概略的な構成を示す図である。
【0110】
なお、図32に示すように、スイッチ70は、外光を吸収する光吸収部材72をさらに備えていてもよい。光吸収部材72は、表示切替装置10の表示部4の画素領域以外と平面視において重畳するように設けられている。
【0111】
なお、図示してないが、静止図柄としてON及びOFFを含む表示切替装置または表示切替システムは、前記表示切替装置または前記表示切替システムに対するユーザの操作を検知する機能を備えることで、スイッチとして使用することができる。
【0112】
前記構成によれば、画像のクロストークによる画質の低下を改善したスイッチを実現することができる。
【0113】
さらに、上述したスイッチを備えた電気機器は、前記スイッチにより動作が行われる。
【0114】
前記構成によれば、電気機器における各種スイッチまたはボタンの表面における画像のクロストークによる画質の低下の改善や該電気機器が備える表示画面などにおける画像のクロストークによる画質の低下の改善を行うことができる。なお、電気機器としては、例えば、遊技機、車載装置、家庭用電気機器、エレベーターなどを一例に挙げることができるが、これに限定されることはない。
【0115】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1A、1B、1C、1D、G 光源
3、3a、3b、3b’、3c~3l レンズアレイ
4 表示部
4A、4B,4A’、4B’、4A’’、4B’’ 画素領域
5 光拡散部材
6 筐体
9 基板
10、10a、11~14、14a、15~19 表示切替装置
60、60a、60b 表示切替システム
70 スイッチ
L0~L4、Ln マイクロレンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34