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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141063
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】貨幣受付システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20220921BHJP
   G06Q 20/18 20120101ALI20220921BHJP
【FI】
G07D11/20
G06Q20/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041199
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】角野 勝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】川田 勝則
【テーマコード(参考)】
3E141
5L055
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA02
3E141CB04
3E141FJ05
5L055AA38
(57)【要約】
【課題】安価な構造、システムで、且つ、不正処理の可能性を抑えた貨幣受付システムを提供することを目的とする。
【解決手段】現金処理機1と、前記現金処理機に備わるリジェクト現金排除部と、前記リジェクト現金排除部で排除されたリジェクト現金に対し、リジェクト現金情報を入力する入力部14、15と、前記入力部14、15によって入力された前記リジェクト現金情報を前記現金処理機1の外部に伝達する通信部と、金種情報と静止画像情報を確認、承認することで、前記通信部を介して承認情報を返信する承認用パーソナルコンピューター2と、前記承認用パーソナルコンピューター2からの前記承認情報を受信することで、前記リジェクト現金情報を機外取引情報として記録する記録部と、前記リジェクト現金情報に関わる前記リジェクト現金を収納するポスト部3と、を備える貨幣受付システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金処理機と、
前記現金処理機に備わるリジェクト現金排除部と、
前記リジェクト現金排除部で排除されたリジェクト現金に対し、少なくとも前記リジェクト現金の金種情報と静止画像情報よりなるリジェクト現金情報を入力する入力部と、
前記入力部によって入力された前記リジェクト現金情報を前記現金処理機の外部に伝達する通信部と、
前記通信部より伝達された前記リジェクト現金情報を受信し、前記リジェクト現金情報に含まれる前記金種情報と前記静止画像情報を確認、承認することで、前記通信部を介して承認情報を返信する承認用パーソナルコンピューターと、
前記承認用パーソナルコンピューターからの前記承認情報を受信することで、前記リジェクト現金情報を機外取引情報として記録する記録部と、
前記リジェクト現金情報に関わる前記リジェクト現金を収納するポスト部と、
を備える貨幣受付システム。
【請求項2】
前記リジェクト現金排除部で排除された前記リジェクト現金に対し、前記承認用パーソナルコンピューターによる承認を求めるか否かを選択する選択手段を備える請求項1に記載の貨幣受付システム。
【請求項3】
少なくとも、前記リジェクト現金情報に関わる前記リジェクト現金を収納する一連の作業を撮影した画像を記憶する記憶部を備える請求項1または2に記載の貨幣受付システム。
【請求項4】
前記通信部が、さらに前記一連の作業を撮影した画像を、前記承認用パーソナルコンピューターに向けて送信することを特徴とする請求項3に記載の貨幣受付システム。
【請求項5】
前記承認用パーソナルコンピューターからの前記承認情報を受信した場合に、前記リジェクト現金を収納する前記ポスト部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の貨幣受付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣受付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等において、現金を自動的に受け付ける現金自動受付機が備えられている。この現金自動受付機には、自動的に受け付けることができない現金が僅かではあるが発生する。 近年では、自動機(これを第一の自動機と称す)で排除されたリジェクト現金を改めて受け付けるため、第一の自動機で識別された際に記録された第一の画像データと、排除されたリジェクト現金を受け付ける第二の自動機に投入された際に記録された第二の画像データと比較しつつ確認することで、第一の自動機で排除されたリジェクト現金を第二の自動機に収納させる貨幣管理システムが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-071622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような自動機では第一の自動機のみならず、第二の自動機にあっても現金を受け入れてこれを撮像し現金を確認され、自動的に収納するための機構が必要であり、高価な装置となっている。
また、このような自動機では自動で確認することだけでなく、人間によって確認指示することで現金が収納可能にも構成されている。そのため、第一の自動機と第二の自動機の操作者一人のみで受入処理が可能となり、不正処理の可能性があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、安価で、且つ、不正処理の可能性を抑えた貨幣受付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る貨幣受付システムの第1の態様は、現金処理機と、前記現金処理機に備わるリジェクト現金排除部と、前記リジェクト現金排除部で排除されたリジェクト現金に対し、少なくとも前記リジェクト現金の金種情報と静止画像情報よりなるリジェクト現金情報を入力する入力部と、前記入力部によって入力された前記リジェクト現金情報を前記現金処理機の外部に伝達する通信部と、前記通信部より伝達された前記リジェクト現金情報を受信し、前記リジェクト現金情報に含まれる前記金種情報と前記静止画像情報を確認、承認することで、前記通信部を介して承認情報を返信する承認用パーソナルコンピューターと、前記承認用パーソナルコンピューターからの前記承認情報を受信することで、前記リジェクト現金情報を機外取引情報として記録する記録部と、前記リジェクト現金情報に関わる前記リジェクト現金を収納するポスト部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記第1の態様によれば、外部の人間に撮影したリジェクト現金の画像を送り、受け入れ可能かどうか判断してもらうことで、従来の第二の自動機に相当する部分がなくなり、現金処理機の構造を従来のものより安価にすることができる。
【0008】
また、上記の貨幣受付システムは、前記リジェクト現金排除部で排除された前記リジェクト現金に対し、前記承認用パーソナルコンピューターによる承認を求めるか否かを選択する選択手段を備えてもよい。
【0009】
上記の貨幣受付システムによれば、承認用パーソナルコンピューターにリジェクト現金の承認を求めることによって、操作者が二人以上となり、不正処理の可能性を抑えることができる。
【0010】
また、上記の貨幣受付システムは、少なくとも、前記リジェクト現金情報に関わる前記リジェクト現金を収納する一連の作業を撮影した画像を記憶する記憶部を備えてもよい。
【0011】
また、上記の貨幣受付システムは、前記通信部が、さらに前記一連の作業を撮影した画像を、前記承認用パーソナルコンピューターに向けて送信してもよい。
【0012】
上記の貨幣受付システムによれば、一連の動作履歴(取引情報、静止画像情報、動画情報)を内部または外部に記録することができる。これにより、後に不正が行われていないか確認することができる。
【0013】
また、上記の貨幣受付システムは、前記承認用パーソナルコンピューターからの前記承認情報を受信した場合に、前記リジェクト現金を収納する前記ポスト部を備えてもよい。
【0014】
上記の貨幣受付システムによれば、すべてのリジェクト現金についての承認を受けることで、承認されたリジェクト現金を一枚ずつまたは纏めて封筒に収納し、封緘して、ポスト部に投函することができる。これにより、承認されたリジェクト現金のみ受け入れることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の貨幣受付システムによれば、リジェクト現金発生時に、現金処理機の操作者と承認用パーソナルコンピューターを操作する承認権限者と共同で、正しく入金処理を完了することができる。このため、比較的安価で、且つ、不正処理の可能性を抑えた貨幣受付システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】貨幣受付システムの全体像を示す斜視図である。
図2】本発明に係る貨幣処理システムを示すブロック図である。
図3】本発明に係る貨幣処理システムの制御内容を示すフローチャートである。
図4】現金処理機操作者による現金処理機の表示部に表示される画面例1を示す正面図である。
図5】現金処理機操作者による現金処理機の表示部に表示される画面例2を示す正面図である。
図6】現金処理機操作者による現金処理機の表示部に表示される画面例3を示す正面図である。
図7】現金処理機操作者による現金処理機の表示部に表示される画面例4を示す正面図である。
図8】承認権限者の承認用パーソナルコンピューターに表示される画面例5を示す正面図である。
図9】承認権限者の承認用パーソナルコンピューターに表示される画面例6を示す正面図である。
図10】現金処理機操作者による現金処理機の表示部に表示される画面例7を示す正面図である。
図11】現金処理機操作者による現金処理機の表示部に表示される画面例8を示す正面図である。
図12】本発明の第二実施形態に係る損券損貨収納庫を示す斜視図である。
図13】本発明の第五実施形態に係る損券損貨収納庫を示す側断面図である。
図14】本発明の第五実施形態に係る硬貨トレーを示す上面図である。
図15】本発明の第八実施形態に係るポスト部を示す正面図である。
図16】本発明の第八実施形態に係るコンプライアンスカメラによる撮影画像例の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、貨幣受付システムについて説明する。
貨幣受付システムの説明にあたり、まず、システムの構成について説明する。
【0018】
(貨幣受付システムの構成)
図1に貨幣受付システムの全体像を示す斜視図を示す。また、図2に貨幣処理システムのブロック図を示す。以下図1図2を参照して説明する。貨幣受付システム100は、現金処理機1を備える。現金処理機1は、通信手段を備える。また、現金処理機1には、紙幣についての入出金処理等を行う紙幣処理機11と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理機12と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理機13とが左右に並設されて構成されている。硬貨処理機13の上部に、操作者によって操作入力がなされる操作部14と、操作者に対して表示を行う表示部15とを備え、現金処理機1を制御する制御装置部16が設けられている。また、新券処理機12の台部12aを、リジェクト現金の撮影場所と規定することができる。また、台部12aに、撮影場所を規定する目印が施されていてもよい。また、現金処理機1は、外部とネットワーク通信を行う通信部61、リジェクト現金情報を記録する記録部62、現金の受け付けの可否を判断するリジェクト現金排除部63、一連の動作を記憶する記憶部64を備えている。ここにおいて、操作部14と表示部15を個別に設ける説明を行ったが、表示部15にタッチパネル式の操作機能(操作部14に相当)を持たせて、入力部としても良い。
【0019】
新券処理機12の後方には、リジェクト現金を収納した封筒などが投入可能に構成される箱状のポスト部3が設けられている。
【0020】
また、貨幣受付システム100は、現金処理機1と通信可能に接続される承認用パーソナルコンピューター2、静止画カメラ(不図示)、及び動画カメラ(不図示)を備える。
静止画カメラ及び動画カメラはコンプライアンスカメラの類を用いることができる。承認用パーソナルコンピューター2は、制御部66、操作部67、表示部68、記憶部69を備える。承認用パーソナルコンピューター2は、タブレット等の携帯端末であってもよい。ここにおいて、貨幣受付システム100と同様に、操作部67と表示部68を個別に設ける説明を行ったが、表示部68にタッチパネル式の操作機能を持たせて、入力部としても良い。
静止画カメラは、リジェクト現金を撮影することのみを目的とし、台部12a等の規定の撮影場所にセットされたリジェクト現金のみを撮影する。一方、動画カメラは、リジェクト現金が発生し、これを受け入れるための全工程の作業動作を後に検証できるように記憶することを目的とする。静止画カメラと動画カメラは別々に設けても良いし、一つのカメラで上記撮影が可能であれば、一つでもよい。
【0021】
また、紙幣処理機11は、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されるとともに機内から出金用のバラ紙幣が繰り出される入出金部21が設けられている。また、入出金部21の上部には、小束紙幣を機外に繰り出す束出金部32が設けられている。
また、紙幣処理機11は、装置主体部45を備える。
【0022】
また、入出金部21の下側には、紙幣処理機11の前面位置に、リジェクト現金排除部63により受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト部26が設けられている。
【0023】
次に、現金処理機1を操作する操作者による操作について図4図11を参照して説明する。
【0024】
(現金処理機1の操作者による操作)
本発明に係る貨幣処理システムの制御内容を示すフローチャートを図3に示す。以下、図3に示す内容を詳細に説明する。
現金処理機1において、一の取引である入金処理(全額入金)又は精算処理(入金かつ釣銭出金有り)で、処理することができないとリジェクト現金排除部63により判断され、排除されたリジェクト現金が発生した時、表示部15上にリジェクト現金発生情報を表示させるとともに、図4に示すように、「リジェクト現金受入用承認申請」ボタンを表示させる。なお、リジェクト現金の発生情報は、リジェクト現金を取り忘れることの防止にも利用される。また、「リジェクト現金受入用承認申請」を行わない旨の、「申請不要」ボタンがあってもよい。これにより、操作者は、外部に承認を求めるか否かを選択する選択手段を備えることができる。
【0025】
「リジェクト現金受入用承認申請」ボタン押下で、図5に示すように、動画カメラの動画によるリジェクト現金撮影モードが起動する。またこの起動と並行して、承認申請する金種の入力画面が起動し、これらを入力する。入力後、選択したリジェクト現金を台部12a等の規定の撮影場所にセットすると、直ちにまたは数秒後に静止画カメラの静止画による自動撮影が始まる。または、「撮影/再撮影」ボタンを押下することにより静止画カメラによる静止画が撮影される。
静止画の撮影完了後、入力金種情報と静止画像情報が表示され、これを確認後、「確認/登録」ボタンの押下で、承認申請する一枚目のリジェクト現金情報が生成される。この時、静止画像情報が不明瞭などと判断した場合には、「撮影/再撮影」ボタンを押下してリジェクト現金を再撮影することが出来る。さらに、「次の現金登録」ボタンを押下して未撮影のリジェクト現金の金種入力と静止画撮影を繰り返すことが出来る。
【0026】
図5の「撮影終了」ボタン押下により、図6に示すように、リジェクト現金受入用承認申請におけるすべてのリジェクト現金の金種別枚数が把握される。例えば、紙幣M枚、硬貨N枚と把握される。図6に示す例ではM=1、N=2である。
【0027】
把握された金種別枚数と静止画像情報は、必要に応じて、再表示を可能とし、さらに必要に応じて、再撮影を可能とすることができる。すなわち、図6に示すようにリジェクト現金が複数ある時はリスト表示で全件確認を可能とすることができる。図6のリストから確認したい現金の種類を選択することで、図7に示すように個別表示(1件表示)で個々のリジェクト現金の再確認を可能とすることができる。リジェクト現金が1枚の場合には、個別表示となる。
リジェクト現金の登録が終了したこの段階で、さらに「申請実行」ボタンを操作することで、通信部61を利用して現金処理機外の承認用パーソナルコンピューター2へ、一以上のリジェクト現金情報が伝達される。通信部61に用いられる回線は、有線LAN又は無線LAN、さらには公衆回線、専用回線を用いてもよい。承認用パーソナルコンピューター2は、店舗内の別部署、別フロア、または他店舗、センター等の手入力現金承認権限を有する承認権限者のパーソナルコンピューター等が挙げられる。いずれの承認用パーソナルコンピューターに送信させるかは、予め定めた所定の条件により自動的に定められることが好ましいが、少なくとも、直ちに確認、及び応答が可能な承認権限者のパーソナルコンピューターであることが求められる。
【0028】
図8に示すように、承認用パーソナルコンピューター2に、リジェクト現金情報が受信されると、「承認申請有り」情報が表示され、「承認申請応答」ボタンを押下することで、当該承認権限者が承認申請を審査する。他の承認権限者が先に応ずる操作を行った場合には、その旨が表示されて「承認申請有り」情報は当該承認権限者の承認用パーソナルコンピューター2から表示が消去される。
【0029】
図9に示すように、当該承認権限者が「承認申請応答」ボタンを押下すると、承認申請内容が表示される。この時、複数のリジェクト現金の承認要求の場合には、複数件のリストが表示され、リストの1件を選択することができる。また、一枚のリジェクト現金の承認要求の場合には当該一枚のリジェクト現金情報が表示される。すなわち、当該リジェクト現金の金種情報とその静止画像情報が承認用パーソナルコンピューター2に表示される。同時に、「承認」ボタンと「差し戻し」ボタンが表示される。複数件の承認要求の場合、リストの上下方向を示すボタンが表示される。
承認権限者が一枚ずつ金種と静止画像情報を確認し、正しいと確認した場合に、一枚ずつ「承認」ボタンを操作する。承認できない時は「差し戻し」ボタンを操作する。なお、「差し戻し」ボタンを操作する際には、その理由を付記するようにすることができる。
複数件あるときは、1件についての「承認」ボタンの押下または「差し戻し」ボタンの押下をすることで、自動的に次のリジェクト現金情報を表示するようにしてもよい。
承認用パーソナルコンピューター2での「承認」ボタン押下または「差し戻し」ボタン押下を行うことで、その承認情報は、通信部61を介して現金処理機1に直ちに返信される。あるいは、複数件ある場合については、全件についての承認または差し戻しの結果が揃ってからでもよい。
【0030】
「承認」または「差し戻し」の結果情報は、図10に示すように、操作された現金処理機1に直ちに表示される。
特に、承認情報を受け取った場合には、一枚ごとの確認操作をもって、当該取引の機外取引情報として記録部62に記録される。あるいは、複数枚の場合には、すべてが承認された場合にのみ、当該取引の機外取引情報として記録されるとしてもよい。そして、リジェクト現金については、さらに、承認権限者情報も併せて記録される。差し戻し情報を受け取った場合には、差し戻しに関わる付記情報を確認して、再度、撮影等を行うことで、再度の承認申請を行うことができる。
【0031】
すべてのリジェクト現金についての承認を受けることで、あるいは複数件にあっては、都度の承認を受けることで、確認操作に合わせて、承認されたリジェクト現金を一枚ずつまたは纏めて封筒に収納し、封緘して、ポスト部3に投函する。なお、投函される封筒には、少なくとも、当該取引の取引日時と取引番号と操作者情報が記入される。さらに、投函するリジェクト現金の金種及び枚数の明細を記録するようにしても良い。また、ポスト部3は、投函される封筒を検出するセンサが設けられ、投函行為を確認することができる。
上記の投函後、図11に示すように、「完了確認」ボタンが表示されるので、「完了確認」ボタンの操作で、動画カメラによる動画撮影が終了し、本願に関わる一連の動作、及び制御が終了する。その後、当初実行していた、現金処理機1における入金処理(全額入金)又は精算処理(入金かつ釣銭出金有り)の残りの処理を実行して、一つの取引処理を終了する。
【0032】
これら一連の作業を撮影した画像、動作履歴(取引情報、静止画像情報、動画情報)は、現金処理機1の記憶部64に記憶されてもよいし、現金処理機1以外のサーバー等に記憶されてもよいし、特にデータ量が多くなる動画情報のみを別に記憶するようにしてもよい。また、記憶部64から通信部61を介して一連の作業を撮影した画像、及び動作履歴を、承認用パーソナルコンピューター2に向けて送信してもよい。
【0033】
動画カメラの撮影は、「リジェクト現金受入用承認申請」ボタンの操作開始から、「完了確認」ボタンの操作までの、台部12a等の規定の撮影場所を含む比較的広範囲の作業エリアの作業状況を記録する。
このため、動画カメラによる撮影時に、操作者または操作者の手先などが動画撮影範囲に入るような撮影エリアが設定されており、これを超えるような動作が撮影中に発生した場合には、アラーム(軽微な警告)ないしはエラー警告(重度な警告)できるようにしてもよい。エラー警告(重度な警告)の場合、警告発生時までの記録データは無効とされて、一から再開するように制御してもよい。また、警告の区分は一つでも良いし、三つ以上に細かく定めても良い。
【0034】
次に、本発明に係る他の形態について説明する。
【0035】
(第二実施形態)
第一実施形態では、承認権限者に対して、リジェクト現金情報、すなわち、リジェクト現金の金種とその静止画像情報のセットを一つ以上送り、承認権限者は送付されたリジェクト現金情報を確認して承認するのみであった。一方、承認されたリジェクト現金が、その後、現金処理機1の操作者によって正しく封筒に入れられてポスト部3に投函されたのかは、別途記憶された動画カメラによる動画情報を後々確認するか、または別の管理者がポスト部3から封筒を取り出して開封し、直接中身を確認するしか方法がなく、確認までに時間差が生じることがある。
【0036】
第二実施形態では、これらの作業工程の動画を、記録と並行して承認用パーソナルコンピューター2に配信することで、現金処理機1での作業工程を確認しつつ、入力データであるリジェクト現金情報を併せて確認する。このため、承認用パーソナルコンピューター2には、リジェクト現金情報表示用のモニタに加え、配信動画表示用のモニタがさらに設けられる。
【0037】
これにより、遅くとも、図8に記載の「承認申請有り」の応答時点から、現金処理機1での作業工程の動画を承認用パーソナルコンピューター2に配信し、承認後に行われる現金処理機1の操作者によるリジェクト現金の封筒への収納行為について、通信を介しての目視確認をリアルタイムで行わせることができる。
好ましくは、図4から図5に切り替わるタイミングで、承認申請に応答可能な承認権限者の応答を待って、リジェクト現金の金種入力、静止画撮影から、その作業工程の動画を配信させてリアルタイムで目視確認を行わせてもよい。
これらの場合、通信を介しての承認権限者の目視確認がなされるので、動画撮影結果を、すべての作業確認終了後に消去制御させることも可能となり、動画記録の負担を軽減できる効果も期待できる。
【0038】
(第三実施形態)
第一実施形態、及び第二実施形態では、登録承認されたリジェクト現金は封筒に収納されて、封筒をポスト部3に投函することで収納保管される。
第三実施形態では、このような、封筒によるポスト部3への保管に代え、損券損貨専用の収納庫を備えて、損券損貨を一枚ずつ収納させる。
図12は、損券損貨収納庫4を示す。
【0039】
損券損貨収納庫4は、硬貨収納部4aと紙幣収納部4bとが区切られて設けられる。
硬貨収納部4aは、さらに金種ごとの硬貨収納部4a1を備え、それぞれの硬貨収納部4a1には、硬貨投入口5が形成されている。
紙幣収納部4bも、金種ごとの紙幣収納部4b1を備え、それぞれの紙幣収納部4b1には、紙幣投入口6が形成されている。損券損貨収納庫4は箱状であり、その上面の前側から紙幣収納部4bが、その後方に硬貨収納部4aが形成されており、それぞれの上面手前側に紙幣投入口6、硬貨投入口5が形成される。
【0040】
紙幣投入口6、硬貨投入口5のそれぞれの投入口を避けた位置の上面に、これから処理を行おうとするリジェクト現金を一旦載置し、静止画カメラ及び動画カメラが載置されたリジェクト現金を撮影できるようにしてもよい。この時、紙幣、硬貨別に収納部を設けることで、リジェクト現金も、対応する収納部の近傍の上面に載置することになる。これにより、少なくとも静止画カメラは、それぞれの載置場所を特定しながら、順番に走査することで、リジェクト現金の有無の確認を行い、リジェクト現金有り判断でリジェクト現金の撮影を行うように制御することができる。
また、リジェクト現金承認後の収納時、収納作業中には、それぞれの収納部の投入口より、金種ごとに損券損貨を一枚ずつ収納させ、これを動画撮影することができる。この時、それぞれの投入口の直下に、投入される損券損貨を検出するセンサを設け、一枚ずつの投入を再確認することもできる。加えて、それぞれの投入口の直下、また僅かに入り込んだ位置に、損券損貨の通過を規制するシャッタまたはストッパを備え、損券損貨の一部が投入口に入り込んだ状態でシャッタまたはストッパに接して停止した状態となし、承認時に併せて出力された収納信号によってシャッタまたはストッパを一時的に退避させて、損券損貨を収納させるようにしてもよい。
【0041】
硬貨に関しては、その自重によって、投入口より内部の収納部に収納されやすい。一方、紙幣に関しては、その自重によって収納することは難しい。そのため、紙幣投入口6の直下、直後に、駆動可能な一対の取込ローラーを設け、一時的に退避したシャッタまたはストッパを越えてきた紙幣の先端部を挟み込みつつ、収納する方向に回転することで、紙幣を紙幣収納部4bに収納させるようにしてもよい。この時、収納する紙幣の長さをセンサによる紙幣の検出時間と取込ローラーの駆動速度により求めることで、一枚の紙幣の収納を確認させるようにしてもよい。
【0042】
上で述べた損券損貨収納庫4は、操作者が作業しやすい位置であれば、現金処理機1のどこに備わっていてもよい。
なお、上で述べた損券損貨収納庫4にあっては、金種ごとの収納部を設けるとしたが、金種ごとに設けるのではなく、硬貨収納部4aと紙幣収納部4bをそれぞれ別個に一か所ずつ設けるものであってもよい。
さらには、硬貨投入口5と紙幣投入口6は別々に設けられるが、投入口の内部である硬貨収納部4aと紙幣収納部4bを、一つの損券損貨収納部としても良い。また、複数枚のリジェクト現金が発生して、これらを申請、及び承認によって収納する場合で、一度に一枚ずつしか収納しえない場合には、収納時点で、収納したリジェクト現金は確定扱いとなり、取り消すことはできない。
【0043】
(第四実施形態)
第一実施形態~第三実施形態では、リジェクト現金の撮影時、一つのリジェクト現金に対して一つの静止画像を取得していた。本実施形態は一つのリジェクト現金について複数枚の静止画像を取得して、これらを確認できるようにすることができる。
すなわち、例えば、図5において、「次の現金登録」ボタンだけでなく、「次の画像登録」、「別方向画像登録」など、同一のリジェクト現金に対する二以上の画像登録を可能にするボタンを設けて、複数枚の静止画像を取得、登録できるようにすることができる。
また、図6図7の操作者における登録画像の申請前確認や、図9の承認権限者における申請登録画像の確認において、リジェクト現金表示領域に表示される左右の脇に、同一リジェクト現金に対して複数の登録静止画像があり、その画像表示の切り替えを可能することができる。これは、例えば、リジェクト現金表示領域の左右方向に、異なる三角形状のボタンを設けて、複数枚の静止画像を切り替え表示できるようにしてもよい。
【0044】
特に紙幣のリジェクト現金の静止画像撮影に加えて、ハンディの紫外光ライトにより、紫外光を照射しながらの、蛍光発光状態での撮影を可能、行わせるようにしてもよい。ポスト部3、または損券損貨収納庫4の近傍に筐体を備え、ハンディの紫外光ライトの取り出しと、ハンディの紫外光ライトを用いての静止画像撮影を案内及び取得、及び登録を可能とする誘導制御を行わせるようにしてもよい。
【0045】
また、硬貨のリジェクト現金の静止画像撮影に加えて、ポスト部3、または損券損貨収納庫4自体またはその近傍の筐体に設けられた硬貨磁気検査ユニットにより、硬貨のリジェクト現金の磁気レベルを検出して記録できるようにしてもよい。このとき、ハンディの硬貨磁気検査器または硬貨磁気検査ユニットでの硬貨のリジェクト現金の磁気レベルの検出と記録を行うべく、案内、取得、登録を可能とする誘導制御を行わせるようにしてもよい。このとき、検出記録した検出レベルと、設定入力した金種情報との組み合わせにより、磁気レベルの適合、不適合、あるいはそれらの確率を含めた情報を記録して、承認権限者の判断に供するようにしてもよい。
【0046】
(第五実施形態)
図13は、第五実施形態に関わる損券損貨収納庫7の側断面図で、(a)が損券収納時の概略構成図で、(b)が損貨収納時の概略構成図である。硬貨にあっては、損貨だけではなく、流通量の少ない記念貨も収納可能な構造である。
【0047】
損券損貨収納庫7にあっては、損券を収納するのか、損貨を収納するのかが選択指示されるよう構成されている。ここでは、損券を収納する選択がなされたものとして、以下、その構成、及び動作を説明する。
【0048】
まず、損券の状態を観察したうえで、そのまま、または専用シート、またはケースに収納させた状態のいずれかで、投入口8より、損券の投入を撮影部Aに促す案内がなされる。損券は、一般的に腰が弱くなって撓み易くなっていたり、一部が切れていたり、欠けていたりして、そのままで投入しようとしても、先端部がすぐに下方に垂れるなどして、撮影部奥方へ直進しがたいことが多い。そのため、損券の先端部が撮影部奥方に確実に進まされて、平面を保ったまま収納トレー9上に載置されて撮影されるように、損券を透明な専用シート、またはケースに収納させて撮影部Aに投入することができる。
損券であっても、腰が比較的強い場合は、損券そのままで投入しても良い。損券がそのまま、または専用シート、またはケースに収納されて、収納トレー9上に平面状に載置されるタイミングで、撮影部A内の照明が点灯して、カメラ10による撮影が行われる。
複数枚の場合は、これを繰り返す。一枚ないし複数枚の損券の撮影終了後、撮影状態を再確認の上で一括して、第一実施形態と同様の方法で申請する。承認権限者による承認後は、承認信号をもって、あるいはそれに同意することで、収納トレー9が後方に移動して、専用シート、またはケースに収納された損券が直下の損券収納部20に掻き落とされるように落下収納される。この場合、撮影した損券が一枚でも承認されないときは、(b)に示すように、ロックが解除された投入壁部22を開き、投入した損券の複数枚すべてを取り出し、これらの投入撮影を繰り返す。
なお、この例では、損券の撮影は、上方からの一枚のみの撮影になるが、投入口8の直後であって、投入口8より進入してくる損券を、下方より、ラインセンサによってセンシングしながら、投入される損券の下面画像を同時に撮ることで、両面画像を得るようにしてもよい。この場合、ラインセンサによるセンシングを投入される損券の進入速度と同期できるローラーを設けることで、紙幣形状に合致する損券画像を取得できるようにしてもよい。
【0049】
次に、損貨を収納する選択がなされたものとして、以下、その構成、及び動作を説明する。
損貨収納が選択されると、投入壁部22のロックが解除されるとともに、硬貨トレー23が収納トレー9上を後方より前進する。図14は硬貨トレー23を上面から見た図を示す。
硬貨トレー23には、複数の損貨を受け入れる複数の丸孔部23aが形成されている。丸孔部23aは、いずれも同径でもよい。硬貨トレー23の移動方向の前後で、一方に損貨を、他方に記念貨を載置するように区分けしてもよい。
この状態で、投入壁部22が前方に向けて、操作者によって開放される。開放された投入壁部22を介して、収納トレー9上の硬貨トレー23の丸孔部23aに、損貨ないしは記念貨を配置する。配置時には、配置しやすいように、また、丸孔部23aに確実に配置されるように、撮影用の照明を点灯させてもよい。さらには、カメラ10を起動して、配置状況をモニタに映し、損貨、または記念貨が正しく配置されているかを自己判断または自動判断させてもよい。
損貨、または記念貨の配置後、投入壁部22を閉じることで、撮影部Aの照明が点灯し、撮影がなされる。一枚ないし複数枚の損貨、または記念貨の撮影終了後、撮影状態を再確認の上で一括して第一実施形態と同様の方法で申請する。承認権限者による承認後は、承認信号をもって、あるいはそれに同意することで、損貨、または記念貨を硬貨トレー23の丸孔部23aに収納した状態のまま、収納トレー9と硬貨トレー23を同時に後方に移動させ、その後、収納トレー9のみを前進させて、当初の位置に復帰させる。この収納トレー9の復帰動作時に、硬貨トレー23が移動しないことで、硬貨トレー23の丸孔部23aの硬貨が、収納トレー9が抜ける形で、直下の損貨収納部24ないしは記念貨収納部25に収納されることになる。この場合、一枚でも承認されないときは、ロックが解除された投入壁部22を開き、投入した複数枚の損貨、または記念貨すべてを取り出すなどして、これらについての再撮影を繰り返す。
【0050】
この損券損貨の撮影および損券損貨収納庫7にあっては、一つの機構、構成によって、損券または損貨を撮影の上で、収納できるので、個別に損券収納庫と損貨収納庫を設ける必要がない。そのため、撮影領域の共通化と、共通化に伴う小型化、及び安価化が期待できる。また、損券損貨収納庫7はリジェクト現金の撮影を開始して以降、人手が関わる可能性が低いため、他の実施形態よりも不正処理の観点から、より安全性が高いことが期待できる。
【0051】
(第六実施形態)
上述の第一実施形態から第五実施形態では、現金処理機1の操作者の申請により、承認権限者が申請登録されたリジェクト現金に対する登録承認を行うことで、リジェクト現金を含めた取引を終了させることができた。その際、通信部61を利用して承認用パーソナルコンピューター2へ一以上のリジェクト現金情報が送信されるとした。
第六実施形態では、少なくとも申請する同一の店舗または他の店舗、好ましくはセンターなどの管理部門に承認AIサーバーを設ける。承認AIサーバーに、操作者側からのリジェクト現金の申請情報と承認権限者からのリジェクト現金に対する承認結果情報を収集できるように経由させる。そこで、申請情報データの収集ないしはデータ蓄積と、申請情報データに対する承認権限者からの承認結果情報を収集ないしはデータ蓄積を行わせることができる。また、承認AIサーバーは、申請情報データの中に含まれる一つ一つのリジェクト現金に対する承認、非承認データを蓄積したうえで、金種ごとに、いずれのレベルのリジェクトであれば、承認されたのか、あるいは非承認(差し戻し)されたのかを自動学習(AI学習)することができる。好ましくは、承認AIサーバーは、差し戻しデータの場合の差し戻しの際に付された理由コメント内容を解析して自動学習し、承認、非承認判断を行わせるようにしてもよい。なお、承認AIサーバーによる承認、非承認判断に加えて、判断不能という判断結果を設けてもよい。
【0052】
承認AIサーバーは、さらに、金種ごとに、自動学習したデータ量が、予め定められた量以上に蓄積できたかを判断すると、自動承認補助動作を開始する。または、開始可能とする。また、金種ごとに、自動学習したデータ量が、予め定められた量以上に蓄積できていないと判断すると、自動承認補助動作は開始せず、データ蓄積及び自動学習のみを継続する。自動承認補助動作の開始条件は、金種ごとでも良いし、全金種の自動承認が可能になった場合としてもよい。また、自動承認補助動作が開始可能になったことを表示等で出力し、いずれの承認権限者の一人、あるいは、承認権限者を統括する統合管理者、さらには、承認権限者個々に、自動承認補助動作の開始の許可、不許可を選択できるようにしてもよい。
【0053】
自動承認補助動作は、申請情報データを受け付けて、承認権限者宛に転送する際に、承認AIサーバーによる自動判断を行わせて、その承認判断結果を補助情報として、併せて承認権限者宛に転送することにとどめ、最終的な承認、非承認(差し戻し)判断を承認権限者に委ねることができる。この場合、承認権限者による判断結果と承認AIサーバーによる承認判断結果の一致、不一致は、承認AIサーバーにおいて改めて自動学習される。
【0054】
また、上述の作業を一定期間継続した場合、あるいは、一定量自動学習させた場合、さらには、承認権限者による判断結果と承認AIサーバーによる承認判断結果の不一致件数、割合が一定以下に収まるようになった場合には、承認AIサーバーによる承認判断結果を補助情報として利用するのではなく、確定情報として申請側に回答するようにしても良い。すなわち、承認AIサーバーが承認権限者となってもよい。なお、この場合であっても、承認権限者宛に転送するようにして、判断結果を確認させるようにしてもよい。
【0055】
なお、承認AIサーバーによる承認判断結果が、非承認、判断不能を含む場合には、常に、承認権限者に転送して確認させるものでもよい。
また、承認AIサーバーによる自動承認補助動作ではなく、個々の承認権限者が操作する承認用パーソナルコンピューター2に、承認AIサーバーによる自動承認補助動作を実行する機能を組みこむものとしてもよい。承認AIサーバーによる自動承認補助動作にあっては、多数の承認権限者の判断結果を蓄積することで、承認判断結果の平準化、及び標準化が期待できる。他方、個々の承認権限者が操作する承認用パーソナルコンピューター2による自動承認補助動作にあっては、個々の承認権限者の判断だけになる。そのため、承認判断結果の速やかな平準化、及び標準化が期待できて、自動承認補助動作の活用を早めることが期待できる。
【0056】
(第七実施形態)
上述の第一実施形態から第六実施形態では、承認権限者が遠隔地にいるなど、現金処理機の近くに居らず、承認用パーソナルコンピューター2などの画面、モニタ越しでのリジェクト現金の確認及び承認を行うことを前提としている。そのため、図4では「リジェクト現金受入用承認申請」ボタンのみを表示して、遠隔承認動作を開始可能としている。
しかしながら、遠隔承認動作を実施する現金処理機1を備える店舗内に、承認権限者が現に在席している場合もある。承認権限者がリジェクト現金を現認、現実に目視するなど手にとって確認する作業を行った方がより確実であることから、承認権限者による「現認申請」ボタンを併せて表示するようにしてもよい。
「現認申請」ボタンを操作する場合、事前に、または操作後、現金処理機1の脇に承認権限者を招き、承認権限者の権限認証を現金処理機1に対して実行させ、当初の操作者と承認権限者の2人の操作で、リジェクト現金の登録及び承認動作を実行させるようにしてもよい。すなわち、図4において、「リジェクト現金受入用承認申請」ボタンと「現認申請」ボタンの両方を選択可能に表示して、いずれかを選択できるようにしてもよい。
【0057】
(第八実施形態)
第八実施形態は、第一実施形態のポスト部3と第三実施形態の損券損貨収納庫4に類似した形態となり、現金処理機1の上に載置されて使用されるポスト部30を説明する。
以下、これらとの相違点を説明する。
【0058】
図15に本実施形態のポスト部を示す。本実施形態のポスト部30は、四種の収納部が設けられた一体型で構成される。
具体的に、第一段には、手形小切手などの有価証券を収納する収納部50と投函口50aが設けられる。第二段には、損券を収納する収納部51と投函口51aが設けられる。第三段には、損貨を収納する収納部52と投函口52a、および、記念貨を収納する収納部53と投函口53aが設けられる。
ポスト部30でさらに収納させたいものがあるときには、さらにもう一段以上または一以上の収納部と投函口を設けても良い。これら複数段の上方には、ポスト部30が載置される現金処理機1の上面部を少なくとも撮影するカメラ54が設けられる。
【0059】
リジェクト現金が発生した場合の、リジェクト現金受け入れに向けた承認申請を開始する点、リジェクト現金を登録する点、承認を待って、収納する点については、上記で述べた第一実施形態から第七実施形態と同じである。
他方、リジェクト現金の収納にあっては、その種別に合わせて、損券のリジェクト現金は第二段の収納部51に、損貨のリジェクト現金は第三段の収納部52に、記念貨については第三段の収納部53に収納させる点のみが相違する。
いずれの収納部への収納にあっては、そのまま、それぞれの投函口から投入させてもよい。また、収納袋、またはケースに入れて投函させてもよい。収納袋、またはケースを用いる場合には、さらに、当該取引の取引日時と取引番号と操作者情報と収納されるリジェクト現金の明細を記録したレシートを併せて収納したうえで投函させてもよい。
【0060】
第八実施形態は、ポスト部への収納に際して、リジェクト現金をその種類別に収納させることができるので、リジェクト現金の処理を行うために取り出す際であっても、その種類別に行うことができる。
一括して収納する場合には、ある種のリジェクト現金を処理する場合に、処理しないリジェクト現金も一旦取り出さざる得ないことになり、再収納の際には、改めての投入管理を要する。第八実施形態は、そのような不都合を回避することができる。特に、有価証券の処理は、毎日行う必要があり、有価証券を別に収納管理できることが安全面でも、管理面でも有効となる。
【0061】
カメラ54については、第一実施形態と同様に、静止画撮影だけでなく動画撮影可能でも良く、一つで共用でも、個別に設けても良い。さらにポスト部30を含めた周辺だけの撮影だけではなく、現金処理機1の操作全体を撮影可能な全体カメラ(コンプライアンスカメラ)によるものであってもよい。図16は、コンプライアンスカメラによる撮影画像例の概要図である。これにより、操作者含む現金処理機1の操作全体を撮像することができ、不正の防止にも役立つ。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0063】
例えば、いずれの実施形態において、静止画像を取得した場合に、システムが撮影取得したリジェクト現金の画像をAI学習やディープラーニングするなどして、自動的にその金種を識別させることができ、その識別結果を補助的または確定的に活用させてもよい。
【0064】
また、リジェクト現金をポスト部に投函する作業の流れをルール化して記憶部64に記憶され、第一実施形態から第八実施形態での作業の流れのトレースにおいて、ルール化した流れと異なる作業が検出された場合には、これを異常として、アラーム出力及び作業履歴として記録するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 現金処理機
2 承認用パーソナルコンピューター
3 ポスト部
4 損券損貨収納庫
7 損券損貨収納庫
14 操作部(入力部)
15 表示部(入力部)
30 ポスト部
100 貨幣受付システム
図1
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