(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141106
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】出力する高周波電力の経時変化パターンを任意に設定可能な高周波電源
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20220921BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220921BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101G
C23C16/505
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041256
(22)【出願日】2021-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】392036326
【氏名又は名称】株式会社アドテックプラズマテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高原 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】岸良 貴通
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084DD53
2G084DD55
2G084HH05
2G084HH08
2G084HH23
2G084HH28
2G084HH29
2G084HH52
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA01
4K030JA16
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F004AA16
5F004BB13
5F004BC08
5F004CA03
(57)【要約】
【課題】出力する高周波電力の電力値の経時変化パターンをユーザが任意に設定することが可能な高周波電源を提供する。
【解決手段】本発明に係る高周波電源10Aは、インピーダンス整合器30を介して高周波電力を負荷40に出力する出力部20と、ユーザによって作成された指令データを格納するデータ格納部13Aと、データ格納部13Aに格納された指令データに基づいて出力部20およびインピーダンス整合器30を制御する制御部12Aとを備える。指令データを構成する複数のレコードのそれぞれは、出力すべき高周波電力の電力値に関する電力指令データと、インピーダンス整合器30の動作の有無に関する整合動作指令データとを含み、制御部は、電力指令データに基づいて生成した電力信号を出力部に送るとともに、整合動作指令データに基づいて生成した同期信号をインピーダンス整合器に送る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定数が変更されるインピーダンス整合器を介して高周波電力を負荷に出力する高周波電源であって、
前記高周波電力を出力する出力部と、
ユーザによって作成された指令データを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納された前記指令データに基づいて前記出力部および前記インピーダンス整合器を制御する制御部と、
を備え、
前記指令データは、複数のレコードで構成され、
前記複数のレコードのそれぞれは、出力すべき前記高周波電力の電力値に関する電力指令データと、前記インピーダンス整合器の動作の有無に関する整合動作指令データとを含み、
前記制御部は、前記複数のレコードの前記電力指令データに基づいて生成した電力信号を前記出力部に送るとともに、前記複数のレコードの前記整合動作指令データに基づいて生成した同期信号を前記インピーダンス整合器に送る
ことを特徴とする高周波電源。
【請求項2】
前記複数のレコードのそれぞれは、他の高周波電源を連動させるための連動指令データをさらに含み、
前記制御部は、前記複数のレコードの前記連動指令データに基づいて生成した連動信号を他の高周波電源に送る
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波電源。
【請求項3】
前記データ格納部は、前記高周波電力の基準電力値をさらに格納し、
前記電力指令データは、前記基準電力値に対する、出力すべき前記高周波電力の電力値の割合である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の高周波電源。
【請求項4】
前記整合動作指令データは、インピーダンス整合状態の取得の有無に関する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の高周波電源。
【請求項5】
前記データ格納部は、前記ユーザによって作成された複数の指令データを格納し、
前記制御部は、前記複数の指令データを構成する前記複数のレコードのうち、前記ユーザによって指定された範囲に基づいて前記出力部および前記インピーダンス整合器を制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の高周波電源。
【請求項6】
前記出力部は、進行波および反射波の電力値を検出する検波器を含み、
前記制御部は、前記検波器によって検出された前記進行波および前記反射波の両方または一方の電力値に基づいて前記電力信号を変化させる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の高周波電源。
【請求項7】
前記負荷としてのプラズマ処理装置に前記高周波電力を出力する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の高周波電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定数が変更されるインピーダンス整合器を介して高周波電力を負荷に供給する高周波電源に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチングや薄膜形成といった半導体製造工程では、プラズマ処理装置と該プラズマ処理装置に高周波電力を供給する高周波電源システムとが用いられる。高周波電源システムは、通常、プラズマ処理装置への電力の供給を安定的かつ効率的に行うために、プラズマ処理装置とのインピーダンス整合を図る機能を有している。
【0003】
図9に、インピーダンス整合機能を有するシステムの一例として、特許文献1に記載の高周波電源システム100を示す。同図に示すように、高周波電源システム100は、高周波電源101と、整合装置102と、インピーダンス整合器103とを備えている。整合装置102は、高周波電源101と負荷40(プラズマ処理装置)との間におけるインピーダンス整合状態に応じて、高周波電源101の発振周波数を所定のルールにしたがって変更するように構成されている。また、インピーダンス整合器103は、機械的/電気的に定数が変更される受動素子から構成されている。
【0004】
この高周波電源システム100によれば、整合可能な範囲は狭いが整合速度が速い発振周波数の変更によるインピーダンス整合と、整合可能な範囲は広いが整合速度が遅い定数の変更によるインピーダンス整合とを協働させることができる。
【0005】
なお、
図9に示した高周波電源101および整合装置102は、同一の筐体に収容されることが多い。このため、本明細書では、これらをまとめて「高周波電源」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記高周波電源には、プリセットされた幾つかの単純な経時変化パターンの中からユーザが一のパターンを選択すると、そのパターンにしたがって高周波電力の振幅(以下、これを「高周波電力の電力値」という。「高周波電力の電力値」は、瞬時値ではない点に注意されたい)を経時変化させるタイプがある。しかしながら、出願人の知る限り、出力する高周波電力の電力値の経時変化パターンをユーザが任意に設定することが可能な高周波電源は存在しない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、出力する高周波電力の電力値の経時変化パターンをユーザが任意に設定することが可能な高周波電源を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る高周波電源は、定数が変更されるインピーダンス整合器を介して高周波電力を負荷に出力するものであって、高周波電力を出力する出力部と、ユーザによって作成された指令データを格納するデータ格納部と、データ格納部に格納された指令データに基づいて出力部およびインピーダンス整合器を制御する制御部と、を備え、指令データは、複数のレコードで構成され、複数のレコードのそれぞれは、出力すべき高周波電力の電力値に関する電力指令データと、インピーダンス整合器の動作の有無に関する整合動作指令データとを含み、制御部は、複数のレコードの電力指令データに基づいて生成した電力信号を出力部に送るとともに、複数のレコードの整合動作指令データに基づいて生成した同期信号をインピーダンス整合器に送る、との構成を有している。
【0010】
上記高周波電源の複数のレコードのそれぞれは、他の高周波電源を連動させるための連動指令データをさらに含み、制御部は、複数のレコードの連動指令データに基づいて生成した連動信号を他の高周波電源に送るように構成されていてもよい。
【0011】
上記高周波電源のデータ格納部は、高周波電力の基準電力値をさらに格納していてもよい。この場合、電力指令データは、基準電力値に対する、出力すべき高周波電力の電力値の割合であってもよい。
【0012】
上記高周波電源の整合動作指令データは、インピーダンス整合状態の取得の有無に関するものであってもよい。
【0013】
上記高周波電源のデータ格納部は、ユーザによって作成された複数の指令データを格納していてもよい。この場合、制御部は、複数の指令データを構成する複数のレコードのうち、ユーザによって指定された範囲に基づいて出力部およびインピーダンス整合器を制御することが好ましい。
【0014】
上記高周波電源の出力部は、進行波および反射波の電力値を検出する検波器を含んでいてもよい。この場合、制御部は、検波器によって検出された進行波および反射波の両方または一方の電力値に基づいて電力信号を変化させるよう構成されていてもよい。
【0015】
上記高周波電源は、例えば、負荷としてのプラズマ処理装置に高周波電力を出力するために使用することができるが、用途はこれに限定されない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、出力する高周波電力の電力値の経時変化パターンをユーザが任意に設定することが可能な高周波電源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施例に係る高周波電源を示すブロック図である。
【
図2】(A)~(D)はそれぞれ、インピーダンス整合器の具体的な構成の例を示す回路図である。
【
図3】(A)は、本発明の第1実施例における指令データの一例であり、(B)は、(A)に基づく制御の結果を示すグラフである。
【
図4】本発明の第1実施例に係る高周波電源が出力する高周波電力の一例を示す波形図である。
【
図5】(A)は、本発明の第1実施例における指令データの別の一例であり、(B)は、(A)に基づく制御の結果を示すグラフである。
【
図6】本発明の第1実施例に係る高周波電源が出力する高周波電力の別の一例を示す波形図である。
【
図7】本発明の第2実施例に係る高周波電源を示すブロック図である。
【
図8】(A)は、本発明の第2実施例における指令データの一例であり、(B)は、(A)に基づく制御の結果を示すグラフである。
【
図9】従来の高周波電源システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る高周波電源の実施例について説明する。
【0019】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る高周波電源10Aを示す。高周波電源10Aは、インピーダンス整合器30を介して高周波電力を負荷40に出力するためのものであり、同図に示すように、主制御部11と、高周波電力制御部12Aと、データ格納部13Aと、外部インタフェース部14と、入力部15と、表示部16と、出力部20とを備えている。本実施例では、高周波電力の周波数が13.56MHzに設定されているが、これは単なる一例である。
【0020】
インピーダンス整合器30は、
図2(A)に示すように、定数(容量)が変更され得る2つのコンデンサと、1つのインダクタとを備えている。コンデンサの定数は、インピーダンス整合器30に内蔵された不図示の整合状態取得部および制御部によって、高周波電源10Aと負荷40との間におけるインピーダンス不整合が改善されるように変更される。この変更は、電動アクチュエータ等を用いて機械的に行われるが、これは単なる一例であり、電気的に行われてもよい。
【0021】
インピーダンス整合器30の回路構成は、
図2(A)に示したものに限定されず、例えば、同図(B)~(D)に示したものであってもよい。インピーダンス整合器30の回路構成は、負荷40の構成等に応じて適宜選択される。
【0022】
負荷40は、エッチングや薄膜形成といった半導体製造工程において用いられるプラズマ処理装置(より詳しくは、プラズマ処理装置を構成するプラズマチャンバに巻かれたコイル)である。負荷40のインピーダンスは、プラズマチャンバ内に導入されるガスの種別および量等に応じて、刻一刻と変動する。
【0023】
主制御部11は、高周波電源10Aの全体を制御および管理するものである。主制御部11は、高周波電力制御部12A、データ格納部13A、外部インタフェース部14、入力部15および表示部16に接続されている。
【0024】
主制御部11は、キー群からなる入力部15を介して、または外部インタフェース部14に接続された外部機器を介してユーザが指令データを入力すると、それを不揮発性メモリ等からなるデータ格納部13Aに転送する。データ格納部13Aは、転送されてきた指令データを格納する。また、主制御部11は、入力部15を介して入力されたユーザの出力開始指令、または外部インタフェース部14に接続された外部機器から送られてきたトリガを受け付けると、高周波電力制御部12Aに出力開始の信号を送る。
【0025】
この他、主制御部11は、高周波電源10Aの動作状態や高周波電力制御部12Aから送られてきた各種情報を液晶ディスプレイ等からなる表示部16に表示させることができる。また、主制御部11は、高周波電源10Aの動作状態等に関する信号を、外部インタフェース部14を介して外部機器に送ることもできる。
【0026】
ユーザがデータ格納部13Aに格納させる指令データは、ユーザ自身が作成したものであり、
図3(A)に示すように、複数のレコードで構成されている。各レコードは、出力する高周波電力の電力値に関する電力指令データ(中段)と、インピーダンス整合器30の動作の有無に関する整合動作指令データ(下段)とを含んでいる。
【0027】
ユーザが基準電力値を予め設定している場合、すなわち、データ格納部13Aに基準電力値が格納されている場合は、「基準電力値に対する、出力すべき高周波電力の電力値の割合」を電力指令データとすることができる。例えば、基準電力値が100Wに設定されているときに高周波電力の電力値を70W→80W→87.3W→90W→87.3W→80W→70W→60W・・・のように経時変化させたい場合は(
図3(B)参照)、レコードNo.1,2,3,4,5,6,7,8・・・の電力指令データを70%,80%,87.3%,90%,87.3%,80%,70%,60%・・・とすればよい。
【0028】
なお、
図3(B)に示した制御単位期間は、同図(A)に示したレコードに対応している。制御単位期間は、例えば、1μsである。
【0029】
高周波電力制御部12Aは、本発明の「制御部」に相当する。高周波電力制御部12Aは、主制御部11から送られてきた出力開始の信号を受け付けると、データ格納部13Aに格納された指令データに基づいて出力部20を制御し、負荷40に向けて高周波電力を出力させる。より詳しくは、高周波電力制御部12Aは、出力開始の信号を受け付けると、指令データを構成する複数のレコードの電力指令データに基づいて電力指令信号を生成するとともに、該信号を出力部20に送る。
【0030】
出力部20は、高周波信号生成部21と、増幅器22と、方向性結合器からなる検波器23とを含んでいる。高周波信号生成部21は、13.56MHzの高周波信号を生成する。このとき、高周波信号生成部21は、電力指令信号に基づいて高周波信号の振幅を経時変化させる。増幅器22は、高周波信号生成部21が生成した高周波信号を所定のゲインで増幅し、増幅後の高周波信号(すなわち、高周波電力)を検波器23を介してインピーダンス整合器30に出力する。データ格納部13Aに上記の指令データが格納されている場合、出力部20は、電力値(振幅)が概ね正弦波状に変化する高周波電力を出力する(
図4参照)。検波器23は、進行波および反射波の電力値を検出するとともに、検出結果に応じた信号を高周波電力制御部12Aに送る。
【0031】
高周波電力制御部12Aは、検波器23から送られてきた進行波および反射波の電力値に関する信号を受け付けると、進行波および反射波の両方または一方の電力値に基づいて電力信号を変化させることができる。例えば、高周波電力制御部12Aは、反射波の電力値が所定の上限値を超えると、負荷40に供給される高周波電力が下がるように電力信号を変化させる。
【0032】
高周波電力制御部12Aは、主制御部11に送る各種情報に進行波および反射波の電力値に関する情報を含めることができる。
【0033】
このように、本実施例では、高周波電源10Aに出力させる高周波電力の電力値の経時変化(波形)パターンをユーザが任意に設定することができる。
【0034】
高周波電力制御部12Aは、主制御部11から送られてきた出力開始の信号を受け付けると、データ格納部13Aに格納された指令データに基づいてインピーダンス整合器30も制御する。より詳しくは、高周波電力制御部12Aは、出力開始の信号を受け付けると、指令データを構成する複数のレコードの整合動作指令データに基づいて同期信号を生成するとともに、該信号をインピーダンス整合器30に送る。
【0035】
前述した通り、インピーダンス整合器30は、高周波電源10Aと負荷40との間におけるインピーダンス整合状態を取得し、不整合が生じていた場合には該不整合が改善されるように定数を機械的/電気的に変更する。インピーダンス整合器30は、高周波電力制御部12Aから送られてきた同期信号にしたがい、整合動作指令データが“0”に設定されているレコードに対応する制御単位期間においてはこの整合状態の取得を行わず、それまでに取得していた最新の整合状態にしたがった定数の変更を継続する。
【0036】
例えば、インピーダンス整合器30は、
図3(A)に示す指令データに基づいて生成された同期信号を受け付けた場合、レコードNo.3~5およびレコードNo.15,16に対応する期間においては整合状態の取得を行うが、それ以外の期間においては整合状態の取得は行わない。このため、インピーダンス整合器30は、レコードNo.6~14に対応する期間においては、レコードNo.3~5に対応する期間に取得した整合状態にしたがった定数の変更を継続する。
【0037】
不整合の改善を高精度に行うという観点から、インピーダンス整合器30は、高周波電源10Aから出力される高周波電力の電力値がなるべく一定で、かつ比較的大きいタイミングを見計らって整合状態を取得することが好ましい。本実施例では、高周波電源10Aに出力させる高周波電力の電力値の経時変化(波形)パターンとともに、インピーダンス整合器30における整合状態の取得のタイミングも任意に設定することができる。つまり、本実施例によれば、ユーザは、インピーダンス整合器30に高精度なインピーダンス整合を行わせることができる。
【0038】
図6に示すような、ステップ状に電力値が変化する高周波電力を出力させたい場合、ユーザは、例えば、
図5(A)に示した指令データをデータ格納部13Aに格納させる。この場合は、不整合の改善を高精度に行うという観点から、高周波電力の電力値が一定で、かつ比較的大きいレコードNo.8~13に対応する期間に整合状態を取得させることが好ましい(同図(A),(B)参照)。
【0039】
[第2実施例]
図7に、本発明の第2実施例に係る高周波電源10Bを示す。高周波電源10Bは、他の2台の高周波電源10B’,10B’と連動して負荷40に高周波電力を供給するためのものである。高周波電源10B,10B’は、高周波電力制御部12Aの代わりに高周波電力制御部12Bを備えている点と、データ格納部13Aの代わりにデータ格納部13Bを備えている点とにおいて高周波電源10Aと相違するが、他の点においては高周波電源10Aと共通している。
【0040】
ユーザがデータ格納部13Bに格納させる指令データの各レコードは、
図8(A)に示すように、出力する高周波電力の電力値に関する電力指令データと、インピーダンス整合器30の動作の有無に関する整合動作指令データとに加え、他の高周波電源10B’,10B’を連動させるための連動指令データをさらに含んでいる。
【0041】
高周波電力制御部12Bは、指令データを構成する複数のレコードの電力指令データおよび整合動作指令データに基づいて電力指令信号および同期信号を生成するとともに、指令データを構成する複数のレコードの連動指令データに基づいて連動信号を生成する。そして、高周波電力制御部12Bは、生成した連動信号を他の高周波電源10B’,10B’の高周波電力制御部12Bに送る。
【0042】
図8(A)に示す指令データの一例では、レコードNo.7,14の連動指令データが“1”に設定されている。このため、連動信号を受け取った他の高周波電源10B’,10B’は、高周波電源10BがレコードNo.7,14に関する出力を行うタイミングで動作状態を切り替えることができる。例えば、他の高周波電源10B’,10B’は、高周波電源10Bが出力する高周波電力の電力値が90Wであるときに限って高周波電力を出力することができる。あるいは、他の高周波電源10B’,10B’は、高周波電源10Bが出力する高周波電力の電力値が90Wであるときとそうでないときとで、出力する高周波電力の電力値を変化させることもできる。
【0043】
[変形例]
以上、本発明に係る高周波電源装置の第1実施例および第2実施例について説明してきたが、本発明に係る高周波電源装置の構成はこれらに限定されない。
【0044】
例えば、データ格納部13A,13Bは、複数の指令データα,β・・を格納していてもよい。この場合、高周波電力制御部12A,12Bは、例えば、指令データαの全レコードに基づいて生成した電力信号を出力部20に送った後、指令データβの一部のレコードに基づいて生成した電力信号を出力部20に送り、さらにその後、指令データαの全レコードに基づいて生成した電力信号を再び出力部20に送ることができる。どの指令データのどのレコードをどのような順序で使用するのかは、入力部15または外部インタフェース部14に接続された外部機器を介してユーザが指定可能であることが好ましい。
【0045】
出力部20は、一定の振幅を有する高周波信号を出力する高周波信号生成部と、電力信号にしたがってゲインが変化するように構成された増幅器とで構成されていてもよい。
【0046】
検波器23は、方向性結合器に限定されず、電圧、電流およびこれらの位相差から進行波および反射波の電力値を検出するように構成されたものであってもよい。
【0047】
また、指令データの電力指令データは、基準電力値に対する割合(例えば、70%,80%,87.3%・・・)ではなく目標電力値(例えば、70W,80W,87.3W・・・)であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10A,10B 高周波電源
11 主制御部
12A,12B 高周波電力制御部
13A,13B データ格納部
14 外部インタフェース部
15 入力部
16 表示部
20 出力部
21 高周波信号生成部
22 増幅器
23 検波器
30 インピーダンス整合器
40 負荷
【手続補正書】
【提出日】2021-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
定数が変更されるインピーダンス整合器を介して高周波電力を負荷に出力する高周波電源であって、
前記高周波電力を出力する出力部と、
ユーザによって作成された指令データを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納された前記指令データに基づいて前記出力部および前記インピーダンス整合器を制御する制御部と、
を備え、
前記指令データは、時間に沿って並んだ複数の制御単位期間に対応した複数のレコードで構成され、
前記複数のレコードのそれぞれは、出力すべき前記高周波電力の電力値に関する電力指令データと、前記インピーダンス整合器の動作の有無に関する整合動作指令データとを含み、
前記制御部は、前記複数のレコードの前記電力指令データに基づいて生成した電力信号を前記出力部に送るとともに、前記複数のレコードの前記整合動作指令データに基づいて生成した同期信号を前記インピーダンス整合器に送る
ことを特徴とする高周波電源。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る高周波電源は、定数が変更されるインピーダンス整合器を介して高周波電力を負荷に出力するものであって、高周波電力を出力する出力部と、ユーザによって作成された指令データを格納するデータ格納部と、データ格納部に格納された指令データに基づいて出力部およびインピーダンス整合器を制御する制御部と、を備え、指令データは、時間に沿って並んだ複数の制御単位期間に対応した複数のレコードで構成され、複数のレコードのそれぞれは、出力すべき高周波電力の電力値に関する電力指令データと、インピーダンス整合器の動作の有無に関する整合動作指令データとを含み、制御部は、複数のレコードの電力指令データに基づいて生成した電力信号を出力部に送るとともに、複数のレコードの整合動作指令データに基づいて生成した同期信号をインピーダンス整合器に送る、との構成を有している。