(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141124
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】トンネル作業用軌道台車
(51)【国際特許分類】
E21D 11/00 20060101AFI20220921BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20220921BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
B66F9/06 N
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041291
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】笠原 薫
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 浩行
(72)【発明者】
【氏名】岩井 俊且
(72)【発明者】
【氏名】岸本 光章
(72)【発明者】
【氏名】西澤 和男
【テーマコード(参考)】
2D155
3F333
【Fターム(参考)】
2D155CA06
2D155CA07
2D155GB11
2D155LA16
2D155LA17
3F333AA20
3F333AB04
3F333AC02
3F333AC03
3F333AC04
3F333BD02
3F333BD04
3F333DB10
(57)【要約】
【課題】レールのカント補正に対応しつつ、トンネル内周面の裾部から天井部にわたって全面的にアクセス可能とするトンネル作業用軌道台車を提供すること。
【解決手段】レール上を走行可能な車輪11を下部に設けた台車部Aと、台車部Aに対しロール軸Cで傾動可能な足場部Bと、を少なくとも有する。足場部Bは、台車部Aの上方に収納した状態から軌道台車の幅方向外側に張り出す様にスライド可能な下段足場20と、ヒンジ結合による回動によって軌道台車の幅方向外側に展開可能な中段足場30と、昇降機構によって高さを調整可能に構成した上段足場40とを少なくとも備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル作業用の軌道台車であって、
レール上を走行可能な車輪を下部に設けた、台車部と、
前記台車部に対しロール軸で傾動可能な、足場部と、を少なくとも有し、
前記足場部は、
前記台車部の上方に収納した状態から、前記軌道台車の幅方向外側に張り出す様にスライド可能な、下段足場と、
ヒンジ結合による回動によって、前記軌道台車の幅方向外側に展開可能な、中段足場と、
昇降機構によって高さを調整可能に構成した、上段足場と、
を少なくとも備えたことを特徴とする、
トンネル作業用軌道台車。
【請求項2】
前記下段足場が、前記台車部の上方に収納した状態から、前記軌道台車の幅方向の両外側へスライド可能に構成してあることを特徴とする、
請求項1に記載のトンネル作業用軌道台車。
【請求項3】
前記下段足場に、前記ロール軸での傾動に用いる傾動用ジャッキを設け、前記傾動用ジャッキの回転軸を、前記軌道台車の前後方向とするように設置してあることを特徴とする、
請求項1または2に記載のトンネル作業用軌道台車。
【請求項4】
前記下段足場の前後に前記傾動用ジャッキをそれぞれ設けてあることを特徴とする、
請求項3に記載のトンネル作業用軌道台車。
【請求項5】
前記上段足場から、前記軌道台車の幅方向外側に張り出して、当該上段足場の横幅を拡張可能な、拡幅足場をさらに備えたことを特徴とする、
請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のトンネル作業用軌道台車。
【請求項6】
前記上段足場または前記拡幅足場に連結可能な、増設足場をさらに備えたことを特徴とする、
請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のトンネル作業用軌道台車。
【請求項7】
前記上段足場の上昇に連動して、前記中段足場の回動が行われるよう構成したことを特徴とする、
請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のトンネル作業用軌道台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道トンネルの構築工事や保守作業で使用する、トンネル作業用軌道台車に関し、より詳細には、トンネル壁面に作業員が接近した状態で作業が可能なステージを搭載した軌道台車に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、軌陸ダンプカーなどの軌道台車の荷台に作業用足場台を搭載した構成が開示されている。
この作業用足場は、昇降式足場床と、昇降式足場床に搭載した旋回式足場床と、旋回式足場床に搭載した持ち上げ式足場床とを備えており、これらの足場を適宜移動させることで、トンネル内周面の天井部に対する保守、点検、補修などを安全かつ容易としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の構成では、作業用足場が軌道台車の荷台に搭載された状態であるため、荷台よりも下方の位置への足場の展開について何ら考慮されていない。
【0005】
よって、本発明は、レールのカント補正に対応しつつ、トンネル内周面の裾部から天井部にわたって全面的にアクセス可能とするトンネル作業用軌道台車を提供することを目的の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、トンネル作業用の軌道台車であって、レール上を走行可能な車輪を下部に設けた、台車部と、前記台車部に対しロール軸で傾動可能な、足場部と、を少なくとも有し、前記足場部は、前記台車部の上方に収納した状態から、前記軌道台車の幅方向外側に張り出す様にスライド可能な、下段足場と、ヒンジ結合による回動によって、前記軌道台車の幅方向外側に展開可能な、中段足場と、昇降機構によって高さを調整可能に構成した、上段足場と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記下段足場が、前記台車部の上方に収納した状態から、前記軌道台車の幅方向の両外側へスライド可能に構成してあることを特徴とするものである。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記下段足場に、前記ロール軸での傾動に用いる傾動用ジャッキを設け、前記傾動用ジャッキの回転軸を、前記軌道台車の前後方向とするように設置してあることを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1発明乃至第3発明のうち何れか1項の発明において、前記下段足場の前後に前記傾動用ジャッキをそれぞれ設けてあることを特徴とする。
また、本願の第5発明は、前記第1発明乃至第4発明のうち何れか1項の発明において、前記上段足場から、前記軌道台車の幅方向外側に張り出して、当該上段足場の横幅を拡張可能な、拡幅足場をさらに備えたことを特徴とする。
また、本願の第6発明は、前記第1発明乃至第5発明のうち何れか1項の発明において、前記上段足場または前記拡幅足場に連結可能な、増設足場をさらに備えたことを特徴とする。
また、本願の第7発明は、前記第1発明乃至第6発明のうち何れか1項の発明において、前記上段足場の上昇に連動して、前記中段足場の回動が行われるよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を有する。
(1)互いに設置高さの異なる、下段足場、中段足場、および上段足場を設けることで、1台の軌道台車でもって、トンネル内周面の裾部から天井部にわたって全面的なアクセスが可能となる。
(2)台車部に対し足場部をロール軸で傾動可能に構成してあるため、トンネル内のレールにカントを設けた箇所においても、各足場の水平状態を維持することができる。
(3)台車部の上部に下段足場を収納できるため、使用時にのみ必要長だけ、下段足場をスライド移動させることができる。
(4)下段足場をスライド可能な構成とすることにより、各足場の格納時における軌道台車の車幅制限に占める幅長を小さくすることができる。
(5)下段足場を軌道台車の幅方向の両外側へスライド可能に構成することで、下段足場の幅長および張出長を大きくでき、下段足場をよりトンネル内周面に接近させることができる。
(6)下段足場に設けた傾動用ジャッキを、下段足場の前後にそれぞれ設けて協調動作させることにより、足場部を傾動させるためのジャッキを下段足場の前後方向中間部に設ける必要がなく、下段足場をスライド移動させるにあたっての干渉要因を少なくできる。
(7)ヒンジ結合による回動動作で中段足場を格納してあるため、作業時にのみ中段足場を容易に展開することができる。
(8)上段足場にさらに拡幅足場を設けることにより、トンネル内周面の天井面周辺を広くアクセスすることができる。
(9)下段足場を台車部の上方に収納した状態から、軌道台車の幅方向の両外側へスライド可能に構成することにより、下段足場の幅長をより長く確保することができる。
(10)上段足場の上昇動作に連動して中段足場の回動動作が行われるよう構成することで、中段足場の展開作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るトンネル作業用軌道台車の概略背面図。
【
図2】本発明に係るトンネル作業用軌道台車の概略左側面図。
【
図4】本発明に係るトンネル作業用軌道台車の使用例(1)を示す概略図。
【
図5】本発明に係るトンネル作業用軌道台車の使用例(2)を示す概略図。
【
図6】本発明に係るトンネル作業用軌道台車の使用例(3)を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例0010】
<1>全体構成(
図1,
図2)
本発明に係るトンネル作業用軌道台車(以下単に「軌道台車」ともいう。)は、トンネル内のレール上を走行可能な台車部Aと、前記台車部Aに対して前記軌道台車の進行方向(前後方向)を軸方向とするロール軸Cを中心に傾動可能な足場部Bとを少なくとも有して構成する。
本発明に係る軌道台車は、自走機能を有するもの、その他の車両に牽引されるもの、の何れも含まれる。
以下、各部の詳細について説明する。
【0011】
<2>台車部(
図1,
図2)
台車部Aは、足場部Bを搭載した状態で、トンネル内のレール上を走行するための部位である。
本実施例では、鋼材や足場板などを適宜組み立てて形成した台座部10と、当該台座部10の底部に、前後左右に4箇所設けた車輪11を少なくとも具備して台車部Aを構成している。
【0012】
<3>足場部(
図1,
図2)
足場部Bは、トンネル内での構築工事や保守作業等を行う際の作業足場となる部位である。
本実施例に係る足場部Bは、ロール軸Cを介して前記台車部Aに対して傾動可能に構成している。
【0013】
本実施例に係る足場部Bは、台車部Aよりもやや高い位置で足場を構成する下段足場20と、前記下段足場20よりも高い位置で足場を構成する中段足場30と、当該中段足場30よりも高い位置で足場を構成する上段足場40と、上段足場40を前記軌道台車の幅方向に足場を拡幅可能な拡幅足場50と、前記上段足場40または拡幅足場50の上方に増設可能な増設足場60と、を備えている。
これらの足場には、適宜、安全柵、親綱支柱、手摺り、階段、梯子などの部材を事前に設けてあるか、追加で設置可能な構成とする。ただし、本願における各図面では説明の便宜上、これらの部材の図示を省略している場合がある。
【0014】
<4>下段足場(
図1,
図2)
下段足場20は、トンネル内周面の裾部周辺での作業を行う為の足場となる部材である。
本実施例では、台車部Aに設けてあるロール軸Cを介して前記台車部Aと連結しつつ、別途設けた駆動源でもって前記ロール軸Cを中心に傾動可能に構成した傾動ステージ21と、当該傾動ステージ21に設けた駆動源でもって、前記軌道台車の幅方向外側に張り出す様にスライド自在としたスライドステージ22でもって、下段足場20を構成している。
下段足場20は、主にトンネル内周面の裾部周辺の作業を担うことになる。
【0015】
<4.1>傾動ステージの構成例(
図3)
傾動ステージ21は、前記台車部Aに対する傾動機能と、前記スライドステージ22のスライド機能を担う部材である。
本実施例では、鋼材を適宜組んで、平面視して外形が略矩形状を呈するベースフレーム211と、前記ベースフレーム211から立設した、側面視して略門型形状を有するアーチフレーム212とで傾動ステージ21を構成している。
また、傾動ステージ21は、当該傾動ステージ21の幅方向中央に前記ロール軸Cが位置するように、台車部Aと連結される。
【0016】
<4.2>傾動用ジャッキ(
図3)
アーチフレーム212には、モータ付きジャッキからなる傾動用ジャッキ213を設けており、この傾動用ジャッキ213の一端を台車部Aと接続して動作させることで、下段足場20全体を傾動させることができる。
【0017】
<4.2.1>傾動用ジャッキの向き(
図3)
本実施例では、前記した傾動用ジャッキ213の回転軸を、軌道台車の前後方向とするように設置している。当該設置態様とすることで、傾動用ジャッキ213の全長が長い場合であっても、軌道台車の車幅制限に対する影響を小さくすることができる。
【0018】
<4.2.2>傾動用ジャッキの前後配置(
図3)
本実施例では、前記した傾動用ジャッキ213を、下段足場20の前後にそれぞれ設けている。当該配置形態とすることで、足場部Bを傾動させるためのジャッキを下段足場20の前後方向の中間付近に設ける必要を無くすことで、下段足場20のスライド移動の干渉要因を減らしている。
【0019】
<4.3>スライド用モータ(
図3)
ベースフレーム211の前後には、スライド用モータ214を設けている。
このスライド用モータ214は、ベースフレーム211の幅方向中央に配置し、スライドステージ22と噛み合わせたピニオンギヤ215を回転させるよう構成してあり、ベースフレーム211上に適宜配置してある補助ローラ216の上に載置したスライドステージ22を、スライド用モータ214によるピニオンギヤ215の回転でもって、スライド可能としている。
【0020】
<4.4>スライドステージの構成例(
図3)
本発明において、スライドステージ22の配置構成は特段限定しない。
本実施例では、傾動ステージ21の幅長と略等幅を呈するスライドステージ22を用いており、このスライドステージ22を移動させるために、傾動ステージ21に設けたスライド用モータ214の正転・逆転を切り換えることで、スライドステージ22を軌道台車の何れの方向にスライド移動させるかを制御することができる。
スライドステージ22と、傾動ステージ21との間には適宜ストッパなどを設けて、スライドステージの移動を所定長で規制するよう構成しておくことが望ましい。
【0021】
また、図示しないが、本発明では、スライドステージ22を、軌道台車の前後方向に分割した構成とし、個別にスライド自在な構成とすることもできる。
また、スライドステージ22を軌道台車の左右に別々に設け、それぞれ片側にのみ張出可能な構成とすることもできる。
【0022】
<4.5>下段足場をスライド機構とした理由
例えば、下段足場20を、後述する中段足場30のように、ヒンジ結合による展開機構とした場合、下段足場20および中段足場30を両方とも格納した際に、両者が重なりあってしまい、下段足場20と中段足場30の厚さの分だけ車幅が大きくなってしまう。そのため、車幅制限の厳しい現場では、下段足場20と中段足場30、それぞれのヒンジの位置がよりレール中央側に移動せざるを得なくなることが考えられ、その結果、各足場がトンネル内周面に接近させるために、より下段足場と中段足場の長さを長くしなければならないという問題があった。
そこで、本発明では、下段足場20をスライド機構とすることにより、格納時における中段足場30との重なりを考慮する必要を無くし、車幅に影響を与えることなく中段足場30のヒンジ位置をよりレール中央から幅方向に離れた位置に設定し、引いては中段足場30自体をよりトンネル内周面側に接近させることを可能とした。
【0023】
<5>中段足場(
図1,
図2)
中段足場30は、トンネル内周面の中間部周辺での作業を行う為の足場となる部材である。
本実施例では、前記下段足場20に設けたアーチフレーム212に後端側をヒンジ結合してなる回動ステージ31と、でもって中段足場30を構成している。
この回動ステージ31は、ヒンジ結合による回動によって、下方に倒れて格納した状態と、軌道台車の幅方向外側に張り出す様に展開した状態を任意に切り換え可能に構成している。
展開した状態の回動ステージ31は、前記したスライドステージ22よりも高い位置を保持することにより、前記下段足場20からの作業が困難な高さ(主に中間部周辺)での作業を担うことになる。
【0024】
<5.1>回動ステージの構成例(
図1)
本発明において、回動ステージ31の格納動作および展開動作は、手動または自動の何れであっても良い。
自動で格納および展開を実現する機構の一例としては、
図1に示すように後述する上段足場40と、回動ステージ31の前端側とをワイヤ32等で連結可能に構成する方法がある。
当該構成によれば、上段足場40の上昇によるワイヤ32の引き上げによって、回動ステージ31を引きあげて展開することができ、上段足場の降下時には自然に回動ステージが倒れて格納した状態に遷移させることができる。
【0025】
<6>上段足場(
図1,
図2)
上段足場40は、トンネル内周面の天井部周辺での作業を行う為の足場となる部材である。
本実施例では、前記アーチフレーム212に対し、ジャッキなどの公知の昇降機構を用いて昇降可能とした昇降ステージ41によって上段足場40を構成している。
昇降ステージ41は、前記したスライドステージ22および回動ステージ31よりも高い位置を保持することにより、前記下段足場20および前記中段足場30からの作業が困難な高さ(主に天井部周辺)での作業を担うことになる。
【0026】
<7>拡幅足場(
図1,
図2)
拡幅足場50は、トンネル内周面の天井部周辺において、上段足場40のみではトンネル幅方向側へのアクセスが不十分な場合に、上段足場40を幅方向に延伸させるための部材である。
本実施例では、上段足場40を構成する昇降ステージ41に収納した状態から、幅方向外側にスライド移動可能な延伸ステージ51でもって拡幅足場50を構成している。
【0027】
<8>増設足場(
図1,
図2)
増設足場60は、トンネル内周面の天井部周辺において、上段足場40や拡幅足場50からではトンネル高さ方向側へのアクセスが不十分な場合に、上段足場40や拡幅足場50から更に高い位置に足場を設けるための部材である。
本実施例では、上段足場40の構成部材や、拡幅足場50の構成部材に連結可能な、仮設足場用の部材(支柱、建枠、布板、水平材、手摺り材など)でもって、増設足場60を構成している。
【0028】
<9>使用イメージ(
図4,
図5,
図6)
次に、
図4~
図6を参照しながら、本発明に係る軌道台車の使用イメージについて説明する。
【0029】
<9.1>走行状態・作業状態(
図4)
図4を参照しながら、カントを有しない現場での各足場の使用イメージについて説明する。
図4の紙面左側に図示する走行状態の軌道台車は、全ての足場を格納した状態を示しており、この状態で軌道台車を走行させて所定箇所まで移動する。
図4の紙面右側に図示する作業状態の軌道台車は、所定箇所に到達後に各足場を展開させた状態を示している。トンネル内周面と対向する側では、下段足場20と中段足場30を展開しつつ、拡幅足場50を部分的に展開することで、トンネル内周面の裾部Xの周辺や、中間部Yの周辺へのアクセスを容易としている。また、トンネル中央側と対向する側では、拡幅足場50を展開しつつ、上段足場40と拡幅足場50のそれぞれに増設足場60を設けることで、天井部Zの周辺のアクセスを容易としている。
【0030】
<9.2>カント箇所での下段足場の使用を含めたイメージ(
図5)
図5は、カントを有する現場における下段足場の使用を想定した使用イメージである。
図5(a)では、紙面左側に下がるように傾斜したカントを有する場合の各足場の展開状態を示している。
紙面左側のトンネル内周面と対向する側では、下段足場20のみを展開している。トンネル中央側と対向する側では、拡幅足場50を展開しつつ、上段足場40と拡幅足場50のそれぞれに増設足場60を設けている。
【0031】
図5(b)では、紙面右側に下がるように傾斜したカントを有する場合の各足場の展開状態を示している。
紙面左側のトンネル内周面と対向する側では、下段足場20を部分的に展開している。また、トンネル中央側と対向する側では、
図5(a)と同様、拡幅足場50を展開しつつ、上段足場40と拡幅足場50のそれぞれに増設足場60を設けている。
【0032】
<9.3>カント箇所での中段足場の使用を含めた使用イメージ(
図6)
図6は、カントを有する現場における中段足場の使用を想定した使用イメージである。
図6(a)では、紙面左側に下がるように傾斜したカントを有する場合に、各足場の展開状態を示している。
紙面左側のトンネル内周面と対向する側では、中段足場30と拡幅足場50を展開している。また、トンネル中央側と対向する側では、拡幅足場50を展開しつつ、上段足場40と拡幅足場50のそれぞれに増設足場60を設けている。
【0033】
図6(b)では、紙面右側に下がるように傾斜したカントを有する場合の各足場の展開状態を示している。
紙面左側のトンネル内周面と対向する側では、中段足場30のみを展開している。また、トンネル中央側と対向する側では、
図6(a)と同様、拡幅足場50を展開しつつ、上段足場40と拡幅足場50のそれぞれに増設足場60を設けている。
【0034】
<9.4>まとめ
このように、本発明に係る軌道台車は、
図4~6で図示された作業員にも現れるように、如何なる現場であっても、各足場の格納・展開を適宜組合せることによってトンネル内周面の全面(裾部X,中間部Y,天井部Z)に自由にアクセスすることができる。